蓄電池の提案で最初に決めるのは、営業トークの言い回しではありません。お客様が解決したいこと、比較する案、試算に使う条件です。電気代を下げたい人と、停電時に冷蔵庫や照明を使いたい人では、確認すべき内容が異なります。
この記事は、住宅用の太陽光・蓄電池を提案する営業担当者と、その提案を確認する責任者向けです。国際航業のエネがえるへの案内を含みます。ここにある会話例は作成した例文であり、実際の商談記録や成約実績ではありません。
最初の質問は「いくら安くしたいですか」だけにしない
おすすめの聞き方は、「導入後に、何が変われば入れてよかったと思えますか」です。答えが電気代なら料金と使用量へ、停電への備えなら残したい機器と時間へ、卒FITなら現在と今後の売電条件へ進みます。
| 確認したいこと | 質問例 | 試算・提案に使う情報 |
|---|---|---|
| 目的 | 電気代、停電対策、卒FIT後の電気の使い道のうち、最も困っているのはどれですか? | 優先順位と譲れない条件 |
| 現在の料金 | 契約プランと、直近12か月の使用量・請求額を確認できますか? | 季節差、料金内訳、計算の基準日 |
| 太陽光の状況 | 設置年、発電実績、売電契約、パワコンの型式は分かりますか? | 既設条件、売電機会費用、更新の必要性 |
| 電気を使う時間 | 平日・休日で在宅時間や給湯・EV充電の時間は違いますか? | 発電と需要の重なり、余剰の使途 |
| 停電時 | どの機器を、どのくらいの時間使いたいですか? | 必要出力と電力量、機器の対応確認 |
| 保有期間と予算 | 何年住む予定ですか。初期費用と維持費はどこまで見込めますか? | 比較期間、支払条件、更新費 |
個人情報や請求書は必要な範囲だけを受け取り、保管・共有の方法を決めます。不明な項目は埋めたふりをせず、「確認済み・仮定・未確認」に分けましょう。未確認の売電単価を都合よく設定すると、結果への信頼を失います。
提案の中心は、設備の説明より「導入しない案を含む比較」

比較の基準は、現在の使い方を続けた場合です。次に、料金・運用の見直し、蓄電池追加などを同じ期間で比較します。太陽光やパワコンの更新が必要な場合は、それを蓄電池だけの費用に混ぜず、案ごとの設備範囲を明示します。
| 提案書に並べる項目 | 確認する理由 |
|---|---|
| 初期費用・工事範囲 | 一式という表記で比較対象がずれていないか |
| 買電額・売電収入 | 電気代削減だけを見て売電収入の減少を見落とさないため |
| 保守・更新・撤去 | 長く使うほど初期費用以外の影響が大きくなるため |
| 補助金 | 対象と申請条件を満たすか。未確定の交付を前提にしないため |
| 停電時の使い方 | 通常時の節約と、非常時の機能を分けて評価するため |
| 試算条件と未確認事項 | 後から条件が変わった際、何を再計算するか分かるようにするため |
「余剰電力は無料だから、ためるほど得」にはしない
余剰電力を蓄電池へ回すと、その分を売った場合の収入を失います。さらに充放電には損失があります。仕組みを示す単純な例として、充電する余剰電力を1,000kWh/年、負荷側までの効率を90%、買電回避単価を30円/kWh、売電単価を10円/kWhと仮定します。
買電回避額:1,000 × 0.90 × 30=27,000円/年
失う売電収入:1,000 × 10=10,000円/年
差額:17,000円/年
17,000円は、この条件で電気の使途を変える便益です。設備費を回収した利益ではありません。待機電力、劣化、保守、費用の時点差などは含めていない架空の教材例で、特定の蓄電池や家庭の効果を示しません。実際の提案では時間帯別料金と充放電条件も確認します。
そのまま使える、条件を明らかにする営業トーク
「何年で元が取れますか?」
「設備費と使い方で変わるため、まず今の料金と売電条件を確認します。回収できる案だけを探すのではなく、回収しない条件も一緒にお見せします。停電対策の価値は、電気代の計算とは分けてご相談しましょう。」
「大容量のほうが安心ですよね?」
「ためられる量と、一度に使える電力は別です。普段の余剰が少なければ使い切れない容量が増える場合もあります。停電中に使いたい機器を決めて、容量と出力の両方を確認しましょう。」
「電気代はこれからずっと上がりますよね?」
「将来の料金は断定できません。一定の場合と上がる場合など、複数の条件で比べます。上昇を強く見込まないと成立しない提案かどうかも確認します。」
「今すぐ申し込まないと損ですか?」
「申請期限や在庫など、確認できる事実はお伝えします。そのうえで契約条件、対象設備、工事時期を確認し、判断に必要な資料が揃ってから比較してください。」
見送り・再確認を提案すべき場面
- 需要や売電条件が不明で、差額の根拠を説明できない。
- 大容量化による追加便益が小さく、追加費用に見合わない。
- 希望する停電時の機器が、設備の出力や配線方式に合っていない。
- 設置・交換の条件が確認できていない。
- 補助金や大幅な料金上昇が実現しなければ、期待する効果に届かない。
ここで一度確認に戻ることは、提案の失敗ではありません。次に調べる条件が明確になります。「比較した結果、今回は導入しない」という選択を残すことも、顧客が信頼して判断するための一部です。
営業責任者が出す前に確認する5項目
- 現状と導入後で、料金・使用量・比較期間が揃っている。
- 削減額、売電収入、補助金を重複計上していない。
- 容量・出力・効率と停電時の条件を混同していない。
- 実績・仮定・予測の区別があり、一次資料の確認日が残っている。
- 顧客が判断するための資料と、次に確認する項目が明記されている。
提案数だけでなく、前提不備による再試算、説明のやり直し、顧客からの質問も記録すると、教育で直すべき点が見えてきます。成約率の変化をツールだけの効果と断定せず、案件や担当者の条件も合わせて評価します。
質問票から試算・レポートへつなぐ
住宅の提案を繰り返し行う場合は、同じ条件で比較し、その前提を説明できる運用を作ります。エネがえるのデモ・プロダクトツアーで、入力から結果確認までの流れを確認してください。工場・店舗の案件では、住宅の使い方をそのまま当てはめず、産業用を含む用途別サービスを確認します。
Excelでの内製と比較する場合は、Biz診断レポートの実物サンプルも参考になります。図がきれいかだけでなく、顧客へ説明したい前提や結果を示せるかを確認してください。
よくある質問
成約につながる決め台詞はありますか?
すべての顧客に有効な言い方はありません。目的と判断条件を聞き、導入しない場合も含めて比較できる状態を作ります。
停電対策の価値を金額に加えてよいですか?
価値を議論することはできます。ただし、顧客が合意していない金額を確実な節約額として加算せず、通常時の費用と非常時の機能を分けて示します。
提案書は長いほど信頼されますか?
分量よりも、目的、比較案、結果、前提、未確認事項、次の行動が見つけやすいことを重視します。
参照した公式資料
参照確認:2026年9月26日。会話と計算は説明用の作成例です。特定の成約率、削減額、補助金交付を保証する内容ではありません。
比較と提案準備を、無料Excelへ引き継ぐ
説明を読んだら、自分の案件の入力条件を一枚にまとめます。不明な値を推測で埋めず、確認先を残してください。見積・料金・需要の条件をそろえることで、比較結果を別の担当者へ説明しやすくなります。


比較・提案準備キットをダウンロード(Excel・登録不要)。「提案準備」へ目的と条件を記入し、「見積比較」「売電と蓄電」で比較範囲を確認してください。
数値は説明用の仮定です。詳細な時系列試算やエネがえるへの直接取込ファイルではありません。
太陽光・蓄電池・V2Hの営業ヒアリング|比較提案の質問集も併せて確認できます。
提案前に、比較条件を一つにそろえる
お客様が選ぶ理由を説明するには、補助金、料金単価、設備費を同じ条件で並べることが出発点になります。都合のよい前提だけを変えず、条件が変わると結論も変わる部分を示してください。






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