太陽光発電システムを導入するか迷っている方の中には、「売電収入はざっくりいくらぐらいになるんだろう?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
システム設置には費用がかかりますので、「いくら儲かるのか」が気になるのも当然のことです。
結論からいうと、平均的な設置容量(4.5kW)の太陽光パネルを設置した場合の売電収入は、年間6万円程度となります。
【太陽光発電の売電収入(2023年度設置の場合)】
システム容量 | 年間予測発電量 | 年間売電収入 | 年間売電収入 |
---|---|---|---|
3kW | 3,645kW | 40,124円 | 21,316円 |
4kW | 4,860kW | 53,499円 | 28,421円 |
4.5kW | 5,467.5kW | 60,186円 | 31,974円 |
5kW | 6,075kW | 66,874円 | 35,527円 |
6kW | 7,290kW | 80,248円 | 42,632円 |
7kW | 8,505kW | 93,623円 | 49,737円 |
8kW | 9,720kW | 106,998円 | 56,843円 |
この記事では、設置容量ごとの売電収入の目安をお伝えするとともに、売電収入を計算する場合の計算式や計算の仕方について詳しく解説していきます。
「太陽光発電システムを導入するか決めかねている」という方は、ぜひこの記事を参考にしていただき、経済メリットについて深く理解してください。
目次
太陽光発電の売電収入は年間6万円程度(容量4.5kWの場合)
まずは結論だけ知りたいという方に向けて、太陽光発電の売電収入の目安をまとめた表を作成しました。
売電収入は、おおまかに、太陽光発電システムの容量と売電単価によって変わります。
【太陽光発電の売電収入(2023年度設置の場合)】
システム容量 | 年間予測発電量 | 年間売電収入 | 年間売電収入 |
---|---|---|---|
3kW | 3,645kW | 40,124円 | 21,316円 |
4kW | 4,860kW | 53,499円 | 28,421円 |
4.5kW | 5,467.5kW | 60,186円 | 31,974円 |
5kW | 6,075kW | 66,874円 | 35,527円 |
6kW | 7,290kW | 80,248円 | 42,632円 |
7kW | 8,505kW | 93,623円 | 49,737円 |
8kW | 9,720kW | 106,998円 | 56,843円 |
※年間予測発電量は、システム容量×1,215kWhで計算しました。 |
例えば、住宅用として平均的な積載量4.5kWの太陽光発電の場合、売電収入は年間約6万円となります。FIT制度(固定価格買取制度)により10年間は16円/kWhで買い取ってもらうことが可能です。
【注意】FIT制度により保証される固定価格は、FIT制度に申請して承認を受けた年度が「何年か」によって変わります。 例えば、2023年にFIT制度に申請・承認を受けた場合の固定価格は16円/kWhとなり、その固定価格でFIT期間中(10年間)ずっと買い取ってもらうことができます。 |
ただし、FIT制度の適用期間が終わる11年目からは価格保証期間が終わるため、個別に電力会社と契約して、契約した価格での売電となります。卒FIT電力買取価格が8.5円の場合、売電収入は年間約3.2万円となります。
それぞれの詳しい計算方法や詳細についてはこのあと詳しく解説していきますので参考にしてください。
太陽光発電の売電収入の計算方法(発電量×売電単価)
1章で解説した太陽光発電の売電収入の計算方法を詳しく解説していきます。
太陽光発電の売電収入(年間)は、以下の計算式で計算できます。
太陽光発電の売電収入(年間)=システム容量 × 1kWあたりの年間予測発電量 × 売電比率 × 売電単価 |
売電収入を決める4つの要素について解説します。
システム容量(3kW~6kWが主流)
「システム容量(設置容量)」とは、ソーラーパネルがどれだけ発電できるかを表わした数値です。システム容量が大きいほど多く発電できます。
家庭に設置する場合のシステム容量は3kW~6kWが主流で、平均は4.5kW程度となります。
「まだシステム容量をいくつにするか迷っている」という方は、とりあえず平均の4.5kWのパネルを設置した場合で売電収入の計算をしてみると良いでしょう。
1kWあたりの年間予測発電量
1kWあたりの年間予測発電量は、設置条件によって変わります。
日照時間が長いエリア(甲府や高知・宮崎など)に設置すれば発電量は多くなりますし、日照時間が短いエリア(秋田)に設置すれば発電量は少なくなります。
参考:環境省|令和元年度再生可能エネルギーに関するゾーニング基礎情報等の整備・公開等に関する委託業務報告書
また、パネルを真南に向けて設置できれば発電量は多くなりますが、真南以外の方角に設置した場合には発電量が少なくなります。
できれば、太陽光シミュレーションツール「エネがえる」などを使って、エリアや設置条件(方角・傾斜角度)に応じた発電量を算出して、それから売電収入を計算するのがベストです。
しかし、シミュレーションが難しい場合には、日本の平均年間発電量である「1kWあたり1,215kWh」を使って計算しましょう。
売電比率
売電比率とは、太陽光発電システムで発電した電力のうち、何%を売電するかを表わしたものです。
発電した電力は、全て売電できるわけではありません。家庭用の場合、まずは自家消費(つまり家庭内で電力を使い)、余った電力(余剰電力)を電力会社に売ることができます。
売電比率は、生活スタイル(日中に多く在宅しているか)やシステム容量と使用量のバランスなどによって変わりますが、一般的に70%程度になることが多いといわれています。
環境庁の資料によると、売電比率の平均値は68.8%なので、この数値をベースに計算すると良いでしょう。
売電単価
売電単価とは、電気を電力会社に売るときの1kWhあたりの単価のことです。
10kW未満のシステムで発電した電気は、FIT制度(固定価格買取制度)により、10年間のあいだは市場価格よりも高い「固定価格」で電力が買い取ってもらえます。
FIT制度の固定価格は年度によって異なります。2023年に10kW未満の太陽光発電を始めた場合には、1kWhあたり16円で10年間は買い取ってもらうことができます。
FIT期間の適用期間が終わった11年後は、市場価格での買取となります。
2023年時点での卒FIT電力の買取価格は、大手電力会社が7円〜9円、それ以外の業者が9円〜11円程度が相場です。
今から太陽光発電を始めた場合、11年後の2034年に卒FIT電力の買取価格がいくらになっているかは分かりませんが、低く見積もって8.5円程度で考えておくと良いでしょう。
太陽光発電の売電収入を設置容量ごとに試算
ここからは、設置後10年間(FIT期間中)の太陽光発電の売電収入について、詳しく解説していきます。
3kWの太陽光発電の売電収入は年間約4万円
3kWの太陽光発電を設置した場合の売電収入は、年間40,124円(当初10年間)となります。
卒FIT後(11年目以降)は、16円/kWhで買い取ってもらえなくなるため、売電単価が下がります。
仮に11年目以降の卒FIT電力買取価格を8.5円とすると、11年目以降の売電収入は、年間21,316円となります。
なお、全国平均よりも日照時間が短いエリアに設置する場合や、南向きなど最適な設置方角に設置できない場合には、上記の売電収入よりも低くなることがあります。
4kWの太陽光発電の売電収入は年間約5.4万円
4kWの太陽光発電を設置した場合の売電収入は、年間53,499円(当初10年間)となります。
卒FIT後(11年目以降)は、16円/kWhで買い取ってもらえなくなるため、売電単価が下がります。
仮に11年目以降の卒FIT電力買取価格を8.5円とすると、11年目以降の売電収入は、年間28,421円となります。
なお、全国平均よりも日照時間が短いエリアに設置する場合や、南向きなど最適な設置方角に設置できない場合には、上記の売電収入よりも低くなることがあります。
4.5kWの太陽光発電の売電収入は年間約6万円
4.5kWの太陽光発電を設置した場合の売電収入は、年間60,186円(当初10年間)となります。
卒FIT後(11年目以降)は、16円/kWhで買い取ってもらえなくなるため、売電単価が下がります。
仮に11年目以降の卒FIT電力買取価格を8.5円とすると、11年目以降の売電収入は、年間31,974円となります。
なお、全国平均よりも日照時間が短いエリアに設置する場合や、南向きなど最適な設置方角に設置できない場合には、上記の売電収入よりも低くなることがあります。
5kWの太陽光発電の売電収入は年間約6.7万円
5kWの太陽光発電を設置した場合の売電収入は、年間66,874円(当初10年間)となります。
卒FIT後(11年目以降)は、16円/kWhで買い取ってもらえなくなるため、売電単価が下がります。
仮に11年目以降の卒FIT電力買取価格を8.5円とすると、11年目以降の売電収入は、年間35,527円となります。
なお、全国平均よりも日照時間が短いエリアに設置する場合や、南向きなど最適な設置方角に設置できない場合には、上記の売電収入よりも低くなることがあります。
6kWの太陽光発電の売電収入は年間約8万円
6kWの太陽光発電を設置した場合の売電収入は、年間80,248円(当初10年間)となります。
卒FIT後(11年目以降)は、16円/kWhで買い取ってもらえなくなるため、売電単価が下がります。
仮に11年目以降の卒FIT電力買取価格を8.5円とすると、11年目以降の売電収入は、年間42,632円となります。
なお、全国平均よりも日照時間が短いエリアに設置する場合や、南向きなど最適な設置方角に設置できない場合には、上記の売電収入よりも低くなることがあります。
7kWの太陽光発電の売電収入は年間約9.4万円
7kWの太陽光発電を設置した場合の売電収入は、年間93,623円(当初10年間)となります。
卒FIT後(11年目以降)は、16円/kWhで買い取ってもらえなくなるため、売電単価が下がります。
仮に11年目以降の卒FIT電力買取価格を8.5円とすると、11年目以降の売電収入は、年間49,737円となります。
なお、全国平均よりも日照時間が短いエリアに設置する場合や、南向きなど最適な設置方角に設置できない場合には、上記の売電収入よりも低くなることがあります。
8kWの太陽光発電の売電収入は年間約10.7万円
8kWの太陽光発電を設置した場合の売電収入は、年間106,998円(当初10年間)となります。
卒FIT後(11年目以降)は、16円/kWhで買い取ってもらえなくなるため、売電単価が下がります。
仮に11年目以降の卒FIT電力買取価格を8.5円とすると、11年目以降の売電収入は、年間56,843円となります。
なお、全国平均よりも日照時間が短いエリアに設置する場合や、南向きなど最適な設置方角に設置できない場合には、上記の売電収入よりも低くなることがあります。
太陽光発電の売電収入についてのよくある質問
ここからは、太陽光発電の売電収入についてのよくある質問を解説していきます。
太陽光発電の売電収入は卒FIT後なくなる?
【答え】なくなりませんが、FIT期間中よりも買取価格が安くなります。
卒FIT(FIT期間が終わること)後は、FIT制度で確約されていた買取価格で買い取ってもらえる仕組みがなくなるため、自分で新たに電力会社と契約して、電力会社が提示する価格で買い取ってもらう必要があります。
卒FIT電力の買取は、大手の電力会社だけでなく新電力会社も行っており、だいたい2023年時点で7円~11円程度が相場です。
FIT制度で保証されていた価格よりは安くなりますが、売電収入がゼロになる訳ではないため安心してください。
太陽光発電の売電収入には税金が発生する?
【答え】給与所得者の場合、売電収入からの所得を含めた「雑所得」が年間20万円以上になる場合には、税金を計算したうえで申告が必要となります。
所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額のことです。太陽光発電システムの売電収入が仮に年間10万円あり、必要経費(減価償却費)が7万円の場合、3万円が所得となります。
太陽光発電の売電収入以外の雑所得(例えばアフィリエイト収入など)が年間18万円あった場合、雑所得の合計が年間20万円以上となるため、申告が必要となります。
なお、個人事業主(自営業者)の場合には、雑所得の金額にかかわらず確定申告が必要です。
売電収入の税金については、国税庁|自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入もぜひ参考にしてください。
太陽光発電の売電収入はいつ入る?
【答え】売電収入は、検針した月の末日に締め切られ、翌月の所定日に月1回振り込まれます。例えば、東京電力では毎月15日が振込日となっているようです。
ただし、売電開始してすぐのタイミングでは、手続きに時間がかかることがあるでしょう。
振り込みについて分からない場合には、電力会社に問い合わせてみましょう。
売電収入と合わせて【電気代削減効果】の経済メリットも見逃せない
この記事では、太陽光発電の売電収入がいくらになるかを解説しました。
しかしながら、太陽光発電を設置することによる経済的なメリットは、売電収入だけではありません。売電収入にプラスして、電気代を削減できるメリットがあります。
例えば太陽光発電システムを設置して、年間5,000kWの発電を行い、年間1,500kWの発電を自家消費(自分で使うこと)、年間3,500kWを売電したとします。
この場合、設置前なら電力会社から購入してた「1,500kWの電気代」が不要になるため、削減できます。
▼電気代削減と売電収入のイメージ(一例)
太陽光発電を設置する場合には、売電収入だけでなく、電気代削減効果がどのくらいも合わせてシミュレーションするのがおすすめです。
太陽光発電の売電収入を細かくシミュレーションするなら「エネがえる」がおすすめ
この記事では、太陽光発電の売電収入が「どのくらいもらえそうか」詳しく解説してきました。
しかしながら、実際には、もらえる売電収入の見込みは、設置するエリアや設置条件、設置する方の生活スタイルなどさまざまな要素によって変わります。
秋田市に設置するか甲府市に設置するかによっても変わりますし、南向きの方角にパネルを向けることができるか、日中に電気を多く消費するかどうかなどによっても変わるからです。
例えば、4kWの太陽光パネルを同条件で、秋田市に設置した場合と甲府市に設置した場合では、年間で2万円以上も売電収入に差が生まれます(日照時間の違いから)。
売電収入を正しく予測するためには、状況によって異なる条件をしっかり設定した上でシミュレーションすることが大切です。
インターネット上にも無料の太陽光発電システムのシミュレーションツールがありますが、おすすめは「エネがえる」です。
エネがえるなら以下のようなさまざまな条件を設定できるため、精度が高い結果を得ることができるからです。
エネがえるAPIで設定できる条件の例 ・システムを設置する場所(エリアによって発電量が異なる) |
エネがえるは、残念ながら個人向けにはツールを公開していません。
しかしながら、大手電力会社や蓄電池メーカー、販売店、工務店、ハウスメーカーなどさまざまな販売店に導入いただいています。
太陽光発電の費用対効果について、できるだけ精度の高い結果を知りたい方は、ぜひ「エネがえる」を導入している工務店や販売店にシミュレーションを依頼してみてください。
【販売店様向け】「エネがえる」なら売電収入もスピーディーに提出可能
ここからは、工務店やハウスメーカーなどの販売店様向けに、太陽光発電や蓄電池の提案をスピーディーに行える「エネがえる」の紹介をさせていただきます。
太陽光発電のシミュレーションツールはたくさんありますが、精度が高いシミュレーションをするならば「エネがえる」が最適です。
太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションの |
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【導入実績がすごい!】 【使い方が簡単!便利!】 |
「エネがえる」は、蓄電池やエコキュートの長期経済効果を最短15秒で診断可能。わかりやすいグラフ付き提案書で、細かい金額までしっかり提示ができます。
売電価格も「エネがえる」なら詳細に設定できます。以下の画像のように、FIT期間中の価格とFIT終了後の価格を任意に設定できるため、将来の売電価格の予測に応じて、経済メリットをケースごとにシミュレーションすることも可能です。
最近はFIT期間終了後の買取価格が上昇傾向にあるので、FIT終了後の買取単価を高くすれば経済メリットも高くなります(デフォルトでは「8.5円/kWh」が設定されています)。
また、以下のように、発電・自家消費・蓄電・売電の流れなどを図解した資料も瞬時に出力できるため、お客様にも視覚的に理解していただきやすいと好評です。
1日を通して、どの時間に発電し、どのくらいを自家消費し、どのくらいが蓄電池に貯められて、蓄電池からはどのくらい自家消費に回るかなども、以下のように図で分かりやすく説明できます。
弊社がおこなったアンケートの結果、エネがえるで出力した診断レポートをお客様に見せたところ、「71%のお客様が、販売会社への信頼度が上がる」と回答しています。
導入にいくらかかり、それによりどのくらいの経済効果が出るのか、毎月のローン負担額はいくらかになるかを、FIT中からFIT後まで15年という長期にわたり具体的にシミュレーションできるため、お客様からの信頼を勝ち取ることができます。
なお、エネがえるシリーズには他に、産業用のシミュレーションもできる「エネがえるBiz」や、EV・V2H経済メリットシミュレーションができる「エネがえるEV・V2H」もあります。
お客様への提案の確度を上げたい工務店・販売施工会社・メーカー・電力会社は、ぜひ「エネがえるASP」の導入をご検討ください。
まとめ
本記事では「太陽光発電の売電収入」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
太陽光発電の売電収入は年間6万円程度(容量4.5kWの場合)
・設置後10年間はFIT制度で「16円/kWh」で買い取ってもらえる |
太陽光発電の売電収入は、以下の計算式で計算することができます。
システム容量 × 1kWあたりの年間予測発電量 × 売電比率 × 売電単価 |
太陽光発電の売電収入を設置容量ごとに試算
・3kWの太陽光発電の売電収入は年間約4万円 |
実際には、もらえる売電収入の見込みは、設置するエリアや設置条件、設置する方の生活スタイルなどさまざまな要素によって変わります。
そのため、必ず事前にシミュレーションを行ったうえで、導入するかどうかを決めることをおすすめします。
太陽光のメリットと発電効率についての総合的な解説は、こちらのページで確認できます。
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