太陽光パネルの廃棄・リサイクル方法や費用|環境問題との関連も解説

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国際航業株式会社公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。国内700社以上・導入シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)を開発提供。

太陽光パネルの廃棄・リサイクル方法や費用|環境問題との関連も解説

FIT制度の導入で普及した太陽光発電は、環境にやさしいシステムです。廃棄する場合も、環境に悪影響を与えないように処理したいものです。この記事では、太陽光パネルの廃棄を検討している人に向けて、廃棄方法や廃棄する際の注意点を解説します。廃棄する前に考慮が必要なこと、廃棄にかかる費用についてまで解説するので、ぜひ参考にしてください。

 

 

太陽光パネルの廃棄で気を付けるべきこと

太陽光パネルの廃棄は有害物質を含み、産業廃棄物として取り扱われ、定められた方法以外の廃棄は法律違反です。撤去作業は電気工事士の有資格者のみ行えます。太陽光パネルの特徴や廃棄の注意点、付属品の廃棄方法について解説します。

 

太陽光パネルは太陽光発電設備の一部

太陽光パネルは、太陽電池モジュールとも呼ばれる太陽光発電設備の一部で、寿命は約30年です。鉛をはじめ、セレン、カドミウムなどの有害物質を含んでいるので、パネルの取り扱いには注意が必要です。パネル所有者は、廃棄や処理を行う業者に製品情報を伝える義務があります。

 

太陽光パネル廃棄の注意点

表面部分のガラスが破損し水漏れを発生させれば、太陽パネルから有害物質が流出するおそれがあるので、適正な処理が必要です。電気遮断処理が必要で、感電やショートの可能性があるので、電気工事士の有資格者に依頼します。

 

ただしパネルが落下して、移動がやむを得ない場合は、感電やガラス破片でけがなどしないよう作業しましょう。ゴム長靴、ゴム手袋、絶縁処理された工具を使用し、移動後は水濡れしないようブルーシートで覆い、人が触れないような処理が必要です。

 

太陽光パネルは基本的に産業廃棄物

太陽光発電設備を廃棄する人によってごみの扱いが異なり、業者に依頼する場合はすべて産業廃棄物扱い、所有者個人で廃棄する場合は一般ごみ扱いになります。太陽光パネルは処分場に搬入できない場合もあり、廃棄する自治体に確認が必要です。取り扱いが難しいうえ高所での作業なので業者に依頼しましょう。撤去から廃棄まで同一業者に依頼する必要はありません。

 

付属品の廃棄

太陽光パネルだけでなく、パワーコンディショナー、架台、電子装置やケーブルなどの付属品の廃棄も必要です。自治体によって廃棄方法は異なるので、確認しましょう。基本的に粗大ゴミや不燃ごみで、一般ごみ扱いです。パネルを処分する業者やリサイクル業者に買い取ってもらえる場合もあるので、廃棄前に確認してみましょう。

 

太陽光パネル廃棄を取り巻く問題

太陽光パネルの廃棄量は今後増大することが予想され、廃棄の際に環境に悪影響を与えないよう考慮しなければならない問題があります。詳細に解説します。

 

太陽光パネルの大量廃棄問題

参議院常任委員会調査室・特別調査室によると、2040年頃に太陽光パネルの大量廃棄が予想され、最終処分場が間に合わない可能性があります。低コストで太陽光パネルの金属部分をリサイクルすることによって、資源活用と廃棄量の削減が求められています。

 

※参考:使用済太陽光パネルの大量廃棄問題

 

太陽光パネルから有害物質が流出する問題

太陽光パネルは有害物質を含んでいるので、適正処理ができるよう、製品情報を廃棄物処理業者に伝達することが必要です。また太陽光パネルメーカーは、有害物質を基準値以下の含有率で設計することが求められています。

 

太陽光パネルの不法投棄・放置問題

廃棄にコストがかかるので、業者が適切に処理しない、撤去されないまま放置されるリスクがあります。相場より安すぎず、廃棄業者の免許登録されている業者に廃棄を依頼しましょう。放置や不法投棄させない仕組みづくりも必要です。

 

太陽光パネルの廃棄の取り組み

より環境にやさしく太陽光パネルを廃棄できるような取り組みが始まっています。詳細に解説します。

 

太陽光パネルのリサイクル・リユース

太陽光パネルは使用できる限りはリユース、使用できなくなったらリサイクルされることが必要です。ガラスやねじ・フレームなどに分別され、リサイクル処理を行った残りの部分が埋め立てられます。リサイクル・リユース促進のため、2018年に推進ガイドラインが見直されました。

 

※参考:太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第二版)

 

廃棄費用積立制度

2022年7月から太陽光発電に関する廃棄費用積立制度が義務化されました。不法投棄や放置問題対策のため制定され、10kW以上の発電事業者のみ適用されます。売電の費用から廃棄コストを差し引かれる形で積み立てし、適正な廃棄処理を行った場合に返却される仕組みです。

 

太陽光パネルのリサイクル・リユース事例

太陽光パネルは長寿命なので、パネルの損傷がなければリユースも可能です。高性能パネルへの変更で不要になったパネルや、災害で一部が破損した場合であっても発電所でリユースされた事例や、リサイクル方法を環境省が紹介しています。

 

※参考:使用済太陽光パネルのリユース、リサイクルについて

 

廃棄を考える前にリユースの検討を

太陽光パネルは適切なメンテナンスを行えば、30年程度使用できます。廃棄する前に、不要なパネルをリユースできないかを検討しましょう。太陽光パネルが使用可能な場合、具体的なリユース方法を解説します。

 

太陽光パネルの買い取り

使用済みパネルの買い取りは、業者に依頼をすると簡単です。廃棄処理を依頼する業者や太陽光発電専門の買い取り業者、不用品回収業者に、付属品を含めて買い取ってもらえるか確認してみましょう。フリマアプリを使って販売している人もいます。

 

太陽光パネルのリユース方法

蓄電システムや蓄電池を設置して、太陽光パネルを自宅の主電源や、非常用電源としてリユースできます。自家消費を増やせば、節約になります。EVバッテリーを蓄電池として使用すれば、家庭で電気自動車の充電も可能です。

 

太陽光パネルを廃棄する方法

太陽光パネルの廃棄処理が必要になる3つのケースについて、どのように廃棄を進めていくか解説します。

 

破損・故障などで太陽光発電を取り替える場合

太陽光パネルは風水害・地震などの影響で劣化しやすく、破損や故障などが発生することがあります。取り替えの場合は、交換を依頼した取扱メーカーや施工修理業者、販売会社などに処分を依頼します。太陽光パネルと付属品ともに産業廃棄物の取り扱いです。

 

事故や災害などで太陽光パネルが落下した場合

太陽光パネルが台風や雪、地震で破損し、屋根の上から落下する場合があります。取り替えを行わず落下したものを処理する場合は、太陽光パネルの所有者が廃棄することも可能です。法律上は一般ごみになりますが、自治体に問い合わせしましょう。

 

取り扱いに危険が伴うので、取扱メーカーや施工修理業者など専門業者に依頼をし、処分してもらうことをおすすめします。なお有害物質が流出しないよう、処理前にブルーシートで覆っておきましょう。

 

家の解体で撤去する場合

家のリフォームや建て替えなどを行う場合は、家の解体前に太陽光パネルを撤去する必要があります。建築会社や工務店などの施工業者に解体から処分まで依頼できます。廃棄する前にリユースできないかの検討も必要です。

 

太陽光パネルの廃棄にかかる費用

太陽光パネルを業者に廃棄を依頼する場合は、撤去費用や運搬費・処分費がかかります。業者に依頼する前の準備も併せて解説します。

 

太陽光パネルを廃棄する前の準備

まず費用の相場がわかるよう、最低2~3社見積もりを取ります。通常見積もりは無料です。撤去から処分まで同一業者に頼まなくてもよいので、撤去費・運搬費など費用詳細を比較し、どの業者に依頼するか検討します。廃棄費用を事前に積み立てておくと万全です。

 

産業用太陽光パネルの撤去費用

製品やパネル数などによって異なりますが、野立て太陽光発電所にある50kW以上のパネルは、一般的に1kWあたり2万円程度の廃棄費用がかかります。場合によっては、土地を元に戻す費用も必要です。

 

住宅用の屋根上設置などの撤去費用

住宅用の太陽光パネルは屋根の上に設置されているので、撤去費用として足場代や作業するための人件費が必要です。家屋を取り壊さず住み続けるのであれば、屋根の修繕費やふき替えするための費用が必要になる場合もあります。30坪の2階建ての家で、修繕がいらない場合の撤去費用の目安は、以下のような金額になります。

 

費用内訳

金額

足場代

約15~20万円

(1㎡あたり700~1,000円)

作業・人件費

約10万円

合計

約25~30万円

 

運搬費・処分費

太陽光パネルを撤去した後には、処分場までの運搬費と処分費がかかります。運搬費は処理場までの距離により、処分費は製品や処分業者により異なります。処分費の目安は、太陽光パネルの重さが18㎏以下の場合、1枚あたり約1,200円です。

 

まとめ

太陽光パネルの廃棄は取り扱いに注意が必要で、所有者は撤去作業を専門業者に依頼し、製品情報を処理業者に伝える義務があります。基本的に産業廃棄物となりますが、資源の活用を考慮し、リユースも検討しましょう。廃棄する場合は、見積もりを取って依頼業者を検討しましょう。

 

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●著者プロフィール

会社名:国際航業株式会社

部署名:公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

執筆者名:樋口 悟

執筆者の略歴:国際航業株式会社エネルギー部デジタルエネルギーグループ。エネルギー診断クラウドサービス「エネがえる」担当。1996年東京学芸大学教育学部人間科学課程スポーツコーチ学科卒業。1997年上場大手コールセンター会社に入社、2000年大手上場小売企業グループのインターネット関連会社で最年少役員に就任。2011年に独立起業。大企業向けにSNSマーケティングやアンバサダーマーケティングを提供するAsian Linked Marketingを設立。30以上の大手上場企業のプロジェクトを担当。5年で挫折。2016年国際航業株式会社新規事業開発部に入社しエネルギー領域の事業開発、エネがえる事業開発を担当。
https://energy-shift.com/news/author/71cbba7e-dbbc-4728-9349-9cdbed975c6e

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国際航業 公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。国内700社以上・導入シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)を開発提供。

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