住所だけでわかる屋根上面積・太陽光パネル設置ポテンシャル推定マニュアル

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国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

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目次

住所だけでわかる屋根上面積・太陽光パネル設置ポテンシャル推定マニュアル

Googleマップを活用した屋根上面積算出から最大設置容量・枚数推定までの具体的な手順と前提条件

はじめに

近年、世界的な脱炭素化への動き 1 と国内における電気料金の高騰 4 は、企業および家庭において太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入を加速させる重要な要因となっています。さらに、自然災害の頻発化に伴う電力供給の不安定性への懸念から、災害時の電力確保 9 の手段としても太陽光発電システムへの関心が高まっています。

しかしながら、太陽光発電システムの導入を検討する初期段階において、対象となる建物(自宅や事業所)の屋根にどれくらいの太陽光パネルが物理的に設置可能で、それがどれくらいの発電容量に繋がり、最終的にどれくらいの発電量が見込めるのかを概算することは、専門知識がない限り容易ではありません。従来のシミュレーションは複雑で時間を要するという課題が存在し 6、これが導入検討のハードルとなる場合があります。

本ガイドは、Googleマップという広く普及したツールを活用し、住所のみから屋根上面積を推定し、太陽光パネルの最大設置面積、最大設置容量(kW)、および枚数を概算するための具体的な手順を詳述します。

さらに、これらの推定に不可欠な各種係数や諸元を専門的かつ網羅的に解説します。これにより、導入検討の第一歩を支援し、その後の詳細なシミュレーションや現地調査への橋渡しとなる、信頼性の高い情報を提供することを目指します。Googleマップを用いた概算は、専門家でなくても手軽に「自分の家の場合どうなるか」という具体的なイメージを持つことを可能にし 14、初期検討段階での離脱を防ぎ、導入検討者の関心を高める効果が期待されます。

Googleライセンス遵守の注意:該当するライセンスおよびガイドライン

■ Google Maps Platform 利用規約

  • Googleマップを利用して屋根面積を算出する場合、多くは「マップ画像の表示」「スクリーンショットの掲載」「座標・面積の算出」といった操作が伴います。このような操作は以下の規約・ガイドラインに制約される点にご注意ください。

  1. Google Maps Platform Terms of Service

  2. Maps Static API / JavaScript API / Geocoding API などに関する利用ポリシー

  3. ブランディングガイドライン(ロゴやクレジット表記義務)

Chapter 1: Googleマップを活用した屋根上面積の推定

1.1. Googleマップ/Earthでの屋根投影図の表示と測定手順

建築図面が手元にない場合でも、GoogleマップやGoogle Earthの航空写真機能は、屋根の投影面積(真上から見た平面的な面積)を概算するための簡便かつ有効な手段を提供します 14。この手法は、初期の実現可能性評価において迅速な判断を可能にします。

具体的な手順は以下の通りです。まず、PCまたはスマートフォンのGoogleマップアプリケーションを起動し、対象とする建物の住所を検索バーに入力して表示させます 14。次に、マップ画面右上の表示切り替えボタンをタップし、「航空写真」を選択します。これにより、対象建物の屋根を真上から撮影した実写画像、すなわち「屋根投影図」が表示されます 14

表示された屋根投影図を指でピンチイン操作(拡大)し、屋根が画面いっぱいに大きく表示されるように調整します。同時に、指で画面を回転させ、屋根の傾きができるだけ水平になるように調整することで、測定の視認性を高めます 14。その後、Googleマップの「距離を測定」機能(PC版では屋根の始点を右クリックしメニューから選択、スマートフォン版では画面上部の測定アイコンをタップ)を用いて、屋根の各辺の長さを測定します 15。この際、画面右下に表示される縮尺表示(スケールバー)を参考に、測定値が実寸にどの程度近いかを確認します 14。測定した各辺の長さを、大まかに手書きでメモした屋根の図形に書き加えていきます 14屋根の形状が複雑な場合は、長方形、三角形、台形などの基本的な幾何学図形に分割してそれぞれを測定し、後で合計することで全体の投影面積を算出します 14

より高い精度を求める場合、実際に建物の外に出て、外壁の長さや軒の出の長さをメジャーで測定し、これをGoogleマップの測定値と照合することが推奨されます 14。また、「屋根の面積計算」のようなスマートフォン向け専用アプリ(iPhone/Android対応)も存在し、Googleマップの航空写真上で屋根の隅をタップするだけで、自動的に面積を算出する機能を提供し、屋根周囲の長さや下屋根の面積、さらには概算見積もりまで表示できるものもあります 17

複数階建ての建物では、2階部分の屋根(上屋根)だけでなく、1階部分の屋根(下屋根)も太陽光パネル設置の対象となり得ます。屋根面積を計算する際には、これらの下屋根を含めて算出することが重要です。特に、下屋根を見落とすと、実際の設置可能面積を大幅に過小評価してしまう可能性があります 15

Googleマップによる屋根面積の測定は、単なる数値取得以上の意味を持ちます。それは、初期段階での顧客エンゲージメント向上と、営業プロセスの効率化に貢献するからです。顧客や導入検討者は、太陽光発電の経済効果について具体的な数値を知りたいという強い要望があることが調査で示されています 19。しかし、従来のシミュレーションは複雑で時間がかかるという課題があります 6

Googleマップを使った概算は、専門知識がなくても迅速に初期の数値を提供できるため 14、この手軽さと迅速性が、顧客の初期の疑問に答え、次のステップ(詳細シミュレーションや現地調査)への移行をスムーズにします。したがって、Googleマップでの概算は、単なる技術的な計算を超え、営業・提案プロセスのボトルネック解消に寄与します。

概算測定の簡便性は、顧客の初期検討ハードルを下げ、結果として太陽光発電導入への関心度を高めます。太陽光発電導入の障壁の一つに「初期コストの高さ」と「経済効果の不透明さ」があることが複数の調査で示されています 12。これらの懸念を払拭するためには、具体的な経済効果の提示が不可欠です 24

Googleマップによる概算は、専門家でなくても手軽に「自分の家の場合どうなるか」という具体的なイメージを持つことを可能にします 14。この手軽な見える化が、導入検討者の「自分ごと」としての意識を高め、さらなる情報収集や専門家への相談へと繋がります。結果として、初期検討段階での離脱を防ぎ、全体の導入促進に寄与すると考えられます。

1.2. 屋根投影面積から実屋根面積への換算:勾配伸び率の適用

Googleマップの航空写真から測定できるのは、屋根を真上から見た際の「投影面積」(平面的な面積)です。しかし、実際の屋根は傾斜(勾配)を持っているため、投影面積よりも実際の屋根表面積(実屋根面積)は大きくなります。この差を補正するために、「勾配伸び率」と呼ばれる係数を投影面積に乗じることで、より現実に近い実屋根面積を推定します 14

計算式は以下の通りです。

実屋根面積 = 屋根の投影面積 × 勾配伸び率 14

日本の戸建て住宅の屋根勾配は、一般的に3.5寸(約19度)から6.5寸(約33度)の範囲に収まることが多いです。この範囲の勾配に対応する勾配伸び率は約1.05~1.2とされており、その差は比較的小さいとされています 14。そのため、簡易的な概算としては、勾配伸び率として「1.1」を乗じる方法が最も一般的かつ簡便です 14。より大まかな概算として、1階の床面積に屋根の傾きが「緩やか」なら「1.1」、「急」なら「1.2」を掛ける方法も紹介されています 14。もし対象建物の正確な屋根勾配が判明している場合は、その勾配に最も近い勾配伸び率を適用することで、推定精度をさらに向上させることが可能です 14

ユーザーはGoogleマップで屋根の「投影面積」を測定できますが、これは実際の屋根面積とは異なります 14。実際の屋根面積を推定するには「勾配伸び率」が必要であり 14勾配伸び率は屋根の傾斜によって変動し、概算値1.1はあくまで一般的な目安です 14。ユーザーが自身の屋根勾配(もし知っていれば)に基づいてより適切な伸び率を適用できるように、具体的な数値の目安を提供することが重要です。以下の表は、ユーザーが概算値1.1の背景にある変動性を理解し、より詳細な推定を行う際の参考情報を提供することで、推定の精度向上に寄与します。

表1:主要な屋根勾配と勾配伸び率の対応表

屋根勾配 (寸)

屋根勾配 (度)

勾配伸び率 (目安)

3.5寸

約19度

1.05

4寸

約21.8度

1.07

4.5寸

約24.2度

1.09

5寸

約26.6度

1.12

5.5寸

約28.8度

1.14

6寸

約31度

1.17

6.5寸

約33度

1.20

概算値

1.1

Chapter 2: 太陽光パネルの最大設置面積の推定

2.1. 太陽光パネルの標準寸法と面積

太陽光パネルの物理的な寸法は、メーカーや製品の種類(例:単結晶、多結晶、CISなど)によって異なります。しかし、設置可能な枚数や総容量を推定するためには、パネル1枚あたりの標準的な面積を把握することが不可欠です。

経済産業省の標準仕様では、太陽光パネルの外形寸法は2100mm×1100mm以下とされており、これにより1枚あたりの面積は約2.31平方メートル以下となります 26。一般的に流通している家庭用パネルの1枚あたりの面積は、1.25~1.5平方メートル程度が主流です 27。例えば、1.5㎡のパネル1枚で約250Wの出力を持つものが一般的とされています 27。また、1平方メートルあたり約200Wの電力を生み出す能力を持つパネルが一般的とも言及されています 29

太陽光発電システム全体の容量(kW)に対して必要な面積の目安は、1kWあたり10~15平方メートルとされています 27。これは、パネル1枚あたりの出力や変換効率、設置レイアウトの効率性によって変動します。

屋根の実面積が算出できても、パネル1枚のサイズが分からなければ、屋根に何枚のパネルを設置できるか正確に計算できません。太陽光パネルのサイズはメーカーやモデルによって多様であるため 27以下の表は、ユーザーが具体的なパネルの物理的特性を理解し、後の最大設置枚数や容量の概算を行うための基礎情報を提供します。これにより、ユーザーはパネルの物理的な制約を考慮した、より現実的な設置計画を立てることが可能になります。

表2:一般的な太陽光パネルの標準寸法と面積

項目

一般的な目安値

補足

1枚あたりの寸法

約1.7m × 1.0m

メーカー・製品により異なる

1枚あたりの面積

約1.7㎡

1.25㎡~1.5㎡が主流 27

1枚あたりの出力

約250W~300W

高効率パネルでは300W超も 27

1㎡あたりの出力

約200W

29

1kWあたりの必要面積

10~15㎡

27

2.2. 設置可能面積の算出と考慮事項

前章で算出した実屋根面積すべてに太陽光パネルを設置できるわけではありません。太陽光パネルの設置には、保守点検のための作業スペース、屋根上の既存設備(エアコン室外機、給湯器、換気口、煙突、天窓など)の回避、および安全上の離隔距離の確保が法規や業界慣習により求められます 30。これらの制約を考慮した面積が「最大設置可能面積」となります。

一般的に、太陽電池パネルの周囲には300mm程度のスペースを確保する必要があります 32。この300mmのスペースは、太陽電池容量当たり7倍~8倍の屋根面積が必要という目安(切妻屋根や片流れ屋根の場合)にも考慮されています 32陸屋根(平らな屋根)にパネルを設置する際、屋根端から長辺の1/10または2m以上の離隔距離を確保するルールがあります 31。これは特に屋根面積が大きくない建物にとって、設置可能面積を大きく制約する要因となり得ます。

切妻屋根や片流れ屋根のように、シンプルで広い平面を持つ屋根は、パネルを効率的に配置しやすく、より多くの枚数を設置できる可能性が高いです 32。これらの屋根形状では、太陽電池容量当たり7倍~8倍の屋根面積が必要という目安が比較的適用しやすいとされます 32。一方、寄棟屋根や複雑な形状の屋根では、パネルの配置が難しく、設置できる枚数が限定される傾向にあります。場合によっては、太陽光発電システムとして十分な経済効果が得られないほど設置枚数が少なくなるケースも考えられます 32

太陽光パネルの発電効率を最大化するためには、日照量の多い南向きの屋根面に、最適な傾斜角度(一般的に30度前後)で設置することが理想とされています 33。ただし、屋根の向きや傾斜角度が理想的でない場合でも、東西の屋根面にもパネルを設置することで、午前中と午後の発電ピークを分散させ、年間総発電量を増やすことが可能です 33。北向きの屋根面への設置は、日射量が極端に少なく発電効率が著しく低下するため、推奨されません 36

実屋根面積が算出されても、屋根上の全てのスペースがパネル設置に利用できるわけではありません 30。屋根上には様々な既存設備が存在し、これらを避けてパネルを配置する必要があるためです 30。また、安全確保、メンテナンス性、および法規遵守のために、パネルと屋根端や障害物との間に一定の離隔距離を設けることが必須です 31。以下の表は、ユーザーが屋根の「有効設置面積」をより現実的に、かつ安全・運用上の観点から把握するための具体的な指針を提供します。これにより、初期段階での過大な期待を避け、より実現可能な計画を立てる手助けとなります。

表3:屋根上の障害物と離隔距離の例

障害物/考慮事項

推奨離隔距離の目安

補足

パネル周囲のスペース

300mm

保守点検、安全確保のため 32

屋根端(陸屋根の場合)

長辺の1/10 または 2m以上

法規・業界慣習による 31

エアコン室外機、給湯器、換気口、煙突、天窓など

機器のサイズに応じた十分な距離

影の影響やメンテナンス性を考慮 30

屋根の棟、谷、軒先

構造や排水を考慮した距離

影の影響や施工性を考慮

Chapter 3: 太陽光パネルの最大設置容量(kW)と枚数の推定

3.1. 太陽光パネル1枚あたりの出力と枚数換算

太陽光パネル1枚あたりの最大出力(公称最大出力)は、製品の性能によって異なります。この出力値を用いて、目標とするシステム総容量(kW)を達成するために必要なパネルの枚数を算出します。

一般的に、太陽光パネル1枚あたりの出力は200W~300W程度が主流です 27。近年では、高効率化により300Wを超えるパネルも増えています 27

計算式は以下の通りです。

必要なパネル枚数 = 設置したい総容量(kW) ÷ パネル1枚あたりの最大出力(kW)

例: 総容量4kWのシステムを、1枚あたり200W(=0.2kW)のパネルで構成する場合、必要なパネル枚数は 4kW ÷ 0.2kW/枚 = 20枚となります 37。

パネルの出力は「W(ワット)」で表示されることが多いですが、システム容量は「kW(キロワット)」で表されるため、計算時には1kW = 1000Wの変換を正確に行う必要があります 29

3.2. 最大設置容量(kW)の算出

前章で算出した「最大設置可能面積」と、選定した太陽光パネルの「1枚あたりの面積」から、屋根に設置できる「最大設置可能枚数」を導き出します。この枚数に「パネル1枚あたりの最大出力」を乗じることで、屋根に設置可能な太陽光発電システムの「最大設置容量(kW)」を算出します。

計算式は以下の通りです。

最大設置容量(kW) = 最大設置可能枚数 × パネル1枚あたりの最大出力(kW)

例: 最大設置可能枚数が20枚で、1枚あたり250W(=0.25kW)のパネルを使用する場合、最大設置容量は 20枚 × 0.25kW/枚 = 5kWとなります 28。

太陽光発電システムでは、パワーコンディショナー(PCS)の定格出力に対して、太陽光パネルの総出力を大きくする「過積載」という設計手法が採用されることがあります。これにより、日射量が少ない時間帯や季節でもPCSが最大に近い出力で稼働しやすくなり、年間発電量を最大化できる可能性があります 39。PCSのメーカーやモデルによって保証される過積載率は異なるため、導入を検討する際にはPCSの仕様を確認することが重要です 39

一般家庭における太陽光パネルの設置容量は、世帯の電力消費量や家族人数によって目安が異なります。例えば、1~3人家族では3kW、3~4人家族では4kW、5人以上や二世帯家庭では5~9kWが推奨される目安とされています 37。ペットや熱帯魚の飼育など、常時電力消費が多い家庭では、より大きな容量(例:3~4人家族でも4kW以上)を検討する価値があります 37

3.3. 最大設置枚数の算出

最大設置枚数の計算式は以下の通りです。

最大設置枚数 = 最大設置可能面積 ÷ パネル1枚あたりの面積

例: 屋根の最大設置可能面積が30㎡で、パネル1枚の面積が1.5㎡の場合、最大設置枚数は 30㎡ ÷ 1.5㎡/枚 = 20枚となります 28。

屋根面積全体に対する太陽光パネルの占有率は、設置場所の条件(屋根の形状、障害物の有無、メンテナンススペースの確保など)によって変動します。一般的には、屋根面積の50%程度をパネルで占有すると仮定されることもあります 40。この占有率を考慮することで、より現実的な最大設置枚数を算出できます。

ユーザーは、自身の屋根面積から、どれくらいの容量の太陽光発電システムが設置できるのか、そしてそれが何枚のパネルに相当するのかを直感的に知りたいと考えるでしょう。太陽光発電の容量、必要な屋根面積、およびパネル枚数は相互に関連していますが、その関係性を一覧で示すことで、ユーザーの理解を深め、具体的な導入イメージを形成しやすくなります。

以下の表は、ユーザーが目標とする発電容量や、自身の屋根面積から設置可能な容量の目安を素早く把握するための具体的な情報を提供します。これにより、初期段階での計画立案が効率化され、後の詳細な検討へとスムーズに移行できます。

表4:一般的な家庭用太陽光パネルの容量別必要屋根面積と枚数目安

太陽光発電の容量 (kW)

必要な屋根面積 (㎡)

パネル枚数目安 (250W/枚の場合)

1kW

約12㎡

4枚

2kW

約16㎡

8枚

3kW

約22㎡

12枚

4kW

約28㎡

16枚

5kW

約36㎡

20枚

6kW

約42㎡

24枚

7kW

約45㎡

28枚

8kW

約55㎡

32枚

9kW

約64㎡

36枚

10kW

約69㎡

40枚

注: 上記は切妻屋根や片流れ屋根を想定した目安であり、屋根形状やパネル種類、設置条件により変動します 32

Chapter 4: 発電量推定における前提条件となる各種係数と諸元

4.1. 日射量データとその入手方法

太陽光発電システムの年間発電量を正確に推定するためには、設置地点における太陽からのエネルギー量、すなわち「日射量」のデータが不可欠です 29。日射量は、地域ごとの気候条件、季節、時間帯、そして太陽光パネルの設置方位や傾斜角度によって大きく変動します 29

日射量データは、以下の公的なデータベースやツールから入手できます。

  • NEDO日射量データベース: 日本国内の太陽光発電事業者や研究機関で広く利用されている公的なデータベースです。国内837地点における長期(20~29年間)の平均日射量データが公開されており、誰でも無料で利用可能です 41

    • 年間時別日射量データベース(METPV-11): 1990年~2009年の20年間の代表年データを提供し、毎時の方位角別、傾斜角別の日射量が表示でき、詳細な発電量推定に活用できます。気温や降水量などの気象データも含まれます 46

    • 年間月別日射量データベース(MONSOLA-11): 1981年~2009年の29年間の平均値に基づき、各月および年間の日積算日射量(方位角別、傾斜角別)を表示し、年間・月間発電量の推定に有用です 41

    • 利用方法: 地図上での地点選択、住所検索、緯度経度入力など多様な方法で地点を指定し、方位角(南を0度とし時計回りに表記、例:西90度、北180度)や傾斜角(0度~90度)を指定して日射量データを取得できます 47

  • PVGIS (Photovoltaic Geographical Information System): 欧州委員会共同研究センター(JRC)が提供する無料のオンラインツールで、世界中の地点における太陽光発電システムの年間発電量シミュレーションや日射量マップを提供しています 50。衛星データに基づき、任意の場所の月間・年間発電量を計算でき、結晶シリコン、CIS/CIGS、CdTeなどの異なるパネル技術を選択してシミュレーションが可能です 51

  • 気象庁のデータ: 2kmメッシュ推計日射量データが10分間隔で提供されており、高頻度かつ高精細な日射量データとして活用できます 53

全天日射量は、太陽から直接届く「直達日射量(Direct Normal Irradiance, DNI)」と、雲や大気中の微粒子によって散乱されて地上に到達する「散乱日射量(Diffuse Horizontal Irradiance, DHI)」に分けられます 54。曇りの日でも直達日射量がゼロでも、散乱日射量により晴れの日の半分弱程度は発電します 55

太陽光発電の発電量推定において、設置地点の正確な日射量データは最も重要な入力情報の一つです 29。NEDOは日本国内の公的な日射量データベースとして広く利用されており、そのデータは信頼性が高いです 49。以下の表は、このデータベースの具体的な内容(METPV-11, MONSOLA-11の特性)と、ユーザーが自身の設置場所のデータを取得するための具体的な利用方法(地点検索、方位・傾斜角指定など)を明確にすることで、データへのアクセス障壁を低減します。これにより、ユーザーは概算ではなく、より根拠に基づいた発電量推定の基礎を築くことが可能となります。※エネがえるでは、METPV11の最新版となるMETPV20を採用しています。

表5:NEDO日射量データベースの概要と利用方法

データベース名

概要

提供データ種類

利用方法

年間時別日射量データベース (METPV-11)

国内837地点、1990~2009年の20年間データ。毎時の日射量、気温、降水量など。

時別日射量 (方位角・傾斜角別)

ダウンロード版閲覧システムを使用。地図、住所、緯度経度で地点選択、方位角・傾斜角指定 46

年間月別日射量データベース (MONSOLA-11)

国内837地点、1981~2009年の29年間平均値。

月別・年間日積算日射量 (方位角・傾斜角別)

ダウンロード版閲覧システムを使用。地図、住所、緯度経度で地点選択、方位角・傾斜角指定 46

全国日射量マップ

MONSOLA-11データを日本地図上に可視化。

月別・年平均日射量の地理的分布

NEDOウェブサイトで閲覧可能 46

4.2. 損失係数(総合設計係数)の詳細

太陽光発電システムが実際に生成する電力量は、理論的な最大発電量よりも低くなります。これは、太陽光パネルの性能、周辺機器の効率、設置環境など、様々な要因によるエネルギー損失(ロス)が発生するためです。これらの損失をまとめて考慮するために「損失係数」または「総合設計係数(K)」が用いられ、一般的には0.7~0.85程度の値(エネがえるでは初期値0.85。数値は可変)が採用されます 29。発電量の計算式では、日射量、システム容量、365日にこの損失係数を乗じます 29

4.2.1. 温度損失

太陽光パネルの発電効率は、パネルの温度が上昇するにつれて低下する特性があります 29。特にシリコン系の太陽電池パネルでは、パネル温度が1度上昇するごとに、出力が0.3%~0.5%程度低下するとされています 45年間平均で見ると、温度上昇によって約5~10% 60 または約15% 58 の発電量が失われると試算されることもあります。このため、日射量が多くても気温が高い地域(例:沖縄)よりも、気温が比較的低い地域(例:長野県)の方が、年間発電効率が上位になる現象も見られます 56

4.2.2. パワーコンディショナー(PCS)変換効率

太陽光パネルで発電された直流(DC)電力は、家庭や電力系統で利用可能な交流(AC)電力に変換されます。この変換を行うのがパワーコンディショナー(PCS)です。変換プロセス中にロスが発生し、PCSの変換効率は一般的に95~98%程度とされています 64。PCSの性能や品質によって変換損失は異なり、変換効率が高い製品を選択することで、この損失を最小限に抑えることができます 45システム全体の損失要因のうち、PCSによるロスは5~10%程度を占めるとされています 58

4.2.3. 配線・回路抵抗損失

太陽光パネルからPCSへ、そしてPCSから電力系統や負荷へ電力を送るケーブルや回路には電気抵抗が存在し、これにより電力が熱として失われる「抵抗損失」が発生します 62。この損失は通常1~3%程度と見積もられ 63、ケーブルの太さ(断面積)や長さ、品質に依存します。配線が太いほど抵抗は小さくなり、損失を低減できます 63。PVGISでは、ケーブル損失をデフォルト1%と推定しています 50

4.2.4. 汚れ・積雪損失

太陽光パネルの表面に砂埃、鳥の糞、落ち葉、花粉などの汚れが付着すると、太陽光の透過が妨げられ、発電量が低下します 29。これらの汚れを放置すると、こびりつき、発電ロスが増加する原因となります 62。積雪が多い地域では、冬期にパネルが雪で覆われることで日射を受けられなくなり、発電量が著しく低下する傾向があります 45。ただし、年間を通して見れば、積雪が少ない地域と比較して必ずしも発電量が劣るとは限りません 45。PVGISのような一部のシミュレーションツールでは、雪や汚れの蓄積による影響は、その局所性と設置条件・メンテナンス依存性から計算に含まれていない場合があります 65

4.2.5. 経年劣化率

太陽光パネルは、長期間の運用により徐々に性能が低下します。これを「経年劣化」と呼びます。一般的な太陽光モジュールの保証期間における劣化率は、初年度で1.0%~2.5%、2年目以降は年間0.4%~0.55%程度の出力低下が目安とされています 66。PVGISでは、システムの寿命全体で年間平均0.5%の生産量損失を見積もっています 50。JIS C 8907では、この劣化を補正するための係数

K_PHH = (1 - d_nPV)^n (d_nPV: 年低下率、n: 経過年数)が定義されています 67

4.2.6. 影損失

太陽光パネルに周囲の建物、樹木、電柱、または屋根上の構造物(煙突、アンテナなど)による影が落ちると、その部分の発電量が著しく低下します 45影による損失は、直達日射成分、反射成分、天空散乱成分の3つの独立した要素に分解して計算されます 69。影の影響を評価する簡易的な計算式として、「遮蔽物仰角 = arctan(高さ÷距離)」が用いられます。この仰角と太陽高度を比較することで、影の影響の有無や程度を判断できます 63。パネル内に影がかかると、バイパスダイオードが働き、影の部分の電流を迂回させることで、他の部分の発電を維持しようとしますが、全体的な出力は低下します 68

例えば、影がかかったモジュールからの発電を諦めて他のモジュールにフル電流を通すことで出力が90%になるケースや、全体の電流を落とすことで出力が70%になるケースが示されています 68。PVGISのようなツールでは、近距離の影(建物や樹木など)による影響は、その局所性から通常計算に含まれていません 65

太陽光発電の年間発電量を推定する基本的な計算式には「損失係数」が組み込まれています 29。この「損失係数」は単一の値ではなく、複数の物理的な損失要因(温度、PCS変換、配線抵抗、汚れ、劣化、影)の複合的な影響を反映しています 56。各損失要因がどれくらいの割合で発電量に影響を与えるのかを一覧で示すことで、発電量低下のメカニズムをより深く理解し、単なる数値としてではなく、その背景にある物理現象を把握できます。

以下の表は、発電量推定の精度を高めるために必要な詳細な係数情報を提供するとともに、導入後の運用やメンテナンス(例:汚れによる損失の回避)における注意点も示唆します。

表6:各種損失係数の一般的な値と影響度

損失要因

一般的な損失割合(目安)

影響の簡潔な説明

温度損失

年間5~15% 58

パネル温度上昇による変換効率低下。1℃上昇で0.3~0.5%出力低下 45

PCS変換効率

2~5% (効率95~98%) 64

直流を交流に変換する際のロス。PCS性能に依存 45

配線・回路抵抗損失

1~3% 63

ケーブルや回路の電気抵抗による電力損失。配線太さで低減可能 63

汚れ・積雪損失

数%~数十% (状況による)

パネル表面の汚れや積雪による日射遮蔽。メンテナンスで軽減 45

経年劣化率

初年度1.0~2.5%、2年目以降年0.4~0.55% 66

長期運用によるパネル性能の自然な低下。

影損失

数%~数十% (影の程度による)

周囲の建物や樹木、屋根上構造物による影が発電量を低下。バイパスダイオードが影響 63

総合設計係数 (K)

0.7~0.85 29

上記全ての損失要因を総合的に考慮した係数。

4.3. 設置方位と傾斜角度の最適化

太陽光パネルが受ける日射量は、その設置されている方位(東西南北)と、水平面に対する傾斜角度によって大きく変動します。これらの要素は、太陽光発電システムの年間発電量に直接的な影響を与えるため、最適な設置条件を検討することが重要です 33

最適条件の目安は以下の通りです。

  • 方位: 日本においては、太陽が最も長く、かつ高い位置にある南向きが、年間を通じて最も多くの日射量を得られるため、発電効率の観点から理想的な設置方位とされています 33。南面を100%とした場合、東向きや西向きの屋根でも約85%の発電効率が期待でき、設置する価値は十分にあります 36。特に、朝に多くの電力を消費する家庭や企業にとっては、午前中の発電量が多い東向き設置がメリットとなる場合があります 36。一方、北向きの屋根への設置は、日射量が極端に少なくなるため、発電効率が約63%と大幅に低下し、推奨されません 36

  • 傾斜角度: 一般的に、日本では太陽光パネルの最適な傾斜角度は30度前後とされています 33。この角度は、年間を通して太陽光がパネルに垂直に近い角度で入射し、最も効率的に発電が行われるように設定されます 36。ただし、日本の国土は南北に長いため、地域(緯度)によって最適な傾斜角度は異なります。例えば、南部の沖縄では約18度、北部の北海道では約35度が理想的とされています 33

屋根の形状や向きの制約により、南向きに十分な面積を確保できない場合でも、東西両側の屋根面にパネルを設置することで、午前中と午後の発電ピークを分散させ、年間総発電量を増やす戦略が有効です 33。これにより、日中の電力消費パターンに合わせた自家消費の最適化を図ることも可能になります。

対象となる建物の屋根は、必ずしも理想的な南向きや最適な傾斜角度を持っているとは限りません 33。しかし、屋根の向きや角度が理想的でなくても、どの程度発電量が期待できるのかを定量的に把握することは、導入検討において非常に重要です。以下の表は、様々な方位と傾斜角度における発電量の相対的な目安を一覧で示すことで、ユーザーが自身の屋根の条件に基づいて、現実的な発電ポテンシャルを評価することを可能にします。

これにより、ユーザーは屋根の制約がある場合でも、太陽光発電導入の経済的な妥当性を判断しやすくなります。

表7:方位・傾斜角度による発電量比率の目安(真南・30度設置を100%とした場合)

方位

傾斜角度10度

傾斜角度30度

傾斜角度45度

真南

約95%

100%

約98%

約80%

約85%

約80%

西

約80%

約85%

約80%

南東/南西

約90%

約95%

約90%

約55%

約63%

約58%

注: 地域や日射量、その他の損失要因により変動します 34

Chapter 5: 推定の精度と限界、および専門ツール活用

5.1. Googleマップを用いた推定の限界と注意点

Googleマップを用いた屋根面積の算出は、あくまで初期の概算値であり、その精度には限界があります。

  • 概算値の性質: Googleマップを用いた屋根面積の算出は、実際の屋根の形状、勾配の微細な変化、細かな凹凸、屋根材の種類(例:瓦、スレート、金属など)などを正確に反映することはできません 14。このため、実際の設置可能面積や発電量は推定値と異なる可能性があります。

  • 影の影響の評価困難: 周囲の建物(隣家、ビルなど)や樹木による影の影響は、季節や時間帯によって大きく変化します。Googleマップの航空写真だけでは、これらの動的な影の影響を正確に評価することは極めて困難です 45。影は発電量に大きな損失をもたらすため、この点の不確実性は推定精度を大きく左右します。PVGISのような一部のシミュレーションツールでも、近距離の影の影響は局所性から計算に含まれない場合があります 65

  • 屋根の構造・強度・劣化: 太陽光パネルの設置には、屋根の構造的な強度、築年数、積雪荷重への耐性、経年劣化の状況などが不可欠な情報ですが、これらはGoogleマップからは一切得られません。これらの情報は、安全な設置と長期的な運用に直結します。

  • 屋根上設備の詳細な判別困難: 屋根上のエアコン室外機、給湯器、換気口、煙突、アンテナ、太陽熱温水器などの既存設備の詳細な位置、寸法、種類は、航空写真では判別が難しい場合があります。これらの設備はパネル設置の障害物となり、正確なレイアウト設計に影響します 30

本ガイドで示したGoogleマップを用いた推定手法は、あくまで導入検討の「初期段階」における「概算」を目的としています。この概算結果のみに基づいて大規模な投資判断を行うことは推奨されません。太陽光発電システムの導入においては、「経済効果シミュレーションの信頼性」が、一般家庭や企業が導入をためらう大きな障壁となっていることが複数の調査で示されています 21。Googleマップのみの推定では、この信頼性を担保することは不可能であり、顧客の不安を払拭することはできません。最終的な導入決定には、必ず専門家による現地調査、詳細な設計、そしてより高精度なシミュレーションに基づく経済効果の評価が不可欠であることを理解しておく必要があります。

5.2. 専門的なシミュレーションツールの活用

Googleマップを活用した概算は初期検討のハードルを下げるものの、その精度には限界があります。より正確な発電量推定、詳細な経済効果シミュレーション、最適なシステム設計、そして顧客への信頼性の高い提案を行うためには、専門的なシミュレーションツールの活用が不可欠です 25。これらのツールは、複雑な計算を自動化し、多角的な分析を可能にします。

国際航業株式会社が提供する「エネがえる」シリーズは、太陽光発電システム、蓄電池、EV、V2Hなどの導入による経済効果を診断するクラウドサービス(SaaS/API)です。その高い診断精度と使いやすさから、全国700社以上の大手電力会社、太陽光・蓄電池メーカー、販売施工店などに導入され、業界トップクラスのシェアを誇ります 4

エネがえる」は、Googleマップによる初期推定の限界を補完し、より現実的かつ信頼性の高い導入判断を支援するための「次なるステップ」として重要な役割を担います。太陽光発電システムの導入検討者は、「初期コストの高さ」と「経済効果の不透明さ」に大きな不安を抱いています 12。また、営業担当者もシミュレーションの信頼性について不安を感じ、顧客からの疑念が失注や長期化の原因となっていることが調査で示されています 21。専門的なシミュレーションツールは、これらの課題を解決し、より正確で信頼性の高い提案を可能にします 25

エネがえる」は、高精度な計算ロジック(JIS, NEDO連携)、豊富なデータ連携(電気料金、補助金)、自動レポート作成、さらには経済効果保証まで提供することで、営業担当者の負担を大幅に軽減し 13、顧客の意思決定を促進します 22多数の成功事例が報告されています。これらの機能は、単なる計算ツールを超え、営業と顧客間の信頼を構築するコミュニケーションツールとしての役割も果たします 76

以下の表は、「エネがえる」が提供する具体的なソリューションとそのビジネス上のメリットを一覧で示すことで、ユーザーが自身のニーズに合ったツールを選択し、より正確な導入判断を下すための情報を提供します。これにより、初期推定から次の段階への移行が促され、太陽光発電導入プロジェクト全体の成功に寄与します。

表8:「エネがえる」シリーズの主要機能と活用メリット

シリーズ名

対象顧客

主要機能

活用メリット

エネがえるASP

住宅用太陽光・蓄電池販売施工店

発電量推計(JIS/NEDO連携)、経済効果シミュレーション、最適電気料金プラン診断、レポート自動作成(PDF/Excel)、補助金データ参照経済効果シミュレーション保証(オプション)

営業効率化、成約率向上、顧客信頼獲得、業務負担軽減 21

エネがえるBiz

産業用自家消費型太陽光・蓄電池販売事業者

発電量推計、経済効果シミュレーション(ROI/回収期間)、デマンドデータ推計/自動診断、Excelレポート自動作成、補助金データ参照経済効果シミュレーション保証(オプション)

提案リードタイム短縮、高精度提案、投資対効果の可視化、人材不足解消 83

エネがえるEV・V2H

EV/V2H関連販売事業者、自動車メーカー、V2Hメーカー

EV/V2H経済効果シミュレーション(ガソリン代削減効果含む)、100社3,000プランから最適料金プラン提案補助金データ参照

EV/V2H導入促進、顧客への総合提案、複雑な計算の簡素化 89

エネがえるAPI

システム開発企業、大手電力/ガス会社

各種シミュレーション機能のAPI群電気料金プラン単価参照補助金データ参照、AIエージェント連携(影影響、需要予測)

開発工数削減、サービス品質向上、競争力強化、DX推進 81

結論

本ガイドで詳述したGoogleマップを活用した屋根上面積、最大設置面積、最大設置容量・枚数の推定は、太陽光発電導入検討の第一歩として非常に有効な手段です。

図面が手元にない状況でも、手軽に初期のポテンシャルを概算し、導入の可能性を迅速に検討できるという大きな価値を提供します。これは、高まるエネルギーコストへの対策や脱炭素化への貢献、災害時のレジリエンス強化といった多岐にわたるニーズに応えるための、具体的な検討開始点となります。

しかしながら、この簡易的な手法はあくまで概算であり、その精度には限界があることを認識しておく必要があります。特に、季節や時間帯による影の影響、屋根の微細な構造(棟、谷、軒先など)、正確な設置地点の日射量データ、そして各種損失係数(温度、経年劣化、汚れ、配線など)を詳細かつ動的に考慮することは困難です。これらの要素は、実際の発電量と経済効果に大きな影響を与えるため、最終的な投資判断においてはより精緻な評価が不可欠です。

より正確で信頼性の高い導入判断を下すためには、NEDO日射量データベースのような公的な日射量データ源の活用や、PVsystSolarProのような高精度発電量シミュレーションツール、国際航業の「エネがえる」シリーズに代表される専門的なシミュレーションツールの導入が推奨されます。これらのツールは、Googleマップでは評価が難しい影の影響を3D都市モデルとゲームエンジンで高精度に分析したり、全国の電気料金プランや補助金情報を自動で連携したり、さらにはシミュレーション結果の保証サービスを提供したりすることで、初期の概算では得られない深い洞察と信頼性を提供します。これにより、導入検討者は、より確実な情報に基づいて意思決定を行い、太陽光発電システムの導入を成功に導くことが可能となります。

Googleライセンス遵守の注意:該当するライセンスおよびガイドライン

■ Google Maps Platform 利用規約

  • Googleマップを利用して屋根面積を算出する場合、多くは「マップ画像の表示」「スクリーンショットの掲載」「座標・面積の算出」といった操作が伴います。このような操作は以下の規約・ガイドラインに制約される点にご注意ください。

  1. Google Maps Platform Terms of Service

  2. Maps Static API / JavaScript API / Geocoding API などに関する利用ポリシー

  3. ブランディングガイドライン(ロゴやクレジット表記義務)

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著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

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