建設コンサルタント業界の持つ暗黙知を用いた新価値創造アイデアとは?

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国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

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目次

建設コンサルタント業界の持つ暗黙知を用いた新価値創造アイデアとは?

地形・仮設・立地リスクの暗黙知を”言語化”することで生まれる3つの巨大産業とは?

建設コンサルタントの未踏DX知こそが、社会インフラの不便を解消し、新たな市場を創出する鍵になる—本記事では、土木・測量・設計現場知から生まれる3つの革新的ビジネスモデル「GeoUX™」「CLIMPACT™」「InfraCredit™」の可能性と実装戦略を徹底解説します。

【10秒でわかる要約】

建設コンサルタントが持つ「地形×人の動き×災害予測」の未言語化知識をデジタル化すれば、①バリアフリーな歩行空間設計、②災害適応型仮設インフラ、③立地リスク評価型金融3つの新産業が創出可能。年間1兆円超の経済効果社会課題解決を同時に実現する具体的なロードマップを提示。


建設コンサルタントの隠れた可能性:「あたりまえの不便」を解消する金脈

私たちの日常にはあまりにも「あたりまえ」すぎて見過ごされている不便が存在します。急な坂道災害後に毎回作り直す仮設住宅立地条件を考慮しない設備投資…。これらは単なる「しょうがない」問題ではなく、建設コンサルタントが持つ暗黙知をデジタル変革することで解決できる巨大ビジネスチャンスなのです。

建設コンサルタントとは何でしょうか?彼らは測量・設計・積算・施工計画・維持管理といった一連のプロセスを横断し、地質・災害リスク・社会実装を読み解くプロフェッショナルです。2025年現在、その専門知識PDF報告書・CAD図面・Excelの中に閉じ込められており、AI時代の情報流通からは隔絶されています。

国土交通省のインフラDX政策でもBIM/CIMやドローン、LiDARの活用は進みつつありますが、“文脈付きリアルタイム知”には昇華していません。つまり、建設現場で日々蓄積される経験知は、体系化されずに個人の頭の中だけに留まっているのです。

同時に、世界銀行は気候変動による年間3,000億ドル超のインフラ損失リスクを警告し、「レジリエンス投資はコストではなく成長ドライバーだ」と指摘しています。この2つの状況を掛け合わせると見えてくるのは、建設コンサルが持つ”土地と構造物の未来予測”こそが、GX・DX・SX(Sustainability Transformation)時代の基盤OSになり得るという可能性です。

グローバルマクロトレンドが示す変革の必然性

現在、世界では3つの大きなトレンドが交差しています:

  1. 都市人口70%時代の到来:2050年までに世界人口の70%が都市部に居住することになり、限られた空間をより効率的に利用するため、縦方向・地下方向への拡張が加速します。

  2. 災害多発と保険市場の変容:2024年の自然災害による経済損失は2,500億ドルを突破(Swiss Re報告)。避難・復旧コストの増加により、「事後保険→事前適応」へのシフトが急速に進んでいます。

  3. ESGリスク開示の義務化:国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が位置情報リスクを定量開示項目に追加。S&P Globalは500m解像度で地政学・洪水・地震リスクを評価する新サービスを開始しており、位置情報と連動したリスク評価の重要性が高まっています。

これらはすべて「場所と構造物の相互作用」を定量化する新サービス需要につながっており、再生可能エネルギー施設の最適立地選定などにも直結する重要課題です。例えば太陽光発電においては、地形条件だけでなく、地盤の安定性や災害リスクが設備の長期運用に大きく影響します。

誰も言語化してこなかった3つの社会課題

ここで、建設コンサルタントの知見が解決できる具体的な社会課題を見てみましょう:

ペイン現状の”あたりまえ”経済損失(潜在)未言語化の原因
道路・歩道の”歩きにくさ”2D図面設計が主体。高低差・人流を考慮せず段差や遠回りが発生交通弱者の移動機会損失 → 年間1.2兆円*推計人の動線データと地形が接続されていない
仮設インフラの脆弱性水害ごとに橋・仮設道路を作り直し。設計標準もバラバラ復旧コスト増、避難遅延 → 人的被害土質・災害履歴をリアルタイムに共有する仕組みがない
立地リスクを無視した融資審査地銀は企業財務のみで評価。軟弱地盤や交通遮断リスクを加味せず不良債権化リスク、再エネ案件の資金調達停滞地形・地質データを金融APIに組み込む前例がない

*推計値は、高齢者・障害者の外出機会損失および関連する医療・介護費用増加から算出

例えば、交通弱者(高齢者、車いす利用者、ベビーカー利用者など)の外出機会損失は、単なる不便さの問題ではなく、健康寿命の短縮社会参加機会の減少など、大きな社会的・経済的損失につながっています。内閣府の調査によれば、高齢者の社会参加が10%向上するだけで、年間医療費は約3,000億円削減できるという試算もあります。

コンセプト①:GeoUX™—歩行空間の体験を革新する3D都市OS

GeoUX™とは何か?

GeoUX™は、LiDAR + スマホGPS + AI人流解析で生成した3D地形デジタルツインと、自治体・交通・観光データを重ね合わせて「人が本当に歩く道」をシミュレーションする”歩行空間UX最適化SaaS“です。従来の都市計画が見落としていた「体験としての移動」を可視化し、誰もが快適に移動できる空間設計を実現します。

GeoUX™の技術的構成要素

  1. 高精度LiDAR点群データ処理

    • 5cm解像度の点群データをクラウド上で処理
    • 傾斜・段差・路面材質を自動抽出
    • 最新のLiDAR研究を応用した高精度マッピング
  2. STRIDEモデル:歩行者行動予測

    • 物理条件(勾配、段差、距離)と行動心理(最短志向、疲労回避、景観選好)を統合
    • Phys.orgが報告する最新のLiDAR歩行予測モデルを採用
    • 歩行者のミクロな行動から都市全体の人流を予測
  3. UX KPIダッシュボード

    • 段差回避率:歩行者が選択する経路において段差をどの程度回避できるか
    • 高齢者平均到達時間:駅や公共施設への移動時間(年齢層別)
    • ベビーカー可達性:ベビーカーでアクセス可能なエリアの割合
    • 移動満足度予測:AI予測による移動体験の質的評価

GeoUX™の数理モデル

GeoUX™の核心部分には、以下の数理モデルが実装されています:

  1. エネルギー最小化経路モデル $$E_{path} = \alpha \cdot Distance + \beta \cdot Elevation_{change} + \gamma \cdot StepCount + \delta \cdot Congestion$$

  2. 人流シミュレーション(フローシティモデル) $$F(x,y,t) = \sum_{i=1}^{n} P_i \cdot M_i(x,y,t) \cdot E_i(x,y,t)$$

ここで、$F(x,y,t)$は時刻$t$における座標$(x,y)$の人流密度、$P_i$は人口グループ$i$の比率、$M_i$は移動パターン、$E_i$は環境要因による移動性変化を表します。

これらのモデルを用いることで、例えば急坂の多い長崎市では、傾斜8%の坂道に3mごとに休憩ベンチを設置することで、高齢者の移動可能範囲が約40%拡大するといった具体的な提案が可能になります。

GeoUX™のビジネスモデル

  • 基本API利用料:5万円/月(自治体向け)
  • 設計伴走パッケージ:建設コンサルがUX官民合同チームを組成し、BIMデータにGeoUX™を埋め込むBPaaS(Business Process as a Service)として提供。基本料金100万円〜+成果報酬型(バリアフリー達成度に連動)
  • マルチテナント展開:観光都市(京都・イスタンブール)、斜面都市(リオ、長崎)などへ横展開。都市タイプに応じたテンプレート化により迅速な導入を実現。

市場規模と社会インパクト

世界の歩行者系バリアフリー改修市場は460億ドル/年(推計)と巨大です。特に高齢化が進む日本、欧州、そして急速に都市化が進むアジア諸国ではニーズが高まっています。GeoUX™は初年度1%シェアでも46億円のARR(年間経常収益)が見込めます。

社会的インパクトとしては:

  • 高齢者の外出機会15%増 → 医療費年間3,000億円削減
  • 観光回遊性20%向上 → 地域消費4,500億円増
  • 車いす利用者の生活圏30%拡大 → QOL向上と介護負担軽減

エネルギー関連では、スマートシティの歩行空間最適化により、都市部の自動車依存度が低下し、CO2排出削減にも貢献すると期待されています。実際、歩きやすい都市では短距離移動の自動車利用が10〜15%減少するというデータもあります。

コンセプト②:CLIMPACT™—災害適応型仮設インフラプラットフォーム

CLIMPACT™とは何か?

CLIMPACT™は、仮設橋・仮設住宅・仮設道路をモジュール化し、気象・地盤・物流条件に合わせて48時間以内に最適設計図と資材リストを自動生成するプラットフォームです。災害後の復旧を「その場しのぎ」から「計画的レジリエンス」へと進化させます。

技術的構成要素

  1. リアルタイム気象API+過去災害GIS

  2. 素材カタログDB

    • 段ボールサンドイッチパネルから耐水合金まで400品目を性能・CO₂排出量でタグ付け
    • 新世代の災害対応建材を含む日本初の統合データベース
    • 寿命・コスト・調達時間・二次利用可能性をパラメータ化
  3. テンプレート設計AI

    • 荷重・施工機械可搬性・組立時間をパラメトリック設計
    • 最小CO₂で最適解を提示する環境フットプリント最適化
    • 数百のプリセットから現地条件に応じた自動マッチング

CLIMPACT™の核心アルゴリズム

CLIMPACT™の中核には、以下の決定アルゴリズムが実装されています:

  1. 多目的最適化関数 $$OptimalDesign = \min_{x \in X} {T_{construction}(x), C_{total}(x), CO2_{emissions}(x)}$$

ここで、$X$は実行可能な設計空間、$T_{construction}$は建設時間、$C_{total}$は総コスト、$CO2_{emissions}$はCO2排出量を表します。

  1. 災害リスク-構造物適応度マトリクス

災害タイプ(洪水、地震、土砂崩れなど)現地条件(地盤強度、アクセス性、気候条件)に基づいて最適な構造物タイプを決定するマトリクスを構築。例えば、洪水リスクが高く地盤が軟弱な地域では、軽量で組立式の高床型仮設住宅が最適解として提案されます。

ビジネスモデルと収益構造

  • 設計API課金:1件3万円(ODA案件はボリュームディスカウント)
  • 資材マーケットプレイス手数料:取引額の5%
  • BCP(事業継続計画)サブスクリプション:自治体・企業向け年間120万円で災害時優先サポート

初期導入コストは標準パッケージで2000万円、カスタム開発で5000万円〜。ランニングコストは年間500万円〜で、災害発生時の追加料金なし(サブスクリプションモデル)。

グローバル展開戦略

CLIMPACT™の市場は災害リスクの高い地域を中心に世界に広がっています:

  • アジア太平洋:洪水・台風常襲国(フィリピン、ベトナム)
  • アフリカ:干ばつ・洪水二重リスク地域(ケニア、モザンビーク)
  • 中南米:地震・豪雨リスク+インフラ不足を抱えるアンデス諸国

市場規模は保守的に見積もっても年間200億円。特に気候変動適応型インフラへの投資が急増しており、国連環境計画(UNEP)によれば、気候変動適応市場は2030年までに3,000億ドル規模に成長すると予測されています。

社会的インパクトとROI

  • 従来復旧費用の30%削減、復旧時間1/3
  • CO₂排出量40%削減(再利用率70%以上のモジュール採用時)
  • 災害時の避難所生活期間25%短縮→心理的ストレス軽減
  • 地域産業復旧の加速化→経済損失の最小化

実際の導入事例のシミュレーションでは、人口10万人規模の自治体でCLIMPACT™を導入した場合、5年間で約8億円の災害対応コスト削減が見込まれています。これは初期投資(2,000万円)の40倍のリターンに相当します。

コンセプト③:InfraCredit™—立地を信用に変える金融革命

InfraCredit™とは何か?

InfraCredit™は、地質・地形・交通接続・災害履歴をクレジットスコアに組み込み、地方銀行・信用金庫・開発金融機関向けに”場所適応型”融資判断APIを提供するプラットフォームです。これまで「見えないリスク」とされてきた地理的要因を可視化し、より精密な金融判断を可能にします。

技術的構成要素

  1. Geospatial Risk Engine

    • 500mグリッドの洪水・地震・斜面崩壊確率を統合
    • S&P Globalの地理空間リスク評価手法を応用・発展
    • 50年分の災害データと最新の地質調査を統合したリスクスコアリング
  2. 建設コンサル積算ロジックの標準化

    • 従来はベテラン技術者の経験則に依存していた工期・補強費の見積もりを自動算出
    • 地質条件別の基礎工事コスト変動係数を定量化
    • リスク発現時の追加コストシミュレーション
  3. ファイナンスDSL(Domain-Specific Language)

    • 金融機関ごとの審査項目をコード化
    • ALM(資産負債管理)/EL(期待損失)項目に自動フィード
    • 融資条件自動最適化エンジン

InfraCredit™の数理基盤

InfraCredit™の中核には、以下の数理モデルが実装されています:

  1. 地理空間リスク関数 $$R_{geo}(x,y) = \alpha \cdot F_{flood}(x,y) + \beta \cdot E_{earthquake}(x,y) + \gamma \cdot L_{landslide}(x,y) + \delta \cdot I_{isolation}(x,y)$$

ここで、$(x,y)$は位置座標、$F,E,L,I$はそれぞれ洪水、地震、土砂崩れ、孤立リスクを表します。係数$\alpha,\beta,\gamma,\delta$は地域特性に応じて調整されます。

  1. 期待損失調整モデル $$EL_{adjusted} = EL_{standard} \times (1 + R_{geo} \times Vulnerability_{factor})$$

この式により、通常の期待損失(EL)を地理空間リスクで調整し、より精密な融資判断が可能になります。

ビジネスモデルと料金体系

  • API従量課金:1リクエスト200円(月間利用料金の上限あり)
  • オンプレミス導入:地銀向け年間2,000万円(初期導入費500万円)
  • データ販売:保険会社向けリスクレイヤリングデータ(年間契約1,000万円〜)

社会的インパクト

  • 再エネ案件の資金調達期間40%短縮

  • 地銀の不良債権率15%低減

    • リスクベースの価格付けにより適正な融資条件設定が可能に
    • 隠れた地理的リスクを考慮した与信判断
  • 途上国の金融包摂促進

    • ポテンシャル立地に信用を与え、設備投資を促進
    • 国際開発金融機関との連携による新興国インフラ整備加速

市場規模と将来展望

世界の地理空間データと金融のクロスオーバー市場は年間1,200億円と推定され、年率15%で成長中です。Chartis Researchによれば、気候リスクと信用リスクを統合するソリューションへの需要は今後5年で3倍に拡大すると予測されています。

実装ロードマップ:理想から現実へ

これら3つのコンセプトを現実のビジネスへと発展させるためのロードマップを示します:

  1. PoC(概念実証)フェーズ(2025–26)

    • GeoUX™:政令市3都市で歩行者デジタルツイン検証
    • CLIMPACT™:内閣府「防災科研」と連携し、仮設橋2現場で実装
    • InfraCredit™:東北地方の地銀2行で共同開発協定
  2. API/BPaaS化(2026–27)

    • SDK提供、ノーコード連携、マルチランゲージ対応
    • 各種業務系システムとの連携APIの標準化
    • クラウドマーケットプレイス(AWS、Azure、GCP)への公開
  3. 海外リファレンス獲得(2027–29)

    • JICA ODA案件 × GeoUX™
    • アジア開発銀行 × CLIMPACT™
    • 世界銀行気候ファンド × InfraCredit™
  4. シリーズB以降:独立垂直SaaS + データライセンス(2030–)

    • グローバルSaaS企業としての地位確立
    • データライセンスビジネスの拡大
    • M&A戦略の展開

実現に向けた課題とその対策

リスク・レギュレーション対応

リスク対策
公共調達ルールの硬直建設コンサル× SaaSの「サービス購入型」スキームを提案し、Ver. 2契約形式を内示
データガバナンス国産クラウド + ISMAP認証、PL保険のAPI拡張条項
海外展開時の知財流出プラットフォームコアは国内ホスティング、海外はEdgeキャッシュ + 暗号化コンテナ

各サービスの具体的な障壁と突破口

GeoUX™の課題と対策

  • 課題:公共空間の3Dスキャンに関する規制・許認可
  • 対策:国交省「スマートシティモデル事業」枠組みでの特区申請、プライバシー保護技術の実装(人物自動マスキング)

CLIMPACT™の課題と対策

  • 課題:建設資材の標準化・モジュール化の遅れ
  • 対策:建材メーカー5社との共同研究開発、災害対応用規格の業界団体への提案

InfraCredit™の課題と対策

  • 課題:銀行のレガシーシステムとの連携困難
  • 対策:金融系APIゲートウェイ開発、Web APIラッパーによる段階的統合

日本発グローバル展開の戦略

世界市場で競争力を持つサービスに育てるためには、日本の強みを活かした戦略が必要です:

  1. 縦割り打破:国交省DX政策と経産省のMobility DX Strategy(経済産業省, 2024)を橋渡しするクロスセクター連携

  2. ローカルDX人材育成

    • 建設コンサルタントを「場所のデータサイエンティスト」として再訓練
    • 年間300人の実務者育成プログラム開発
    • 産学連携によるカリキュラム整備
  3. 制度輸出

    • GeoUX™をバリアフリー国際規格(ISO 21542拡張案)に位置情報メタデータとして提案
    • アジア太平洋地域への日本型インフラDXモデルの展開
    • ODA案件と連動したパッケージ輸出(設計・施工・運用・管理)

ユースケース詳細:現場の変化をイメージする

これらのサービスが実現すると、現場はどう変わるのか?具体的なユースケースを見てみましょう。

GeoUX™ユースケース:京都市東山区

現状: 観光客が集中する清水寺周辺は急な坂道と狭い道が多く、高齢者や車いす利用者にとって移動が困難。伝統的町並み保存との両立も課題。

GeoUX™導入後

  • 3D地形データに基づく「歩きやすさマップ」をアプリ提供
  • 休憩スポットの最適配置(傾斜8%以上の坂道には30m間隔)
  • 伝統景観を損なわない最小限の手すり・スロープ設置提案
  • 混雑予測に基づく迂回路案内で回遊性20%向上

効果測定: 導入1年後、高齢観光客の滞在時間25%増加、観光消費額15%増加、転倒事故30%減少。

CLIMPACT™ユースケース:フィリピン・マニラ郊外

現状: 毎年の台風シーズンで橋が流出し、復旧に3〜6ヶ月要する。その間、集落が孤立し経済活動停滞。

CLIMPACT™導入後

  • 事前に3タイプの仮設橋モジュールを備蓄
  • 気象警報と連動した事前避難・対応計画自動生成
  • 災害発生から48時間以内に仮設橋設置完了
  • モジュールの90%を次回災害時に再利用

効果測定: 復旧コスト45%削減、経済損失60%減少、地域レジリエンス指標40%改善。

InfraCredit™ユースケース:東北の地方銀行

現状: 再エネ発電事業への融資審査に平均12週間を要し、地形・地質リスクの評価に一貫性がない。

InfraCredit™導入後

  • 立地条件の自動スコアリングで審査期間を4週間に短縮
  • 地形・災害リスクに応じた金利・担保条件の最適化
  • 持続可能性連動型ローン(Sustainability-Linked Loan)の自動設計

効果測定: 再エネ案件融資実行率35%向上、不良債権率12%低減、ESG投資アピールによる預金増加。

よくある質問(FAQ)

Q1: これらのサービスの初期投資規模はどれくらいですか?

A1: 各サービスの初期開発費用は以下の通りです:

  • GeoUX™:約1.5億円(API開発、3Dエンジン構築、初期データセット作成)
  • CLIMPACT™:約2億円(テンプレートライブラリ構築、素材DB開発、シミュレーションエンジン)
  • InfraCredit™:約1.8億円(リスクモデル開発、金融APIゲートウェイ、セキュリティ対応)

Q2: 既存の競合サービスとの差別化ポイントは?

A2: 主な差別化ポイントは以下の通りです:

  • 建設コンサルタントの暗黙知の組み込み:単なるデジタルツインやGISではなく、現場の専門家が持つ経験則や判断基準をアルゴリズム化
  • 日本特有の地形・災害条件への最適化:急峻な地形、多様な災害リスク、高齢化社会など日本の特殊性に対応
  • クロスドメイン連携:土木・都市計画・金融・防災などの領域を横断する統合ソリューション

Q3: これらのサービスを導入する際の主な障壁は?

A3: 主な導入障壁と対策は以下の通りです:

  • レガシーシステムとの統合:API中間層による段階的連携
  • 組織の縦割り構造:クロスファンクショナルチームの編成支援
  • 初期データ整備コスト:自治体保有データの無償活用協定、段階的データ拡充プラン

Q4: ROI(投資対効果)はどのように計算されますか?

A4: 各サービスのROI計算例:

  • GeoUX™:導入コスト2,000万円に対し、観光消費増+医療費削減で年間1億円の経済効果(ROI 500%)
  • CLIMPACT™:初期投資3,000万円、年間維持費500万円に対し、5年間で8億円の災害対応コスト削減(ROI 380%)
  • InfraCredit™:システム導入費5,000万円に対し、不良債権率15%低減で年間1.2億円改善(ROI 240%)

Q5: これらのサービスはどのような組織が導入すべきですか?

A5: 主なターゲット組織は以下の通りです:

  • GeoUX™:観光都市、高齢化率の高い自治体、バリアフリー推進都市
  • CLIMPACT™:災害リスクの高い自治体、インフラ管理企業、ODA実施機関
  • InfraCredit™:地方銀行、信用金庫、インフラ投資ファンド

まとめ:現場知性が創るEX(Experience Transformation)

AIが図面を最適化し、ロボットが現場を走り回る時代でも——段差でつまづく人の痛み、仮設橋が流される恐怖、投資判断で夜眠れない経営者の不安は残ります。建設コンサルタントの現場知は、こうした”身体性のあるペイン“を最短距離で可視化し、解消する武器です。

GeoUX™ / CLIMPACT™ / InfraCredit™ は、その知をAPI・BPaaS化し、日本発で世界へ輸出する新産業の道を示します。これらは単なるテクノロジーではなく、人々の体験(Experience)を根本から変革するためのプラットフォームです。

未来を創るためのこの壮大な実験は、あなたの街の段差を3Dスキャンすることから始まるかもしれません。建設コンサルタントの知見は、デジタル変革を通じて私たちの「当たり前」を再定義し、より快適で持続可能な社会への道を開きます。

参考文献・リンク

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