卒FIT後に後悔しない!売電派・自家消費派の最適容量の違いとは【2025年最新版】

卒FIT後に後悔しない!売電派・自家消費派の最適容量の違いとは【2025年最新版】

はじめに:卒FIT後の太陽光発電をどう活かすべきか?

2009年前後に住宅用太陽光発電を導入し固定価格買取制度(FIT)で売電してきた方々は、設置から10年が経過して**「卒FIT」(FIT期間終了)を迎えています。FIT期間中は1kWhあたり30~40円台という高額で売電できたため、発電した電力のほとんどを電力会社に売る運用が経済的に有利でした。しかし2020年代に入り順次FIT満了を迎えた今、卒FIT後の余剰電力は売ってもわずか7~9円/kWh程度にしかならないのが現状です。一方で家庭で電力会社から買う電気料金は標準的なプランで25~30円/kWh以上と高騰しており、「売るより使う」方が同じ1kWhでも3倍以上お得**という逆転現象が起きています。このため、卒FIT後は太陽光で発電した電気をできるだけ自宅で使う「自家消費」型への切り替えが強く推奨されています。

とはいえ、卒FITユーザーの事情は家庭ごとに異なります。「売電派」(追加投資は抑え、現行の安い買取でも余剰電力は売り続けたい)という考え方もあれば、「自家消費派」(蓄電池などを導入してできるだけ発電電力を自宅で消費したい)といった考え方もあるでしょう。それぞれの方針で最適な太陽光パネル容量(kW)や蓄電池容量(kWh)は変わり得ます。本記事では、卒FIT後の「売電重視」vs「自家消費重視」それぞれの戦略と最適システム容量の考え方について、最新データを踏まえて徹底解説します。さらに経済性(投資回収)や環境価値停電対策DR/VPP(デマンドレスポンス/バーチャルパワープラント)への参加メリットなども含めて比較し、後悔しない選択をするためのポイントを探ります。自治体や電力会社の2025年時点の最新補助制度も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

卒FIT後の選択肢:売電を続けるか、自家消費を増やすか

卒FITとは、文字通りFITによる買取期間が満了した太陽光発電設備を指します。多くの家庭用太陽光(10kW未満)はFIT期間10年が終了すると**「卒業」となり、従来の高額買取は終わります。卒FIT後も太陽光の余剰電力を売電すること自体は可能であり、各電力会社や新電力が独自の買取メニューを提示しています。しかし前述のように買取単価はFIT期間中より大幅に低下し、大手電力では7~9円/kWh前後、新電力でも10~12円/kWh程度が一般的です。売電収入が激減するため、これまで通り「余った電力はすべて売る」だけでは家計メリットがほとんど無い**状況になっています。

そのため、多くの卒FIT家庭では**「余剰電力をなるべく自家消費したい」**と考えるようになっています。具体的には以下の二つの方向性があります。

  • ①現状のまま売電継続(売電派):追加の設備投資を行わず、卒FIT買取プランに契約して余剰電力は売電する。売電収入は下がるが初期費用ゼロで済む手軽さがある。

  • ②自家消費量を拡大(自家消費派):蓄電池やエコキュート、V2H(EV充放電システム)などを導入し、太陽光の発電電力をできるだけ自宅で使うよう工夫する。電力購入を減らせるメリットが大きい。

それぞれの選択肢で得られるメリット・デメリットと、太陽光パネルや蓄電池の適切な容量について考えてみましょう。

売電派の戦略と最適容量:追加投資ゼロで得する方法は?

「売電派」とは卒FIT後も追加コストをできるだけかけず、これまで通り余剰電力を売電して収入を得たいという考え方です。売電派の場合、大前提としてFIT満了後も発電設備はそのまま活用することが重要です。FIT終了によって設備認定が失効したり売電できなくなるわけではないので、安心して太陽光発電を継続してください。ただしパワーコンディショナ(PCS)の寿命が10〜15年程度と言われており、卒FIT時点で設置後10年超の設備はメンテナンスに留意しましょう。売電派でもPCS交換(20~40万円程度)などの出費は将来的に避けられない点は認識が必要です。

売電収入を最大化するポイント

卒FIT後の売電単価そのものは個人で上げることは難しいですが、売電収入を少しでも増やす工夫はあります。

  • より高い買取単価の契約先を選ぶ:大手電力の標準買取より、新電力各社の独自プランの方が高単価を提示しているケースがあります。例えば2025年時点でENEOSや丸紅新電力などは11円/kWh程度の買取を行っています。契約条件(自社の電気料金プランへの加入など)が緩やかで信頼できる事業者を選べば、収入アップが見込めます。ただし2022年には新電力の撤退も相次いだため、あまりに高額な買取単価を提示する事業者には注意が必要です(条件付きの高単価は除くと概ね10円前後が上限)。

  • 電力会社の特別プランを活用:東京電力エナジーパートナーが提供する「再エネおあずかりプラン」など、ユニークなサービスも登場しています。このプランでは月額4,000円の手数料で余剰電力を仮想的に蓄電し、自宅の消費電力と相殺できる仕組みです。実質的に擬似的な「仮想蓄電池」として機能し、売電せずに昼の余剰発電分を夜間の自宅使用分に充当できます。月250kWhまでが上限ですが、フル活用すれば売電(8.5円/kWh)より有利なレートで電気を使える計算です(4000円で250kWh=16円/kWh相当、通常電気料金30円/kWhと比較すれば大幅節約)。蓄電池を買わずに自家消費量を増やしたい売電派には検討する価値があります。

  • 追加設備を導入して高単価プランに乗る:一部の住宅メーカーや電力系サービスでは、自社の蓄電池を購入すること等を条件に特別高い買取単価を設定している例もあります。例えば大和ハウス工業の「PREMIUM蓄電池プラン」では蓄電池を同社グループから導入すれば22円/kWhという破格の買取単価が提示されています。もちろん契約条件として蓄電池購入費用が発生しますが、売電派でも条件次第で蓄電池導入が収益向上に寄与するケースがあり得ます。このようなプランは特殊な例ですが、太陽光販売会社のキャンペーン情報等もアンテナを張っておくと良いでしょう。

売電派における容量の考え方:太陽光パネルと蓄電池

基本的に売電派では新たな蓄電池を無理に導入する必要はありません。蓄電池はまだ高額な設備であり、単純に昼の電気を貯めて夜に売るだけでは採算が合いません(深夜は電力需要も低く売電単価も上がらないため)。したがって、売電収入目当てで蓄電池容量を増やす意義は小さいです。停電対策など別の目的がない限り、卒FIT後も蓄電池0kWhで運用するのが売電派の標準と言えます。

一方で太陽光パネル容量については、売電派でも増設を検討するケースがあります。特に「FIT期間中に設置容量を抑えていたが、卒FIT後にもっと発電量を増やしたい」という場合です。パネル増設のメリットは単純で発電量と売電量を増やせることですが、卒FIT後は売電単価が低いため増設の経済効果は限定的です。メリットが大きいのは家族が増えるなど電力使用量が増加した場合や、昼間の電力消費が多い家庭で不足分を補う場合です。例えばEVを購入して日中に充電したい場合などは、パネル増設で発電量を底上げすればガソリン代相当の節約につながります。逆に単に余剰売電を増やす目的で大容量化しても、1kWhあたり数円の収入では増設コスト(一般的な増設工事は数kWで約50万円)の回収に長期間かかります。

ピークカット(パワコン容量上限で発電を抑制する現象)にも注意が必要です。既存のパワコン容量いっぱいにパネルを敷いている場合、さらに増設すると晴天時に一部発電がカットされます。それでも発電機会の増加による年間発電量の純増は見込めますが、ピークカット分は無駄になるため経済効率は下がる点に留意しましょう。増設後のパワコン交換や系統連系申請(経産省への変更届)などの手続きも必要です。またFIT利用中に増設すると売電単価が変更される場合があります(卒FIT後なら影響なし)。

まとめると、売電派の最適プランは「現状設備を活かしつつ契約の工夫で収入を底上げ」する方向になります。蓄電池容量はゼロでも問題なく、太陽光パネル容量も無理に増やす必要はありません(増設するなら明確な目的を持って慎重に判断)。追加投資ゼロでも、契約先の見直しや電力会社の新サービス活用で“少しでも得をする”余地は十分あるのです。

自家消費派の戦略と最適容量:蓄電池で「使う」にシフト

次に**「自家消費派」の戦略を見ていきましょう。こちらは発電した電気を極力ムダなく自宅で使い切る方針です。卒FIT後の経済メリットを最大化するには最有力の選択肢であり、多くの専門家も「売るより使う方が得」だから自家消費型に移行すべきと助言しています。自家消費派が目指すのは、平日の昼間などこれまで余っていた太陽光余剰電力をできるだけ減らし**、その分電力会社から買う量を減らすことです。具体的な自家消費量拡大の方法と、必要となる容量(太陽光・蓄電池)について解説します。

自家消費率を高める方法あれこれ

自家消費率とは「発電量のうち自宅で使う割合」のことです。この割合を上げるために、有効な方法がいくつかあります。

  1. 日中の電力使用を増やす:太陽光は昼間しか発電しません。したがって洗濯機や食器洗い機、掃除機などの家事をできるだけ昼間のうちに行うのが基本です。タイマー機能付き家電やスマート家電を使えば、在宅中でなくても自動で昼に運転できます。無理なく生活パターンを変えられる範囲で、まずは日中シフトを心がけましょう(費用ゼロで実践可能な最優先策です)。

  2. エコキュートなど電気温水器の活用:家庭で消費するエネルギーの中でも給湯は大きな割合を占めます。エコキュート(ヒートポンプ給湯器)は通常夜間電力でお湯を沸かしますが、設定を変更して太陽光発電中の昼間にお湯を沸かすことで、大容量の「お湯タンク」に熱としてエネルギーを蓄えることができます。これは実質的な蓄熱蓄電であり、晴れの日の日中に余剰が出がちな電力を有効活用する手段です。最新のエコキュートには天気予報と連動して晴天時に自動昼間沸き上げする「ソーラーモード」等もあります。既にエコキュートがある家庭は設定変更だけで自家消費率向上が期待できます。

  3. 家庭用蓄電池を導入する:自家消費率を飛躍的に高める決定打が蓄電池の導入です。日中の余剰電力を充電し、太陽が沈んだ夜間に放電して使用すれば、太陽光発電の電気をほぼムダなく使えます。蓄電池を導入すれば自家消費率を30%前後から60~80%程度にまで高めることも可能です。さらに夜間の電力購入も減らせるため、家庭の電気代負担は大幅に軽減します。加えて非常用電源としても機能し、停電時も蓄電池から電気を供給できる安心感があります。

  4. 電気自動車(EV)とV2Hの活用:既にEVやPHEVをお持ちの場合、V2H(Vehicle to Home)システムの導入も検討に値します。EVの車載バッテリーは家庭用蓄電池よりはるかに大容量(数十kWh)なため、走行に使わない時間帯は家庭用の巨大な蓄電池として活用できるのです。具体的には日中に太陽光でEVに充電し、夜間にEVから住宅に給電することで、昼の余剰電力を車に貯めて夜の家庭に使えます。さらにEV自体の走行も太陽光由来の電気でまかなえるため、燃料代削減とCO2削減の効果も絶大です。V2H充放電器は50~100万円程度と安くはありませんが、自治体によってはV2H機器にも補助金が出ます。EVを積極的に活用すれば**「第二の蓄電池」**として大きなメリットを享受できます。

以上の方法を組み合わせれば、卒FIT後の太陽光発電をフル活用して**「買う電気を減らし、余らせる電気も減らす」ことが可能です。特に蓄電池(またはV2H)の有無で自家消費率は大きく変わります。次に、この蓄電池をどれくらいの容量導入すべきか**について考えてみましょう。

蓄電池容量の最適化:何kWhあれば十分?

蓄電池は高価な機器ゆえ、必要十分な容量を見極めて導入することが重要です。容量不足では余剰電力を貯めきれず、逆に大きすぎると価格が高く持て余す恐れがあります。適切な容量を検討する代表的なアプローチは以下の二つです。

1. 「太陽光の余剰をすべて貯める」観点から考える方法
現在設置している太陽光パネルの規模から、おおよその日中余剰電力量を見積もり、それを丸ごと蓄電できる容量を目安にします。例えば6.0kWの太陽光発電を設置している家庭を考えましょう。この場合、天候にもよりますが1日平均で約18kWh発電すると仮定できます(パネル容量[kW]×3~4時間が1日発電量の目安。6kW×3h=18kWh)。家庭でそのうちどれくらい使えるかは生活パターン次第ですが、日中在宅時間が短い一般的家庭では自家消費できるのはせいぜい30%前後と言われます。このケースでは約5.4kWh(18kWh×30%)が日中に自家消費され、残り約12kWhが余剰売電となっている計算です。したがって蓄電池容量12kWhあれば、この余剰分をほぼすべて蓄えて夜間に回せることになります。実際、市販の家庭用蓄電池も10~16kWhクラスが最大容量帯なので、6kW太陽光には12kWh程度が “ちょうどいい” サイズと言えます。

お持ちの太陽光容量に応じて、概ね「パネル1kWあたり2~3kWhの蓄電容量」を用意すると余剰を無駄なく活用できる計算になります。例えば4kWの太陽光なら8~10kWh、5kWなら10~12kWh前後が目安です(季節変動もありますが夏場の発電ピークも踏まえた想定)。

2. 「夜間の消費をまかなう」観点から考える方法
もう一つはご家庭の電力使用量から逆算する方法です。昼間以外(朝夕~夜間)の電力消費をどれだけ蓄電池で置き換えたいかを基準に容量を決めます。例えば電力会社の検針票などで1ヶ月の購入電力量を見てみましょう。そのうち昼間以外(朝晩と深夜)の合計が、太陽光発電していない時間帯に使っている電力量です。ある家庭の例として、月間300kWh使用しそのうち昼間30kWh、朝晩120kWh、深夜150kWhだったとします。この場合、昼以外(朝晩+深夜)は合計270kWh/月、1日あたり約9kWhになります。蓄電池が1日に供給できる電力量がこの9kWh程度あれば、夜間の大半をまかなえる計算です。すなわち蓄電池容量で言えば9~10kWh程度が目安となります。実際には天候で日中の充電量が変動するため余裕を見たいところですが、近年は夜間電力料金も値上がり傾向で深夜充電のメリットが小さくなってきているため、過剰に大容量を導入しても費用対効果が下がりやすい点も考慮しましょう。

以上二つのアプローチはいずれも理にかなっていますが、多くの家庭では太陽光容量と夜間消費量はある程度比例する傾向があるため、算出される蓄電池容量の目安もおおむね近い値になることが多いです。一般的な4人家族・オール電化住宅であれば、5~8kWh程度の蓄電池がひとつの標準サイズと言われます。より電力使用量が多いご家庭や太陽光発電が大きい場合は10kWh超の大容量蓄電池も選択肢になります。

なお、蓄電池には「定格容量」と「実効容量」の違いにも注意が必要です。カタログ上10kWhでも実際に使えるのは90%程度(9kWh)だったりします。これは充放電制御上の制限なので、購入時は実効容量で何kWhかを確認することが大切です。

太陽光パネル容量の最適化:必要なら増設もアリ?

自家消費派にとって太陽光パネル容量そのものも重要です。現在の太陽光で自家消費に回せる電力量が不足している場合、パネルの増設で改善できる可能性があります。例えば昼間の発電が自宅消費に対して明らかに足りず結局夜間もかなり電力購入している場合は、追加パネルで発電量を底上げすることで電力購入をさらに減らすことができます。特に「家族が増えて昼間も家にいる人が多くなった」「在宅勤務で昼の消費が増えた」といった変化があれば、太陽光の増強メリットは高まります。

ただし太陽光パネルの増設にはそれなりのコスト(先述の通り数十万円以上)と手間がかかるため、蓄電池導入と比べて優先度は低めです。元々ある程度の太陽光容量があり、蓄電池で夜間需要をまかなえるようになれば、既存パネルだけでもかなり高い自家消費率を達成できるからです。極端に小容量(例:2kW以下など)の太陽光しかなく蓄電池が活かしきれない場合や、逆に非常に大きな屋根で更なる発電余地がある場合以外は、まずは蓄電池導入による自家消費拡大を優先し、それでも余力があれば増設を検討する、という順序がおすすめです。

経済性:蓄電池を入れると本当に得か?

自家消費派が気になるのは蓄電池導入の投資回収でしょう。蓄電池の価格は年々下がっているとはいえ、家庭用5~10kWhクラスで本体+工事費込み80~150万円程度が相場です。決して安い買い物ではないため、「元を取るのにどれくらいかかるか」は慎重に見極める必要があります。

結論から言えば、補助金を活用し電気代削減効果を加味すれば蓄電池の投資回収期間は概ね7~10年程度になるケースが多いようです。具体的な試算をしてみましょう。

  • 蓄電池なしの場合のコスト:例えば先述の通り卒FIT後の売電単価8円/kWh、購入電気単価30円/kWhとすると、余剰電力1kWhあたり売れば+8円、貯めて使えば+30円の節約となります。差し引き蓄電池で1kWh自家消費に回すごとに約22円の得です(※多少の充放電ロスは考慮外)。仮に1日平均5kWhを蓄電池で賄えば、1日110円、年間4万円強の節約になります。一方、蓄電池なしではその5kWhは売電され年間約1.5万円の収入にしかなりません。この差額約2.5万円/年が蓄電池導入による純増メリットと言えます。

  • 蓄電池導入により増えるメリット:上記のように蓄電池は「安い深夜電力を貯めて高い夕方電力を使う」場合でない限り、基本的に純粋なプラス効果をもたらします。特に卒FIT後は昼余剰→夜利用が最大22円/kWhの差益となるため、蓄電池容量分フルに活用できれば電気代削減額が積み上がります。仮に蓄電池で年間2000kWhを自家消費に振り向けられれば、電気代約6万円/年の節約(2000×30円)と売電収入減少分約1.6万円/年(2000×8円)を差し引いて約4.4万円/年のプラスです。

  • 投資回収シミュレーション:上記モデルでは蓄電池による純メリットは年間4.4万円です。蓄電池費用(補助金適用前)を仮に120万円とすると、そのままでは約27年かかってしまいます。しかし実際には後述する補助金で半額近くまでコスト圧縮できるケースも多く、自己負担60万円と仮定すれば約14年で回収見込みとなります。さらに近年の電気代上昇トレンドで節約額が増えたり、電力逼迫によるピーク時間帯の割増料金(今後導入の可能性あり)を回避できれば、実質的な回収期間は10年未満に縮まる可能性もあります。

もちろん各家庭の条件で差はありますが、「補助金込みで10年前後」がひとつの目安と言えるでしょう。蓄電池の製品寿命は一般に15年前後(サイクル寿命6000回など)ですから、交換時期までには充分元が取れる計算です。加えて、停電時の備えという金銭には換算しにくい価値や、余剰電力を活用する環境貢献なども得られる点を考えれば、決して損な投資ではありません。

自家消費派にとって、最適な太陽光・蓄電池容量の組み合わせは「昼間の発電がほぼ無駄なく蓄えられ、夜間の需要をほぼ賄えるバランス」です。典型的には太陽光5kW前後+蓄電池8~12kWh程度が、多くの家庭で電力自給率を大幅に高めてくれる黄金比と言えるでしょう。

補助金・制度活用で賢く導入:2025年最新情報

蓄電池やV2Hは決して安くないため、国や自治体の補助金をフル活用することが重要です。2025年現在、国と地方で過去最大級の支援策が用意されています。

国の「蓄電池DR補助金」

経済産業省の事業として、環境共創イニシアチブ(SII)が募集する**「次世代型蓄電池デマンドレスポンス(DR)促進事業補助金」があります。通称「DR補助金」で、2024年度・2025年度と継続実施されています。特徴は補助額の大きさで、補助上限額は60万円(または購入費用の1/3、あるいは容量1kWhあたり3.7万円のいずれか低い方)という高額です。さらに一定の要件(停電時出力や系統支援機能)を満たす機種なら最大9000円/kWhの加算**もあります。

条件としては、エネルギー需給逼迫時に蓄電池を遠隔制御されることに同意する必要があります。具体的には電力不足が予想される日に自動で放電や充電が行われる可能性があり、その際は一時的に電気料金が割高になるリスクもあります。とはいえ補助金額が非常に大きいためデメリットを補って余りあるとされ、応募は人気化しています(実際2025年度は募集開始から約2ヶ月で予算枠に達したとの報道もあります)。太陽光とセットでなく蓄電池単体でも申請でき、自治体補助金との併用も可能なので、条件に抵触しない限りまず検討したい補助です。

東京都など主要自治体の補助

東京都は2025年度、全国でも突出した支援を行っています。東京都の**「家庭用蓄電池等導入促進事業」では、なんと蓄電池に最大120万円、V2Hに最大100万円もの補助が用意されています。これは自治体単独の補助額としては破格で、国のDR補助金と合わせれば蓄電池を非常に安価に導入できる可能性があります。「最大120万円」は上限額であり実際は経費の1/2以内など細かな条件がありますが、東京都の場合自己負担額の約1/4程度で蓄電池が設置できたという事例もあるほどです。東京以外でも、例えば埼玉県**は蓄電池本体に一律10万円の補助を出しています(加えて市町村独自に上乗せがある地域もあります)。愛知県も2024年度から蓄電池補助を開始し、地域によって10~20万円規模の支援を実施しています。神奈川県、千葉県、福岡県など太陽光普及が多い地域では、県や市の単位で蓄電池や太陽光への助成制度が設定されています。

補助金は毎年度更新され条件も変わるため、必ず各自治体の最新情報を確認してください。「〇〇市 蓄電池 補助金 2025」などと検索すれば、多くの場合その地域の補助金まとめページ等がヒットします。専門業者に相談すれば国・自治体の併用可能な補助金を最大限利用した見積もりも提案してくれるでしょう。

リース・レンタルという選択肢

初期費用をさらに抑える手段として、蓄電池のリースサービスを利用する方法もあります。代表例が東京電力グループの**「蓄電池エネカリ」です。エネカリでは蓄電池本体と工事費を月々定額払い(10~15年契約)にすることで初期費用0円で導入できます。期間満了後は機器が無償譲渡され、自分のものになる仕組みです。実質的にはローンに近いですが、保証やメンテナンスサービスがセットになっている点がメリットです。途中解約できないなどのデメリットはありますが、まとまった出費を避けたい方には検討に値します。最近は自治体補助の対象としてリース契約も認めるケースが増えており(東京都もエネカリに補助適用可)、補助金とリースを組み合わせれば手出しほぼゼロで蓄電池を使い始める**ことも夢ではありません。

環境価値と停電対策:お金以外のメリットも重要

ここまで経済面を中心に見てきましたが、再生可能エネルギーの利活用にはお金に換算できない価値もあります。

CO2削減など環境価値

太陽光発電は発電時にCO2を出さないクリーンエネルギーです。FIT期間中は環境価値は電力会社に帰属していましたが、卒FIT後は基本的に自家消費すればその分だけ火力由来の電力消費を減らしCO2削減に貢献できます。具体的には、4kWの家庭用太陽光で年間約2トンのCO2を削減できるとの試算があります。これはスギの木約140本が一年で吸収する量に相当します。自家消費型にすればその環境価値を自分自身で享受することになり、エネルギーの地産地消にもつながります。一方、卒FIT後に余剰電力を売電する場合、その環境価値(非化石証書など)は電力購入者側に渡る形になります。もっとも家庭で特別な手続きをしなくても、環境価値は自動的に活用されますので、卒FIT電力を売ったからといって無駄になるわけではありません。要は発電した再エネ電力をどこで使おうと、社会全体としてCO2削減になることに変わりはないのです。重要なのは、せっかくの再エネ電力を可能な限り発電・活用し続けることでしょう。

停電への備え(レジリエンス向上)

災害時の停電対策はお金には代えられないメリットです。太陽光発電だけでも日中なら非常用コンセントから1.5kW程度の電力供給が可能な機種が多く、照明や携帯充電・テレビ視聴程度は賄えます。しかし夜間や悪天候時は発電しないため、やはり蓄電池併設の安心感は比べ物になりません。蓄電池があれば夜間でも冷蔵庫や通信機器への電力供給を維持できますし、全負荷型の蓄電システムならエアコンやIH調理器など200V機器も普段通り使えて生活への影響を極小化できます。近年は大規模停電こそ少ないものの、台風や地震などによる局所的な停電リスクは常にあります。特にオール電化住宅では蓄電池・V2Hが命綱になり得ますので、経済性以上に防災目的の価値を見出して導入するケースも多いです。

VPP(バーチャルパワープラント)への参加メリット

今後、家庭の蓄電池やEVが集まって仮想発電所(VPP)として活用される動きが進んでいきます。既に国のDR補助金はその先駆けとも言えますが、これ以外にも蓄電池メーカーや新電力会社が独自に蓄電池ユーザーを束ねてグリッド支援を行い、対価としてポイント還元や現金報酬を提供するといったサービスが始まっています。例えばある電力系サービスでは、契約家庭の蓄電池を遠隔制御して需給バランス調整に用いる代わりに毎月一定の報酬ポイントを支払うといった試みがなされています。現状では月数百円程度のインセンティブに留まりますが、蓄電池オーナーが電力市場に参画して収益を得る時代がすぐそこまで来ています。卒FIT家庭が蓄電池やV2Hを備えることは、自らの電気代節約だけでなく将来的なエネルギービジネスへの参加権を得ることにもつながるでしょう。エネルギー自給と収入源多様化という二つの面でメリットがあります。

まとめ:自家消費型へのシフトが新常識

以上、卒FIT後の売電派・自家消費派それぞれの視点から最適な容量設計やメリット・デメリットを見てきました。総合的に言えることは、**2025年現在において経済的に有利なのは圧倒的に「自家消費重視」**だということです。売電価格が安く電気代が高い以上、「余ったら売る」では損をする構造になってしまっているからです。したがって多くの場合、蓄電池等への投資を検討してでも自家消費率を上げる方が長期的なメリットが大きいでしょう。

とはいえ、初期費用や各家庭の事情によって最適解は異なります。売電派のように追加出費ゼロで工夫を凝らし、細かな収入アップを図るのも一つの合理的な戦略です。自家消費派であれば、補助金制度を駆使して蓄電池や関連機器を導入し、電力自給に近いかたちで電気代高騰時代を乗り切るのが王道と言えます。太陽光発電は「卒業」しても無駄にはせず、それぞれの方法で賢く活用し続けることが肝心です。

日本全体で見れば、卒FITを迎える太陽光が今後急増する中、これらの小さな家庭の選択が再エネ普及や脱炭素に大きく影響します。既存の太陽光資産を埋もれさせず有効活用することが、再エネ比率向上に直結するからです。その意味で各種補助金や新サービスは後押しとなりますが、最終的に設備をどう運用するかはユーザー次第です。本記事の内容が、皆様の卒FIT後の後悔しない選択の一助となれば幸いです。


よくある質問(FAQ)

Q1. 卒FIT後、本当に「売るより自家消費」の方がお得なの?
A. はい。具体的には1kWhあたり「売電収入7~9円」より「自家消費による電気代節約25~30円」の方が3倍前後お得になるためです。近年は電気代上昇もありこの差は拡大傾向です。売電価格も今後下がる可能性が指摘されています。したがって経済的には卒FIT後は極力自家消費を増やす方が有利です。

Q2. 卒FIT後も太陽光の余剰電力は売れますか?
A. 売れます。FIT満了後も各電力会社や新電力が余剰買取サービスを提供しており、契約を結べば引き続き売電可能です。例えば東京電力では「再エネ買取標準プラン」として8.5円/kWhで買い取っています。売電できなくなるわけではありませんのでご安心ください。ただし売電単価が下がるだけです。

Q3. 家庭用蓄電池は入れた方が得ですか?初期費用が高いので迷います。
A. 電気代削減効果や補助金を考慮すれば多くの場合トータルで得になります。蓄電池5~10kWhの導入費用は補助金適用後で実質数十万円~100万円前後ですが、電気代節約効果でおよそ7~10年程度で回収できるケースが多いです。その後も寿命まで電気代節約が続くため、おおむねプラスの投資と考えられます。さらに停電対策の安心や将来的な電力サービス参加などプラスアルファの価値もあります。初期費用がネックならエネカリなどリースで初期0円にする方法もあります。

Q4. うちには太陽光3kWしかありません。それでも蓄電池を入れる意味はありますか?
A. 太陽光3kW程度ですと日中の発電量もそれほど多くないため、ご家庭の消費パターンによって判断します。日中ほとんど不在で発電の大半が余剰になるようなら、小容量(例えば4~5kWh)の蓄電池でも導入すれば余剰電力を夜まで活用でき、電気代削減効果はあります。ただ日中在宅で発電分をほぼ使い切っている場合、蓄電池に貯める余剰がそもそも少ないためメリットは限定的です。この場合は蓄電池より太陽光パネルの増設や省エネ家電への投資など他の手段の方が費用対効果が高いかもしれません。まずは日中余剰がどの程度出ているかを見極め、余剰多めなら蓄電池導入を検討すると良いでしょう。

Q5. 蓄電池はどれくらいの容量を選べばいいですか?
A. 一般的な家庭であれば5~10kWh程度が一つの目安です。太陽光の余剰発電量および夜間の使用量に見合った容量を選ぶ必要があります。で説明したように、月々の電力使用データから夜間(太陽光が発電していない時間帯)の1日使用量を計算すると目安がつきます。例として、夜間に9kWh使っているなら約9kWhの蓄電池があると安心です。一方で太陽光発電が小規模なら大容量電池を入れても充電しきれないので、現在の太陽光kW数に応じた適切な容量(目安:太陽光1kWあたり2~3kWhの蓄電池)を選ぶと良いでしょう。

Q6. 蓄電池の寿命やメンテナンスは大丈夫でしょうか?
A. 最近の家庭用蓄電池は寿命10~15年程度(充放電サイクル数にして6000回前後)の製品が多いです。これはパワコンなど他の機器寿命と概ね釣り合っており、適切に使えば10年以上実用できる想定です。容量については経年劣化で徐々に実効容量が減少します(10年で容量80%程度になる製品が多い)。メンテナンスは基本的に不要ですが、稀にバッテリーセルの不具合など起きる場合もあるため長期保証がある製品・サービスを選ぶと安心です。エネカリなどでは契約期間中の故障修理は無料対応されます。

Q7. 太陽光パネルの増設はした方がいいですか?
A. 場合によります。現在の太陽光発電がご家庭の消費より明らかに不足している場合(例えばEVを導入したが発電が追いつかない等)は増設メリットがあります。一方、余剰が大量に出ている状況で増設するとさらに余剰が増えるだけなので得策ではありません。費用対効果の面では、売電単価が低い以上増設して余剰売電を増やすのはあまり儲からないです。まずは蓄電池導入などで現在の発電を有効活用し、それでも不足を感じるなら増設を検討するのが良いでしょう。増設時は既存設備との兼ね合い(パワコン容量や保証問題)にも注意が必要です。

Q8. 卒FIT後に太陽光発電をやめてしまう人もいると聞きましたが…
A. せっかく設置した太陽光発電を停止・撤去してしまうのは非常にもったいないです。確かにFIT満了後は売電収入激減で魅力が薄れるため、なかには「メンテナンスが面倒だから」と発電を止めてしまうケースも報道されています。しかし前述の通り、卒FIT後こそ太陽光の価値は自家消費によって発揮できます。仮に設備が古くなっていても、PCS交換やパネル洗浄・補修など適切な手当をすれば20年以上発電を続けられます。投資済みの設備ですから活かさない手はありません。各自治体でも卒FIT設備の活用を支援する動きがありますし、ぜひ継続利用をおすすめします。


ファクトチェック・出典まとめ

  • 卒FIT後の売電単価と購入電気代の差:大手電力の卒FIT買い取り価格は7~9円/kWh程度(2025年時点)。一方、家庭向け電気料金単価は25~30円/kWh以上が一般的。→ 出典:卒FITナビの記事(2025年3月)および東京電力等の公表資料。

  • FIT満了後も余剰電力の売電は可能:住宅用太陽光はFIT期間終了後も各社の卒FIT買取サービスと契約すれば引き続き売電できる。→ 出典:タイナビ蓄電池「卒FITとは?」記事(2025年5月)より。

  • 蓄電池導入コストとROI:家庭用蓄電池(5~10kWh)は本体+工事で約80~150万円が目安。補助金を活用して導入すれば7~10年程度で投資回収できる例が多い。→ 出典:卒FITナビの記事、およびエコ発電本舗の解説(2025年)より。

  • 蓄電池導入で自家消費率向上:蓄電池を併用することで太陽光発電の自家消費率を60~80%程度まで高められる(従来は30%前後)。→ 出典:卒FITナビの記事(メリット解説部分)。

  • 補助金制度(国):国の蓄電池向けDR補助金の上限額は60万円(または1/3)で、条件を満たせば追加加算もあり。2025年度も実施。→ 出典:環境共創イニシアチブ SII 公募要領、および太陽光比較サイトの記事(2025年7月)より。

  • 補助金制度(東京都):東京都は家庭用蓄電池に最大120万円の補助(金額は経費の2分の1、上限120万円)を用意。V2H機器にも最大100万円補助。→ 出典:東京都公式発表、および太陽光比較サイトの記事(2025年7月)より。

  • 太陽光発電のCO2削減効果:4kWの太陽光パネルで年間約2トンのCO2削減になり、これはスギ約140本の年間吸収量に相当。→ 出典:卒FITナビの記事(環境メリット解説部分)。

  • 最適な蓄電池容量算定例:太陽光6kW設置の場合、1日平均18kWh発電・30%自家消費→余剰約12kWhを蓄えるには12kWhの蓄電池が最適。また、月300kWh使用家庭で昼以外270kWh消費→1日9kWh夜間需要には約9kWhの蓄電池がおすすめ。→ 出典:エコでんち(蓄電池専門店)コラム(2025年1月)より。

以上の情報は、2025年7月時点で入手可能な信頼性の高いソースに基づいています。記事内で引用したリンク先も参照し、最新データの整合性を確認済みです。今後制度変更等があれば適宜アップデートしていきます。

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