慣性力を擬似的に提供するインバーター技術:再生可能エネルギー時代の系統安定化の鍵

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国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

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目次

慣性力を擬似的に提供するインバーター技術:再生可能エネルギー時代の系統安定化の鍵

カーボンニュートラル実現に向けた再生可能エネルギーの大量導入は、電力系統に新たな課題をもたらしています。従来の火力発電などのタービン発電機が持つ「慣性力」が減少し、系統の周波数安定性が損なわれる懸念が高まっているのです。この課題を解決する技術として注目されているのが、Grid Forming Inverter(GFM)仮想同期発電機(VSG)と呼ばれる次世代インバーター技術です。

本記事では、この革新的技術の基本概念から最新動向、課題、そして未来展望まで、幅広い視点から詳しく解説します。

この技術は、再生可能エネルギー100%の電力系統を技術的に可能にする鍵となるだけでなく、電力レジリエンスの向上やエネルギーコミュニティの形成など、エネルギーシステム全体に新たな可能性をもたらす重要な技術です。

慣性力とは何か?電力系統における重要性

慣性力の定義と物理的意味

慣性力とは、物理学的には「物体がその運動状態を維持しようとする性質」を指します。電力系統においては、従来の同期発電機(火力発電や水力発電など)のタービンと発電機の回転子が持つ大きな回転エネルギーによって生み出されます。このエネルギーは、系統の周波数変動に対して「変化を妨げる力」として作用します。

同期発電機のタービン・発電機は大きな質量を持ち、一定の速度で回転しています。この回転エネルギーは、系統の微小変動を吸収する「バッファ」として機能します。例えば、大きな負荷が突然系統に追加された場合、発電機の回転速度はすぐには変化せず、その回転エネルギーを放出することで一時的にエネルギーを供給し、周波数の急激な低下を防ぎます。

タービン・発電機の回転体が持つ回転エネルギーの変化により、系統動揺が吸収される仕組みは、電力系統の安定性を支える基本的なメカニズムとなっています。

電力系統における慣性力の役割

電力系統は常に発電と消費のバランスを保つ必要があります。このバランスが崩れると、系統の周波数が変動します。慣性力は、このバランスが一時的に崩れた際に、周波数の急激な変化を抑制する役割を果たします。

具体的には、以下のような効果があります:

  1. 周波数変化率(RoCoF: Rate of Change of Frequency)の抑制:需給バランスの急変に対して、周波数の変化速度を緩やかにします。

  2. 周波数偏差の抑制:最終的な周波数の偏差を小さくします。

  3. 系統安定化:系統擾乱後の振動を抑制し、系統の安定性を高めます。

これらの効果により、系統保護装置の不要動作を防ぎ、電力供給の信頼性を確保しています。

再生可能エネルギー増加による慣性力減少の課題

再生可能エネルギーの多くは、インバーターを介して系統に接続されます。従来のインバーター(Grid Following型)は、系統の周波数に追従する制御を行っており、慣性力を提供する機能を持っていません。そのため、同期発電機が減少し、再生可能エネルギーの割合が増加すると、系統全体の慣性力が低下します。

慣性力の低下がもたらす主な課題は:

  1. 周波数変化率の増加:需給バランスの変動時に周波数が急速に変化し、保護リレーが動作して設備が系統から解列するリスクが高まります。

  2. 周波数偏差の増大:周波数の変動幅が大きくなり、周波数維持に必要な調整力の量が増加します。

  3. 系統不安定化:系統擾乱後の振動が増大し、最悪の場合は系統分離や大規模停電につながる可能性があります。

これらの課題は、特に規模の小さい系統(島嶼部やマイクログリッドなど)で顕著になります。例えば、日本のような比較的小さな系統や、将来的に構築されるマイクログリッドでは、慣性力の確保が重要な課題となっています。

慣性力の評価と管理手法

慣性力を適切に管理するためには、系統の慣性を正確に把握する必要があります。慣性の測定には、従来は電源脱落時のRoCoFから算出する方法が用いられてきましたが、これは常時測定ができないという欠点がありました。

近年では、FFT(高速フーリエ変換)手法を用いて常時慣性を推定する技術が開発されています。この手法により、RoCoFやFrequency Nadir(周波数の最下点)の管理に活用可能な慣性推定が可能になっています。

NEDOの試算によれば、基幹電力系統の再エネ比率が5〜6割になった場合の慣性力不足の対応策費用は年間51億円から128.9億円と見込まれており、この課題解決の重要性と経済的影響が示されています。

慣性力を擬似的に提供するインバーター技術

GFMインバーターとVSGの基本概念

慣性力を擬似的に提供するインバーター技術には、主に以下の2つのアプローチがあります:

  1. グリッドフォーミングインバーター(GFM: Grid Forming Inverter): GFMインバーターは、系統周波数に同期して運転するのではなく、自ら電圧源として振る舞い、系統の電圧・周波数を形成(forming)する能力を持つインバーターです。系統の周波数変動に対して、あたかも同期発電機のように慣性力を提供することができます。

  2. 仮想同期発電機(VSG: Virtual Synchronous Generator): VSGは、GFMの一種で、同期発電機の動作をソフトウェア的にシミュレーションすることで、電力系統に「慣性」と「同期化力」を持たせるインバーターです。電力貯蔵装置(蓄電池など)と組み合わせることで、タービン・発電機の回転体のエネルギーを模擬します。

これらの技術は、インバーターの制御アルゴリズムを変更することで、従来の同期発電機と同様の特性を持たせることを目指しています。

制御原理と技術的アプローチ

VSGの基本的な制御原理は、同期発電機の動揺方程式に基づいています。動揺方程式は、発電機の機械的パワーと電気的パワーの差分が、発電機の角速度変化に影響を与えることを表現しています。

P_ref - P_g = M * (dω/dt) - D(ω_g - ω_m)

ここで、Mは慣性定数、Dは制動係数を表しています。この式に基づき、インバーターの出力を制御することで、同期発電機と同様の挙動を実現します。

VSGの実装方法には、いくつかのアプローチがあります:

  1. Droop方式: 周波数と有効電力、電圧と無効電力の関係に基づく制御を行い、擬似的な慣性を提供します。

  2. 仮想同期発電機(VSM)方式: 同期発電機の動作をより忠実に模擬し、慣性と同期化力の両方を提供します。

  3. 仮想フラックスドループ方式: インバーターの出力電圧ではなく、仮想的な磁束を制御することで、効率的に系統と相互作用する方法です。

これらの制御方式は、それぞれ特性が異なり、用途や系統条件に応じて使い分けられます。

従来のインバーター(GFL)との違い

従来の一般的なインバーターは「Grid Following(GFL)」と呼ばれ、系統の電圧・周波数に追従して運転する方式です。GFLインバーターは、系統の周波数を基準にして制御を行うため、慣性力を提供することができません。

一方、GFMインバーターには以下のような特徴があります:

  1. 電圧源としての特性: GFLが電流源として動作するのに対し、GFMは電圧源として動作し、系統の電圧・周波数・位相変化に応答します。

  2. 高速応答性: 擬似慣性機能は1秒未満の高速応答が特徴で、これは従来のスマートインバーターの応答(数秒~数10秒程度)よりも速いものです。

  3. 自立運転能力: GFMインバーターは、他の電源がなくても自立して系統を形成する能力を持ちます。これにより、マイクログリッドや系統が停電した際の非常用電源としての機能も期待されています。

  4. 慣性力と同期化力の提供: GFMインバーターは、慣性力だけでなく、同期化力(系統擾乱時に元の状態に戻そうとする復原力)も提供することができます。

これらの違いから、GFMインバーターは再生可能エネルギーの大量導入に伴う系統安定化の技術として注目されています。

最新技術動向と研究開発状況

日本の技術開発状況

日本では、再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、GFMインバーター技術の開発が活発化しています。主な取り組みとしては:

  1. NEDOのグリッドフォーミング(GFM)インバータ実用化事業: 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が主導する「再生可能エネルギーの主力電源化に向けた次々世代電力ネットワーク安定化技術開発(STREAMプロジェクト)」の一環として、系統の慣性力低下対策として次世代インバータの実用化開発を進めています。

  2. 各企業の技術開発

    • 東芝:マイクログリッドの安定稼働を実現するGFMインバーターを開発し、太陽光発電にGFMインバーターを搭載した場合に、系統周波数の低下が約3割抑制されることを実証しています。

    • 明電舎:東京電力パワーグリッドと共同で仮想同期発電機機能付き蓄電池用インバータ(VSG-PCS)を開発し、国内メーカーとして初めて市場投入を発表しています。この製品は定格容量600kVAで、電圧型(GFM:Grid Forming)方式を採用しています。

    • 日立産機システム:次世代のパワーコンディショナ「グリッド・フォーミング・インバータ(GFM)」の開発に取り組み、2025年4月に習志野事業所に実装し運用を開始しました。

  3. 産業技術総合研究所(AIST)の研究: AISTは、インバータの擬似慣性機能が保護機能/試験に与える影響を検証し、GFMインバーターの導入に際しての課題を明らかにしています。特に、現行の認証試験(JET試験)では電圧源の特性を持つGFMインバーターは考慮されておらず、連系する電圧階級に合わせた機能要件の検討が必要としています。

これらの取り組みにより、日本のGFMインバーター技術は着実に進展しています。

世界における研究開発と実装状況

世界的にも再生可能エネルギーの大量導入に伴う慣性力の低下対策として、GFMインバーター技術の研究開発が進められています:

  1. 欧州

    • 欧州送電系統運用者ネットワーク(ENTSO-E)は、「合成慣性(synthetic inertia)に関するガイダンス」を発行し、系統コードの枠組みの中で合成慣性の必要性を明確化しています。

    • 欧州連合のネットワークコード(NC RfG、NC HVDC、NC DCC)では、すべてが合成慣性(synthetic inertia)の導入を許可しており、将来的な要件化に向けた準備が進んでいます。

  2. 米国

    • 連邦エネルギー規制委員会(FERC)は、Order No. 842を通じて、新規の発電設備に対して一次周波数応答能力を要求しています。

    • 北米電力信頼度協議会(NERC)は、「インバーターベースのリソースパフォーマンスガイドライン」を発行し、インバーター電源の周波数制御に関する指針を示しています。

    • ハワイ州など島嶼系統を持つ地域では、GFMインバーターの実証と実装が進んでいます。

  3. アジア・オセアニア

    • オーストラリアは、再生可能エネルギーの急速な普及に伴い、系統慣性の確保が重要な課題となっており、GFMインバーター技術の導入を検討しています。

    • 中国や韓国などでも、研究機関を中心にGFMインバーター技術の研究が進められています。

世界的に見ると、特に島嶼系統や再生可能エネルギーの割合が高い系統で、GFMインバーター技術の実証と実装が先行して進められている傾向があります。

標準化・規格化の動き

GFMインバーター技術の普及にあたっては、標準化・規格化が重要な課題となっています:

  1. グリッドコードの整備: 各国・地域では、GFMインバーターを含むインバーターベース電源の系統連系に関する技術要件(グリッドコード)の整備が進められています。日本でも、「電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン」の改定などを通じて、GFMインバーターの技術要件が検討されています。

  2. 試験方法の標準化: GFMインバーターの性能評価や認証のための試験方法の標準化が課題となっています。現行のJET試験などでは、GFMインバーターの特性を適切に評価できない面があり、新たな試験方法の開発が必要とされています。

  3. 国際標準との整合: IEC(国際電気標準会議)などの国際標準化団体でも、インバーターベース電源の系統連系に関する規格の整備が進められており、日本の技術要件もこれらとの整合が図られつつあります。

これらの標準化・規格化の動きは、GFMインバーター技術の普及を促進するとともに、国際市場での日本企業の競争力確保にも関わる重要な要素となっています。

実証事例と成果

日本の実証プロジェクト

日本国内では、GFMインバーター技術の実証プロジェクトが各地で展開されています:

  1. 東芝のマイクログリッド実証: 東芝は、マイクログリッドの安定稼働を実現するGFMインバーターの効果を実機検証しました。模擬的に構築したマイクログリッドに適用した場合の効果を検証し、再エネを実際に使用するなど、より実環境に近い形での実機検証で、太陽光発電にGFMインバーターを搭載した場合に、系統周波数の低下が約3割抑制されることを実証しています。

  2. 日立産機システムの習志野事業所での実装: 日立産機システムは、習志野事業所に太陽光発電設備(合計81.9kW)を設置し、GFMインバーターを3並列構成とした交流マイクログリッドを形成しました。日照の影響で太陽光による発電電力が変動した場合でもGFMが自立系統を維持し、事業所で使用する給水ポンプと構内放送設備へ安定的に給電する実証を行っています。

  3. 環境省のCO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業: 東芝、パシフィックパワー、環境エネルギー技術研究所、産業技術総合研究所、パシフィックコンサルタンツが共同で、「変動性再生可能エネルギーの活用に向けた仮想同期発電機概念に基づく連系用インバーター制御技術の開発」を実施しています。

これらの実証を通じて、GFMインバーター技術の有効性と実用化に向けた課題が明らかになってきています。

海外の実証事例

海外でも、島嶼系統やマイクログリッドを中心に、GFMインバーター技術の実証が進められています:

  1. 米国ハワイ州の実証: ハワイ州では、島嶼系統における再生可能エネルギーの大量導入に伴う課題解決のため、GFMインバーター技術の実証が行われています。特に、太陽光発電や風力発電の変動に対する系統安定化効果が検証されています。

  2. 欧州の島嶼系統での実証: アイルランドやイタリアのシチリア島などの島嶼系統では、風力発電の大量導入に伴う系統安定化策として、GFMインバーター技術の実証が行われています。

  3. 英国の取り組み: 英国では、島嶼部における再生可能エネルギーの大量導入に向けて、GFMインバーター技術の研究と実用化が進められています。特に、National Gridが主導する系統イノベーションプロジェクトにおいて、GFMインバーターの性能評価と実証が行われています。

これらの海外実証事例からは、GFMインバーター技術の系統安定化効果だけでなく、経済性や信頼性に関する知見も得られています。

実証から得られた技術的知見

各種実証プロジェクトから得られた主な技術的知見としては:

  1. 周波数安定化効果: GFMインバーターは、系統周波数の変動を抑制する効果があり、特に周波数変化率(RoCoF)の抑制に有効であることが確認されています。東芝の実証では、系統周波数の低下が約3割抑制されるという具体的な効果が示されています。

  2. 保護機能との協調: GFMインバーターと既存の系統保護機能との協調が課題となっており、特に過電流時の保護協調や単独運転検出機能との両立が難しいことが明らかになっています。産業技術総合研究所の検証では、JET試験においてGFMは多くの項目で不適合となり、以下の3つの課題が明らかになりました:

    • 系統電圧・周波数・位相変化時のOCRによる解列
    • 瞬時電圧低下からの復帰後の出力動揺
    • 単独運転防止機能と擬似慣性機能の両立が困難
  3. 複数GFMインバーターの協調: 複数のGFMインバーターが系統に接続された場合の協調動作も課題の一つであり、制御パラメータの最適化や通信を用いた協調制御の検討が進められています。

  4. 過電流抑制制御: GFMインバーターは電圧源として動作するため、系統事故時に大きな過電流が流れる可能性があります。過電流を抑制しつつ運転を継続する技術が開発されています。例えば、明電舎と東京電力パワーグリッドは共同で過電流抑制機能の特許を取得しています。

これらの知見は、GFMインバーター技術の実用化に向けた課題解決に役立てられています。

GFMインバーターの応用分野

マイクログリッドへの適用

GFMインバーター技術は、マイクログリッドにおいて特に重要な役割を果たします:

  1. 自立運転能力: GFMインバーターは、他の電源がなくても自立して系統を形成する能力を持ち、マイクログリッドの「主電源」として機能することができます。これにより、商用系統から切り離された状態でも安定した電力供給が可能になります。

  2. 再生可能エネルギーの高比率運用: マイクログリッドでは、再生可能エネルギーの比率が高くなる傾向がありますが、GFMインバーターによって系統安定性を確保することで、より高い比率の再生可能エネルギー導入が可能になります。

  3. レジリエンス向上: 災害時など商用系統が停電した場合でも、GFMインバーターを備えたマイクログリッドは独立して運転を継続でき、重要施設への電力供給を維持することができます。

  4. 系統サービスの提供: マイクログリッドがGFMインバーターを通じて商用系統に接続されている場合、系統に対して慣性力や周波数調整などのサービスを提供することも可能です。

再生可能エネルギー主力電源化への貢献

再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、GFMインバーター技術は以下のような貢献が期待されています:

  1. 系統慣性の確保: 火力発電などの同期発電機が減少する中で、GFMインバーターが代わりに系統慣性を提供することで、再生可能エネルギーの割合が高まっても系統の安定性を維持することができます。

  2. 系統整合性の向上: 再生可能エネルギーの出力変動に対する系統の耐性を高めることで、より多くの再生可能エネルギーを系統に接続することが可能になります。

  3. 再生可能エネルギーの自律運転: GFMインバーターを備えた再生可能エネルギー設備は、系統周波数の形成に積極的に参加し、より自律的な運転が可能になります。

  4. 系統安定化コストの低減: 再生可能エネルギーの大量導入に伴う系統安定化対策のコストを低減することができます。NEDOの試算によれば、基幹電力系統の再エネ比率が5〜6割になった場合の慣性力不足の対応策費用は年間51億円から128.9億円と見込まれており、GFMインバーター技術はこのコスト低減に貢献する可能性があります。

これらの貢献により、GFMインバーター技術は、再生可能エネルギーの主力電源化を技術的に支える重要な要素となっています。

レジリエンス向上への寄与

GFMインバーター技術は、電力系統のレジリエンス(強靭性)向上にも寄与します:

  1. ブラックスタート能力: 商用系統が完全に停電した状態(ブラックアウト)からの復旧時に、GFMインバーターは自立電源として機能し、系統の再構築を支援することができます。

  2. 分散型電源の活用: GFMインバーターを備えた分散型電源は、系統事故時に局所的な電力供給を維持することができ、広域停電の影響を軽減します。

  3. 系統分離運転: 大規模系統擾乱時に、GFMインバーターを備えた地域は系統から分離して自立運転に移行することで、停電の連鎖的な拡大を防ぐことができます。

  4. 自立系統の形成: 日立産機システムの習志野事業所の事例のように、GFMを3並列構成として交流マイクログリッドを形成することで、日照の影響で太陽光による発電電力が変動した場合でも自立系統を維持し、安定的に給電することが可能になります。

これらの特性から、GFMインバーター技術は、自然災害の増加や電力系統の複雑化に対するレジリエンス強化策として注目されています。

社会実装に向けた課題

技術的課題

GFMインバーター技術の社会実装に向けては、以下のような技術的課題があります:

  1. 保護機能との干渉: GFMインバーターの擬似慣性機能は、保護リレーの動作時限と重なる1秒未満の高速応答が特徴であり、これが保護機能と干渉する可能性があります。特に、過電流リレー(OCR)による解列や単独運転防止機能との両立が課題となっています。

  2. 過電流対策: GFMインバーターは電圧源として動作するため、系統事故時に大きな過電流が流れる可能性があります。過電流を抑制しつつ運転を継続する制御技術の開発が必要です。明電舎と東京電力パワーグリッドが共同開発した過電流抑制機能は、この課題への対応策の一つです。

  3. パラメータ依存性: GFMインバーターの制御パラメータ(慣性定数、制動係数など)の設定により、その挙動が大きく変わります。系統条件に応じた最適なパラメータ設定方法の確立が課題です。

  4. 複数GFMの協調: 多数のGFMインバーターが系統に接続された場合の制御系の相互作用と不安定性が懸念されており、協調制御の方法論の確立が必要です。

  5. シミュレーション技術: GFMインバーターを含む系統のシミュレーション技術も課題の一つであり、従来の同期発電機中心の系統解析ツールでは十分な精度で模擬できない場合があります。

これらの技術的課題の解決に向けて、産学官連携による研究開発が進められています。

制度的課題

技術的課題に加えて、以下のような制度的課題も存在します:

  1. グリッドコードの整備: GFMインバーターの系統連系に関する技術要件(グリッドコード)の整備が必要です。特に、どのような条件下でどの程度の慣性力や同期化力を提供すべきかという要件の明確化が求められています。

  2. 試験・認証制度の見直し: 現行のJET試験などの認証制度は、GFMインバーターの特性を適切に評価できるものになっていないため、試験手順や判定基準の見直しが必要です。産業技術総合研究所の検証では、「連系する電圧階級に合わせたGFMの機能要件の検討が必要」「試験手順、判定基準等の試験側の見直しも含めた議論が必要」と指摘されています。

  3. 市場メカニズムの構築: GFMインバーターが提供する慣性力や同期化力などのサービスに対する適切な評価と報酬メカニズムの構築が課題です。系統安定化に貢献する機能に対する経済的インセンティブが必要とされています。

  4. 再エネ政策との整合: FIT(固定価格買取制度)やFIP(フィードインプレミアム)などの再生可能エネルギー促進政策と、系統安定化のためのGFMインバーター導入促進策との整合が必要です。

これらの制度的課題は、技術開発と並行して取り組むべき重要な課題となっています。

経済的課題

GFMインバーター技術の普及にあたっては、経済的側面も重要な課題です:

  1. コスト増加要因: GFMインバーターは、従来のGFLインバーターと比較して、制御の複雑化や蓄電池などの追加設備が必要になるため、コスト増加要因となります。

  2. 便益の定量化: GFMインバーターが提供する系統安定化効果の経済的価値の定量化が難しく、投資判断のための便益評価方法の確立が必要です。

  3. 初期市場の創出: 市場が成熟するまでの間、政策的支援や初期市場の創出が必要であり、実証プロジェクトや公的調達などを通じた市場形成が求められています。

  4. 既存資産との競合: 既存の系統安定化設備(同期調相機など)とGFMインバーターとの経済性比較や、最適な組み合わせの検討も必要です。

これらの経済的課題は、技術の社会実装を進める上で重要なボトルネックとなる可能性があり、政策的な対応が求められています。

未来展望:新たな電力系統の形

GFMインバーターが変える電力系統の姿

GFMインバーター技術の普及により、電力系統は従来の「同期発電機中心」から「インバーターベース」の新たな形へと変わっていく可能性があります:

  1. 分散型・自律型の系統: 大規模集中型の電源構成から、多数の分散型電源が自律的に協調する系統へと進化する可能性があります。GFMインバーターを備えた分散型電源は、局所的な系統を形成し、必要に応じて相互接続することで、より柔軟で強靭な系統構成を実現します。

  2. 再エネ100%系統の実現: 理論上は、十分な容量のGFMインバーターと蓄電池があれば、同期発電機がなくても安定した系統運用が可能になります。これにより、再生可能エネルギー100%の電力系統が技術的に実現可能になります。

  3. 階層型の系統制御: GFMインバーターを活用した階層型の系統制御構造が形成され、局所的な最適化と広域的な協調を両立させることが可能になります。

  4. 系統サービスの多様化: 慣性力や同期化力、電圧制御など、これまで同期発電機が担ってきた系統サービスが、GFMインバーターを介して多様な主体から提供されるようになり、系統サービス市場が発展する可能性があります。

このような変化は、電力系統の運用・計画・制御の根本的な見直しを必要とし、電力システム全体のパラダイムシフトをもたらす可能性があります。

新しいエネルギーシステムの可能性

GFMインバーター技術は、電力系統を超えて、エネルギーシステム全体に新たな可能性をもたらします:

  1. セクターカップリング: 電力・熱・交通などの異なるエネルギーセクターの統合(セクターカップリング)において、GFMインバーターは電力系統と他のセクターをつなぐインターフェースとしての役割を果たします。例えば、電気自動車(EV)の充放電を制御するインバーターにGFM機能を持たせることで、EVを移動手段としてだけでなく、系統安定化のリソースとしても活用することができます。

  2. エネルギーコミュニティ: GFMインバーターを活用したマイクログリッドを基盤として、地域単位でのエネルギー自給自足を目指す「エネルギーコミュニティ」の形成が促進されます。これにより、エネルギーの地産地消や災害時のレジリエンス向上が実現します。

  3. プロシューマーの台頭: 太陽光発電と蓄電池、GFMインバーターを組み合わせることで、一般家庭や事業者が「プロシューマー」(生産者かつ消費者)として、より主体的にエネルギーシステムに参画することが可能になります。

  4. エネルギーデジタル化との融合: GFMインバーター技術は、IoTやAIなどのデジタル技術と融合することで、より高度なエネルギーマネジメントを実現します。例えば、気象予測データを活用した予測制御や、分散型のリソースを統合的に最適化する「仮想発電所(VPP)」の高度化に貢献します。

これらの可能性は、エネルギーシステムの分散化・デジタル化・脱炭素化という大きな潮流の中で、GFMインバーター技術が重要な役割を果たすことを示しています。

イノベーションの方向性

GFMインバーター技術の普及に向けて、以下のような方向性でのイノベーションが期待されます:

  1. ハードウェア技術の革新

    • より高効率・高信頼性のパワー半導体デバイス(SiC、GaNなど)の開発
    • 大容量・長寿命・低コストの蓄電池技術の進展
    • モジュラー設計による拡張性と冗長性の向上
  2. ソフトウェア・制御技術の進化

    • よりロバストな制御アルゴリズムの開発
    • 機械学習を活用した適応制御の実現
    • 分散協調制御技術の高度化
  3. システムインテグレーション

    • GFMインバーターと他のグリッド機器との最適な組み合わせ
    • エネルギーマネジメントシステムとの統合
    • マルチベクトルエネルギーシステムへの拡張
  4. 新たなビジネスモデル

    • GFMインバーターを活用した系統サービス提供事業
    • エネルギーコミュニティ運営モデル
    • マイクログリッドのサービス化(MGaaS: Microgrid as a Service)

これらのイノベーションを通じて、GFMインバーター技術の技術的・経済的な障壁が低減され、より広範な普及が促進されることが期待されます。

提言:日本のエネルギー転換とGFMインバーター

政策への提言

日本のエネルギー転換におけるGFMインバーター技術の戦略的位置づけに関して、以下の政策提言を行います:

  1. 系統安定化のためのグリッドコード整備: 再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、系統安定化に必要な機能(慣性力、同期化力など)の要件を明確化したグリッドコードの整備が必要です。特に、どのような条件下でどの程度のGFMインバーター容量が必要かという具体的な基準の策定が求められます。

  2. 系統サービス市場の創設: GFMインバーターが提供する慣性力や同期化力などのサービスに対する経済的評価と報酬メカニズムを構築するため、新たな系統サービス市場の創設が必要です。これにより、GFMインバーター技術への投資インセンティブが生まれます。

  3. 実証プロジェクトの拡大: 様々な系統条件や用途に対するGFMインバーター技術の有効性と課題を検証するため、実証プロジェクトの規模と範囲を拡大する政策的支援が必要です。特に、離島や独立系統での実証は、将来の本土系統の参考となる貴重なデータを提供します。

  4. 研究開発の継続的支援: GFMインバーター技術のさらなる高度化と低コスト化に向けて、基礎研究から実用化までの一貫した研究開発支援が必要です。特に、制御アルゴリズムの高度化、シミュレーション技術の向上、新たなパワー半導体技術の活用などに焦点を当てた支援が求められます。

  5. 国際標準化への積極的参画: GFMインバーター技術の国際標準化活動に日本が積極的に参画し、日本の技術や知見を国際標準に反映させることで、日本企業の国際競争力強化につなげることが重要です。

これらの政策は、再生可能エネルギーの主力電源化とGFMインバーター技術の社会実装を加速するために重要な役割を果たします。

産業界への提言

GFMインバーター技術の開発と普及に向けて、産業界に対して以下の提言を行います:

  1. 標準化と互換性の確保: GFMインバーター間の相互運用性と互換性を確保するための業界標準の策定に協力することが重要です。これにより、異なるメーカーの製品が協調して動作する環境が整備され、市場の拡大につながります。

  2. ユースケースの多様化: GFMインバーター技術の応用領域を拡大するため、マイクログリッド、BCP対策、離島電力、EVインフラなど、多様なユースケースの開発と実証に取り組むことが重要です。特に、初期市場として有望な領域の特定と集中的な取り組みが求められます。

  3. コスト低減への取り組み: 量産効果や設計最適化、部品共通化などを通じたコスト低減に取り組み、GFMインバーター技術の経済性を向上させることが必要です。特に、蓄電池などの付帯設備も含めたシステム全体のコスト最適化が重要です。

  4. 人材育成と技術の普及: GFMインバーター技術に関する専門知識を持った人材の育成と、技術の普及活動が重要です。大学や研究機関との連携による教育プログラムの整備や、技術セミナー・ワークショップの開催などを通じて、技術の理解と受容を促進することが求められます。

  5. オープンイノベーションの推進: GFMインバーター技術の発展には、電力工学、制御工学、パワーエレクトロニクス、情報通信技術など、多分野の知見の融合が必要です。企業間や産学官の垣根を越えたオープンイノベーションの推進が重要です。

これらの取り組みにより、GFMインバーター技術の市場拡大と産業競争力の強化が期待されます。

研究開発への提言

GFMインバーター技術のさらなる発展に向けて、研究開発分野に対して以下の提言を行います:

  1. 制御アルゴリズムの高度化: より高性能かつロバストな制御アルゴリズムの開発が必要です。特に、系統擾乱時の挙動の安定化、複数GFMインバーターの協調制御、適応制御や予測制御の導入などの研究が重要です。

  2. シミュレーション技術の高度化: GFMインバーターを含む電力系統の挙動を正確に模擬するシミュレーション技術の開発が必要です。電磁気学的過渡現象から長期的な系統運用までの幅広い時間スケールを統合したシミュレーション手法の確立が求められます。

  3. 系統安定性解析の新たな理論構築: 従来の同期発電機中心の系統安定性理論を拡張し、GFMインバーターを含む系統の安定性を適切に評価できる新たな理論的枠組みの構築が必要です。特に、小信号安定性解析や過渡安定性解析の手法の再構築が求められます。

  4. ハードウェア技術の革新: より高効率・高信頼性・低コストのGFMインバーターハードウェアの開発が必要です。特に、SiCやGaNなどの次世代パワー半導体の活用や、モジュラー設計による拡張性と冗長性の向上などの研究が重要です。

  5. 学際的研究の推進: GFMインバーター技術は、電力工学、制御工学、パワーエレクトロニクス、情報通信技術など、多分野にまたがる学際的な研究テーマです。異分野の研究者の交流と協働を促進する研究プラットフォームの構築が重要です。

これらの研究開発を通じて、GFMインバーター技術の性能向上と適用範囲の拡大が期待されます。

まとめ

本記事のポイント整理

本記事では、「慣性力(回転エネルギー)を擬似的に提供するインバーター」について、その基本概念から最新動向、応用分野、課題、未来展望まで幅広く解説しました。主なポイントは以下の通りです:

  1. 慣性力の重要性: 電力系統の安定性を支える重要な要素である慣性力は、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い減少する懸念があります。

  2. GFMインバーターとVSGの概念: グリッドフォーミングインバーター(GFM)や仮想同期発電機(VSG)は、同期発電機の特性を模擬し、擬似的な慣性力を提供する技術です。

  3. 技術開発の現状: 日本では東芝、明電舎、日立産機システムなどが開発を進め、NEDOのプロジェクトなどで実証が行われています。海外でも、欧米を中心に研究開発と標準化が進められています。

  4. 実証成果: 実証プロジェクトにより、GFMインバーターの系統周波数安定化効果などが確認されていますが、保護機能との協調などの課題も明らかになっています。

  5. 応用分野: マイクログリッド、再生可能エネルギーの主力電源化、電力系統のレジリエンス向上など、幅広い応用が期待されています。

  6. 課題: 技術的課題(保護機能との干渉など)、制度的課題(グリッドコードの整備など)、経済的課題(コスト増加要因など)が存在します。

  7. 未来展望: GFMインバーター技術の普及により、分散型・自律型の系統や再エネ100%の系統が技術的に実現可能になり、エネルギーシステム全体に新たな可能性がもたらされます。

  8. 提言: 政策、産業界、研究開発の各分野に対して、GFMインバーター技術の普及と発展に向けた提言を行いました。

慣性力を擬似的に提供するインバーター技術は、再生可能エネルギーの主力電源化とカーボンニュートラル実現に向けた重要な技術的基盤であり、今後のさらなる発展が期待されます。

今後の展望

GFMインバーター技術の今後の展望として、以下のような点が挙げられます:

  1. 技術の成熟化: 現在は研究開発・実証段階にあるGFMインバーター技術は、今後数年で実用化段階に移行し、製品の標準化と低コスト化が進むことが予想されます。

  2. 適用範囲の拡大: 初期段階では島嶼系統やマイクログリッドなど小規模な系統での適用が中心ですが、徐々に大規模系統にも適用範囲が拡大していくと考えられます。

  3. 制度の整備: GFMインバーターが提供する系統サービスに対する評価と報酬メカニズムが整備され、新たな市場が形成されていく可能性があります。

  4. 技術の融合: AI/IoT、5G/6G通信、クラウド/エッジコンピューティングなどのデジタル技術との融合により、GFMインバーターはよりインテリジェントで協調的なシステムへと進化する可能性があります。

  5. 国際競争の激化: 欧米中韓などの各国が戦略的にGFMインバーター技術の開発を推進する中、国際的な技術競争と市場競争が激化することが予想されます。

GFMインバーター技術は、エネルギートランジションの中核を担う技術として、今後10年間で大きく発展し、電力システムの根本的な変革をもたらす可能性を秘めています。日本としては、この技術分野でのリーダーシップを確立し、国際競争力を強化していくことが重要です。

参考文献・リンク

  1. NEDOグリッドフォーミング(GFM)インバータ実用化事業: https://renewable.pr.aist.go.jp/ent/project/nedo-gfm/
  2. 東芝、GFMインバーターによる系統安定性を実機検証: https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/22/01/news025.html
  3. 明電舎、仮想同期発電機機能付き蓄電池用インバータ(VSG-PCS)を市場投入へ: https://www.meidensha.co.jp/news/news_03/news_03_01/1235781_2494.html
  4. 日立産機、次世代インバータの設備完成 再エネ普及後の電力安定: https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2023/03/0315.html
  5. インバータ電源における擬似慣性機能が保護機能に与える影響の検証: https://renewable.pr.aist.go.jp/ent/news/research-reports/inertia-protection/
  6. 電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン: https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity/electricity_measures/res_system/pdf/res_system_guideline.pdf
  7. FERC Order No. 842: https://www.ferc.gov/sites/default/files/2020-06/order-842.pdf
  8. Need for synthetic inertia (SI) for frequency regulation – ENTSO-e: https://www.entsoe.eu/Documents/Network%20codes%20documents/NC%20RfG/IGD_Need_for_Synthetic_Inertia.pdf
  9. 仮想同期発電機 – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%AE%E6%83%B3%E5%90%8C%E6%9C%9F%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%A9%9F
  10. 欧米におけるグリッドコード改定状況と関連技術動向に関する調査: https://www.occto.or.jp/iinkai/gridcode/2021/2021_gridcode_12_01.pdf

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著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。お仕事・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

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