太陽光発電で元が取れるかは、電気代削減と売電収入から、導入・維持・交換・撤去にかかる費用を引いて判断します。「全国どこでも8〜11年」という答えにはできません。見積書の価格と屋根・暮らし方の条件を揃え、20年の収支を確認しましょう。
内容確認:2026年10月5日。対象は住宅に自己所有で導入する太陽光発電の概算比較です。蓄電池・ローン・税の個別試算は含みません。旧記事の2023年試算表は末尾に過去資料として残しました。
まず3つだけ理解する
- 使った分は電気代の削減。ただし発電量の全部を自宅で使えるわけではありません。
- 余った分は売電収入。買電単価と売電単価は別物です。売電価格が途中で変わる契約なら期間を分けます。
- 差し引くのは導入費だけではありません。点検、機器交換、屋根工事に伴う脱着、撤去なども確認します。
見積条件を入れて、年ごとの収支を比較
下の初期値は計算の動きを確かめるための仮定で、価格相場・地域の平均・実績ではありません。24円と8.3円は対象となる初期投資支援スキームの制度単価です。既設設備には認定・契約上の単価を入力してください。初年度から20年間を扱うため、運転途中からの残期間試算には使いません。
JavaScriptが有効なら入力後に計算します。動かない場合は下記の数式を表計算で利用してください。
入力値はこのページ内で処理し、計算ツールから外部へ送信しません。金額は同じ税込・税抜条件で揃えてください。年次表は小数2桁、集計表示は1円丸めです。
結果の読み方:黒字かどうかと、いつ回収するかは別
「20年末の累積差額」がプラスなら、この入力条件では導入費を含む収入・支出の差額がプラスです。「初めて0円以上になる年」は年末時点での最初の回収であり、その後の修理・交換で再びマイナスになることがあります。必ず年次表も見てください。撤去費を20年目に置くのは比較の仮定で、20年で必ず撤去するという意味ではありません。
迷ったら、①販売店の発電予測、②発電量を20%下げた条件、③買電単価を20%下げた条件でCSVを保存して比較しましょう。これは感度分析の例であり、20%という幅に将来予測の確率はありません。補助金は採択や対象条件が確定するまでは0円の条件も残します。
2026年度の制度と、あなたの契約を分ける
経済産業省の2026年3月19日公表資料では、2025年度下半期から導入した初期投資支援スキームについて、住宅用太陽光の買取価格を1〜4年目24円/kWh、5〜10年目8.3円/kWhとしています。住宅用10kW未満が対象であり、事業用10kW以上の価格・期間とは異なります。すべての既設設備の単価がこの値へ切り替わるわけではありません。認定時期と設備区分、適用単価を契約書で照合してください。
11年目以降の8円/kWhは本ツールの仮入力です。将来の売電価格や制度上の保証値ではありません。継続先の買取契約で確認します。「売電価格は年々下がる」と決めつけず、契約の期間ごとに扱うことが大切です。
専門家向け:定義・計算式・モデルの限界
初年度発電量G、年間低下率d、自家消費率s、回避買電単価b、年tの売電単価pₜとします。率は100で割った小数です。
- 年tの発電量:Gₜ = G × (1−d)^(t−1)
- 自家消費量:Sₜ = Gₜ × s。売電量:Eₜ = Gₜ − Sₜ
- 年tの純便益:Bₜ = Sₜ × b + Eₜ × pₜ − 維持費 − 当年交換費 − 当年撤去等費用
- 初期純負担:C = 工事込み導入費 − 確定補助金
- 年末累積差額:−C + ΣBₜ。0年目に−Cを計上し、以後の便益は年末計上。
これは割引前の単純キャッシュフローです。NPV・IRR・借入返済・金利・所得税・売却価値・電気料金上昇率は算出していません。定額の年間維持費、交換1回、20年目の撤去費のみを扱います。交換が複数回、屋根改修・脱着など別支出がある場合はCSVを表計算へ移して追記してください。補助金入金は0年目と仮定しており、入金遅延による資金繰りは再現しません。
自家消費率は「自家消費量÷発電量」です。「自給率=自家消費量÷家庭の電力消費量」と混同しないでください。自家消費率を全期間一定とする簡略化があり、実際の30分ごとの発電と需要の一致は再現しません。蓄電池を含む場合は充放電損失・容量・出力・運転条件の別計算が必要です。発電量の予測には屋根方位・勾配・影・積雪・出力制御等を反映し、南向きだから変換効率100%と解釈しないでください。
回避買電単価は、自家消費によって実際に支払わずに済む従量部分です。削減されない基本料金を含めた請求総額÷使用量をそのまま使うと過大評価する場合があります。燃料費調整・再エネ賦課金・時間帯料金の扱いを同じ期間で揃えます。本モデルではその単価を20年間一定と仮定しています。
見積書に戻って確認する7項目
- 工事・足場・電気工事・申請・消費税を含めた総額か。
- 発電量の地点、屋根、影、気象年、損失条件は記載されているか。
- 昼間の使用量から自家消費量を推定しているか。
- 売電単価の適用年と、期間終了後の仮定を分けたか。
- 点検と交換、保証対象外の工賃、屋根脱着・処分費は別に確保したか。
- 補助金の対象、着工前申請、併用条件、入金時期を確認したか。
- ローン利用時の総返済額と月々の支出を別途確認したか。
JPEAは日常点検と専門業者による定期点検を分けて案内しています。発電モニターなどで状態を確認し、屋根上での清掃を費用削減策として自己判断で行わず、施工店へ相談してください。修理・交換費はメーカーや施工店の見積書に置き換えます。
2023年の掲載試算:過去資料として残す数値
以下は旧記事に掲載されていた値です。地域別4kW・20年間の「経済効果」と容量別の表ですが、旧記事の記述だけでは初期費用控除の有無、料金期間、自家消費量などを十分再現できません。2026年の実績・期待収益・回収保証には使用しません。元の値を保持し、現在の判断は上の入力条件付き収支表で行います。旧文の「どこでも180万円以上」「容量に関わらず8〜11年で回収」「心配はほとんど無用」という一般化は撤回しました。北海道の掲載値は258万円であり「北海道と東北で260万円超」という記述も正確ではありません。
| 電力会社(エリア) | 20年間の経済効果 |
|---|---|
| 北海道電力 | 2,583,235円 |
| 東北電力 | 2,626,494円 |
| 東京電力 | 2,022,851円 |
| 北陸電力 | 2,287,284円 |
| 中部電力 | 2,558,939円 |
| 関西電力 | 2,034,720円 |
| 中国電力 | 2,299,743円 |
| 四国電力 | 1,850,284円 |
| 九州電力 | 1,967,225円 |
| 太陽電池容量 | 年間推定節電金額 | 年間推定売電金額 | 元が取れる年数 |
|---|---|---|---|
| 1kW | 37,476円 | 2,221円 | 9〜10年 |
| 3kW | 77,742円 | 17,770円 | 8〜9年 |
| 5kW | 97,185円 | 51,832円 | 8〜9年 |
| 10kW | 104,130円 | 129,584円 | 10〜11年 |
次に調べること
発電量の根拠から確認したい方はNEDO日射量データの単位と使い方へ。退職後の家計への影響は年金・生活費と電気代を合わせた比較で別に確認できます。本ページは無料で仮定を比較する範囲の道具です。屋根と30分需要を含む設備設計、蓄電池・料金プラン・複数見積の詳細比較は個別条件を揃えた試算が必要です。販売・施工事業者向けの機能はエネがえるの資料をご覧ください。
出典・確認範囲
- 経済産業省:2026年度以降の買取価格等(2026年3月19日公表)。住宅用の段階別買取単価。確認日2026年10月5日。
- JPEA:長く使っていただくために。日常点検と定期点検の区別。確認日2026年10月5日、ページ上の公表日表示なし。
- 旧掲載表:本記事の改稿前本文(2023年条件と記載)。数値を保持した過去記録であり、現在の価格原典ではありません。
- 計算式・入力例・感度分析:本記事の比較用モデル。数値は制度単価を除き仮定であり、実測ではありません。






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