太陽光発電の導入コストを蓄電池・補助金別に解説【2023年最新】

著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。お仕事・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

目次

太陽光発電の導入コストを蓄電池・補助金別に解説【2023年最新】

「太陽光発電の導入を検討しているが、コスト面で迷っている」

「導入コストが実際いくらくらいかかるのか、サクッと知りたい」

「コストと同時に、費用対効果も併せて把握したい」

太陽光発電を検討する上で、多くの方がまずはこのようなコストの問題が気になるところだと思います。

結論からいうと、太陽光発電システムの導入コスト(初期費用)は、以下が目安です。※工事費を含みます。

 

10年前は3kWのシステムを設置するのに130万円程度かかっていましたが、現在では78万円程度で設置できるようになり、設置費用はかなり下がってきています。

蓄電池を一緒につけた場合の価格もだいぶ安くなってきており、さらに自治体の補助金が使える場合にはかなり安く導入できるケースもあります。

例えば、東京都の補助金が使える場合には、5kWの太陽光発電システムと8kWhの蓄電池を付けても100万円以下の導入コストで済むケースもあります。

 

【東京都の補助金(既存住宅)が使える場合の初期費用】

蓄電池の有無

蓄電池なしの場合

蓄電池ありの場合

3kWの

太陽光発電システム

77.7万円

補助金適用で42万円

180万円

補助金適用で44.5万円

5kWの

太陽光発電システム

129.5万円

補助金適用で70万円

275万円

補助金適用で94万円

 

東京都の補助金は蓄電池への助成が手厚いため、蓄電池をセットで付けてもかなり安く設置できます。

この記事では、家庭に一般的な容量の太陽光発電システムを設置する場合のコストについて、詳しく解説していきます。

この記事を読むとわかること

・太陽光発電システムを導入する初期コストは78万~130万円程度(3kW~5kW)

・初期でかかる導入コストの内訳(ソーラーパネル・パワコン・架台・工事費など)

・蓄電池も同時設置する場合の初期コストは180万円~275万円程度

・国や自治体による太陽光発電につかえる補助金情報

・【ケース別】太陽光発電の導入コストシミュレーション

後半では、設置コストに対して得られる経済的メリット「売電収入」と「電気代削減」についても分かりやすく説明します。

「太陽光発電のコスト面が気になっている」という方はぜひこの記事を最後までお読みいただき、自宅に太陽光発電システムを設置するかどうか判断する材料にお使いください。

 

1. 太陽光発電システムを導入する初期コストは78万~130万円程度(3kW~5kW)

早速、家庭用太陽光発電システムの導入コストの目安について解説していきます。

ずばり結論を示すと、一般的な規模の家庭用太陽光発電システムを導入する場合の初期コストは、78万円(3kW)~130万円(5kW)程度が相場です。工事費も含めた金額です。

太陽光発電システムの設置費用は、10年前と比べるとだいぶ安くなっており、年々下がってきています。

 

経済産業省 調達価格等算定委員会|令和5年度以降の調達価格等に関する意見「【参考22】住宅用太陽光発電のシステム費用の推移とその内訳」を参考にグラフ化

毎年、経済産業省の調達価格等算定委員会という機関が、「今年はこのぐらいの設置費用になりそう」という想定値を発表しています。

これによると、2023年の10kW未満(一般家庭が設置する規模)の太陽光発電システムの設置費用は、1kWあたり25.9万円とされました。

 

調達価格等算定委員会|令和4年度以降の調達価格等に関する意見(PDF資料)を加工して作成

 

この1kWあたり25.9万円を、設置するシステムの容量に乗じることで、初期費用の目安を出すことができます。

 

【システム容量別の太陽光発電システム導入コスト】

システム容量

導入コスト(工事費なども含む)

3kW

77.7万円

4kW

103.6万円

5kW

129.5万円

6kW

155.4万円

7kW

181.3万円

8kW

207.2万円

9kW

233.1万円

10kW

259万円

 

なお、家庭用太陽光発電では3kW・4kW・5kWを選ぶ方が多いため、上記の表の黄色の部分がボリュームゾーンとなります。

「太陽光発電の容量はどのくらいを選べばよいの?」という方は、「太陽光発電 発電量」の記事をぜひ参考にしてください。

2. 太陽光発電システムの導入コストの内訳(パネル・架台・工事費など)

 

ここからは「導入費用の内訳はどうなっているんだろう?」という方に向けて、内訳を解説していきます。

 

出典:調達価格等算定委員会|令和4年度以降の調達価格等に関する意見(PDF資料)

1章で示した導入コスト(2023年の場合「1kWあたり25.9万円」)には、ソーラーパネル・パワーコンディショナー・架台・その他の設備・工事費が含まれます。

導入コストの内訳がどうなっているかを分解したのが、以下の表です。

 

【システム費用(新築)の内訳】

内訳

1kWあたりの費用

ソーラーパネル

14.5万円

パワーコンディショナー

4.2万円

架台

2.1万円

その他の設備

0.2万円

工事費

7.1万円

値引き

△1.9万円

合計

26.1万円

 

※補足:ここでの合計は「1kWあたり26.1万円」となっていますが、全体の平均値や中央値の水準は低下傾向にあることから、2023年の設置費用の想定値は「26.1万円」とはならず、2022年の「25.9万円」に据え置くことになったという経緯があります。

内訳の項目について、簡単に解説をまとめたので参考にしてください。

ソーラパネル(太陽光パネル)

太陽光を集める青色の板のことです。モジュールと呼ばれることもあります。

パワーコンディショナー(パワコン)

太陽光パネルで発電して得た「直流電力」を「交流電力」に変換して、家庭で使えるようにする機械のことをいいます。

架台

太陽光パネルを乗せる台のことです。家の屋根に設置するために必要な設備です。

その他の設備

補助金の申請費用や保証費用、諸経費、消費税など、上記以外の項目がここに含まれます。

 

業者から見積もりをもらった場合には、内訳に不審な点がないかしっかり確認してみましょう。

3. 蓄電池も同時設置する場合の初期コストは180万円~275万円程度

2章までで、太陽光発電システムを単体で導入する場合の初期コストはイメージできたと思います。しかし中には「蓄電池もセットで導入したい」という方も多いことでしょう。

ここからは、蓄電池も一緒に導入した場合にいくらかかるかも見ていきましょう。

蓄電池を太陽光発電システムとセットで導入する場合の初期コストは、だいたい180万円~275万円程度です。

初期コストの内訳は、(1)蓄電池の本体価格、(2)工事費用、(3)太陽発電システム設置費用です。

 

【蓄電池を導入する場合の初期コストの内訳】

蓄電池の本体価格

77.5万円(5kWhタイプ)~124万円(8kWhタイプ)

工事費用(同時設置の場合)

20万円程度

太陽光発電システム設置費用

(1章・2章で解説した費用)

78万~130万円程度(3kW~5kWのパネルを想定)

合計

180万円(※1)~275万円(※2)程度

 

※1:3kWパネル+5kWh蓄電池を設置した場合
※2:5kWパネル+8kWh蓄電池を設置した場合

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

3-1. 蓄電池の本体価格:77.5万円~124万円

蓄電池の本体価格の相場は、77.5万円(5kWhタイプ)~124万円(8kWh)が相場です。

 

【蓄電容量別の蓄電池の価格相場】

蓄電容量

蓄電池の価格相場

5kWh

77.5万円

6kWh

93万円

7kWh

108.5万円

8kWh

124万円

 

経済産業省が公表している蓄電池の目標価格(令和4年度)が「1kWhあたり15.5万円」なので、これをもとに蓄電容量を乗じて算出しました。

※参考:経済産業省|蓄電池産業の競争力強化に向けて(PDF資料)

 

なお、家庭用蓄電池の容量は、2kWh前後のポータブルサイズから、長期間の停電にも備えられる16.6kWhの大容量タイプまで、さまざまあります。

 

ここでは、家庭用蓄電池の一般的なサイズである5kWh~8kWhの価格を出しました。これよりも大容量なサイズを想定している場合には、もう少し相場が高くなるのでご注意ください。

 

「蓄電池の容量をどのくらいにするか迷っている」という方は、「蓄電池の容量を決めるには?さまざまな選び方や重要なポイントを紹介」の記事もぜひ参考にしてみてください。

 

3-2. 蓄電池を設置する工事費用:20万円程度(同時設置の場合)

蓄電池の工事費(設備工事費+電気工事費)は、20万円程度です。

太陽光発電システムは既に設置されていて新たに工事が発生する場合には、20万円~35万円が相場です。

今回は、太陽光発電システムの設置と同時に蓄電池も導入するケースを想定しているため、低めの20万円を想定しました。

 

3-3. 太陽光発電システム+蓄電池の導入コストまとめ

太陽光発電システムと蓄電池をセットで導入する場合のコストをまとめると、以下のようになります。

 

太陽光パネルのシステム容量と蓄電池の蓄電容量の組み合わせによって価格は変わりますが、

・3kWパネル+5kWh蓄電池を設置した場合:180万円程度

・5kWパネル+8kWh蓄電池を設置した場合:275万円程度

となるため、相場はだいたい180万円~275万円程度です。

 

4. 補助金がある場合には初期コストを抑えられる

太陽光発電システムの導入コストは、単体の場合で78万~130万円程度、蓄電池も設置する場合にはだいたい180万円~275万円程度と解説しました。

しかしながら、国や自治体による補助金制度が使える場合には、初期コストを抑えられます。

使える補助金制度がないか、制度の適用条件に合致しているかを調べてみて、使える場合には補助金適用でいくらぐらいになるか計算してみましょう。

 

4-1. 国が行っている太陽光発電に対する補助金

太陽光発電システム設置に関する国の補助金は、ZEH、次世代ZEH+、次世代HERMがあります。

 

【国による太陽光発電システム導入時の補助金】

補助金の名前

補助金の金額

ZEH支援事業

1戸あたり55万円

次世代ZEH+実証事業

1戸あたり100万円

次世代HEMS実証事業

1戸あたり112万円

 

出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ|経済産業省及び環境省による戸建ZEH補助事業

 

※補助金制度には適用条件が細かく設定されているので、各制度の詳細をよく確認し、適用できるかどうか慎重に判断してみてください。

 

4-2. 自治体が行っている太陽光発電に対する補助金

多くの自治体(都道府県や市町村)で、独自に太陽光発電システムや蓄電池の設置に関する補助金を支給しています。以下に、一例を示します。

 

【自治体による太陽光発電システム・蓄電池の補助金】

自治体

補助金の金額

東京都

太陽光パネル:1kWあたり10万~15万円(上限45万円)

蓄電池:設置費用の3/4の補助金(最大120万円)

山形県

10kW未満の太陽光発電設備+蓄電池の設置

【非FIT型】7万円/kWh又は3分の1(いずれか低い額)(上限35万円)

【FIT型】5万円/kWh又は3分の1(いずれか低い額)(上限25万円)

福島県

太陽光パネル:1kWあたり4万円(最大16万円)

蓄電池:蓄電容量1kWhあたり4万円(最大20万円)

 

※補助金制度には適用条件が細かく設定されているので、各制度の詳細をよく確認し、適用できるかどうか慎重に判断してみてください。

「◯◯(自治体名)+太陽光+補助金」などで検索して、お住まいの自治体に補助金制度があるか、いくら補助金を受けられるか確認してみてください。

また、補助金が受けられる期間にも注意してください。自治体によっては「予算がなくなり次第、補助金が終了」というケースもあるので注意しましょう。

 

5.【ケース別】太陽光発電の導入コスト例(蓄電池ありなし・補助金ありなしでシミュレーション)

ここからは、いくつかのケースを想定して、太陽光発電の導入コストがいくらになるかをシミュレーションしてみました。

 

・太陽光パネルのシステム容量は、3kWまたは5kWでシミュレーション

・蓄電池を付ける場合、3kWパネルには5kWhの蓄電池、5kWパネルには8kWhの蓄電池を想定

・補助金は、東京都の補助金(太陽光発電システムの補助金+蓄電池に対する補助金)を想定

 

5-1. 3kWの太陽光発電システムを導入する場合

システム容量3kWの太陽発電システムを導入する場合の初期コストは以下です。

 

【3kWの太陽光発電システムの導入コスト(ケース別)】

初期コスト

蓄電池なしの場合

補助金なしの場合

78万円

東京都の補助金が使える場合

(新築住宅)

48万円(78万円-30万円)

(※1)

東京都の補助金が使える場合

(既存住宅)

42万円(78万円-36万円)

(※2)

蓄電池ありの場合

(5kWh容量)

補助金なしの場合

175.5万円(78万円+蓄電池本体77.5万円+蓄電池工事20万円)

東京都の補助金が使える場合

(新築住宅)

50.5万円

内訳175.5万円-30万円(※2)-95万円(※3)

東京都の補助金が使える場合

(既存住宅)

44.5万円

内訳175.5万円-36万円(※2)-95万円(※3)

 

※参考:東京都環境局|太陽光発電設備の設置に対する東京都の助成事業クールネット東京|令和5年度 家庭における蓄電池導入促進事業

※1:新築住宅に3.6kW以下のパネルを設置する場合の補助金が1kWあたり10万円なので、3kWを設置する場合は30万円
※2:既存住宅に3.75kW以下のパネルを設置する場合の補助金が1kWあたり12万円なので、3kWを設置する場合は36万円
※3:太陽光発電システムが4kW未満かつ蓄電容量が6.34kWh未満の場合の助成金が1kWあたり19万円(最大95万円)(助成率4分の3)なので、5kWhの蓄電池を設置する場合は95万円

 

補助金が使えない場合でも、太陽光発電を80万円以下で導入できますが、補助金があれば50万円を切る価格で設置できるケースもあります。

蓄電池を付ける場合はどうしても高くなってしまいますが、こちらも補助金があればかなり安く設置できる地域もあります。

実際には、初期費用にたいして、得られる経済メリット(売電収入+削減できる電気代)がどのくらいあるのかを詳細にシミュレーションしてみて、設置するかどうかを決めていくのがおすすめです。

 

次は、同様に5kWのシステムを導入した場合のコスト例も説明します。

 

5-2. 5kWの太陽光発電システムを導入する場合

システム容量5kWの太陽発電システムを導入する場合の初期コストは以下です。

 

【5kWの太陽光発電システムの導入コスト(ケース別)】

初期コスト

蓄電池なしの場合

補助金なしの場合

130万円

東京都の補助金が使える場合

(新築住宅)

80万円(130万円-50万円)

(※1)

東京都の補助金が使える場合

(既存住宅)

70万円(130万円-60万円)

(※2)

蓄電池ありの場合

(8kWh容量)

補助金なしの場合

274万円(130万円+蓄電池本体124万円+蓄電池工事20万円)

東京都の補助金が使える場合

(新築住宅)

104万円

内訳274万円-50万円(※2)-120万円(※3)

東京都の補助金が使える場合

(既存住宅)

94万円

内訳274万円-60万円(※2)-120万円(※3)

 

※参考:東京都環境局|太陽光発電設備の設置に対する東京都の助成事業クールネット東京|令和5年度 家庭における蓄電池導入促進事業
※1:新築住宅に3.6kW超のパネルを設置する場合の補助金が1kWあたり10万円なので、5kWを設置する場合は50万円
※2:既存住宅に3.75kW超のパネルを設置する場合の補助金が1kWあたり12万円なので、5kWを設置する場合は60万円
※3:太陽光発電システムが4kW以上かつ蓄電容量が6.34kWh以上の場合の助成金が1kWあたり15万円(助成率4分の3)なので、8kWhの蓄電池を設置する場合は120万円

太陽光発電システムを単体で導入する場合には150万円以下、補助金を使えば100万円以下で導入できます。

蓄電池もセットで導入する場合は200万円を超えてくるため少し高額ですが、補助金が使える場合には100万円以下に抑えることもできるでしょう。

こちらも、実際には、初期費用にたいして、得られる経済メリット(売電収入+削減できる電気代)がどのくらいあるのかを詳細にシミュレーションしてみて、設置するかどうかを決めていきましょう。

シミュレーションを行うには、太陽光・蓄電池シミュレーションの決定版「エネがえる」がおすすめです。8章のシミュレーション例もぜひ参考にしてみてください。

 

6. 太陽光発電の設置コストは【売電収入】と【電気代削減】で回収できる

太陽光発電システムを設置する場合、「何年で元が取れるのか」と考えたことがある人も多いのではないでしょうか。

太陽光発電システム(+蓄電池)を設置することで得られる経済メリットには、「売電収入」と「電気代削減」の2つの軸があります。

 

ここからは、この2つの軸について解説していきます。

 

(1)売電収入とは

売電収入とは、自宅に設置した太陽光発電システムで発電した電力を、電力会社に売ることで得られる収入のことです。

 

国の「FIT制度(固定価格買取制度)」により、10年間のあいだは、1kWあたり16円で必ず買い取ってもらえます(16円は、2023年度にFIT制度の申請した場合)。

 

例えば、太陽光発電システムを導入して年間3,500kWhの電力売電した場合には、16円×3,500kWh=5.6万円の収入を得ることができます。

 

10年を過ぎるとFIT制度の保証価格はなくなりますが、電力会社が提示する買取価格(市場価格)で引き続き売電が可能です。

※参考までに、現時点での電力会社の買取価格は、1kWhあたり7円~11円程度です(電力会社によって異なります)。

 

太陽光発電の導入コストは、上記のような売電収入で回収でき、設置した後ずっと経済メリットが続きます。

 

(2)電気代削減とは

売電で得られる収入とは別に、太陽光発電システムを設置することで、「本来ならば電力会社に払っていた電気代」を削減することができます。

例えば、発電量が年間5,000kWhで、そのうち3割の1,500kWhを自分の家庭で消費した場合、1,500kWh分の電力を電力会社から買わずに済みます。つまり、1,500kWh分の電気代を削減できるということです。

電力会社から電気を買う場合、電力会社やプランにもよりますが、1kWhあたり35円(※)がかかりますので、年間で5万2,500円、10年間で52.5万円もの電気代を削減することが可能です。

※:経済産業省 資源エネルギー庁|2023年6月の電気料金、なぜ値上がりするの?いくらになるの?を参考にした価格です。実際の電気料金は電力会社やプラン、電気使用量によって異なります。

 

このように、太陽光発電を導入することで、売電収入+電気代削減の2本柱での経済的メリットを受けることができます。初期費用を回収した後もメリットは続くため、長く使うほどメリットは大きくなります。

 

 

売電収入と電気代削減(自家消費)のバランスによって削減額が変わる

太陽光発電を設置した場合の経済メリットは、(1)売電収入と(2)電気代削減の合計となります。

上記の例では自家消費率(発電量全体のうち家庭で消費する割合)を50%で計算しましたが、売電価格よりも電気代の方が高い現在は、自家消費率が高い方がトータルの経済メリットは高くなります。

以下に、同じ年間5,000kWの発電量で、自家消費率ごとにどのくらい差が出るのかをまとめました。

 

【自家消費率ごとの経済的メリット比較】

自家消費率

経済的メリット

売電100%・自家消費0%

年間8万円(売電収入80,000円+自家消費による電気代削減0円)

売電90%・自家消費10%

年間8.95万円(売電72,200円+自家消費による電気代削減17,500円)

売電80%・自家消費20%

年間9.9万円(売電64,000円+自家消費による電気代削減35,000円)

売電70%・自家消費30%

年間10.85万円(売電56,000円+自家消費による電気代削減52,500円)

売電60%・自家消費40%

年間11.8万円(売電48,000円+自家消費による電気代削減70,000円)

売電50%・自家消費50%

年間12.75万円(売電40,000円+自家消費による電気代削減87,500円)

売電40%・自家消費60%

年間13.7万円(売電32,000円+自家消費による電気代削減105,000円)

売電30%・自家消費70%

年間14.65万円(売電24,000円+自家消費による電気代削減122,500円)

売電20%・自家消費80%

年間15.6万円(売電16,000円+自家消費による電気代削減140,000円)

売電10%・自家消費90%

年間16.55万円(売電8,000円+自家消費による電気代削減157,500円)

売電0%・自家消費100%

年間17.5万円(売電0円+自家消費による電気代削減175,000円)

※年間の発電量が3,000円で、売電価格が1kWhあたり16円、電気代が1kWhあたり35円の場合の試算です。

※実際には、自家消費率30%以上でなければFIT制度の対象外となるため、価格は適用されません。

ただし、実際には、太陽光パネルを単体で付ける場合(蓄電池なしの場合)、日中に電気を使い切ることは難しく、自家消費率は30%程度~高くても40%程度となります。

蓄電池を付ける場合には、理論上では自家消費率100%(オフグリッドという状態)を目指せますが、実際にはオーバースペックとなり設置費用が高くなりすぎるため、50%~80%というのが、目指せる現実的な数字となります。

さらに詳しく自家消費率について知りたい方は、「太陽光発電 自家消費」の記事も参考にしてください。

 

7. 太陽光発電のコスト回収期間は10年以内(蓄電池ありの場合は15年程度)が目安

 

太陽光発電の導入コストを回収できる期間(元が取れる期間)は、おおむね10年以内(7年~10年程度)が目安といわれています。

元が取れた後は、その後はずっと売電収入+電気代削減分がプラスになります。

例えば、設置費用が78万円で、毎年9.9万円の「売電収入+電気代削減効果」がある場合、7.9年で元が取れる計算になります。

 

一方、蓄電池も一緒に設置した場合を考えると、コストを回収できる期間(元が取れる期間)は、おおむね15年程度になるのが一般的です。

蓄電池がセットの場合にはコスト回収期間が長くなりますが、その分、停電時にも貯めていた電力を活用できるため、電気を使えるという大きなメリットがあります。

ただし、実際に「何年で元が取れるのか」は、現在の電気代や生活スタイル、設置するエリア、設置条件などによっても変わってきます。

そのため、次の章では、太陽光・蓄電池の経済効果シミュレーションサービス「エネがえる」を使って詳細なシミュレーションをしていきます。

 

8. 太陽光発電のコスト回収期間シミュレーション

 

ここからは、太陽光発電のコストを「売電収入」と「電気代削減分」でどのくらいの期間で回収できるか、シミュレーションを元に解説していきます。

ここでは、太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションツール「エネがえる」を使って詳細にシミュレーションをおこなっていきます。

 

今回のシミュレーションで使った共通条件は以下です。

日射量観測地点:東京

現在の電気の契約情報:東京電力エナジーパートナー・従量電灯B(50A)

毎月の電気料金:2万円(月平均電力量:465kWh)

生活スタイル:オール電化型

FIT期間中の買取単価:16円/kWh(10年)

FIT終了後の買取単価:8.5円/kWh(15年)

パネル設置:4kW、南向き、傾斜角は4寸(23度)

電気料金上昇率:年率2%を想定

※太陽光発電を設置するエリア、現在の電気代や料金プラン、生活スタイル、パネルを設置する向きや角度によってシミュレーション結果が異なります。

 

8-1. 太陽光発電3kW+蓄電池なしの場合

 

まずは、3kWの太陽光発電システムを単体で導入する(蓄電池は付けない)場合のシミュレーションを、エネがえるで行いました。

その結果、導入コスト78万円を回収できる期間は7.9年となりました。

 

【太陽光発電3kW+蓄電池なしの場合】

導入にかかるコスト(初期費用)

78万円

導入後に得られるメリット

FIT期間中(10年間):1年で98,844円オトク

FIT期間終了後:1年で82,584円オトク

初期費用を回収できる期間

7.9年(コスト回収後は毎月プラスになります)

 

なお、もしこのケースで東京都の補助金を使える既存住宅の場合には、初期費用は42万円で済みますので、導入コストを回収できる期間は4.2年となります。

シミュレーション結果の補足

太陽光発電システムを導入することで、FIT期間中は、売電収入が月2,892円、自家消費して削減できた電気代が5,345円となり、合計で月8,237円の経済メリットを得ることができます。

FIT期間が終了した後は売電価格が下がりますが、売電収入が月1,537円、削減した電気代が5,345円で、合計月6,882円の経済メリットを得られます。

太陽光発電システムを導入することで得られるメリットが1年で98,844円なので、初期費用78万円を回収できる年数は、78万円÷98,844円=7.9年となります。

 

8-2. 太陽光発電5kW+蓄電池8kWhの場合

 

今度は、5kWの太陽光発電システムと、8kWhの蓄電容量を持つ蓄電池をセットで導入する場合のシミュレーションです。

その結果、導入コスト274万円を回収できる期間は15年となりました。

 

【太陽光発電5kW+蓄電池8kWhの場合】

導入にかかるコスト(初期費用)

274万円

導入後に得られるメリット

FIT期間中:10年で182万円オトク

FIT期間終了後:5年で92円オトク

合計15年で274万円オトク

初期費用を回収できる期間

15年(コスト回収後は毎月プラスになります)

 

なお、もしこのケースで東京都の補助金を使える既存住宅の場合には、初期費用は94万円で済みますので、導入コストを回収できる期間は5.2年となります。

シミュレーション結果の補足

太陽光発電システムを導入することで、FIT期間中は、売電収入が月3,433円、自家消費して削減できる電気代が月10,737円となり、合計で月14,170円の経済メリットを得ることができます。

FIT期間が終了した後は売電価格が下がりますが、売電収入が月1,824円、削減できる電気代が10,737円で、合計月12,561円の経済メリットを得られます。

太陽光発電システムを導入することで15年で得られる経済メリットの金額が、初期費用と同額なので、15年で元が取れる計算となります。

9. 太陽光発電のコストと経済メリットを検討なら「エネがえる」導入工務店に相談しよう

 

8章では、太陽光発電3kW+蓄電池なしの場合と、太陽光発電5kW+蓄電池8kWhを設置した場合の詳細なシミュレーションをおこないました。

しかしながら、これはあくまでシミュレーション例に過ぎず、それぞれのご家庭ごとにシミュレーション結果は変わってきます。

例えば、8章のシミュレーションでは、毎月の電気料金が平均2万円でオール電化型の家庭を想定していました。これが、電気代がもっと安い場合やもっと高い場合、朝に使用量が多い場合や夜間の使用量が多い場合など、家庭による状況の違いにより、結果は異なります。

また、パネルを南向きに設置できるのか、傾斜角度を理想的な角度で設置できそうかなどの条件によっても、結果が異なってきます。

太陽光発電の導入コストを抑えながら、予算内で最も経済メリットを得られるように設置したいなら、それぞれの家庭の状況に合わせたシミュレーションが欠かせません

発電量や費用対効果を見ながら、太陽光発電の最適なシステムを検討したい方は、ぜひ「エネがえる」を導入している工務店やハウスメーカー、販売店にシミュレーションを相談してみてください!

10.【販売施工店向け】エネがえるのご案内

ここからは、工務店やハウスメーカーなどの代理店様向けに、太陽光発電や蓄電池の提案をスピーディーに行える「エネがえる」の紹介をさせていただきます。

太陽光発電のシミュレーションツールはたくさんありますが、スピーディーかつ高精細なシミュレーションをするならば「エネがえる」が最適です。

太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションの決定版「エネがえる」の特徴

【導入実績がすごい!】

・683社が導入(大手電力・蓄電池メーカー・販売施工店など)

・全国販売実績TOP1・2の蓄電池販売会社が導入

・年10万件超の安心の診断実績

【使い方が簡単!便利!】

・5分で提案書が自動作成

・燃調費単価も月1回自動更新

・主要蓄電池製品を98%網羅

 

「エネがえる」は、蓄電池やエコキュートの長期経済効果を最短15秒で診断可能。わかりやすいグラフ付き提案書で、細かい金額までしっかり提示ができます。

さらに、支払い期間やローン金利を入れれば、FIT期間とFIT終了後の負担額も自動計算でき、以下のような資料を自動作成できるため瞬時に提案可能です。

 

 

弊社がおこなったアンケートの結果、エネがえるで出力した診断レポートをお客様に見せたところ、「71%のお客様が、販売会社への信頼度が上がる」と回答しています。

 

導入にいくらかかり、それによりどのくらいの経済効果が出るのか、毎月のローン負担額はいくらかになるかを、FIT中からFIT後まで15年という長期にわたり具体的にシミュレーションできるため、お客様からの信頼を勝ち取ることができます。

なお、エネがえるシリーズには他に、産業用のシミュレーションもできる「エネがえるBiz」や、EV・V2H経済メリットシミュレーションができる「エネがえるEV・V2H」もあります。

お客様への提案の確度を上げたい工務店・販売施工会社・メーカー・電力会社は、ぜひ「エネがえるASP」の導入をご検討ください。

 

まとめ

本記事では「太陽光発電の導入コスト」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

 

太陽光発電システムを導入する初期コストは78万~130万円程度(3kW~5kW)

・設置費用の目安は、毎年「調達価格等算定委員会」が目安を出している

・2023年の10kW未満の太陽光発電システムの設置費用は、1kWあたり25.9万円

・家庭用の太陽光発電システムは、3kW~5kWが多い

 

蓄電池も同時設置する場合の初期コストは180万円~275万円程度

・蓄電池の本体価格:77.5万円(5kWhタイプ)~124万円(8kWhタイプ)

・蓄電池を設置する工事費用:20万円程度(同時設置の場合)

・合計すると、3kWパネル+5kWh蓄電池を設置した場合:180万円程度、5kWパネル+8kWh蓄電池を設置した場合:275万円程度

 

補助金がある場合には初期コストを抑えられる

・国の補助金制度(ZEH、次世代ZEH+、次世代HERM)

・自治体の補助金制度(東京都・埼玉県・福島県など、多くの自治体で実施)

 

太陽光発電のコスト回収期間

・10年以内(7年~10年程度)が目安

・蓄電池ありの場合は、15年以内

・実際には、現在の電気代や生活スタイル、設置するエリア、設置条件などによって変わる

太陽光発電を導入した後の経済メリットはケースによって変わるため、それぞれの家庭の状況に合わせたシミュレーションが欠かせません。

発電量や費用対効果を見ながら最適なシステムを検討したい方は、ぜひ「エネがえる」を導入している工務店やハウスメーカー、販売店にシミュレーションを相談してみてください。

 

執筆者・相談先(太陽光・蓄電池シミュレーションエキスパート)

国際航業株式会社 公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG
執筆者:樋口 悟

執筆者の略歴:国際航業株式会社エネルギー部デジタルエネルギーグループ。エネルギー診断クラウドサービス「エネがえる」担当。1996年東京学芸大学教育学部人間科学課程スポーツコーチ学科卒業。1997年上場大手コールセンター会社に入社、2000年大手上場小売企業グループのインターネット関連会社で最年少役員に就任。2011年に独立起業。大企業向けにSNSマーケティングやアンバサダーマーケティングを提供するAsian Linked Marketingを設立。30以上の大手上場企業のプロジェクトを担当。5年で挫折。2016年国際航業株式会社新規事業開発部に入社しエネルギー領域の事業開発、エネがえる事業開発を担当。

太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションの国内唯一のエキスパートとして、大手電力・ガス会社、有名太陽光・蓄電池メーカー、全国販売施工店・工務店など約700社以上と、最近ではエネルギー政策立案サイド(国・官公庁・地方自治体)で太陽光・蓄電池推進政策をしている方々へもエネがえるを活用した太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションやアドバイスを提供している。

執筆者のSNS:
・Twitter:@satoruhiguchi
・LinkedInプロフィール:https://www.linkedin.com/in/satoruhiguchi/
・Sansan名刺交換:https://ap.sansan.com/v/vc/bu56hqnjvw5upna463tcfvkxka/

 

【無料】太陽光・蓄電池の導入を検討してる方限定
無料シミュレーション受付中
個人・企業どちらも対応可

エネがえるを活用して太陽光・蓄電池の経済効果シミュレーションや提案をしてくれる信頼できる販売施工店を無料でご紹介・取次いたします。

著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。お仕事・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

たった15秒でシミュレーション完了!誰でもすぐに太陽光・蓄電池の提案が可能!
たった15秒でシミュレーション完了!
誰でもすぐに太陽光・蓄電池の提案が可能!