なぜ今「蓄電池」が国家戦略の核なのか – 2025年のエネルギー地政学と日本の岐路

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国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

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むずかしいエネルギー診断をカンタンにエネがえる
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目次

なぜ今「蓄電池」が国家戦略の核なのか – 2025年のエネルギー地政学と日本の岐路

2025年10月、世界のエネルギー地図は静かに、しかし劇的に書き換えられつつある。かつてエネルギー安全保障が意味したのは、中東からの石油タンカーの航路を守り、液化天然ガス(LNG)の長期契約を確保することであった。しかし、ウクライナ危機が露呈させた化石燃料市場の脆弱性 1、そしてCOP28で世界が合意した野心的な気候目標の達成という二重の圧力は、安全保障の定義そのものを根本から変容させた 2現代における真のエネルギー安全保障とは、もはや燃料の「量」の確保ではない。それは、変動する再生可能エネルギーを国内の電力システムにいかに安定的に統合し、制御できるかという「システム安定性」の確保に他ならない。

この新しい時代の要請に対し、日本は「脱炭素」「エネルギー安全保障」「経済成長」という三重の課題、すなわちエネルギー・トリレンマの克服という難題に直面している。この複雑に絡み合った方程式を解く鍵、それが電力系統の「柔軟性(フレキシビリティ)」の確保である。そして、この柔軟性を時間と場所の制約を超えて提供できる最も強力な技術的選択肢こそが「蓄電池」なのだ。

本稿の目的は、単に蓄電池の技術や市場を概説することではない。国際エネルギー機関(IEA)、世界銀行、日本エネルギー経済研究所(IEEJ)をはじめとする、世界トップ50以上の研究機関、シンクタンク、政府機関、コンサルティングファームの最新の知見を網羅的かつ構造的に統合する 4。そして、そのグローバルな視座から日本のエネルギーシステムが抱える根源的な課題を白日の下に晒し、日本の政策立案者およびエネルギー企業の経営層が取るべき次の一手を、具体的かつ実践的に提示することにある。

20世紀のエネルギー安全保障が石油備蓄を戦略的資産としたように、21世紀のそれは蓄電池の導入量と国内製造基盤が国家の命運を左右する。本稿は、その未来に向けた羅針盤となるべく、世界の叡智を結集したインテリジェンス・レポートである。

第1章:世界蓄電池競争の最前線 – 5大経済圏の戦略と市場動向の徹底比較

蓄電池市場は、もはやニッチな技術分野ではない。世界の主要経済圏が覇権を争う、地政学的な競争の主戦場と化している。ここでは、5つの主要経済圏の戦略を比較分析し、日本が立つべきポジションを明らかにする。

1.1. マクロ分析:指数関数的に成長する世界市場とその牽引役

世界のバッテリーエネルギー貯蔵市場は、驚異的な速度で拡大している。複数の調査機関が一致して、2030年に向けて年率平均成長率(CAGR)が20%近い成長を遂げると予測している 12市場規模は2030年までに1200億ドルから1500億ドルに達する見込みであり、これは2022年の投資額50億ドルから実に3倍近い増加である 14

この爆発的な成長の背景には、太陽光や風力といった変動性再生可能エネルギー(VRE)の導入拡大という、世界共通のメガトレンドがある。VREは発電時にCO2を排出しないクリーンな電源だが、天候に左右されるため出力が不安定である。この不安定さを吸収し、電力の安定供給を維持するために、電力システム全体の柔軟性を高める必要があり、その最も有力なソリューションが蓄電池なのである。

国際的なエネルギー調査機関であるブルームバーグNEF(BNEF)の予測によれば、世界のエネルギー貯蔵設備の累積導入量は、2030年までに1,028 GWhに達する見込みだ。これは2020年の34 GWhと比較して、わずか10年で20倍以上に増加することを意味する 15。この巨大な市場を巡り、各国の政策と産業が激しく火花を散らしている。

1.2. 米国:インフレ削減法(IRA)がもたらした「市場創造」の衝撃

2022年に米国で成立したインフレ削減法(IRA)は、世界の蓄電池市場のゲームのルールを根底から変えた。IRAの核心は、クリーンエネルギー技術の導入と国内製造に対して、前例のない規模の投資税額控除(ITC)を提供する点にある。特に画期的だったのは、従来は太陽光発電などに併設される場合に限定されていた蓄電池への税額控除を、蓄電池を単独で設置する「スタンドアロン型」のプロジェクトにも適用したことだ 3

このシンプルな政策変更が、強力な投資インセンティブとして機能した。これまで事業採算性の確保が難しかった大規模な系統用蓄電池プロジェクトへの投資が爆発的に増加し、米国は中国と並ぶ世界最大の蓄電池市場へと躍り出た。実際に、6 GWhを超えるようなギガワット級の巨大プロジェクトが次々と計画・実行されている 14。IRAは単なる補助金ではない。明確で長期的な税制優遇というシグナルを市場に送ることで、民間の投資を呼び込み、国内に巨大な需要を創出し、それに応える形で製造サプライチェーンの構築を促すという、巧みな「市場創造」戦略なのである。

1.3. 欧州・北欧:「再エネ先進地帯」の経験から学ぶ市場設計と系統運用

欧州、特にドイツや北欧諸国は、再生可能エネルギーの導入において世界をリードしてきた。その経験は、蓄電池の役割と最適な導入タイミングについて、貴重な示唆を与えてくれる。

ドイツの著名なシンクタンクであるアゴラ・エナギーヴェンデ(Agora Energiewende)は、かつて「再エネ比率が60%程度に達するまでは、蓄電池を大規模に導入するよりも、デマンドレスポンスや国際連系線の活用、柔軟な火力発電の運用といった他の柔軟性対策の方がコスト効率的である」との分析を示していた 17。これは、蓄電池導入の前提として、まず既存システムの柔軟性を最大限に引き出す市場設計が重要であることを物語っている。

しかし、近年、特に太陽光発電の導入が想定を上回るペースで進んだ結果、電力価格の変動(ボラティリティ)が急激に増大した。日中の電力価格がマイナスになる一方、夕方のピーク時には価格が高騰するという現象が頻発し、これが蓄電池による電力の裁定取引(アービトラージ)のビジネスチャンスを劇的に拡大させている 19

一方、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドといった北欧諸国は、その広大な国土と水資源を活かし、巨大な水力発電所を「天然の蓄電池」として活用してきた 21。これらの国々では、水力発電という既存の巨大なエネルギー貯蔵能力と、新たに導入される蓄電池を組み合わせることで、地域全体のエネルギーシステムの安定性と柔軟性を極めて効率的に高めるという、先進的な取り組みが進められている。例えば、デンマークのボーンホルム島やスウェーデンのランズクルーナで進められている具体的な蓄電池プロジェクトは、系統安定化に大きく貢献している 21。北欧の戦略は、既存のエネルギー資産と新しい技術をいかに最適に統合するかという、システム全体の視点を持つことの重要性を示している 22

1.4. 中国:市場支配の光と影 – サプライチェーンの地政学リスク

世界の蓄電池市場、特にグリッドスケール蓄電池の導入量において、中国は米国と並ぶ、あるいはそれ以上のリーダーとなっている。2022年には年間で約5 GWのグリッドスケール蓄電池を導入し、世界市場を牽引した 3

中国の強さの源泉は、国家主導の強力な産業政策に支えられた圧倒的な製造能力とコスト競争力にある。特に、定置用蓄電池の主流となりつつあるLFP(リン酸鉄リチウム)電池の分野では、世界のサプライチェーンを支配していると言っても過言ではない。しかし、この一極集中は、日本や欧米諸国にとって深刻な地政学リスクを意味する。バッテリーの主要材料であるリチウムやコバルト、ニッケル、グラファイトといった重要鉱物の精錬・加工プロセスにおいても中国が極めて高いシェアを握っており、サプライチェーンの脆弱性は国家のエネルギー安全保障を揺るがしかねない課題となっている 3

1.5. ASEAN・中東:新たなエネルギーハブの台頭と日本の商機

経済成長が著しいASEAN諸国では、電力需要が急増しており、従来の化石燃料による大規模集中型電源だけでは対応が困難になりつつある。そのため、太陽光発電と蓄電池を組み合わせた分散型エネルギーシステムへの移行が、経済成長と脱炭素を両立させるための鍵として注目されている。しかし、各国の規制や市場環境は複雑であり、事業開発には高度な専門知識が求められるため、エネルギー分野のコンサルティング需要が非常に高まっている 23

一方、サウジアラビアやUAEといった中東の主要産油国は、化石燃料への依存から脱却し、経済を多角化するための国家戦略の柱として、再生可能エネルギーとエネルギー貯蔵に巨額の投資を行っている。アブダビの技術革新研究所(TII)やサウジアラビアのアブドラ国王石油調査研究センター(KAPSARC)といった研究機関が主導し、太陽光発電と蓄電池の導入、さらにはグリーン水素の製造や、排出された炭素を再利用・貯留する循環型炭素経済(Circular Carbon Economy: CCE)の構築を国家レベルで推進している 11。これらの地域は、未来のクリーンエネルギーハブとなるポテンシャルを秘めており、日本の技術や知見が貢献できる大きなビジネスチャンスが存在する。

世界の動向を俯瞰すると、技術力そのものだけでなく、それを社会に実装するための「市場設計力」と「政策実行のスピード」こそが、蓄電池競争の勝敗を分ける決定的な要因であることがわかる。米国のIRAは、技術に偏らない公平な税額控除というシンプルなルールで巨大な市場を創り出した。欧州は、炭素価格と精緻な市場ルールを通じて、電力システムの柔軟性が持つ経済的価値を顕在化させた。これらの事例は、蓄電池の価値が、電池単体の性能ではなく、それが置かれる制度的・市場的環境によって大きく左右されるという本質を示している。日本の政策は、個別の実証事業や補助金に留まりがちで、市場全体に明確な投資シグナルを送るという点で、欧米に後れを取っていると言わざるを得ない。

表1:5大経済圏における蓄電池の導入目標と主要政策の比較(2025年時点)

地域/国 2030年導入目標(推定) 主要な政策/インセンティブ 政策の特徴 サプライチェーン戦略
米国 100 GW以上(各種予測) インフレ削減法(IRA) 大規模な投資税額控除(ITC)による強力な需要創出 国内生産に対する生産税額控除(PTC)
欧州連合 約200 GW(REPowerEU計画) Green Deal Industrial Plan, Net-Zero Industry Act 規制と市場ルールによる柔軟性価値の顕在化 重要原材料法(CRMA)による資源確保とリサイクル強化
北欧 -(各国目標) 水力との統合、共通市場(FFR) 既存資産(水力)と新技術(蓄電池)のシステム最適化
中国 30 GW以上(2025年目標) 国家発展改革委員会(NDRC)の指導 国家主導の産業政策による大規模な国内市場形成 重要鉱物の精錬・加工における圧倒的シェア
日本 150 GWh(国内生産能力目標) 蓄電池産業戦略、各種補助金 供給側(製造基盤)への支援が中心 特定重要物資指定による国内投資支援
中東(UAE/KSA) -(国家戦略に基づく) 国家ビジョン(Vision 2030等) 国家主導の巨大プロジェクトによるトップダウン型導入 グリーン水素等、次世代エネルギーとの連携

第2章:技術の最前線 – 次世代電池と長時間エネルギー貯蔵(LDES)の覇権争い

蓄電池技術は日進月歩で進化している。現在市場を席巻するリチウムイオン電池の内部では熾烈な主導権争いが繰り広げられ、その先には「ポスト・リチウム」を見据えた次世代技術が控える。さらに、電力システムの未来を左右する長時間エネルギー貯蔵(LDES)という新たなフロンティアも姿を現した。日本の技術戦略は、この多層的な技術競争をどう勝ち抜くべきか。

2.1. リチウムイオン電池の深化:LFP対NMC、コストと性能の最適解

現在、リチウムイオン電池の市場は、主に2つの異なる正極材技術によって構成されている。一つは、EV(特に高性能車)で広く採用されてきたNMC(ニッケル・マンガン・コバルト)系電池。もう一つは、近年急速にシェアを拡大しているLFP(リン酸鉄リチウム)系電池である。

NMC系はエネルギー密度が高く、一度の充電でより長い距離を走行できるという利点がある。一方、LFP系は、高価で資源リスクのあるコバルトを使用しないため、コストが安く、熱暴走のリスクが低く安全性が高い。さらに、充放電を繰り返しても劣化しにくい、すなわちサイクル寿命が長いという特徴を持つ 14

かつては定置用蓄電池や低価格帯EV向けと見なされていたLFPだが、技術改良によってエネルギー密度も向上し、今や定置用蓄電池市場の主役に躍り出ようとしている。調査会社のWood Mackenzieは、2030年までに定置用蓄電池市場におけるLFPのシェアが30%を超えると予測しており 31、BNEFも同様のトレンドを指摘している 15。この背景には、コストと安全性を最重要視する電力系統用のニーズとLFPの特性が完全に合致したことがある。ドイツのフラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所(ISE)などの世界的な研究機関は、こうした材料レベルの改良から、電極の製造プロセス、セルの組み立て技術に至るまで、リチウムイオン電池全体の性能向上とコスト削減に向けた研究開発を精力的に進めている 32

2.2. ポスト・リチウムへの探求:ナトリウムイオン、全固体電池の実用化ロードマップ

リチウムイオン電池の性能が限界に近づく中、研究者の目は「ポスト・リチウム」技術へと向けられている。その中でも特に注目されるのが、ナトリウムイオン電池と全固体電池だ。

  • ナトリウムイオン電池: 地球上に豊富に存在するナトリウムを利用するため、リチウムのような資源制約がなく、LFPよりもさらに低コスト化できる可能性がある 14。エネルギー密度やサイクル寿命ではリチウムイオン電池に劣るものの、大規模な定置用蓄電池として、コストを武器に市場の一角を占める可能性を秘めている。

  • 全固体電池: 電池内部の電解質を、可燃性の液体から不燃性の固体に変えることで、安全性とエネルギー密度を飛躍的に向上させることが期待される「究極の電池」である 35。しかし、製造コストの高さや、充放電に伴う電極と電解質の界面の劣化といった技術的課題が残されており、本格的な実用化は2030年代以降と見る専門家が多い。ただし、韓国は2027年の商用化を目指すなど、開発競争は激化している 37

このほか、フラウンホーファーISEでは、水系の電解質を用いることで安全性と環境適合性を高めた亜鉛イオン電池の研究開発も進められており 38、多様な技術シーズが次のブレークスルーを狙っている。

2.3. 長時間エネルギー貯蔵(LDES)の勃興:なぜ「8時間以上の壁」を越える必要があるのか

再生可能エネルギーの導入比率が50%を超え、主力電源となる時代には、電力システムの様相は一変する。数時間単位の昼夜の変動だけでなく、曇りや雨、無風状態が数日間続く「dunkelflaute(暗い無風)」と呼ばれる状況への備えが不可欠となる。現在主流のリチウムイオン電池(持続時間2~4時間程度)では、このような数日間にわたる電力不足をカバーすることはできない

この「8時間以上の壁」を越えるため、長時間エネルギー貯蔵(Long-Duration Energy Storage: LDES)と呼ばれる新しいカテゴリーの技術が急速に注目を集めている 39。LDES評議会(LDES Council)のレポートによれば、2040年までに世界の電力システムがネットゼロを達成するためには、85~140 TWhという膨大な量のLDESが必要になると試算されている 41

LDESには多様な技術が存在し、主に以下の4つに分類される 39

  1. 機械式: 揚水発電、圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)、重力式など。

  2. 熱式: 溶融塩やレンガなどに熱としてエネルギーを蓄える。

  3. 化学式: 水を電気分解して水素を製造し、貯蔵する。

  4. 電気化学式: 亜鉛ハイブリッドカソード電池やフロー電池など、リチウムイオンとは異なる原理の電池。

ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)は、特に中東(GCC)地域において、豊富な太陽光資源を最大限に活用するためにLDESが果たす戦略的な役割を分析している 44。LDESは、電力システムの安定化だけでなく、産業部門で必要とされる高温の熱を供給する手段としても期待されており、脱炭素化の切り札となりうる技術である。

2.4. 循環経済への道筋:リサイクル技術と持続可能なサプライチェーンの重要性

EVと定置用蓄電池の爆発的な普及は、新たな課題を生み出す。それは、寿命を終えた大量の使用済み電池の処理である。これらの電池には、リチウム、コバルト、ニッケルといった希少かつ価値の高い金属が含まれており、これらを回収・再利用するリサイクル技術は、資源の安定確保(アーバンマイニング)と環境負荷低減の両面から、極めて重要な戦略分野となっている 45

リサイクル技術は、大別して、高温で溶かして金属を取り出す「乾式製錬」、酸などの溶液で溶かして金属を分離する「湿式製錬」、そして電池の構造を維持したまま正極材などを再生する「直接リサイクル」に分類される。カナダのLi-Cycle社や米国のRedwood Materials社といった新興企業が、革新的なリサイクル技術を武器に市場をリードしている 46

欧州では、製品のライフサイクル全体での環境負荷を規制する新たな「電池規則」が導入され、リサイクル材の使用率やCO2排出量の開示などが義務化されつつある 47。このような規制は世界の潮流となる可能性が高く、電池の製造からリサイクルまでを含めた持続可能なバリューチェーンの構築が、日本企業にとっても喫緊の課題となっている。矢野経済研究所やFortune Business Insightsといった市場調査会社は、リチウムイオン電池リサイクル市場が今後、年率20%を超える高い成長を遂げると予測している 47

日本の技術戦略は、二つの異なる時間軸を同時に見据える「二正面作戦」で進めるべきである。第一に、2030年までの短期から中期にかけての市場競争を勝ち抜くため、主流となりつつあるLFP系リチウムイオン電池の性能向上と国内生産基盤の強化に注力し、足元の収益基盤を固めること。第二に、2030年以降の長期的な技術覇権を握るため、まだ勝者が定まっていない全固体電池やLDESといった次世代技術への研究開発投資を継続し、非連続なイノベーションを追求すること。短期的な市場シェアと長期的な技術的優位性の両立。この困難なポートフォリオマネジメントこそが、日本の電池産業が生き残るための唯一の道である。

表2:主要エネルギー貯蔵技術の特性比較(2025年時点)

技術分類 具体的な技術 持続時間 エネルギー密度 サイクル寿命 効率(RTE) LCOS ($/kWh) 技術成熟度 主な用途
電気化学式 Liイオン (LFP) 2-6時間 高 (4,000+) 85-95% 0.10-0.15 商業化済 周波数調整、卸電力市場
Naイオン電池 2-8時間 やや低 80-90% <0.10 (目標) 実証段階 定置用(低コスト)
フロー電池 4-12時間 非常に高い 65-80% 0.05-0.10 商業化済 系統用、産業用
機械式 揚水発電 6-24時間 非常に高い 70-85% <0.05 商業化済 大規模系統安定化
圧縮空気 (CAES) 8-24時間 非常に高い 40-70% 0.05-0.10 商業化済 大規模系統安定化
熱式 溶融塩/レンガ 8-100時間 非常に高い 70-90% <0.05 (目標) 実証段階 産業用熱供給、系統用
化学式 水素 100時間以上 30-50% >0.15 (現状) 実証段階 季節間貯蔵、運輸

出典: LDES Council, U.S. DOE, Fraunhofer ISE等のレポートを基に作成 43

第3章:蓄電池の経済性 – 「レベニューストリーム・スタッキング」ビジネスモデルの解剖

蓄電池は、なぜ「儲からない」と言われることがあるのか。その理由は、従来の発電設備とは全く異なる、複雑で多層的な収益構造にある。ここでは、世界の蓄電池事業者が実践する「レベニューストリーム・スタッキング」というビジネスモデルを解剖し、その経済性を成り立たせるメカニズムを明らかにする。

3.1. 収益の多層化(スタッキング)という基本概念

太陽光発電事業が、発電した電気を電力会社に販売するPPA(電力販売契約)という比較的シンプルな収益モデルに依存するのに対し、蓄電池事業は単一の収益源に頼ることは稀である。その代わりに、異なる電力市場やサービスから得られる複数の収益を積み上げる(スタックする)ことで、事業全体の採算性を確保する。これが「レベニューストリーム・スタッキング」の基本概念である 52

主要な収益源は、大きく分けて以下の3つに分類される 53

  1. 卸電力市場での裁定取引(エネルギー・アービトラージ)

  2. アンシラリーサービス(調整力)市場からの対価

  3. 容量市場からの固定収入

これらの収益源の組み合わせと比率は、国や地域の電力システムの特性、市場のルール、そして蓄電池の性能によって大きく異なる。

3.2. 収益源①:卸電力市場での裁定取引(アービトラージ)

これは最も直感的で基本的な収益モデルである。電力の取引価格が安い時間帯に電気を仕入れて蓄電池に充電し、価格が高い時間帯に放電・販売することで、その価格差(利ざや)を収益とする 53

このビジネスモデルの収益性は、電力価格の変動幅(ボラティリティ)に直接依存する。太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入が進むと、電力供給が天候に大きく左右されるようになる。例えば、晴天の昼間には太陽光発電の出力が急増し、電力の供給過剰から卸電力価格が暴落、時にはマイナス価格になることさえある。一方で、太陽が沈み、電力需要がピークを迎える夕方には、供給力が不足して価格が高騰する。この価格差が大きければ大きいほど、裁定取引による収益機会は増大する。実際に、再エネ導入が進む欧州の電力市場では、この価格ボラティリティの増大が蓄電池の重要な収益源となっている 20

3.3. 収益源②:アンシラリーサービス(調整力)市場

電力システムは、需要と供給を常に寸分の狂いなく一致させなければ、大規模な停電(ブラックアウト)を引き起こす。この需給バランスを維持するために、電力系統運用者は常に周波数を監視し、微調整を行っている。この微調整のために提供される能力が「調整力」であり、英語ではアンシラリーサービス(付随サービス)と呼ばれる

蓄電池は、ミリ秒単位での高速な充放電が可能なため、この周波数調整というサービスを提供するのに非常に適している 52。系統運用者との契約に基づき、周波数が基準値からずれた際に自動的に充放電を行い、系統を安定化させる対価として収益を得る。

コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニーの分析によれば、現在の多くの成熟した蓄電池市場において、このアンシラリーサービスが収益全体の50%から80%を占める主要な収益源となっている。しかし、調整力市場は全体の電力市場に比べて規模が小さいため、蓄電池の導入が進むにつれて競争が激化し、収益性が低下(市場が飽和)する可能性があると指摘されている 54

3.4. 収益源③:容量市場と長期脱炭素電源オークション

電力システムは、一年で最も電力需要が多い真夏や真冬の数時間(ピーク需要)においても、安定して電力を供給できる能力(供給力、kW)を確保しておく必要がある。この将来の供給力を確保するための仕組みが「容量市場」である。

発電事業者や蓄電池事業者は、容量市場のオークションに参加し、将来のある時点(例えば4年後)に供給力を提供することを約束する。その対価として、実際に発電・放電するかどうかにかかわらず、供給力を維持しているだけで安定した固定収入を得ることができる 52。この収入は、価格変動の激しい裁定取引やアンシラリーサービスとは対照的に、長期的な投資回収の予見性を高める上で極めて重要な役割を果たす。これにより、投資家は安心して大規模な蓄電池プロジェクトに資金を投じることができるようになる。

3.5. ユースケース別ビジネスモデル分析

これらの収益源は、蓄電池の設置場所や目的によって、その組み合わせが異なる。

  • 系統用(FTM: Front-of-the-Meter): 送電網や配電網に直接接続される大規模な蓄電所。主に、卸電力市場、アンシラリーサービス市場、容量市場という3つの市場から収益を最大化することを目指す。

  • 産業・業務用(BTM: Behind-the-Meter): 工場や商業施設の敷地内に設置される蓄電池。主な目的は、電力会社から購入する電気の料金を削減することにある。具体的には、太陽光発電の余剰電力を貯めて自家消費率を高めたり、電力使用量が最も多い時間帯の需要(ピークデマンド)を蓄電池からの放電で賄うことで、電気の基本料金(デマンドチャージ)を削減する。これに加えて、停電時の非常用電源としてのBCP(事業継続計画)価値も提供する 56

  • 家庭用: 住宅の屋根に設置された太陽光パネルとセットで導入されることが多い。余剰電力を売電するのではなく自家消費することで経済的メリットを得る。また、EV(電気自動車)と連携し、EVを「走る蓄電池」として活用するV2H(Vehicle to Home)も普及が進んでいる。将来的には、多数のEVを束ねて電力系統の安定化に貢献し、対価を得るV2G(Vehicle to Grid)という新たなビジネスモデルも期待されている。

蓄電池のビジネスモデルは、電力システムの脱炭素化の進展と共に、その姿をダイナミックに変えていく。マッキンゼーの分析は、その未来像を明確に示している。現在、収益の柱であるアンシラリーサービスの割合は、2030年に向けて40%以下に減少し、代わりに卸市場での裁定取引の重要性が60%以上にまで高まると予測されている 54。この変化の根本原因は、再エネの大量導入である。再エネが増えるほど、日中の電力価格はゼロに近づき、夕方の価格は高騰する。この価格差の拡大が、裁定取引をより収益性の高いビジネスへと変貌させるのだ。さらに未来、再エネが電力の大部分を占めるようになると、数日間にわたる供給不足のリスクが顕在化し、単なるエネルギーの時間シフト(裁定取引)だけでなく、必要な時に確実に供給できる能力、すなわち「容量」そのものの価値が最も高く評価される時代が来るだろう。日本の市場設計は、この未来の収益構造の変化を見据え、容量市場の役割を強化し、長期的な柔軟性リソースへの投資を促す仕組みを、今から構築していく必要がある。

第4章:日本の根源的課題と処方箋 – なぜ再エネ導入は加速しないのか?

世界が蓄電池を軸としたエネルギー転換を加速させる中、日本の歩みはなぜかくも遅いのか。その原因は、個別の技術や政策の不備に留まらない、より根深く構造的な問題にある。ここでは、グローバルな視点から日本のエネルギーシステムが抱える「3つの壁」を特定し、世界のベストプラクティスに基づいた具体的な処方箋を提示する。

4.1. 根源的課題の特定:日本の再エネ普及を阻む「3つの壁」

日本の再生可能エネルギーと蓄電池の導入を阻害している要因は、複雑に絡み合っているが、突き詰めれば以下の3つの構造的な壁に集約される。

  • ① 系統の壁(物理的制約): 日本の送配電網は、再エネの大量導入を前提として設計されていない。特に地方に多い再エネの適地から、大都市の需要地へ電気を送るための送電線の空き容量が慢性的に不足している。また、発電所を系統に接続する際、早い者勝ちで容量が確保される「先着潮流」という硬直的なルールが、新規参入の障壁となっている。さらに、東西で電力の周波数が異なる(50Hzと60Hz)という世界でも類を見ない分断構造が、全国大での電力の融通を妨げている。地球環境産業技術研究機構(RITE)の分析によれば、再エネの導入比率が高まるにつれて、こうした系統制約を克服するための「系統統合コスト」が急激に増大することが示されている 57

  • ② 市場の壁(制度的欠陥): 蓄電池が持つ多様な価値(ミリ秒単位の高速応答、柔軟な充放電による価格変動の緩和など)が、日本の電力市場では正当に評価され、事業者が収益を得られる仕組みになっていない。2021年に開設された需給調整市場は、まだ取引が活発とは言えず、蓄電池の高速応答性を評価するような商品設計も不十分である。また、長期的な投資回収の鍵となる容量市場も、十分な予見性を投資家に与えるまでには至っていない。価値が価格に反映されない市場では、当然ながら投資は進まない。

  • ③ 政策の壁(戦略の不在): 経済産業省は2022年に「蓄電池産業戦略」を策定し、2030年までに国内で150 GWhの生産能力を確保するという野心的な目標を掲げた 58。しかし、その目標を達成するために不可欠な、国内の蓄電池需要を創出するための抜本的な政策が欠けている。米国のIRAが大規模な税額控除によって需要と供給を同時に刺激したのとは対照的に、日本の政策は個別の工場建設に対する補助金が中心であり、市場全体を動かすダイナミズムに欠ける。「供給」側の目標だけが高く掲げられ、「需要」側を創造する戦略が伴っていないため、戦略全体が「絵に描いた餅」に終わるリスクを孕んでいる。

4.2. 世界のベストプラクティスに基づく処方箋

これらの根源的な課題を克服するためには、小手先の改善では不十分だ。世界の成功事例に学び、系統・市場・政策を一体で改革する、抜本的なアプローチが求められる。

  • 提言1(系統改革):柔軟性を前提とした系統利用ルールの導入

    • Connect & Manage(ノンファーム型接続)の全面展開: 英国などで実績のあるこの方式は、送電線に空き容量がなくても、混雑が発生した際には出力を一時的に抑制(カーテイルメント)することを条件に、再生可能エネルギーや蓄電池の接続を原則として認めるものである。これにより、巨額の費用と時間がかかる送電線の増強を待つことなく、プロジェクトを迅速に進めることが可能になる。

    • EUの柔軟性ニーズ評価(FNA)の導入: ドイツのアゴラ・エナギーヴェンデが提言するように、将来の電力システムがネットゼロを達成するために、どのような種類の柔軟性(短時間、長時間など)が、いつ、どれくらいの量、必要になるのかを科学的・定量的に評価するプロセス(Flexibility Needs Assessment)を導入する 19。その評価結果に基づいて、系統増強計画や市場設計、蓄電池の導入目標などを策定することで、場当たり的でない、合理的な投資判断が可能となる。

  • 提言2(市場改革):蓄電池の価値を最大化する電力市場の創設

    • 需給調整(アンシラリーサービス)市場の高度化: 現在の市場をより精緻化し、蓄電池が得意とする高速な応答性(Fast Frequency Responseなど)を高く評価する新しい商品(メニュー)を創設する。性能に応じた対価が支払われる仕組みを導入することで、高性能な蓄電池への投資を促す。

    • 容量市場の改革と長期脱炭素電源オークションの導入: 現在の単一的な容量市場に加え、蓄電池やLDES、地熱発電といったゼロエミッションかつ柔軟性のある電源に特化した、長期(10~15年程度)の固定収入を保証する新たなオークション制度を導入する。これにより、事業の予見性が劇的に高まり、金融機関からの融資も受けやすくなるため、大規模なプロジェクトへの投資リスクが大幅に低減される。

  • 提言3(政策・インセンティブ):需要と供給を同時に刺激する強力な政策パッケージ

    • 日本版IRAの実現: 個別プロジェクトへの補助金から、公平かつ市場原理を活かす税額控除制度へと政策の軸足を移すべきである。蓄電池の導入(購入者)と国内での製造(メーカー)の両方に対して、米国のIRAに匹敵する規模の税額控除を導入する。これにより、特定の企業を利するのではなく、市場全体での健全な競争を通じてコスト低減と技術革新を促し、民間の投資判断を強力に後押しする。

    • 「蓄電池産業戦略」の具体化: 経済産業省が掲げる2030年のシステム価格目標(工事費込で7万円/kWh)を達成するためには、供給側の努力だけでは不十分である 60。日本版IRAによる需要創出と、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が策定する技術開発ロードマップ 61 に基づく研究開発支援を両輪として進め、需要と供給の両面から目標達成を確実なものにする。

日本の課題の本質は、系統、市場、産業政策という3つの要素が、それぞれ別々の論理で動き、互いに連携していない「部分最適の罠」にある。例えば、政府が蓄電池の導入に補助金(政策)を出しても、系統に空きがなく接続できなければ(系統の壁)、その政策は効果を発揮しない。仮に系統に接続できたとしても、蓄電池の価値を収益化できる市場がなければ(市場の壁)、誰も投資をしようとはしない。この悪循環を断ち切るには、強力な政治的リーダーシップの下、「2050年カーボンニュートラル達成のためには、蓄電池を基軸とした柔軟な電力システムが不可欠である」という国家ビジョンを明確に掲げ、それに基づいて系統・市場・政策のルールを「三位一体」で、かつ迅速に改革していく以外に道はない。

結論:2030年に向けた日本のエネルギー戦略 – 蓄電池を核とする「動的エネルギー安全保障」への転換

本稿は、世界の主要な研究機関の知見を統合し、蓄電池が21世紀のエネルギーシステムの中核を担う戦略的資産であることを明らかにした。世界市場は指数関数的に成長し、米国はIRAによって巨大な国内市場を創造、欧州は洗練された市場設計でその価値を引き出し、中国は圧倒的な製造能力で世界を席巻している。技術面では、LFP系リチウムイオン電池が主流の座を固めつつ、その先には全固体電池やLDESといった次世代技術が控える。そして、その経済性は、複数の市場から収益を積み上げる「レベニューストリーム・スタッキング」という新たなビジネスモデルによって支えられている。

これらのグローバルな潮流を前に、日本は「系統」「市場」「政策」という三重の壁に直面し、そのポテンシャルを十分に発揮できずにいる。この停滞を打破するために必要なのは、もはや個別の対策の積み重ねではない。「ノンファーム型接続」や「柔軟性ニーズ評価」による系統改革、蓄電池の価値を正当に評価する市場改革、そして需要と供給を同時に刺激する「日本版IRA」の導入という、三位一体の抜本的改革である。

この改革を断行した先に待っているのは、単なるエネルギーの脱炭素化ではない。それは、エネルギーの海外依存度を大幅に低減し、国内に新たなクリーンエネルギー産業を育成し、そして頻発する自然災害にも耐えうる強靭で分散型のエネルギー社会を構築することに他ならない。これは、化石燃料の安定確保を至上命題とした従来の「静的エネルギー安全保障」から、国内の再生可能エネルギーと柔軟性リソースを最大限に活用してシステムの安定性を自律的に確保する「動的エネルギー安全保障」への、歴史的なパラダイムシフトである。

2030年、そして2050年に向けて、日本は岐路に立たされている。政策立案者、エネルギー業界のリーダー、そして投資家は、目前の障壁や旧来の利害関係に囚われることなく、この歴史的な転換点の本質を理解し、未来への賢明な投資を断行する責務を負っている。蓄電池という鍵を手に、日本の新たなエネルギー時代を切り拓くのは、今をおいて他にない。

付録

FAQ(よくある質問)

  • Q1. 蓄電池のコストは本当に下がりますか? 2030年の価格は?

    A1. はい、主要な調査機関は一致して、今後も蓄電池の価格は継続的に下落すると予測しています。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、2030年までにバッテリーシステムの総設置コストが2017年比で50%~60%低下する可能性があると報告しています 63。日本政府(経済産業省)は、「蓄電池産業戦略」の中で、2030年までに定置用蓄電システムの価格(工事費込)を7万円/kWh以下にするという野心的な目標を掲げています 60。この価格下落は、LFP電池のさらなる低コスト化、ナトリウムイオン電池などの次世代技術の実用化、そして世界的な量産効果によって実現される見込みです。

  • Q2. 日本に必要な蓄電池の規模(GW/GWh)はどのくらいですか?

    A2. 必要な規模は、2030年、2050年といった目標年次における再生可能エネルギーの導入量に大きく依存するため、一概には言えません。しかし、RITEの分析では、再エネ比率が50%程度のケースで、870 GWhという大規模な蓄電池が必要になるという試算結果も出ています 57。重要なのは、将来必要となる柔軟性の量を科学的に評価し(FNA)、それに基づいて導入目標を定めることです。日本エネルギー経済研究所(IEEJ)などが開発したエネルギーシステムモデルは、こうした定量的な評価を行う上で重要なツールとなります 64。

  • Q3. 蓄電池の安全性(火災リスクなど)は確保されていますか?

    A3. リチウムイオン電池は、エネルギー密度が高いため、過充電や物理的な損傷によって熱暴走し、火災に至るリスクがゼロではありません。しかし、電池メーカーやシステムインテグレーターは、BMS(バッテリーマネジメントシステム)による厳格な電圧・温度管理、延焼を防ぐためのモジュール設計、適切な消火設備の設置など、多層的な安全対策を講じています。また、LFP電池はNMC系に比べて熱暴走のリスクが低いとされています 15。さらに、水系電解質を用いる亜鉛イオン電池や、不燃性の固体電解質を用いる全固体電池など、本質的により安全な次世代電池の研究開発も進められています 36。

  • Q4. LDES(長時間エネルギー貯蔵)はいつ頃実用化されますか?

    A4. LDESには多様な技術があり、実用化のタイミングは技術によって異なります。揚水発電やCAESは既に商業化されている成熟した技術です。一方、フロー電池や熱貯蔵技術の多くは、既に商業スケールでの実証プロジェクトが世界各地で進んでおり、2020年代後半から2030年代にかけて本格的な普及が始まると見られています 39。水素を利用した季節間貯蔵などは、コストが課題であり、実用化にはまだ時間を要すると考えられていますが、米国エネルギー省(DOE)は「Long Duration Storage Shot」という国家プロジェクトを立ち上げ、2030年までにコストを90%削減するという目標を掲げて研究開発を加速させています 51。

  • Q5. 蓄電池の寿命とリサイクルの問題はどうなっていますか?

    A5. 蓄電池の寿命は、一般的にサイクル数(充放電を繰り返せる回数)で示されます。現在の定置用LFP電池は、4,000サイクル以上の長い寿命を持つ製品が多くなっています 14。寿命を終えた電池については、リサイクルが極めて重要です。欧州ではリサイクル材の使用を義務付ける規制が強化されており、世界的にリサイクル技術の開発とインフラ整備が急務となっています 47。カナダのLi-Cycleや米国のRedwood Materialsといった企業が大規模なリサイクル工場を建設しており、日本でも住友金属鉱山やDOWAエコシステムなどが事業を拡大しています 46。使用済み電池は「廃棄物」ではなく、貴重な資源を回収できる「都市鉱山」として、新たな静脈産業を創出することが期待されています。

ファクトチェック・サマリー

本稿の信頼性を担保するため、主要な事実、データ、およびその出典を以下に要約します。

  • 世界市場規模予測: 2032年までに1140億5000万ドルに達する見込み。2025年から2032年のCAGRは19.58%と予測されている(Fortune Business Insights)12。McKinseyは2030年までに1200億~1500億ドルと予測 14

  • IEAの認識: 蓄電池の急速な拡大は、COP28で設定された気候およびエネルギー安全保障の目標達成に極めて重要である(IEA, “Batteries and Secure Energy Transitions” report)2

  • 米国の政策: 2022年のインフレ削減法(IRA)には、単独設置の蓄電池に対する投資税額控除(ITC)が含まれており、市場を強力に刺激している(IEA)3

  • 日本の政策目標: 経済産業省は「蓄電池産業戦略」において、2030年までに国内の蓄電池生産能力を150 GWhに、関連人材を3万人に拡大する目標を設定 59。また、定置用蓄電システムの価格を7万円/kWh以下にすることを目指している 60

  • 技術トレンド: 定置用蓄電池市場では、コストと安全性に優れるLFP(リン酸鉄リチウム)電池のシェアが拡大しており、2030年までに30%に達するとの予測がある(Wood Mackenzie)31

  • LDESの必要性: 2040年までに電力システムのネットゼロを達成するには、世界で1.5~2.5 TW、85~140 TWhの長時間エネルギー貯蔵(LDES)が必要とされている(LDES Council, McKinsey)41

  • ビジネスモデル: 現在の蓄電池の収益源はアンシラリーサービスが50~80%を占めるが、2030年には卸電力市場での裁定取引が60%以上を占めるようになると予測されている(McKinsey)54

主要研究機関・シンクタンク50選と代表的レポートリスト

本稿の分析にあたり参照した、エネルギー、脱炭素、気候変動分野における世界有数の権威ある研究機関、シンクタンク、コンサルティング会社、および政府・国際機関のリストです。(順不同)

国際機関

  1. 国際エネルギー機関 (IEA) – “Batteries and Secure Energy Transitions”

  2. 国際再生可能エネルギー機関 (IRENA) – “Electricity storage and renewables: Costs and markets to 2030”

  3. 世界銀行 (World Bank) – “Accelerating the Energy Transition: A Guideline for Planning Solar-Plus-Storage Projects”

  4. 米国エネルギー情報局 (EIA) – “Weekly Natural Gas Storage Report”

  5. 国際エネルギーフォーラム (IEF) – “Outlooks Comparison Report”

  6. 国連気候変動枠組条約 (UNFCCC) – Technology reports on Batteries and CCUS

  7. 石油輸出国機構 (OPEC) – “World Oil Outlook”

日本

8. 経済産業省 (METI) – 「蓄電池産業戦略」

9. 環境省 (MOE) – 定置用リチウムイオン蓄電池導入支援事業関連資料

10. 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) – 各種技術開発ロードマップ

11. 日本エネルギー経済研究所 (IEEJ) – 「IEEJアウトルック」

12. 地球環境産業技術研究機構 (RITE) – 2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けたシナリオ分析

13. 電力中央研究所 (CRIEPI) – 蓄電池の経済性評価に関する報告書

14. 自然エネルギー財団 (Renewable Energy Institute) – 系統用蓄電池事業に関するレポート

15. エネルギー総合工学研究所 (IAE)

16. 日本電機工業会 (JEMA) – 定置用リチウムイオン蓄電システム出荷統計

17. 太陽光発電協会 (JPEA) – 再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業

18. 日本エネルギー法研究所 (JELI)

欧米・北欧

19. アゴラ・エナギーヴェンデ (Agora Energiewende, ドイツ) – “Electricity Storage in the German Energy Transition”

20. フラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所 (Fraunhofer ISE, ドイツ) – Battery technology and market analysis reports

21. ドイツ経済研究所 (DIW Berlin, ドイツ) – Energy, Transportation, Environment department publications

22. ヘルムホルツ協会 (Helmholtz Association, ドイツ) – Energy research programs

23. フランス国際関係研究所 (Ifri, フランス) – Center for Energy & Climate publications

24. Institute for European Environmental Policy (IEEP, ベルギー)

25. Institute for European Energy and Climate Policy (IEECP, オランダ)

26. Nordic Energy Research (北欧) – “Tracking Nordic Clean Energy Progress”

27. CONCITO (デンマーク) – Denmark’s green think tank

28. Green Transition Denmark (デンマーク)

29. Oak Ridge National Laboratory (ORNL, 米国)

30. Interstate Renewable Energy Council (IREC, 米国)

31. Aether (英国) – Climate change emissions consultants

32. LDES Council (グローバル) – “LDES Annual Report”

ASEAN・中東

33. 東アジア・アセアン経済研究センター (ERIA)

34. ASEANエネルギーセンター (ACE)

35. 日本貿易振興機構 (JETRO) – 各国エネルギー政策に関するレポート

36. 中東調査会 (JIME)

37. アブドラ国王石油調査研究センター (KAPSARC, サウジアラビア) – “Circular Carbon Economy (CCE) Index”

38. Technology Innovation Institute (TII, UAE) – Renewable and Sustainable Energy Research Center

39. American University of Sharjah (AUS, UAE) – Energy, Water and Sustainable Environment Research Center

40. King Fahd University of Petroleum and Minerals (KFUPM, サウジアラビア) – Interdisciplinary Research Center for Renewable Energy and Power Systems

41. UAE Independent Climate Change Accelerators (UICCA)

42. Anwar Gargash Diplomatic Academy (AGDA, UAE) – Centre for Climate Diplomacy

コンサルティング・アナリスト

43. マッキンゼー・アンド・カンパニー (McKinsey & Company) – “Battery 2030: Resilient, sustainable, and circular”

44. ボストン・コンサルティング・グループ (BCG) – “Unlocking the Potential of Long-Duration Energy Storage”

45. デロイト (Deloitte) – Sustainability & Climate services

46. PwC – Sustainability and climate change services

47. アビームコンサルティング (ABeam Consulting)

48. YCP Solidiance

49. AFRY

50. Fortune Business Insights – Market research reports

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著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

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