太陽光発電の見積りチェックポイント5つを解説|損したくない方必見

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国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。お仕事・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

「太陽光発電の見積りをもらったけれど、妥当な金額かどうか判断できない」
「見積りのどこをチェックすればいいか教えてほしい」
という方は多いのではないでしょうか。

太陽光発電の見積りは、業者によって本当にさまざまです。そのため、見積りの金額が高いのか安いのかを判断するのは難しいものです。

太陽光発電の見積り書イメージ

結論からいうと、太陽光発電システムの見積りをもらった時にチェックするポイントは、以下の5つです。

太陽光発電の見積書で見るべきポイント

また、見積書の内容だけでなく、損しないためには以下のポイントも押さえるのがおすすめです。

太陽光発電の見積りで損しない5つのポイント

この記事では、太陽光発電の見積りについて、素人でも、ある程度の妥当性を判断できるよう、ポイントを解説していきます。

もちろん、本文中にも記載していますが、ひとつの見積書だけを見ても判断は難しいため、必ず複数の見積りを同時に取って、その中で比較・検討するのがおすすめです。

しかしながら、事前に見積りのチェックポイントを知っておくことで、比較・検討するときの指針にもなるはずです。

ぜひ最後までお読みいただき、見積りの良し悪しを判断できるようになってください。

※蓄電池の見積りについては、他記事「蓄電池の見積もりが高すぎないかチェックできる!ポイント4つを解説」で解説しているので、ぜひそちらも参考にしてみてください。

太陽光発電の見積書で見るべき5つのチェックポイント

太陽光発電の見積書で見るべき5つのチェックポイント

早速、太陽光発電システムの見積りをもらった時のチェックポイントについて解説していきます。

太陽光発電の見積書で見るべきポイント

・合計金額が適正か(1kWあたり20万~35万円)
・太陽光パネル・パワコン・工事費の内訳が適正か
・メーカー保証・工事保証の期間や内容
・補助金の情報が書かれているか・申請書代行があるか
・値引きの金額が過剰ではないか

それぞれ見ていきましょう。

合計金額が適正かどうかを確認(1kWあたり20万~35万円)

太陽光発電システムの見積りをもらったら、まず見るべきところは「合計金額(総額)」の欄です。「結局いくら支払うのか」という意味で重要な要素です。

この時に、必ず「補助金が引かれる前の金額」を確認するようにしてください。

補助金が引かれる前の金額を確認

合計金額(総額)を確認する場合には、太陽光発電システムの平均設置費用と比較してみましょう。

経済産業省の資料によると、2022年の住宅用太陽光発電システム費用は、1kWあたり20万円~35万円程度が相場(平均26.7万円)となります(工事費や架台なども含む)。

住宅用太陽発電のシステム費用の推移とその内訳

出典:経済産業省|令和5年度以降の調達価格等に関する意見(案)

見積りの合計金額が、この「1kWあたり20万円~35万円(平均26.7万円)」の範囲にあるか確認してみましょう。あまりに高すぎる場合には、高い業者と判断できるでしょう。

【システム容量ごとの太陽光発電システム設置費用の相場】

太陽光パネルのシステム容量

適正な設置費用の範囲

4kW

80万円~140万円(106.8万円)

5kW

100万円~175万円(133.5万円)

6kW

120万円~210万円(160.2万円)

7kW

140万円~245万円(186.9万円)

実際には、保証やアフターサービスの手厚さ、製品の性能によっても価格には違いが現れるため、「高いな」と思う場合には業者に理由を尋ねてみると良いでしょう。

合計金額を見せない業者には注意しよう

業者の中には、合計金額を書かず、月々のローン支払い金額だけを書いた見積りを提出してくる販売店もあるようです。

こうした業者は、合計金額をわざと見せずに、月々料金だけを見せて「安く見せよう」としている業者です。合計金額を計算してみると思ったよりも高額になっているケースがあるので注意しましょう。

太陽光パネル・パワコン・工事費の内訳や価格が適正か確認

合計金額(総額)以外に、太陽光パネル本体やパワコンの見積り価格もチェックしましょう。

先ほどと同じ経済産業省の資料には、新築のシステム費用平均値(1kWあたり26.1万円)の内訳も掲載されています。

【システム費用(新築)の内訳】

内訳

1kWあたりの費用

ソーラーパネル

14.5万円

パワーコンディショナー

4.2万円

架台

2.1万円

その他の設備

0.2万円

工事費

7.1万円

値引き

△1.9万円

合計

26.1万円

参考:経済産業省|令和5年度以降の調達価格等に関する意見(案)

上記の平均値と、もらった見積りの各項目を比べてみて、明らかに高い項目がないかなどをチェックしてみましょう。

もし明らかに高い項目がある場合には、その理由を担当者に尋ねてみて明確な答えが返ってくるかを確認することをおすすめします。

メーカー保証・工事保証の期間や内容を確認

太陽光発電の見積りで見るべきポイントとして、故障や不具合があった場合の保証がどうなっているかも重要です。

以下のように見積りの項目として記載があるか、備考欄や添付資料に書かれているはずなので、保証の期間や内容を確認しましょう。

見積書の保証の期間や内容を確認

太陽光パネル(モジュール)には、10年または15年のメーカー保証が付帯しているため、機器自体が故障してもメーカーの保証を受けることができます。

しかしながら、モジュール以外の部材や配線などに不具合が起きた場合には、メーカー保証の対象外となってしまいます。この部分を保証するのが「施工保証」「工事保証」です。

無償で施工保証を付けてくれる販売店(施工業者)と付けてくれない販売店があるので、見積り時に確認してみましょう。できれば施工保証が付いている販売店の方が安心です。

補助金の情報や申請書代行があるかどうかを確認

太陽光発電システムの見積りをもらった際に、その地域の補助金の情報が記載されているか、補助金申請書代行作成してくれるかも確認するのがおすすめです。

見積書の補助金の情報や申請書代行があるかどうかを確認

詳しくは後述しますが、太陽光発電システムを導入する場合、住んでいる地域の補助金を活用することで、実質負担額をかなり抑えられるケースが多くあります。

見積書に、「どの補助金をいくら受け取れる可能性があるのか」が書かれているか確認しましょう。

また、補助金の申請は慣れないと手続きが大変なので、申請書代行作成してくれる業者だと安心です。代行作成してくれるのか見積書に書いているかも併せて確認しましょう。

補助金については、後ほど「補助金・助成金を最大限活用する」でも詳しく解説しています。

値引きの金額が過剰ではないか確認

太陽光発電の見積りをチェックする場合は、値引きの金額にも着目してみましょう。値引きの金額が数万~数十万円程度ならば問題ありませんが、百万円単位で値引きしている場合は注意が必要です。

値引きの金額は、見積書の一番下に「お値引き」「出精値引き」などと記載されます。「出精値引き」とは「企業の努力による値引き」という意味です。

見積書の値引きの金額が過剰ではないか確認

値引きの金額は、業者によってかなりさまざまなパターンがあります。値引きを全く記載しない業者もあれば、端数だけ値引きする業者もありますし、百万円単位での値引きをする業者もあります。

そして、値引き金額が過剰に大きい場合には、見積金額の根拠が見えづらくなるため注意が必要です。

値引き金額が過剰に大きいと見積金額の根拠が見えづらくなるため注意が必要

例えば、太陽光発電システムの材料費が100万円+工事費が20万円=120万円だった場合に、値引きが20万円なら合計金額は100万円となります。この場合は、「企業努力により20万円引いてくれたんだ」という印象を感じる方が多いでしょう。

しかし例えば、材料費や工事費の合計が300万円、値引きが200万円で、合計100万円という見積りをもらった場合、どこをどうして200万円も値引きされたのか?という疑問が出てきます。

そもそもの定価が水増しされており、安く見せるために値引き額を大きくしているのではないか?と感じる方も多いのではないでしょうか。

誠実で親切な業者ほど、定価はいくらで仕切り価格はいくらと分かるように記載があり、値引きは端数程度、という見積りを提示してくれるはずです。

相見積りをして迷った場合には、見積りの金額の根拠が分かりやすく示されている業者を選ぶのがおすすめです。

太陽光発電の見積りで損しない5つのポイント

太陽光発電の見積りで損しない5つのポイント

ここからは、見積書に書かれた項目だけでは判断できない部分について、損しないポイントや注意点を解説していきます。

太陽光発電の見積りで損しない5つのポイント

・【重要】太陽光パネルを選定した理由を確認してみる
・経済メリットがシミュレーションに基づいているか確認
・必ず複数の業者から同時に見積りを取って比較する
・突然の訪問販売はトラブルが多いので注意する
・補助金・助成金を最大限活用する

ひとつずつ解説していきます。

【重要】太陽光パネルを選定した理由を確認してみる

太陽光発電システムの見積りを確認する上で、「なぜこの太陽光パネル(モジュール)を選定したのか」を確認するのも重要なポイントです。

選定する太陽光パネルによって性能や価格はかなり差が現れますし、同じシステム容量でも発電量が変わります。

メーカーによっても価格には差が現れます。国産で信頼できるメーカーはパネル価格も高くなりますし、コストパフォーマンスを重視した海外メーカーは価格が安くなります。

業者がどの価格帯の太陽光パネルを選んで見積りに載せているか、なぜその太陽光パネルを選んだのかなど、理由を確認してみましょう。

質問に対して明確に分かりやすく回答してくれる業者がおすすめです。

また、太陽光パネルの要望がある場合には先に伝えておき、要望に合った太陽光パネルの商品を選定してくれるか確認しましょう。

太陽光パネルの要望の例

・できるだけコスパの良い太陽光パネルが良い
・国産メーカーから選んでほしい
・景観を損なわないスタイリッシュな太陽光パネルが良い
・できるだけ省スペースで設置したい

メーカーによって、メーカー保証年数の長さも異なるので、そのパネルが何年保証なのかも確認しておくことが大切です。10年保証が基本ですが、メーカーによって20年保証が付いているところもあります。

売りたい商品に誘導される業者に注意しよう

業者の中には、お客さんの要望を無視して売りたい商品(利益率が高い商品など)を勧めてくる場合があるので注意しましょう。
要望や目的に合う太陽光パネルを選定してくれる親切な業者に依頼するのがおすすめです。

経済メリットがシミュレーションに基づいているか確認する

見積りには、太陽光発電システムを導入した場合の「経済メリット」が添えられていることが多いのですが、その経済メリットが適正な値かどうかも重要なポイントです。

具体的には、都合の良いシミュレーション内容になっていないかを確認します。

例えば、太陽光発電システムの導入費用(見積りの合計金額)が100万円で、10年間で得られる経済メリットが100万円だとしたら、10年間で初期費用を回収できる計算となります。

しかし、実際には100万円の経済メリットを得られるのが10年ではなく15年だったら、初期費用を回収するまでに15年かかることになります。

同じ太陽光発電システムを導入しても、設置する場所やパネルの角度、生活している家族の生活スタイル(日中に家にいるかなど)、現在の電気代、電力会社のプランなどによって、経済メリットは大きく異なります

同じ5kWの太陽光パネルを設置した場合でも、設置場所やパネルの向き、角度によって経済メリットには差が出ます。

設置場所やパネルの向き角度によって経済メリットには差が出る

例えば、年間日照量が少ない秋田市に東向き・20°で設置した場合と、年間日照量が多い宮崎市に南向き・28°で設置した場合を比べると、10年間の経済メリットには約20万円もの差が発生します。

経済メリットが、設置場所や設置角度などを考慮したものになっているか、業者に確認してみましょう。

経済メリットが正しくなければ、費用対効果も回収年数もズレてしまいます。結果的に、「太陽光パネル設置したけど、期待したほどのメリットがなかったな」と後悔する羽目になりかねません。

太陽光発電の見積り時には、初期費用だけでなく経済メリットを正しく試算できる業者かどうか、見極めることも大切です。必要に応じてシミュレーションし直してくれる業者がベストです。

シミュレーションについては、後ほど「太陽光発電の見積り(シミュレーション)でよくある失敗例」でも詳しく解説します。

必ず複数の業者から同時に見積りを取って比較する

太陽光発電の見積りを取る時には、比較対象として必ず複数の業者から見積りをもらうようにしましょう。

1社からしか見積りを取らないと、その見積りが高いのか低いのか判断できないからです。

「この業者にお願いしたい」という依頼先が見つかっていた場合も、念のため2社ほど別の会社に見積り依頼することをおすすめします。

相見積りを取った後は、金額はもちろんですが、「なぜこの構成にしたのか」や保証内容、アフターサービスの内容、担当者の知識量などを総合的に判断して購入先を決定しましょう。

突然の訪問販売はトラブルが多いので注意する

見積りを依頼した訳ではなく、突然「太陽光発電どうですか?」と訪問販売に来た場合には、トラブルに発展する可能性が高いので注意しましょう。

国民生活センターの公式ホームページを見ると、突然の訪問販売で太陽光発電設備や家庭用蓄電池の勧誘を受けて契約してしまったトラブル事例が掲載されています。

訪問販売業者から出される見積りは、通常よりも割高に設定されていることが多くあります。訪問販売する従業員の人件費が上乗せされているからです。

また、中には詐欺業者が含まれることもあるため注意が必要です。

訪問販売をきっかけに太陽光発電の導入に興味を持った方は、改めて信頼できる業者に相見積りを依頼することをおすすめします。

補助金・助成金を最大限活用する

太陽光発電設備や家庭用蓄電池を導入する場合、国や自治体の補助金や助成金をぜひ最大限活用しましょう。エリアによりますが、制度の活用により、実質的にかなり安価に導入できるケースがあります。

❶国の補助金・助成金制度

太陽光発電システム設置に関する国の補助金は、ZEH、次世代ZEH+、次世代HERMがあります。

【国による太陽光発電システム導入時の補助金】

補助金の名前

補助金の金額

ZEH支援事業

1戸あたり55万円~100万円

次世代ZEH+実証事業

1戸あたり100万円

次世代HEMS実証事業

1戸あたり112万円

国の補助金は、太陽光発電システムと同時に蓄電池などの関連設備を導入することを条件に申請できます。

対象となる住宅の条件などもあるので、家を建てる際に工務店やハウスメーカーと相談しながら補助金の対象になるか判断していきましょう。

※参考:一般社団法人環境共創イニシアチブ|経済産業省及び環境省による戸建ZEH補助事業

❷自治体の補助金・助成金制度

多くの自治体(都道府県や市町村)で、独自に太陽光発電システムや蓄電池の設置に関する補助金を支給しています。以下に、一例を示します。

【国による太陽光発電システム・蓄電池の補助金(一例)】

自治体

補助金の金額

東京都

新築住宅に太陽光パネルを設置する場合:1kWあたり12万円(上限36万円)
既存住宅に太陽光パネルを設置する場合:1kWあたり15万円(上限45万円)
事業所や工場などの屋上スペースに設置する場合:
 中小企業等:3分の2(上限額:1億円)
 その他:2分の1(上限額:7,500万円)

参考:東京都環境局|太陽光発電設備の設置に対する東京都の助成事業

愛知県碧南市

住宅用太陽光発電システムにHEMSと蓄電池システム、または自動車充給電設備の一体的導入をした場合
・蓄電池システムとの導入:27万円
・自動車充給電設備との導入:22万円

参考:愛知県碧南市|スマートハウス設備設置費補助金

福島県

太陽光発電システム:1kWあたり4万円(最大16万円)
蓄電池:蓄電容量1kWhあたり4万円(最大20万円)

参考:福島県|住宅用太陽光設備等補助金について

※2023年11月確認時点の情報です。
※補助金制度にはそれぞれの適用条件が細かく設定されているので、各制度の詳細をよく確認し、適用できるかどうか慎重に判断してください。

東京など一部エリアでは、都道府県と市区町村の補助金を重複して受け取ることができるケースもあります。予算が決まっている自治体もあるので、合わせて確認してみましょう

「◯◯(自治体名)+太陽光+補助金」などで検索して、お住まいの自治体に補助金制度があるか、いくら補助金を受けられるか確認してみてください。

補助金を受けられるか受けられないかによって、費用対効果や経済メリットもかなり変わってくるので、事前に自分が使える制度を調べておくことが重要です。

見積り金額だけでなく「設置により得られる経済メリット」に注目すべき

見積り金額だけでなく「設置により得られる経済メリット」に注目すべき

太陽光発電の見積りを検討する際には、設置にかかるコストだけでなく「設置により得られる経済メリット」に注目すべきです。

太陽光発電システムの見積りを比較する際、「どの見積書が一番コスパが良いか」ばかりを追いかけてしまいがちですが、本当に重要なのは費用対効果や回収年数です。

費用対効果や回収年数が重要

例えば設置にかかるコストが100万円と安く済んでも、10年間で得られる経済メリットが80万円なら、費用対効果がマイナスになってしまいます。

一方で、設置コストが120万円でも、10年間で得られる経済メリットが150万円なら、費用対効果はプラスです。

費用対効果を正しく見積もるためには、設置場所や太陽光パネルの向き、角度、現在の電気代、電気の使い方など、詳細な条件を設定した上でのシミュレーションが必須となります。

詳細なシミュレーションを行わず、業者が設定した理想値でのシミュレーション結果を用いると、実際に設置した後に思ったよりも経済効果が出ず、後悔することになりがちです。

損しないためには、設置条件をしっかり設定した上で、「エネがえる」のような高精度シミュレーションツールを使って、個別に経済メリットを試算すべきです。

実際によくある「経済メリット」の見積り失敗例を次の章で紹介するので、参考にしてみてください。

太陽光発電の見積り(シミュレーション)でよくある失敗例

太陽光発電の見積り(シミュレーション)でよくある失敗例

ここからは、具体的なシミュレーション例を紹介しながら、太陽光発電の見積りと経済メリットについてのよくある失敗例を紹介していきます。

同じ太陽光パネルでも設置場所や角度によって経済メリットが変わる

太陽光発電システムの見積りをもらった場合に、設置費用(合計金額)は120万円、導入することによる経済メリットが年間12万円、10年で初期費用を回収できると書いてあったとします。

しかしながら、その経済メリットのシミュレーションが、その地域や設置条件を基に試算されている内容かどうか、必ず確認するようにしましょう。

業者によっては、ベストな条件でシミュレーションした値を掲載しているかも知れないからです。

設置場所(地域)、パネルの向き(南向きかそれ以外か)、パネルの角度(最も日照を集められる角度かどうか)によっての発電量や経済メリットの違いを表わしたのが以下の表です。

【4パターンの年間予測発電量と経済メリット(5kW)】

設置条件

年間予測発電量

1カ月の
経済メリット

1年間の
経済メリット

10年間の
経済メリット

秋田・南向き・35°
・日射量が少ない地域
・ベスト条件

5,301 kWh

9,975円

119,700円

約119.7万円

秋田・東向き・20°
・日射量が少ない地域
・ベストではない条件

4,605 kWh

9,009円

108,108円

約108.1万円

宮崎・南向き・28°
・日射量が多い地域
・ベスト条件

6,530 kWh

10,640円

127,680円

約127.7万円

宮崎・東向き・20°
・日射量が多い地域
・ベストではない条件

5,624 kWh

9,366円

112,392円

約112.4万円

上記のシミュレーション例では、同じ5kWの太陽光発電システムを設置した場合でも、設置条件によって10年間で約20万円もの差が現れることが分かります。

つまり、業者がベスト条件によるシミュレーションを伝えてきた場合、「10年間で約130万円の経済メリットが得られる」と想定していたのに、実際には約110万円の経済メリットだった、という失敗例があり得ます。

費用対効果を見誤らないためにも、設置する場所や条件に合わせたシミュレーションを提出してもらうようにしましょう。

※さらに詳しいシミュレーション内容を見たい方は、「太陽光発電の年間発電量は地域・設置条件で変わる!4ケースを紹介」の記事をご覧ください。

生活スタイルによっても経済メリットが変わる

太陽光発電システムを設置する場合、住んでいる人の現在の電気代や生活スタイルによっても、経済メリットには違いが現れるため注意が必要です。

太陽光発電の見積り金額が高いか低いかを判断すると同時に、設置することでどれだけの経済メリットを得られるか、生活スタイルに即したシミュレーションをすることが大切です。

例えば、よくある失敗例として、その家庭に必要な容量以上のシステムを導入してしまうケースがありえます。

以下は、同じ地域(東京)・同じシステム容量(5kW)で、電気代と生活スタイルの違う家庭のシミュレーションをした時の経済メリットの差を表したものです。

【5kWの太陽光発電システムを設置した時の経済メリット】

生活スタイル

月平均の電気料金

15年間の経済メリット

夜型

1万円(262kWh)

153万8,509円

昼型

1万円(262kWh)

186万9,645円

夜型

2万円(518kWh)

186万9,323円

昼型

2万円(518kWh)

259万3,927円

日射量観測地点:東京
現在の電気の契約情報:東京電力エナジーパートナー・従量電灯B(50A)
FIT期間中の買取単価:16円/kWh(10年)
FIT終了後の買取単価:8.5円/kWh(15年)
パネル設置:5kW、南向き、傾斜角は4寸(23度)
電気料金上昇率:年率2%を想定

※2023年11月時点のシミュレーション結果です。

同じ5kWの太陽光発電システムを設置しても、生活スタイルや現在の電気代によって、かなり経済メリットに差が生まれることが分かるでしょう。

上記の例では、例えば、昼型(日中に電気をたくさん使う家庭)で月平均電気代が2万円の家庭なら、見積金額が150万円でも費用対効果を考えると安い!となるはずです。

一方、夜型(日中はほとんど家にいない家庭)で月平均電気代が1万円の家庭の場合は、見積金額が同じ150万円でも、「ちょっと高いかな…」と感じるかもしれません。

この場合、「5kWじゃなくて4kWにしたらどうか」などの検討も選択肢になってきます。

このように、太陽光発電の見積りが高いか低いか検討する際には、生活スタイルや電気代を加味した経済メリットと比較した上で、最終的な判断を下す必要があります。

太陽光発電の見積りはエネがえる導入店舗に依頼しよう

太陽光発電の見積りはエネがえる導入店舗に依頼しよう

この記事では、太陽光発電の見積りのチェックポイントや注意点について解説してきました。

ここまで説明した通り、太陽光発電の見積りが「高いのか」「低いのか」を判断する場合には、見積り同士の比較はもちろんですが、「結局のところ費用対効果はどうか」をしっかり理解することが大切です。

実際の費用対効果は、設置するエリアやパネルの向き、設置する角度、生活スタイル、現在の電気代、使用する電気機器など、さまざまな条件によって変わります。

さらに、補助金があるかどうかも、費用対効果に大きな違いをもたらします。

太陽光発電の見積り説明を受ける際には、こうした、状況によって異なる条件をしっかり加味したシミュレーションを同時に行いましょう。

インターネットを探すと無料の太陽光発電システムのシミュレーションツールが見つかりますが、おすすめは「エネがえる」です。

太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションの決定版「エネがえる」

エネがえるなら、以下のようなさまざまな条件を設定できるため、精度が高い結果を得ることが可能です。

エネがえるAPIで設定できる条件の例

・システムを設置する場所(エリアによって発電量が異なる)
・契約している電力会社と契約プラン(別の料金プランと比較可能)
・生活スタイル(朝型か夜型かなどで自家消費率が変わってくる)
・買取単価(FIT終了後の単価を自由に設定可能)
・設置するパネルのシステム容量
・パネルを設置する方角や傾斜角度(発電量に影響)
・蓄電池の型番(蓄電できる容量などを結果に反映)

ただし、エネがえるは、法人向けのツールなので、残念ながら個人向けにはツールを公開していません。

大手電力会社や蓄電池メーカー、販売店、工務店、ハウスメーカーなどさまざまな販売店に導入いただいているツールです。

太陽光発電を設置した後の経済効果をより正確に見積りたい方は、ぜひ「エネがえる」を導入している工務店や販売店にシミュレーションを依頼してみてください

【販売店様向け】顧客ごとの詳細なシミュレーションは「エネがえる」がおすすめ

【販売店様向け】顧客ごとの詳細なシミュレーションは「エネがえる」がおすすめ

ここからは、工務店やハウスメーカーなど販売店様向けに、太陽光発電や蓄電池の提案をスピーディーに行える「エネがえる」の紹介をさせていただきます。

太陽光発電のシミュレーションツールはたくさんありますが、精度が高いシミュレーションをするならば「エネがえる」が最適です。

太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションの
決定版「エネがえる」の特徴

【導入実績がすごい!】
・683社が導入(大手電力・蓄電池メーカー・販売施工店など)
・全国販売実績TOP1・2の蓄電池販売会社が導入
・年10万件超の安心の診断実績

【使い方が簡単!便利!】
・5分で提案書が自動作成
・燃調費単価も月1回自動更新
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「エネがえる」は、蓄電池やエコキュートの長期経済効果を最短15秒で診断可能。わかりやすいグラフ付き提案書で、細かい金額までしっかり提示ができます。

支払い期間やローン金利を入れれば、FIT期間とFIT終了後の負担額も自動計算でき、瞬時に提案可能です。

今回の記事でも紹介した通り、太陽光パネルを導入することによる経済効果は、設置する家庭によってかなり差があります。

「エネがえる」なら、家庭の状況に合わせて、15年間の経済効果をグラフで簡単に視覚的に分かりやすく訴求することも可能です。

こうしたシミュレーション結果を元に、お客様の信頼を勝ち取ることができる営業ツールとなります。

「エネがえる」は15年間の経済効果をグラフで簡単に視覚的に分かりやすく訴求することも可能

「15年間で電気代はいくら削減可能、さらに売電収入がいくらもらえる」という数字を細かく提示できるため、費用対効果の説明も簡単です。

また、「自家消費率(自給率)」や、以下のような発電・自家消費・蓄電・売電の流れなども瞬時に資料をお出しできるため、お客様への提案がスムーズにおこなえます。

発電・自家消費・蓄電・売電の流れも表示できる

1日を通して、どの時間に発電し、どのくらいを自家消費し、どのくらいが蓄電池に貯められて、蓄電池からはどのくらい自家消費に回るかなども、以下のように図で分かりやすく説明できます。

1日を通した発電・自家消費・蓄電も図でわかりやすく説明

弊社がおこなったアンケートの結果、エネがえるで出力した診断レポートをお客様に見せたところ、「71%のお客様が、販売会社への信頼度が上がる」と回答しています。

約7割が販売会社への信頼度が上がると回答

導入にいくらかかり、それによりどのくらいの経済効果が出るのか、毎月のローン負担額はいくらかになるかを、FIT中からFIT後まで15年という長期にわたり具体的にシミュレーションできるため、お客様からの信頼を勝ち取ることができます。

なお、エネがえるシリーズには他に、産業用のシミュレーションもできる「エネがえるBiz」や、EV・V2H経済メリットシミュレーションができる「エネがえるEV・V2H」もあります。

お客様への提案の確度を上げたい工務店・販売施工会社・メーカー・電力会社は、ぜひ「エネがえるASP」の導入をご検討ください。

まとめ

本記事では「太陽光発電システムの見積り」をテーマに解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

太陽光発電の見積りをもらった時に見るべきポイントは以下の5つです。

・合計金額が適正か(1kWあたり20万~35万円)
・太陽光パネル・パワコン・工事費の内訳が適正か
・メーカー保証・工事保証の期間や内容
・補助金の情報が書かれているか・申請書代行があるか
・値引きの金額が過剰ではないか

また、見積書以外の部分で気を付けるポイントは以下です。

・【重要】太陽光パネルを選定した理由を確認してみる
・経済メリットがシミュレーションに基づいているか確認する
・必ず複数の業者から同時に見積りを取って比較する
・突然の訪問販売はトラブルが多いので注意する
・補助金・助成金を最大限活用する

太陽光発電システムを導入する場合には、見積り金額だけでなく「設置により得られる経済メリット」に注目すべきです。そして、経済メリットを正しく試算するには、高精細なシミュレーションツールがおすすめです。

経済メリットの試算が間違っていると、思うような費用対効果を得られないことがあります。ぜひ「エネがえる」を採用している販売店や工務店に依頼して、詳しいシミュレーションを行った上で導入しましょう。

 

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