目次
- 1 地球温暖化対策推進法(温対法)に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の完全解説ガイド
- 2 温対法の基本概念と制度設計
- 3 法律の成立背景と目的
- 4 温室効果ガスの定義と種類
- 5 制度の基本理念と2050年カーボンニュートラル
- 6 温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の詳細構造
- 7 制度の目的と仕組み
- 8 対象事業者の分類と要件
- 9 特定事業所排出者A(エネルギー起源CO₂)
- 10 特定事業所排出者B(非エネルギー起源温室効果ガス)
- 11 特定輸送排出者
- 12 最新の報告実績データ
- 13 2025年度からの制度改正と算定方法の変更
- 14 デジタル化の推進と報告期間短縮
- 15 2025年度からの算定方法変更の詳細
- 16 直接排出と間接排出の区別
- 17 基礎排出係数の変更
- 18 事業所単位での情報公開
- 19 算定方法と数式・計算ロジックの詳細解説
- 20 基本的な算定式
- 21 エネルギー起源CO₂の算定式
- 22 電気使用に伴うCO₂排出量算定
- 23 他人から供給された熱の使用
- 24 燃料燃焼に伴うN₂O排出量算定
- 25 地球温暖化係数による換算
- 26 調整後排出量の算定
- 27 サプライチェーン全体での排出量把握
- 28 GHGプロトコルとスコープ分類
- 29 Scope 1(直接排出)
- 30 Scope 2(間接排出)
- 31 Scope 3(その他の間接排出)
- 32 実務的な対応方法とシステム活用
- 33 省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム(EEGS)
- 34 報告書作成支援ツールの終了と移行
- 35 算定マニュアルの活用
- 36 企業への影響と戦略的対応
- 37 ESG投資との関連性
- 38 太陽光・蓄電池導入による排出削減効果の可視化
- 39 中小企業への影響と対策
- 40 地方公共団体実行計画制度との連携
- 41 区域施策編と事務事業編
- 42 事務事業編(全地方公共団体が対象)
- 43 区域施策編(都道府県・政令市・中核市が対象)
- 44 地域脱炭素化促進事業計画・認定制度
- 45 国際的な動向と日本の位置付け
- 46 パリ協定との整合性
- 47 諸外国の制度との比較
- 48 技術革新と制度の発展
- 49 デジタル技術の活用
- 50 カーボンクレジット市場との統合
- 51 今後の制度発展と課題
- 52 Scope 3報告の義務化検討
- 53 中小企業への制度拡大
- 54 国際的な制度調和
- 55 実践的なFAQ
- 56 Q1: 報告義務の判定方法は?
- 57 Q2: 報告期限はいつですか?
- 58 Q3: 虚偽報告や未報告の罰則は?
- 59 Q4: 海外事業所は報告対象になりますか?
- 60 Q5: 省エネ法との重複はありますか?
- 61 結論:持続可能な企業経営への戦略的アプローチ
- 62 参考資料・出典リンク集
地球温暖化対策推進法(温対法)に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の完全解説ガイド
地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度は、2050年カーボンニュートラル実現に向けた我が国の重要な政策ツールです。本制度は温室効果ガスを相当程度多く排出する事業者(特定排出者)に対し、自らの排出量算定と国への報告を義務付け、その情報を国が集計・公表する仕組みです12。2022年の改正により、デジタル化の推進、事業所単位での情報公開、地域脱炭素化の促進など抜本的な見直しが図られました34。特に2025年度からは算定方法が大幅に変更され、直接排出と間接排出の区別、非化石証書等を反映した基礎排出係数の導入により、より精緻な排出量把握が可能となります18。企業にとって本制度への対応は、ESG投資の呼び込み、競争力向上、そして持続可能な経営戦略の構築に直結する重要課題となっています。
温対法の基本概念と制度設計
法律の成立背景と目的
地球温暖化対策の推進に関する法律は、1997年の京都議定書採択を受けて1998年に制定された法律です116。当時、地球温暖化問題への国際的関心が高まり、先進国による温室効果ガス排出削減義務が定められたことで、日本でも緊急的な対応が求められました。
法律の目的は、第1条において「地球温暖化が地球全体の環境に深刻な影響を及ぼすものであり、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ地球温暖化を防止する」ことと明記されています1。この目的達成のため、社会経済活動による温室効果ガス排出の抑制等を促進する措置が講じられています。
温室効果ガスの定義と種類
温対法では、対象となる温室効果ガスを以下の7種類と定義しています12:
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二酸化炭素(CO₂) – 代表的な温室効果ガス、化石燃料の燃焼等から発生
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メタン(CH₄) – 稲作、家畜の腸内発酵、廃棄物埋立等から発生
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一酸化二窒素(N₂O) – 燃料燃焼、工業プロセス等から発生
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ハイドロフルオロカーボン類(HFCs) – エアコン・冷蔵庫の冷媒等
-
パーフルオロカーボン類(PFCs) – 半導体製造プロセス等
-
六ふっ化硫黄(SF₆) – 電気の絶縁体等
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三ふっ化窒素(NF₃) – 半導体製造プロセス等
これらのガスは、それぞれ異なる地球温暖化係数を持ち、CO₂を基準(係数1)として温暖化への影響度が数値化されています1。
制度の基本理念と2050年カーボンニュートラル
2021年の改正により、温対法には新たに基本理念が設けられ、「2050年までの脱炭素社会の実現」が法律に明記されました35。この改正は、2020年の菅義偉元首相による「2050年カーボンニュートラル」宣言を法的に位置付けるものです。
基本理念では、脱炭素社会の実現が「国民・国・地方公共団体・事業者・民間の団体等の密接な連携の下に行われなければならない」と規定し、全国民がカーボンニュートラルの関係者であることを明確化しています3。
温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の詳細構造
制度の目的と仕組み
温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度は、2006年4月1日から施行された制度で、温室効果ガスを相当程度多く排出する事業者(特定排出者)に対し、自らの排出量算定と国への報告を義務付けています89。
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事業者の自主的取組促進:各事業者が自らの排出実態を把握し、排出抑制対策の立案・実施・評価・改善のPDCAサイクルを回すこと
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透明性向上と気運醸成:算定された排出量を国が集計・公表することで、事業者の比較検討と対策見直しを促し、国民全体の排出抑制への関心を高めること
対象事業者の分類と要件
特定事業所排出者A(エネルギー起源CO₂)
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要件:全事業所の原油換算エネルギー使用量の合計が1,500kl/年以上
-
根拠法令:省エネ法の特定事業者と連動
特定事業所排出者B(非エネルギー起源温室効果ガス)
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要件:以下の両方を満たす事業者
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算定対象となる事業活動により、温室効果ガス種類ごとに全事業所の排出量がCO₂換算で3,000t以上
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事業者全体で常時使用する従業員数が21人以上
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特定輸送排出者
-
対象:省エネ法に基づく特定貨物輸送事業者、特定荷主、特定旅客輸送事業者、特定航空輸送事業者等
最新の報告実績データ
2025年4月に公表された令和4年度(2022年度)の集計結果では、以下の実績が報告されています9:
特定事業所排出者
-
報告事業者数:12,044事業者(15,258事業所)
-
報告排出量合計:5億5,951万tCO₂
-
調整後排出量合計:5億3,050万tCO₂
特定輸送排出者
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報告事業者数:1,335事業者
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報告排出量合計:2,695万tCO₂
全体合計
-
報告排出量:5億8,647万tCO₂(前年度比4.4%減)
2025年度からの制度改正と算定方法の変更
デジタル化の推進と報告期間短縮
2022年の改正により、企業の温室効果ガス排出量報告は原則デジタル化され、従来の紙媒体中心の手続きから電子システム(EEGS)による報告に移行しました3410。これにより、報告から公表までの期間が約2年から1年未満に短縮され、投資家による企業評価の迅速化が図られています。
2025年度からの算定方法変更の詳細
2025年度(令和6年度実績報告)から、算定方法が大幅に見直されます1820:
直接排出と間接排出の区別
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直接排出:燃料の燃焼等による自社での直接的な温室効果ガス排出
-
間接排出:他者から供給される電気・熱の使用に伴う間接的な排出
基礎排出係数の変更
他人から供給された電気・熱の使用に伴うCO₂排出量算定において、以下の証書等を反映した基礎排出係数が導入されます:
-
非化石証書
-
グリーン電力・熱証書
-
再エネ電力・熱由来のJ-クレジット
この変更により、再生可能エネルギーの導入効果がより適切に排出量に反映されるようになります。
事業所単位での情報公開
従来は開示請求手続きが必要だった事業所単位での排出量情報が、手続きなしで閲覧可能となりました34。これにより:
-
地方自治体による地域の温暖化対策策定が容易になる
-
ESG投資家による企業評価の精度が向上する
-
企業の脱炭素経営がより透明性高く可視化される
算定方法と数式・計算ロジックの詳細解説
基本的な算定式
排出量 = 活動量 × 排出係数
ここで:
-
活動量:生産量、使用量、焼却量など排出活動の規模を表す指標
-
排出係数:活動量当たりの排出量
エネルギー起源CO₂の算定式
燃料の燃焼によるCO₂排出量は以下の式で算定されます1112:
CO₂排出量(tCO₂) = 燃料使用量 × 単位発熱量 × 排出係数
主要燃料の排出係数例:
-
ガソリン:2.32 kg-CO₂/L
-
軽油:2.62 kg-CO₂/L
-
液化石油ガス(LPG):3.00 kg-CO₂/kg
電気使用に伴うCO₂排出量算定
他人から供給された電気の使用に伴う排出量は以下の式で算定されます12:
CO₂排出量(tCO₂) = 電気使用量(kWh) × 電気事業者別排出係数(tCO₂/kWh)
2025年度からは、非化石証書等を反映した基礎排出係数が適用され、より精緻な算定が可能となります18。
他人から供給された熱の使用
熱使用に伴うCO₂排出量の算定式は以下の通りです12:
CO₂排出量(tCO₂) = 熱使用量(GJ) × 排出係数
排出係数:
-
産業用蒸気:0.060 tCO₂/GJ
-
蒸気・温水・冷水:0.057 tCO₂/GJ
燃料燃焼に伴うN₂O排出量算定
燃料燃焼に伴う一酸化二窒素(N₂O)の排出量算定では、燃焼設備の種類別に異なる排出係数が適用されます12:
N₂O排出量(tN₂O) = 燃料使用量(GJ) × 排出係数
主要な排出係数:
-
常圧流動床ボイラー(固体燃料):0.000054 tN₂O/GJ
-
加圧流動床ボイラー(固体燃料):0.0000050 tN₂O/GJ
-
一般ボイラー(固体燃料):0.00000058 tN₂O/GJ
地球温暖化係数による換算
各温室効果ガスは、CO₂等価量に換算するため地球温暖化係数を乗じます1:
CO₂等価量(tCO₂eq) = 各ガス排出量 × 地球温暖化係数
主要ガスの地球温暖化係数(100年値):
-
CO₂:1
-
CH₄:25
-
N₂O:298
-
SF₆:22,800
調整後排出量の算定
調整後排出量は、以下の調整を行った排出量です9:
調整後排出量 = 基礎排出量 - 国内認証排出削減量等の無効化量 - 廃棄物原燃料使用に伴う排出量等
この調整により、カーボンクレジットの活用効果や廃棄物由来燃料の使用効果が適切に反映されます。
サプライチェーン全体での排出量把握
GHGプロトコルとスコープ分類
国際的な標準であるGHGプロトコルでは、企業の温室効果ガス排出を以下の3つのスコープに分類しています1415:
Scope 1(直接排出)
自社の事業活動からの直接的なGHG排出:
-
燃料の燃焼により発生するCO₂、CH₄
-
製造プロセスで発生するCO₂
-
エアコン製造時に漏出するフロンガス
Scope 2(間接排出)
他者から供給されるエネルギー消費による間接的なGHG排出:
-
購入電力の使用に伴う発電所での排出
-
購入蒸気の使用に伴う排出
Scope 3(その他の間接排出)
Scope 1、2以外のサプライチェーンにおける事業活動による排出で、15のカテゴリーに分類されます15:
-
購入した製品・サービス
-
資本財
-
Scope1、2に含まれない燃料・エネルギー活動
-
輸送・配送(上流)
-
事業から出る廃棄物
-
出張
-
雇用者の通勤
-
リース資産(上流)
-
輸送・配送(下流)
-
販売した製品の加工
-
販売した製品の使用
-
販売した製品の廃棄
-
リース資産(下流)
-
フランチャイズ
-
投資
実務的な対応方法とシステム活用
省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム(EEGS)
環境省が提供する**EEGS(省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム)**を活用することで、効率的な報告が可能です10。2023年5月までにシステムが全面構築され、以下の法令の報告業務が統合されています:
-
地球温暖化対策推進法
-
省エネルギー法
-
フロン排出抑制法
-
地方公共団体実行計画策定制度
報告書作成支援ツールの終了と移行
従来提供されていた「報告書作成支援ツール」の配布は2023年3月で終了し、令和4年度実績以降はEEGSの利用が必須となっています10。既存ツールは2022年度算定用係数がないため使用できません。
算定マニュアルの活用
環境省が発行する「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル(ver5.0)」では、令和6年度以降の報告に関する詳細な算定方法と報告様式が示されています820。このマニュアルには以下の情報が含まれています:
-
算定対象活動の一覧
-
排出係数一覧
-
具体的な算定手順
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報告様式と記入方法
企業への影響と戦略的対応
ESG投資との関連性
温室効果ガス排出量情報のオープンデータ化により、ESG投資家による企業評価がより迅速かつ精緻に行われるようになっています34。企業にとって、本制度への適切な対応は以下の効果をもたらします:
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投資家からの評価向上
-
サステナブルファイナンスへのアクセス改善
-
企業価値向上
-
競争優位性の確保
太陽光・蓄電池導入による排出削減効果の可視化
企業が太陽光発電や蓄電池システムを導入する際、その経済効果と環境効果を正確に算定することが重要です。太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションソフト「エネがえる」を活用することで、導入前後の排出削減量を精密に試算し、温対法報告における効果を定量的に把握できます。特に産業用自家消費型太陽光・蓄電池システムでは、「エネがえるBiz」により、設備容量、設置条件、電力使用パターンを考慮した詳細なシミュレーションが可能です。
推奨ツールとソリューション
参考:「自治体スマエネ補助金データAPIサービス」を提供開始 ~約2,000件に及ぶ補助金情報活用のDXを推進し、開発工数削減とシステム連携を強化~ | 国際航業株式会社
中小企業への影響と対策
現在の制度では、エネルギー使用量1,500kl/年以上又は温室効果ガス排出量3,000tCO₂/年以上の事業者が報告対象となっていますが913、今後の制度拡充により対象範囲が拡大する可能性があります。中小企業においても以下の準備が重要です:
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現状の排出量把握
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省エネ・再エネ導入の検討
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データ管理体制の構築
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専門人材の育成又は外部支援の活用
地方公共団体実行計画制度との連携
区域施策編と事務事業編
地方公共団体は、温対法第21条・第22条に基づき実行計画を策定する義務があります716:
事務事業編(全地方公共団体が対象)
地方公共団体自身の事務・事業による温室効果ガス排出削減計画
区域施策編(都道府県・政令市・中核市が対象)
区域全体の温室効果ガス排出削減のための総合計画で、2022年改正により実施目標の設定が義務化されました35。
地域脱炭素化促進事業計画・認定制度
改正温対法では、地域脱炭素化促進事業に関する計画・認定制度が創設されました3。市町村が認定した事業には以下の優遇措置が適用されます:
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関係許認可手続きのワンストップ化
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環境影響評価手続きの合理化
-
税制優遇措置
国際的な動向と日本の位置付け
パリ協定との整合性
温対法の基本理念には、パリ協定の「2℃目標・1.5℃努力目標」が明記され、国際的な枠組みとの整合性が確保されています516。日本は2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減(さらに50%の高みを目指す)という中期目標を掲げています6。
諸外国の制度との比較
主要国における類似制度の比較:
EU:EU-ETS(排出量取引制度)により、大規模排出事業者に排出枠を配分
米国:州レベルでの報告制度(カリフォルニア州のキャップ・アンド・トレード等)
中国:全国排出量取引制度を2021年から本格運用
日本の制度は、報告・公表による透明性確保を中心とした制度設計が特徴です。
技術革新と制度の発展
デジタル技術の活用
IoT、AI、ブロックチェーン等のデジタル技術の活用により、排出量データの自動収集・算定・検証が可能になりつつあります。これにより:
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データ精度の向上
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作業効率の向上
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リアルタイム監視の実現
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第三者検証の自動化
カーボンクレジット市場との統合
J-クレジット制度との連携により、企業の排出削減・吸収活動がより適切に評価される仕組みが構築されています。2025年度からの算定方法変更では、再エネ由来J-クレジットの効果がより明確に反映されます18。
今後の制度発展と課題
Scope 3報告の義務化検討
現在は任意報告となっているScope 3排出量について、将来的な義務化が検討されています8。これにより、サプライチェーン全体での排出削減取組がより重要となります。
中小企業への制度拡大
制度対象の拡大により、より多くの中小企業が報告義務の対象となる可能性があります。この際、報告負担の軽減と支援体制の充実が重要な課題となります。
国際的な制度調和
気候変動に関する財務情報開示タスクフォース(TCFD)、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)等の国際基準との調和が求められています。
実践的なFAQ
Q1: 報告義務の判定方法は?
A1: エネルギー使用量が原油換算で1,500kl/年以上、又は非エネルギー起源温室効果ガス排出量が3,000tCO₂/年以上かつ従業員21人以上の場合に報告義務が発生します913。
Q2: 報告期限はいつですか?
A2: 毎年度、前年度実績を当該年度の7月末日までに報告する必要があります。
Q3: 虚偽報告や未報告の罰則は?
A3: 20万円以下の過料が科せられます13。また、企業の社会的信用失墜のリスクも考慮すべきです。
Q4: 海外事業所は報告対象になりますか?
A4: 日本国内の事業所のみが対象です。海外事業所の排出量は対象外となります。
Q5: 省エネ法との重複はありますか?
A5: 省エネ法の定期報告書を活用できるため、重複した報告準備は不要です13。
結論:持続可能な企業経営への戦略的アプローチ
地球温暖化対策推進法に基づく温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度は、単なる規制遵守の枠を超え、企業の持続可能な成長戦略の中核を成す制度へと発展しています。2025年度からの制度改正により、より精緻な排出量把握と透明性の高い情報開示が実現され、ESG投資市場における企業評価がより適切に行われることになります。
企業にとって重要なのは、制度対応を「コスト」ではなく「競争優位創出の機会」として捉えることです。適切な排出量管理と削減戦略の実行により、以下の効果が期待できます:
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ESG投資資金の獲得
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サプライチェーンでの選定優位性
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従業員のエンゲージメント向上
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長期的なコスト削減
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レピュテーションリスクの回避
特に、太陽光発電や蓄電池システムの導入は、温室効果ガス削減と経済効果を同時に実現する有効な手段です。エネがえるの経済効果シミュレーション保証のような戦略的ツールを活用することで、投資判断の精度を高め、確実な成果を実現できます。
今後、制度はより包括的で国際的な枠組みとの調和を図りながら発展していくことが予想されます。企業は早期からの準備と継続的な改善により、カーボンニュートラル社会における競争力を確保し、持続可能な価値創造を実現していくことが求められています。
推奨ツールとソリューション
参考:「自治体スマエネ補助金データAPIサービス」を提供開始 ~約2,000件に及ぶ補助金情報活用のDXを推進し、開発工数削減とシステム連携を強化~ | 国際航業株式会社
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