太陽光発電の蓄電池は必要?メリット・費用・回収期間から確実に判断

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国際航業株式会社公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。国内700社以上・導入シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)を開発提供。

目次

太陽光発電の蓄電池は必要?メリット・費用・回収期間から確実に判断

自宅に太陽光発電システムを導入する場合、「一緒に蓄電池も設置するべきか」、この点について多くの方が頭を悩ませることでしょう。

結論をいってしまうと、蓄電池も同時に設置することで多くのメリットが得られるため、予算が許されるならば蓄電池もセットで設置するのがおすすめといえます。

しかしながら、蓄電池を設置する場合、太陽光発電を単体で設置するよりも60万円~200万円程度プラスで費用がかります。その費用を払うのが難しい、という場合には、蓄電池の設置は見送り単体で設置を選択することになるでしょう。

【前提】太陽光発電用の蓄電池とは?

太陽光発電用の蓄電池とは、太陽光で発電した電気や、電力会社から買った電気を、貯めておくことができる装置です。

蓄電池があれば、使いきれなかった電気を貯めておいて、夜間や早朝、雨の日、停電した時に使うことができます。

さらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

蓄電池とは?選ぶ基準やメリットデメリット、将来性や補助金について徹底解説

蓄電池の仕組みと特徴を種類別にわかりやすく解説

この記事では、太陽光発電を導入する時に「蓄電池も設置する必要があるのか?ないのか?」を徹底的に解説していきます。

同時に設置するメリット・デメリットだけでなく、「こんな方には設置がおすすめ」「こんな方は要らないかも」という情報も詳細にお伝えすることで、確実な判断をサポートいたします。

「蓄電池を設置すると何がいいか分からない」という初心者の方から、「蓄電池を付けるかどうか調べているけど、判断が付いていない」という方まで、この記事はあなたの疑問を解決する内容となっています。

詳細なシミュレーションも載せているので、最後まで読めば、蓄電池を付けるかどうか決断できるはずです。ぜひじっくり最後までお読みください。

 

1. なぜ太陽光発電システムを導入する多くの方が「蓄電池を一緒に設置するかどうか」で悩むのか

2章以降で蓄電池の具体的なメリット・デメリットを紹介する前に、まずは、なぜ太陽光発電システムを導入する方の多くが「蓄電池を一緒に設置するかどうか」で悩むのか、この点を整理していきましょう。

当メディア「エネがえる」では、「蓄電池の購入を検討した人」に対して実際にアンケートを実施しました。

その結果をもとに、「多くの人はどんなところに蓄電池の魅力を感じているのか」「購入をやめた人は何がネックになっていたのか」を見ていくことで、あなたの判断軸が生まれるはずです。

 

1-1. 蓄電池をセット購入するきっかけは【光熱費削減・停電対策・環境保護】

太陽光発電システム導入時に蓄電池も購入する方は、光熱費削減や停電対策、環境保護がきっかけにあるようです。

以下は、家庭用蓄電池を買った方、または検討した方に対して、「蓄電池を購入しようと思ったきっかけが何だったか」の回答結果をまとめたものです。

光熱費を削減しようと思ったため

65.00%

災害(停電)対策をしようと思ったため

61.80%

環境に配慮しようと思ったため

35.10%

太陽光発電を購入した/するため

34.50%

太陽光発電の固定価格買取期間(FIT期間)が終了するため

22.50%

補助金が利用できるため

24.40%

なんとなく興味があったため

21.20%

施工会社から話を聞いたため

18.00%

売電しようと思ったため

14.90%

訪問販売が来たため

11.30%

その他

1.30%

わからない・覚えていない

0.80%

参考:住宅用蓄電池を買うきっかけは「災害対策(停電対策)」と「電気代・光熱費削減」がTOP2 – 蓄電池購入者実態調査

蓄電池を買おうと思ったきっかけは、「光熱費削減」「停電対策」「環境保護」が上位の理由となりました。

相次いでいる電気代の値上げや、地震や台風による停電に対してしっかり対策したい方が蓄電池を購入しているようです。

 

1-2. 蓄電池を導入しなかった理由は【初期費用・費用対効果・元を取る時間】

太陽光発電システム導入時に「蓄電池を買わない」という選択をする方の理由としては、初期費用の高さ、費用対効果が見込めないこと、元を取るのに時間がかかるから、があるようです。

以下は、家庭用蓄電池を検討して買わなかった方に対して、「蓄電池を買わなかった理由」を調査した結果です。

 

 

初期費用が高いから

42.60%

費用対効果が見込めないため

21.30%

電気代の元を取るには時間がかかると思った

7.40%

耐久性が心配だったため

6.40%

そこまで蓄電池に魅力を感じていないため

5.30%

わからない・特になし

4.80%

その他

3.20%

わからない・特になし

2.10%

そもそも営業担当からいくらお得になるのかシミュレーションが提示されず不信に思ったため

1.10%

ネットで蓄電池について検索した結果デメリットが多いと思ったため

1.10%

参考:住宅用蓄電池を買わない理由は「初期費用が高いこと」(42.6%)と 「費用対効果が見込めないこと」(21.3%)がTOP2 ※住宅用蓄電池非購入者アンケート結果

この結果を見ると「初期費用」「費用対効果」「元を取る時間」がネックになった方が多いことが分かります。

蓄電池を導入するには、太陽光発電システムと別で、80万円~200万円程度がかかります。

この初期費用を高いと感じるか、費用対効果があると感じるかどうかが、蓄電池を購入するかを判断する決め手になるようです。

蓄電池の導入費用については、「4. 蓄電池の導入費用は80万円(4kWh)~200万円(10kWh)が相場」で後述しています。

2. 太陽光発電導入時に蓄電池を設置する3つのメリット

ここからは「蓄電池も設置した方が良いのか」を判断するために、太陽光発電と蓄電池を併用するメリットを3つ紹介していきます。

既にいろいろ調べている方はご存じの内容も多いかもしれませんが、一つひとつ確認してみてください。

2-1. メリット1:発電できない時間帯・天候でも蓄電池に貯めた電気を使える

蓄電池を設置する大きなメリットは、発電ができない夜間や早朝、悪天候時にも、蓄電池に貯めた電気を使えることです。

蓄電池を設置せず太陽光発電を単体で導入した場合には、電気を貯められないので、余った電力は売電するしかありません。

しかし、蓄電池があることで、発電できない時間帯や悪天候時にも、発電して貯めていた電気を使うことが可能となります。

 

2-2. メリット2:災害時など停電した時にも電気を使えて安心

蓄電池のメリット2つ目は、地震や雷などの災害で停電が起きた場合にも、電気を使えるという点です。

停電が夜間に起きた場合は、日中に貯めておいた電気を使えます。夜間にその電気を使い切ってしまったとしても、日中になればまた発電して電気を貯めておけるので、万が一停電が長期化しても安心です。

震災による停電は、復旧までに3日程度かかることがあり、長いと8日以上も電気が使えない場合もあります。

日頃から蓄電池に電力を貯めておくことで、緊急時に不自由なく電力を確保し、安定した生活を維持することが可能となります。

特に、赤ちゃんや小さなお子さん、ペットなどがいるご家庭は、停電時にも電気を使えるメリットを大きく感じるケースが多いでしょう。

 

2-3. メリット3:自家消費を増やすことで電気代を削減できる

3つ目のメリットは、蓄電池を使って自家消費率を増やすことで、電気代(電力会社から電気を購入する際に支払う料金)を削減できる点です。

蓄電池がなければ余った電力は売電に回りますが、蓄電池があれば余剰電力を時間問わずに使えるため、自家消費率を増やすことができます。

特に売電価格が下がり、逆に電力会社から購入する電気代が上がっている現状では、「売電より自家消費を優先して、自家消費率を高めた方がオトク」という状況といえるでしょう。

 

【売電価格と電気料金の比較】

売電価格

(発電して買い取ってもらう価格)

電気料金

(電力会社から購入する価格)

FIT期間中:16円/1kWh(※1)

卒FIT後:7円~11円程度/1kWh(※2)

35円/1kWhが目安(※3)

さらに今後上昇傾向

※1:2023年度に太陽光発電を導入してFIT制度を利用する場合の価格です。
※2:7円~11円程度というのは現在の市場買取価格なので、実際には、卒FIT後(10年後)になってみないと分かりません
※3:経済産業省 資源エネルギー庁|2023年6月の電気料金、なぜ値上がりするの?いくらになるの?を参考にした価格です。実際の電気料金は電力会社やプラン、電気使用量によって異なります。

 

もう少し詳しく現状を深堀りしますね。

家庭用太陽光発電を導入して10年間(「FIT」期間」といいます)は、1kWhあたり16円で余剰電力を買い取ってもらえる保証がありますが、このFIT期間が終わると売電価格の保証がなくなり、16円ではなく7円~11円程度に低下してしまいます。

※FITについての詳しい情報は、「FIT制度の2023年最新情報|太陽光発電を始めたい方向けに解説」の記事もぜひご覧ください。

 

一方、電力会社から電気を購入する場合の価格は、1kWhあたり35円が目安です(2023年5月時点)。

このように、電気を「売る」よりも電気を「買う」単価の方が高い現状では、売電よりも自家消費(自分で使うこと)を優先させた方が経済的にオトクといえるのです。

この観点からも、蓄電池の導入は、月々の電気代(電気を購入する際に支払う料金)を削減する手段として効果的であることがわかるでしょう。

 

3. 太陽光発電導入時に蓄電池を設置する3つのデメリット

2章では、太陽光発電システム導入時に蓄電池をセットで設置するメリットをお伝えしました。3章では、デメリットも詳しく見ていきましょう。

メリットとデメリットをどちらもそれぞれ詳しく知ることで、「わが家では蓄電池を付けるかどうか」、判断しやすくなるはずです。

 

3-1. 蓄電池を設置する費用がかかる(80万円~200万円程度)

蓄電池を設置する場合には、当たり前ですが、その分の費用が上乗せとなります。

蓄電池を設置するためには、以下のような費用がかかります。

蓄電池の本体価格

62万円(4kWhタイプ)~155万円(10kWh)程度が相場

工事費用

20万円~35万円程度が相場

合計

80万円~200万円程度

 

※この蓄電池の設置費用については、後ほど「4. 蓄電池の導入費用は80万円(4kWh)~200万円(10kWh)が相場」で詳しく解説しています。

ただし、蓄電池の機種によっては、国や自治体の補助金の対象となることがあります。補助金の対象となる機種を選択すれば、上記よりも設置費用を抑えることが可能です。

 

3-2. 10~15年ぐらいで寿命が来る

蓄電池は一生使い続けられるわけではなく、10~15年ぐらいで寿命が来るとされています。そのため、寿命が来たら買い換えなければならないのがデメリットとなります。

蓄電池に寿命があるのは、電気をためる「充電」と、使用する「放電」を繰り返すことにより、少しずつ劣化が進むからです。

家庭用蓄電池の主流であるリチウムイオンバッテリーの寿命の目安は、10年~15年程度です。

寿命はメーカーによっても異なりますので、購入前にメーカーに仕様を確認してみましょう。

 

3-3. 蓄電池を設置するための場所が必要になる

蓄電池を設置するデメリット3つ目は、場所の確保が必要という点です。

新築の戸建てなら最初から蓄電池スペースを確保しておくことが可能ですが、あとで蓄電池を追加する場合には、「どこに蓄電池を置こうか」で悩むことがあるでしょう。

機種によっても異なりますが、家庭用蓄電池の一般的なサイズは、幅:約80cm、奥行:約40cm、高さ:約100cmです。壁との間に十分なすき間を設けて設置するため、相応のスペースが必要となります。

設置場所は屋外・屋内どちらでも構いませんが、高温や低温になりすぎず、結露しない場所が望まれます。

小容量の蓄電池であれば最近は省スペースタイプや壁掛けタイプも出ていますので、検討してみましょう。

4. 蓄電池の導入費用は80万円(4kWh)~200万円(10kWh)が相場

蓄電池は、太陽光発電とセットで導入することで、夜間や停電時にも電力を使える安心感を得たり、電気代削減にもつながったりと大きなメリットがあります。

しかしながら、蓄電池の設置に二の足を踏んでしまう方が多いのは、やはり価格の問題が大きいでしょう。

ここからは、蓄電池を設置する場合の費用の相場をもう少し詳しく解説していきましょう。

蓄電池の価格相場は蓄電容量によって異なりますが、1kWhあたりの価格は15.5万円で見積もることができます。

※蓄電池の1kWhあたりの価格は、経済産業省が公表した令和4年度の目標価格を参考にしました。

経済産業省の「蓄電池産業の競争力強化に向けて」という資料の中で、令和4年度の目標価格は家庭用で15.5万円/kWhと記載されています。

例えば、以下の表を見てもわかるように、5kWhの蓄電池なら77.5万円、7kWhの蓄電池なら108.5万円が目安となります。

 

【蓄電容量別の蓄電池の価格相場】

蓄電容量

蓄電池の価格相場

4kWh

62万円

5kWh

77.5万円

6kWh

93万円

7kWh

108.5万円

8kWh

124万円

9kWh

139.5万円

10kWh

155万円

 

これにプラスして、蓄電池の工事費(設備工事費+電気工事費)がおおむね20万円~35万円ほどかかります。

つまり蓄電池を設置するための費用は、

・小容量(4kWh以下)なら、工事費込みで80万円程度

・一般的な家庭用蓄電池(5kWh~7kWh)なら、100万円~130万円程度

・大容量タイプ(8kWh以上)なら、150万円~200万円程度

を見積もっておくと良いでしょう。

なお、「蓄電池の容量を何kWhにしようか?」と悩んでいる方は、「蓄電池の容量を決めるには?さまざまな選び方や重要なポイントを紹介」の記事もぜひ参考にしてみてください。

自治体による補助金も活用しよう

自治体による蓄電池の補助金を適用できる場合には、費用を大幅に抑えることができます。

例えば、東京都の蓄電池導入促進事業では、蓄電池に対して最大120万円の補助金を支給しています。

お住まいの自治体で補助金制度がある場合には、ぜひ活用しましょう。

 

5. 太陽光発電の費用を回収できる期間を比較!【単体購入vs蓄電池とセットで導入】

ここからは、太陽光発電システムを導入する場合に、「蓄電池もセットで導入するかしないかによって実際にどのくらい初期費用回収期間に差が出るか」をシミュレーションしてみましょう。

今回は、当社のシミュレーションツール「エネがえる」を使って、電気容量4kWの太陽光発電システムを導入するケースのシミュレーションを進めていきます。

その他の条件は以下のとおりです。

日射量観測地点:東京

現在の電気の契約情報:東京電力エナジーパートナー・従量電灯B(50A)

毎月の電気料金:2万円(月平均電力量:465kWh)

生活スタイル:オール電化型

FIT期間中の買取単価:16円/kWh(10年)

FIT終了後の買取単価:8.5円/kWh(15年)

パネル設置:4kW、南向き、傾斜角は4寸(23度)

電気料金上昇率:年率2%を想定

 

なお、先に結論だけお見せしますと、結果は以下のようになりました。

【蓄電池なし・蓄電池ありの回収期間】

初期費用を回収できる期間

蓄電池なし

7.5年

蓄電池あり

14.4年

 

※なお、回収期間は、設置条件や場所、生活スタイル、オール電化の有無、機器の選択などさまざまな状況によって変わってきます。ここで示すのはあくまで一例ですのでご承知おきください。

以下、詳しいシミュレーション内容と結果を解説していきます。

 

5-1. 蓄電池なしの場合

太陽光発電システム設置費用を、どのくらいの期間で回収できるか、具体的にシミュレーションしていきましょう。

【ステップ1】設置費用を見積もる

最初に、4kWの太陽光発電システムを設置するのにかかる費用を算出していきます。

経済産業省の調達価格等算定委員会が取りまとめた資料によると、2023年の太陽光発電設置費用(10kW未満のシステム)は、2022年度と変わらず1kWあたり25.9万円が目安とされています。

参考:調達価格等算定委員会|令和4年度以降の調達価格等に関する意見(PDF資料)

つまり、4kWの太陽光発電システムを設置するための費用は、25.9万円×4kW=103.6万円となります。

 

【ステップ2】設置したことで得られる削減額を試算する

次に、このシステムを設置したことで得られる削減額を試算していきます。

シミュレーションツール「エネがえる」で試算したところ、4kWの太陽光発電システムを設置することで得られる経済効果は、以下のようになりました。

・FIT期間中の削減額:10年間で約143.7万円、1年あたり約14.4万円

・FIT期間終了顔の削減額:5年間で約69.4万円、1年あたり約13.9万円

 

※削減額は、売電収入+電気代削減(電力会社から電気を買わずに済んだ金額)の合計です。

※FIT期間中の売電価格は16円/kWh(2023年度の売電価格)、FIT期間が終了後は、売電価格は8.5円/kWh(予測値)で見積もっています。

 

【ステップ3】投資回収期間を計算する

4kWの太陽光発電システムの設置費用が103.6万円、年間の光熱費削減額が13.9万円(当初10年間)なので、103.6万円÷13.9万円=約7.5年となります。

蓄電池なしのシミュレーションでは、約7.5年で投資額を回収できることが分かります。

※設置条件やパネルの性能、日照条件などによって、結果が変わります。上記のような詳細なシミュレーションをしたい場合は、「エネがえる」を使える工務店や販売店にご相談ください。

 

5-2. 蓄電池ありの場合

次は、蓄電池ありの場合の投資回収期間をシミュレーションしていきましょう。蓄電池以外の条件は同じとします。

【ステップ1】設置費用を見積もる

今回は、オール電化の家庭を想定して、5.6kWの蓄電池をセットで設置するケースを考えていきます。

4章で解説した相場を元に、5.6kWhの蓄電池の相場は86.8万円、設置費用は20万円と見積もります(太陽光発電システムと同時設置なので低めに見積もっています)。

太陽光発電システム本体の設置費用は、先ほど計算した通り103.6万円(4kW)です。

合計すると、103.6万円(4kW太陽光発電システム・工事費込み)+86.8万円(5.6kWhの蓄電池本体)+20万円(設置工事費)=210.4万円となります。

 

【ステップ2】設置したことで得られる削減額を試算する

次に、太陽光発電システム(4kW)+蓄電池(5.6kW)をセットで設置したことで得られる削減額を試算していきます。

シミュレーションツール「エネがえる」で試算したところ、4kWの太陽光発電システム+5.6kWの蓄電池を設置することで得られる経済効果は、以下のようになりました。

・FIT期間中の削減額:10年間で約146万円、1年あたり約14.6万円

・FIT期間終了顔の削減額:5年間で約78.3万円、1年あたり約15.7万円

 

※削減額は、売電収入+電気代削減(電力会社から電気を買わずに済んだ金額)の合計です。

※FIT期間中の売電価格は16円/kWh(2023年度の売電価格)、FIT期間が終了後は、売電価格は8.5円/kWh(予測値)で見積もっています。

 

【ステップ3】投資回収期間を計算する

太陽光発電システム+蓄電池の設置費用が210.4万円、年間の光熱費削減額が14.6万円(当初10年間)なので、210.4万円÷14.6万円=約14.4年となります。

蓄電池ありのシミュレーションでは、約14.4年で投資額を回収できることが分かります。

※設置条件やパネルの性能、日照条件などによって、結果が変わります。上記のような詳細なシミュレーションをしたい場合は、「エネがえる」を使える工務店や販売店にご相談ください。

 

6. 太陽光発電の蓄電池を設置するかどうかを決める際の5つの総まとめポイント

ここまで、太陽光発電導入時に「蓄電池をつけるか?つけないか?」という点について、メリット・デメリットを見ていくとともに、プラスでいくら費用が掛かるかを解説してきました。

改めて、太陽光発電の蓄電池を設置するかどうかを決めるポイントについて、総まとめ的に解説していきましょう。

これまでの内容がやや複雑に感じられた方もいるかもしれませんが、改めて考え方を整理することで、より確実に判断できるはずです。

6-1. 初期費用を支払う余裕があるかどうか

太陽光発電の蓄電池を設置するかどうか決める上で、「初期費用を支払う余裕があるかどうか」が最も重要なポイントとなります。

蓄電池を設置しない(太陽光発電システムを単体で導入する)場合には、設置費用は78万円~130万円程度(システム容量3kW~5kWh)です。

しかしながら、同時に蓄電池を設置する場合には、全体で180万円~275万円程度(蓄電容量5kWh~8kWh)がかかります。

蓄電池を付けることで100万円~145万円ぐらいプラスで費用がかかるため、その費用をかけるかどうかが判断の分かれ目となるでしょう。

新築住宅に太陽光発電システムを導入する場合、住宅を建てる予算に含める必要が出てくるため、どの程度を太陽光発電システムに割けるかを検討する必要があるでしょう。

太陽光発電システムの初期費用については、「太陽光発電の導入コストを蓄電池・補助金別に解説【2023年最新】」の記事でさらに詳しく解説しています。

 

6-2. 太陽光発電に投じたコストを何年で回収したいかどうか

太陽光発電の蓄電池を設置するかどうか決めるポイント2つ目は、「何年で元を取りたいか」という点です。

蓄電池を設置しない場合と、設置する場合には、初期費用を回収できる期間に差が出ます。

【太陽光発電の初期費用を回収できる期間目安】

蓄電池ある・なし

初期費用を回収できる期間

太陽光発電システムを単体で導入する場合

(蓄電池は付けない)

10年以内が目安

太陽光発電システム+蓄電池を

セットで導入する場合

15年以内が目安

 

正直にいってしまえば、「売電して稼ぎたい」「初期費用を確実に回収したい」という考えの方には、蓄電池の設置はあまり向いていないでしょう。

太陽光発電システムと蓄電池を設置する方は、「停電があっても電気を使える安心を買いたい」「電気代の高騰に振り回されたくない」という方がほとんどです。

「元を取りたい」というモチベーションではなく、「安心して暮らせる設備として設置する」という考えの方に、蓄電池が向いています

 

6-3. どのくらい電気に依存しているかどうか(オール電化かどうか)

蓄電池が必要かどうかは、どのくらい電気に依存しているかどうかにもよります。

例えば、オール電化のご家庭は、万が一停電があって電力の供給が止まってしまうと、夜間や悪天候時に全ての住宅設備を使うことができなくなってしまいます。

ガスを併用している住宅ならガスコンロやガス給湯器が使えますが、オール電化の場合はそれらも使えなくなってしまいます。

そのため、オール電化のご家庭には蓄電池も設置するのがおすすめです。

また、高齢の方や病気の方、ペットの生命維持装置や、24時間稼働させているパソコンやサーバーがある場合など、停電したら困る機器を持っている方も、万が一に備えて蓄電池を設置しておくと安心です。

 

6-4. 災害による停電対策をどの程度重視しているか

「停電時に備えたい」という点をどの程度重視しているかによって、蓄電池を設置すべきかどうかが変わります。

「赤ちゃんや小さな子どもがいるから、停電した時にも電力を使えたほうが安心」「寝たきりの親がいるため、停電しても避難が難しい」という家庭の場合は、停電対策を重視している方が多いでしょう。

また、自然災害による停電が起きやすい地域にお住まいの方も、停電対策としての蓄電池を設置する方が多いといえます。

 

6-5. 売電収入を得たいのか自家消費を優先したいかどうか

「売電収入を得たい」と考えているのか、「売電よりも自家消費を優先したいのか」によって、蓄電池を設置すべきかどうかが変わります。

蓄電池がなければ、発電した余剰電力は売電に回ります。そのため、売電を優先させたい方に向いているのは蓄電池なしのシステムです。

一方、自家消費を優先させたい場合には、蓄電池を付けるのがおすすめです。

ただし、後でシミュレーションでも説明しますが、今はFIT期間中の売電価格(国が保証している価格)もかなり下がってしまったため、売電よりも自家消費を優先したほうがオトクになる可能性が高いといえます。

7. 太陽光発電と同時に蓄電池の設置が向いている家庭・向いていない家庭

ここまでの内容を踏まえて、蓄電池の設置が向いている家庭と向いていない家庭をまとめました。

太陽光発電の導入時に蓄電池の設置が向いている家庭

・停電時に備えて安心を買いたい家庭

・オール電化の家庭

・電気料金の高騰に備えたい家庭

・蓄電池導入の補助金が使える家庭

 

太陽光発電の導入時に蓄電池の設置が向いていない家庭

・蓄電池の設置費用を負担に感じる家庭

・もともと電気代が安い家庭

・日中のうちに発電した電気を使い切ってしまう家庭

・蓄電池を設置するスペースがない家庭

・蓄電池の代わりに電気自動車を活用できる家庭

蓄電池の設置が向いている家庭は、停電や電気代の高騰にしっかり備えたいという家庭です。また、東京都など自治体による補助金で「かなり費用を抑えられる」家庭におすすめです。

一方、蓄電池の設置が向いていない家庭は、設置費用・費用対効果が気になる方や、そもそも電気代が安い家庭、設置スペースがない家庭です。

ただし、実際にはシミュレーションしてみなければ経済メリットや設置費用を回収できる期間が分からないため、まずはシミュレーションしてみることをおすすめします。

8. 確実に判断したいなら蓄電池を導入した場合のシミュレーションを行うのがおすすめ

ここまで、自宅に太陽光発電システムを導入する際に、蓄電池も一緒に導入するかどうかについて詳しく解説してきました。

5章で蓄電池を付けた場合の経済メリットや回収期間のシミュレーションも行いましたが、5章で紹介した内容はあくまでシミュレーション例に過ぎません。

実際には、設置するエリアや現在の電気代、生活スタイルなどさまざまな条件によってシミュレーション結果は異なります。補助金が使えるかどうかによっても判断が変わってきます。

そのため、蓄電池を設置するかどうかは机上で判断せず、必ず家庭ごとの事情を踏まえた個別のシミュレーションを行って判断することをおすすめします。

例えば、太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションツール「エネがえる」を使えば、以下のようなことが簡単にシミュレーションできます。

・国内外の主要蓄電池を98%網羅し、製品ごとのシミュレーションが可能

・設置エリアの日射量、設置条件(パネルの向きや傾斜角度)に応じた発電量を算出

・1日の電気利用の流れも確認できるため、効果的な蓄電池の活用方法を提案可能

 

以下のような診断レポートで、導入後の発電量や経済メリットが分かります。

 

 

 

 

ただし「エネがえる」は、工務店や販売店、メーカーなど企業向けに導入いただいているツールとなっています。家庭向けにはツールを公開していません。

上記のような詳細シミュレーションを受け取りたい場合には、ぜひ、「エネがえる」を導入している代理店にシミュレーションを依頼してみてください。

 

9.【販売施工様向け】蓄電池提案ができる太陽光発電シミュレーションなら「エネがえる」

 

ここからは、工務店や販売店、ハウスメーカーなどの代理店様向けに、太陽光発電や蓄電池の提案をスピーディーに行える「エネがえる」の紹介をさせていただきます。

太陽光発電のシミュレーションツールはたくさんありますが、精度が高いシミュレーションをするならば「エネがえる」が最適です。

主要蓄電池製品を98%網羅するなど、特に蓄電池の提案に強い「エネがえる」は、大手有名メーカー様からも全面採用されています。

太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションの

決定版「エネがえる」の特徴

【導入実績がすごい!】

・683社が導入(大手電力・蓄電池メーカー・販売施工店など)

・全国販売実績TOP1・2の蓄電池販売会社が導入

・年10万件超の安心の診断実績

【使い方が簡単!便利!】

・5分で提案書が自動作成

・燃調費単価も月1回自動更新

・主要蓄電池製品を98%網羅

 

「エネがえる」は、蓄電池やエコキュートの長期経済効果を最短15秒で診断可能。わかりやすいグラフ付き提案書で、細かい金額までしっかり提示ができます。

支払い期間やローン金利を入れれば、FIT期間とFIT終了後の負担額も自動計算でき、瞬時に提案可能です。

さらに、主要な蓄電池製品を98%網羅しており、太陽光の発電量だけでなく蓄電池の充電量を考慮した経済メリットをシミュレーション可能

 

 

面倒で複雑な、太陽光発電や蓄電池、オール電化の経済効果を、誰でも簡単に30秒で診断できます。

 

以下のような、視覚でパッと分かる電気利用の流れを資料で提出できるため、お客様への提案もスムーズにおこなえます。

 

1日を通して、どの時間に発電し、どのくらいを自家消費し、どのくらいが蓄電池に貯められて、蓄電池からはどのくらい自家消費に回るかなども、以下のように図で分かりやすく説明できます。

 

 

弊社がおこなったアンケートの結果、エネがえるで出力した診断レポートをお客様に見せたところ、「71%のお客様が、販売会社への信頼度が上がる」と回答しています。

 

 

導入にいくらかかり、それによりどのくらいの経済効果が出るのか、毎月のローン負担額はいくらかになるかを、FIT中からFIT後まで15年という長期にわたり具体的にシミュレーションできるため、お客様からの信頼を勝ち取ることができます。

なお、エネがえるシリーズには他に、産業用のシミュレーションもできる「エネがえるBiz」や、EV・V2H経済メリットシミュレーションができる「エネがえるEV・V2H」もあります。

お客様への提案の確度を上げたい工務店・販売施工会社・メーカー・電力会社は、ぜひ「エネがえるASP」の導入をご検討ください。

 

まとめ

本記事では「太陽光発電システムにおける蓄電池」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

▼アンケート結果から見えてくる蓄電池のメリット・デメリット

・蓄電池を購入しようと思ったきっかけは【光熱費削減・停電対策・環境保護】がTOP3

・蓄電池を導入しなかった理由は【初期費用・費用対効果・元を取る時間】がTOP3

 

太陽光発電導入時に蓄電池を設置する4つのメリット

・発電できない時間帯・天候でも蓄電池に貯めた電気を使える

・災害時など停電した時にも電気を使えて安心

・自家消費を増やすことで電気代を削減できる

 

太陽光発電導入時に蓄電池を設置するデメリット

・蓄電池を設置する費用がかかる(80万円~200万円程度)

・10~15年ぐらいで寿命が来る

・蓄電池を設置するための場所が必要になる

 

蓄電池の導入費用は80万円(4kWh)~200万円(10kWh)が相場

・1kWhあたりの価格は15.5万円

・蓄電池の工事費(設備工事費+電気工事費)がおおむね20万円~35万円

 

太陽光発電の蓄電池を設置するかどうかを決めるポイント

・初期費用を支払う余裕があるかどうか

・太陽光発電に投じたコストを何年で回収したいかどうか

・どのくらい電気に依存しているかどうか(オール電化かどうか)

・災害による停電対策をどの程度重視しているか

・売電収入を得たいのか自家消費を優先したいかどうか

 

記事ではシミュレーション例も紹介しましたが、設置するエリアや現在の電気代、生活スタイルなどさまざまな条件によってシミュレーション結果は異なります。

ぜひ詳細なシミュレーションが可能な「エネがえる」導入店にご相談いただき、個別の詳細な試算をしてみてください。

 

執筆者・相談先(太陽光・蓄電池シミュレーションエキスパート)

国際航業株式会社 公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG
執筆者:樋口 悟

執筆者の略歴:国際航業株式会社エネルギー部デジタルエネルギーグループ。エネルギー診断クラウドサービス「エネがえる」担当。1996年東京学芸大学教育学部人間科学課程スポーツコーチ学科卒業。1997年上場大手コールセンター会社に入社、2000年大手上場小売企業グループのインターネット関連会社で最年少役員に就任。2011年に独立起業。大企業向けにSNSマーケティングやアンバサダーマーケティングを提供するAsian Linked Marketingを設立。30以上の大手上場企業のプロジェクトを担当。5年で挫折。2016年国際航業株式会社新規事業開発部に入社しエネルギー領域の事業開発、エネがえる事業開発を担当。

太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションの国内唯一のエキスパートとして、大手電力・ガス会社、有名太陽光・蓄電池メーカー、全国販売施工店・工務店など約700社以上と、最近ではエネルギー政策立案サイド(国・官公庁・地方自治体)で太陽光・蓄電池推進政策をしている方々へもエネがえるを活用した太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションやアドバイスを提供している。

執筆記事

執筆者のSNS:
・Twitter:@satoruhiguchi
・LinkedInプロフィール:https://www.linkedin.com/in/satoruhiguchi
・Sansan名刺交換:https://ap.sansan.com/v/vc/bu56hqnjvw5upna463tcfvkxka/

 

 

 

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著者情報

国際航業株式会社公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。国内700社以上・導入シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)を開発提供。

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