お話を伺った方

業種

複数事業を展開する大手企業グループのエネルギー部門

全国規模で複数事業を展開する大手企業グループのエネルギー部門では、新たに提供する市場連動型料金プランに対応するWebシミュレーターの整備にあたり、短期間での実装と高い計算精度の両立が求められていました。

市場連動型料金プランは、30分単位で変動する価格情報をもとに料金を算出するため、従来の固定型料金プランと比べて試算ロジックが大幅に複雑になります。こうした高度な料金計算を、電力料金に詳しくない代理店担当者でも使いやすいWebシミュレーターとして提供するには、料金設計の専門知識とシステム実装力の両方が必要でした。

そこで同社は、エネがえる市場連動型プラン対応APIを活用。複雑な料金計算ロジックをAPIとして取り込み、モバイル端末でも利用しやすいWebシミュレーターの構築を進めた結果、販売開始のタイミングに合わせた公開を実現しました。

市場連動型料金プランとは、主に電力の取引市場であるJEPX(日本卸電力取引所)の価格に基づいて、電気料金の一部または全部が変動する料金プランなどを指します。

 

導入前の課題

同社では、新たな料金プランの提供に向けて、顧客ごとの試算結果をWeb上で提示できる仕組みが必要になっていました。特に課題となっていたのは、以下の3点です。

1. 市場連動型料金プラン特有の複雑な料金計算

30分単位で変動する価格情報をもとに、年間を通じた料金を試算する必要があり、一般的な固定型プランとは比較にならないほど計算ロジックが複雑でした。単に料金表を表示するだけではなく、実務上使える精度と再現性を担保したシミュレーション基盤が求められていました。

2. 社内開発では長期化しやすい体制上の制約

社内に電力料金計算に特化した開発体制があるわけではなく、関連部門との調整、要件整理、優先順位付けなどを含めると、内製では相応の時間を要する見込みでした。販売開始時期が決まっている中で、スケジュール面の制約は大きな課題でした。

3. 営業現場で即時提案できる仕組みの必要性

代理店担当者や営業担当者が、iPadやスマートフォンを使って訪問先でその場で試算結果を提示できる環境が求められていました。Excel中心の運用では、即時性や操作性の面で限界があり、営業機会を十分に活かしきれない状況がありました。

導入の目的

こうした背景から、同社が目指したのは、単なる試算機能の実装ではありませんでした。必要だったのは、複雑な市場連動型料金プランを、営業現場で使える形で、短期間にサービス化することです。

具体的には、以下の3点を目的として導入が進められました。

  • 市場連動型料金プランの販売開始に合わせて、Web上で料金試算ができる環境を整えること
  • 電力の専門知識が深くない担当者でも、モバイル端末から顧客の前で結果を提示しやすい仕組みを実現すること
  • 複雑な料金計算ロジックを、電力業界の知見を持つ外部パートナーと連携しながら、短期間で高精度に実装すること 

導入後の効果

エネがえる市場連動型プラン対応APIの活用により、同社は複雑な料金計算ロジックを自社でゼロから開発することなく、必要な計算基盤を短期間で整備することができました。

主な効果は以下の通りです。

販売開始のタイミングに合わせたシミュレーター公開を実現

内製では長期化が見込まれていた試算機能を、短期間でWebシミュレーターとして公開。サービス提供開始に必要な試算環境を、スケジュール内で整備することができました。

モバイル端末での即時提案を支える営業環境を整備

代理店担当者や営業担当者が、iPadやスマートフォンなどからWebシミュレーターにアクセスし、その場で顧客に試算結果を提示しやすい環境を実現。従来のExcel中心運用では難しかった、現場での即時提案を支える基盤となりました。

問い合わせから商談へつなげる導線を構築

Webシミュレーター自体が顧客接点として機能し、試算から問い合わせ、営業対応へとつながる流れを形成。単なる見積ツールではなく、提案活動を前進させる導線の一部として活用されています。

複雑な料金計算ロジックをAPIで外部化

市場連動型料金プランに必要な高度な計算部分をAPIとして外部化することで、自社はサービス企画や営業設計、顧客接点づくりに集中しやすくなりました。これは、スピードと品質の両立という観点でも大きな意味を持ちます。

市場連動型料金プランの提供にあたり、なぜWebシミュレーターの整備が重要だったのでしょうか?

A氏:市場連動型料金プランは、30分ごとに変動する市場価格を料金計算に反映するため、従来の固定型プランとは比べものにならないほど試算が複雑です。
それを営業現場で使える形にしないと、問い合わせのたびに社内で個別対応する必要が出てきてしまい、提案スピードも落ちます。

また、代理店担当者が必ずしも電力料金に詳しいわけではない中で、訪問先でその場で試算結果を見せながら説明できることは非常に重要でした。
料金メリットを数字でその場で示せるかどうかは、販売力に直結すると考えていました。

社内で独自開発する選択肢はあったのでしょうか?

B氏:検討はしましたが、現実的には難しい部分がありました。
社内には複数の開発部門がありますが、電力料金のような専門性の高いロジックを、限られた期間で実装できる体制がすぐにあるわけではありませんでした。

要件整理、担当部門との調整、案件化、優先順位付けといったプロセスを踏むと、開発着手までにも時間がかかります。
そのため、必要な計算基盤を外部APIとして調達するほうが、サービス立ち上げの観点では合理的だと判断しました。

なぜエネがえるの市場連動型プラン対応APIを選んだのでしょうか?

 A氏:最も重視したのは、複雑な料金計算ロジックにしっかり対応できることです。
市場連動型料金プランでは、画面が作れるだけでは不十分で、計算ロジックの正確性と再現性が重要になります。

エネがえるは、電力・再エネ領域でのシミュレーション知見があり、単なる開発会社ではなく、電力料金計算の論点を理解した上で会話ができる点が大きかったです。
要件整理から実装、確認までをスムーズに進められたことは、導入判断において非常に大きな要素でした。

B氏:実際のプロジェクトでは、「電気の話が最初から通じる」ことが想像以上に重要です。
前提知識が共有されていないと、説明コストも高くなりますし、細かい認識差異が手戻りにつながりやすくなります。

その点、エネがえるとは初期段階から話が早く、条件に応じた進め方や実装の考え方も具体的でした。
計算基盤をAPIとして取り込めるだけでなく、業界知見を持つ相手と進められること自体が大きな価値だったと感じています。

【エンジニアコメント】桑田(エネがえる 開発担当)

「市場連動型料金プランの実装では、30分単位で変動する時系列データを前提に、年間を通じて安定的に計算できる構成にする必要がありました。
一般的な料金表計算とは異なり、入力条件によって結果の見え方も変わるため、ロジックの正確性と、実際の営業現場で使いやすい応答性の両立が重要でした。

実装にあたっては、単に要件をコード化するのではなく、試算に必要な条件整理や検証観点を早い段階で明確にし、関係者と認識をそろえながら進めました。
その結果、短期間でも精度確認を重ねながら、実運用に耐えうる形での提供につなげることができました。」

 

 開発・実装のプロセスで、苦労した点はありましたか?

 A氏:開発そのものは比較的スムーズでした。
電力料金ロジックを理解した上で会話できたので、要件の伝達や精度確認で大きな手戻りが起きにくかったです。

一方で、苦労したのは社内のセキュリティや承認プロセスです。
外部APIを導入するにあたり、複数部門との調整が必要で、実装以外の準備にも相応の時間がかかりました。

B氏:振り返ると、開発工数よりも、社内調整や承認に必要な工数の見積もりのほうが難しかったと感じます。

サービス公開を目指す際は、システム面だけでなく、情報管理や社内手続きも並行して進める必要があります。計算基盤を外部化できても、社内調整は早めに動くべきだという学びがありました。

Webシミュレーターを公開して、代理店や顧客からの反応はいかがですか?

 A氏:代理店からは、訪問先でその場で試算結果を見せながら提案できる点について、評価の声をいただいています。
従来のExcel中心の運用では難しかった、モバイル端末での即時提案が可能になったことは大きいです。

また、Webシミュレーター自体が顧客との最初の接点になり、試算から問い合わせ、営業対応へとつながる流れを作れるようになりました。
単なる試算ツールではなく、販売活動を支える仕組みの一つとして機能し始めています。

 同様のサービス開発を検討している企業へ、メッセージをいただけますか?

A氏:電力関連サービスの開発では、計算ロジックの複雑さと社内リソースの制約が、同時に課題になりやすいと思います。
私たちも、やりたい構想はあっても、自社だけでは進めにくい状況がありました。

必要な機能をAPIとして取り入れることで、専門人材が限られていても、スケジュールと品質の両方を見ながらサービスを形にしやすくなると感じています。

B氏:すべてを自社開発で抱え込むことが最適とは限りません。どこが自社の強みで、どこは外部の専門性を活用すべきかを切り分けることが重要です。

特に電力料金計算のように専門性が高い領域では、計算基盤を外部APIとして活用する判断が、結果として開発スピードと品質の両立につながると感じています。

 

 まとめ──市場連動型プラン対応APIがもたらした価値

本事例が示しているのは、複雑な市場連動型料金プランの計算ロジックを自社でゼロから抱え込まなくても、API活用によって短期間でサービス実装に必要な試算基盤を整備できるという点です。

市場連動型料金プランのように、時系列データを前提とした高度な料金計算では、単なる画面開発だけでなく、計算精度、要件理解、営業現場での使いやすさまで含めた設計が必要になります。
その際、電力業界の知見を持つAPI基盤を活用できることは、開発期間の短縮だけでなく、サービス化の確度そのものを高める要素になります。

今回の事例では、

  • 複雑な料金計算ロジックをAPIとして実装基盤化できたこと
  • モバイル端末でも利用しやすいWebシミュレーターとして提供できたこと
  • 試算から問い合わせ、商談へとつながる導線づくりに活用できたこと

が大きな成果でした。

市場連動型料金プランや、より高度な電力料金設計を伴うサービスを検討する企業にとって、専門性の高い計算部分はAPIで取り込み、自社はサービス企画・顧客体験・営業設計に集中するという進め方は、有力な選択肢の一つになるはずです。

 

 

 

市場連動型料金プランの試算をWeb化、複雑な料金ロジックをAPIで短期間に実装

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