2027年GX ZEH対応チェックリスト|5kWh案削除後の認定・設計・営業実務

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国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部 デジタルエネルギーグループ。再エネ設備導入効果シミュレーター「エネがえる」(ASP、Biz、EV・V2H、API、BPO)の事業開発を担当。太陽光、蓄電池、オール電化、EV・V2H、電力料金、補助金、再エネ設備の経済効果シミュレーションを専門領域とし、サービス企画、顧客提案、マーケティング、パートナー連携を横断して推進しています。エネがえるは国内700社以上で導入され、年間15万件以上の診断に利用されています。取材、登壇、協業、サービスに関するお問い合わせは、エネがえる公式お問い合わせページからお願いします。

むずかしいエネルギー診断をカンタンにエネがえる
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GX ZEHの認定要件、補助金要件、家計経済性を分けて確認する図
認定・補助金・家計採算は、別の台帳。図の数値条件や制度条件は本文とリンク先一次資料で確認してください。

この記事の結論

要件への適合と補助対象、施主の経済性は判定者も証拠も異なります。

見る数字認定区分・補助要件・家計NPV
結論が変わる条件住宅区分、設備構成、運転条件
次の一手認定/補助/家計を別判定する

最終確認:2026年8月26日

GX ZEHの新定義は、2027年4月以降に認証を取得する住宅へ適用されます。すべての新築住宅にGX ZEH認証や蓄電池を法律で一律義務付けるものではありません。戸建のGX ZEH+、GX ZEH、Nearly GX ZEHでは定置用蓄電池と高度エネルギーマネジメントが要件ですが、最終定義に「初期実効容量5kWh以上」という一律下限はありません。

最初に、誤解しやすい点を表で確認します。

よくある理解 一次資料に基づく整理
2027年から全新築がGX ZEHになる 誤り。2027年4月以降にGX ZEHとして認証を取得する住宅へ新定義が適用される
GX ZEHの蓄電池は最低5kWh 誤り。パブリックコメント段階の5kWh案は見直され、最終定義に一律容量下限はない
どのGX ZEH区分でも蓄電池が必須 誤り。戸建のGX ZEH Orientedは定置用蓄電池の必須対象外。ただし高度エネルギーマネジメントは必要
EV・V2Hがあれば定置用蓄電池は不要 誤り。公式回答では、EVが住宅に接続されない時間があるため、V2Hを定置用蓄電池と同等とは扱っていない
認定上の削減率100%なら電気代もゼロ 誤り。認定の一次エネルギー計算と、実際の買電・売電を使う家計計算は別物

制度要件は、経済産業省の最終定義公表e-Gov掲載の最終版で確認できます。本記事は、その要件を商品企画、設計、購買、営業、法務・CSの実務へ落とすチェックリストです。

認定要件とは別に、太陽光・蓄電池・EV/V2Hの費用対効果を同じ前提で比較する全体設計は、太陽光・蓄電池の経済効果シミュレーション完全ガイドへ分けています。制度に適合することと、個々の施主に経済合理性があることを一つの判定へ混ぜません。

2025年、2027年、2030年は別の制度・時点

GX ZEHを正しく説明するには、三つの時点を分ける必要があります。

時点 何が変わるか 法的義務との関係
2025年4月 以降に着工する住宅などで、省エネ基準への適合が義務化 建築物省エネ法に基づく義務
2027年4月 GX ZEH・GX ZEH-Mの新定義を認証に適用 GX ZEHという認証の新定義。全住宅への一律義務ではない
遅くとも2030年まで 省エネ基準をZEH/ZEB水準の省エネ性能へ引き上げる政策方向 GX ZEH認証の一律義務化と同義ではない

e-Govで公開されたパブリックコメント回答は、GX ZEHの定義見直しについて「義務化の要件ではない」「法令に基づいたものではない」と明記しています。したがって、営業資料で「2027年から全新築にGX ZEHまたは蓄電池が法律上必須」と説明するのは不正確です。

戸建GX ZEHの4区分

最終定義における戸建住宅の主要要件は次のとおりです。共同住宅のGX ZEH-Mは区分と評価方法が異なるため、別途、最終定義を確認してください。

区分 外皮性能 再エネを除く一次エネ削減 再エネを含む一次エネ削減 高度エネルギーマネジメント 定置用蓄電池
GX ZEH+ 断熱等性能等級6 35%以上 115%以上 必要 必要
GX ZEH 断熱等性能等級6 35%以上 100%以上115%未満 必要 必要
Nearly GX ZEH 断熱等性能等級6 35%以上 75%以上100%未満 必要 必要
GX ZEH Oriented 断熱等性能等級6 35%以上 数値要件なし 必要 必須対象外

GX ZEH Orientedは、垂直積雪量100cm以上の多雪地域、または一定条件を満たす都市部狭小地に建築される戸建住宅が対象です。「太陽光を載せたくない場合に自由に選べる区分」ではありません。

5kWh案はなぜ最終要件から外れたのか

パブリックコメント段階では、定置用蓄電池の初期実効容量を5kWh以上とする案がありました。寄せられた意見を踏まえ、公式回答では「初期実効容量5kWh以上という条件を見直し、定置用蓄電池の導入を要件とする」と整理されました。

ただし、「容量は何kWhでもよい」という意味ではありません。認証上は最終的な評価方法と機器要件への適合を確認し、家計面では次の条件から適正容量を求めます。

  • 太陽光の容量、方位、月別・時間帯別発電量
  • 世帯の月別・時間帯別電力使用量
  • FIT・卒FITの売電単価と、回避できる買電単価
  • 蓄電池の定格容量と実効容量、SOC上下限、充放電出力
  • 充放電効率、待機電力、容量劣化、保証、交換費
  • 停電時に残したい容量と、使いたい200V機器・負荷

小さすぎれば余剰電力を吸収できず、大きすぎれば使い切れない容量の費用を負担します。認定上の有無と、施主にとって経済合理的な容量は、別の問いです。

HEMSは「置くだけ」ではなく、把握と制御が必要

最終定義は、戸建住宅に高度エネルギーマネジメントを求めています。HEMSで再生可能エネルギーの発電量などを把握し、住宅内の冷暖房・給湯設備などを制御可能にすることが要点です。GX ZEH Orientedを除く3区分では、蓄電池の充電量・放電量も制御できなければなりません。

そのため、HEMS、太陽光、PCS、蓄電池、給湯・空調を単品で選ぶだけでは不十分です。型番、通信方式、制御対象、施工設定、ファームウェア、申請証憑までを一つの適合構成として確認します。

EV・V2Hは有力な追加案だが、定置用蓄電池の代替ではない

EVの大容量電池は、自家消費、停電時給電、電気自動車の走行費削減に役立ちます。一方、通勤・外出・旅行中は住宅に接続されません。公式回答も、この可用性の違いを理由にV2Hで定置用蓄電池を代替する見直しを行っていません。

提案では、次の3案を同じ家庭条件で比較すると判断しやすくなります。

  1. 太陽光のみ
  2. 太陽光+定置用蓄電池
  3. 太陽光+定置用蓄電池+EV・V2H

EV・V2H案では、車両価格差、年間走行距離、電費、在宅・接続時間、最低SOC、V2H変換効率、停電価値を追加します。EVが常時接続される前提や、車両電池の全容量を住宅で毎日使える前提は置きません。

認定、補助金、家計経済性を一つの数字にしない

GX ZEHの提案では、次の三つを別々に判定します。

GX ZEHの三つの判定台帳と設備三案を同じ前提で比較する図
認定適合と家計のお得は、別の問い。図は判断構造を示すもので、案件の数値条件は本文・Excel・一次資料で確認してください。
判定 答える問い 主な入力
GX ZEH認定 最終定義と評価方法を満たすか 外皮、一次エネ削減率、再エネ、HEMS、定置用蓄電池
補助金適格性 当該年度の公募要件を満たすか 対象者、製品登録、契約・着工順、申請期限、予算残、併用可否
家計経済性 施主の負担に見合うか 使用量、料金、FIT、設備費、ローン、効率、劣化、交換、EV走行

補助金は年度、予算、製品、申請順序で変わります。補助金込みの1案だけではなく、少なくとも「補助金0円」「利用可能性を確認したケース」「採択・交付条件を満たしたケース」を分けてください。

経済効果の計算手順は、GX ZEHの太陽光・蓄電池・V2Hを3案比較する方法で詳しく解説しています。

住宅会社が商品化前に確認するチェックリスト

部署・工程 商品化前に確認すること 残す証跡
商品企画 対象区分、標準・推奨・オプション設備、容量別原価、補助金0円時の価格 商品仕様書、対象区分、承認日
設計・認定 外皮、一次エネ削減率、再エネ、HEMS制御、定置用蓄電池、Oriented適用条件 計算書、評価機関確認、機器構成表
購買・施工 PV・PCS・蓄電池・HEMS・給湯・空調の型番互換、代替品、保証、施工設定 承認型番、通信仕様、施工・試運転記録
営業 認定・補助金・家計を分離し、太陽光のみ/蓄電池併設/EV・V2H追加を同一前提で比較 前提条件表、3案比較、根拠URL、診断日
IT・データ管理 料金、FIT、補助金、製品、劣化・効率の版と更新責任 マスター版、更新履歴、診断ID
法務・CS 一律義務・5kWh必須・電気代ゼロと誤認させない表示、引渡し後の運転・停電・保証説明 表示審査、顧客説明確認、引渡し記録

共通のリリース条件は、蓄電池容量を一律5kWhで固定せず複数容量を比較していること、V2Hを定置用蓄電池の代替として説明していないこと、補助金なしの資金計画も示していること、電気料金・FIT/卒FIT・劣化・交換費を下振れ・基準・上振れで確認していることです。

条件をそろえた実物の出力イメージは、登録不要の診断レポートサンプルで確認できます。住宅用の複数案比較を自社案件で試す場合は、実物レポートとASP操作を確認し、太陽光・蓄電池・EV/V2Hを同一世帯条件で比較するまたは無料トライアルをご利用ください。少量案件や複雑条件の整理から任せたい場合は、経済効果シミュレーションBPOが利用できます。

FAQ

Q1. GX ZEHは2027年から全新築住宅に義務化されますか?

いいえ。2027年4月以降にGX ZEHとして認証を取得する住宅へ新定義が適用されます。2025年4月からの省エネ基準適合義務や、2030年までの基準引き上げ方針とは分けて理解してください。

Q2. GX ZEHの蓄電池は5kWh以上が必須ですか?

いいえ。パブリックコメント段階にあった初期実効容量5kWh以上の条件は見直され、最終定義に一律の容量下限はありません。定置用蓄電池の導入対象区分、HEMS制御、最新の評価方法は確認が必要です。

Q3. GX ZEH Orientedにも太陽光と蓄電池が必要ですか?

最終定義上、戸建のGX ZEH Orientedは太陽光・定置用蓄電池の必須対象外です。ただし適用できる地域・敷地条件があり、高度エネルギーマネジメントは必要です。

Q4. EV・V2Hで定置用蓄電池を代替できますか?

できません。公式回答では、EVは住宅に接続されない時間があるため、定置用蓄電池と同等とは扱わないとされています。EV・V2Hは追加価値として別案で評価します。

Q5. GX ZEHの認定を取れば、電気代はゼロになりますか?

必ずしもゼロにはなりません。一次エネルギー削減率は認定用の評価であり、請求額は買電の時間帯、基本料金、料金単価、燃料費等調整、再エネ賦課金、売電などで決まります。認定計算と家計シミュレーションを分けてください。

一次出典

制度、補助金、審査運用、製品仕様は変更される場合があります。個別案件では、評価機関、公募要領、メーカー仕様書の最新版を確認してください。

記事全体の最終確認日:2026年8月27日。制度・料金・公募・製品仕様は、リンク先の一次資料と個別条件を公開・提案時に再確認してください。

記事の内容を、自社案件の数字で確認

住宅用、産業用自家消費、EV・V2Hの経済効果を、用途に合うデモで確認できます。

住宅用ASP産業用BizEV・V2H

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国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部 デジタルエネルギーグループ。再エネ設備導入効果シミュレーター「エネがえる」(ASP、Biz、EV・V2H、API、BPO)の事業開発を担当。太陽光、蓄電池、オール電化、EV・V2H、電力料金、補助金、再エネ設備の経済効果シミュレーションを専門領域とし、サービス企画、顧客提案、マーケティング、パートナー連携を横断して推進しています。エネがえるは国内700社以上で導入され、年間15万件以上の診断に利用されています。取材、登壇、協業、サービスに関するお問い合わせは、エネがえる公式お問い合わせページからお願いします。

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