東京都の賃貸オーナー向け補助金2026 断熱・太陽光・蓄電池を入居率アップに変える方法

目次

東京都の賃貸オーナー向け補助金2026 断熱・太陽光・蓄電池を入居率アップに変える方法

東京都の賃貸住宅向け補助金は、断熱・省エネ性能表示・太陽光・蓄電池を、入居率や差別化に変える実務まで考えると強い。既存賃貸の第一手、新築賃貸の東京ゼロエミ住宅、集合住宅の一括受電型再エネまで、2026年3月28日時点の最新情報で整理。
想定読者:
  東京都内のアパート・マンションを1棟所有する賃貸オーナー
  新築賃貸・賃貸併用住宅を検討する建築主
  賃貸オーナー向け提案を行う施工店・管理会社・ハウスメーカー
この記事の要点3つ
1. 東京都の賃貸オーナー向け補助金は、断熱改修だけでなく、診断・表示・太陽光・蓄電池まで一体で使える。
2. 既存賃貸の第一手は、太陽光より先に「診断・表示→窓改修」が合理的
3. 新築賃貸では、東京ゼロエミ住宅の集合住宅向け最大200万円/戸が極めて大きい

東京都の賃貸オーナー向け補助金は「設備導入の助成」ではなく、「空室対策の営業資産」を作る制度として使うと強い

東京都で賃貸住宅を持つオーナーが、2026年にまず理解すべきことはシンプルです。

勝ち筋は「補助金を取ること」そのものではありません。断熱・省エネ性能表示・太陽光・蓄電池を使って、募集時に“光熱費が読みやすい物件”“夏冬の不満が出にくい物件”“差別化しやすい物件”に変えることです。補助金は、そのための原資です。

しかも東京都の賃貸住宅向け支援は、単発の小粒な制度ではありません。既存賃貸なら、省エネ性能診断・表示が最大120万円/棟、高断熱窓が最大30万円/戸、断熱材改修が最大60万円/戸、高断熱ドアが最大27万円/戸。さらに、低圧電力一括受電と組み合わせる再エネ導入では、既築の太陽光が30万円/kW(3.75kW以下、上限90万円/棟)、蓄電池が12万円/kWh(上限216万円/棟)という、集合住宅としてはかなり踏み込んだ支援になっています。新築なら、東京ゼロエミ住宅で集合住宅が最大200万円/戸の建設費支援を受けられ、太陽光・蓄電池・V2Hの上乗せもあります。[1][2][3][4]

一方で、2026年3月11日に東京都は、現行事業の受付停止と、令和8年度事業概要(案)を公表しました。したがって、2026年3月28日時点での正しい整理は、「いま確定している現行制度」と「次年度の案」を分けて読むことです。

この記事では、補助金額の羅列では終わりません。賃貸オーナーが本当に知りたい順番、つまり①入居率や差別化に効くのか、②何から着手すべきか、③太陽光・蓄電池はどんな物件で勝てるか、④募集・申請・施工でどこが詰まりやすいかという順番で整理します。

2026年3月28日時点で押さえるべき制度の全体像

まず、都内賃貸オーナー向けに実務上重要な制度は、大きく3つあります。

制度 対象 何が強いか 注意点
賃貸住宅の断熱・再エネ集中促進事業(既存中心) 都内の賃貸住宅1棟所有者等 診断・表示、窓、断熱材、ドア、太陽光、蓄電池まで一気通貫で支援 事前申込前の契約・着工は原則対象外。登録事業者要件あり
東京ゼロエミ住宅普及促進事業(新築) 都内の新築住宅(戸建・集合住宅等、延床合計2,000㎡未満) 集合住宅で最大200万円/戸。太陽光・蓄電池・V2Hも追加支援 新築向け。各戸認証・水準判定が前提
建築物省エネ法に基づく省エネ性能表示制度 販売・賃貸時の広告等 性能を募集図面・ポータル上で見せやすくなる 新築は広告での表示が必要。既存は推奨だが、東京都の補助では表示要件が重要

この3つを別々に見るのではなく、「診断して表示する」「必要な断熱改修をする」「物件によっては太陽光・蓄電池まで載せる」「募集で見せる」という連続した流れで設計するのが、東京都の賃貸市場では最も合理的です。[1][2][4][6]

なぜ今、賃貸オーナーが「断熱・再エネ」を無視しにくくなっているのか

理由は、制度だけではありません。借り手の評価軸が変わってきたからです。

株式会社LIFULLの調査では、賃貸物件への引越し検討者の74.7%が「電気・光熱費を安くしたい」と回答しています。また、2024年4月に始まった新築住宅向けの省エネ性能ラベルと、既存住宅向けの省エネ部位ラベルについて、どちらも約7割が住み替え検討情報として活用できると答えています。つまり、借り手は「見えない性能」そのものより、光熱費と見える化を重視し始めています。[7][8]

SUUMOリサーチセンターの2025年度調査でも、ZEH賃貸を「家賃が上がっても検討したい」層が23.5%と、4年前より5ポイント上昇しています。ここで重要なのは、全員が高性能賃貸に高い賃料を払うわけではない、ということです。しかし、一部の借り手が確実に評価し始めていることは事実です。供給がまだ多くない段階では、この「少数だが決定権のある評価軸」を押さえた物件が強い。賃貸経営では、満室化よりも、募集時の選ばれやすさ・退去理由の減少・成約の早さが効きます。[9]

東京都の公式コンテンツも、この点をかなり率直に書いています。断熱性能を高め、太陽光等を活用する「燃費のいい家」は、入居者満足度を高め、安定した収益につながる特徴の一つであり、東京ゼロエミ住宅は「他の賃貸物件と差別化できる魅力になるので、入居を検討する方にアピールしやすい」と紹介されています。行政の広報としてはかなり踏み込んだ表現です。[10]

つまり、東京都の賃貸オーナーにとって断熱・再エネは、環境配慮の話だけではありません。募集競争における営業トークのアップデートです。

既存賃貸でまず着手しやすいのは「診断・表示 → 窓 → 断熱材」の順

既存のアパート・マンションで、いきなり太陽光・蓄電池に飛びつく必要はありません。実務的には、次の順が着手しやすいです。

1. 省エネ性能診断・表示:最大120万円/棟で「募集で語れる根拠」を作る

既存賃貸では、まず省エネ性能の診断・表示から入るのが最も筋がいい選択です。東京都の現行制度では、診断・表示に対して対象経費の10/10、上限120万円/件の支援があります。賃貸1棟所有者が対象で、1住戸だけの断熱改修申請も可能、下限額もありません。所有者が東京都外に住んでいても、都内物件なら対象です。[2][11]

この制度変更で特に大きいのは、賃貸集合住宅の所有者住戸も助成対象になったこと、そして診断の実施要件から断熱改修プラン提案書の作成が除外されたことです。要するに、以前よりも診断に入りやすくなりました。[1]

なぜ診断が重要か。理由は2つあります。第一に、断熱・窓改修の優先順位が見えるからです。第二に、募集図面やポータルで使える性能表示の土台になるからです。国土交通省の省エネ性能表示制度では、広告等にラベル表示を行うことで、消費者が性能を把握・比較しやすくなることを目的にしています。新築では2024年4月以降、販売・賃貸広告での表示が必要になっており、既存建築物でも表示が推奨されています。[6]

ここでの本質は、補助金ではなく営業素材化です。賃貸オーナーが持つべき問いは「診断費を補助で浮かせられるか」ではなく、「診断結果をどう募集に転換するか」です。

2. 高断熱窓:最大30万円/戸で、最も説明しやすい改修

既存賃貸で次に着手しやすいのが、高断熱窓です。東京都の現行制度では対象経費の2/3、上限30万円/戸。対象製品は国の断熱リフォーム・先進的窓リノベで登録されている製品で、省エネ診断等の実施省エネ性能表示の実施が要件です。[2]

窓改修が強いのは、借り手に説明しやすいからです。「夏の西日がきつい」「冬の結露がひどい」「エアコンの効きが悪い」といった不満は、賃貸では頻出です。窓改修は、専門知識がない借り手にも伝わりやすく、かつ写真でも訴求しやすい。募集現場での使い勝手がいい改修です。

また、東京都の制度は、断熱だけやって終わりではなく、表示まで含めて求める設計になっています。ここに東京都らしさがあります。単なる工事補助ではなく、「高性能賃貸として市場で認識されるところまで行ってください」という制度です。

3. 断熱材・ドア:築古物件の退去理由を減らす打ち手

断熱材改修は対象経費の2/3、上限60万円/戸、高断熱ドアは対象経費の2/3、上限27万円/戸です。ドア単独では申請できず、窓または断熱材改修とあわせて行う必要があります。[2][11]

ここは築古物件ほど効きやすい一方、工事の負荷は窓より上がります。したがって、「どの住戸からやるか」の設計が重要です。角部屋、西日が強い住戸、最上階、北側住戸、結露・カビクレームのあった住戸、退去理由に暑さ寒さが多い物件など、まずは不満の集中点からやるべきです。

なお、断熱改修の助成対象は、建築中のアパート・マンションではなく、入居済み、もしくは新築後1年以上の物件です。店舗・事務所部分は対象外ですが、居住部分だけ申請できます。築年数の制限はありません。[11]

太陽光・蓄電池は「付ければ得」ではない。勝てるのは一括受電と募集設計まで噛み合う物件だけ

集合住宅の太陽光・蓄電池は、戸建ての話をそのまま横展開すると失敗します。東京都の賃貸向け再エネ支援は魅力的ですが、前提条件もかなり明確です。

低圧電力一括受電方式が前提になる

東京都の賃貸住宅向け再エネ利用では、代表的な方法として低圧電力一括受電方式が示されています。これは、集合住宅が棟として1回線で低圧電気を受電し、そこから各戸へ供給する方式です。東京都のコンシェルジュサイトでは、この方式と太陽光を組み合わせることで、すべての住戸で太陽光発電の電気が利用でき、入居者の光熱費負担軽減、オーナー収入、環境配慮賃貸としてのアピールにつながると説明しています。[12]

これは非常に重要です。つまり東京都の再エネ支援は、単に「屋上に太陽光を載せる補助」ではありません。住戸にどう配るか、どう課金するかまで含めた賃貸スキームです。

現行制度で確認できる補助額

2026年3月28日時点で、現行の「賃貸住宅の断熱・再エネ集中促進事業」で確認できる主な再エネ導入支援は次のとおりです。

項目 現行制度で確認できる水準 主な要件
太陽光(新築、3.6kW以下) 18万円/kW、上限54万円/棟 全住戸で使用可能、一括受電前提、50kW未満等
太陽光(既築、3.75kW以下) 30万円/kW、上限90万円/棟 全住戸で使用可能、一括受電前提、50kW未満等
太陽光(既築、3.75kW超) 24万円/kW 同上
機能性PV上乗せ 最大8万円/kW 認定区分に応じる
架台上乗せ 20万円/kW 陸屋根に限る
防水工事上乗せ 18万円/kW 既築の陸屋根架台設置に伴う場合
電力量計 7万円/戸 検定済み電力量計
データ収集装置 10万円/棟 電力データ提供可能
蓄電池 12万円/kWh、上限216万円/棟 SII登録品、太陽光との同時導入が前提

ここで読み違えやすい点が2つあります。ひとつは、蓄電池はkWh基準で補助されること。もうひとつは、太陽光はkW基準だということです。kWとkWhを混同すると、営業資料の試算が一気に壊れます。[3]

ただし、令和8年度は「案」であり、条件と単価が変わる可能性がある

東京都は2026年3月11日に、令和7年度助成事業の事前申込受付を2026年3月31日17時で停止し、令和8年度の事前申込受付開始を2026年5月末頃予定と公表しました。同時に出た令和8年度事業概要(案)では、診断・窓・断熱材・ドアの上限は概ね現行と同水準ですが、再エネ導入側では、機能性PV上乗せが最大10万円/kWに見直される一方、蓄電池は10万円/kWh、上限180万円/棟となっています。[5]

ここで重要なのは、この時点ではまだ「案」だということです。したがって、2026年4月〜5月の提案書では、現行制度と次年度案を必ず分けて書くべきです。現行の12万円/kWhを当然のように2026年度案件へ横展開するのは危険です。

太陽光・蓄電池が賃貸で強い物件と、そうでもない物件

強い物件は、次の条件が重なるケースです。

  • 屋上・屋根面積が比較的取りやすい
  • 各戸の電力訴求が入居募集で効くエリア・家賃帯である
  • ファミリー向け、子育て層、ペット可など、光熱費感度が高い入居者像と合う
  • オーナーが一括受電・電気契約・説明資料整備まで踏み込める
  • 停電時の共用部・住戸レジリエンスを付加価値として訴求できる

逆に、そうでもない物件は、次のようなケースです。

  • 単身・短期回転型で、入居者が設備差を十分評価しにくい
  • 屋根面積が小さく、1戸当たりメリットが薄い
  • オーナーが電気契約や運用説明に手間をかけたくない
  • 共用部だけで消費して各戸訴求までつながらない
  • 家賃競争が極端に厳しく、差別化より初期投資回避が優先される

賃貸の再エネは、技術で決まるのではなく、募集設計で決まる。この視点が抜けると、設備は入ったのに成約率は上がらない、という典型失敗になります。

新築賃貸なら「東京ゼロエミ住宅」が別市場。集合住宅で最大200万円/戸はインパクトが大きい

新築の賃貸住宅・賃貸併用住宅を考えるなら、話は少し変わります。既存改修よりも、東京ゼロエミ住宅のインパクトが大きいからです。

令和7年度の東京ゼロエミ住宅普及促進事業では、都内の新築住宅(戸建住宅・集合住宅等、延床合計2,000㎡未満)が対象で、住宅建設費の助成は、戸建住宅が水準Aで240万円/戸、集合住宅等が水準Aで200万円/戸、水準Bで130万円/戸、水準Cで30万円/戸です。集合住宅等は、全戸が水準C以上であることが条件で、各戸の水準認証に応じて助成額が適用されます。[4]

さらに、太陽光発電設備は住宅種別・出力に応じて補助が付き、蓄電池は12万円/kWh、V2Hも条件に応じて補助対象です。陸屋根形状のマンション等に架台を用いて設置する場合は、架台費の上乗せもあります。[4]

東京都の公式事例でも、集合住宅の場合1戸当たり最大200万円の助成が受けられ、他の賃貸物件と差別化しやすく、入居検討者にアピールしやすいと紹介されています。ここから読み取れるのは、東京ゼロエミ住宅は単なる「建築補助金」ではなく、新築賃貸のブランド設計だということです。[10]

新築賃貸では、断熱・省エネ・再エネを後から足すより、最初からパッケージで設計した方が整合的です。建築費・賃料設定・募集戦略・メンテナンス計画を一体で組めるからです。逆に言えば、新築で東京ゼロエミ住宅を検討しないのは、東京都内では機会損失になりやすいと言えます。

入居率・差別化・光熱費訴求にどうつなげるか。検索される言葉は、募集現場でそのまま使うべき

賃貸オーナーが検索する言葉は、たいてい正直です。「補助金」だけでなく、「入居率」「差別化」「光熱費」で調べるのは、結局そこが経営成果に直結するからです。ここでは、制度をどう募集実務へ変換するかを整理します。

光熱費訴求は「安いです」ではなく、「理由が見える」状態にする

LIFULL調査では、賃貸検討者の74.7%が「電気・光熱費を安くしたい」と答えています。しかし募集図面では、依然として「南向き」「駅近」「宅配ボックス」だけで、断熱や光熱費の話は薄いことが多い。これは機会損失です。[8]

募集現場では、次のような形に翻訳すると伝わりやすくなります。

  • 省エネ性能ラベル・省エネ部位ラベルの掲示
  • 窓改修済み、断熱改修済みの明記
  • 太陽光・一括受電による「各戸で再エネ利用可」の明記
  • 共用部や停電時の電源確保など、レジリエンス面の訴求
  • 目安光熱費や、従来住戸との差の参考表示

国土交通省の省エネ性能表示制度では、ラベルにエネルギー消費性能、断熱性能、場合によっては目安光熱費も表示できます。つまり、「高性能です」と言うだけでなく、見える形で証明できる時代に入りました。[6]

差別化は、設備名ではなく「暮らしの不満を減らす言葉」で伝える

借り手は、「Low-E複層ガラス」や「BEI」を目的に引っ越すわけではありません。暑い、寒い、結露する、電気代が高い、停電が不安──そうした不満を減らしたいのです。したがって募集時の言葉も、次のようにずらすべきです。

  • 「高断熱窓」より「夏冬の冷暖房効率に配慮」
  • 「太陽光」より「光熱費負担に配慮した再エネ活用型賃貸」
  • 「蓄電池」より「停電時の安心にも配慮」
  • 「ゼロエミ住宅」より「快適性と光熱費を両立した高性能賃貸」

東京都の広報でも、燃費のいい家は「光熱費を抑えながら一年中快適」に暮らせることが、入居者満足度と安定収益につながると説明されています。オーナーはここを、もっと実務言語に変えるべきです。[10]

物件タイプ別に、何から打つべきか

物件タイプ 最優先 次点 再エネの相性
築古・単身アパート 診断・表示、窓 部分断熱、共用部改善 屋根・収支次第。無理に蓄電池まで入れない
ファミリー向け中規模マンション 診断・表示、窓、断熱材 太陽光+一括受電 比較的相性が良い。光熱費訴求が効きやすい
ペット可・子育て訴求物件 断熱・窓 ZEH/ゼロエミ訴求 停電・快適性も訴求できるため相性良好
新築賃貸・賃貸併用住宅 東京ゼロエミ住宅の水準設計 太陽光・蓄電池・V2H 極めて良い。補助・差別化・募集が一体化しやすい
狭小地・屋根制約の強い物件 診断・表示、窓 断熱材・ドア 太陽光は無理せず、断熱と表示を主軸にする

申請実務で詰まりやすいポイント

東京都の制度は手厚い一方、実務での落とし穴もあります。

  • 事前申込前の契約・着工は原則対象外。再エネ導入では、受付確認メール受領後に契約する必要があります。[1][3]
  • 登録事業者であることが重要。診断・断熱改修も再エネ導入も、登録事業者との契約が基本です。昔から付き合いのある工務店でも、登録していなければ使えない可能性があります。[2][3][11]
  • 1棟所有が基本。区分所有の1住戸は対象外です。一方、1住戸だけの改修申請自体は可能です。[11]
  • 併給は条件付き。国の補助金や都の資金を原資としていない助成金とは併用可能ですが、合計が助成対象経費を超えない範囲に限られます。[11]
  • 再エネは契約書・説明資料・電気系統図まで必要。屋根に載せるだけでは終わりません。入居者説明や契約設計が必要です。[3]

ここから分かるのは、東京都の賃貸再エネは補助金申請業務そのものがミニプロジェクト化しやすいということです。だからこそ、診断・断熱・募集・再エネ・申請を分断せず、最初から全体設計する必要があります。

無料コンシェルジュ支援は、制度を「読めないオーナー」ほど使った方がいい

東京都は、賃貸住宅の断熱改修・再エネ利用を促進するため、コンシェルジュによる無料の伴走支援を用意しています。公式サイトでは、賃貸オーナー向け支援策は「補助事業」と「コンシェルジュによる支援」の2本立てであると整理されており、都へ登録されたコンシェルジュ事業者が、省エネ性能診断、断熱改修、補助金案内、申請手続案内などを一貫して支援すると説明しています。[13]

ここは見落とされがちですが、実務上はかなり重要です。なぜなら、賃貸住宅の断熱・再エネ案件は、オーナー単独では「制度を読めても、どこから手を付ければいいか分からない」ことが多いからです。東京都のコンシェルジュ支援は、省エネ性能診断前から断熱改修後まで伴走する設計になっており、再エネ利用に対応できるコンシェルジュであれば、断熱と再エネをあわせて相談できます。[13][14]

特に、以下のどれかに当てはまるオーナーは、最初からコンシェルジュを使った方がいいです。

  • 補助金ページを読んでも、何から始めるべきか整理できない
  • 窓だけやるか、断熱材までやるか判断できない
  • 太陽光・一括受電・各戸訴求まで含めて検討したい
  • 自分で施工店を比較するのが難しい
  • 申請・工事・募集の順番を失敗したくない

東京都の賃貸向け支援は、制度単体で見ると複雑ですが、補助金+コンシェルジュで見ると、かなり着手しやすくなります。補助金記事ではこの導線が抜けがちですが、案件化には実はここが効きます。

よくある失敗パターン

失敗1 補助金額だけ見て、募集戦略がない

最も多い失敗です。窓や太陽光を入れても、募集図面・ポータル・内見時トーク・仲介会社への説明が変わらなければ、入居率改善には直結しません。設備導入の目的は、募集力の改善です。

失敗2 太陽光を共用部利用だけで終わらせる

賃貸の再エネで価値が大きいのは、各戸訴求まで届くことです。東京都も、一括受電と全住戸での利用可能性を要件にしています。共用部だけの削減では、オーナーの電気代削減には効いても、入居者への差別化メッセージは弱くなります。[3][12]

失敗3 令和8年度の「案」を確定情報として扱う

2026年春の営業で特に危ないのがこれです。現行制度と令和8年度事業概要(案)を混同すると、見積・稟議・提案の信頼を損ねます。[5]

失敗4 断熱の効果を家賃上乗せだけで回収しようとする

高性能賃貸は、必ずしも「家賃をいくら上げられるか」だけで見るべきではありません。空室期間短縮、退去率低減、クレーム減少、募集時の説明容易化、長期保有時の競争力維持まで含めて評価すべきです。ここを単純な賃料プレミアムだけで見ると、投資判断を誤りやすくなります。

エネがえるで何を見える化すると、賃貸案件として強くなるか

断熱改修そのもののシミュレーションと、太陽光・蓄電池導入の経済効果シミュレーションは、実務上は切り分けつつ連携させるのが合理的です。特に再エネ案件では、「屋根に何kW載るか」だけでなく、「各戸訴求に換算すると何が言えるか」まで落とし込む必要があります。

エネがえるを活用するなら、少なくとも次の見える化があると強いです。

  • 棟全体の年間発電量・自家消費・余剰の見通し
  • 各戸へ再エネ電力を供給した場合の訴求可能な電気代メリットのレンジ
  • 共用部削減と各戸訴求を分けた説明資料
  • 蓄電池を入れた場合の自家消費率向上・停電時価値・設備費増加の比較
  • 屋根形状、架台、防水工事、メーター、データ収集装置まで含めた総額比較

賃貸オーナーへの提案では、単に「何年で回収」より、「募集で何と言えるか」「競合物件と何が違うか」「どの住戸から効くか」を示す方が刺さります。これは戸建て営業とは違う論点です。

この記事の試算前提・計算チェック済みポイント

  • 補助額は、2026年3月28日時点で東京都・国土交通省等の公表ページまたは公式PDFで確認できた数値のみを掲載しています。
  • 現行制度と令和8年度事業概要(案)は混同せず、本文中で明示的に分けています。
  • 太陽光はkW、蓄電池はkWhで補助単価が設定されるため、単位を分けて記載しています。
  • 併給可否、対象物件、契約タイミングなどはFAQと制度ページを突合して記載しています。
  • 賃貸経営上の効果は、助成金額だけでなく、募集力・差別化・光熱費訴求・レジリエンス訴求を含めて評価しています。

数字が上下する主因

  • 令和8年度事業概要は2026年3月28日時点では「案」であり、正式要綱・手引で変更される可能性があります。
  • 窓・断熱材・ドアの対象製品、対象範囲、面積、住戸数で補助額は変わります。
  • 太陽光・蓄電池は、屋根条件、出力、機能性PVの認定区分、架台・防水の有無、全住戸供給設計で大きく変動します。
  • 賃貸経営上の価値は、家賃上昇よりも、空室期間、成約速度、退去率、競合差別化の影響が大きい場合があります。

賃貸オーナー・集合住宅向けの結論

東京都の賃貸オーナー向け支援を一言でまとめるなら、「まず断熱・表示で募集競争力を上げ、条件が合う棟だけ再エネを各戸訴求まで設計する」です。

既存賃貸なら、最初の一手は省エネ性能診断・表示です。ここに最大120万円/棟が付くうえ、要件変更で入りやすくなりました。次に、高断熱窓や断熱材で、退去理由になりやすい暑さ寒さ、結露、光熱費不満に手を打つ。太陽光・蓄電池は、その上で一括受電と募集設計まで噛み合う棟に絞る。新築賃貸なら、東京ゼロエミ住宅を前提に設計しない理由は薄くなっています。[1][2][3][4][5]

補助金は取って終わりではありません。高性能賃貸として、どう募集図面・ポータル・仲介トーク・内見で見せるかまで設計して、初めて経営成果に変わります。

よくある質問

Q1. 東京都の賃貸向け補助金は、都外在住のオーナーでも使えますか?

使えます。対象は都内の賃貸住宅であり、所有者の所在地は問いません。法人所在地が都外でも、都内の1棟所有物件であれば対象になり得ます。[11]

Q2. 1住戸だけ窓改修したいのですが、申請できますか?

できます。東京都のFAQでは、1住戸から申請可能で、下限額はないと明記されています。[11]

Q3. 建築中の新築アパートでも、既存賃貸向けの断熱改修補助は使えますか?

使えません。断熱改修側は、入居済み、もしくは新築後1年以上の物件が対象です。新築は東京ゼロエミ住宅など別制度で考えるのが基本です。[11]

Q4. 太陽光や蓄電池は、共用部だけで使っても補助対象になりますか?

東京都の賃貸向け再エネ導入では、基本的に低圧電力一括受電により全住戸で使用可能であることが重要要件です。共用部だけの発想では、制度の主旨とズレやすいので注意が必要です。[3][12]

Q5. 国の補助金と併用できますか?

条件付きで可能です。東京都のFAQでは、国の補助金および都の資金を原資としていない助成金との併用は可能で、合計額が助成対象経費を超えない範囲で交付するとされています。[11]

Q6. 2026年度の蓄電池補助額は12万円/kWhで確定ですか?

確定ではありません。2026年3月28日時点で、現行制度では12万円/kWh、上限216万円/棟が確認できますが、令和8年度事業概要(案)では10万円/kWh、上限180万円/棟となっています。正式要綱・手引を必ず確認してください。[3][5]

無料シミュレーション・相談

賃貸住宅で太陽光・蓄電池・一括受電まで含めて検討するなら、補助金額だけでなく、各戸訴求・募集差別化・電気料金の見せ方まで一体で設計する必要があります。

エネがえるBPOでは、棟単位の太陽光・蓄電池導入効果の見える化や、提案書・比較資料づくりに活用できるシミュレーション設計を支援できます。賃貸オーナー向け提案、集合住宅の再エネ導入、東京ゼロエミ住宅や東京都補助金を踏まえた提案整備を進めたい方は、お問い合わせください。

出典・参考URL

  1. クール・ネット東京「賃貸住宅の断熱・再エネ集中促進事業」 https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/chintai_dannetsu/
  2. クール・ネット東京「賃貸住宅における省エネ化・再エネ導入促進事業」 https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/tintai_syouene_saiene/
  3. クール・ネット東京「賃貸住宅の断熱・再エネ集中促進事業〖再エネ導入〗」 https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/chintai_dannetsu/saiene/
  4. クール・ネット東京「令和7年度 東京ゼロエミ住宅普及促進事業」 https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/tokyo_zero_emission_house/tokyo_zero_emission_house_r07_fukyu/
  5. 東京都環境局・東京都環境公社「令和7年度助成事業の受付期間、令和8年度事業概要(案)等について」(2026年3月11日) https://tokyo-co2down.g.kuroco-img.app/v%3D1773124686/files/user/uploads/2026/03/chintai_dannetsu_press_0311.pdf
  6. 国土交通省「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」 https://www.mlit.go.jp/shoene-label/
  7. 株式会社LIFULL「物件の省エネ性能に関する意識調査」 https://lifull.com/news/39278/
  8. SUUMOリサーチセンター「賃貸居住者の生活実態と設備・サービスに対する切望度に関する調査 2025年度」 https://suumo-research.com/work/resident-insights/1790/
  9. クール・ネット東京「『燃費のいい家』が賃貸オーナーにもたらすメリットとは?」 https://www.tokyo-co2down.jp/eco-home/movie/detail07.html
  10. 東京都賃貸住宅断熱・再エネ×コンシェルジュ事業「賃貸住宅の再エネ利用」 https://concierge.metro.tokyo.lg.jp/special/2-3
  11. クール・ネット東京「賃貸住宅の断熱・再エネ集中促進事業 よくある質問Q&A」 https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/chintai_dannetsu/qa/
  12. SUUMOリサーチセンター「2023年度 賃貸契約者動向調査(全国)」 https://suumo-research.com/work/resident-insights/20241003/
  13. 東京都賃貸住宅断熱・再エネ×コンシェルジュ事業「賃貸住宅への支援策」 https://concierge.metro.tokyo.lg.jp/special/5-1
  14. 東京都賃貸住宅断熱・再エネ×コンシェルジュ事業「コンシェルジュ支援の概要」 https://concierge.metro.tokyo.lg.jp/special/4-1

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