50kWの太陽光発電の費用は1180万円程度!維持費も詳しく解説

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国際航業株式会社公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。国内700社以上・導入シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)を開発提供。

50kWの太陽光発電の費用は1180万円程度!維持費も詳しく解説
50kWの太陽光発電の費用は1180万円程度!維持費も詳しく解説

50kWぐらいの規模で太陽光発電を導入したい方の中には、「費用はいくらかかるのか?」という部分が気になっている方が多いのではないでしょうか。

結論からいうと、50kW規模で太陽光発電を導入する場合の費用は、初期費用が1,180万円程度、維持費が年間27万円程度となります。

50kWの太陽光発電の導入費用

一方で、自家消費型の太陽光発電(50kW)を導入した場合の経済メリット(=電気代削減額)は、年間144.8万円程度と想定されます。

つまり、1,180万円の初期費用を投じた場合に、その費用を回収できる期間は8年〜9年程度と計算できます。

この記事では、50kWぐらいの規模で太陽光発電システムを導入しようと考えている方向けに、費用や費用対効果(回収期間)、そして50kWをボーダーにして変わる区分についても解説していきます。

「高圧」になると手続きや費用が増える

50kW以上の「高圧」になると余計な手続きや費用がかかるため、ギリギリ49.5kWや48kWなどの「低圧」の区分に収めることをおすすめします。

また、実際に50kW規模の太陽光発電システムを屋根上に設置して自家消費する場合の経済メリットを、詳細なシミュレーションで紹介していきます。

ぜひ最後までお読みいただき、費用だけでなく「どのくらい電気代削減になるのか」などを確認してみてください。

50kW規模の太陽光発電の設置費用は1,180万円程度

50kW規模の太陽光発電の設置費用は1,180万円程度

50kW規模の太陽光発電を設置する場合の費用は、1,180万円程度(工事費含む)となります。

設置費用がいくらになりそうかどうかは、経済産業省が毎年まとめている資料を参考に算出していきます。

調達価格等算定委員会|令和5年度以降の調達価格等に関する意見という資料によると、2022年に設置された10kW以上の太陽光発電システムの設置費用は、1kWあたり平均23.6万円でした。

事業用太陽光発電システム費用の規模別の推移

出典:調達価格等算定委員会|令和5年度以降の調達価格等に関する意見

ここから、50kWの太陽光発電システムを設置する場合には、50kW×23.6万円=1,180万円ということが分かります。

なお、この「システム費用」の中には、工事費や設計費もちゃんと含まれているので安心してください。以下のように、内訳を見ると、太陽光パネルやパワコンの設備費の他に、工事費や設計費も含まれていることが分かると思います。

2022年太陽光発電設置のシステム費用の内訳

50kW規模の太陽光発電の維持費用は年間27万円程度

50kW規模の太陽光発電の維持費用は年間27万円程度

次に、太陽光発電システムを設置した場合の維持費用についても見ていきましょう。

経済産業省の同じ資料によると、事業用太陽光発電の運転維持費は、地上設置の場合平均0.53万円/kW/年、屋根設置の場合は平均0.54万円/kW/年ということが分かります。

事業用太陽光発電の運転維持費

つまり、50kWの太陽光発電を設置した場合の維持費用は、

  • 地上設置の場合、年間26.5万円
  • 屋根設置の場合、年間27万円

ということが分かります。

なお、運転維持費には、市捨ての点検費や清掃費、修理費用、保険などが含まれます。

50kW規模の太陽光発電の費用は8~9年で回収できる

50kW規模の太陽光発電の費用は8~9年で回収できる

ここからは、50kW規模の太陽光発電システムを設置する費用を回収できる期間がどのくらいかを見ていきましょう。

回収期間は、「設置にかかる費用」÷「得られる経済メリット(年)」を計算すると出すことができます。

ここでは、以下の順番で、回収期間を計算していきます。

回収期間を計算するステップ

【ステップ1】設置にかかる費用を確認する

50kW規模の太陽光発電を設置する場合にかかる費用は、1章で確認した通り、工事費を含めて1,180万円程度となります。

【ステップ2】設置後に得られる経済メリットを計算する

次に、50kW規模の太陽光発電システムを設置することで、設置後に得られる経済メリットを計算していきます。

50kW規模の太陽光発電システムを設置した場合に得られるメリットには、
❶売電して得られる利益
❷自家消費することにより削減できる電気代
の2つの軸があります。

ただし、詳しくは後述しますが、50kW程度の規模を考える場合には、売電型ではなく自家消費型を想定する方がメリットが大きくなります

そのためここでは、自家消費型の太陽光発電システムを設置した場合を想定し、「❷自家消費することにより削減できる電気代」がいくらになるかを解説していきます。

※なお、10kW以上50kWの区分では原則として「全量売電」できず、自家消費して余った分だけを売電できます。50kW以上の高圧に該当する場合には「全量売電」が可能です。

50kWの太陽光発電システムを設置し、100%自家消費した場合に削減できる電気代は、年間144.8万円程度と想定できます。

削減できる電気代(年間)144.8万円
=年間発電量(60,750kWh)×電気料金単価(23円84銭)

計算の過程を以下に示します。

❶年間発電量(60,750kWh)

太陽光発電システムを設置した場合に得られる年間発電量は、地域にもよりますが、全国平均で1kWあたり1,215kWhとなります。

太陽光発電システムの年間発電量の全国平均

参考:環境省|令和元年度再生可能エネルギーに関するゾーニング基礎情報等の整備・公開等に関する委託業務報告書

そのため、50kWの太陽光パネルを設置した場合の年間発電量は、1,215kWh×50kW=60,750kWhと想定できます。

❷電気料金単価

電気料金単価は、契約する電力会社やプランによって異なりますが、ここでは東京電力エナジーパートナーの「業務用電力(契約電力500kW未満)」の料金を参考にしました。

このプランでは、電力量料金(夏季)の単価は、1kWhあたり23円84銭となります。

※参考:東京電力エナジーパートナー|業務用電力(契約電力500kW未満)

❶÷❷で削減できる電気代を算出

年間発電量(60,750kWh)を全て自家消費できたと想定すると、削減できる電気代は、60,750kWh×23.84円=年間144.8万円程度となります。

【ステップ3】設置にかかる費用÷得られる経済メリットを計算する

50kWの太陽光発電システムの設置費用が1,180万円、設置後の経済メリットが年間144.8万円と分かったところで、回収期間を計算してみましょう。

50kWの太陽光発電システムを設置して、発電した電力を100%自家消費した場合の回収期間は、約8.15年となります。

「設置にかかる費用」÷「得られる経済メリット(年)」=1,180万円÷144.8万円≒約8.15年

なお、実際には維持費用が年間27万円かかるので、黒字化するタイミングは9年目となります。

50kWの太陽光発電システムを導入した場合の例

高圧(50kW以上)だと追加の費用や手続きが発生するので注意しよう

高圧(50kW以上)だと追加の費用や手続きが発生するので注意しよう

1章から3章までは、50kW規模の太陽光発電システムを導入した場合の費用や回収期間について解説しました。

ここからは、50kWを境に発電所の区分が変わること、50kW以上の「高圧」区分では追加の費用や手続きが発生することを解説していきます。

太陽光発電は、設備の規模(定格出力)」によって、「低圧」「高圧」「特別高圧」の3つの区分に分かれます。

【低圧・高圧・特別高圧の区分の比較用】

低圧

高圧

特別高圧

定格出力

10kW以上50kW未満

50kW以上2,000kW未満

2,000kW以上

電気主任技術者

不要

専任して届出が必要

専任して届出が必要

保安規定

不要

届出が必要

届出が必要

事前計画認定

およそ1カ月(無料)

およそ3カ月/有料

およそ4カ月/有料

※参考:資源エネルギー庁|発電設備を設置するまでの流れ

50kW未満(例えば49.5kWなど)の「低圧」の区分ならば、電気主任技術者も保安規定も不要で、事前計画認定の手続きは1カ月程度となります。

しかし、50kWを超えると「高圧」の区分となり、電気主任技術者や保安規定を用意する必要が発生し、事前計画認定の手続きに時間がかかり、さらに有料となります。

他にも、以下のような手続きや契約が必要となります。

  • キュービクル(高圧受電用設備)の設置
  • 電力会社との「高圧連系用プラン」の契約
  • 第一種もしくは認定電気工事従事者による工事

規模が大きくなることで、より安全に発電設備を維持・運営していく義務が生じることに注意しましょう。

太陽光発電を50kW規模でやるなら【ギリギリ低圧】での設置がおすすめ

太陽光発電を50kW規模でやるなら【ギリギリ低圧】での設置がおすすめ

4章で解説した通り、低圧(50kW未満)と高圧(50kW以上)を比べると、高圧の場合追加の費用や手続きが発生してしまいます。

費用面では特に、キュービクルという高圧受電用設備が数百万円など高額になるため、元を取るためには200kW以上などの規模感が必要になります。

50kW規模で太陽光発電を考えているならば、「高圧」にせず、「低圧」の区分に収めるのがおすすめです。

例えば、システム容量を49.5kWや48kWなどギリギリ50kW未満に抑えることで、「低圧」の区分で運用することができます。

太陽光発電(50kW規模)の導入費用を抑える方法

太陽光発電(50kW規模)の導入費用を抑える方法

ここからは、50kW規模で太陽光発電システムを導入する場合に、設置費用を抑える方法について解説していきます。

50kWの太陽光発電の費用を抑える方法

それぞれ詳しく解説していきます。

低コストの太陽光パネルを検討する

太陽光発電の導入費用を抑えるには、低コストの太陽光パネル(モジュール)を選ぶことが重要です。

以下のシステム費用の内訳を見ると分かる通り、設置費用23.6万円/kWのうち、10.2万円/kWが太陽光パネルの費用です。

システム費用平均値の推移と内訳

出典:調達価格等算定委員会|令和5年度以降の調達価格等に関する意見

設置費用の43%を占める太陽光パネルのコストを下げることで、設置費用も抑えることができます。

補助金を活用する

産業用太陽光発電の設置費用を抑えるためには、使える補助金を調べて活用しましょう。

法人向け・事業用の太陽光発電の補助金には、国からの補助金制度と自治体が独自に実施している制度の2つがあります。

国が行っている補助金制度の例
・ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
・新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業
・需要家主導型太陽光発電導入促進事業
・地域における太陽光発電の新たな設置場所活用事業
・オフサイトからの自営線による再エネ調達促進事業

自治体が行っている補助金制度の例
・秋田県:産業用再エネ電力活用モデル事業費補助金
・東京都:地産地消型再エネ増強プロジェクト/再エネ設備の新規導入につながる電力調達構築事業
・京都府:認定自立的地域活用型再生可能エネルギー導入等計画に基づく再生可能エネルギー設備等導入補助事業補助金

どの制度が適用できるかは、制度ごとに要件が定められているため、詳細を一つひとつ確認する必要があります。

国が行っている補助金制度は経済産業省や環境省のホームページから、自治体の補助金制度は各自治体のホームページから確認してみましょう。

また、産業用太陽光発電の補助金に詳しい設計事務所や工務店に相談してみることをおすすめします。

複数業者の見積もりを比較する

産業用太陽光発電の設置費用を抑えるためには、複数業者の見積もりを比較することが大切です。

同じような構成で太陽光発電を導入する場合にも、業者によって太陽光パネルの費用や設置費用が異なります。また、経験豊富な施工業者と、そうでない業者を比べると、提案内容が異なることもあるでしょう。

複数の業者に見積もりを依頼して比較することで、価格だけでなく、効率的に経費を削減できる方法を見つけることができるでしょう。

設置費用が高額すぎて損をするのは避けなければなりませんが、あまりにも安い価格で販売している業者についても注意が必要です。

価格だけでなく、長期的な経済メリットや運用の仕方など、的確にアドバイスをしてくれる業者に依頼しましょう。また、補助金に詳しい業者に依頼することで、トータル費用を抑えることができるでしょう。

50kW規模の太陽光発電システムの導入シミュレーション

50kW規模の太陽光発電システムの導入シミュレーション

ここからは、50kW規模で太陽光発電システムを導入した場合、どのくらいの経済メリットがあるかなど詳しくシミュレーションしていきます。

ここでのシミュレーションは、自家消費型太陽光・蓄電池の自動提案ツール「エネがえるBiz」を使用します。

今回は、5章でも説明した通り、ギリギリ低圧の区分でいけるよう、システム容量は49.5kWでシミュレーションしていきます。

中規模の工場の屋根に設置することを想定し、売電は行わず、発電した電力は全て自家消費する想定にしています。

その他、シミュレーションの条件は以下の通りです。

設置エリア:東京電力エナジーパートナー管内の東京都
現在の料金プラン:6,000V 業務用電力 容量500kW未満
ロードカーブパターン(1日)の設定:【共通】工場・昼操業・中・平日および休日
現在の電気使用量:5月12,000kWhを基準に、月別使用料比率テンプレートを当てて各月の使用量を計算
太陽光パネルの出力値:49.5kW
蓄電池:なし

49.5kWの太陽光発電システムを蓄電池なしで導入した場合をシミュレーションを行ったところ、以下の結果を得ることができました。

シミュレーション結果 導入後の月毎の内訳(電力量)

【蓄電池なしの場合のシミュレーション結果】

発電量

年間60,982kWh

自家消費

年間45,884kWh(自家消費率31.9 %)

余剰分

年間15,097kWh(余剰率24.8%)

電気使用量

年間143,843kWh

系統から購入した電気量

年間97,959kWh

電気代削減額

年間1,326,093円(削減率27.5%)

シミュレーションの結果、年間で60,982kWhの発電量を得ることができ、そのうち45,884kWhを自家消費することができました(自家消費率31.9 %)。

そのため、45,884kWh分の電気代を削減でき、年間で約132.6万円の電気代削減額となりました(削減率27.5%)

【販売店様向け】エネがえるBizなら自家消費型太陽光発電のシミュレーションが簡単

【販売店様向け】エネがえるBizなら自家消費型太陽光発電のシミュレーションが簡単

ここからは、太陽光発電や蓄電池の販売店様や施工業者様などに向けて、「エネがえるBiz」の紹介をしていきます。

※産業用太陽光発電の導入を検討している事業者様は、エンドユーザー向けのシミュレーションは公開していないため、ぜひ「エネがえるBiz」を導入している販売店に相談してみてください!

7章のシミュレーションで使った「エネがえるBiz」は、大手電力や蓄電池メーカー、蓄電池販売施工店まで683社が導入している「自家消費型太陽光・蓄電池の自動提案ツール」です。

<実績例>

シャープ株式会社
パナソニック株式会社
ソフトバンク株式会社
株式会社村田製作所
東北電力株式会社
積水ハウス株式会社
大和ハウス工業株式会社
住友林業ホームテック株式会社 など

※企業様の声を「エネがえるを導入した企業の事例紹介」でご紹介しております。

全国販売実績TOP1・2の販売店も導入しており、「エネがえるBizで提案がしやすくなった」と好評をいただいています。

エネがえるBizが選ばれる理由

・提案リードタイム1/6に短縮(手元で簡単に何度でも試算)
・「太陽光のみ」「太陽光+蓄電池」両対応
・低圧・高圧両対応(高騰する燃調費単価も月1回自動更新)
・簡単操作で入社2ヶ月目の新人も活用。Excel提案書が自動作成
・30分値デマンドデータがなくてもサクッと試算
・大手産業用太陽光・蓄電池メーカーや商社も導入中

工場、公共、病院、事業所、ホテル、飲食・レストラン・住居など対応し、業種に応じたシミュレーションが可能です。

シミュレーションができるだけでなく、シミュレーション結果を基に簡単に提案書を作成できるのも喜ばれているポイントです。

シミュレーション結果を基に簡単に提案書の作成も可能

成果を上げているお客様では、入社2カ月目の新人営業が「エネがえるBiz」を使って経営者向けのシミュレーションや提案書作成を担当したというケースも聞いています。

以下に、「エネがえるBiz」を導入したお客様の成功事例や「30日全機能お試し」のご案内を載せているので、ぜひご活用ください。

まとめ

本記事では、50kW規模の太陽光発電を設置する場合の費用について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

▼50kW規模の太陽光発電の設置費用は1,180万円程度(工事費含む)

・2022年に設置された設置費用1kWあたり平均23.6万円×50kWで計算できる

▼50kW規模の太陽光発電の維持費用は年間27万円程度

・地上設置の場合平均0.53万円/kW/年、屋根設置の場合は平均0.54万円/kW/年

▼50kW規模の太陽光発電の費用は8~9年で回収できる

・設置費用1,180万円
・経済メリット(電気代削減金額)が年間144.8万円
・設置費用÷経済メリット=約8.15年

▼高圧(50kW以上)だと追加の費用や手続きが発生するので注意しよう

・50kWを超えると、電気主任技術者や保安規定を用意する必要が発生し、事前計画認定の手続きに時間がかかる
・50kWをギリギリ超えない49kWなどがおすすめ

▼太陽光発電(50kW規模)の導入費用を抑える方法

・低コストの太陽光パネルを検討する
・補助金を活用する
・複数業者の見積もりを比較する

太陽光発電を導入する場合は、事前の導入シミュレーションがとても大切です。費用対効果は、その現場によってかなり変わってくるからです。

ぜひ「エネがえるBiz」を使って詳細なシミュレーションを行い、電気代削減額など経済メリットを明らかにしてから設置を決めることをおすすめします。

 

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