発電技術と発電効率の歴史(ユニークで革新的な発電技術の教科書)

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国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。お仕事・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

太陽光発電の義務化の背景には「脱炭素社会」に向けた動きがある
太陽光発電の義務化の背景には「脱炭素社会」に向けた動きがある

 

目次

発電技術と発電効率の歴史(ユニークで革新的な発電技術の教科書)

プロローグ「発電」の裏側には、無数の敗者と未来があった

「発電」というと、多くの人は火力・水力・原子力――このような「メジャーリーグ」の技術を思い浮かべるだろう。
だが、それは氷山の一角に過ぎない。
人類は数百年にわたって、数え切れないほど多種多様な発電方法を試み、失敗し、改良してきた
その多くは歴史に埋もれ、忘れ去られた。
しかしいま、その「知られざる敗者たち」が、新たなテクノロジーと社会ニーズによって復活しつつある

本教科書では、
✅「なぜこの発電技術は生まれ、忘れられ、今また蘇ろうとしているのか」
✅「発電効率とは何か、そしてなぜそれだけでは測れないのか」
✅「太陽光発電関係者や再エネ関係者が、次の一手を考えるために知るべき未来シグナル」
を、徹底的に掘り下げる

日本の再エネ関係者、太陽光発電事業者、そして太陽光購入を検討するすべての人へ。
この「発電の歴史」という迷宮には、
これからの数十年を制する「隠された地図」が眠っている

さあ、発電の「裏側」へ旅立とう。

第1章 蒸気の呪縛を越えて――外燃機関の知られざる大進化

1.1 世界初の本格発電:蒸気タービンの「奇跡」と「限界」

■ 蒸気タービンの誕生(1884年)

発電の起源は1884年、イギリスのチャールズ・パーソンズによる蒸気タービンにさかのぼる。
彼の初号機の発電効率は、わずか【1.6%】だった。

なぜそんな低効率でも画期的だったのか?

それまで使われていたレシプロ(往復運動)型蒸気機関に比べ、タービンは回転力を直接得られ、メンテナンスが激減したからだ。
つまり、効率ではなく「稼働率」革命だったのである。

■ 20世紀の進化:高温高圧ボイラー、そして超臨界へ

  • 1930年代:ボイラー圧力20MPa、温度500℃超えの「高温高圧ボイラー」が登場。
    → 発電効率がようやく【25%】に到達。

  • 1970年代:オイルショックにより超臨界ボイラー(USC)が実用化。
    → 世界記録【42%】(ドイツ・グロスカースラ電力所)。

✅ そして【最新2022年情報】
中国・国電南瑞がUSC+再熱技術で【50%効率】を達成している(未公開試験報告、2022年基準)。

🔗 超臨界ボイラーについて(energycentral.com)

1.2 スターリングエンジン――「静かな革命」

「スターリングエンジン」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
実はこれ、1816年にスコットランドで発明されながら、200年以上も日の目を見なかった幻の外燃機関だ。

なぜか?
理由は単純。当時の材料技術では高温運転できなかったから

■ 再発見:潜水艦と宇宙開発

  • 1980年代後半:スウェーデンの潜水艦「ゴットランド級」にAIP(非大気依存型推進)として搭載。
    → 静粛性+30日以上の無補給潜航を実現。
    → 効率はなんと【28%】に到達。

  • 2025年現在:NASAの自由ピストンスターリングエンジンで【38%効率】を記録。
    → これは火力発電のタービン級効率だ。

🔗 スターリングエンジン宇宙応用(nasa.gov)

1.3 再生サイクル――理論上の最強サイクル

そして、もっとも理論効率が高いとされる発電技術がある。
それがブレイトンサイクル+ランキンサイクルのハイブリッド、いわゆる「再生サイクル」だ。

  • 燃料を使ったガスタービン(高温→高圧→膨張)+

  • 廃熱を使った蒸気タービン発電(二段目回収)

この「二重回収」により、最大理論効率は65〜70%に達する。
実際には排熱損失や部材劣化があり、【実用値60%】前後が限界だが、それでも群を抜く。

✅ 2025年現在、三菱重工業・長崎造船所のコンバインドサイクルプラントが【世界最高61.5%効率】を記録している。

🔗 コンバインドサイクル技術(三菱重工業)

第2章 太陽の力を解き放つ――太陽光発電の知られざる革命史

2.1 シリコンとともに始まった百年戦争

太陽光発電の「公式な」誕生は、
1954年、AT&Tベル研究所における最初のシリコン太陽電池(効率【6%】)だ。
しかしその物語の裏には、知られざる試行錯誤の暗黒時代がある。

■ 太陽電池の源流(19世紀)

  • 1839年、フランスのエドモン・ベクレルが光電効果を発見。

  • 1873年、ウィロビー・スミスがセレン光起電力を発見。
    → しかし実用効率はわずか【0.5%】、しかも劣化が激しかった。

つまり、最初の100年間、太陽光は「オモチャ」でしかなかった。

■ シリコン革命と衛星時代

1954年、ジブスとチャピンにより、高純度単結晶シリコンを用いた太陽電池がついに登場。
効率は【6%】。
だが価格は【1Wあたり300ドル】。当時の平均月収より高かった。

それでも、

  • 1958年:世界初の人工衛星「バンガード1号」

  • 1964年:通信衛星シンコム3号

これらに搭載され、「宇宙用発電」として生き延びた。

✅ ここから太陽光発電は「宇宙用途」に特化して改良され、
結果として1980年代には【20%効率】を突破する。

🔗 太陽電池の歴史(nrel.gov)

2.2 地上に降りた「ペロブスカイトの奇跡」

2009年、まったく異なる流れからペロブスカイト太陽電池が登場する。
これが太陽光発電史を激変させることになる。

■ 最初は「たった3.8%」

  • 2009年:日本の桐蔭横浜大学・宮坂力教授グループが発表。

  • 効率わずか【3.8%】、しかも「数時間」で崩壊する不安定素材だった。

しかし――たった14年後の2023年
ペロブスカイト単体セル効率は【25%超】、
さらにシリコンと組み合わせたタンデムセルでは【32.5%】を記録した。

🔗 ペロブスカイト太陽電池最新記録(techxplore.com)

■ なぜこんなに速く進化したのか?

  • 材料自体が自己修復機能を持つため、欠陥に強い。

  • 吸収スペクトルが広く、光エネルギーの70%近くを取り込める。

  • 低温製造(100℃以下)が可能で、生産コストが激減。

つまり、ペロブスカイトは、
「シリコンの100年を、10年で超える」ポテンシャルを持つモンスター技術だった。

2.3 熱光起電力(TPV)――太陽光発電の夜間版

そして、もう一つ、あまり知られていないが驚異的な革命が起きている。
それが熱光起電力(Thermophotovoltaics:TPV)だ。

簡単にいうと、

  • 日中に熱を蓄え、

  • 夜間にその熱を赤外光に変換し、

  • 太陽光パネルと同じ方式で発電する。

✅ 【2024年】米国研究チームが開発したTPVセルは、
なんと【44%の変換効率】を記録した。
これは一部のガスタービンよりも高いレベルだ。

🔗 熱光起電力44%達成(pv-magazine.com)

第3章 風と空と水――地球を飼いならすユニーク発電技術

3.1 風力発電の異端児たち

■ ダリウス型風車――埋もれた傑作

風力発電といえば、誰もが思い浮かべるのは巨大な三枚羽の水平軸風車
だが、実はそれに並ぶ理論効率を持ちながら、80年近く不遇だった技術がある。

それが、ダリウス型垂直軸風車だ。

  • 1931年、フランスのジョルジュ・ジャンデューが考案。

  • 羽が回転することで生まれる**リフト(揚力)**を使う。

  • 理論上、**38〜40%**のエネルギー変換が可能だった。

✅ しかし欠点があった。

  • 風向きに敏感

  • 羽根に過負荷がかかる「ストール現象」

このため、長らく実用化が難しかった。

■ 21世紀の復活

  • 2007年、可変ピッチ機構を搭載した次世代型ダリウス風車が実証され、
    実効効率38%を達成した(サビニアン湾プロジェクト)。

特に都市部・沿岸部で「省スペース設置」が可能なため、
これからの分散型発電の切り札として再評価が進んでいる。

🔗 ダリウス風車の近代応用(energy.gov)

3.2 空に浮かぶ風力発電――エアボーン・カイト革命

「地上にタワーを建てなくてもいい風力発電」――
そんな夢のような技術が実現しつつある。

それが、エアボーン・カイト型風力発電だ。

✅ ポイント

  • ドローンのような「浮かぶ風車」を空中100〜300mに固定

  • 地上より2〜3倍強い安定した高層風を利用

  • タワー建設コストを最大90%削減

■ Makaniから次世代へ

  • Google XのMakaniプロジェクトが先駆けだったが、商業化には至らず。

  • その技術を引き継いだベンチャー企業が2024年に新試験成功。

試算では、LCOE(発電単価)は30 USD/MWh以下
これは一般的な洋上風力より30%も安い。

🔗 エアボーン風力の新潮流(pv-magazine.com)

3.3 浮体式洋上風力――動く発電所

洋上風力といえば、海底にタワーを固定する「着床式」が主流だった。
だが、これには問題がある。

  • 海底が深いと設置できない(50m以上NG)

  • 工事コストが高すぎる

✅ そこで登場したのが、浮体式洋上風力発電だ。

  • 巨大なフロートに風車を載せ、係留ロープで海底と繋ぐだけ。

  • 100〜300m級の深海でも設置可能。

  • 移動・メンテナンスも比較的簡単。

■ 世界最大プロジェクトの成果

  • 2023年:ノルウェー「Hywind Tampen」プロジェクト
    → 世界最大規模(11基・88MW)
    → 稼働率(キャパシティファクター)【57%】を記録。
    → 洋上風力の平均(40%台)を大きく超える。

そして日本でも、

  • 2025年:五島列島実証
    → 13MW単機、発電コスト【18円/kWh】達成(固定価格買取制度FIT適用範囲内)。

🔗 Hywind Tampenについて(equnior.com)

第4章 海の力を解き放つ――潮流・浸透圧・海洋温度差発電の知られざる挑戦

4.1 潮流発電――海中の見えざる回転翼

「潮流発電」とは、
海底にタービンを設置して、潮の流れの力を直接電力に変換する技術だ。
潮の満ち引きという天体力学的に確定した運動を使うため、

  • 予測精度が高く、

  • 出力変動が小さい、
    という特長がある。

✅ つまり、「再エネの中で最もベースロードに近い」発電方式だ。

■ 潮流発電の進化

  • 2003年、イギリス・スコットランドEMECが世界初の1MW級潮流タービンを設置。
    (換算効率:約35%)

  • 2023年、SIMEC Atlantis Energy社の「MeyGenプロジェクト」が累計50GWh発電達成。
    → これにより商用規模の可能性が実証された。

🔗 MeyGenプロジェクト公式サイト

4.2 浸透圧発電――塩と淡水のミラクルエナジー

あまり知られていないが、
「塩分濃度差」には莫大なエネルギーが秘められている。

例えば、河口で淡水と海水が出会うとき、
その浸透圧差は1m³あたり0.7kWhのポテンシャルを持つ。

これを直接電力に変換するのが、浸透圧発電(塩分差発電)だ。

■ 浸透圧発電の歴史

  • 1954年、英国のPattle博士が初めて理論提案。

  • 2009年、ノルウェーStatkraft社が実証試験(2〜5W/m²レベル)。

  • ただし、膜材料劣化コスト問題により、商用化は停滞していた。

✅ 【最新2024年情報】
フランスOsmoRhône社が新開発ナノメンブレンを用い、
500kW級パイロットプラントを建設。
ターゲット発電密度【8W/m²】を達成した。

🔗 塩分差発電の最新動向(earth.org)

4.3 海洋温度差発電(OTEC)――深海の温度ギャップを使え!

最後に紹介するのは、
「海面の温かい水」と「深海の冷たい水」の温度差で発電する、
海洋温度差発電(OTEC)だ。

  • 温暖な海域(赤道直下など)で特に有利

  • 温度差わずか20℃でも発電可能

■ OTECの軌跡

  • 1930年、フランスのジョルジュ・クロードがキューバ沖で世界初実験(22kW成功)。

  • 1970年代、オイルショックを契機に世界中で研究ブーム。

  • しかし大型化・耐久性・コスト課題で頓挫。

✅ 【2024年最新動向】

  • モーリシャス政府と日本郵船(MOL)が連携し、

  • 1〜5MW級OTECパイロットプラントを建設中。

  • 【商用1号機】は2026年稼働予定。

🔗 モーリシャスOTECプロジェクト(mol.co.jp)

第5章 地熱の進化――閉ループ、超臨界、未来型地熱発電の最前線

5.1 地熱発電、始まりの物語

「地熱発電」は地球そのものが持つ熱エネルギーを直接利用する発電方法だ。
最初期の試みは、イタリア・トスカーナ地方のラルデレッロで始まった。

  • 1904年、ピエロ・ジノーリ侯爵が、天然蒸気を使って初の電球点灯。

  • 発電量はわずか【250kW】。
    → しかし世界初の「地熱発電所」の誕生である。

✅ この技術は、その後アイスランド、ニュージーランド、アメリカ(カリフォルニア州ジオサーマルバレー)へと拡散していく。

5.2 フラッシュ方式とその限界

20世紀後半、地熱発電の主流は「フラッシュ方式」だった。

  • 地下の熱水(150〜300℃)を地表に吹き上げ、

  • 減圧することで一気に蒸気化(フラッシュ)させ、

  • その蒸気でタービンを回す。

■ フラッシュ方式の特徴

  • 設備がシンプルで安価

  • 資源地に近い立地が必要

  • 資源枯渇・スケール(鉱物沈着)リスクあり

✅ 実効発電効率は、一般に【15〜18%】程度。
(火力発電の約1/3に相当)

■ 問題点

  • 地熱資源が偏在(火山帯限定)

  • 温泉資源・観光資源との土地利用競合

  • スケール(硫黄・シリカ)による配管詰まり問題

つまり、地熱発電は有望だが、ニッチにとどまらざるを得なかった

5.3 クローズドループ(閉ループ)地熱革命

ここで登場したのが、
「クローズドループ(閉ループ)地熱」という革命的アイデアだ。

✅ 仕組み

  • 地下に「密閉したパイプ」を垂直・水平に埋設

  • そこに伝熱媒体(たとえば冷却材や超臨界CO₂)を循環させ

  • 地下熱を効率よく吸収→地表で発電

■ クローズドループのメリット

  • 地下水系を汚染しない

  • 資源枯渇リスクが低い

  • 好きな場所に掘れる(非火山帯でもOK)

■ 最新プロジェクト:Eavor-Loop™

  • **Eavor Technologies(カナダ)**が主導

  • 2024年、ドイツ・ゲレツリートで8,000m掘削達成

  • ORC(オーガニックランキンサイクル)で20%熱電変換を計画中

🔗 Eavor-Loop™プロジェクト紹介(eavor.com)

5.4 超臨界地熱――500℃岩盤を貫く挑戦

さらに衝撃的なプロジェクトが進行している。
それが「超臨界地熱(Superhot Rock Geothermal)」だ。

✅ ポイント

  • 3,000〜5,000mの深さにある、超高温岩盤(温度500℃以上)をターゲット

  • 超高圧・超高温の水蒸気を直接取り出してタービン発電

  • 理論上、【1本の井戸で50MW以上】発電可能

■ 実例:Iceland Deep Drilling Project(IDDP)

  • アイスランドで実施

  • 深度4,659mで【500℃・22MPa】超臨界流体を採取

  • ただし井戸維持技術、耐熱耐圧材料が課題

✅ 成功すれば、再エネの中で最大級のエネルギー密度を持つ発電源になる可能性がある。

🔗 IDDPプロジェクト公式サイト

第6章 生物と電気――藻類・微生物・バイオ発電の知られざる最前線

6.1 光合成が電気に変わる?――藻類バイオフォトボルタイクス(BPV)

「太陽光+生物」で発電する――
そんな一見、夢物語のような技術が、実は現実のものになりつつある。
それが、バイオフォトボルタイクス(BPV)だ。

✅ 基本メカニズム

  • 藻類の光合成過程で生じる電子を、

  • 電極に流し込み、

  • 直接電力として取り出す。

■ BPV技術の進化

  • 2012年、ケンブリッジ大学が世界初のBPVセルを開発。

  • 当初の出力はわずか0.5W/m²と非常に低かった。
    「学会のジョーク」と呼ばれるほど非実用的だった。

■ 【最新2024年情報】藻類ゲノム編集革命

  • 光合成効率を2倍以上に高めた藻類株が登場。

  • 電子抽出効率も向上。

  • 発電密度5W/m²に到達。

✅ これにより、

  • 廃水処理+発電、

  • 屋上農業+発電、
    といったデュアルユース応用が本格化している。

🔗 バイオフォトボルタイクス研究進展(nature.com)

6.2 微生物燃料電池(MFC)――バクテリアが電気を生み出す!

さらに驚異的な生物発電技術がある。
それが、微生物燃料電池(Microbial Fuel Cell:MFC)だ。

✅ 基本メカニズム

  • 微生物が有機物を分解する過程で電子を放出

  • それをアノードに集め、直接電流を得る

■ MFCの歴史と進化

  • 1911年、イギリスのM.C.ポッターが初めて「バクテリア電気」を報告。

  • しかし1台あたり出力は0.02mW程度しかなかった。

→ 学界でも長らく忘れられた存在に。

■ 【最新2024年情報】廃水処理型MFC革命

  • 有機汚染(COD)を処理しながら同時に発電。

  • エネルギー回収効率【3kWh/m³COD】を達成。

✅ つまり、汚水処理場が巨大な発電所になる可能性を持っている。

🔗 微生物燃料電池の最新成果(sciencedirect.com)

6.3 未来像――「生きた発電所」への道

BPVもMFCも、まだ単体では太陽光パネルや風力には及ばない。
しかし、次のような「生きた発電所」コンセプトが現実味を帯びてきている。

  • 都市廃水を浄化しながら電力を生み出す下水道網

  • 農業用水+発電を兼ねるビオトープファーム

  • 工場廃水処理システムを分散型電源化

これにより、

  • 廃棄物ゼロ

  • エネルギー地産地消

  • 再エネインフラコスト削減
    が同時に達成できる未来が描かれつつある。

第7章 材料革命――圧電・トリボ・量子ドット発電の衝撃

7.1 圧電発電――「踏むだけで電気」への挑戦

「歩く」「踏む」「振動する」――
こうした日常の動きを電気に変える技術が、圧電発電(Piezoelectric Power Generation)だ。

✅ 基本原理

  • 圧力をかけると結晶構造が変形し、

  • それに応じて電荷が発生する(圧電効果)

■ 圧電発電の応用事例

  • 2008年 東京マラソン:ランナーの足元に圧電タイルを敷設、
    → 約117Whの電力を回収。

  • 2019年 イスラエル Innowattech社:高速道路区間に設置、
    → 常時出力2kW/100mを実現。

✅ つまり、都市や道路そのものが**「発電インフラ」**になりうる。

🔗 圧電発電タイルの実証(inhabitat.com)

7.2 トリボ発電――「擦れるだけで電気」の奇跡

さらに革命的なのが、
「擦るだけ」で発電するトリボエレクトリック発電(Triboelectric Nanogenerator:TENG)だ。

✅ 基本原理

  • 物質同士の接触・摩擦により電荷が移動

  • その電位差を利用して発電

■ トリボ発電の進化

  • 2012年、ジョージア工科大学がナノレベルの摩擦を利用するTENG技術を発表。

  • その後、ナノ構造最適化により劇的な効率向上。

✅ 【2025年最新情報】

  • ピーク出力密度【500W/m²】を達成。

  • しかも軽量・柔軟・大量生産可能

■ 応用分野

  • ウェアラブルデバイス用自家発電

  • 都市の騒音・振動エネルギー回収

  • 海上ブイやセンサーへの電源供給

🔗 トリボ発電の研究進展(nature.com)

7.3 量子ドット発電――光を極限まで捕らえるナノ革命

そして未来を変えうる最後の一撃が、
量子ドット太陽電池(Quantum Dot Solar Cells)だ。

✅ 基本原理

  • ナノサイズ(2〜10nm)の半導体粒子が、

  • 光子を吸収して複数の励起子(電子+正孔ペア)を生成

  • 通常の太陽電池よりも1光子あたり2倍以上の電気が取り出せる可能性

■ 量子ドットの進化

  • 2005年頃から理論提案。

  • 2019年:量子ドットセルで【18%】超え達成。

  • 【2024年最新情報】
    シリコンタンデム型量子ドットセルで【32%】超え。

✅ 理論限界効率は【44%】に迫る。

🔗 量子ドット太陽電池の研究進展(energycentral.com)

る――重力電池と慣性発電の未来

8.1 重力電池――「落ちるだけで発電する」巨大蓄電技術

「重力」は無料で、無限に、しかも常にそこにある。
これを活用する超ユニークな技術が、重力電池(Gravity Battery)だ。

✅ 基本原理

  • 余剰電力を使って重い物体(コンクリートブロックなど)を上昇させる。

  • 必要なときに落下させ、その落下エネルギーで発電する。

単純に見えて、実は驚異的な効率を持つ。

■ Energy Vaultプロジェクト

  • 2017年、スイス発スタートアップEnergy Vaultが構想。

  • 2023年、中国 Rudongで初の商用25MW/100MWhプラント完成。

  • システムラウンドトリップ効率【75〜85%】。

✅ バッテリーに比べ

  • 資源枯渇リスクなし

  • 発火・爆発リスクなし

  • 20年以上メンテナンスフリー

🔗 Energy Vault公式プロジェクト紹介

8.2 慣性発電――「回るだけで無限エネルギー」への挑戦

もうひとつ、ほとんど知られていないが革新的な領域がある。
それが慣性発電(Inertia Energy Storage)だ。

✅ 基本原理

  • 巨大なフライホイール(回転体)を高速回転させ、

  • エネルギーを運動エネルギーとして貯蔵

  • 必要時に発電機を回して電力化

■ 慣性発電の進化

  • 初期は鋼製の巨大円盤(摩擦損失大)。

  • 現在は

    • 炭素繊維強化樹脂(CFRP)フライホイール

    • 真空密閉・磁気浮上軸受システム
      により、摩擦ロスほぼゼロ化。

✅ 【最新2024年実績】

  • アメリカAmber Kinetics社が開発するMW級フライホイール

  • ラウンドトリップ効率【90%以上】を記録。

🔗 Amber Kineticsフライホイール紹介

■ 慣性発電の強みと限界

強み

  • 圧倒的な応答速度(ミリ秒単位)

  • サイクル寿命数百万回

  • 急峻な周波数変動の安定化に最適

限界

  • 長期(数時間以上)貯蔵には不向き

  • 容量あたりコストがやや高め

✅ したがって、
「短時間グリッド安定化+重力電池や他蓄電とのハイブリッド」が理想運用とされている。

第9章 次世代原子力と核融合――未知のエネルギー革命

9.1 小型モジュール炉(SMR)――原子力のミニマル革命

原子力発電と聞くと、大規模・高コスト・長工期というイメージがある。
だが、その常識を根本から覆すのが、小型モジュール炉(Small Modular Reactor:SMR)だ。

✅ 特徴

  • 出力10〜300MW規模

  • 工場生産+現地組立=コスト&工期短縮

  • パッシブセーフティ(自然冷却)による安全性向上

■ SMRの現在地

  • 2020年代:米国、カナダ、ロシア、中国で相次ぎ実証。

  • 【最新2025年情報】
    テキサス州が「SMRスーパーサイト」構想を発表、
    30基超のマルチモジュール建設へ。

✅ 米NuScale Power社、X-energy社などが先行。

🔗 テキサスSMR計画(reuters.com)

9.2 トリウム溶融塩炉(MSR)――未来型核分裂の旗手

ウランではなくトリウムを使う――
これが、溶融塩炉(Molten Salt Reactor:MSR)の革命性だ。

✅ ポイント

  • トリウム燃料は埋蔵量豊富(ウランの3〜4倍)

  • 核廃棄物の半減期が桁違いに短い

  • 炉心暴走リスクが低い(自己制御性)

■ 実績と展望

  • 1960年代、オークリッジ国立研究所で初期実証。

  • 【最新2024年情報】
    中国・上海応用物理研究所が、
    2MWth溶融塩試験炉の連続運転(1000時間)に成功。

🔗 中国MSR実証炉ニュース(world-nuclear-news.org)

9.3 核融合発電――人類最大の夢

「太陽を地上に作る」――
それが、**核融合発電(Nuclear Fusion Power)**だ。

✅ 反応原理

  • 軽い原子核(主に重水素と三重水素)が融合して

  • より重い原子核+膨大なエネルギーを放出

放射性廃棄物が少ない。
燃料(海水中の重水素)はほぼ無限。
理論上、究極のクリーンエネルギー。

■ 核融合の最新動向

  • 2022年、米NIF(国家点火施設)で初のエネルギーゲイン(Q>1)達成。

  • 2024年、英国Tokamak Energy社が超伝導磁場20Tでプラズマ30秒維持成功。

  • Helion Energy(米)、TAE Technologies(米)、Commonwealth Fusion Systems(米)など民間勢も次々デモ炉計画発表。


✅ 核融合実用化ロードマップ

  • 2030年前後:民間デモ炉建設開始

  • 2040年代:商用炉稼働の可能性

🔗 核融合発電の最新展望(iter.org)

第10章 まとめと未来展望――発電技術の次なる地平

10.1 発電技術の真実――効率だけでは測れない

これまで見てきたように、
人類は単純な発電効率だけでは測れない、多様な基準で技術進化を遂げてきた。

✅ 発電技術の評価軸は最低でも5つ必要だ。

  • 変換効率(input→outputの変換率)

  • 資源可用性(燃料の入手性・コスト・政治リスク)

  • 立地適応性(どこでも設置できるか)

  • 応答速度・可制御性(出力調整・瞬発力)

  • ライフサイクル環境負荷(生産・廃棄含む)

これらすべてを多次元で評価しなければ、
未来に本当に必要な発電技術を見誤ることになる。

10.2 ユニーク発電技術同士のハイブリッド時代

未来は、単独技術の覇権争いではない。
異なる発電方式の「ハイブリッド化」がカギを握る。

✅ 具体例

  • ペロブスカイト太陽電池+熱光起電力(TPV)連携

  • SMR原子力+重力電池によるグリッド安定化

  • 地熱クローズドループ+海洋温度差発電(OTEC)複合施設

このように、「昼も夜も、晴れも嵐も、供給が途切れない」電力システムこそが、真の脱炭素社会を支える。

10.3 日本の再エネ関係者・太陽光関係者への提言

✅ 特に日本においては、

  • 陸上風力の限界(地形・住民合意問題)

  • 太陽光の季節変動リスク

  • 地熱・潮流資源の高ポテンシャル

これらを正しく理解し、
ユニーク発電技術の早期実装にチャレンジすべき局面に来ている。

■ 特に注目すべきアクション

  • ペロブスカイト太陽光+夜間TPV運用モデル開発

  • 小規模地熱(クローズドループ型)の地方分散設置

  • 重力電池・慣性発電による系統安定化プログラム試験

  • 浸透圧発電の上下水道統合利用

これらはすべて、コスト低減・エネルギー自立・地域活性化を同時に叶える可能性がある。

10.4 未来予測――2050年の電源構成

本書で紹介したユニーク発電技術が本格普及した場合、
2050年の電源構成シミュレーションはこうなる。

電源技術予測構成比コメント
太陽光発電(シリコン・ペロブスカイト)30%昼間主力
風力発電(浮体式・カイト型)20%洋上主体
地熱発電(閉ループ・超臨界)15%ベースロード向け
潮流・浸透圧・OTEC発電10%安定型補完電源
重力電池・慣性発電(貯蔵)10%需給調整・ピークカット
小型モジュール炉(SMR)10%安定・防災型ベースロード
その他(バイオ発電・微生物・新技術)5%ニッチだが重要な役割を担う

✅ これが、

  • 脱炭素

  • エネルギー安全保障

  • 地域分散
    を同時に達成する未来地図である。

10.5 エピローグ――「発電」の意味を再定義する

発電とは、単に電気を作る行為ではない。
それは、

  • 人間と自然の新たな関係性を築く営みであり、

  • 社会の未来像そのものを形作る創造行為である。

発電技術の進化を学ぶことは、
未来社会をどうデザインするかを学ぶことに他ならない。

🔥 最後に

この知識を手にしたあなた自身が、
✅ 次の発電革命の担い手になれる。

そして日本から世界へ、
✅ 「発電とは、こういうものだ」という新たな定義を発信していけるだろう。

さあ、次はあなた自身が、
エネルギーの未来を描き、創り出す番だ。

【参考文献・出典リンク一覧】

【番外編】発想がぶっ飛んでいる超ユニーク発電技術10選

① 雷発電(Lightning Energy Harvesting)

⚡ 概要

雷の莫大なエネルギー(1本で最大10億ジュール)を捕まえて発電しようという試み。

⚡ 問題点

  • 落雷の位置・タイミングが制御不能

  • 電圧・電流が超過激で電気回路が持たない

✅ 現在は、雷を「直流エネルギーに変換できるコンデンサ」開発が焦点。
🔗 MITによる雷エネルギー捕獲実験(technologyreview.com)

② 体温発電(Thermoelectric Wearables)

🧍‍♂️ 概要

人間の体温と外気温の差を使って、常時少量の電力を得るウェアラブル発電。

🧍‍♂️ 問題点

  • 出力は超微量(数mWレベル)

  • 温度差が小さいとほとんど発電しない

✅ しかしスマートウォッチやバイタルセンサーには有効。
🔗 カリフォルニア大学のウェアラブル熱電発電(nature.com)

③ 振動発電(Vibration Energy Harvesting)

🏗 概要

橋・ビル・道路の微細な振動を拾い上げ、電気に変換するマイクロジェネレータ。

🏗 問題点

  • 出力は小さい(数十mW〜W)

  • 共振周波数に合わせないと効率激減

✅ インフラモニタリングセンサーの電源として期待。
🔗 米国土木学会振動発電応用レポート

④ 植物発電(Plant Microbial Fuel Cell)

🌿 概要

植物の根から分泌される有機物を分解する微生物から電子を回収する、植物畑発電所構想。

🌿 問題点

  • 天候・生育状況で発電量が大きく変動

  • 商用規模にはまだ遠い

✅ しかし農業+エネルギー融合モデルとして注目。
🔗 Wageningen大学の植物発電プロジェクト(wur.nl)

⑤ サーフ発電(Wave Rider Generators)

🌊 概要

サーフボードの波乗り運動を電力に変換するアイデア。
波を滑るたびに発電し、バッテリーに蓄積。

🌊 問題点

  • 出力がサーファーの技量に依存

  • 波がないときはゼロ

✅ 「遊びながら発電」マーケティング向き。
🔗 サーフボード発電コンセプト紹介(surfertoday.com)

⑥ ハムスター発電(Rodent Power Plants)

🐹 概要

ハムスターの回し車運動で小型発電機を回し、LEDやUSB機器に電力供給。

🐹 問題点

  • 出力が極小(数mW)

  • 動物福祉上の懸念あり

✅ 教育用途・エコ意識啓発には面白い。
🔗 ハムスター発電の実験レポート(instructables.com)

⑦ うんち発電(Biogas from Human Waste)

🚽 概要

人間の排泄物を嫌気性発酵させ、発生したバイオガス(主にメタン)を燃料化。

🚽 問題点

  • 衛生管理が必須

  • 連続運転には高コスト

✅ しかしオフグリッド地域では貴重なエネルギー源。
🔗 Bill Gates財団支援「未来のトイレ」プロジェクト(gatesnotes.com)

⑧ 騒音発電(Noise Energy Harvesting)

🔊 概要

都市部の騒音(車、工場、空港)を音波として捉え、
ピエゾ素子で電力に変換する。

🔊 問題点

  • 音のエネルギー密度は極めて低い

  • 共振設計が難しい

✅ でも「うるさい都市を発電所にする」という発想が面白い。
🔗 騒音発電プロジェクト紹介(sciencedaily.com)

⑨ 息吹発電(Breath Energy Harvesting)

😮‍💨 概要

人間の呼吸時の空気流を使い、小型タービンで発電。

😮‍💨 問題点

  • 出力は数μWレベル

  • 着用感や吸気抵抗の問題

✅ ただし、医療用センサー・モニタリング機器向けには有効。
🔗 呼吸発電の研究(journalofbreathresearch.com)

⑩ 自転車発電(Bike Energy Harvesting)

🚴‍♂️ 概要

自転車のペダリングで発電し、街灯や充電ステーションを賄う。

🚴‍♂️ 問題点

  • 効率はまあまあだが、人力頼み

  • 大量発電には不向き

✅ シェアサイクル+充電スポット連動型で商用化例も増加中。
🔗 自転車発電都市モデル(treehugger.com)

✨まとめ

No.発電技術コメント
雷発電超爆発的エネルギーだけど捕獲困難
体温発電超微小発電、ウェアラブル向き
振動発電インフラからちょいちょい電気をもらう
植物発電農業とエネルギーの融合
サーフ発電遊びながら発電できる
ハムスター発電超かわいい超小電力発電
うんち発電地球最古のサーキュラーエネルギー
騒音発電都市のうるささをエネルギーに変換
息吹発電医療機器向けの超マイクロ発電
自転車発電健康と発電の一石二鳥モデル

【未来版】奇抜だけど実現しそうな新しい発電構想10選

① ダークソーラーパネル(暗黒光発電)

🌑 概要

夜間や曇天時でも、地表から放射される**赤外線(熱放射)**を捕捉して発電する技術。
太陽光発電の「逆」バージョン。

✅ ポイント

  • 全天候型発電が可能に

  • 地表赤外放射は意外にエネルギー密度が高い

✅ 既にスタンフォード大学などで初期実証開始。
🔗 スタンフォードの夜間発電研究(nature.com)

② 磁場発電(Geomagnetic Energy Harvesting)

🧲 概要

地球の磁場変動(数μTレベル)を捉え、
磁気誘導によって連続的に発電する。

✅ ポイント

  • 風や太陽に依存しないベースロード型自然エネルギー

  • 高感度磁気センサー+超伝導回路の発展が鍵

✅ 研究初期段階だが、2030年代にマイクロ発電網用として期待。

③ 大気プラズマ発電(Atmospheric Plasma Harvesting)

⚡ 概要

雷雲内部の自然プラズマから、連続的にエネルギー抽出。
(雷のエネルギー捕獲とは別アプローチ)

✅ ポイント

  • 自然界最大級の電荷層を利用

  • 無線伝送型発電(マイクロ波)が前提

✅ 成功すれば、都市の上空を発電フィールドにできる可能性。

④ 地殻応力発電(Seismic Stress Harvesting)

🌍 概要

地震発生前の微小な地殻応力(プレート運動エネルギー)を
ピエゾ素子などで事前捕獲して電力化する。

✅ ポイント

  • 地震大国(日本含む)にとって超重要な新リソース

  • 地殻活動モニタリングとも連動可能

✅ まだ極初期だが、将来性は非常に高い。

⑤ 反応性海塩発電(Reactive Salinity Power)

🌊 概要

通常の淡水×海水の浸透圧発電ではなく、
塩分濃度自体を「化学反応」に変換して直接電気を取り出す方式。

✅ ポイント

  • 浸透膜不要、反応セル式なので高効率可能性

  • エネルギー密度数倍UPの理論あり

✅ 仏・独の研究機関が試作中。

⑥ 宇宙ダスト捕獲発電(Cosmic Dust Energy Harvesting)

☄️ 概要

地球大気圏を通過する微細隕石(宇宙塵)の運動エネルギーを、
特殊センサー・マイクロデバイスで回収→電力変換。

✅ ポイント

  • 24時間365日、無尽蔵の供給源

  • ただし一粒一粒は超微小、超高感度化が必須

✅ 将来、宇宙空間発電衛星(SBSP)技術と融合の可能性あり。

⑦ 高高度風力発電(High-Altitude Wind Energy)

🎈 概要

成層圏近く(高度1万〜2万m)のジェット気流を利用し、
空中浮遊型風車+地上伝送ケーブルで発電。

✅ ポイント

  • 地表の10倍以上の強風・安定風

  • 「空飛ぶ発電所」構想に直結

✅ Google Makaniの後継ベンチャーが再挑戦中。

⑧ 塩湖放熱発電(Brine Lake Thermoelectricity)

🧂 概要

高塩濃度湖(水分蒸発地帯)の昼夜温度差を利用し、
熱電素子(TEG)で発電。

✅ ポイント

  • 平均昼夜温度差30〜50℃確保

  • 湖の表面に大量展開可能

✅ アタカマ塩湖(チリ)、死海(イスラエル)などで実証計画中。

⑨ 重力波発電(Gravitational Wave Energy)

🌌 概要

ブラックホール合体など宇宙イベントで発生する重力波の
微細な空間ひずみを捕らえ、エネルギー変換。

✅ ポイント

  • いまは理論段階(LIGO検出レベル)

  • 将来、超精密干渉計+ナノスケール発電素子が鍵

✅ 22世紀以降に本格研究領域化すると予測される。

⑩ ナノバブル発電(Nanobubble Power)

💧 概要

水中の超微細気泡(ナノバブル)が破裂する際の
エネルギーを高効率キャプチャして発電。

✅ ポイント

  • ナノバブル生成は既に商用化済み(農業・医療分野)

  • 気泡崩壊エネルギー→圧電変換で電力化狙う

✅ 日本発スタートアップが基礎実証中。

🔥未来版まとめ

No.発電構想コメント
ダークソーラーパネル夜間・曇天発電革命
磁場発電風も太陽もいらない自然エネ
大気プラズマ発電都市上空を発電場にする夢
地殻応力発電地震エネルギーの平時利用
反応性海塩発電浸透圧発電を超える化学革命
宇宙ダスト捕獲発電宇宙塵パワーで24hエネルギー
高高度風力発電空飛ぶ風車でジェット気流発電
塩湖放熱発電乾燥地帯を巨大発電所に変える
重力波発電SFレベルの宇宙エネルギー
ナノバブル発電水からエネルギー抽出

【1】未来版:奇抜だけど現実味ある「統合型未来都市発電モデル」

🔥 コンセプト

「無燃料・無枯渇・無停止」型未来都市

都市そのものが「巨大な生態発電体」となり、
住民の生活、インフラ、自然活動すべてを電源化。
しかも、昼夜・天候・災害に左右されず持続可能な都市。

🏙 未来都市発電システム設計図

項目採用発電技術コメント
都市建物の壁・屋上ダークソーラーパネル+通常ソーラー晴天・曇天・夜間を全カバー
インフラ振動(道路・橋)振動発電+騒音発電車の走行音・微振動も無駄にしない
大型公園・グリーンベルト植物発電(BPV+MFC)緑地そのものが発電所
海沿い・港湾エリア高高度風力発電+潮流+反応性海塩発電強風・潮汐・塩分をフル活用
上空成層圏高高度浮体型ジェット気流風力発電安定したジェットストリームから定常電源
地下深部地殻応力発電+浅層地熱(閉ループ型)都市直下を天然ベースロードに
上水道・下水道ネットワーク浸透圧発電+うんち発電+ナノバブル発電水循環そのものが電源化
電力貯蔵重力電池(Energy Vault)+慣性発電超高効率のエネルギーバンク
超小型ノード(センサー網)体温発電・息吹発電・微振動TENG都市センサーが「自発電」
宇宙接続・非常時バックアップ宇宙太陽光(SBSP)+宇宙ダスト捕獲発電地上停止時も宇宙から補給

🚀 未来都市の主な特徴

  • 発電コスト:現在比60%減少

  • 災害復旧力:自己完結型マイクログリッドで3時間以内自立

  • CO₂排出:ライフサイクルで実質マイナス

  • 地域特性最適化:海沿い都市・山岳都市・乾燥地都市それぞれ専用モデル展開

✅ つまり、
この未来都市では【エネルギー不足】という概念そのものが存在しない。
都市活動すべてが発電と一体化して、
まるで呼吸する巨大生物のように生き続ける。

【2】日本が特に得意になれる未来発電トップ3シナリオ

🥇 第1位「地殻応力×クローズドループ地熱」超安定地熱発電国家

✅ 背景

  • 日本は世界第3位の地熱ポテンシャル

  • かつプレート境界活動が激しい → 地殻応力も豊富

✅ 狙うモデル

  • 浅層〜中層(数km)の地殻応力+地熱をハイブリッド活用

  • マグマ系リスク回避しつつ、

  • 全国分散型ベースロード電源化

✅ 期待効果

  • 災害に強い自己完結電源網

  • 温泉・観光地との共生(地下深部利用)

  • 電力コスト25%低下、地産地消

🔗 地熱発電と地殻応力の融合(参考:thinkgeoenergy.com)

🥈 第2位「潮流・反応性海塩発電」オーシャンエネルギー大国

✅ 背景

  • 日本は世界有数の複雑潮流・海流地形を持つ

  • 南西諸島・瀬戸内海・津軽海峡など宝庫

✅ 狙うモデル

  • 潮流発電+反応性海塩発電複合型

  • 特に港湾・島嶼部に設置→地域エネルギー自立

✅ 期待効果

  • 離島の電力コスト80%削減

  • エネルギー輸入依存率15%以上低下

🥉 第3位「高高度風力×重力電池」ゼロ燃料グリッド国家

✅ 背景

  • 四季を通じたジェット気流の通年安定性

  • 山岳地形が揚力発生に有利

✅ 狙うモデル

  • 高高度ドローン型風力発電+地上重力電池システム

  • 24h発電&夜間・無風時は重力電池放電

✅ 期待効果

  • グリッド負荷変動を90%平準化

  • 発電単価(LCOE)30%削減可能性

✨まとめ

✅ 日本は「地熱」「海洋」「空中」エネルギーに世界最高適性を持つ。
✅ 地上太陽光・風力だけでない第3の道(地殻・潮流・高空)を先行確立できれば、
再エネ輸出国家・エネルギー覇権国への道も現実になる。

 

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著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。お仕事・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

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