売電あっての太陽光発電の魅力、その最新の訴求ポイントについて

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国際航業株式会社公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。国内700社以上・導入シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)を開発提供。

売電あっての太陽光発電の魅力、その最新の訴求ポイントについて

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きょんくまって知ってます?Youtuberの。デジタルエネルギーチームの樋口です。

太陽光発電は地球環境にやさしく、世界が目指すべき再生可能エネルギー活用のうちの主要な発電方法のひとつです。そして、もうひとつ挙げられるのが利用者のメリット。太陽光を利用することで、昼間の晴天時の発電電力を家庭や事業所で利用でき、節電効果が期待できるほか、最大のメリットは余った電力を電力会社に買い取ってもらう「売電」です。太陽光パネルなどの初期投資の早期回収や投資利回りの点で、むしろ後者のほうが利用者にとって興味の持たれるところ。太陽光発電における「売電」について、その最新事情をチェックしてみましょう。

太陽光発電、売電の仕組み

順を追って、太陽光発電における売電の仕組みを整理してみましょう。

「余剰電力買取制度」と「全量買取制度」

買取制度は大きく2つにわけられます。まず、発電者が太陽光発電で生成された電力を自分のために消費し、その残りを電力会社などへ売るケースが「余剰電力買取制度」です。発電した電力はすべて販売し、パネルや蓄電池の投資を早めに回収したいと考えたいところですが、ソーラーパネルの発電量が10kW未満の場合はそれができません。一般の家庭や、それに近い小規模の事業所がこれにあたります。一方、発電した全量を販売できるのは、発電量10kW以上で、事業規模で取り組んでいるケースになります。つまり、一般家庭が太陽光発電をする場合は、基本的には発電した電力は家庭でまず自家消費し、残りを販売するのが基本になるというわけです。エネルギー効率を考えると、発電して直接消費したほうがロスも少なく、発電者にとってはメリットが大きくなります。そのため、自家消費の分を少なくすれば、それだけ販売できる電力(売電量)が増えますので、発電者の住宅での節電対策がたいへん有効になるわけです。

固定価格買取制度と割賦金

経済産業省の2018年3月23日の発表によると、住宅用太陽光発電量10kW未満では、買取価格は2017年度が1時間のkW当たり28円、2018年度が26円、2019年度が24円という推移をたどっています(出力制御対応機器設置義務なしの場合)。将来の普及と事業者の拡大にあわせて、太陽光発電買取価格の下降幅も大きくなる可能性をふまえた設備にすることが重要です。日本の太陽光発電はまだ先行投資のような段階にあり、この電力買取の財源の一部は、国民の電気料から毎月一定額を徴収して賄われています。これらの大元の法的な枠組みであるFIT法も2017年4月に改正され、電力の販売を申請したものの実際の売電が遅れた業者には、買取期間の短縮など一定のペナルティーが課されるようになりました。

売電をはじめるにあたり

より効果的に発電し、少しでも多くを売電にまわせるようになれば、太陽光発電をはじめた方の金銭負担を早期に低減していくことができ、国民から拠出する割賦金の負担も小さくしていくことができます。つまり、太陽光発電をして売電をしている個人の事業者の一人ひとりが、発電や蓄電、売電の効率化、自家消費分の節電を進めることは、大きな意義があるのです。

売電のための手続きと期間

太陽光発電による電力を売る売電には申請が必要です。その概要について説明をしましょう。

申請前の期間が必要なことを考慮

太陽光発電は、家電品のように完成品を気軽に買うのとは異なります。パネルや蓄電池の設置場所、状況や目的にあわせた機材の選択などを進めるには、どうしても時間がかかります。使用する製品選択、それが決まってからの契約締結の期間はもちろん、製品や業者の選定では複数社を検討したり、見積もりをとったりする必要もあり、短くても2週間は必要です。当然、慎重に検討すればするほど期間は延びます。購入検討者が企業勤務者ならば、週末のみの検討や打ち合わせとなるため、その点にも配慮する必要があります。

審査期間の長さに注意

さて、機器類の選定の次は、売電をはじめるための申請です。発電量が50kW未満では、手続きの迅速化のため、紙申請を経由せず、すぐに電子申請をすることができます。機器を購入した販売店に申請の代行を委託するのが一般的で、販売店から申請システムを使い、一般社団法人太陽光発電協会の機関であるJPEA代行申請センターに申請が預けられます。最終的には資源エネルギー庁に渡り審理されますが、この期間は概ね2カ月間とされており、認定証とともに売電価格が決定されます。この期間は努力では短縮できないので、はじめから必要期間としてプランに入れておきましょう。

工事から電力会社との売電契約(特定契約)

パネル設置工事などのほか、工事後の検査工程や、最終的には電力会社への売電申し込みとその受理などの期間がさらに必要です。そして、工事は設置場所やその規模などで必要期間が異なりますし、天候が工期に及ぼす影響も考えておかなければなりません。

太陽光発電、売電のポイント

太陽光発電には、機器類の選定やその設置工事以外にも、売電をするための申請期間なども必要です。それだけの労力と時間を使うことになるので、売電量を多くする努力が求められます。自家消費による節電効果もありますが、最大の魅力は売電というビジネスです。そのポイントについて見ていきましょう。

ダブル発電の条件と売電価格

注意すべきものとして「ダブル発電」があります。蓄電池を使う場合、太陽光発電中は蓄電池からの放電をしないタイプを選択しないとダブル発電と見なされてしまい、売電単価を低く設定されてしまうのです。例えば、太陽光発電のために設置した蓄電池に深夜電力を蓄電し、それを昼間に使うことでリアルタイムに発電されている太陽光発電の自宅での消費が減り、その分を売電にまわせるからです。これを「押し上げ効果」と呼びます。本来は家庭用の燃料電池システムを使った「エネファーム」が自ら発電もできる設備であるため、太陽光発電との併用で「ダブル発電」とされ、買取価格が2割ほど下がってしまうことを指していました。しかし、蓄電池も先の例のような深夜電力の使い方で同じ効果(ダブル発電)と見なされるのです。最近の蓄電池は、太陽光発電中には自動的に放電を中断する装置が働くものが多いのですが、念のため注意が必要です。「エネファーム」の使用を検討しているかどうかも、お客様に確認しておきましょう。

日常的な努力によって売電を増やす方法

売電量は、「太陽光発電で発電された電力」から「自宅で消費する電力(自家消費)」を差し引いたものです。つまり、自宅で消費する電力を減らす努力が重要になります。こまめに電気を切るなどの習慣化のほか、ライトをLEDタイプに替えたり、消費電力が大きいとされる古い家電品の買い替えを検討したり、待機電力をチェックしたりといった努力が有効です。普通の家では、節電は年間の電力の消費金額が減るだけですが、太陽光発電では売電量に関係しますので、コストが減って売り上げが増えるという二重効果が期待できるわけです。

太陽光発電は太陽の光をもとに発電するため、当然ですが、パネルの上にホコリや落ち葉などがないほうが機能を無駄なく活かせます。パネルの清掃を前提に、設置場所を検討することも大切です。定期的に掃除をすることでパネルの寿命が延びたり、不具合の発見が早まったりすることも期待できます。

売電先を変更

電力の自由化で、電力事業への参入企業が増えてきました。売電先というと、古くからある電力会社が販売先であることがほとんどですが、電力事業者として新規に参入してきた企業も買い取ってくれるケースがあります。新しい会社には、既存の電力会社より高く買い取って、既存の価格より安く供給するというような動きも期待できます。

太陽光発電、売電価格の動向

太陽光発電の価格推移にも注意が必要です。販売者は、1年前の販売方法、商品やサービスの提供スタイルでは、それから下がった買取価格の分を補てんできなくなってくるかもしれません。年間で2円ほどずつ買取価格は下がっているため、それを見越したシミュレーションの必要性が高まってきました。導入前のシミュレーションなどで、シビアに機器を選ぶ必要があります。

売電価格に関して話題に上がるのが、「2019年問題」です。これは、2009年に太陽光発電による売電をはじめた個人や業者の固定価格買取制度が、期間満了の10年を過ぎるために終了することを意味します。2009年よりあとに導入した人は、2019年以降に順次終了を迎えることになります。いま太陽光発電の導入を検討している方は、とくに神経質になる必要はないわけですが、10年後の姿を考えて太陽光発電システムを導入・運用していくことが大切といえるでしょう。

固定買取価格期間が終了した場合、8円程度での買取が既存の契約先である電力会社との間で継続するという見方もあります。この価格ならば、現行の電力会社が自社で調達するコストより低くなるから、というのがその理由です。あくまでも想定ですが、もしそうなると、電力会社との取引は制度ではなくビジネスとなるため、事業者としての安定供給や、コストを下げて利益を厚くするなどの自助努力が求められます。一方で、オール電化住宅や家庭で充電する電気自動車が普及すれば、自家消費の価値もまた変わってきます。太陽光発電で発電した電力を家庭で使う用途が拡大することで、将来に向かい発電が無駄になるリスクは低くなるかもしれません。

まとめ

メーカーと販売機器の種類の増加、それらにともなう価格低下、販売業者のソリューション提案の充実、そして再生可能エネルギーのさらなる重要性の高まりなど、太陽光発電を導入する追い風は続きます。しかし、2019年問題にあるように、買取期間終了後は、電力会社などとの個別契約になるわけです。将来を見越した売電価格の目標やその過程の運用を、よりデータを用いてシビアに提示していくことが強く求められるようになります。そういったデータ主体の提案こそが、今後の顧客が求めていることなのです。

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https://www.enegaeru.com/document/

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