目次
- 1 2026~2028年の住宅用・産業用太陽光FIT・FIP制度はどうなる?2026・2027の確定値と2028年の見通しを公式資料で整理
- 2 2026~2028年のFIT/FIP、先に結論
- 3 この記事が向いている人
- 4 2026・2027の確定値を一覧で見る
- 5 まず押さえたい制度の読み替え
- 6 「7円」「8.41円」「24円」は何が違うのか
- 7 2028年の見通しは、数表よりも制度の方向で読む
- 8 制度算定の前提も見ておくと、2027以降の方向が読みやすい
- 9 なぜ今、支援の形が変わるのか
- 10 実務への示唆
- 11 この記事の試算前提
- 12 計算チェック済みポイント
- 13 数字がぶれる条件
- 14 FAQ
- 15 まとめ
- 16 関連記事
- 17 参考資料・出典
2026~2028年の住宅用・産業用太陽光FIT・FIP制度はどうなる?2026・2027の確定値と2028年の見通しを公式資料で整理
2026~2028年の太陽光FIT/FIP制度を、住宅用・屋根設置・地上設置に分けて整理。2026・2027の確定値と2028年の未確定部分を分けて、いま本当に読むべき論点だけを公式資料ベースで解説します。

・想定読者: 住宅用販売施工店、法人需要家、産業用太陽光の提案担当、PPA/開発事業者、自治体・公共施設担当
・この記事の要点3つ:
- 住宅用10kW未満と屋根設置10kW以上は、2027年度も初期投資支援スキーム継続。
- 地上設置10kW以上は、2027年度以降FIT/FIP支援対象外。
- 2028年度の具体単価は未決定で、現時点は制度シナリオとして読むべき。
2026~2028年のFIT/FIP、先に結論
2026年3月時点で、2026年度と2027年度の制度の骨格はかなり明確です。住宅用太陽光(10kW未満)は2027年度も初期投資支援スキームが継続し、1~4年目24円/kWh、5~10年目8.3円/kWhが基準になります[1][2]。事業用太陽光のうち屋根設置(10kW以上)も2027年度まで同様の考え方が維持され、1~5年目19円/kWh、6~20年目8.3円/kWhが基準です[1][2]。
一方で、地上設置の事業用太陽光は見方を切り替える必要があります。2026年度は10~50kW未満が9.9円/kWh、50kW以上250kW未満が9.6円/kWh、250kW以上はFIP入札の上限価格9.6円ですが、2027年度以降は地上設置がFIT/FIP支援対象外というのが現時点の公式整理です[1][3]。
つまり、2028年を論じるときに重要なのは「細かい単価を当てにいくこと」ではありません。住宅用と屋根設置はどこまで支援が残るのか、地上設置は支援後の収益モデルをどう組むかに論点が移っています。この記事では、2026・2027の確定値と、2028年の見通しを分けて整理します。
この記事が向いている人
- 2026~2028年に住宅用太陽光の提案や導入を検討している方
- 工場、倉庫、店舗、自治体施設などの屋根設置太陽光を検討している法人担当者
- 野立て太陽光の開発、PPA、FIP移行、非FIT案件の組成を考える事業者
- 営業提案で「2028年の単価はどうなるのか」と聞かれ、公式ベースで答えたい方
逆に、既存認定案件の変更認定、営農型太陽光の個別要件、沖縄・離島の特例、税務申告実務を詳しく知りたい場合は、このページだけでは足りません。ここでは新規認定を前提に、住宅用、屋根設置、地上設置の制度の読み方を整理します。
2026・2027の確定値を一覧で見る
| 区分 | 2026年度 | 2027年度 | 2028年の読み方 |
|---|---|---|---|
| 住宅用太陽光(10kW未満) | 初期投資支援スキーム 1~4年目 24円 / 5~10年目 8.3円 |
初期投資支援スキーム継続 | 未告示。2029年度から支援期間短縮適用開始が基本という委員会意見あり |
| 事業用太陽光(屋根設置・10kW以上) | 初期投資支援スキーム 1~5年目 19円 / 6~20年目 8.3円 |
初期投資支援スキーム継続 | 未告示。支援重点化が続く有力候補 |
| 事業用太陽光(地上設置・10kW以上50kW未満) | 9.9円 | FIT/FIP支援対象外 | 現時点の制度線では新規FIT/FIP支援なし |
| 事業用太陽光(地上設置・50kW以上250kW未満) | 9.6円 | FIT/FIP支援対象外 | 現時点の制度線では新規FIT/FIP支援なし |
| 事業用太陽光(地上設置・250kW以上) | FIP入札(上限価格9.6円) | FIT/FIP支援対象外 | 現時点の制度線では新規FIT/FIP支援なし |
ここでのポイントは三つです。第一に、住宅用と屋根設置は2027年度も継続。第二に、地上設置は2026年度が最後の支援年度。第三に、250kW以上は単純なFIT単価ではなくFIP入札の上限価格で見るということです[1][2][3]。
まず押さえたい制度の読み替え
住宅用は「2028年に終わる」ではなく、「2029年度から支援期間短縮が基本」という理解が近い
住宅用太陽光については、2027年度も2026年度想定を維持する公式整理になりました。そのうえで委員会意見では、支援期間の短縮は2029年度に適用開始することを基本とすると整理されています[2][3]。したがって、2028年度の新規制度を現時点で断定するのは早い一方、2028年が現行階段型スキームの終盤にあたる可能性は高いと読むのが自然です。
屋根設置は「産業用全部」ではなく、支援重点化の中心候補
事業用太陽光の中でも屋根設置は、系統負荷が小さく、地域共生しやすく、自家消費にもつながりやすいという理由から、2026・2027年度も想定値を据え置く整理になっています[2]。地上設置と一緒に語ると制度の方向性を誤ります。
地上設置は「単価が少しずつ下がる」フェーズではなく、「支援後の案件組成」フェーズに入る
地上設置は2027年度以降、FIT/FIP制度における支援対象外です[1][3]。したがって、2028年度の地上設置については、FIT単価を予想するよりも、自家消費、相対PPA、FIP入札卒業後のマーケット連動収益をどう設計するかの方が重要になります。
「7円」「8.41円」「24円」は何が違うのか
太陽光の制度記事で最も混乱しやすいのが、発電コスト目標、期待価格水準、告示価格を一緒に扱ってしまうことです。ここは分けて読む必要があります。
24円/8.3円、19円/8.3円は、いま使う告示価格の話
これは住宅用と屋根設置に実際に設定されている初期投資支援スキームの価格です。提案書や案件判断でまず参照すべきなのはこの層です[1][2]。
14.69円、14.43円、11.41円、8.41円は「期待価格水準」の話
これは委員会が各年度の到達目安として示している参考値で、住宅用は2025年度14.96円、2026年度14.69円、2027年度14.43円、屋根設置は11.41円、事業用太陽光は8.41円と整理されています[4]。告示価格そのものではなく、制度の着地イメージを見るための値です。
7円/kWhは、事業用太陽光の発電コスト目標の話
さらに上流の政策議論では、事業用太陽光は2028年に発電コスト7円/kWh、特に費用効率的な案件は5円/kWh、住宅用は売電価格が卸電力市場価格並みという目標が示されています[5]。これは「明日から告示価格が7円になる」という意味ではありません。
実務で使う順番は、告示価格を見る、次に期待価格水準で制度の方向を読む、最後にコスト目標で中期戦略を考える、です。
2028年の見通しは、数表よりも制度の方向で読む
住宅用太陽光の2028年
2028年度の住宅用太陽光の調達価格は、2026年3月時点ではまだ告示されていません。したがって、2028年度を24円、22円、20円のように数表で断定するのは避けるべきです。ただし、2027年度まで現行スキーム維持、2029年度に支援期間短縮開始を基本とする委員会意見、調達期間終了後の売電価格想定10.0円/kWhという前提を合わせると、2028年度は現行スキームから短縮スキームへ移る直前の調整年として読むのが妥当です[2][3]。
屋根設置の2028年
屋根設置も2028年度の具体単価は未定です。ただ、2026・2027年度は想定値据え置きとされ、委員会資料でも「比較的地域共生しやすく、系統負荷の小さい屋根設置の活用促進」が明示されています[2]。したがって、2028年は単価が即ゼロになるというより、支援を残すなら屋根設置のような需給近接型に寄せるという政策方向の中で読む方が実務的です。
地上設置の2028年
地上設置はもっと明快です。2027年度以降、FIT/FIP制度の支援対象外という整理が先にあります[1][3]。したがって、2028年の新規案件は、少なくとも現時点の制度線では非FIT・非FIPを含むマーケット前提で考えるのが基本です。ここは「いくらになるか」ではなく、「何を前提に収支を組むか」が論点です。
制度算定の前提も見ておくと、2027以降の方向が読みやすい
2026・2027年度の住宅用太陽光では、調達期間終了後の売電価格想定は10.0円/kWhで、2025年12月時点で確認できた各小売電気事業者の買取メニューの平均値は10.0円/kWh、中央値は9.5円/kWhでした[2]。また、自家消費分の便益の想定は住宅用27.31円/kWh、屋根設置19.56円/kWhです[2][4]。
この前提を見ると、政策側が見ているのは「FITが切れた瞬間に収入がゼロになる世界」ではありません。卒FIT後の売電と自家消費を組み合わせてもなお投資回収できるかという目線です。住宅用で支援期間短縮の議論が出てくるのも、この前提があるからです。
なぜ今、支援の形が変わるのか
理由はシンプルです。再エネ導入は引き続き増やしたい一方で、国民負担の上振れを抑える必要があるからです。2026年度の再エネ賦課金単価は4.18円/kWhで、400kWh/月の一般的な需要家モデルでは月額1,672円、年額20,064円の負担とされています[1]。
そのため、政策は「太陽光を一律に支援する」段階から、「地域共生しやすく、系統負荷が小さく、自家消費に結び付きやすい類型へ支援を重点化する」段階に移っています。屋根設置が残り、地上設置が先に支援対象外になるのは、この文脈で理解すると腑に落ちます[2][3]。
実務への示唆
住宅営業では、2027年までは「初期回収」、2028年以降は「自家消費価値」が主語になる
2027年度までは、24円/8.3円の初期投資支援スキームを前提に、早期回収を説明しやすい期間です。ただし、制度の方向はすでに支援期間短縮へ向いています。提案も、売電だけでなく、自家消費、蓄電池、給湯器、EV・V2Hまで含めて組み立てた方が強くなります。
法人屋根では、単価よりも「屋根が制度上有利な類型」であることを押さえる
工場、倉庫、店舗、自治体施設の屋根は、2026・2027で制度が残る側です。自己所有、オンサイトPPA、リースの比較では、売電収入だけでなく、電気料金削減と設備更新時期を同時に見た方が判断を誤りにくくなります。
地上設置では、2026年案件と2027年以降案件を混ぜない
ここは重要です。2026年度認定を取りに行く案件と、2027年度以降に組成する案件では、前提制度が別物です。収益モデル、金融機関への説明、PPA先の取り方まで変わります。同じ表で並べて比較すると判断を誤ります。
需要家や自治体は、「2028年の単価予想」より「自社条件での経済性」を見た方がよい
2028年の細かい単価を言い切る記事より、現在の公式制度と自社の消費パターンでどこまで回るかをシミュレーションする方が、意思決定には有効です。制度は毎年動きますが、電力消費構造と自家消費余地は案件固有だからです。
この記事の試算前提
- 住宅用の加重平均参考値は、24円×4年と8.3円×6年から 14.58円/kWh とした。
- 屋根設置の加重平均参考値は、19円×5年と8.3円×15年から 10.98円/kWh とした。
- 2028年度の具体単価は未告示のため、単価予測表は置かず、制度シナリオとして記述した。
- 住宅用10kW未満と10kW以上の区分は、税の扱いが同一ではないため、横比較では税基準をそろえる前提で読む。
計算チェック済みポイント
- 住宅用、屋根設置、地上設置を同一カテゴリとして混ぜていない。
- 2026年度の地上設置50kW以上250kW未満は、旧稿の8.6円ではなく9.6円へ修正した。
- 2027年度以降の地上設置は、単価予測ではなく支援対象外として整理した。
- 7円/kWh、8.41円/kWh、24円/kWhを別概念として分離した。
数字がぶれる条件
- 2028年度の具体単価は、今後の調達価格等算定委員会の議論で変わり得る。
- 卒FIT後の売電価格メニューは、小売電気事業者ごとの条件差が大きい。
- 自家消費価値は、電気料金プラン、蓄電池併設、給湯器やEVの有無で変わる。
- 税の扱いをそろえずに横比較すると、見かけの差が過大にも過小にも見える。
FAQ
Q1. 2027年度の住宅用FITは24円/8.3円のままですか。
A. 2026年3月時点の公式整理では、2027年度も初期投資支援スキームが維持されています。ただし、2028年度以降の細部は未告示で、住宅用は2029年度に支援期間短縮開始を基本とする委員会意見が出ています。したがって、「2027は現行継続、2028は未確定、2029は短縮方向」と押さえるのが正確です[1][3]。
Q2. 2028年度の住宅用FITはもう決まっていますか。
A. 決まっていません。2026・2027は制度が見えていますが、2028の具体単価は未告示です。したがって、2028年度の単価を断定的に並べる記事は、現時点では注意して読むべきです。
Q3. 地上設置の太陽光は2028年にいくらで売れるのですか。
A. 新規のFIT/FIP支援単価を問うなら、現時点の公式整理では、地上設置は2027年度以降支援対象外です[1][3]。したがって、2028年はFIT単価ではなく、PPA、相対取引、自家消費、マーケット連動の前提で収支を考えるべきです。
Q4. 7円/kWhと8.41円/kWhと24円/kWhは同じ意味ですか。
A. 同じではありません。7円/kWhは事業用太陽光の発電コスト目標、8.41円/kWhは期待価格水準、24円/kWhは住宅用初期投資支援スキームの告示価格です[1][4][5]。
Q5. 価格は税込みですか、税抜きですか。
A. ここは要注意です。資源エネルギー庁の整理では、10kW未満太陽光と10kW以上のFIT/FIPでは価格の扱いが同じではありません[6]。さらに申請実務では、10kW未満太陽光について税抜き換算での記入ルールもあります[7]。営業資料や比較表では、必ず税基準を揃えてください。
Q6. いま営業提案で何を強調すべきですか。
A. 住宅用なら2027年度までは初期回収の前倒し、法人屋根なら制度上の優位性、地上設置なら2027年度以降の支援後モデルです。共通して大事なのは、単価だけでなく、自家消費率、電力料金、PPA条件まで落とした比較です。
まとめ
2026~2028年の太陽光FIT/FIPを読むうえで、いま最も大切なのは「2026・2027の確定値」と「2028の未確定部分」を分けることです。住宅用と屋根設置は2027年度まで制度継続。地上設置は2027年度以降、支援対象外。2028年は、住宅用と屋根設置がどこまでソフトランディングできるかを見る年です。
提案や投資判断で迷いやすいのは、制度の話と案件条件の話が混ざるときです。制度が見えたら、次は案件ごとの自家消費率、電力料金、余剰売電、PPA条件まで落として比較する段階です。
関連記事
参考資料・出典
- 経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」(2026年3月19日)
- 資源エネルギー庁「太陽光発電について」(2026年1月)
- 調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」(2026年2月5日)
- 資源エネルギー庁「国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案」(2025年10月)
- 資源エネルギー庁「国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案」(2024年10月)
- 資源エネルギー庁「過去の買取価格・期間等|FIT・FIP制度」
- 資源エネルギー庁「よくある質問|FIT・FIP制度」
注記:2028年度の具体単価は現時点で未告示です。本記事では、2026年3月24日時点で確認できる公式資料に基づき、2026・2027は確定値、2028は制度シナリオとして整理しています。



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