太陽光・蓄電池の提案における成約率に直結する「隠れた問題と見えないコスト」を解消するには?

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国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

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目次

太陽光・蓄電池の提案における成約率に直結する「隠れた問題と見えないコスト」を解消するには?

10秒でわかる要約

  • 業界の現状: 太陽光・蓄電池の提案・販売現場では、88.2%もの担当者が何らかの課題を感じています。再エネ市場拡大の追い風の裏で、「データ取得の困難」「人材・ノウハウ不足」など隠れた負担が噴出しています。

  • 10の隠れた構造課題: 調査から浮かび上がった主要なボトルネックは、「ヒアリングや現地調査の負担増大」「電力データ入手の困難」「最適な設計手法がわからない」「キャッシュフロー・ROI計算の複雑さ」「補助金申請の煩雑さ」など合計10項目です(後述)。業界関係者自身も「技術の進化に知識更新が追いつかない」(44.9%)、「専門人材が社内にいない」(38.8%)と認めており、現場対応力の限界が見えています。

  • BPO/BPaaSという解決策: こうした課題に対し、提案業務を専門チームにアウトソーシングする「エネがえるBPO/BPaaS」が登場しています。これは太陽光シミュレーションSaaS「エネがえる」の実績と、再エネBPOのプロ集団のノウハウを組み合わせたサービスで、設計支援・シミュレーション・補助金申請・研修までまとめて代行可能です。1件あたり10,000円~という単発従量課金最短即日納品と柔軟性・即応性も業界最高水準です。

  • BPO活用の効果: BPO/BPaaSを活用すれば、業務プロセスの効率化(繁忙期の外部応援・平準化)、高度な専門知識の即時投入(設計最適化や最新制度対応の専門家チーム)による提案精度向上、信頼性の向上(第三者による試算検証やシミュレーション保証の活用)など三拍子の効果が得られます。結果として提案書のクオリティ向上と成約率アップに直結し、社内リソースは新規顧客開拓や戦略業務に集中できるようになります。

  • 導入と今後: 小さく始める場合は次の案件で1件だけ試しにBPO発注してみるのがお勧めです。その効果を検証し、ワークフローに組み込むことで約1か月で常態化できます。既に大手から中小まで全国700社以上がエネがえるサービスを導入しており、業界標準になりつつあります。将来的にはAIとBPOの連携によるBPaaS高度化も予定されており、提案業務の在り方が根本から変革されようとしています。


再エネ市場拡大の光と影:業界は今なぜ課題山積みなのか?

近年、脱炭素社会に向けた世界的な流れの中で、太陽光発電市場は歴史的な拡大局面にあります。COP28後の国際的な合意も後押しとなり、投資マネーが一気に分散型エネルギーに流れ込みました。

日本国内でも電気料金高騰や再生可能エネルギー導入の義務化により、産業用から家庭用まで太陽光・蓄電池の案件数は急増しています。一方で、その“”の裏側にはいくつもの“”、すなわち現場の構造的な課題が存在しています。

国際航業の調査によれば、太陽光・蓄電池の提案・販売業務に携わる担当者の88.2%が現在何らかの課題を実感している状況です。この数字は単なる統計以上に、急成長する再エネ市場において現場対応力が逼迫している現実を物語っています。実際、「非常に多くの課題を感じている」が35.5%、「ある程度課題を感じている」が52.7%にのぼり、大半の事業者が何らかのボトルネックに直面していることがわかります。

では、具体的にどのような負担が現場を蝕んでいるのでしょうか。調査データを紐解くと、表面的な「忙しい」「人が足りない」という声の背後に、業界全体を揺るがす三つの深層シグナルが浮かび上がってきます。

第一のシグナル:業務負荷の質的転換 – 太陽光ビジネスが単なる機器販売から「包括的なエネルギーソリューション提案」に転換したことで、営業現場の業務は格段に複雑化しています。調査でも特に工数がかかるフェーズとして「ヒアリングや現地調査」(41.8%)と「電力需要データ(30分値デマンド)の入手」(37.3%)が上位に挙がりました。

これらは以前であれば重視されなかった高度な分析・コンサルティング要素であり、単なる機器説明よりも専門知識と時間を要する業務に変貌しています。営業担当者はお客様の現状や電力使用状況を詳細にヒアリングし、電力会社から需要データを取得して分析する必要がありますが、これが大きな負担になっているのです。

第二のシグナル:ナレッジギャップ(知識格差)の深刻化 – 製品や補助制度の進化が早く、社内の知識アップデートが追いつかない問題も浮き彫りです。調査では「職場の太陽光・蓄電池に関する知識が十分ではない」と答えた人が44.6%にのぼりました。さらに、「知識が不十分」と感じる理由として最多だったのは「製品や技術の進化が速く、知識のアップデートが追いつかないから」(44.9%)で、次いで「専門知識のある人材を採用できていないから」(38.8%)が挙げられています。

これは単なる研修不足や人不足というより、技術革新のスピードが人材育成サイクルを上回っているという構造問題です(単に人を増やしても解消できない知識格差問題)。特に中小の販売施工店ほど最新情報の収集や人材育成に避けるリソースが乏しく、現場と技術トレンドのギャップが広がっています。

第三のシグナル:外部委託への意識変化 – 課題解決のために業務の外部化(アウトソーシング)を前向きに検討する土壌が生まれつつある点も見逃せません。例えば「太陽光・蓄電池の設計レポート作成」について、「1件あたり3万円未満なら委託してもよい」という回答が半数以上を占めたとの調査結果があります。従来は提案書作成や設計業務は自社内で完結するのが当たり前という風潮がありました。しかし昨今では、「ここまで手間がかかるなら専門家に任せたい」という意識への転換が進んでいることを示唆しています。

これは裏を返せば、業務負荷に対する危機感と、外部リソース活用への期待感が高まっている証拠と言えるでしょう。実際、国際航業の別調査では「再エネ販売施工会社の約9割が技術人材不足に悩み、約8割が提案書作成の負担で顧客対応が遅れている」という深刻な実態も報告されています。もはや問題解決には従来の延長線上の工夫では限界があり、発想を転換した抜本策が求められているのです。

以上の三つのシグナルから浮かぶのは、「第四次再エネ拡大期」とも呼べる現在の市場成長を業界内の体制が支えきれていないという構図です。投資環境は追い風でも、現場の人材・ノウハウ・プロセスが追いつかない二重構造が、このままでは業界全体の持続的成長を阻害しかねません

では具体的に、現場の「隠れた負担」とは何なのか、次章で10の課題として詳細に解剖し、それぞれに対する解決のヒントを探ります。

10大「見えない負担」徹底解剖:太陽光提案業務の構造的ボトルネック

前述の調査結果や業界の声をもとに、太陽光・蓄電池提案業務に潜む代表的な10の課題を抽出しました。

これらは現場の担当者が日々「なんとかしたい」と感じつつも、従来のやり方では解決が難しいため半ば諦めかけている厄介な問題群です。一つひとつ見ていきましょう。

問題1:データ砂漠問題 – 必要な情報が手に入らない現実

提案シミュレーションの精度を左右するのが、顧客の電力使用データです。しかし中小企業や施設によっては30分ごとのデマンドデータを入手するのに一苦労というケースも多く、まさに「データの砂漠」に苦しんでいます。調査でも「電力需要データ(30分値)の入手」に37.3%もの人が工数がかかると答えています。電力会社への依頼や顧客側での検針データ取得には時間がかかり、データがなければ正確な経済効果試算はできません。結果として不十分なデータに基づき粗い提案を行わざるを得ず顧客からの信頼低下や提案後の想定ズレに繋がるリスクもあります。

課題の本質: 再エネ提案に必要な情報インフラが未整備で、データ取得に過度なマンパワーを要していることです。大手電力会社のシステム連携やスマートメーターの活用が進めば改善も期待できますが、現状では情報アクセス性の悪さがボトルネックになっています。

問題2:ヒアリング地獄問題 – 現地調査と聞き取りに追われる

顧客先の電気設備や建物状況を把握するための現地調査や、導入意向・要件を洗い出すためのヒアリングは不可欠ですが、大きな負担です。「ヒアリングや現地調査」に工数を取られると感じている担当者は41.8%にも上り、最も時間・労力がかかるフェーズに挙げられました。特に自家消費型の産業用案件では工場やビルを何度も訪問し、配電盤や屋根の形状を確認し、関係者の要望を調整する必要があります。このプロセス自体は省略できませんが、一案件あたりの日数が増える→処理できる案件数の減少につながり、ビジネス機会の逸失要因にもなっています。

またヒアリング不足による提案の行き違いを避けようとするあまり、慎重になり過ぎて商談サイクルが長期化するケースもあります。営業担当者にとっては「早く提案書を出して契約に進みたい」のに、現地確認事項や聞き取り事項が山積して前に進めない——まさにヒアリング地獄とも言える状況です。

課題の本質: 提案の前提となる情報収集フェーズにおいて、人手に頼ったアナログな作業が多く効率化しづらい点です。経験が浅いスタッフだと重要ポイントの聞き漏らしも起きやすく、属人的なばらつきも抱えています。

問題3:ブラックボックス設計問題 – 最適なシステム容量がわからない

太陽光パネル何kW、蓄電池何kWhがベストか――提案における最適容量の算出は頭を悩ませる作業です。顧客の負荷特性や電気料金プラン、屋根面積、予算制約など考慮すべき要素が多岐にわたるため、経験と勘に頼っているケースも少なくありません。調査では、自社内で設計対応している企業の66.7%「太陽光や蓄電池の容量の最適化方法が分からない」という課題を挙げています。つまり3社に2社は適正容量が算出できていない可能性が示唆されます。

また、「設計後の提案資料作成が負担」(33.3%)という声もあり、設計→提案書化までの一連のプロセスがブラックボックス化して属人化している実態も伺えます。特定のベテラン社員だけがノウハウを持ち、それが共有されないままでは、組織としての提案力向上も頭打ちになります。

課題の本質: 設計業務がアート(属人的作業)的要素に留まり、定量的な最適化ツールやノウハウが不足していることです。結果として、提案の根幹である「このプランがベスト」という説明が曖昧になり、顧客への説得材料にも自信が持てないという悪循環に陥ります。

問題4:マルチバージョン提案書問題 – 提案書の無限差し戻しループ

提案書の作成・修正作業も見えない負担の一つです。顧客から「もう少し容量を増やした場合は?」「別の条件でもシミュレーションして欲しい」と要望が出るたび、提案書のバージョンを作り直す手間が発生します。調査では「見積書・提案書の差し戻しや出し直し」を工数がかかる業務に挙げた人が14.5%いました。数字上は多く見えないかもしれませんが、提案経験者なら一度は味わったことがある厄介事ではないでしょうか。

特に提案書のフォーマットが統一されておらず個々人がExcelやPowerPointで作成している場合、修正のたびにコピペミスや数値整合性のチェックに神経を使います。また複数案を並行検討する際に、それぞれの提案書を維持管理するのも煩雑です。提案段階が長引くほど提案書バージョンが乱立し、管理不能になるリスクが高まります。

課題の本質: 提案書作成における非効率とミスの温床です。ツールやテンプレートの整備が不十分だと人手と注意力に頼るしかなく、生産性を下げるだけでなく誤記載による信頼低下のリスクも孕んでいます。

問題5:キャッシュフロー計算迷宮問題 – CFシミュレーションの複雑化

太陽光・蓄電池の投資対効果を示す上で、キャッシュフロー(CF)のシミュレーションは欠かせません。初期投資、電気代削減効果、売電収入、メンテナンス費、減価償却、税効果…と変数は多く、年次のキャッシュインフロー・アウトフローを積み上げてROIや回収年数を算出する作業は極めて煩雑です。案の定、「CFの算出作業」に負担を感じる担当者は41.5%にも上りました。

特に事業投資としての提案では、顧客の経営層や金融機関に納得してもらうため、20年分など長期のキャッシュフロー表を提示することもあります。微妙な前提条件の違いで結果が大きく変わるため、慎重に検算を重ねる必要があり、その労力は計り知れません。担当者からすれば「まるで迷宮に迷い込んだような複雑さ」と感じても不思議ではありません。

課題の本質: CFシミュレーションにおける手計算・手作業の限界です。高度な財務知識と表計算スキルが要求され、ミスがあれば提案の信頼性に直結するプレッシャーもあります。一部の大企業では専用ソフトや社内ツールを整備していますが、多くの企業では個人のExcelに依存しており、属人化・ミスのリスクが残ります。

問題6:ROI数式恐怖症問題 – 投資指標の計算・説明の壁

提案内容を評価する指標として投資回収年数(Payback Period)ROI(投下資本利益率)などが用いられますが、これらの計算式や意味合いを正しく理解・説明できる人材が不足しています。「ROIや投資回収期間を算出する計算式が煩雑」と感じている担当者は35.1%に上り、3人に1人以上が投資指標の算出に苦労している実態があります。

算出自体はExcelの関数で可能でも、その結果を顧客に平易に伝えること別のハードルです。例えばIRRひとつ取っても、「何%以上なら有利」といった基準を顧客が持ち合わせていない場合、数字だけ示してもピンと来ないでしょう。結果、営業担当者は専門用語の説明に四苦八苦し、「自分も完全に理解して説明できているのか不安だ…」という心理的負担を抱えがちです。

課題の本質: 再エネ提案が金融・投資の領域に踏み込んだことによるスキルギャップです。技術系出身の社員にとっては財務知識の習得が負担であり、逆に金融出身の社員にとっては電気技術の理解が負担になるというように、求められる知識範囲が広がり過ぎています。その結果、ROI等の数式に苦手意識を持ち、提案で深掘りした話ができないケースが増えています。

問題7:補助金迷路問題 – 助成制度対応の極度な煩雑さ

再生可能エネルギー関連の導入には国や自治体の補助金・助成金制度が数多く存在します。これ自体は追い風の材料ですが、申請手続きや要件確認膨大な手間がかかるため、営業・事務担当者にとっては頭の痛い問題です。調査でも「提出書類のチェックや修正に時間を取られる」(40.0%)、「書類作成の内容や形式が分かりにくい」(34.5%)、「顧客への説明が難しい」(30.9%)など、補助金対応に様々な課題を感じていることが分かりました。

補助金は募集期間や予算上限が限られており、短期間で書類一式を整えねばならないプレッシャーもあります。制度ごとに異なる申請様式や要求資料を読み解くのは専門知識が必要で、ミスがあれば不採択や差し戻しとなり顧客にも迷惑をかけてしまいます。まさに「補助金の迷路」に迷い込んだような複雑さで、多くの販売施工店が対応に苦慮しています。

課題の本質: 制度情報の分散と更新頻度の高さです。国・自治体・電力会社それぞれが独自制度を出すため情報源が多数に及び、しかも制度改定が頻繁でキャッチアップが容易でありません。結果として、「制度に詳しい人」が社内にいないと対応できず、その人に業務が集中する偏りも生じています。

問題8:知識アップデート瞬間蒸発問題 – 技術進歩と教育のギャップ

太陽光・蓄電池技術の進歩新商品の登場スピードは年々増しています。ペロブスカイト等の高性能パネルや次世代蓄電池、V2H(Vehicle to Home)や仮想発電所(VPP)など、新しい知識をキャッチアップするのは大変です。調査結果でも、社内の知識不足の理由として「製品・技術の進化が速く知識更新が追いつかない」(44.9%)がトップであり、現場の勉強が瞬く間に陳腐化してしまう状況が伺えます。

さらに「研修に割く時間的余裕がない」(30.6%)や「体系的な教育の仕組みがない」(26.5%)という声もあり、せっかく新人教育や勉強会をしても、その効果が日々の忙しさの中で蒸発してしまう様子が浮かびます。最先端の蓄電池制御や電力市場動向などまでカバーするのは難しく、結果として現場は手探りで提案→間違いがあってもフィードバックされず放置、という悪循環も起きかねません。

課題の本質: 継続的な人材育成への投資不足とスピードミスマッチです。中小企業ほど人材育成コストの回収が難しく、せっかく育てても辞めてしまうリスクもあるため積極投資しづらい面があります。また、情報源が散在し体系立てて学べる場が少ないことも問題です。結果として、「なんとなく我流で提案している」担当者が増え、提案品質のばらつきや誤った情報提供に繋がるリスクがあります。

問題9:人材枯渇問題 – 構造的な人手不足の深刻化

日本全体で少子高齢化・働き手不足が叫ばれる中、再エネ業界も例外ではありません。むしろ、急拡大する需要に対して専門人材の供給が追いつかず、慢性的な人材不足に陥っています。「専門知識のある人材を採用できていない」(38.8%)との回答や、「設計を担える人材が不足している」(21.4%)という指摘がある通り、多くの企業が担い手の確保に苦戦しているのが実情です。

特に地方の販売施工店では、都市部に比べて人材獲得競争力が弱く、経験者どころか未経験の若手すら集まらないケースもあります。結果として少数のベテランが抱え込む形となり、属人的で休みも取りづらい環境が生まれ、さらに人が定着しないという悪循環に陥ります。

実際、冒頭で触れた調査※では「再エネ販売施工会社の約9割が技術人材不足に悩んでいる」というショッキングなデータもあります。この問題は一企業の努力では解決困難な構造的課題であり、業界横断での人材育成スキームや外部リソース活用策が求められています。

課題の本質: 人材という経営資源の逼迫です。新規参入企業が増える中で有資格者・有経験者の奪い合いが起き、中小ほど不利になります。加えて、社内で育てるにも前述の知識蒸発問題があり、即戦力を外から採るにも限界がある。結果として、「人がいないから仕事を断る」という機会損失すら発生しかねない深刻な状況です。

問題10:繁閑スパイク問題 – 需要変動とリソース過不足

太陽光・蓄電池ビジネスには季節要因制度変更による繁閑の波があります。例えば年度末の駆け込み需要や補助金申請期限前には案件が殺到し、一方で真夏や真冬は商談が落ち着くといった具合です。この波に合わせて人員を増減できないため、繁忙期には対応しきれず機会損失、閑散期には人件費が遊んでしまうという非効率が発生します。調査でも「繁忙期と閑散期の差が大きく対応が難しい」(16.7%)、「設計業務の繁閑差が大きい」(13.1%)との声が挙がっています。

特に中小企業では少人数チームのため、忙しい時は残業や臨時アルバイトでしのぎ、暇な時は営業に出るなど場当たり的な対応になりがちです。本来であれば人員計画を平準化したいところですが、需要の波は読みづらく、人も設備も簡単には弾力的に調整できません

課題の本質: ビジネス特性上避けられない需要変動とリソース固定費のミスマッチです。特に提案・設計といったバックオフィス業務は受注高に直接連動しないため、経営上はコストセンター扱いになり、人員増強の判断が遅れやすい面もあります。その結果、案件が取れそうでもリソース不足で対応しきれない閑散期に人材を遊ばせておけず退職につながる、といった経営課題にも波及します。

以上、10項目にわたり太陽光・蓄電池提案業務の「見えない負担」を見てきました。どれか一つでも心当たりがあれば要注意です。

多くの企業はこれら複合的な課題に直面し、表には出さず懸命にやり繰りしているのが実情でしょう。しかし幸いなことに、これらの課題を一挙に解決しうるアプローチが近年注目を集めています。それが次に述べるBPO/BPaaS(再エネ業務丸ごとアウトソーシング+サービス化)というソリューションです。

解決策:提案業務の戦略的外部化「BPO/BPaaS」とは何か

上記のような構造的課題に直面したとき、カギとなるのは発想の転換です。自社の中だけで抱え込んでいては、時間も人も足りない。そこで今、業務そのものを専門家チームにアウトソーシングするBPO (Business Process Outsourcing) が再エネ業界で脚光を浴びています。さらにクラウドサービスと組み合わせて業務をサービス化するBPaaS (Business Process as a Service)モデルも登場しつつあります。

国際航業とエコリンクスが共同提供する「エネがえるBPO/BPaaS」はまさにこの代表例です。本サービスでは、これまで社内で行っていた提案前工程のほぼすべてをプロの第三者に任せることができます。その内容は以下の4分野に及びます:

  1. 設計支援・レイアウト作図代行: システム容量算出から屋根へのパネル割付図面作成まで、基本設計業務を代行。

  2. 経済効果シミュレーション・診断レポート作成: クラウド型シミュレーター「エネがえる」を用いて、高精度の発電量予測・収支シミュレーションを実施し、報告書を迅速作成。住宅用、産業、EV・V2H提案まで。

  3. 補助金・系統連系申請代行: 面倒な再エネ補助金申請書類作成や経産省への設備認定・系統連系手続きを専門チームが代行。

  4. 教育研修サービス: 太陽光・蓄電池の基礎から応用、さらには「エネがえる」の操作方法まで、オンライン/オフライン研修を提供(人材育成支援)。

ご覧の通り、ヒアリング/現調以外の提案業務フローは丸ごとカバーされています。つまり前章の課題でいえば、問題1と2以外の問題3~10に直接アプローチ可能なサービスなのです。この包括ぶりは「部分最適ツールでは限界に達した業界に対する、唯一の完全解決策」とも評され、注目を集めています。

さらに特徴的なのは、その提供形態の柔軟さです。1件単位・必要なときだけ依頼でき、料金も初期費用0・月額固定費0完全成果物課金となっています。例えば「経済効果シミュレーション+提案書作成」を1件お願いしても1万円台~で済み、しかも最短当日~1営業日程度で納品されます。このスピードと低コストは自前では到底真似できません。またWeb発注にも対応しており、必要事項をオンラインフォームに入力するだけで依頼が完了する手軽さも魅力です。

では、こうしたBPO/BPaaSサービスを活用すると具体的にどんなメリットがあるのでしょうか。大きく三つのレバレッジ(てこ)的効果に整理できます。

  • ① 業務レバレッジ(プロセス効率の飛躍的向上): 外部専門チームの活用によって、ボトルネックだった作業が一気にスピードアップします。例えばシミュレーション+提案書作成を依頼すれば、社内で数日かけていた作業が最短即日で戻ってくるため、提案リードタイムが大幅短縮します。繁忙期でもリソースを外部から弾力的に補充できるので、案件取りこぼしを防ぎつつ社内残業も削減できます。また標準化されたアウトプットにより品質も安定し、差し戻しややり直し(問題4)が激減します。まさに“業務生産性のテコ入れ”効果です。

  • ② 知識レバレッジ(専門知見の即時注入): BPOチームには太陽光・蓄電池提案のエキスパートが揃っており、最新の制度動向や技術トレンドも踏まえた成果物を出してくれます。社内に専門人材がいなくても「知識ごと買う」形で、高度な設計ノウ-howや精緻な投資分析結果を得られるのです。例えば最適容量の算出(問題3)や複雑なCF/ROI計算(問題5・6)も、ブラックボックスを一瞬でホワイトボックス化してくれます。さらにアウトプットを通じて社内メンバーが学ぶ機会にもなり、継続利用すれば自社の提案力向上にもつながるでしょう。

  • ③ 信頼レバレッジ(提案の説得力・安心感向上): 外部の専門家が関与した試算や資料は、客観性が増すため顧客からの信頼感も高まります。エネがえるでは試算結果に対し発電量の一部保証を付けるオプションもあり、金融機関など第三者への説明資料としても強力です。また提案資料のクオリティが上がり数字の裏付けもしっかりすることで、顧客からの質問にも自信を持って回答できます。つまり提案内容への確信度が増し、堂々と営業できるようになる効果です。これは裏を返せば、「本当にこの試算あっているかな…」という担当者自身の不安も減り心理的負担軽減にもなります。

以上のように、BPO/BPaaS活用は単なる外注ではなく、「業務効率」「知識活用」「信頼性」の3点でレベルを一段引き上げる施策なのです。従来の部分的なITツール導入や人海戦術による残業対応とは次元が異なり、構造問題に対する構造解として機能します。提案業務そのものの在り方を再設計することで、競合他社に対する優位性(より速く・より的確な提案ができる)が生まれ、ひいては受注率アップ・収益改善に直結します。

導入ロードマップ:BPO活用を自社に根付かせるには

とはいえ本当にうまくいくのか?まず何から始めればいいのか?」と不安に思われる方もいるでしょう。そこで、BPO/BPaaS導入の大まかなロードマップを示します。

Phase 1:パイロット導入(初回トライアル) – まずは次の案件で1件だけBPOサービスを利用してみることをお勧めします。小規模でも構いません。例えば現在進行中の商談で、一部タスク(シミュレーションや図面作成など)を発注してみます。実際に外部成果物を受け取ることで、そのクオリティやスピードを自社メンバーが体感できます。ここで重要なのは、結果を定量評価することです(所要日数の短縮具合、提案書品質向上の度合い、社内工数何時間削減など)。評価の結果、「これは使える」と判断できれば次に進みます。もし初回で課題が出た場合でも、フィードバックをBPOチームに伝えることで改善が期待できます。

Phase 2:部分的な定常利用(ワークフロー組み込み) – パイロット成功後は、標準営業フローの中にBPO発注プロセスを組み込みます。例えば提案シミュレーションが必要な場合は必ずまずBPO検討→条件に合えば発注、というようにルール化します。最初は主要業務の一部だけでも構いません(例:繁忙期の設計業務だけ外注、特定エリアの案件だけ外注など)。社内の営業・技術フローとBPOチームとのコミュニケーションフロー(発注書式や納期調整など)を確立し、数週間~1ヶ月ほど運用してみます。おそらくこの段階で社内のメンバーも外部アウトプットの活用に慣れ、違和感が薄れてくるでしょう。

Phase 3:全面活用とBPaaSへの拡張 – 最終的には、提案業務の外部化をフルに活用した新たな営業体制を構築します。社内にはコア人材を配置しつつ、それ以外の繰り返し業務やピーク時負荷はすべてBPOに流すイメージです。加えて、可能であればエネがえるASPエネがえるBizエネがえるEV・V2HなどSaaSツールとBPOサービスを連携し、半自動的に発注・納品物取り込みができるようにすると理想的です(初回の提案書は代行で。その後の修正はSaaSで自社でできる等がBPaaSの良さ)。こうすることで、人がいちいち依頼しなくとも、案件登録→自動でシミュレーション依頼→結果データ自社システムに格納、といったシームレス化も実現できます。ここまで来れば社内業務プロセスと外部サービスが一体化したハイブリッド体制となり、提案業務のキャパシティは実質無制限にスケールします。

このロードマップは一例ですが、重要なのは「まずは小さく試し、良ければ徐々に広げていく」ことです。BPO活用は決して難しいIT導入ではなく、人の専門性を借りる話なので、今日からでも試せるのが利点です。現に、既に全国各地の大手から中小まで多くの企業が続々とこのサービスを活用し始めています。最初の一歩を踏み出すハードルは思いのほか低いので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

企業規模・ユースケース別:BPO活用のポイント

最後に、読者の皆様の企業規模や立場ごとに、エネがえるBPO/BPaaS活用のメリットを整理してみます。自社の状況に照らし合わせ、具体的なイメージを持っていただければ幸いです。

◆中小の販売施工店(従業員~数十名規模): 技術者や専任担当が少ない中小企業にとって、BPOは“即戦力人材を必要な分だけ雇う”感覚で使える心強い味方です。特に専門知識が不足しがちな設計・シミュレーション業務をアウトソーシングすれば、社長や営業担当が夜な夜なExcelと格闘していた状況(問題3,5,6)が解消します。少人数ゆえに繁忙期は業務が回らなくなるリスクも、外部リソースで平準化できます。また最新制度情報や補助金対応も任せられるため、小規模でも大企業並みの提案内容を実現可能です。「うちは規模が小さいから大した提案はできない…」というハンデを一気に取り払えるでしょう。

◆大手エネルギー企業・EPC・商社等(従業員数百~数千規模): 組織内に技術部隊やツールを持つ大企業でも、BPOの活用価値はあります。例えば新事業展開で一時的に提案案件が急増する場合や、人事異動で担当者が手薄になった拠点が出た場合に、迅速に穴を埋めることができます。第二の意見(セカンドオピニオン)としてBPOを使う方法も有効です。自社で作成したプランを外部専門家にチェック・ブラッシュアップしてもらえば、提案精度と信頼性がさらに高まります。また社内ではコストに見合わず手がけていなかった小口案件や遠隔地の案件も、外部代行を組み合わせれば対応可能となり、取りこぼしていたビジネスを拾えるようになります。

◆住宅メーカー・不動産・電力会社など関連業界: 本業ではないが付加価値サービスとして太陽光提案を扱うケースでは、BPOサービスとの親和性が高いです。例えば住宅メーカーが自社物件オーナー向けに蓄電池提案を行う際、社内に専門部署を持たなくてもBPOに丸投げで完結できます。自社ブランドの裏でプロが支えている形にすることで、顧客満足度を落とさず提供可能です。電力会社やガス会社が顧客向けにPV提案を行うケースでも、営業は自社スタッフで行い書類作成やシミュレーションはBPOに任せるといった住み分けが効率的です。「サービスとして太陽光提案も扱いたいが自前では難しい」という企業にとって、BPaaSは新サービス立ち上げの最短ルートとなるでしょう。

◆経営層・営業責任者の視点: マネジメントの立場から見ると、BPO活用は事業戦略上のレバレッジになります。提案件数の増減に柔軟に対応できるため計画を立てやすく、固定人件費を増やさずに売上拡大を狙えます。人材採用や育成には時間とコストがかかりますが、BPOならそのリードタイム無し即座に「人」を増やすようなものです。しかも契約や教育リスクも無いため、非常に機動的です。営業責任者にとってはチームの残業や疲弊を減らしつつ受注率を上げる手段となり、経営層にとっては事業収益性の改善とリスク分散につながります。「アウトソースしてでも粗利を取りに行く」発想が、これからの業界競争で生き残る鍵となるでしょう。

以上、様々な観点からBPO/BPaaSの意義を見てきましたが、共通して言えるのは「自社リソースの延長ではなく、外部の力を積極的に使い倒す」ことが今後益々重要になるという点です。太陽光・蓄電池の普及拡大という大きな使命を前に、個々の企業が抱えるリソースには限りがあります。

業界全体で見れば、人材シェアや専門サービス活用によって全体最適を図る動きは必然の流れと言えるでしょう。

まとめ:提案業務BPOは業界構造転換のカギ

太陽光・蓄電池販売・施工事業者向けに、提案業務の課題と解決策を見てきました。88.2%が課題を感じるという現場の悲鳴から出発し、ヒアリング負担、データ不足、設計最適化の難しさ、投資計算や補助金対応、人材不足に至るまで、従来は見過ごされがちだった10の問題を洗い出しました。これらはいずれも再エネ業界が次のステージに進む上で避けて通れない構造的ボトルネックです。

しかし同時に、「解決のカギはBPOにあり」という調査回答にもあった通り、既に業界では戦略的外部化へのシフトが始まっています。

エネがえるBPO/BPaaSに代表されるサービスは、単なる便利ツールではなく業務そのものを変革するソリューションです。実際、本記事で取り上げたように、提案業務の外部委託は生産性・専門性・信頼性の向上を同時にもたらし、従来の内製主義では得られなかったスケールメリットを発揮します。

今、求められているのは「抱え込まない勇気」です。 自社にノウハウがないなら外から借りればいい人手が足りないなら外部の手を積極的に借りる。そうすることで現場の負担は確実に軽減され、目の前の案件獲得に全力投球できる環境が整います。

BPO/BPaaSという仕組みは、再エネ業界におけるニューノーマル(新常態)になっていくでしょう。

最後にもう一度提案します。ぜひ「次の案件でまず1件だけエネがえるBPOで作業の代行を発注してみる」ことから始めてみてください。その瞬間、現場がふっと軽くなるのを感じ、新たな成長軌道への扉が開かれるはずです。

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ファクトチェック・出典まとめ

  • 課題を感じている企業割合: 太陽光・蓄電池提案業務で「課題あり」と感じる担当者は88.2%。

  • 工数のかかる業務: 「ヒアリング/現地調査」が41.8%で最多、「電力需要データ入手」37.3%が続く。

  • 設計業務の課題: 66.7%が「太陽光・蓄電池の容量最適化方法が分からない」と回答。

  • シミュレーション業務の負担: CF算出作業に41.5%、ROI/IRR計算の煩雑さに35.1%が負担を感じる。

  • 補助金対応の課題: 書類チェック等に時間取られると40.0%が回答。制度内容が分かりにくいも34.5%。

  • 社内知識不足の実態: 44.6%が社内の太陽光・蓄電池知識は「不十分」と回答。原因は「技術進化速くアップデート追いつかない」(44.9%)、「専門人材採用できない」(38.8%)など。

  • 人材不足の深刻さ: 別調査では販売施工会社の約9割が技術人材不足、約8割が「提案書作成の負担で顧客対応が遅れる」と回答。

  • 外部委託への意向: 設計レポート作成は「1回3万円未満なら外部委託したい」が過半数に上る。

  • BPOサービス内容: 「エネがえるBPO/BPaaS」は設計代行・試算レポート代行・補助金申請代行・研修提供を包括。1件から発注可能で最短即日納品、料金1件1万円~。

  • BPO活用の効果: 販売施工事業者にとって、繁忙期の外部補完・提案書の質向上・業務負荷軽減による新規商談創出などのメリットがある。既に全国で700社以上がエネがえるシリーズを導入済み。

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著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

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たった15秒でシミュレーション完了!誰でもすぐに太陽光・蓄電池の提案が可能!
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