
この記事の結論
業種テンプレートを操業条件と月量で補正し、最大需要と実測30分値で順次置き換えます。
データの扱い:業種別ロードカーブは実測値の代用品ではありません。出典・母数・計算条件を追跡できない精密値は投資判断へ使わず、月量、最大需要、実測30分値で置き換えてください。
結論:業種別ロードカーブは実測値の代用品ではなく、データ不足時の初期仮説です。月別使用量と最大需要で整合を確認し、休業日、営業時間、主要設備を反映した後、最終投資判断前に実測30分値へ置き換えます。
目次
ロードカーブ解析は「推計→校正→実測」の順で強くする
月別使用量はロードカーブの面積を教えますが、形は教えません。同じ10万kWhでも、平日昼間に集中する工場、24時間動く冷凍倉庫、休日負荷が大きい店舗では、太陽光の自家消費率、蓄電池の必要出力、最大需要電力が異なります。

実測30分値がない場合は、業種別形状を答えではなく事前仮説として使います。稼働日、営業時間、休業日、基礎負荷、主要設備の運転時刻で重みを作り、月別請求量へ正規化します。結果には「Modelled/初回スクリーニング用」と表示します。
推計に使う入力の優先順位
- 月別使用量:12か月のエネルギー量。季節差と検針期間を確認
- 最大需要:請求書にある月別最大kW。仮想ピークの上限校正に使う
- 操業カレンダー:営業日、休日、シフト、長期停止
- 主要設備:空調、冷凍冷蔵、炉、コンプレッサ、厨房、給湯、EV充電
- 実測30分値:スマートメーター、電力会社CSV、BEMS
資源エネルギー庁のエネルギー消費統計やDECCは、業種・建物用途の傾向を確認する資料です。個社の30分値そのものではありません。対象年度、用途、母集団、単位を表示し、個別実績と混同しません。
推計式:形と量を分ける
30分電力量 e(m,t)
= 月間電力量 Em × 重み wt ÷ Σ月内重み wt
Σ月内 e(m,t) = Em
30分平均電力 kW
= 30分電力量 kWh ÷ 0.5時間
= 2 × 30分電力量 kWh
重みは業種テンプレートへ操業条件を加えた相対値です。月量へ正規化した後、月別最大需要と既知の設備容量で形を校正します。最大需要の請求上の扱いは契約区分で異なります。実量制では30分平均電力の最大値が契約電力へ影響するため、総kWhが合っていてもピーク時刻が誤れば料金効果を誤ります。
AI・統計モデルで補えること、補えないこと
| 補えること | 補えないこと |
|---|---|
| 類似日の分類、気温・曜日特徴、欠損候補、異常候補、複数仮説の生成 | 記録されていない休業、設備故障、工程変更を事実として確定 |
| 実測データがある場合の予測・外部検証 | 月別kWhだけから個社ピーク時刻を一意に復元 |
| MAE、MAPE等による誤差比較 | 対象期間・母数なしの「99%精度」 |
PCA、LSTM、勾配ブースティング等の手法名は、精度の証拠ではありません。対象データ、学習・検証期間、外部検証、評価指標、ベースラインを示せない精密値は削除します。
品質ゲートと、決めてよい範囲
| 品質 | データ | 主に決めてよいこと | まだ確定しないこと |
|---|---|---|---|
| E | 月別請求のみ | 規模感、追加データ依頼 | ピーク、蓄電池出力、保証 |
| D | 業種別形状 | 初回PV容量レンジ | 個社の時刻別効果 |
| C | 操業・休日補正 | 複数シナリオ比較 | 契約電力削減の確定 |
| B | 実測30分値 | 設備・運転案の精査 | 将来操業変化の保証 |
| A | BEMS・設備ログ突合 | 投資・運用・M&V設計 | 契約・施工等の別リスク |
監査チェック
- 365日17,520コマ。うるう年は17,568コマ
- 月別・年間kWhが請求書と一致
- 30分kWhと30分平均kWを混同しない
- 欠損、重複、負値、時刻ずれ、検針期間を確認
- 休日・長期停止・夜間設備と矛盾しない
- 最大需要を請求書またはBEMSと比較
- 予測誤差は指標、対象期間、外部検証を併記
- ModelledとMeasuredを列・凡例・レポートで区別
テンプレート、Biz、BPOの使い分け
ロードカーブExcelテンプレートは、実測がない初回案件の仮説づくりに使います。需要CSVが揃ったらエネがえるBizで、同じデータ・設備・料金条件から太陽光・蓄電池の経済効果を比較します。
文字コード、単位、30分/60分、欠損、複数月の連結が難しい場合は、BPOでデータ整形から診断・監査まで依頼できます。
FAQ
月別kWhからピークkWは計算できますか?
一意には計算できません。仮説値を作る場合は、月量、操業、既知最大需要、設備容量で制約し、実測へ置き換えます。
業種平均カーブは公的な標準値ですか?
出典・母集団が明示された統計は傾向把握に使えますが、個社の公的標準値ではありません。テンプレートは初回仮説として表示します。
推計精度は何%ですか?
データと評価設計なしに一つの精度は出せません。案件ごとに実測期間、MAE・MAPE等、外部検証、ピーク誤差を示します。
最終結論:ロードカーブ推計の品質は、アルゴリズム名ではなく、保存された月量、操業条件、最大需要、誤差表示、実測更新ルールで決まります。推計は判断の入口、実測は投資判断の根拠です。



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