業種別・規模別 電力消費量・太陽光設置可能面積データベース(産業用自家消費型太陽光提案用)

著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

むずかしいエネルギー診断をカンタンに「エネがえる」
むずかしいエネルギー診断をカンタンに「エネがえる」

目次

業種別・規模別 電力消費量・太陽光設置可能面積データベース(産業用自家消費型太陽光提案用)

I. はじめに:日本の脱炭素化と自家消費型太陽光の戦略的役割

2025年における再生可能エネルギー導入の現状と目標

日本は、2050年カーボンニュートラル実現に向け、再生可能エネルギー(再エネ)の導入を国家戦略の柱として位置付けています。その中間目標として、2030年度のエネルギーミックスでは、再エネ比率を36-38%にまで引き上げる野心的な目標を設定しており、このうち太陽光発電が14-16%を担う計画です 1。この目標達成のためには、太陽光発電の累積導入量を現在の水準から大幅に増加させ、103.5~117.6 GWに到達させる必要があります 1

2022年度末時点における太陽光発電の導入量は70.7GWに達し、2019年度末から2022年度末までのわずか3年間で14.9GWが追加稼働するなど、着実な進捗が見られます 2。しかし、2030年の目標達成には、現在の導入量から約30-47GWもの追加導入が不可欠であり、このギャップを埋めるためには、さらなる導入加速が喫緊の課題となっています。

環境省の2019年度推計によると、事業性を考慮した太陽光の導入ポテンシャルは5,041億kWhとされており、2020年度の発電電力量791億kWhと比較して約6倍以上の導入余地が残されています 3。特に、建物系では「戸建住宅等」に、土地系では「耕地」に相当量のポテンシャルが残存していると指摘されています 3。この広大な未利用ポテンシャルを最大限に活用することが、日本のエネルギー政策目標達成の鍵を握ります。限られた国土面積の中で、住宅用太陽光発電のみに依存するのでは目標達成は困難であり、工場、商業施設、物流倉庫といった「非住宅系」の広大な屋根や遊休地の活用が、効率的な再エネ導入拡大の戦略的アプローチとして極めて重要です。

オンサイト自家消費型太陽光発電が注目される背景とメリット

近年、オンサイト自家消費型太陽光発電は、日本における再エネ導入の主軸として注目を集めています。日本政府は、再エネ導入促進と脱炭素社会実現のため、自家消費型太陽光発電を強力に支援しており、導入時の初期投資負担を軽減するための複数の補助金制度を整備しています 4

自家消費型太陽光発電は、発電した電力をその場で消費することで、エネルギーの地産地消を促進し、電力コストの削減に直結します 4。これは、企業にとって電力価格高騰リスクのヘッジとなり、予測可能なエネルギーコストを実現します。

さらに、自家消費型太陽光発電は、単なる経済的メリットに留まらない多角的な価値を提供します。災害時における事業継続計画(BCP)の強化、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)経営推進、そしてRE100(事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際イニシアチブ)への対応など、非経済的価値を同時に創出します 4

この多面的な価値提案は、単なるコスト削減を超えて、企業の持続可能性戦略と深く結びつき、導入への強いインセンティブを生み出しています。特に、サプライチェーン全体での脱炭素化が求められる現代において、オンサイト自家消費は企業のレジリエンスと競争力強化に不可欠な要素として位置づけられています。

II. 2025年最新の政策動向と支援制度

自家消費型太陽光発電に関する補助金制度の全体像(環境省、経済産業省等)

2025年も、自家消費型太陽光発電の普及を加速させるための複数の補助金制度が引き続き実施されています。主要なものとしては、環境省の「先進的再エネ導入支援事業」「地域脱炭素化促進事業」が法人向けに利用可能です 4。これらの補助金は、初期投資の負担を大幅に軽減し、導入の経済的ハードルを下げる上で極めて重要な役割を果たします。

法人向け補助金の対象となるためには、いくつかの厳格な条件を満たす必要があります。具体的には、事業者が法人格を有していること、導入する太陽光発電設備が自家消費を目的としていること、設備容量や設置場所が基準を満たしていること、そして設備導入によって一定のCO2排出削減効果が見込まれることなどが挙げられます 4

また、「民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業」では、自家消費型再生可能エネルギー設備(太陽光発電設備を除く)が「設備等導入事業A」に該当し、補助率3分の1(上限1億円)が設定されています。この事業の公募期間は、一次公募が令和7年4月3日~5月8日、二次公募が令和7年6月5日~7月3日と明示されています 6

これらの補助金制度を戦略的に活用し、申請プロセスを早期化することは、導入を検討する企業にとって極めて重要です。公募開始時期の確認、必要書類の準備、申請フォーム提出、書類審査、採択結果通知、設備導入後の実績報告といった一連の申請プロセスには、専門的な知識と時間、労力が伴います 4。特に、公募期間が限定されているため 6、EPC事業者や需要家は、これらの情報を早期に把握し、専門家(コンサルタント、行政書士など)と連携することで、申請プロセスを効率化し、補助金活用の機会を最大化する戦略が不可欠となります。

税制優遇措置(即時償却、税額控除、固定資産税特例等)

自家消費型太陽光発電設備の導入に対しては、補助金制度に加えて、税制優遇措置も適用される場合があります。法人による導入の場合、100%即時償却または最大10%の税額控除といった優遇内容が設けられています 6。これらの税制優遇は、企業の税負担を軽減し、長期的なキャッシュフローを改善する効果があります。

新設倉庫への導入事例では、税制優遇を巧みに活用することで、設備費用を初年度に一括償却し、さらに固定資産税の特例措置により建物の固定資産税負担が3年間免除されたケースが報告されています 7。この複合的な経済効果により、約6年という短期間での投資回収が実現したとされています 7。この事例は、補助金と税制優遇の組み合わせが、自家消費型太陽光発電導入に伴う経済的負担を多角的に軽減し、投資回収期間を大幅に短縮する強力な手段となることを示しています。

関連する法規制と今後の見通し

太陽光発電設備の導入に際しては、工場立地法や建築基準法など、建物の規模や用途に応じた様々な法規制を遵守する必要があります 8。特に大規模な太陽光発電設備を導入する際には、屋根の強度確認が不可欠であり、建築基準法や自治体の条例に適合しているかを確認し、必要に応じて許認可を取得することが求められます 9

近年、再エネ導入を加速させるための新たな法規制の動きも見られます。例えば、東京都では、新築建築物への再生可能エネルギー発電設備の設置を義務付ける方針が示されており、「建築面積×5%」を目安としつつ、屋上緑化面積や日陰面積、既存建築設備などを考慮して設置可能面積を設定する動きがあります。また、建物の延床面積に応じて設置可能面積の上限と下限が設けられる見込みです 11。さらに、2025年からは、5,000㎡以上の床面積を持つ商業ビル、医療施設、公共施設、スポーツレクリエーションセンターなどがMEI制度(エネルギー集約型建物に対する制度)の対象となる見込みです 12

これらの法規制の動向は、自家消費型太陽光発電の導入計画に大きな影響を与えます。新たな義務化や基準の厳格化は、導入計画の複雑性を増す可能性がありますが、同時に導入を後押しする側面も持ちます。これらの制度内容を早期に把握し、設計段階から建築分野の専門家(一級建築士など)と連携することで、法規制遵守と最適な設備設計を両立させることが、スムーズな導入の鍵となります 10。これにより、将来的な追加投資や法的な問題を回避し、導入プロジェクトの成功確度を高める戦略的なアプローチが求められます。

III. オンサイト自家消費型太陽光のポテンシャルが高い30の業種業態

選定基準とアプローチ

オンサイト自家消費型太陽光発電の導入ポテンシャルを評価するにあたり、本レポートでは以下の5つの基準に基づいて高ポテンシャル業種業態を選定しました。これらの基準は、単に電力消費量が多いというだけでなく、太陽光発電の特性と導入メリットが最大化される業種を特定するために重要です。

  1. 電力消費量: 年間および月間の絶対的な電力消費量が大きく、特に太陽光発電の出力が期待できる日中の電力需要が高い業種を優先的に選定しました。自家消費型太陽光発電は、発電した電力をその場で消費することで最大の経済効果を発揮するため、日中の需要と発電量の整合性が極めて重要です。

  2. 稼働パターン: 安定した稼働時間帯(特に日中)を持つ業種は、太陽光発電の出力変動を吸収しやすく、自家消費率を高く維持できるため、ポテンシャルが高いと判断しました。24時間稼働の施設も、ベースロード需要が大きいため自家消費に適しています。

  3. 屋根面積・遊休地: 広大な屋根面積や、活用可能な敷地(駐車場、遊休地など)を持つ業種は、大規模な太陽光パネル設置が可能であり、導入ポテンシャルが飛躍的に高まります。

  4. 脱炭素ニーズ: RE100加盟、SBT(Science Based Targets)設定、サプライチェーン全体でのCO2排出量削減目標を持つなど、脱炭素化への意識が高い企業が属する業種は、経済的メリットだけでなく、企業価値向上という非経済的メリットも重視するため、導入意欲が高い傾向にあります。

  5. 導入事例の豊富さ: 既に自家消費型太陽光発電の導入が進んでおり、成功事例が多数報告されている業種は、先行事例を参考にしやすく、新たな導入のハードルが低いと考えられます。

これらの要素を複合的に満たす業種は、電気代削減という直接的な経済的メリットに加え、CO2排出削減、BCP強化、企業イメージ向上といった多面的な価値を同時に享受できるため、投資対効果が高く導入が加速しやすいという明確な因果関係が示唆されます 5。したがって、これらの要素を複合的に満たす業種に焦点を当てることで、最も高いポテンシャルを特定することが可能となります。

規模区分の定義

本レポートにおける業種業態の規模区分は、各業種の一般的な建物規模や事業特性に基づき、以下の延床面積を目安として定義します。これは、EPC事業者や需要家が自社の規模感を把握し、該当するポテンシャルを迅速に特定するための「たたき台」となることを目的としています。

  • 小規模: 延床面積 ~1,000㎡程度(またはそれに準ずる規模)。

    • 例:中小規模オフィスビル(延床300~5,000坪未満のうち下限) 14、工場立地法対象外の小規模工場 8、小規模店舗など。

  • 中規模: 延床面積 1,000㎡~10,000㎡程度(またはそれに準ずる規模)。

    • 例:中小規模オフィスビル(延床300~5,000坪未満のうち中堅) 14、工場立地法対象の工場下限 8、商業施設の中型ビル 16、中規模病院など。

  • 大規模: 延床面積 10,000㎡以上(またはそれに準ずる規模)。

    • 例:大規模オフィスビル(延床5,000坪以上) 15、工場立地法対象の工場 8、商業施設の大規模ビル 16、大規模物流センター、大学病院など。

企業の規模は、補助金申請における中小企業の定義(従業員数や資本金)と、建物の物理的規模(延床面積)で異なる場合がありますが、自家消費型太陽光の導入ポテンシャルを評価する上では、後者の物理的規模がより直接的に関連します 8小規模施設では、初期投資を抑えるPPAモデルが特に有効であり、導入のハードルを下げます。一方、大規模施設では、広大な屋根面積を活かした大規模な太陽光発電システムの導入が可能となり、自家消費率最大化のためのEMS(エネルギーマネジメントシステム)や蓄電池の併設がより経済効果を高める要素となります。このように、規模に応じた最適な導入戦略を提示することで、より多様な事業者が自家消費型太陽光発電の検討を進めやすくなります。

高ポテンシャル業種業態リスト(30業種を網羅的に選定)

以下に、オンサイト自家消費型太陽光発電の導入ポテンシャルが高いと評価される30の業種業態をリストアップし、それぞれの選定理由を詳述します。

製造業 (10業種)

  1. 食品製造業: 麺類製造 5, 豆腐製造 17, その他食品加工。

    • 選定理由: 生産ラインの稼働により日中の電力需要が安定しており、冷凍・冷蔵設備を持つ場合も多いです。広大な工場屋根を持つことが多く、自家消費型太陽光の設置に適しています。食品安全・品質管理のため24時間稼働の設備も存在します。

  2. 機械製造業: 工作機械製造 18, 一般機械器具製造。

    • 選定理由: 生産工程における動力・搬送設備や工作機械の稼働により、日中の電力消費が非常に大きい傾向にあります。工場屋根の面積も広大であるため、大規模な太陽光発電設備の設置が可能です 19

  3. 化学工業: 有機化学製品製造 19

    • 選定理由: プロセス用加熱設備やポンプ・ファンなど、電力多消費型の設備が多く、24時間稼働の工場も多いです。脱炭素化への要請も高い業種です。

  4. 電子部品製造業: 半導体工場 20, 電子部品・デバイス・電子回路製造 19

    • 選定理由: 生産工程の自動化が進んでおり、動力設備での電力消費が非常に大きい特徴があります。クリーンルームの空調など、24時間安定した電力供給が必要な設備が多いです。

  5. 自動車部品製造業: 自動車部品製造 19

    • 選定理由: 動力・搬送設備やコンプレッサなど、電力消費の大きい設備が多数稼働しています。サプライチェーン全体の脱炭素化要請が強く、再エネ導入への意識が高い企業が多いです。

  6. 製紙業: パルプ・紙・紙加工品製造 19

    • 選定理由: 生産ライン用モーターなどの動力・搬送設備が電力消費の大きな割合を占めます。自家発電設備を持つ工場も多いですが、再エネへの転換ニーズも高いです。

  7. 金属加工業: 鋳造、鍛造・圧延、その他金属加工 19

    • 選定理由: 溶解電気炉、加熱炉など、多数の電気加熱設備を所有しており、電力消費量が非常に大きいのが特徴です。

  8. 繊維工業: 繊維製品製造。

    • 選定理由: 染色・加工工程などで熱源や動力設備を多用し、電力消費が大きい業種です。

  9. プラスチック製品製造業: プラスチック製品製造 19

    • 選定理由: 成形機など他生産設備の電力消費割合が高い傾向にあります。

  10. 窯業・土石製品製造業: セメント、ガラス、陶磁器製造。

    • 選定理由: 高温を要する炉など、電力および熱エネルギーの消費が非常に大きい業種です。

商業施設 (5業種)

  1. スーパーマーケット: 食料品スーパー 21

    • 選定理由: 冷凍・冷蔵ショーケースが電力消費の大部分を占め、24時間稼働に近い安定した電力需要があります。空調・照明の消費も大きく、広大な屋根を持つ店舗が多いです 25

  2. ショッピングモール: アリオ市原 26, イオンモール 26

    • 選定理由: 広大な屋根面積を持ち、空調と照明の電力消費が非常に大きい特徴があります。多数のテナントが入居するため、総体的な電力需要が高いです。

  3. 百貨店: 27

    • 選定理由: 照明と空調が電力消費の約80%を占めます。営業時間中の電力需要が高いです。

  4. ドラッグストア:

    • 選定理由: 冷凍・冷蔵設備(食品・医薬品)、照明、空調の電力消費が安定しています。チェーン展開が多く、標準化された導入モデルを適用しやすいです。

  5. ホームセンター:

    • 選定理由: 広大な店舗面積と屋根面積を持ち、照明、空調、動力設備の電力消費が大きい特徴があります。

物流・倉庫業 (3業種)

  1. 一般倉庫: 7

    • 選定理由: 広大な屋根面積を持つ施設が多く、日中の荷捌きや自動化設備の稼働により電力需要があります。

  2. 冷蔵・冷凍倉庫: 30

    • 選定理由: 温度管理のため24時間安定した電力消費(ベースロード需要)があり、日中の太陽光発電を効率的に自家消費できる理想的な業種です。電力消費原単位も高いです。

  3. 物流センター: 13

    • 選定理由: 大規模な施設が多く、広大な屋根面積を持ちます。自動倉庫システムや搬送設備など、電力消費の大きい設備が稼働します。

医療・福祉施設 (4業種)

  1. 病院: 大学病院 32, 総合病院 32, 仙南サナトリウム 33, 熊本第一病院 33

    • 選定理由: 24時間稼働の設備(空調、照明、医療機器)が多く、年間を通じて安定した電力需要があります。災害時のBCP強化ニーズが極めて高いです 34

  2. 特別養護老人ホーム: 観成園 33, なでしこ香川 33, 星風苑ケアハウス 33

    • 選定理由: 24時間稼働で安定した電力需要があり、空調や給湯の消費が大きいです。BCP強化のニーズも高いです。

  3. 介護施設: 24

    • 選定理由: 特別養護老人ホームと同様に、24時間稼働で安定した電力需要があります。空調が電力消費の大きな割合を占めます。

  4. 透析クリニック: 36

    • 選定理由: 透析機器の稼働により、日中から夜間にかけて安定した電力消費があります。BCPニーズも高いです。

教育施設 (3業種)

  1. 小・中学校: 貢川小学校 37, 真正中学校 37

    • 選定理由: 日中の稼働が主で、空調や照明、ICT機器の電力消費が大きいです。環境教育の観点からも導入が進んでいます 37

  2. 高等学校: 愛知工業大学名電高校 38, いわき市立中央台南中学校 38

    • 選定理由: 小中学校と同様に日中の稼働が主で、電力消費パターンが太陽光発電と相性が良いです。

  3. 大学・専門学校: 京都女子大学附属小学校 38, 日本工業大学 37

    • 選定理由: 広大な敷地や屋根面積を持つことが多く、大規模な太陽光発電設備を導入しやすいです。研究施設や実験設備など、電力多消費の設備も存在します。

農業施設 (4業種)

  1. ハウス栽培: トマト、イチゴ、きゅうり、ピーマン、メロン、ぶどう、茶 39

    • 選定理由: 加温・冷房・換気・照明といった電力を多用する設備が不可欠であり、特に冬季の加温や夏季の冷却システムには大量の電気が必要となります。ソーラーシェアリングによる土地の有効活用も可能です 39

  2. 畜産施設:

    * 選定理由: 換気扇、照明、給餌・給水システム、温度管理などで電力消費が大きいです。特に大規模な畜産施設は安定した電力需要を持ちます。

  3. 農業協同組合施設: ライスセンター、選果場、加工工場 39

    • 選定理由: 農産物の処理・加工に機械設備を多用し、日中の電力消費が大きいです。地域貢献の観点からも再エネ導入への意識が高いです。

  4. 植物工場:

    • 選定理由: 照明、空調、水耕栽培システムなど、電力消費が非常に大きいです。安定した環境制御のため24時間稼働が基本であり、自家消費型太陽光との相性が良いです。

サービス業 (1業種)

  1. データセンター: NTT品川TWINSデータ棟 42, 洋上浮体型データセンター 43

    • 選定理由: 24時間365日連続稼働の電力多消費施設であり、IT機器の冷却に大量の電力を消費します。PUE(Power Usage Effectiveness)改善による省エネと再エネ導入による脱炭素化ニーズが極めて高いです 44

IV. 業種業態・規模別 詳細データと分析

本章では、前章で選定した高ポテンシャル業種業態について、規模区分別に推定電力消費量と太陽光パネル設置可能面積を詳細に分析します。これらのデータは、EPC事業者や需要家が、詳細なデータが手元になくとも迅速に一次試算を行うための「たたき台」となることを目的としています。これにより、導入検討の初期段階での時間とコストを大幅に削減し、より多くの事業者が自家消費型太陽光発電の導入を検討できるようになるでしょう。

諸元・係数・パラメーター

本分析における推定値の算出には、以下の諸元、係数、パラメーターを使用しています。

  • エネルギー消費原単位: 各業種の平均的なエネルギー消費原単位(MJ/㎡・年、またはkWh/㎡・年)を基に年間電力消費量を算出します。1 MJは約0.2778 kWhとして換算します。エネルギー消費原単位は、業種や建物の種類、築年数、設備構成によって大きく変動するため、本レポートでは参照可能な最新の公開データや業界平均値を採用しています 27。より高精度な試算には、個別の事業所の詳細なデータや、AIを活用した需要予測モデルの活用が望まれます。

  • 延床面積から屋根面積への換算係数: 産業用建物は一般的に平坦な屋根構造を持つことが多いため、延床面積の0.9倍を平均屋根面積の目安とします。一般的な建物では、1階の床面積の約1.1~1.2倍(緩勾配/急勾配)が屋根面積の目安とされますが、総二階でない場合や複雑な屋根形状の場合は注意が必要です 58

  • 太陽光パネル設置可能最大面積の算出: 平均屋根面積のうち、実際に太陽光パネルを設置できる面積は、屋根の形状、勾配、既存設備(換気扇、室外機など)、メンテナンス通路、日影の影響などにより制約を受けます。産業用建物では屋根面積の約2/3程度が設置可能面積となるケースが多いとの情報 61を参考に、平均屋根面積の60%を太陽光パネル設置可能最大面積と仮定します。

  • 想定される太陽光発電容量の算出: 太陽光パネルの設置には1kWあたり約15㎡のスペースが必要とされています(屋根設置の場合) 9。この係数を用いて、設置可能最大面積から想定される太陽光発電容量(kW)を算出します。

  • 太陽光発電の設備利用率(稼働率): 日本の太陽光発電の平均設備利用率は、経済産業省基準で13%とされていますが 64、実際の稼働発電所データでは14.8%という数値も報告されています 64。本レポートでは、より実態に近い値として14%を標準値として採用します。ただし、地域(例: 静岡県磐田市の21.1%から秋田県南秋田郡大潟村の8.6%まで地域差は10%以上生じる 64)やパネルメーカーの選定によって発電量は大きく変動するため、個別の導入においては詳細なシミュレーションが不可欠です。

表:業種業態・規模別 推定電力消費量と太陽光パネル設置可能面積

以下の表は、各業種業態の規模区分別に、推定される年間合計電力消費量月平均電力消費量平均延床面積、および太陽光パネル設置可能最大面積想定発電容量をまとめたものです。月別推定電力消費量(12ヶ月分)は、後述するロードカーブテンプレートの相対値と年間合計電力消費量から算出することが可能です。

表1:業種業態・規模別 推定電力消費量と太陽光パネル設置可能面積

業種業態 規模区分 平均延床面積 (㎡) 年間合計電力消費量 (kWh) 月平均電力消費量 (kWh) 月別推定電力消費量 (kWh) (12ヶ月分) 平均屋根面積 (㎡) 太陽光パネル設置可能最大面積 (㎡) 想定される太陽光発電容量 (kW) 設備負荷・消費特性メモ
製造業
食品製造業 小規模 800 80,000 6,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 720 432 28.8 生産ライン、冷凍・冷蔵設備。日中安定稼働。食品安全のため24時間稼働設備も。
中規模 5,000 500,000 41,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 4,500 2,700 180.0 生産ライン、冷凍・冷蔵設備。日中高稼働、一部24時間稼働。季節変動は空調依存。
大規模 15,000 2,000,000 166,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 13,500 8,100 540.0 大規模生産ライン、広範な冷凍・冷蔵設備。24時間稼働が多く、ベースロード需要大。
機械製造業 小規模 800 120,000 10,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 720 432 28.8 工作機械、動力・搬送設備。日中稼働が主。夏冬は空調負荷増。
中規模 5,000 750,000 62,500 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 4,500 2,700 180.0 大規模工作機械、コンプレッサ、動力設備。日中高負荷。
大規模 15,000 3,000,000 250,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 13,500 8,100 540.0 多数の生産ライン、自動化設備。電力消費が非常に大きい。
化学工業 小規模 800 160,000 13,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 720 432 28.8 プロセス加熱、ポンプ・ファン。24時間稼働の傾向。
中規模 5,000 1,000,000 83,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 4,500 2,700 180.0 プロセス加熱、ポンプ・ファン。連続稼働が多く、ベースロード需要大。
大規模 15,000 4,000,000 333,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 13,500 8,100 540.0 大規模プラント、電力多消費設備。脱炭素ニーズ高。
電子部品製造業 小規模 800 200,000 16,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 720 432 28.8 自動化生産ライン、クリーンルーム空調。24時間安定供給が必要。
中規模 5,000 1,500,000 125,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 4,500 2,700 180.0 高度な自動化設備、精密な温度・湿度管理。ベースロード需要が非常に大きい。
大規模 15,000 6,000,000 500,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 13,500 8,100 540.0

半導体工場など、電力多消費かつ連続稼働。DR余地は小さい 20

自動車部品製造業 小規模 800 100,000 8,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 720 432 28.8 動力・搬送設備、コンプレッサ。サプライチェーン脱炭素要請。
中規模 5,000 600,000 50,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 4,500 2,700 180.0 生産ライン、試験設備。日中高負荷。
大規模 15,000 2,500,000 208,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 13,500 8,100 540.0 大規模生産設備。脱炭素への意識が高い。
製紙業 小規模 800 100,000 8,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 720 432 28.8 動力・搬送設備。自家発電設備を持つ場合も。
中規模 5,000 800,000 66,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 4,500 2,700 180.0 生産ライン用モーター。連続稼働傾向。
大規模 15,000 3,500,000 291,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 13,500 8,100 540.0

大規模工場、動力・搬送設備が電力消費の大部分 19

金属加工業 小規模 800 150,000 12,500 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 720 432 28.8 電気加熱設備、工作機械。日中高負荷。
中規模 5,000 900,000 75,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 4,500 2,700 180.0

溶解電気炉、加熱炉など電力多消費設備 19

大規模 15,000 4,000,000 333,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 13,500 8,100 540.0 高温プロセスが多く、電力消費量が非常に大きい。
繊維工業 小規模 800 70,000 5,833 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 720 432 28.8 染色・加工工程、動力設備。
中規模 5,000 400,000 33,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 4,500 2,700 180.0 熱源や動力設備を多用。
大規模 15,000 1,500,000 125,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 13,500 8,100 540.0 大規模生産ライン。
プラスチック製品製造業 小規模 800 90,000 7,500 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 720 432 28.8 成形機など生産設備。
中規模 5,000 550,000 45,833 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 4,500 2,700 180.0

他生産設備の電力消費割合が高い 19

大規模 15,000 2,200,000 183,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 13,500 8,100 540.0 大規模成形工場。
窯業・土石製品製造業 小規模 800 180,000 15,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 720 432 28.8 高温炉など電力・熱エネルギー多消費。
中規模 5,000 1,200,000 100,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 4,500 2,700 180.0 炉の稼働で連続的な高負荷。
大規模 15,000 5,000,000 416,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 13,500 8,100 540.0 セメント、ガラス製造など、非常に電力消費が大きい。
商業施設
スーパーマーケット 小規模 1,000 60,000 5,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 900 540 36.0

冷凍・冷蔵ショーケースが電力消費の大部分 22。営業時間中高負荷。

中規模 5,000 600,000 50,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 4,500 2,700 180.0 冷凍・冷蔵設備が24時間稼働に近い。空調・照明も大。
大規模 15,000 2,000,000 166,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 13,500 8,100 540.0 広大な店舗面積、多数の冷凍・冷蔵設備。
ショッピングモール 小規模 3,000 300,000 25,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 2,700 1,620 108.0 空調と照明が電力消費の大部分。営業時間中高負荷。
中規模 7,000 700,000 58,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 6,300 3,780 252.0 広大な屋根面積を持つ。多数テナントで総体電力需要高。
大規模 20,000 2,500,000 208,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 18,000 10,800 720.0

国内最大級事例あり 26。空調・照明負荷が非常に大きい。

百貨店 小規模 3,000 250,000 20,833 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 2,700 1,620 108.0

照明と空調が電力消費の約80% 27

中規模 7,000 600,000 50,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 6,300 3,780 252.0 営業時間中の電力需要が高い。
大規模 20,000 2,000,000 166,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 18,000 10,800 720.0 大規模な照明・空調設備。
ドラッグストア 小規模 500 30,000 2,500 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 450 270 18.0 冷凍・冷蔵設備(食品・医薬品)、照明、空調。
中規模 1,500 90,000 7,500 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 1,350 810 54.0 チェーン展開が多く、標準化された導入モデルが適用しやすい。
大規模 3,000 180,000 15,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 2,700 1,620 108.0 大型店舗は冷凍・冷蔵設備が多岐にわたる。
ホームセンター 小規模 3,000 150,000 12,500 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 2,700 1,620 108.0 広大な店舗面積、照明、空調、動力設備。
中規模 7,000 350,000 29,167 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 6,300 3,780 252.0 大型の陳列棚や倉庫スペース。
大規模 15,000 750,000 62,500 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 13,500 8,100 540.0 建材・園芸品など、多様な商品を取り扱うため電力消費設備も多い。
物流・倉庫業
一般倉庫 小規模 3,000 60,000 5,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 2,700 1,620 108.0 広大な屋根面積。日中の荷捌き、照明。
中規模 10,000 200,000 16,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 9,000 5,400 360.0 自動化設備導入で電力需要増。
大規模 50,000 1,000,000 83,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 45,000 27,000 1,800.0

大規模物流センター、広大な屋根 29

冷蔵・冷凍倉庫 小規模 3,000 150,000 12,500 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 2,700 1,620 108.0

温度管理のため24時間安定稼働 31。電力消費原単位が高い。

中規模 10,000 500,000 41,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 9,000 5,400 360.0 冷凍機が主要負荷。夏季に冷却負荷増大。
大規模 50,000 2,500,000 208,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 45,000 27,000 1,800.0 大規模冷蔵倉庫、ベースロード需要が大きく自家消費に最適。
物流センター 小規模 3,000 80,000 6,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 2,700 1,620 108.0 広大な屋根面積。日中の荷捌き、搬送設備。
中規模 10,000 300,000 25,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 9,000 5,400 360.0 自動倉庫システム、搬送設備。
大規模 50,000 1,500,000 125,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 45,000 27,000 1,800.0

多層化が進み、屋根面積比率は低下傾向 29。ソーラーカーポート等も有効 10

医療・福祉施設
病院 小規模 3,000 2,187,000 182,250 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 2,700 1,620 108.0

24時間稼働。空調、照明、医療機器が主要負荷 34。BCPニーズ高。

中規模 10,000 7,290,000 607,500 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 9,000 5,400 360.0

夏季・冬季に空調負荷でピーク 53

大規模 20,000 14,580,000 1,215,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 18,000 10,800 720.0 高度医療機器の連続稼働。非常用電源としての価値大。
特別養護老人ホーム 小規模 3,000 2,187,000 182,250 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 2,700 1,620 108.0 24時間稼働。空調、給湯、照明。BCPニーズ高。
中規模 7,000 5,103,000 425,250 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 6,300 3,780 252.0 高齢者向けで安定した温度管理が必要。
大規模 10,000 7,290,000 607,500 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 9,000 5,400 360.0 大規模施設は電力消費量が多い傾向。
介護施設 小規模 800 583,200 48,600 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 720 432 28.8

24時間稼働。空調が電力消費の大部分 24

中規模 3,000 2,187,000 182,250 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 2,700 1,620 108.0 給湯、照明、医療・介護機器。
大規模 7,000 5,103,000 425,250 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 6,300 3,780 252.0 多様なサービス提供で電力需要が高い。
透析クリニック 小規模 500 364,500 30,375 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 450 270 18.0

透析機器の稼働により日中から夜間にかけて安定した電力消費 36

中規模 1,000 729,000 60,750 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 900 540 36.0 BCPニーズも高い。
大規模 2,000 1,458,000 121,500 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 1,800 1,080 72.0 多数の透析ベッドと関連設備。
教育施設
小・中学校 小規模 3,000 300,000 25,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 2,700 1,620 108.0

日中の稼働が主。空調、照明、ICT機器が主要負荷 65

中規模 7,000 700,000 58,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 6,300 3,780 252.0

環境教育の観点からも導入が進む 37。長期休暇で消費減。

大規模 10,000 1,000,000 83,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 9,000 5,400 360.0

平均延床面積10,004㎡ 68

高等学校 小規模 3,000 300,000 25,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 2,700 1,620 108.0 小中学校と同様の日中稼働。
中規模 7,000 700,000 58,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 6,300 3,780 252.0 部活動などで夕方以降も電力需要あり。
大規模 10,000 1,000,000 83,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 9,000 5,400 360.0
大学・専門学校 小規模 5,000 500,000 41,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 4,500 2,700 180.0 広大な敷地・屋根面積。研究施設、実験設備。
中規模 10,000 1,000,000 83,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 9,000 5,400 360.0

長期休暇で電力消費が大幅減 69

大規模 20,000 2,000,000 166,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 18,000 10,800 720.0 大規模な研究設備や施設。
農業施設
ハウス栽培 小規模 500 50,000 4,167 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 450 270 18.0

加温・冷房・換気・照明など電力多用 70。冬季夜間に加温負荷増 71

中規模 2,000 300,000 25,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 1,800 1,080 72.0

ソーラーシェアリングで土地有効活用 39

大規模 10,000 1,500,000 125,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 9,000 5,400 360.0

メロン栽培など高エネルギー消費作物あり 72

畜産施設 小規模 500 40,000 3,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 450 270 18.0 換気扇、照明、給餌・給水システム、温度管理。
中規模 2,000 200,000 16,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 1,800 1,080 72.0 安定した電力需要。
大規模 10,000 1,000,000 83,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 9,000 5,400 360.0 大規模な換気・温度管理設備。
農業協同組合施設 小規模 800 70,000 5,833 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 720 432 28.8 ライスセンター、選果場、加工工場。日中の機械設備稼働。
中規模 3,000 300,000 25,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 2,700 1,620 108.0 地域貢献意識が高い。
大規模 7,000 700,000 58,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 6,300 3,780 252.0

揚水機場は夏場に集中して電力消費 73

植物工場 小規模 500 150,000 12,500 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 450 270 18.0 照明、空調、水耕栽培システム。24時間稼働が基本。
中規模 2,000 600,000 50,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 1,800 1,080 72.0 安定した環境制御のため電力消費が非常に大きい。
大規模 10,000 3,000,000 250,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 9,000 5,400 360.0 自家消費型太陽光との相性が良い。
サービス業
データセンター 小規模 1,000 500,000 41,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 900 540 36.0

24時間365日連続稼働の電力多消費施設 44

中規模 5,000 5,000,000 416,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 4,500 2,700 180.0

IT機器の冷却に大量の電力消費。PUE改善ニーズ高 46

大規模 15,000 20,000,000 1,666,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 13,500 8,100 540.0

AI需要により電力消費が急増予測 48

スポーツ施設 小規模 3,000 414,300 34,525 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 2,700 1,620 108.0

空調、照明、温水プール昇温、シャワー給湯 32

中規模 5,000 690,500 57,542 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 4,500 2,700 180.0

広大な屋根や敷地を持つ 74。MEI制度対象 12

大規模 8,000 1,104,800 92,067 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 7,200 4,320 288.0 大型アリーナ、スタジアムなど。
ホテル・旅館 小規模 3,000 300,000 25,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 2,700 1,620 108.0 24時間稼働。空調、給湯、照明、厨房、客室設備。
中規模 7,000 700,000 58,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 6,300 3,780 252.0 季節変動が大きい。
大規模 15,000 1,500,000 125,000 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 13,500 8,100 540.0 大規模ホテルチェーンなど。
オフィスビル 小規模 1,000 84,165 7,014 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 900 540 36.0

平日の日中が主稼働 41。空調、照明、OA機器 23

中規模 5,000 420,825 35,069 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 4,500 2,700 180.0

夏季に空調負荷でピーク 23。PPAモデルと相性◎。

大規模 17,000 1,430,805 119,234 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 15,300 9,180 612.0

広大な屋上を持つ場合が多い 15

自動車ディーラー 小規模 1,000 50,000 4,167 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 900 540 36.0 ショールームの照明、空調、整備工場の動力設備。
中規模 2,000 100,000 8,333 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 1,800 1,080 72.0 EV充電設備導入で電力需要増の可能性。
大規模 4,000 200,000 16,667 ロードカーブテンプレート(後述)に基づき算出 3,600 2,160 144.0 複数の店舗やサービス工場を併設。

注釈:年間合計電力消費量(kWh)は、各業種・規模の一般的なエネルギー消費原単位や事例データ、業界ベンチマークを基に推定したものです。個別の事業所の実態とは異なる場合があります。月別推定電力消費量(12ヶ月分)は、年間合計電力消費量を後述のロードカーブテンプレートの相対値(季節変動含む)で按分することで算出されます。平均屋根面積は延床面積の0.9倍、太陽光パネル設置可能最大面積は平均屋根面積の60%として算出しています。想定される太陽光発電容量は、設置可能最大面積を15㎡/kWで除して算出しています。

表:業種業態・規模別 ロードカーブテンプレート(相対値)

以下の表は、各業種業態の典型的な電力消費パターンを相対値で示したロードカーブテンプレートです。これらのテンプレートは、実際のデマンドデータが手元にない場合でも、自家消費率や蓄電池の最適容量をシミュレーションするための基礎データとして活用できます。エネがえるBizのようなツールが提供する多様なテンプレート 77と同様に、ここでは代表的なパターンを提示します。

ロードカーブは、各時間帯における電力消費量をその日の最大消費量に対する相対値(0~1.0)で表します。30分単位のロードカーブは、1時間単位のロードカーブをより細分化したもので、一般的には1時間単位の値をそのまま30分単位に適用するか、より詳細なデータに基づいて調整します。季節変動特性は、夏季(冷房需要)、冬季(暖房需要)、中間期(空調需要が少ない時期)における電力消費パターンの変化を記述します。

表2:業種業態・規模別 ロードカーブテンプレート(相対値)と設備負荷・消費特性メモ

業種業態 規模区分 平日 1時間単位ロードカーブ (相対値) (例: 0-23時) 休日 1時間単位ロードカーブ (相対値) (例: 0-23時) 季節変動特性 設備負荷・消費特性メモ
製造業
食品製造業 全規模共通 0-6時: 0.3-0.5 (一部設備稼働), 7-17時: 0.8-1.0 (生産ライン高稼働), 18-23時: 0.4-0.7 (生産調整・清掃・冷凍冷蔵) 0-23時: 0.3-0.5 (冷凍冷蔵・最低限の設備稼働) 夏季: 空調負荷増大で日中ピークが顕著化。冬季: 暖房負荷増大で夜間・早朝のベース負荷が上昇。

生産ラインの稼働により日中の電力需要が安定。冷凍・冷蔵設備は24時間稼働。食品安全・品質管理のため、連続稼働が必要な設備が多い。生産量に応じて電力消費が変動する特性を持つ 41

機械製造業 全規模共通 0-6時: 0.1-0.2, 7-17時: 0.9-1.0 (工作機械・動力設備高稼働), 18-23時: 0.2-0.3 0-23時: 0.05-0.1 (待機電力・最低限の照明) 夏季: 冷房負荷により日中ピークが明確化。冬季: 暖房負荷により朝方・夕方の消費増。

主軸モーター、サーボモーター、コンプレッサなど、動力・搬送設備が電力消費の大部分を占める 18。昼操業型が一般的だが、一部24時間稼働工場も存在。デマンドレスポンスのポテンシャルは小さい 20

化学工業 全規模共通 0-23時: 0.8-1.0 (連続稼働) 0-23時: 0.8-1.0 (連続稼働) 季節変動は比較的小さいが、夏季は冷却、冬季は加温負荷で変動。 プロセス用加熱設備、ポンプ、ファンなど電力多消費設備が多く、24時間連続稼働が基本。ベースロード需要が非常に大きく、太陽光発電との相性が良い。
電子部品製造業 全規模共通 0-23時: 0.9-1.0 (連続稼働) 0-23時: 0.9-1.0 (連続稼働) 季節変動は空調(クリーンルーム)に依存。

生産工程の自動化が進み、動力設備での電力消費が非常に大きい。クリーンルームの空調など、24時間安定した電力供給が不可欠。デマンドレスポンスは難しいとされる 20

自動車部品製造業 全規模共通 0-6時: 0.2-0.3, 7-17時: 0.9-1.0, 18-23時: 0.3-0.5 0-23時: 0.1-0.2 夏季: 冷房負荷増。冬季: 暖房負荷増。 動力・搬送設備、コンプレッサなど電力消費の大きい設備が多数稼働。サプライチェーン全体の脱炭素要請が強い。
製紙業 全規模共通 0-23時: 0.8-1.0 (連続稼働) 0-23時: 0.8-1.0 (連続稼働) 季節変動は比較的小さい。

生産ライン用モーターなどの動力・搬送設備が電力消費の大部分を占める 19。自家発電設備を持つ工場も多いが、再エネへの転換ニーズが高い。

金属加工業 全規模共通 0-6時: 0.3-0.5, 7-17時: 0.9-1.0, 18-23時: 0.4-0.7 0-23時: 0.1-0.2 夏季: 冷房負荷増。冬季: 加熱炉の予熱・暖房負荷増。

溶解電気炉、加熱炉など、多数の電気加熱設備を所有し、電力消費量が非常に大きい 19

繊維工業 全規模共通 0-6時: 0.2-0.4, 7-17時: 0.8-1.0, 18-23時: 0.3-0.5 0-23時: 0.1-0.2 夏季: 冷房負荷増。冬季: 加温負荷増。 染色・加工工程などで熱源や動力設備を多用。
プラスチック製品製造業 全規模共通 0-6時: 0.2-0.4, 7-17時: 0.8-1.0, 18-23時: 0.3-0.5 0-23時: 0.1-0.2 夏季: 冷房負荷増。冬季: 加温負荷増。

成形機など他生産設備の電力消費割合が高い 19

窯業・土石製品製造業 全規模共通 0-23時: 0.9-1.0 (連続稼働) 0-23時: 0.9-1.0 (連続稼働) 季節変動は比較的小さいが、冷却・加温負荷で変動。 高温を要する炉など、電力および熱エネルギーの消費が非常に大きい。連続稼働が基本。
商業施設
スーパーマーケット 全規模共通 0-6時: 0.4-0.6 (冷凍冷蔵), 7-21時: 0.8-1.0 (営業時間・空調・照明・ショーケース), 22-23時: 0.5-0.7 0-6時: 0.4-0.6, 7-21時: 0.8-1.0, 22-23時: 0.5-0.7 夏季: 空調負荷が顕著に増大。冬季: 暖房負荷が増加。

冷凍・冷蔵ショーケースが電力消費の大部分を占め、24時間稼働に近い安定した電力需要がある 22。空調・照明の消費も大きい 24

ショッピングモール 全規模共通 0-9時: 0.2-0.4, 10-21時: 0.8-1.0, 22-23時: 0.3-0.5 0-9時: 0.2-0.4, 10-21時: 0.8-1.0, 22-23時: 0.3-0.5 夏季: 空調負荷が非常に大きく、日中ピークが顕著。冬季: 暖房負荷により消費増。

広大な屋根面積を持ち、空調と照明の電力消費が非常に大きい 27。多数のテナントが入居するため、総体的な電力需要が高い。

百貨店 全規模共通 0-9時: 0.2-0.3, 10-20時: 0.9-1.0, 21-23時: 0.3-0.4 0-9時: 0.2-0.3, 10-20時: 0.9-1.0, 21-23時: 0.3-0.4 夏季: 空調負荷が支配的。冬季: 暖房負荷。

照明と空調が電力消費の約80%を占める 27。営業時間中の電力需要が高い。

ドラッグストア 全規模共通 0-8時: 0.3-0.5, 9-22時: 0.8-1.0, 23時: 0.4-0.6 0-8時: 0.3-0.5, 9-22時: 0.8-1.0, 23時: 0.4-0.6 夏季: 冷房負荷増。冬季: 暖房負荷増。 冷凍・冷蔵設備(食品・医薬品)、照明、空調の電力消費が安定している。チェーン展開が多く、標準化された導入モデルが適用しやすい。
ホームセンター 全規模共通 0-8時: 0.1-0.2, 9-20時: 0.8-1.0, 21-23時: 0.1-0.2 0-8時: 0.1-0.2, 9-20時: 0.8-1.0, 21-23時: 0.1-0.2 夏季: 冷房負荷増。冬季: 暖房負荷増。 広大な店舗面積と屋根面積を持ち、照明、空調、動力設備の電力消費が大きい。
物流・倉庫業
一般倉庫 全規模共通 0-8時: 0.1-0.2, 9-18時: 0.8-1.0 (荷捌き・作業), 19-23時: 0.1-0.2 0-23時: 0.05-0.1 (最低限の照明) 夏季: 空調負荷増。冬季: 暖房負荷増。 広大な屋根面積を持つ施設が多い。日中の荷捌きや自動化設備の稼働により電力需要がある。
冷蔵・冷凍倉庫 全規模共通 0-23時: 0.9-1.0 (連続稼働) 0-23時: 0.9-1.0 (連続稼働) 夏季: 冷却負荷が大幅に増大。冬季: 冷却負荷は減少するが、ベースロードは維持。

温度管理のため24時間安定した電力消費(ベースロード需要)があり、日中の太陽光発電を効率的に自家消費できる理想的な業種 31。電力消費原単位も高い。

物流センター 全規模共通 0-8時: 0.2-0.4, 9-18時: 0.8-1.0, 19-23時: 0.3-0.5 0-23時: 0.1-0.2 夏季: 空調負荷増。冬季: 暖房負荷増。

大規模施設が多く、広大な屋根面積を持つ。自動倉庫システムや搬送設備など、電力消費の大きい設備が稼働。多層化が進む傾向 29

医療・福祉施設
病院 全規模共通 0-7時: 0.6-0.8 (夜間医療・待機), 8-17時: 0.9-1.0 (日中診療・手術), 18-23時: 0.7-0.9 0-23時: 0.7-0.9 (夜間医療・待機・一部外来)

夏季: 冷房負荷で顕著なピーク 53。冬季: 暖房負荷でピーク 53

24時間稼働が基本。空調、照明、医療機器(MRI等)、滅菌用蒸気発生装置、給湯、厨房が主要負荷 24。災害時のBCP強化ニーズが極めて高い。

特別養護老人ホーム 全規模共通 0-23時: 0.8-1.0 (連続稼働) 0-23時: 0.8-1.0 (連続稼働) 夏季: 冷房負荷増。冬季: 暖房負荷増。 24時間稼働で安定した電力需要。空調や給湯の消費が大きい。入居者の快適性が最優先されるため、空調負荷は高い傾向。
介護施設 全規模共通 0-23時: 0.7-0.9 (連続稼働) 0-23時: 0.7-0.9 (連続稼働) 夏季: 冷房負荷増。冬季: 暖房負荷増。

24時間稼働で安定した電力需要。空調が電力消費の大きな割合を占める 24

透析クリニック 全規模共通 0-8時: 0.1-0.2, 9-18時: 0.9-1.0 (透析治療), 19-23時: 0.3-0.5 0-23時: 0.1-0.2 (待機電力) 季節変動は空調に依存。

透析機器の稼働により、日中から夜間にかけて安定した電力消費がある 36。BCPニーズも高い。

教育施設
小・中学校 全規模共通 0-8時: 0.1-0.2, 9-15時: 0.8-1.0 (授業・空調), 16-23時: 0.1-0.3 (放課後活動・清掃) 0-23時: 0.05-0.1 (長期休暇中はさらに低減)

夏季: 冷房負荷でピーク 65。冬季: 暖房負荷でピーク 65

日中の稼働が主で、空調や照明、ICT機器が主要負荷 65。環境教育の教材としても活用される 37。長期休暇中の電力消費減を考慮した余剰電力活用が重要。

高等学校 全規模共通 0-8時: 0.1-0.2, 9-17時: 0.8-1.0, 18-23時: 0.2-0.4 (部活動・夜間学習) 0-23時: 0.05-0.1 (長期休暇中はさらに低減) 夏季: 冷房負荷増。冬季: 暖房負荷増。 小中学校に類似するが、部活動や夜間学習で夕方以降の需要がやや高まる。
大学・専門学校 全規模共通 0-8時: 0.2-0.3, 9-18時: 0.8-1.0, 19-23時: 0.3-0.5 0-23時: 0.1-0.2 (長期休暇中はさらに低減)

夏季: 7月は高負荷、8-9月は夏休みで大幅減 69。冬季: 1-2月は高負荷、春休みで減。

広大な敷地や屋根面積を持つ。研究施設や実験設備など電力多消費設備も存在。長期休暇中の電力消費減が特徴 69

農業施設
ハウス栽培 全規模共通 0-6時: 0.4-0.6 (加温・換気), 7-17時: 0.7-1.0 (照明・冷房・換気), 18-23時: 0.5-0.8 (加温・換気) 0-23時: 0.4-0.6 (最低限の環境制御)

冬季: 夜間の加温用電力消費が顕著に増加 71。夏季: 冷房・換気負荷増。

加温・冷房・換気・照明といった電力を多用する設備が不可欠 70。ソーラーシェアリングにより農業生産と発電事業を両立 39

畜産施設 全規模共通 0-23時: 0.7-0.9 (連続稼働) 0-23時: 0.7-0.9 (連続稼働) 夏季: 換気・冷房負荷増。冬季: 暖房負荷増。 換気扇、照明、給餌・給水システム、温度管理などで電力消費が大きい。安定した電力需要を持つ。
農業協同組合施設 全規模共通 0-8時: 0.1-0.3, 9-17時: 0.8-1.0 (機械稼働), 18-23時: 0.2-0.4 0-23時: 0.05-0.1

夏季: 揚水機場は4-10月に集中 73

農産物の処理・加工に機械設備を多用し、日中の電力消費が大きい。地域貢献の観点から再エネ導入への意識が高い。
植物工場 全規模共通 0-23時: 0.9-1.0 (連続稼働) 0-23時: 0.9-1.0 (連続稼働) 季節変動は空調に依存。 照明、空調、水耕栽培システムなど、電力消費が非常に大きい。安定した環境制御のため24時間稼働が基本であり、自家消費型太陽光との相性が良い。
サービス業
データセンター 全規模共通 0-23時: 0.95-1.0 (連続稼働) 0-23時: 0.95-1.0 (連続稼働) 季節変動は冷却負荷に依存。

24時間365日連続稼働の電力多消費施設 44。IT機器の冷却に大量の電力を消費。PUE(Power Usage Effectiveness)改善による省エネと再エネ導入による脱炭素化ニーズが極めて高い 46。AIの進化により電力消費は急増予測 48

スポーツ施設 全規模共通 0-9時: 0.2-0.4, 10-21時: 0.8-1.0 (営業時間・利用), 22-23時: 0.3-0.5 0-9時: 0.2-0.4, 10-21時: 0.8-1.0, 22-23時: 0.3-0.5

夏季: 空調負荷が大きくピーク 56。温水プールは年間を通して負荷。

広大な屋根や敷地を持つことが多く、太陽光パネルの設置ポテンシャルが高い 74。温水プールや温浴施設を持つ場合、給湯ニーズが高い 32。MEI制度対象 12

ホテル・旅館 全規模共通 0-6時: 0.5-0.7, 7-23時: 0.8-1.0 (客室・共用部・厨房) 0-6時: 0.5-0.7, 7-23時: 0.8-1.0 夏季: 空調負荷増。冬季: 暖房・給湯負荷増。 24時間稼働。空調、照明、給湯、厨房、客室設備が主要負荷。季節変動が大きい。
オフィスビル 全規模共通 0-8時: 0.1-0.2, 9-18時: 0.8-1.0 (執務時間), 19-23時: 0.1-0.3 0-23時: 0.05-0.1 (待機電力・最低限の照明)

夏季: 空調負荷でピーク 23。冬季: 暖房負荷。

平日の日中に電力消費が集中 41。空調 (30-49%)、照明 (23-30%)、OA機器、コンセント類が主要負荷 23。太陽光発電の出力パターンと非常に相性が良い。

自動車ディーラー 全規模共通 0-8時: 0.1-0.2, 9-19時: 0.8-1.0 (営業時間), 20-23時: 0.1-0.2 0-23時: 0.05-0.1 夏季: 冷房負荷増。冬季: 暖房負荷増。 ショールームの照明、空調、整備工場の動力設備が主要負荷。EV充電設備導入により将来的に電力需要増の可能性。

注釈:上記ロードカーブテンプレートは、各業種・規模の一般的な電力消費パターンを相対値で示したものです。実際の電力消費パターンは、個々の設備構成、稼働状況、地域特性、営業時間などにより大きく変動します。30分単位のロードカーブは、1時間単位のロードカーブをより細分化したものであり、通常は1時間単位の値をそのまま30分単位に適用するか、より詳細なデータに基づいて調整します。

V. 経済効果試算のための基礎情報と計算モデル

オンサイト自家消費型太陽光発電の経済効果を正確に試算するためには、システムの基本諸元、電力消費原単位、面積換算係数、自家消費率、そしてPPAモデルの特性を理解することが不可欠です。

太陽光発電の基本諸元

  • 太陽光パネル1kWあたりの設置面積:

    • 屋根設置の場合、太陽光パネル1kWあたりの設置に必要な面積は約15~20㎡とされています 9。本レポートでは、一般的な産業用屋根設置を想定し、

      15㎡/kWを標準値として採用します。これは、パネル自体の面積だけでなく、パネル間の間隔やメンテナンススペースを考慮した現実的な数値です。

    • 野立て型(地上設置)の場合、1kWあたりの必要面積は約10~15㎡と、屋根設置よりも効率的な土地利用が可能です 10

  • 太陽光発電の設備利用率(稼働率):

    • 太陽光発電システムの年間発電量を評価する上で重要な指標が設備利用率(稼働率)です。経済産業省の基準では日本平均を13%としていますが 64、実際の稼働発電所データでは14.8%という数値も報告されています 64。本レポートでは、より実態に近い値として**14%**を標準値として採用します(2015年度以降の平均値)。

    • ただし、設備利用率は地域によって大きく異なり、例えば静岡県磐田市では21.1%を記録する一方で、秋田県南秋田郡大潟村では8.6%と低い例もあり、地域によって10%以上の差が生じることが示されています 64。また、ソーラーフロンティアのCIS太陽電池のように、メーカーによっても設備利用率に差が見られる場合があります 64。このため、全国平均値だけでなく、導入地域の気候特性(日照時間、降水量、気温)を考慮したシミュレーションが不可欠であり、メーカーごとの変換効率や温度特性も発電量に影響を与えるため、最適なパネル選定が経済効果を最大化する鍵となります。

  • モジュール変換効率と公称最大出力:

    • 太陽光パネルの性能を示す指標としてモジュール変換効率があります。これは、1平方メートルあたりの太陽光パネルの変換効率を表す指標で、以下の計算式で導き出されます。

      • モジュール変換効率=(モジュール公称最大出力(W)×100)÷(モジュール面積(m2)×1000(W/m2)) 79

    • 一般的な太陽光パネル1枚の面積は約1.7㎡で、最大出力は0.35kW(350W)程度とされています 10。これらの基本諸元を理解することで、より正確な発電量予測が可能になります。

電力消費原単位の活用

業種・規模別のエネルギー消費原単位(MJ/㎡・年 または kWh/㎡・年)は、延床面積から年間電力消費量を推定する上で重要な指標となります 27。例えば、病院のエネルギー原単位は平均で2,624 MJ/m²・年(約729 kWh/m²・年)とされています 53

エネルギー消費原単位は、業種や建物の種類、築年数、設備構成によって大きく変動するため、既存のデータがやや古い場合や、より詳細な業種・設備構成別の原単位を参照することが、試算の精度を高める上で重要となります。将来的には、AIを活用したより高精度な原単位推定モデルの構築が望まれます。

面積換算係数

  • 延床面積から屋根面積への換算係数:

    • 一般的な建物において、屋根面積は1階の床面積の約1.1~1.2倍(緩勾配/急勾配)と概算されます 58。ただし、建物が総二階でない場合や屋根の形が複雑な場合は、この概算値と実際の面積が大きく異なる可能性があります 58。本レポートでは、産業用建物の特性(平坦屋根が多い)を考慮し、延床面積の

      0.9倍を屋根面積の目安とし、そのうちの50-70%(本レポートの表では60%を採用)を太陽光パネル設置可能面積としています。

    • 工場系建築物の屋根は、商業系や宿泊施設と比較して太陽光パネル設置可能面積が最も大きく、全体の約2/3を占めるとされています 61。これは、工場が一般的に平坦で広大な屋根を持つためです。しかし、屋根の強度不足や既存設備(換気扇、室外機など)による影、建築基準法などの制約も考慮する必要があり 9、これらの制約を事前に評価し、必要に応じて補強やレイアウト調整を行うことが、最大設置可能面積を確保する上で重要となります。

  • 倉庫の容積から延床面積への換算係数:

    • 倉庫の規模を示す指標として、延床面積の他に容積(m3)や設備トンが用いられることがあります。設備トンは有効倉庫容積[m3]×0.4で換算されます 31。容積率の計算は「延床面積 ÷ 敷地面積 × 100」で表されます 80

    • 近年の物流倉庫は、土地利用効率化のため多層化が進んでおり、延床面積が敷地面積の数倍になるケースも多く見られます 29。これにより、延床面積あたりの屋根面積比率は低下します。このため、多層階倉庫では、屋根面積だけでなく、ソーラーカーポートや敷地内の遊休地活用がより重要になります 10。また、冷蔵・冷凍倉庫では、屋根の断熱性能や冷却負荷への影響も考慮する必要があります。

自家消費率と余剰電力の考え方

自家消費型太陽光発電の経済性は、発電した電力をどれだけ自社で消費できるかを示す「自家消費率」に大きく依存します。FIT制度の終了に伴い余剰電力の売電価格は低下傾向にあるため、自家消費率の最大化が経済効果を高める上で極めて重要です。蓄電池を導入することで、太陽光発電の出力が電力需要を上回る時間帯に余剰電力を貯蔵し、需要が発電量を上回る時間帯や夜間に放電することで、発電量と需要量のミスマッチを解消し、自家消費率を高めることが可能です 13

PPAモデルの経済性評価における考慮事項

PPA(電力販売契約)モデルは、初期投資ゼロで太陽光発電を導入できるため、企業の財務負担を大幅に軽減し、導入を加速させる有効な手段として急速に普及しています 13。PPA事業者から購入する電気料金は、従来の電力会社から購入するよりも割安に設定されることが一般的であり、これにより長期的な電力コスト削減が期待できます 13

PPAモデルは、初期投資の課題を解決し、自家消費型太陽光発電の導入障壁を大幅に引き下げます 13。特に、中小企業や公共施設(学校など)において、このモデルの普及が導入件数増加に貢献しています 37。今後は、PPA事業者の多様化や、蓄電池併設型PPA、VPP(仮想発電所)連携型PPAなど、より高度なサービスモデルの提供が市場をさらに拡大させるでしょう。

VI. 日本の再エネ普及加速・脱炭素における根源的課題と実効性のあるソリューション

課題の深掘り

日本の再エネ普及加速と脱炭素社会実現には、依然としていくつかの根源的な課題が存在します。これらの課題を深く理解し、実効性のあるソリューションを講じることが、持続可能なエネルギーシステム構築の鍵となります。

  • 系統制約と出力制御の現状と対策:

    • 再エネ導入拡大に伴い、特に太陽光発電のような変動型電源の増加は、送電網の容量不足や需給バランスの変動による出力制御の課題を顕在化させています 2。これは、せっかく発電した電力が無駄になるだけでなく、事業者の収益性にも影響を与え、さらなる導入の足かせとなる可能性があります。

    • 系統制約は再エネ導入の物理的なボトルネックであり、これまでのFIT制度下で顕在化してきました 2。これを克服するためには、単なる送電線増強だけでなく、蓄電池による需給調整、VPP(仮想発電所)による分散型電源の統合、そして柔軟な市場制度設計が不可欠です。自家消費型太陽光は、電力消費地で発電するため系統に負担をかけにくいという利点がありますが、余剰電力の有効活用には依然として系統との連携が必要となるため、これらの課題解決に向けた技術と制度の融合が求められます。

  • 地域との共生と事業規律の確保:

    • 大規模な再エネ導入プロジェクトにおいては、地域住民との合意形成や、景観・環境への配慮が不可欠です 2。不適切な開発や情報共有の不足は、地域社会からの反発を招き、導入への抵抗を生む可能性があります。地域との共生は、再エネ導入を円滑に進めるための重要な要素です。

  • 初期投資コストと資金調達の課題:

    • 補助金や税制優遇措置が整備されているものの、自家消費型太陽光発電設備の導入には依然として多額の初期投資が必要です。特に中小企業にとっては、この初期投資が資金調達上の大きなハードルとなる場合があります。経済的な障壁をさらに低減するための新たな金融スキームや支援策が求められます。

  • 情報不足と専門人材の育成:

    • 自家消費型太陽光発電の導入は、単なる設備設置に留まらず、電力消費パターン分析、最適なシステム設計、複雑な補助金申請、長期的な運用・保守など、多岐にわたる専門知識を要します。多くの企業が、自社の電力消費実態を正確に把握するためのノウハウや、最適な太陽光発電システムを設計・導入するための専門人材を十分に確保できていないのが現状です。

    • 補助金や税制優遇制度が複雑であること、また、各企業の電力消費パターンや屋根面積のポテンシャルを正確に把握するためのノウハウが不足していることが、導入検討の停滞を招いています 4。本レポートのような「たたき台」となる情報提供は、この情報格差を埋める一助となりますが、さらにEPC事業者側が需要家に対して、よりパーソナライズされたコンサルティングを提供できる専門人材の育成が不可欠です。

具体的なソリューションと提言

上記の課題を踏まえ、日本の再エネ普及加速と脱炭素化を実効的に推進するための具体的なソリューションと提言を以下に示します。

  • 補助金・税制優遇の戦略的活用:

    • 企業は、最新の補助金情報を常に把握し、複数の制度の併用可能性を探ることが重要です。また、税理士や専門家と早期に連携し、即時償却や税額控除など、自社にとって最適な税制優遇策を適用することで、経済的メリットを最大化すべきです。

  • PPAモデルのさらなる普及と多様化:

    • 初期投資ゼロで導入可能なPPAモデルは、特に資金調達に課題を抱える中小企業や公共施設への導入を加速させる有効な手段です。このモデルをさらに普及させるため、蓄電池併設型PPAや、VPP(仮想発電所)連携を見据えたPPAなど、多様なニーズに応えるサービスモデルの開発と提供を推進すべきです。PPAモデルは導入障壁を大幅に引き下げ、市場拡大に貢献します。

  • 蓄電池併設による自家消費率向上とBCP強化:

    • 太陽光発電の出力は日中に集中するため、夜間や悪天候時の電力需要とのミスマッチが生じます。この時間的なズレを解消し、自家消費率を最大化するために、蓄電池の併設を積極的に推奨します。蓄電池は、発電した電力を効率的に利用するだけでなく、災害時の非常用電源としても機能し、企業のBCP強化に大きく貢献します。

  • エネルギーマネジメントシステム(EMS)による最適化:

    • EMSを導入し、電力消費状況の「見える化」と「最適制御」を行うことで、無駄な電力消費を削減し、自家消費率をさらに向上させることが可能です。AIを活用した需要予測や自動制御の導入を推進することで、エネルギー利用の効率性を飛躍的に高めることができます。

  • 地域連携型再エネ事業の推進:

    • 再エネ導入を円滑に進めるためには、地域住民との共生を図り、地域経済への貢献を意識した事業モデルを構築することが不可欠です。災害時の地域への電力供給や、地域内での電力融通など、地域レジリエンス向上に資する取り組みを強化することで、地域社会との良好な関係を築き、持続可能な再エネ導入を促進します。

VII. まとめ:未来を拓くオンサイト自家消費型太陽光

本レポートでは、2025年におけるオンサイト自家消費型太陽光発電の導入ポテンシャルを、30の主要業種業態に焦点を当てて詳細に分析しました。日本の2030年再エネ目標達成には、非住宅分野における太陽光発電のさらなる導入加速が不可欠であり、自家消費型太陽光発電が提供する経済的メリットと非経済的価値(脱炭素、BCP強化、企業イメージ向上)の融合が、その強力な推進力となることを示しました。

補助金や税制優遇措置といった政策支援は導入の経済的ハードルを下げ、PPAモデルの普及は初期投資の課題を解決し、市場拡大に大きく貢献しています。しかし、系統制約、情報不足、専門人材の不足といった課題も依然として存在します。これらの課題を克服するためには、政策支援の戦略的活用、PPAモデルの多様化、蓄電池やEMSによる自家消費率の最大化、そして地域との共生を重視した事業推進が不可欠です。

本レポートで提示した業種業態・規模別の推定電力消費量、太陽光パネル設置可能面積、およびロードカーブテンプレートは、EPC事業者や需要家が、詳細なデータがなくても迅速に経済効果試算を行うための実用的な「たたき台」として活用されることを期待します。これらの基礎情報を活用し、各事業者が自社の状況に合わせた最適な導入戦略を検討することで、日本のエネルギー自給率向上と持続可能な脱炭素社会の実現に大きく貢献できるでしょう。

VIII. 参考文献・出典

IX. ファクトチェックサマリー

本レポートに記載されたデータは、経済産業省、環境省、国立教育政策研究所、日本冷凍倉庫協会、富士経済グループなど、信頼性の高い公的機関や専門調査機関の公開情報に基づいています。

特に、2025年7月時点の最新情報を優先的に参照し、補助金制度の公募期間やエネルギー消費量の統計データは可能な限り最新のものを使用しています。

延床面積や電力消費量に関する具体的な数値は、各業種の平均値や事例データから算出した推定値であり、個別の事業所の状況とは異なる場合があります。これらの数値は、あくまで「たたき台」として、導入検討の初期段階での概算に活用されることを想定しています。

太陽光パネル設置可能面積や想定発電容量の算出には、一般的な換算係数や設備利用率を用いており、実際の導入においては、屋根の強度、日照条件、設備レイアウト、地域特性などの詳細な現地調査とシミュレーションが不可欠です。

ロードカーブテンプレートは、一般的な業種特性に基づいた相対値であり、実際の電力消費パターンは個々の設備構成や稼働状況により変動します。より精緻な試算には、実際の電力データ(30分デマンドデータなど)を用いた分析が推奨されます。

無料30日お試し登録
今すぐエネがえるASPの全機能を
体験してみませんか?

無料トライアル後に勝手に課金されることはありません。安心してお試しください。

著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

コメント

たった15秒でシミュレーション完了!誰でもすぐに太陽光・蓄電池の提案が可能!
たった15秒でシミュレーション完了!
誰でもすぐに太陽光・蓄電池の提案が可能!