リフォーム会社向け太陽光 蓄電池の経済効果シミュレーション活用と成約率アップの戦略

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国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

シミュレーション シミュレータ
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目次

リフォーム会社向け太陽光 蓄電池の経済効果シミュレーション活用と成約率アップの戦略

太陽光蓄電池営業の新たな課題とチャンス

リフォーム業界において、太陽光発電システムと蓄電池の提案はますます重要になっています。

電気料金の高騰や災害時の備えへの関心から、太陽光発電+蓄電池への需要は高まりつつあります。一方で、営業現場では「初期投資の高さ」や「経済効果の不透明さ」が成約の大きな障壁となっているのが現状です。お客様にとって「本当に元が取れるのか?」という不安は大きく、会社側にとってもこれに明確に答えることが成約率アップの鍵となります。

こうした中、近年注目を集めているのが「経済効果シミュレーター」というツールの活用です。

本記事では、リフォーム会社の経営者や営業責任者の皆様に向けて、太陽光発電+蓄電池の経済効果シミュレーターを営業プロセスに取り入れ、成約率を飛躍的に高める戦略を高解像度の知見に基づき解説します。現状の課題分析から具体的ソリューション、導入ステップまで網羅し、事実に裏付けられたエビデンスとともにご紹介します。「高額な商材だから売れない…」と諦める前に、営業手法を革新して競合に差をつけるヒントをぜひ掴んでください。

参考:太陽光・蓄電池の革新的販売戦略: 購買行動科学と経済効果シミュレーションの活用 

参考:国際航業、太陽光・蓄電池の購入・販売実態の白書を公開 ~電気代の高騰が続く中、需要が高まる太陽光・蓄電池に関する 購入や販売のリアルな実態を調査結果を用いて解説!~ | 国際航業株式会社 

1. 太陽光・蓄電池営業に潜むボトルネック:見えない不安と成約率低迷

まず、太陽光発電システムや蓄電池を販売する上で直面する隠れたボトルネックを整理します。多くの企業が認識する通り、高額な設備投資が必要な太陽光+蓄電池の提案では、顧客は費用対効果に非常に敏感です。しかし問題はそれだけではありません。実は営業担当者側にも、成約率に影響を及ぼす見えにくい課題が存在しています。

1.1 営業担当者の試算スキル不足が招く提案力低下

太陽光・蓄電池のメリットを伝えるには、「設置すると電気代がどれだけ節約できるか」「何年で投資回収できるか」といった経済効果の試算が欠かせません。しかし、現場の調査によれば営業担当者の約7割が経済効果の試算に苦手意識を感じているのです。特に中小のリフォーム会社では営業が必ずしも理系出身とは限らず、電気料金の計算や複雑なシミュレーションに自信がないケースが多々あります。

このスキル不足は提案時の不安に直結します。アンケートでは、営業パーソンが感じる課題の第1位が「電気代計算や効果試算が難しく、施主に突っ込まれるのが不安」(39.8%)であり、第2位も「経済効果の試算に手間・時間がかかる」(37.0%)でした。

試算に時間がかかれば提案準備に日数を要し、その間に商機を逃す恐れもあります。また「シミュレーションをメーカーや商社に依頼すると時間がかかる」(34.3%)との声もあり、自社内に迅速に試算できる人材やツールがないことがボトルネックになっている現状が浮き彫りです。

こうした背景から、営業担当者の提案への自信不足が生まれています。実際、「経済効果試算を根拠・信憑性を持って算出できている」と答えた営業は62.0%にとどまり、約4割は十分にできていないと自己評価しています。裏を返せば、提案時に「本当にこの計算で合っているのだろうか」と不安を抱えながら説明している営業が少なくないということです。

1.2 顧客にも伝わる不透明さ:疑念が招く信頼低下

営業側の不安は、往々にして顧客にも伝わります。営業担当者の83.0%が「提案時に経済効果シミュレーションの信憑性や精度に不安を感じたことがあると回答しており、自信の無さは隠しきれません。

顧客から質問攻めにあった際、明確な根拠で即答できなければ、「この営業はあやふやなことを言っているのでは?」と疑念を抱かれてしまいます。

実際の顧客側の調査でも、75.4%もの消費者が提示された経済効果シミュレーション結果の信憑性に疑問を感じたことがあるといいます。多くの顧客が「本当にこのシミュレーション通りの発電量や節約になるの?」と半信半疑で聞いている状況がうかがえます。営業が自信なさげだったり、説明が不明瞭だったりすれば、なおさら不信感を招きかねません。

このように、「経済効果をうまく示せない」ことが営業上の隠れたボトルネックとなり、成約率を下げている恐れがあります。

では、なぜ経済効果の提示がそこまで重要なのでしょうか?次章ではその理由を掘り下げます。

2. 経済効果の「見える化」が成約の鍵である理由

2.1 顧客の最終判断は数字次第:経済価値が心理を動かす

太陽光や蓄電池の導入理由には環境貢献や災害対策もありますが、多くの一般顧客にとって最大の関心事は経済的メリットです。「環境に良いから」と提案しても、最終的に心を動かすのは電気代がいくら減るかという具体的な数字であるケースが多いのです。実際、行動経済学の研究でも「人は環境価値(エコ)より経済価値(お金)に動機づけられる」傾向が指摘されています。特に大きな初期投資が必要な場合、その傾向は顕著です。

顧客心理を考えてみましょう。例えば「今すぐ〇〇万円の設備投資をすれば、毎月〇千円の電気代削減が見込めます」という提案は、一種の将来の利益のために今お金を払う行為です。

このとき、多くの人は「本当にその利益が得られるのか?」と慎重になります。人間には損失回避の心理があり、同じ金額の損失の痛みは、同額の利益の喜びの2.5倍も大きく感じるとも言われます。要するに、「得するかも」という期待より「損したくない」という不安の方が強いのです。

したがって、経済効果をきちんと数値で示すことは、顧客の不安(損失への恐れ)を和らげ、安心して前向きな意思決定をしてもらうために不可欠です。逆に数字が曖昧だったり根拠が示されなかったりすると、「もしかして損をするかも」という心理が勝り、導入を見送られてしまうリスクが高まります。

実際、先述の顧客アンケートでは「投資回収ができるかどうか」を懸念する人が57.0%でトップでした。次いで「発電量がシミュレーション通りになるか」が45.6%と、上位の不安要因はいずれも経済効果やシミュレーションの信頼性に集中しています。経済メリットに確信が持てなければ、大半の顧客は購入に踏み切れないのです。

2.2 「見える化」で得られる2つの効果:説得力と信頼感

経済効果を見える化(可視化)することには、営業上少なくとも二つの効果があります。一つは提案の説得力向上、もう一つは顧客との信頼関係構築です。

まず、説得力について。口頭で「10年間で○○万円お得になりますよ」と言うより、グラフや表で電気代のビフォー・アフターを示したり、投資回収までの年数を明記したりする方が、はるかに具体的で理解しやすい提案になります。人は視覚情報に強く訴えられるため、数字を絵やチャートで示すことで「こんなに違うのか!」と直感的にメリットを感じてもらえます。

営業現場でも、資料のクオリティが上がり提案資料の説得力が大幅に向上したとの声があります。ある導入事例では、シミュレーション導入後に成約率が30%から40%へと10ポイント改善し、資料を見た顧客からの評価も向上したそうです。

次に信頼関係です。根拠データを示すことは、「この会社(担当者)はきちんとした計算に基づいて提案している」という信頼感の醸成につながります。ただでさえ高額な商品を扱うリフォーム営業では、数字に限らず透明性が重要です。いい加減な説明では「騙されるのでは?」と警戒されてしまいます。

逆に、自社で算出した経済効果を堂々と見せ、「この通りの結果が出る見込みです」と言い切れれば、顧客も安心して話を聞けます。結果として顧客との心理的な距離が縮まり、商談を前向きに進めやすくなるのです。

以上のように、太陽光・蓄電池営業において経済効果の試算と提示は避けて通れない重要プロセスとなっています。しかし、前述のとおり多くの営業担当者がそれを苦手としてきました。このギャップを埋めるソリューションとして登場したのが経済効果シミュレーターなのです。

3. 経済効果シミュレーターとは何か:15秒でわかる魔法のツール?

3.1 シミュレーター概要:複雑な計算を瞬時に、誰でも簡単に

経済効果シミュレーターとは、太陽光発電パネルや蓄電池を導入した場合の発電量・消費電力・電気代削減効果などを総合的に計算し、経済的なメリットを可視化してくれるソフトウェアです。クラウドサービスやアプリ、Webツールの形で提供され、必要な入力情報(地域の日射量データ、パネル容量、蓄電池容量、家庭の電力使用量など)を入れると、年間の発電量予測、電力自給率、電気料金削減額、売電収入などを自動算出してくれます。

要は、これまで営業担当者がエクセルや電卓で四苦八苦していた試算作業を一瞬で代行し、しかも見やすいグラフや数値でアウトプットしてくれるツールです。

昨今の先進的なシミュレーターでは、専門知識がなくても15秒程度で様々なパターンの経済効果がわかるとうたわれています。例えば日当たりの異なるプラン(南向き屋根 vs 東西向き)、蓄電池あり/なし、さらにオール電化やEV導入まで含めたケースなど、複数のシナリオを瞬時に比較できるものもあります。これにより営業担当者は、その場でお客様の質問に答えたり、条件を変えたシミュレーションを見せたりできるため、商談のスピードアップ提案の柔軟性向上が期待できます。

さらに特筆すべきは、こうしたシミュレーターがクラウド経由で常に最新の電気料金プランや補助金情報を反映してくれる点です。電力料金は地域や契約プランによって異なりますし、売電価格や補助金制度も毎年変わります。手作業で追うのは大変ですが、専用ツールなら自動アップデートされるため、誰がやっても同じ高精度の試算が可能です。これは組織にとってもメリットで、属人的なバラツキがなくなり新人でもベテランと同等の提案資料を作成できます。

参考:全国自治体(国・都道府県・市区町村別)スマエネ補助金データベース参照機能を使ってみませんか?太陽光・蓄電池・EV/V2H・自家消費・省エネ・ZEH・ZEBなど補助金を約2,000件網羅・月1更新中。 – YouTube 

参考:電気料金の単価を100社3,000プランから簡単参照。エネがえる電気料金プラン参照機能のデモ動画(低圧電灯・低圧電力・高圧・特別高圧) – YouTube 

3.2 営業現場にもたらす恩恵:スピード・安心・差別化

経済効果シミュレーター導入による恩恵は多岐にわたりますが、主なものを整理すると以下の通りです。

  • (1)提案準備の効率化:煩雑な電気代計算や発電量予測を自動化することで、提案資料作成にかかる時間を大幅に短縮できます。ある導入企業では商談1件あたりの提案準備時間が平均2時間→1.5時間に短縮した例もあります。空いた時間でより多くの顧客に対応したり、質の高いフォローアップに充てることができます。

  • (2)営業担当者の自信向上:シミュレーション結果という裏付けがあることで、営業が堂々と提案できるようになります。「計算間違いではないか…」という不安が消え、新人でも自信を持って提案可能になったとの報告があります。実際、ツール導入企業では新人営業が導入3ヶ月でベテランと同等の成績を上げたというケースもあり、教育・育成の面でも効果絶大です。

  • (3)顧客への説得力・納得感向上:前章で述べた通り、数字の裏付けがある提案は顧客の納得感を高めます。シミュレーターによって電気代削減額や期間を視覚的に示すことで、顧客が理解・共感しやすくなるのです。「百聞は一見にしかず」で、グラフを見せられたお客様が「こんなに違うんですね!」と前のめりになる場面も珍しくありません。

  • (4)他社との差別化:最新ツールを活用していること自体が、競合他社との差別化要因になります。アンケートでも「他社と差別化できるから」シミュレーターを導入したいと答えた営業担当者が54.3%でトップでした。提案力の高さをアピールでき、顧客から見ても「この会社はきちんとデータに基づいて提案してくれる」と評価が上がります。

  • (5)トラブル防止:シミュレーションの精度が上がれば、導入後の「聞いていた話と違う」というクレームも減ります。実際に正確なシミュレーションにより導入後のトラブルが減少し、顧客満足度が向上したという報告もあります。営業担当者の心理面でも、「将来お客様に文句を言われたらどうしよう」という不安が減り、安心して売れるようになります。

以上のように、経済効果シミュレーター営業現場のゲームチェンジャーと言える存在です。では、このツールの力を最大限に引き出し、成約率を劇的に上げるには何が必要でしょうか?次章では、経済効果シミュレーターと併用すると効果倍増となる「保証」という戦略について解説します。

4. シミュレーション結果の保証:信頼を勝ち取る究極の戦略

「シミュレーション結果が保証されるなら成約率は高まる」85.9%が回答し、「成約期間が短縮できる」83.1%が回答している。加えて、営業担当者自身の自信向上81.1%)や顧客からの信用強化につながると期待されている。

4.1 「結果を保証します」が与えるインパクト

経済効果シミュレーターで試算結果を示すだけでも大きな効果がありますが、近年それを一歩進めた「シミュレーション結果の保証サービス」が登場し、注目を集めています。これは、営業時に提示した経済効果シミュレーションの結果について、実際の導入後に差異が生じた場合はその差額を補填するなどと約束するものです。いわば「我々の試算は正確です。もし外れたら損失は補償します」とコミットする施策であり、顧客にとっては極めて心強い保証となります。

この結果保証が営業現場と顧客心理にもたらすインパクトは絶大です。国際航業株式会社の調査では、営業担当者の85.9%が「シミュレーション結果が保証されるなら成約率は高まる」と回答しました(上図参照)。さらに83.1%が「成約期間(商談の長さ)を短縮できる」と感じるといいます。保証があることで顧客の迷いが減り、即決に近づくと営業側も実感しているのです。

営業担当者自身の心理面でも、81.1%が「差額保証があるなら自信を持って提案できる」と答えています。保証サービスはシミュレーション結果の信頼性を裏付け、営業の強力な後ろ盾となります。自社でここまでコミットするなら間違いない、という安心感が営業・顧客双方に生まれるのです。

一方、顧客アンケート(太陽光・蓄電池未導入者対象)でも「結果が保証されるならその会社にお願いしたい」人が67.3%にのぼり、「家族の同意を得やすくなる」と感じる人も65.4%と多数派でした。高額商品では自分だけでなく家族の説得も課題ですが、保証があれば「元が取れなかったら補償してくれるから大丈夫」と説明しやすく、反対されにくくなるという効果も期待できます。

4.2 損失回避バイアスへの直接的アプローチ

保証戦略が有効な理由は、先に述べた損失回避の心理に真っ向から応える点にあります。人は損を嫌うため太陽光投資に二の足を踏みがちですが、「万一損になっても補償します」と言われれば安心して一歩を踏み出せます。「得をする期待」より「損しない安心感」が購買意欲を高めるわけです。ある専門家は、家庭向け再エネ普及策として「電気料金無料を保証するといった心理訴求が求められる」と指摘しています。保証はまさにこの心理訴求そのもので、太陽光・蓄電池営業における究極の不安解消策と言えます。

参考:国際航業、日本リビング保証と業務提携/太陽光発電・蓄電システム「経済効果シミュレーション保証」の提供開始~予測分析を活用し、性能効果をコミットする「シミュレーション保証」分野を強化~ | 国際航業株式会社 

4.3 保証項目の工夫:何をどこまで保証するか

もっとも、ひと口に保証といっても「何を保証するか」が重要です。シミュレーション結果には様々な指標(発電量、蓄電池の放充電量、電気代削減額、投資回収期間など)がありますが、調査によれば営業担当者が「保証してほしい」と感じる項目は、「蓄電システムの充放電量(kWh)」が53.8%でトッ*、次いで「太陽光パネルの発電量(kWh)」48.1%でした。つまり、まず設備そのものの性能(発電量や蓄電池の働き)を保証してほしいというニーズが強いようです。これらは天候や機器性能に左右され、顧客が一番不安を感じる部分です。

一方、「電気代削減額(円)」を保証してほしいとする割合は太陽光分で34.9%、蓄電池分で40.0%とやや低めです。電気代は使用量や電気料金プランによって変動するため、完全保証は難しい面もあります。そのため現実的には、試算された発電量の一部を保証し、その結果として電気代削減につなげるという形でサービス化されています。また「投資回収期間」を保証してほしいという声は19.8%にとどまり、そこまで踏み込んだ保証は求める人は少数派です。実際の保証プランでも「1年で試算された年間発電量の5000kWhの80%を保証発電量として実績がそれを下回ったら売電単価か買電単価で金額換算して差額補填」といった形が想定されています。

保証の提供方法としては、自社で担保する場合もあれば、保険商品と組み合わせて万一のコストに備えるケースも考えられます。いずれにせよ、保証を打ち出すには自社のシミュレーション精度に対する相当な自信が必要です。だからこそ、高精度なシミュレーター導入が前提条件となります。いい加減な計算で保証を付ければ会社が損をしてしまいます。

※参考:国際航業、日本リビング保証と業務提携/太陽光発電・蓄電システム「経済効果シミュレーション保証」の提供開始~予測分析を活用し、性能効果をコミットする「シミュレーション保証」分野を強化~ | 国際航業株式会社 

4.4 保証戦略の成果:成約率・信頼度アップの実例

では、実際に経済効果シミュレーション保証を導入するとどれほど効果があるのでしょうか。あるサービス提供企業の調査によれば、「シミュレーション結果の保証があるなら導入を検討したい」消費者が約7割に達したとのことです。さらに保証があるなら家族の同意も得やすくなるという声が65.4%と、購買決定プロセス全体を後押しする効果が示されています。

営業側でも、保証サービスを活用した提案を始めてから「商談がスムーズになり顧客の迷いが減った」という声や、成約率そのものが向上したという事例が報告されています。

もっとも、保証は万能薬ではなく適切な運用が大切です。保証内容を明確に説明し、顧客に誤解なく理解してもらうこと、社内でも保証履行のためのデータ管理(実際の発電量計測など)をきちんと行うことが求められます。しかしそれを差し引いても、経済効果シミュレーター保証の組み合わせは、価格競争に陥りがちなリフォーム業界で価値訴求による差別化成約率アップを実現する強力な武器となるでしょう。

※参考:国際航業、日本リビング保証と業務提携/太陽光発電・蓄電システム「経済効果シミュレーション保証」の提供開始~予測分析を活用し、性能効果をコミットする「シミュレーション保証」分野を強化~ | 国際航業株式会社 

5. 成約率アップの実践ステップ:戦略的導入と営業プロセス改革

ここまで、経済効果シミュレーションの重要性と保証戦略の威力を見てきました。最後に、これらを現実のリフォーム会社の営業活動に落とし込み、成約率向上を実現するための具体的な道筋(ロードマップ)を示します。

5.1 現状課題の認識と共有

まず経営層・営業責任者は、自社の太陽光・蓄電池提案における現状課題を客観的に洗い出しましょう。営業担当者が試算に苦手意識を持っていないか、提案に自信を欠いていないか、また顧客から経済効果に関する不信感を持たれていないかなど、前述の調査結果を参考に、自社でも当てはまる点がないか振り返ります。成約率が伸び悩んでいる場合、価格の問題だけでなく提案プロセス上のこうしたボトルネックが潜んでいる可能性があります。経営層と現場が危機感を共有することで、次の施策導入がスムーズになります。

5.2 適切なツールの導入検討

次に、信頼できる経済効果シミュレーターを選定・導入します。選ぶ際のポイントは以下の通りです。

  • 精度と実績:国内外での導入実績が豊富で、シミュレーション精度に定評のあるツールを選びましょう。気象データや電力料金データの更新頻度、計算ロジックの信頼性を確認します。国や自治体の補助金計算なども自動対応しているとなお良いです。

  • 使いやすさ:現場の営業が抵抗なく使えるUIであることが重要です。入力項目が多すぎず、ガイドに従って簡単に操作できるもの、結果表示が見やすくカスタマイズ可能なものを選びます。「15秒で試算完了」のようにスピード感があるかもチェックします。

  • 出力される資料のクオリティお客様に見せるレポートやグラフが、そのまま提案書として使えるクオリティかどうかも大事です。自社ロゴや社名を入れられる、提案書として体裁が整っているなど、営業現場で即戦力になるものを選びましょう。

  • 価格体系・サポート:費用対効果も考慮します。月額課金やライセンス費用に見合う効果が見込めるか、また導入時の研修やサポート体制が充実しているかも確認します。可能であれば無料トライアル期間を活用し、実際に自社案件で試用してみると良いでしょう。

5.3 営業プロセスへの組み込み

シミュレーターを導入したら、営業フロー自体をツール活用前提に再設計します。例えば以下のような流れが考えられます。

  1. 初回ヒアリング:顧客の電気使用量(過去の電気代明細)や家族構成、在宅時間帯などを詳しくヒアリング。可能なら現地調査で屋根の形状・方位も確認します。ここで得たデータをシミュレーション入力に使います。

  2. その場で簡易シミュレーション:ヒアリングの場でタブレットやノートPCを使い、簡易的なシミュレーションを実行。例えば「仮に5kWの太陽光を載せると年間これだけ発電して、電気代がこれくらい下がりそうです」目の前で試算結果を見せます。これにより顧客の興味を引きつけ、具体的な議論に入れます。

  3. 詳細提案書の作成:後日、詳細な条件でもう一度シミュレーションを行い、蓄電池の有無や容量違い、複数プランを比較した提案資料を作成します。ツールから自動生成されるレポートに、自社の提案メッセージを加筆し、オーダーメイドの提案書として完成させます。

  4. 提案・クロージング:再度の商談で提案書を提示。経済効果の数字を用いながら、「○年で初期費用を回収でき、その後は年間○円お得になります」10年間で累計○○万円のプラス効果になります」等、具体的メリットを強調します。顧客が懸念を示した点(初期費用、メンテナンス、不確実性など)にはシミュレーション結果や保証内容を引き合いに出して回答し、最後に保証付きプランがあれば提案します。「万一計算通りの効果が出なかった場合は保証サービスを適用して差額を保証しますのでご安心ください(※費用は販売側が負担)」と伝えることで、顧客の背中を押します。

  5. 契約後のフォロー:導入後はシミュレーション結果と実績の差異を定期的にモニタリングします(多くの場合モニターシステム等で発電・蓄電データが取れます)。結果が計画を上回れば顧客に報告して喜んでもらい、下回った場合は原因分析と必要なら保証対応を行います。このようなアフターフォローまで丁寧に行うことで、顧客満足度が高まり口コミや紹介にもつながります。

5.4 社内研修とナレッジ共有

新たなツールとプロセスを導入した際には、営業スタッフへの徹底したトレーニングが欠かせません。シミュレーターの操作方法だけでなく、結果をどう噛み砕いて説明するか顧客の反応別にどんな切り口でメリットを訴求するか、といった営業トーク面の研修も実施しましょう。例えば、「環境メリットを重視する顧客にはCO2削減量も併せて伝える」「経済メリット重視なら初期費用と月々効果の比較にフォーカスする」など、顧客タイプに応じたシミュレーション結果の見せ方を共有します。

また、ツールを使いこなす中で成功したセールストークや資料構成の工夫などが出てきたら、組織内でナレッジ共有します。営業会議で成約事例を発表してもらい、「このグラフを見せたらすごく響いた」「保証の話をしたら即決につながった」等の知見を蓄積・水平展開します。そうすることで組織全体の提案力が底上げされ、シミュレーター導入効果を最大化できます。

5.5 継続的な改善とマーケティング活用

導入後は、成約率や商談期間のKPIを計測し、ツール導入前後でどの程度改善したかを定量的に評価します。もし期待したほど効果が出ていない場合は、営業プロセス上にさらなるボトルネックがないか分析し、戦略を調整します。例えば、ツールを使いこなせていない営業がいれば追加研修をする、保証内容が伝わりづらいなら説明資料を見直す、といった改善を続けます。

さらに、得られた成功データや事例をマーケティングにも活用しましょう。実際のお客様のケースで「年間○円節約できた」「試算より多く発電してくれた」等のエピソードがあれば(許可を得た上で)自社サイトやチラシで紹介します。導入事例」として経済効果シミュレーションの具体的成果を発信すれば、新規顧客の興味を引く強力なコンテンツになります。

最近はWeb上で一般ユーザ向けに簡易シミュレーションを提供する会社もありますが、自社の営業担当と対話しながら詳細シミュレーションまでできるという体験価値は、リフォーム会社ならではの強みです。ぜひ営業プロセスそのものをブランディングし、「うちではここまで綿密に効果を試算して提案します」というメッセージを発信していきましょう。

おわりに:データに裏付けされた提案が信頼と成約を生む

太陽光発電・蓄電池の提案営業において、経済効果シミュレーターの活用と結果保証という戦略は、従来の勘と根性に頼った営業をデータ駆動型・顧客本位の営業へと変革するものです。高額商材だから売れないという常識を覆し、科学的な試算とリスク保証によって顧客の不安を解消し、納得漕ぎつける営業へシフトすることで、実際に多くの企業が成約率向上という成果を上げています。

この戦略の本質は、顧客の立場に立って考えることに他なりません。顧客が何を不安に思い、何を知りたいのかを汲み取り、その答えをデータと約束によって提示する。まさにコンサルティング営業・ソリューション営業の極致と言えるでしょう。価格を安くするだけではない、価値と安心を提供する販売手法は、これからのリフォーム業界で生き残るために不可欠な差別化要因となります。

もちろん、シミュレーターを使っても魔法のように全ての案件が成約する訳ではありません。しかし、数字に基づく説明ができる会社とできない会社では、長期的に見て顧客から選ばれる率に確実に差がつくでしょう。太陽光・蓄電池市場は今後も成長が見込まれ、競争も激化します。その中で持続的な成長を実現するには、従来のやり方にとらわれず営業プロセスを革新し、データとテクノロジーを最大限に活用することが不可欠です。

最後に、本記事で述べた戦略をまとめると以下のステップになります:

  1. 問題の認識:営業担当者の経済効果試算への苦手意識が成約率低下の一因であることを理解する。

  2. 適切なツール導入高精度かつ使いやすい経済効果シミュレーターを導入し、営業担当者の提案力を底上げする。

  3. 保証サービスの活用:可能であればシミュレーション結果の保証制度を導入し、顧客の不安を取り除き信用を得る。

  4. 営業プロセス改革:シミュレーターと保証を営業フローに組み込み、提案からクロージングまで一貫して価値訴求と安心感提供に努める。必要に応じて営業資料やトークスクリプトも刷新する。

  5. 継続的な改善:導入後の効果を測定し、戦略をチューニングしながら更なる成約率向上を目指す。

これらのステップを実行することで、太陽光・蓄電池提案における劇的な成約率アップが期待できます。特に、既に実績のあるソリューション(シミュレーター保証)を活用すれば、驚くほど短期間で顕著な成果を上げることも可能です。データに裏付けられた提案と万全の保証で顧客の信頼を勝ち取り、ライバルに差をつける——それが、これからのリフォーム会社が取るべき成約率アップ戦略の決定版です。ぜひ自社でも前向きに検討し、次の商談から実践してみてください。きっと営業現場の手応えが変わるはずです。

参考資料・出典:本記事では、国際航業株式会社「エネがえる」運営事務局による独自調査結果や、実際の導入企業の成功事例を中心に、各種データや研究知見を引用・参照しています。各引用箇所に出典を明記しておりますので、詳しくはそちら(リンク先)もご参照ください。データに基づく営業戦略は再現性が高く、誰でも成果を出しやすい手法です。ぜひエビデンスを活用した営業改革で、御社の太陽光・蓄電池ビジネスを次なる成長段階へと押し上げてください。

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