目次
- 1 岩石蓄熱技術とは?
- 2 岩石蓄熱技術の基本概念と時代背景
- 3 岩石蓄熱のメカニズム
- 4 岩石蓄熱技術の特徴と優位性
- 5 メリット
- 6 現状の課題
- 7 岩石蓄熱システムの設計ガイドライン
- 8 基本設計パラメータ
- 9 岩石の選定基準
- 10 蓄熱槽の設計
- 11 システム規模の決定要因
- 12 設置場所の選定ガイドライン
- 13 地質条件と必要特性
- 14 設置スペースの要件
- 15 立地条件の評価方法
- 16 地中熱利用との連携
- 17 運用と制御のガイドライン
- 18 最適な蓄熱・放熱サイクル
- 19 エネルギーマネジメントシステムとの統合
- 20 効率最大化のための運転戦略
- 21 経済性評価ガイドライン
- 22 コスト構造の分析
- 23 投資回収期間の算出方法
- 24 経済的価値の最大化戦略
- 25 技術実証の最新動向と事例研究
- 26 国内の主要実証プロジェクト
- 27 1. 東芝ESS・中部電力の横浜事業所での実証実験
- 28 2. 新東海製紙島田工場での実証プロジェクト
- 29 3. 岡崎市での導入計画
- 30 国外の研究開発動向
- 31 1. デンマーク工科大学の水平型岩石床研究
- 32 2. 国際的な岩石熱エネルギー貯蔵の研究レビュー
- 33 3. 米国エネルギー省の熱エネルギー貯蔵戦略
- 34 技術実装の実例と効果
- 35 岩石蓄熱システム導入プロセスのガイドライン
- 36 1. 事前調査・フィージビリティ検討
- 37 2. 基本設計・詳細設計
- 38 3. 許認可・規制対応
- 39 4. 調達・施工
- 40 5. 運用開始・モニタリング
- 41 岩石蓄熱技術の将来展望と発展方向性
- 42 技術的進化の方向性
- 43 1. 効率向上への取り組み
- 44 2. システム統合と多目的利用
- 45 3. デジタル技術との融合
- 46 市場展開と産業応用
- 47 1. 産業分野での展開
- 48 2. 地域エネルギーシステムとしての展開
- 49 3. ビジネスモデルの進化
- 50 政策と規制の展望
- 51 1. 支援政策の進化
- 52 2. 規制フレームワークの整備
- 53 結論:岩石蓄熱技術がもたらすエネルギー転換の可能性
- 54 岩石蓄熱技術の総合評価
- 55 社会実装に向けた提言
- 56 岩石蓄熱がもたらす未来のエネルギーシステム
- 57 出典
岩石蓄熱技術とは?
未来を支える最先端エネルギー貯蔵システム
脱炭素社会の実現に向けて注目される「岩石蓄熱」技術は、再生可能エネルギーの大量導入に伴う新たな課題を解決する可能性を秘めています。本記事では、この革新的技術の基本原理から実装ガイドライン、将来展望まで、多様な知見を集約しました。岩石蓄熱技術が拓く新時代のエネルギーシステムの全貌と、導入・活用のための包括的ガイドラインをお届けします。
岩石蓄熱技術の基本概念と時代背景
現代社会が直面するエネルギー転換の課題において、太陽光や風力などの再生可能エネルギーは中核を担う存在です。しかし、これらの自然エネルギーには時間帯や天候による発電量の変動という避けられない特性があります。日本でも再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力消費量が少ない春や秋の時期における電力需給ギャップの拡大が課題となっており、自然変動電源の出力抑制が増加しています2。
この課題を解決するためのブレイクスルーとして、「岩石蓄熱」技術が注目を集めています。この技術は、余剰電力を岩石などの蓄熱材に熱エネルギーとして蓄え、必要な時に熱供給や発電に活用することで、エネルギーの安定供給と効率的利用を実現するものです。特に岩石を蓄熱媒体として利用する技術は、アメリカのエネルギー省も2023年に有望技術として評価しており2、日本でも大規模な技術実証が始まっています。
岩石蓄熱のメカニズム
岩石蓄熱のメカニズムはシンプルでありながら効果的です。
蓄熱プロセス:
再生可能エネルギーによる余剰電力を用いて、電気ヒーターで空気を高温にする
高温空気を蓄熱槽に送り込み、岩石に熱を伝える
蓄熱槽は、熱を蓄え、高温状態を維持する
放熱プロセス:
電力需要が高まった際に、低温の空気を蓄熱槽に送り込む
空気は岩石から熱を奪い、高温になる
高温空気は蒸気発生器に送られ、蒸気を生成してタービンを回し発電する2
このプロセスにより、電気→熱→電気(または熱直接利用)という変換が可能になり、時間的なエネルギーシフトを実現します。
岩石蓄熱技術の特徴と優位性
岩石蓄熱技術は他のエネルギー貯蔵技術と比較して、多くの優れた特徴を持っています。東芝エネルギーシステムズや中部電力などが注目するこの技術の主な特長は以下の通りです。
メリット
長寿命: 岩石は耐久性が高く、長期間にわたって使用できる 2
高い安全性: 爆発や火災のリスクが低く、安全性が高い 2
多様な熱源に対応: 太陽光、風力、地熱など、さまざまな再生可能エネルギー、廃熱利用と組み合わせることができる 2
これらの特徴は、リチウムイオン電池や水素などの他の蓄エネルギー技術と比較しても環境性、経済性、設備信頼性の面で優位性を持つことが指摘されています 1 2。
現状の課題
一方で、岩石蓄熱技術には解決すべき課題も存在します。
電気変換効率: 電気→熱→電気の変換効率が約40~50%と、リチウムイオン電池(80~90%)と比べて低い10
応答速度: 熱の蓄積・放出に時間がかかるため、急激な電力需要の変化に対応しにくい10
設置場所の制約: 蓄熱槽およびプラントの設置に蓄エネルギー容量に応じた一定の設置スペースが必要2
初期費用: 小規模なシステムを構築する場合、蓄エネルギー単価が高額になることがある2
技術的な課題: 蓄熱槽内熱エネルギーの挙動制御に技術的な課題が残されている2
これらの課題に対して、現在さまざまな技術開発や実証試験が進められています。
岩石蓄熱システムの設計ガイドライン
岩石蓄熱システムを効果的に設計するためには、様々な要素を考慮する必要があります。ここでは、システム設計の基本的なガイドラインを示します。
基本設計パラメータ
岩石蓄熱システムの設計における重要パラメータには以下のようなものがあります:
熱容量: システム全体の蓄熱容量を決定する重要な指標です。熱容量の計算式は以下の通りです 1 6:
Cth = (1-ε) × Vstorage × ρr × cr × (Tstorage – Tamb)
ここで、
Cth: 熱容量
ε: 岩石床の空隙率
Vstorage: 蓄熱槽の体積
ρr: 岩石の密度
cr: 岩石の比熱
Tstorage: 蓄熱温度
Tamb: 周囲温度
運転温度範囲: 最適な効率と材料の耐久性を考慮して設定する必要があります。現在の技術では600℃前後の高温運転が可能です 1 6。
岩石のサイズと種類: 熱伝達効率に影響します。一般的には16-22mm程度のサイズの岩石が用いられています 1 6。
空隙率: 岩石床内の空気の流れやすさに関わる重要な要素です。一般的には0.45程度の空隙率が用いられています 1 6。
岩石の選定基準
岩石蓄熱システムの性能は使用する岩石の特性に大きく依存します。岩石選定の主な基準は以下の通りです:
熱容量: 単位質量あたりの蓄熱能力が高いもの
熱伝導率: 適切な熱伝導特性を持つもの
熱サイクル耐性: 繰り返しの加熱・冷却に耐えられる安定性
機械的強度: 崩壊や粉化しにくい堅牢性
化学的安定性: 高温でも化学反応を起こさないもの
入手性: 地域で容易に入手できるもの
具体的な岩石タイプとしては、玄武岩、花崗岩、閃緑岩などが候補となります。花崗岩の熱伝導率は約3.5 W/(m・K)と比較的高いことが知られています 1 8。
蓄熱槽の設計
蓄熱槽の設計には以下の要素を考慮する必要があります:
形状とサイズ: 円筒形や直方体などの形状があり、必要な熱容量に基づいて決定します。例えば、東芝ESSの試験設備では、高さ4メートル、横11メートル、奥行き4メートルの直方体タンクが使用されています3。
断熱性能: 熱損失を最小限に抑えるための断熱設計が不可欠です。
気流分布: 空気の流れを均一にするための内部構造設計が重要です。
圧力損失: 空気の流れに対する抵抗を最小化する設計が求められます。
システム規模の決定要因
岩石蓄熱システムの規模を決定する主な要因は以下の通りです:
エネルギー需要: 対象施設のエネルギー消費パターンと量
利用可能なスペース: 設置場所の制約
利用可能な余剰電力: 地域の再エネ発電状況
経済性: 投資コストと運用コストのバランス
例えば、中規模の工場用では10MWhクラスの熱容量が適切とされ、これは約880世帯分の1日の電力使用量に相当します39。
設置場所の選定ガイドライン
岩石蓄熱システムの性能と経済性は、設置場所の選定によって大きく影響を受けます。最適な設置場所を選ぶためのガイドラインをご紹介します。
地質条件と必要特性
地下に蓄熱槽を設置する場合、地質条件の評価が不可欠です。特に以下の点を考慮する必要があります 11:
岩盤の安定性: 蓄熱槽の重量を支えられる強度
地下水位: 地下水による熱損失や構造物への影響
熱伝導特性: 周辺地盤の熱伝導率と熱容量
地形条件: 斜面安定性や排水性
岩盤の種類によって熱特性は大きく異なります。例えば、花崗岩の熱伝導率は3.5 W/(m・K)、一般的な岩(重量)は3.1 W/(m・K)、軽量岩は1.4 W/(m・K)程度です 18。
設置スペースの要件
地上設置型の岩石蓄熱システムでは、以下の空間要件を満たす必要があります:
蓄熱槽のスペース: 必要な熱容量に応じた体積(例:10MWh級では数十~数百m³)
付帯設備用スペース: ヒーター、熱交換器、配管、制御装置などのスペース
アクセス経路: メンテナンス用の通路
安全距離: 周辺施設からの適切な距離
実際の設置例として、東芝ESSの試験設備では、蓄熱槽の大きさは高さ4メートル、横11メートル、奥行き4メートルとなっています3。
立地条件の評価方法
最適な設置場所を選定するためには、以下の評価基準を用いることが推奨されます:
エネルギー供給源との近接性: 余剰再エネ電力の調達しやすさ
エネルギー需要先との近接性: 熱や電力の供給先への距離
インフラの利用可能性: 電力網、道路、水道などへのアクセス
環境影響: 騒音、振動、景観への影響
法規制の適合性: 土地利用規制、建築基準法、消防法などの規制
これらの要素をスコアリングして総合評価することで、最適な設置場所を選定できます。
地中熱利用との連携
岩石蓄熱と地中熱利用を組み合わせることで、さらに高効率なシステムを構築できる可能性があります。環境省の「地中熱利用にあたってのガイドライン」15によると、以下の連携が考えられます:
季節間蓄熱: 夏季に冷熱井から地下水等を揚水し採熱後、温熱井より地下へ還元して温熱を蓄熱し、冬季にその温熱を暖房用に利用する
このような地中熱との連携は、季節間のエネルギーシフトを可能にし、年間を通じたエネルギー効率の向上に貢献します。
運用と制御のガイドライン
岩石蓄熱システムの効率的な運用には、適切な制御戦略が不可欠です。ここでは、システム運用の最適化に関するガイドラインを提示します。
最適な蓄熱・放熱サイクル
システムの効率を最大化するためには、蓄熱と放熱のタイミングを最適化する必要があります:
蓄熱のタイミング:
電力価格が低い時間帯(深夜電力など)
再エネ発電の余剰時(晴れの日の昼間の太陽光発電など)
系統制約による出力制御が予想される時間帯
放熱のタイミング:
電力価格が高い時間帯(ピーク時間帯)
熱需要が高い時間帯
再エネ発電が少ない時間帯(夜間や曇天時)
充放電サイクルの設定:
日単位のサイクル(昼間蓄熱、夜間放熱)
週単位のサイクル(週末蓄熱、平日放熱)
季節単位のサイクル(夏季や冬季の需要に合わせた運用)
東芝ESSと中部電力の実証試験では、約1時間で岩石の温度を常温から600℃まで上げることができるとされています3。この加熱速度を基に、柔軟な運用計画を立てることができます。
エネルギーマネジメントシステムとの統合
岩石蓄熱システムの性能を最大限に引き出すためには、高度なエネルギーマネジメントシステム(EMS)との統合が重要です:
予測に基づく運用最適化:
天候予測による再エネ発電量の予測
電力需要予測
電力市場価格の予測
多目的最適化:
CO₂排出削減
運用コスト最小化
設備寿命の最大化
他のエネルギーシステムとの連携:
他の蓄エネルギー設備(蓄電池など)との協調運用
熱源設備(ボイラーなど)との連携
デマンドレスポンス対応
新東海製紙の島田工場における実証試験では、東芝ESSのエネルギーマネジメント技術を活用し、工場の操業計画に合わせた蓄熱システムの効率運用により、CO₂削減効果の最大化を目指しています 8 9。
具体的な制御戦略としては、蓄熱EMSを導入し工場操業計画に合わせた最適制御を行うことで、CO₂削減効果を最大化することが可能であることが示されています8。
効率最大化のための運転戦略
岩石蓄熱システムの運転効率を最大化するための戦略として、以下のポイントが重要です:
温度成層化の活用:
蓄熱槽内の温度分布を最適化し、熱力学的効率を向上
温度成層の維持による熱損失の最小化 11
流量制御の最適化:
空気流量の適切な制御による熱交換効率の向上
圧力損失の最小化
サイクル数の最適化:
頻繁な短サイクル運転を避け、システム寿命を延長
適切なサイクル深さの管理
デンマーク工科大学での研究によれば、適切な流量概念と岩石床構成を採用することで、充電効率を17%向上させることができたという報告があります16。また、最適な運用条件下では約68%の熱ラウンドトリップ効率(熱→熱の変換効率)が達成されています16。
経済性評価ガイドライン
岩石蓄熱システムの導入判断においては、経済性の評価が不可欠です。ここでは、経済性を評価するための包括的なガイドラインを提示します。
コスト構造の分析
岩石蓄熱システムの総コストは以下の要素から構成されます:
初期投資コスト:
蓄熱槽建設費
熱交換設備費
電気ヒーター設備費
制御システム費
設計・施工費
運用コスト:
電力調達コスト
メンテナンスコスト
人件費
保険料
その他のコスト:
設備更新コスト
廃棄・リサイクルコスト
国際エネルギー機関(IEA)のレポートによると、熱エネルギー貯蔵(TES)システムは、感熱貯蔵で10~50 kWh/tの貯蔵容量と50~90%の貯蔵効率を提供し、相変化材料(PCM)を用いたシステムでは100 kWh/m³程度のエネルギー密度と75~90%の効率を達成できるとされています 6。
投資回収期間の算出方法
岩石蓄熱システムの投資回収期間を算出するためのステップは以下の通りです:
年間便益の計算:
電力費用削減額 = (ピーク時電力価格 – オフピーク時電力価格) × 年間シフト電力量 × 変換効率
需給調整市場からの収入(調整力提供による)
CO₂排出削減による環境価値(排出権取引など)
他の副次的便益(熱供給による収入など)
単純投資回収期間:
単純投資回収期間 = 初期投資額 ÷ 年間便益
正味現在価値(NPV)の計算:
割引率を考慮した将来キャッシュフローの現在価値
内部収益率(IRR)の計算:
NPVをゼロにする割引率を求める
電気の熱量への換算において、蓄熱槽等の導入を検討する場合は9.76 MJ/kWh(全日平均)を使用することが推奨されています18。
経済的価値の最大化戦略
岩石蓄熱システムの経済的価値を最大化するための戦略としては、以下が考えられます:
複数の収益源の確保:
電力価格差を利用した裁定取引
アンシラリーサービスの提供(周波数調整など)
熱供給サービス
デマンドレスポンス市場への参加
規模の経済の活用:
適切な規模のシステム設計による単位容量あたりのコスト低減
既存インフラの有効活用(例:休廃止する火力発電所の転用)
政策支援の活用:
補助金や税制優遇措置の活用
環境価値の取引(J-クレジットなど)
技術実証の最新動向と事例研究
岩石蓄熱技術は現在、急速に開発が進んでおり、日本国内外で様々な実証プロジェクトが進行中です。ここでは、最新の技術実証動向と具体的な事例を紹介します。
国内の主要実証プロジェクト
1. 東芝ESS・中部電力の横浜事業所での実証実験
東芝エネルギーシステムズと中部電力は、2022年に熱容量約500キロワット時の岩石蓄熱システムの試験設備を開発し、株式会社東芝の横浜事業所内で本格的な技術開発・実証試験を行いました12。この試験は、環境省「令和4年度岩石蓄熱技術を用いた蓄エネルギー技術評価・検証事業委託業務」の一環として実施されました。この実証を通じて、岩石蓄熱技術の蓄放熱に関する熱特性データを取得し、蓄放熱予測手法が構築されました9。
2. 新東海製紙島田工場での実証プロジェクト
東芝ESS、中部電力、新東海製紙、静岡県島田市は、2024年11月に、新東海製紙の島田工場に岩石蓄熱およびエネルギーマネジメント技術を用いたプラントを設置し、技術実証を推進するための連携に基本合意しました9。
この実証プロジェクトでは:
国内初となる熱容量約10MWh級(約880世帯相当の1日分の電力使用量に相当)の岩石蓄熱エネマネ設備を設置9
島田工場内の電力を利用して電気ヒーターを稼働させ、その熱を岩石蓄熱材で構成する蓄熱槽に貯蔵9
貯蔵した熱は、東芝ESSのエネルギーマネジメント技術を活用し、最適なタイミングで工場で熱のまま利用するほか、電力に変換して使用9
余剰電力の活用に向けた岩石蓄熱エネマネ設備の運用性評価も実施予定9
本実証プロジェクトは環境省の令和6年度「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」に採択されています9。
3. 岡崎市での導入計画
岡崎市は、環境省の「脱炭素先行地域事業」において、2029年度までに岩石蓄熱エネマネ設備を導入し、当該設備由来の熱や電気を岡崎市内の住居や公共施設で活用する計画を進めています7。このプロジェクトは国内最大規模の熱容量となる岩石蓄熱エネルギーマネジメント設備の導入を目指しています。
国外の研究開発動向
1. デンマーク工科大学の水平型岩石床研究
デンマーク工科大学では、高温熱エネルギー貯蔵のための水平型岩石床の設計と試験が行われています16。この研究では:
450kWhの貯蔵容量を持ち、600℃での熱貯蔵が可能な岩石床を実験的に検証
浮力の影響と温度勾配に関する詳細な分析を実施
異なる充電電力、流れ概念、岩石床構成を検討し、充電相の効率を17%向上
最適な構成で約68%の熱ラウンドトリップ効率を達成
2. 国際的な岩石熱エネルギー貯蔵の研究レビュー
岩石熱エネルギー貯蔵(RTES)に関する最新の研究レビューによれば、この技術は熱(暖房/冷房)と発電の両方において最も費用対効果の高いエネルギー貯蔵方法の一つとされています4。
3. 米国エネルギー省の熱エネルギー貯蔵戦略
米国エネルギー省は2023年7月の報告書で、熱エネルギー貯蔵の多様な形態と可能性について言及しています5。固体媒体(粒子、コンクリート、グラファイト、岩石など)を用いた熱エネルギー貯蔵は非常に高温(>1,000°C)でも利用可能であり、溶融塩の腐食問題や低温凍結の懸念を克服するメリットがあると指摘しています。
技術実装の実例と効果
現在の岩石蓄熱技術は実証段階にあり、本格的な商業運用はこれからですが、以下のような導入効果が期待されています:
電力系統の安定化: 再エネの変動を吸収し、電力系統の安定化に貢献
再エネ導入拡大: 出力抑制の低減により、再エネ導入ポテンシャルを拡大
電力コストの削減: 電力価格の時間差を利用した経済的メリット
CO₂排出削減: 再エネの有効活用によるCO₂排出削減
エネルギー自給率向上: 地域のエネルギー自給率向上への貢献
島田市における実証プロジェクトでは、市内のエネルギー収支・CO₂削減効果に関するエネルギーマネジメントのシミュレーション検証も実施されており9、その結果は今後の岩石蓄熱技術の普及展開に重要な知見をもたらすでしょう。
岩石蓄熱システム導入プロセスのガイドライン
岩石蓄熱システムを導入するためのステップバイステップのプロセスを以下に示します。このガイドラインは、計画から運用開始までの一連のフローをカバーしています。
1. 事前調査・フィージビリティ検討
① エネルギー需給パターンの分析
電力消費パターンの調査(日変動、週変動、季節変動)
熱需要パターンの分析(温度レベル、量、時間分布)
再生可能エネルギー発電量の予測
② 立地条件の評価
地質条件の調査
設置スペースの確認
周辺環境・インフラの調査
③ 経済性・環境性の初期評価
概算導入コストの試算
運用コスト・便益の予測
CO₂削減効果の試算
投資回収期間の概算
2. 基本設計・詳細設計
① システム容量・仕様の決定
必要な熱容量の算定
運転温度範囲の決定
主要機器の選定(蓄熱槽、ヒーター、熱交換器など)
② 岩石材料の選定
熱特性に基づく最適な岩石種の選定
サイズ、形状の決定
調達計画の策定
③ 制御システムの設計
エネルギーマネジメントシステムの設計
監視・制御システムの構成
他システムとの連携設計
④ 詳細設計図書の作成
構造設計
電気設計
配管設計
制御設計
3. 許認可・規制対応
① 関連法規制の確認
建築基準法、消防法、電気事業法などの適合確認
環境アセスメント要件の確認
地域の条例への適合確認
② 許認可申請手続き
建築確認申請
電気工作物設置申請(該当する場合)
その他必要な許認可の取得
③ 地域との調整
住民説明会の開催
地域自治体との協議
周辺影響評価と対策
4. 調達・施工
① 調達プロセス
機器・材料の仕様策定
サプライヤーの選定
調達契約の締結
② 施工計画の策定
工程表の作成
安全管理計画の策定
品質管理計画の策定
③ 施工管理
工程管理
品質検査
安全管理
④ 試運転・性能確認
個別機器の動作確認
システム全体の動作確認
性能試験の実施
5. 運用開始・モニタリング
① 運用体制の構築
運転管理者の教育・訓練
運用マニュアルの整備
緊急時対応計画の策定
② 運用最適化
運転データの収集・分析
運用パラメータの最適化
定期的な性能評価
③ 定期メンテナンス計画の実施
点検項目・頻度の設定
予防保全の実施
消耗品の交換
岩石蓄熱技術の将来展望と発展方向性
岩石蓄熱技術は現在の実証段階から商業化へと進むにあたり、様々な技術的進化と応用拡大が期待されています。ここでは、この革新的技術の将来展望について考察します。
技術的進化の方向性
1. 効率向上への取り組み
岩石蓄熱技術のさらなる普及に向けた最大の課題は、現在40~50%程度とされる電気→熱→電気の変換効率の向上です10。以下の技術開発により、この効率を改善する取り組みが進行中です:
高温対応材料の開発: より高温での運転を可能にする耐熱材料の開発
熱交換効率の向上: 蓄熱媒体と熱交換流体間の熱伝達を最適化する技術
断熱性能の向上: 熱損失を最小化する高性能断熱技術
高効率発電サイクルとの統合: 超臨界CO₂サイクルなど高効率熱-電気変換技術の統合
2. システム統合と多目的利用
単なるエネルギー貯蔵から、多様な目的に対応する統合システムへの発展が期待されます:
セクターカップリング: 電力・熱・交通など異なるエネルギーセクターの連携
多段階温度利用: カスケード利用による総合効率の向上
熱電併給システム: 電力と熱の両方を効率的に供給するコジェネレーションとの統合
地域エネルギーシステムとの連携: 地域全体のエネルギー最適化への貢献
3. デジタル技術との融合
次世代の岩石蓄熱システムは、高度なデジタル技術との融合により、さらに高度化していくでしょう:
AI・機械学習による運用最適化: 気象予測、電力需要予測、市場価格予測に基づく運用
デジタルツイン技術の活用: 仮想モデルによるリアルタイムシミュレーションと最適制御
IoTセンサーによる状態監視: 蓄熱槽内部の温度分布や劣化状態のリアルタイムモニタリング
ブロックチェーン技術の応用: P2Pエネルギー取引や環境価値の証明
市場展開と産業応用
1. 産業分野での展開
岩石蓄熱技術は、特に以下の産業分野での応用が期待されています:
製紙業: 新東海製紙での実証のように、製紙プロセスの熱需要に対応
食品加工業: 殺菌、乾燥、調理などの熱プロセスへの応用
化学産業: 反応熱や蒸留プロセスへの熱供給
金属加工業: 熱処理プロセスへの応用
繊維産業: 乾燥工程や染色工程への熱供給
2. 地域エネルギーシステムとしての展開
岡崎市の事例7のように、地域のエネルギーインフラとしての展開も見込まれています:
地域熱供給システム: 地域の建物群への熱供給
マイクログリッド: 地域単位での自立型エネルギーシステム
再エネ導入拡大の加速: 地域の再エネポテンシャル最大化への貢献
災害時のレジリエンス強化: 非常時のエネルギー供給源としての機能
3. ビジネスモデルの進化
技術の成熟に伴い、新たなビジネスモデルも生まれると予想されます:
エネルギーサービス(EaaS): 所有ではなくサービスとしての提供
アグリゲーションビジネス: 複数設備の統合制御によるVPP(仮想発電所)として活用
P2Pエネルギー取引: 蓄えたエネルギーの個人間取引プラットフォーム
アンシラリーサービス参入: 電力系統の調整力市場への参加
政策と規制の展望
岩石蓄熱技術の普及には、適切な政策・規制環境の整備も不可欠です:
1. 支援政策の進化
技術開発支援: R&D段階から実証、商用化までの一貫した支援
初期導入補助: 初期コスト低減のための補助金制度
税制優遇: 設備投資に対する税制上のインセンティブ
2. 規制フレームワークの整備
系統接続ルール: 蓄エネルギー設備の系統接続に関する規定の整備
安全基準の策定: 岩石蓄熱特有の安全基準の策定
ガイドラインの整備: 設計・運用に関する標準的ガイドラインの整備
環境省の「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」のような支援事業9を活用しながら、技術の成熟と普及が進んでいくでしょう。
結論:岩石蓄熱技術がもたらすエネルギー転換の可能性
本記事では、「岩石蓄熱」技術の概念から設計・導入ガイドライン、最新の技術動向まで幅広く解説してきました。ここでその可能性と今後の展望について総括します。
岩石蓄熱技術の総合評価
岩石蓄熱技術は、再生可能エネルギーの導入拡大に伴う電力需給ギャップ解消の有力な解決策として注目される技術です。その主な優位性として:
環境性: 自然素材である岩石を利用し、レアメタルを必要としない環境親和性
経済性: 安価な蓄熱材料による長期的なコスト優位性
設備信頼性: 単純な技術原理による高い耐久性と長寿命
拡張性: 大規模蓄エネルギーへの適応性
これらの特性は、特に長時間・大容量のエネルギー貯蔵が必要とされる場面で他の蓄エネルギー技術に対して競争力を持ちます。
一方で、現時点では:
変換効率の向上
応答速度の改善
実証事例の蓄積
コスト低減
といった課題に取り組む必要があります。
社会実装に向けた提言
岩石蓄熱技術の社会実装を加速するために、以下の取り組みが推奨されます:
実証プロジェクトの拡大: 多様な用途・規模での実証を進め、技術の信頼性と有効性を立証する
標準化の推進: 設計・施工・運用に関する標準・ガイドラインの整備
人材育成: 設計・施工・運用に携わる技術者の育成
ファイナンスモデルの確立: 初期投資を軽減する資金調達スキームの開発
政策的支援の拡充: 研究開発から社会実装までの一貫した支援体制の構築
岩石蓄熱がもたらす未来のエネルギーシステム
岩石蓄熱技術が広く社会実装された未来のエネルギーシステムでは、以下のような変革が期待されます:
再エネ主力電源化の加速: 変動する再エネの課題を解決し、主力電源化を実現
地域分散型エネルギーシステムの普及: 地域特性に合わせた自律分散型エネルギーシステムの構築
産業プロセスの脱炭素化: 産業用熱需要の脱炭素化を促進
セクターカップリングの促進: 電力・熱・交通等の異なるエネルギーセクターの統合
岩石蓄熱技術は、単なる電力貯蔵装置を超えて、エネルギー転換と脱炭素化を加速する重要な技術として、今後さらなる発展が期待されます。東芝ESS、中部電力、新東海製紙、静岡県島田市による国内初の本格的な実証プロジェクト9の成果が、この技術の将来を大きく左右するでしょう。
最後に、日本におけるエネルギー転換を確実に進めるためには、岩石蓄熱のような革新的技術の開発・普及と併せて、太陽光発電や蓄電池などとの統合的な導入検討が重要です。そのためには、エネがえるのような専門的なシミュレーションツールを活用した精緻な経済性評価が、投資判断の精度向上に大きく貢献するでしょう。
出典
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