更新日:2026年9月1日
住宅用太陽光・蓄電池の提案は、設備・電力・建築・契約・補助金・長期保守をまたぐ仕事です。この100項目は、顧客を急かして契約を取るためではなく、説明漏れを減らし、顧客が比較・判断できる状態をつくるための実務チェックリストです。
使い方
各項目を「確認済み/未確認/対象外」で記録し、対象外には理由を残します。案件、販売方法、地域、補助制度によって適用ルールは異なります。法令・契約・税務・構造・電気工事の判断は、社内の責任者と必要な専門家に確認してください。
目次
このチェックリストの目的
- 事実と仮定を分け、経済効果の過大表示を防ぐ
- 屋根・電気設備・機器適合・施工条件の確認漏れを防ぐ
- 契約、クーリング・オフ、補助金、保証の説明をそろえる
- 個人情報と電力データを適切に扱う
- 引渡し後の保守・問い合わせまで担当と期限を明確にする
消費者庁の特定商取引法ガイドでは、訪問販売・電話勧誘販売に氏名等の明示、禁止行為、法定書面、クーリング・オフなどのルールが定められています。訪問販売の場合、法定書面を受け取った日から数えて8日以内のクーリング・オフが原則ですが、販売形態や書面交付状況で扱いが異なります。自社の販売フローは専門家を含めて確認してください。
1.勧誘前・コンプライアンス(1〜10)
- □ 見込み客の獲得元、同意範囲、連絡可能な媒体・時間帯を記録した
- □ 接触時に会社名、担当者名、販売目的、対象商品を明確に伝えた
- □ 訪問販売・電話勧誘販売・通信販売など販売形態を判定した
- □ 勧誘を断られた場合の停止・再勧誘禁止ルールを担当者が理解している
- □ 電力会社・自治体・メーカーの関係者だと誤認させる表現を使っていない
- □ 「無料点検」を入口に別商品の勧誘目的を隠していない
- □ 根拠のない「今日だけ」「残りわずか」「必ず得」を使っていない
- □ 「実質無料」「自己負担ゼロ」の条件・総支払額・対象外費用を表示している
- □ 数値・比較・No.1・満足度などの表示に合理的な根拠資料と対象範囲がある
- □ 最新の法務・コンプライアンス承認済み資料だけを使用している
2.初回ヒアリング(11〜20)
- □ 顧客の検討目的を、電気代・停電対策・環境価値などに分けて確認した
- □ 建物の所有者、居住者、契約者、工事同意が必要な関係者を確認した
- □ 新築・既築、築年、改修予定、売却・転居予定を確認した
- □ 12か月分の購入電力量・電気料金・料金プランの有無を確認した
- □ ガス・灯油、給湯・調理・暖房設備と使用量を確認した
- □ 既設の太陽光、蓄電池、エコキュート、EV・V2H、発電機を確認した
- □ 在宅時間、平日休日、季節変動、将来の世帯・設備変化を確認した
- □ 停電時に動かしたい機器、必要時間、200V負荷、優先順位を確認した
- □ 予算、現金・ローン・リース・PPAの希望とリスク許容度を確認した
- □ 比較検討する人、意思決定の期限、次回確認事項を顧客と合意した
3.電力データ・個人情報(21〜30)
- □ 電気料金明細・30分値を集める目的と利用範囲を説明した
- □ 氏名、住所、顧客番号など必要最小限の情報だけを取得している
- □ 取得時に個人情報の利用目的を明示した
- □ 施工会社、メーカー、信販会社などへの提供・委託条件を説明した
- □ 第三者提供が必要な場合の同意・記録方法を確認した
- □ 明細共有時に不要な口座・顧客番号等をマスキングできるよう案内した
- □ 保管場所、アクセス権、持出し、送信方法を社内ルールに合わせた
- □ 保存期間、削除時期、返却方法を決めた
- □ 入力値の出典、対象月、修正履歴、担当者を案件記録に残した
- □ 顧客から訂正・削除・利用停止の相談を受ける窓口を案内した
4.現地・構造・電気設備(31〜40)
- □ 正確な住所、標高、塩害・積雪・強風・浸水など地域条件を確認した
- □ 屋根材、勾配、方位、面積、築年、防水、改修履歴を確認した
- □ 構造図・屋根伏図・確認済証等の有無と建物の現況を確認した
- □ ひび、腐食、漏水、変形など専門調査が必要な兆候を記録した
- □ 周辺建物、樹木、アンテナ、煙突など年間の日影要因を確認した
- □ 垂直積雪量、風荷重、地震、偏雪・滑雪を専門設計へ引き継いだ
- □ 分電盤、主幹容量、契約容量、配線経路、接地、既設機器を確認した
- □ 蓄電池・PCSの設置場所、離隔、換気、温度、浸水、搬入経路を確認した
- □ メーカー施工要領と屋根・架台・金具・防水仕様の適合を確認した
- □ 概算提案と現地調査後の確定条件・再見積りの境界を説明した
5.システム構成・製品選定(41〜50)
- □ 「導入しない」を含む比較基準を用意した
- □ 太陽光のみ、太陽光+蓄電池、蓄電池のみ等の代替案を比較した
- □ 顧客目的と負荷データから容量を決め、容量増を前提にしていない
- □ モジュール、PCS、蓄電池、架台の正式型番と最新仕様書を確認した
- □ 蓄電池の公称容量と実効・使用可能容量を区別して説明した
- □ PCS出力、過積載、変換効率、出力制御の前提を説明した
- □ 全負荷・特定負荷、100V・200V、停電時出力と対象回路を確認した
- □ EV・V2Hの車種、充放電対応、コネクタ、系統・機器適合を確認した
- □ 騒音、排熱、外形、重量、操作性、通信環境を確認した
- □ 将来増設・交換の可否は保証せず、現時点の互換条件を明記した
6.発電量・経済効果シミュレーション(51〜60)
- □ 購入電力量、総消費電力量、自家消費量を区別した
- □ 実測、請求書、逆算、推計のどのデータを使ったか明記した
- □ 料金プラン名、対象月、単価、燃料費調整、再エネ賦課金を記録した
- □ 電気料金上昇率・売電単価・更新後単価をシナリオとして分けた
- □ 日射量データ、地点、方位・傾斜、影、積雪の前提を明記した
- □ 劣化、温度、PCS、配線、汚れ等の損失前提を明記した
- □ 生活スタイル・時間帯別負荷と太陽光の重なりを確認した
- □ 蓄電池の充放電効率、制御、残量下限、交換・停止の前提を確認した
- □ 保守、交換、廃棄、保険、ローン等を含む・含まない範囲を示した
- □ 基準・保守・不利の複数ケースを提示し、推計を確定利益と表現していない
7.見積・補助金・資金計画(61〜70)
- □ 機器、架台、電気工事、足場、申請、諸経費、消費税を分けて表示した
- □ 追加工事になり得る条件と単価・承認手順を示した
- □ 補助制度の実施主体、対象者、対象機器、期限、予算状況を公式情報で確認した
- □ 交付決定前の契約・発注・着工可否を制度ごとに確認した
- □ 補助金の採択・交付額・入金時期を確約していない
- □ FIT等の適用条件、申請期限、売電期間・単価を対象年度で確認した
- □ ローン金利、手数料、支払回数、総支払額、所有権条件を説明した
- □ 月額削減見込みとローン返済額を相殺表示せず、それぞれ示した
- □ 解約、工事中止、補助金不採択、追加費用時の負担を説明した
- □ 同等条件で他社見積りや代替案と比較できる内訳を渡した
8.提案説明・契約(71〜80)
- □ メリットとデメリット、適合する条件と適合しない条件を同じ資料で示した
- □ 「必ず元が取れる」「停電時は家中すべて使える」等の断定をしていない
- □ 顧客が資料を持ち帰り、家族・専門家・他社と検討する時間を設けた
- □ 質問・異論・契約しない選択を歓迎する旨を伝えた
- □ シミュレーションの入力値、計算期間、保証との違いを説明した
- □ 契約対象、工事範囲、対象外、納期、支払条件を契約書と一致させた
- □ 仕様変更・追加工事は事前見積りと書面承認を要することを定めた
- □ 製品・出力・施工・雨漏り等の保証主体、期間、条件、免責を分けた
- □ 販売形態に応じた法定書面とクーリング・オフ事項を適切に交付した
- □ 契約書・約款・見積書・図面・シミュレーションを顧客に渡した
9.施工準備・工事・引渡し(81〜90)
- □ 電力会社、FIT、補助金、建築・消防等の必要手続きと担当を確定した
- □ 工程、停電時間、搬入、足場、駐車、近隣配慮を事前共有した
- □ 着工前の屋根・外壁・室内・分電盤を写真記録した
- □ 施工者の資格、保険、メーカー認定・施工要領を確認した
- □ 防水、固定、配線、貫通、接地、表示を施工記録に残した
- □ 機器の型番・製造番号と見積・補助申請の一致を確認した
- □ 完成検査、絶縁・接地・動作・停電時切替等の試験結果を記録した
- □ 系統連系、運転開始、モニタリング・通信接続を確認した
- □ 取扱説明、非常時停止、自立運転、禁止事項を実機で説明した
- □ 完成図書、保証書、検査記録、写真、申請控え、連絡先を引き渡した
10.運転開始後・品質改善(91〜100)
- □ 初回発電・充放電・売買電力量を顧客と確認した
- □ 1か月後など初期フォローの時期と担当者を決めた
- □ モニタリング停止・異常・発電低下時の連絡経路を案内した
- □ 点検時期、点検内容、費用、顧客の日常確認項目を説明した
- □ メーカー・施工・販売・保険の問い合わせ先を切り分けた
- □ 不具合・苦情・再施工・保証判断の記録と期限管理を行った
- □ 実績と試算を比較するとき、天候・需要・料金など条件差を確認した
- □ 料金単価、売電、補助制度、アプリ・機器ソフトの更新情報を管理した
- □ 事故・火災・漏水・落雪等の緊急時に社内外へエスカレーションできる
- □ 失注・解約・苦情・紹介を含む結果を、本人同意と匿名化に配慮して改善へ反映した
提案品質を評価する4つの完了条件
| 観点 | 完了条件 |
|---|---|
| 顧客理解 | 顧客が前提、費用、リスク、選択肢を自分の言葉で説明できる |
| 技術成立 | 現地・構造・電気・製品適合の未確認事項と責任者が明確 |
| 契約適正 | 表示、書面、クーリング・オフ、補助・保証条件が一致 |
| 運用継続 | 引渡し後の監視、点検、障害対応、記録の担当と期限がある |
「100項目すべてにチェックが付いた」こと自体が目的ではありません。未確認事項を隠さず、誰がいつ確認するかを決め、顧客が契約しない選択を含めて判断できることが重要です。
関連する実務ガイド
一次情報・参考資料
- 消費者庁「特定商取引法ガイド:訪問販売」
- 消費者庁「特定商取引法ガイド:電話勧誘販売」
- 消費者庁「景品表示法:表示規制の概要」
- 国民生活センター「家庭用蓄電池の勧誘トラブルにご注意」
- 個人情報保護委員会「法令・ガイドライン等」
- 経済産業省「太陽電池発電設備を設置する場合の手引き」
- JPEA「建物設置型太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン2024年版」
- JPEA「保守点検(O&M)について」
- SII「DR家庭用蓄電池事業:申請手続き詳細」
- エネがえる「シミュレーション保証」
法令、ガイドライン、補助制度、製品・サービス仕様は変更される場合があります。上記は2026年9月1日に確認した情報です。個別案件では最新の公式情報、契約書面、所管機関、専門家の判断を優先してください。



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