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追加性のある再エネ導入とは?再エネ普及ボトルネックを解消し普及加速する課題とソリューション(SaaS・API・BPO・保証)
「追加性(additionality)」とは、自社が再生可能エネルギーを利用することで新たな再エネ電源の増設を促す効果を意味します。簡単に言えば、自分の選択が世の中の再エネを増やすことに繋がっているかという指標です。例えば、オンサイト(自社施設内)やオフサイトの自家消費型太陽光発電、新規のPPA契約で建設された風力発電所から電力を調達することは高い追加性を持ちます。
これらはFITなど既存の支援策に頼らず新設された発電設備であり、導入企業の行動が直接的に新しい再エネ設備を生み出したと評価できるためです。反対に、既存の再エネから作られた電力や証書を購入するだけでは、新しい設備を増やす効果がないため「追加性がない」と見なされます。例えばFIT電気の購入は、すでに国民負担で設置済みの設備から電気を買うだけなので、再エネの普及拡大には直結しないと指摘されています。
こうした「追加性」は、企業の再エネ調達において今や国際的にも重要なキーワードとなっています。
世界ではRE100加盟企業を中心に「購入する再エネが新規設備由来か」という点を重視する流れが強まっており、国際イニシアチブのRE100も2023年以降、この追加性要件を参加企業への基準に組み込む方向です。具体的には「運転開始後15年以内の発電設備に限定してカウントする」といった案が検討され、日本でも古い大規模水力由来の電力やFIT非化石証書ではRE100基準を満たせない可能性が指摘されています。
要するに、気候変動を本当に抑制するには、単に再エネ由来の電力を購入するだけでなく、それが実際のCO₂削減に繋がる“新しい再エネ”を増やすことが求められるのです。この潮流を受け、日本でも先進的な企業は相次いでコーポレートPPAによる新設再エネ電源の長期購入に乗り出し始めています。
日本の再エネ導入の現状:追加性確保への課題
日本に目を向けると、2050年カーボンニュートラル実現や2030年温室効果ガス削減目標に向けて、政府・自治体・企業が再エネ導入拡大に動き出しています。
特に需要家サイドでは、大企業を中心にRE100参加やSBT(科学的根拠に基づく目標)設定が広がり、「自社の使用電力を100%再エネにしたい」という意欲は高まっています。一方で、多くの企業が「再エネ調達は進めたいが具体的な行動に移せていない」現状も浮かび上がっています。
国際航業の調査によれば、大企業の約40.9%はGX(グリーントランスフォーメーション)の重要性を認識しつつも、まだ具体策に着手できていません(※2023年10月調査)とされました。また、自治体でも「脱炭素の必要性は感じるが住民の理解が得られていない」と感じる職員が8割以上にのぼり、特に住民負担の不安や経済効果が見えないことが障壁になっているとの声があります。このように多くの主体が再エネ導入の意義は理解しているものの、一歩踏み出す段階でさまざまな課題に直面しているのです。
追加性の観点で言えば、「新たに再エネ設備を建てる」ことこそが肝心です。しかし実際には、日本企業の再エネ調達は従来、電力会社のグリーンメニューや非化石証書の購入など既存設備ベースの手法に偏りがちでした。この理由の一つに、オンサイト太陽光や直接PPAといった追加性の高い手段は、導入にハードルが高いという現実があります。初期投資コスト、スペースの制約、設備管理の手間、そして何より「本当に元が取れるのか?」という経済性への不安――こうした要素が二の足を踏ませているのです。
さらに、2022年以降のエネルギー価格高騰で電気代が企業経営を圧迫する中、再エネ導入による光熱費削減メリットは増していますが、そのメリットを定量的に掴めないことも障壁となっています。ある調査では製造業経営者の6割以上が2023年に電気料金の増加を実感し、自家消費型太陽光に関心を示しつつも、具体的な導入計画で躓いているとの結果が出ました(2023年調査)。背景には「本当にペイするのか確信が持てない」「設備導入の社内説得材料が足りない」といった事情があります。
つまり、再エネ導入に前向きであっても、定量的な裏付けとリスクヘッジ策が不足していると、導入判断が進まないのです。
需要家側の課題:経済効果の不透明さと信頼性への不安
まず再エネを導入しようとする需要家(企業や自治体など電気を使う側)が直面する課題を整理しましょう。最大のポイントは経済性の不透明さです。どれくらいの費用対効果があるのか、投資回収に何年かかるのか、電気代削減やCO₂削減の効果はどの程度か――具体的な数値イメージを持てないままでは、設備投資の意思決定は難しいものです。
実際、国際航業の調査では、産業用太陽光・蓄電池の導入を検討した企業の経営層のうち、4割以上が「提示されたシミュレーションを見ても経済効果を十分に想像できなかった」と回答しています。裏を返せば、シミュレーション結果の提示だけでは意思決定者の腹落ち感を得られないケースが少なくないということです。また同じ調査で、シミュレーションを提示されなかった層では半数以上が「信頼できる試算があれば、負担額次第で導入したかった」と述べたことから、経済効果を信憑性高く示すことが導入意欲に直結すると言えます。
ところが、需要家にとって第三者から提示されるシミュレーション結果の信頼性にも課題があります。太陽光発電や蓄電池の効果試算は前提条件次第で結果が大きく変わり得るため、「この数字は本当に当てになるのか?」という疑念が生じがちです。実際、住宅向け太陽光・蓄電池の営業現場では83.9%もの担当者が、顧客からシミュレーション結果の信憑性を疑われた経験があるといいます。需要家からすれば、「シミュレーション上は◯◯円お得と言うけど、机上の計算では?」という不安が拭えないのです。
また導入後のリスクへの懸念も大きな障壁です。例えば「予測より発電量が少なかったら損するのでは?」「本当にシミュレーション通り電気代が下がるの?」といった声です。太陽光や蓄電池は20年前後の長期投資になるため、将来にわたる性能や経済効果をどこまでコミットできるかが需要家の意思決定を左右します。裏を返せば、この不安を解消し「効果を約束する」仕組みがあれば、需要家は安心して導入に踏み切れるはずです。
さらに需要家内部の事情として、社内合意形成の難しさも見逃せません。企業で設備投資を行う場合、経営陣や関連部門への説明が必要ですが、専門的なエネルギー知識を持たない相手に再エネのメリットを理解してもらうのは容易ではありません。特に数値根拠に乏しい状態では説得力が弱く、経理担当や経営層から「本当に元が取れるのか」と突っ込まれて企画が止まってしまう例もあります。住宅分野でも家族の同意形成が課題となり、シミュレーション結果に確証があれば家族を説得しやすくなると感じる人が65.4%に上ったとの調査結果があります。
要するに、需要家が追加性のある再エネ導入(=新規の自家消費設備の導入など)に踏み切るには、経済効果を定量的かつ信頼性高く示し、将来の不確実性リスクをカバーすることが不可欠なのです。この課題を解決するアプローチが次章以降で述べるソリューション群です。
EPC・PPA事業者側の課題:提案業務の負担と人材・ノウハウ不足
次に、再エネ設備を提案・施工する側であるEPC(設計・調達・建設)事業者やPPA事業者の課題を見てみましょう。彼らは需要家に再エネ導入を働きかけ、プロジェクトを実現する役割を担いますが、現場では提案業務の負担や人材不足という深刻なボトルネックが発生しています。
まず提案段階で欠かせない経済効果シミュレーションの作成が、大きな手間となっています。法人向けの太陽光提案では、電力使用データの分析やシステム容量の最適化、初期費用・ランニングコスト算出、電力料金プランの反映、さらに補助金適用時の試算など、考慮すべき要素が非常に多岐にわたります。
従来、これらを個別にExcel計算したり複数ツールを併用したりして対応していましたが、「細かな条件変更によるシミュレーション比較が十分できない」と感じている営業担当者が4割以上にのぼっています。要は、ツールがバラバラだったり手計算部分が多かったりして、精緻な提案資料をスピーディーに作るのが難しいのです。
さらに提案スピードに関してもジレンマがあります。先ほど需要家側の心理として「初期段階から具体的な数値が欲しい」という要望があると述べましたが、それに応えるためには営業担当者は短時間で概算効果を示す必要があります。しかし精密な試算には時間がかかるため、「多少粗くても早く出す」か「時間をかけて詳細に出す」かで現場は悩んでいるのが実情です。
調査でも導入検討企業の約61%が「初回から詳細な試算を示してほしい」と望む一方、34%は「粗くても早く概算を知りたい」と割れており、営業側は精度と迅速さのバランスに苦労しています。この板挟みを解決するには、スピーディーかつ一定の精度を担保できるシミュレーションツールの存在が不可欠です。
しかし多くの販売会社では、そうした高度なツールの内製化は難しく、現場の営業スキルに頼った属人的提案になりがちでした。また営業担当自身が「経済計算は苦手…」というケースも多く、約7割の営業が経済効果試算に何らかの苦手意識を感じているとのデータもあります。理由として「専門知識が必要で難しい」「計算に時間がかかりすぎる」が挙げられており、この結果、提案資料に十分なエコノミクスを盛り込めなかったり、試算ミスへの不安から自信を持って提案できないケースも起きています。
営業マンにとってシミュレーション作業は頭痛の種であり、「できれば簡単に使える経済効果シミュレーターを営業に取り入れたい」と望む声が7割以上に達していました。
加えて、人材不足とノウハウ継承の問題も深刻です。太陽光・蓄電池市場の拡大に伴い、提案から設計・施工・申請に至るまで案件数が急増する一方で、業界全体で技術人材の確保が追いついていません。国際航業の調査では、太陽光・蓄電池販売施工会社の約90.7%が「技術系人材の採用が難しい」と実感しており、必要資格を持つ応募者自体が少ないことが主因に挙げられています。現有スタッフも日々の案件対応に追われ、新人教育やノウハウ共有まで手が回らないという悲鳴も聞かれます。結果として提案書作成や設計業務に時間がかかり、顧客対応が後手に回る悪循環も起きています。実際、「提案書作成の負担で顧客への連絡やフォローが遅れてしまう」と答えた会社が約8割にのぼりました。人材不足と業務逼迫がセットで現場を圧迫し、このままでは折角高まる需要に応えきれず、再エネ普及のチャンスを逃しかねません。
以上のように、需要家側・提案側それぞれの課題が絡み合い、「追加性のある再エネ導入」のハードルとなってきました。しかし近年、これらの課題を一つ一つ解決し、再エネ普及を加速させるためのソリューションが次々と登場しています。次章では、それらソリューションを有機的に活用することで、課題を克服しつつビジネスチャンスを広げる方策を解説します。
ソリューション:課題解決に挑む「エネがえる」シリーズの活用法
前章までに挙げた課題を踏まえ、ここでは国際航業株式会社が提供するクラウドサービス「エネがえる」シリーズを中心としたソリューション群をご紹介します。エネがえるは太陽光発電・蓄電池をはじめEV充電や電力料金シミュレーションまで網羅した再エネ導入の経済効果シミュレーション統合プラットフォームです。需要家・提案者双方のニーズに応える多彩な機能を持ち、既に官公庁や大手エネルギー事業者から工務店まで国内700社以上に導入されています。ここでは特に「エネがえるAPI」を活用した経済効果シミュレーションの高度化、「シミュレーション結果保証」による信頼性向上、そして「エネがえるBPO」による業務効率化という3つの観点から、その効果を見ていきます。
エネがえるAPIを活用すれば、自社向けの経済効果シミュレーターを容易に構築可能。全国100社3000プラン以上の最新電気料金データや補助金情報も毎月自動更新される。開発・運用コストを大幅に削減しつつ、住宅用から産業用まで太陽光・蓄電池・EV導入効果をシミュレーションできる。需要家自身がWeb上で簡易診断できるツールとして提供することも可能で、再エネ提案のDX化に寄与する。
1. 経済効果シミュレーションの高速・高精度化
エネがえるの最大の特徴は、複雑な経済効果試算をボタン一つ・短時間で実行できる点です。住宅向けから産業用まで複数のクラウドサービスがあり(エネがえるASP/Biz/EV・V2H等)、どれも使い放題の月額制で、Webブラウザ上から誰でも直感的に操作できます。例えば産業用(エネがえるBiz)では、企業の電力使用量データや契約プランを入力すれば、365日×時間帯別の詳細シミュレーションにより最適な太陽光・蓄電池容量と予測発電量、電力削減効果を算出できます。電気料金メニューも全国100社・3000プラン超を網羅しており(毎月更新)、需要家ごとの契約に合わせた試算が可能です。
これにより、営業担当者は初期提案段階で具体的な数値を即提示できるようになります。実際、エネがえる調査によれば「初期から具体的数値提示を希望」と回答した企業担当者は約7割にのぼりましたが、エネがえる導入企業ではこの要望に応えるスピード提案が実現しています。多少粗めでも数分でROI概算を示し、その後詳細条件を詰めて精緻な見積を出すといったメリハリが可能になるため、検討のスピード感と正確性を両立できます。また複数パターンの比較試算も容易で、太陽光のみ/蓄電池併設/設備容量違い/補助金有無などを切り替えながら最適プランを検討できます。営業担当者からは「15秒で様々なケースの効果を試せるので、お客様の前でシミュレーションを回せる」といった声も聞かれ、提案の説得力とスピードが飛躍的に向上しています。
さらにシミュレーション結果の一元管理も信頼性向上に寄与します。従来、複数の設計ソフトや電卓を併用していた企業では、ツール間で計算結果が異なる「数値ばらつき問題」に悩まされていました。エネがえるAPIを導入したネクストエナジー・アンド・リソース社では、発電量計算エンジンをエネがえるに統一したことで「同一条件なら結果は常に一致する環境」を実現し、顧客からの「なぜ前と数字が違うの?」という問い合わせがゼロになったそうです。同社は現在、月間5,000件超のシミュレーションを運用していますが、結果ばらつきが解消されたことで商談スピードも向上し、販売店との信頼関係構築にも効果が出ています。
参考:ネクストエナジー・アンド・リソースが国際航業の「エネがえるAPI」を導入 〜 複数ツールによるシミュレーション結果のばらつき課題を解決 月間5,000件超の活用事例に〜 | 国際航業株式会社
このようにエネがえるの活用で、提案段階の定量分析が劇的に効率化・高度化します。営業未経験の新人でもツールに数値を入れるだけでプロ並みの提案書が作れるため、担当者ごとの提案品質のばらつきも解消されます。社内では「データに基づく提案ができるようになり、顧客からの信頼が増した」との評価もあり、シミュレーション活用が営業成績を左右するとの現実を裏付けています。これらはすべて、再エネ導入の経済メリットを“見える化”することが需要家の行動変容につながることを示す好例でしょう。
参考:シミュレーション結果に基づいた提案資料がお客様に信頼された(成約率50%以上) エネがえるASP導入事例 南国殖産
2. シミュレーション結果の保証で不安を解消
経済効果シミュレーションをいくら精緻に行っても、需要家側が「本当にその通りになるのか?」と不安を抱える限り、導入のハードルは残ります。そこで登場した革新的サービスが「経済効果シミュレーション保証」です。国際航業は日本リビング保証株式会社と提携し、エネがえるで算出した太陽光・蓄電池の発電量予測に基づく経済効果を、第三者機関が保証する国内初の制度を2024年より開始しました。
具体的には、需要家がエネがえるで試算した結果をもとに太陽光発電システム(住宅用・産業用を問わず)を導入し、もしも実際の年間発電量が予め保証された水準を下回った場合、差分に相当する損失額を補填してもらえる仕組みです。保証期間は原則10年間で、支払限度額は低圧システムなら最大1,000万円、高圧なら最大3,000万円と、十分なカバー範囲が設定されています。補償理由としては設備の不具合や施工不良などが対象ですが、ポイントは「シミュレーション通りの効果が得られなかったら損失を埋め合わせする」という安心感を需要家に提供できる点にあります。
このシミュレーション保証の導入により、需要家は「発電量が足りなかったらどうしよう」という投資回収への不安が大幅に軽減されます。保証付きのシミュレーション結果は、いわばお墨付きの事業計画とも言えるため、銀行からの融資を得る際にも有利です。実際、保証サービス開始のニュースに対し「シミュレーション結果をコミットしてもらえるなら設備投資委員会でも承認が下りやすくなる」といった声も聞かれ、金融機関側もデータに裏付けされた案件には前向きになると期待されています。
販売施工事業者にとってもメリットは絶大です。「試算と実績がズレたらどうしよう」という営業側の不安が和らぎ、自信を持って提案できますし、保証制度とセットで提案することで競合他社との差別化にもなります。国際航業の調査でも、産業用PV営業担当者の84.2%が「シミュレーション結果の保証で成約率が高まる」と期待しており、既に現場では保証付き提案への関心が非常に高いことが分かります。また住宅検討者側でも「保証があれば導入を検討したい」層が約7割に達し、家族の同意を得やすくなるとの声も65%に上りました。このようにシミュレーション保証は需要家・販売側双方の背中を押す切り札となりつつあります。
さらに注目すべきは、自治体職員の反応です。あるアンケートでは地方自治体職員の80.4%が「経済効果シミュレーション結果を保証する制度があれば再エネ普及はスムーズになる」と回答しました。自治体が地域住民や事業者に再エネ導入を促進する上でも、「効果を保証するから安心ですよ」と説明できれば理解促進につながると期待されています。今後、自治体と連携してこの保証制度を周知したり、公的補助と組み合わせたりすることで、さらなる普及加速も見込まれます。
まとめると、経済効果シミュレーション保証の登場は、再エネ導入ビジネスにおける信頼性のゲームチェンジャーです。データに基づくシミュレーションを提示し、その結果にコミットメントを付与することで、導入への心理的・経済的ハードルを大きく下げることに成功しました。需要家にとっては「最悪思ったほど発電しなくても損は補填される」という安心が得られ、販売者にとっては「シミュレーション通りやります」と胸を張って提案できる強みになります。これにより、これまでシミュレーション結果への不信感ゆえに発生していた成約機会のロスが解消され、着実に追加的な再エネ設備の導入が進むことが期待できます。
3. BPOサービス活用による業務効率化とスキル補完
シミュレーションツールと保証制度が需要家の不安を取り除く一方で、提案側のリソース不足問題を解決するのが「エネがえるBPO/BPaaS」サービスです。これは国際航業が再エネ業界特化のBPO(業務外部委託)企業であるエコリンクス社と提携して提供を開始したサービスで、再エネ導入・提案に関わる一連の業務を、専門チームが丸ごと代行してくれるものです。
エネがえるBPOでは、経済効果の試算レポート作成、システム設計、申請書類作成、さらには営業研修に至るまで、太陽光・蓄電池・EV導入に伴うあらゆるプロセスをカバーしています。サービス利用企業は、必要な業務を1件単位から依頼でき、1件あたり試算レポートなら1万円~という従量課金で、最短即日~1営業日というスピード納品を実現しています。Web発注に対応しており、忙しい営業現場からオンラインで簡単にプロ依頼が可能です。まさに業界最高水準の柔軟性と即応性を備えたサービスと言えるでしょう。
この背景には、前述のように再エネ提案業務量の急増と人手不足・ノウハウ不足の深刻化があります。国際航業の調査でも、再エネ販売施工会社の約9割が技術人材不足に悩み、約8割が提案書作成の負担で顧客対応が遅れている状況が明らかになりました。そこで、エネがえるBPOは「提案から設計・申請まで煩雑な業務を迅速かつ高品質に代行」することでこのボトルネックを解消しようというわけです。実務経験豊富なエコリンクス社のチームがエネがえるのシミュレーションロジックと過去実績を駆使して対応するため、自社内にノウハウがなくてもプロ品質のアウトプットが得られます。言わば「社外の優秀な再エネ提案部隊」に業務を委ねるイメージです。
これにより、販売会社は自社スタッフを営業活動や顧客フォローなど本来注力すべき業務に集中させることができます。BPOに任せた試算書や図面は短期間で戻ってくるため、提案サイクルも短縮されます。蓄電池やV2Hなど自社にスキルのない分野の提案もBPO経由でカバーできるため、製品ラインナップ拡大にもつながります。実際、EV・V2H提案について社内スキル不足を感じる販売店は80.6%に上りましたが、そうした企業ほど「負担業務の外部委託に興味がある」と回答しています。エネがえるBPOはまさにそのニーズに応えるサービスと言えます。
金融機関にとってもBPO活用は有益です。太陽光や蓄電池への融資審査を行う銀行担当者の86.0%が「評価に課題がある」と感じており、例えば「将来予測の不確実性が高い」「必要データ収集に時間がかかる」といった悩みを抱えています。こうした専門知識を要する業務をアウトソースすることについては73.0%が有益と認識しており、特に「専門知識・ノウハウの高さ」や「対応スピードの速さ」を重視する声が多いです。エネがえるBPOは、まさに高度な知見と即応力を備えた外部パートナーとして、金融機関のニーズにも応えられるでしょう。事実、BPO提供開始当初から銀行系のお問い合わせもあり、融資審査資料の代行作成やプロジェクトのデューデリジェンス支援といった形での利用も見込まれています。
総じて、エネがえるBPO/BPaaSの活用は業界全体の底上げにつながります。人材不足で抱え込んでいた業務をアウトソースすることで、各社は限られた人員でも提案件数を拡大できます。新人営業もBPO経由でプロの資料を使って提案できるため、経験値に依存しない営業展開が可能です。まさに再エネ業界版の「分業と専門化による生産性向上」であり、これが結果的に再エネ普及のスピードを上げる原動力となるでしょう。
4. API連携とDX:再エネ普及を支えるデジタル基盤
ソリューションの最後に、エネがえるAPIの活用による拡張的な取り組みにも触れておきます。エネがえるは単体ツールとして使うだけでなく、API経由で他システムと連携することで、多様なユーザー体験やサービスを創出できます。例えば大手電力・新電力会社はエネがえるAPIを自社Webサービスに組み込み、顧客向けに太陽光やEV導入シミュレーション機能を提供し始めています。また地方公共団体が地域住民向けに公開する「太陽光シミュレーター」にエネがえるのエンジンを採用し、専門的知識がなくても市民が自宅屋根での発電効果を試算できるようにしたいとの相談も多く来ています。
直近の事例では、パナソニック株式会社 エレクトリックワークス社が提供開始した「おうちEV充電サービス」にエネがえるAPIが組み込まれています。このサービスは家庭でのEV充電を最適化するアプリで、エネがえるAPIの電気料金プランシミュレーション機能と料金単価データ参照機能を使うことで、ユーザーの契約プランに応じた最安時間帯を算出し充電スケジュールを最適化しています。全国の電力会社の料金プラン情報を自社で毎月追従するのは膨大な手間ですが、API導入により常に最新の料金データを自動反映できるようになり、開発・運用コストを大幅に削減できたとのことです。さらにユーザーにとっても「自分は何もしなくても、契約中のプランで電気代が一番安くなる時間に充電してくれる」仕組みが実現し、EV導入メリットを最大化しています。
他にも、走行データと再エネ効果試算を組み合わせて地域のCO₂削減策を提案するような高度な取り組みも出てきました。国際航業はパイオニア社と協業し、自動車の走行位置データと電力データを活用して自治体向けに「地域のCO₂排出量可視化&再エネ導入効果試算」を行うソリューションを開発しています。これは地域全体で交通由来のCO₂排出を把握し、それをどれだけEV化+再エネ電力で削減できるかシミュレーションするもので、自治体の脱炭素戦略立案を強力に支援するツールです。エネがえるAPIのEV経済効果試算機能や地域別電力データがフル活用されており、データドリブンな政策検討が可能になります。
さらに、エネがえるAPIは今後のアップデートで30分電力市場連動プランへの対応や、複数EV・充電器を含む産業用シミュレーションへの拡張、オフサイトPPA経済効果シミュレーション対応が予告されています。これにより、電力卸相場に連動したダイナミックプライシング下での最適PV・蓄電池効果や、大規模EVフリート導入時のピークカット効果など、次世代の複雑なシナリオ分析も自動化できるようになります。こうしたデジタル基盤の進化は、再エネ普及におけるボトルネックをさらに取り除き、エネルギーマネジメント全体の最適化を後押しするでしょう。
最後に少しユニークな取り組みとして、人材育成・意識啓発へのデジタル活用も挙げられます。国際航業は「ボードゲームdeカーボンニュートラル」という研修サービスも展開しており、ゲーム形式で楽しみながら脱炭素施策を学べる教材を提供しています。これは直接「追加性」を高める施策ではありませんが、社員教育や住民啓発を通じて脱炭素への理解と主体的行動を促す試みで、結果的に再エネ導入の土壌を育むものです。デジタルシミュレーションとアナログなゲーム要素を組み合わせる発想は、専門知識がない人にもエネルギー問題を腹落ちさせる効果があり、業界の常識にとらわれないユニークなアプローチと言えるでしょう。
日本の再エネ普及加速に向けたポイントと展望
ここまで、追加性のある再エネ導入を阻む課題と、それを乗り越えるソリューションについて詳しく見てきました。最後に、それらを踏まえた今後の普及加速のポイントを整理します。
まず第一に、定量的エビデンスに基づく意思決定を広めることです。太陽光や蓄電池の導入は「環境に良さそうだから」「周りも始めているから」という感覚論では大きな投資判断を伴う以上進みません。正確なデータとシミュレーションでメリット・デメリットを「見える化」し、関係者全員が納得できる材料を揃えることが大前提です。その点、日本ではエネがえるのような高度ツールやデータが整いつつあり、今後はこれを如何に多くの企業・自治体が使いこなすかが鍵となります。CO₂排出量の見える化だけでは行動変容に限界があることは既に指摘されており、環境メリットと経済メリットをセットで提示する工夫が普及のポイントです。
第二に、リスクと不安の低減です。シミュレーション結果の保証や各種長期保証サービスの活用によって、需要家の「もし思った通りにならなかったら…」という不安は格段に和らぎます。金融機関もリスクヘッジ策があれば融資に前向きになります。政府・自治体には、こうした民間の保証スキームを支援・後押しする役割が期待されます。例えば補助金制度と組み合わせて「保証付きプランには補助率アップ」などインセンティブを付ける、あるいは地域の事業者に保証サービスを紹介する、といった施策です。アンケートでも自治体職員の多数が**「シミュレーション保証制度が普及を助ける」**と答えている以上、公的機関もそれを活用しない手はありません。
第三に、業務効率化と人材育成です。せっかく需要があっても人手が足りず提案できなければ普及は進みません。エネがえるBPOのような外部リソースの活用や、エネがえる導入による新人でも質の高い提案ができる環境づくりは、再エネ業界全体の成長に不可欠です。また、ボードゲーム研修のように裾野の人材に楽しく知識を伝える工夫も大切でしょう。再エネは専門用語も多く難解に思われがちですが、そこで敬遠されては元も子もありません。ゲームに限らず、例えば社内コンペ形式で太陽光導入プランを競わせるとか、社外のセミナーで成功事例を共有するとか、ノウハウとモチベーションを業界内外で循環させる仕掛けが必要です。
最後に、「追加性」の本質を常に意識することです。脱炭素経営がブームとなる中、「再エネ100%電力メニューを買えばOK」といった安易な目標達成に走るのではなく、ぜひ一件でも多く新しい再エネ設備をこの世に増やす視点で取り組んでいただきたいと思います。そのためには今回述べたような課題の本質を直視し、テコとなる技術やサービスを総動員する姿勢が求められます。日本は技術力や現場力で優れたポテンシャルを持ちながら、欧米に比べ再エネ導入のスピードで後れを取った面があります。しかし、ここにきて状況は変わりつつあります。高度なシミュレーション技術や保証・BPOサービスといった世界最高水準のソリューションが出揃い、まさに「再エネ導入のラストピース」が埋まり始めました。あとはこれらをフル活用し、官民挙げて導入障壁を取り除いていくだけです。
幸い、エネルギー価格高騰や脱炭素圧力という逆風が、ある意味では再エネ導入の経済的魅力を相対的に高める追い風にもなっています。電気代削減やレジリエンス強化というわかりやすいメリットを旗印に、中小企業から自治体、そして家庭まで、日本全体で追加性ある再エネを一層推進していくことが求められます。その過程で、本記事で紹介したようなデータドリブンなツールや革新的サービスがきっと力強い支援となるでしょう。「数字に裏付けられた確かな再エネ導入」を合言葉に、日本のエネルギー転換を加速していきたいものです。
ファクトチェック・出典一覧
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追加性の定義:「再エネ利用が新たな設備の増加につながる効果」を指し、オンサイトPPAや自家消費型の新設設備は追加性が高いとされる。
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RE100における追加性重視:2023年の技術要件改定案で、購入電力は運転開始15年以内の設備に限定する方向が検討されている。
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経営者の認識と課題:産業用PVのシミュレーション提示を受けた経営層の4割超が効果を十分想像できず。一方、提示されなかった層の半数超は「信頼できる試算があれば導入したかった」と回答。
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顧客の数値ニーズ:導入検討企業の約7割が「初期段階から補助金額や電気代削減額など具体的数値を知りたい」と要望。初回提案の精度と迅速性のバランスが導入意欲を左右。
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営業現場の負担:太陽光・蓄電池販売担当者の約70%が経済効果試算に苦手意識。「専門知識が必要」「時間がかかる」が主因で、提案資料に十分反映できないケースも。
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シミュレーション活用の効果:営業目標達成者は未達者より21.3ポイント多くシミュレーションを活用していたとの調査結果もあり(経済効果シミュレーション活用が営業成績に直結)。
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顧客の信頼性不安:住宅営業の83.9%が顧客から試算の信憑性を疑われた経験あり。経営層でも「試算通りか不安」が導入見送りの一因となっている。
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シミュレーション結果保証:国際航業と日本リビング保証が提供開始。試算発電量に対し実績が下回れば損失補填。自治体職員の80.4%が「結果保証があれば普及が進む」と回答。住宅検討者の約7割も保証ありなら導入前向き。
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人材不足とBPOニーズ:再エネ販売会社の約90%が技術人材不足を実感、約80%が提案書作成負担で対応遅延。金融機関担当者の86.0%も融資評価に課題を感じ、73.0%が外部委託は有益と回答。エネがえるBPOはこれら課題解消を目的に提供。
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エネがえるAPIの機能:電気料金シミュレーションや太陽光・蓄電池効果試算、EV・V2H分析、全国の料金プラン(100社3000プラン)・補助金(約2000件)データ参照等、オールインワンのエネルギー診断API。PanasonicのEV充電サービスなど多数で導入。
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