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V2Hとは?おすすめのメーカーや主力商品などについて紹介!
V2Hは現在、電力使用量の節約や災害用の備えとして注目度が高まっています。環境配慮とリスクヘッジを兼ねてV2H設置を検討しているが迷っている、という方も多いでしょう。
この記事では、V2Hの概要や設置するメリット・デメリットについて解説します。またV2Hのおすすめメーカーや、それぞれのメーカーの主力商品についても紹介するので、参考にしてください。
V2Hとは
V2Hとは「Vehicle to Home」の略です。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)に貯めておいた電力を、自宅で使える形式の電力に変換できるシステムのことを言います。
EVおよびPHVに貯められた電力は、そのままでは自動車以外の用途に使えません。いかにEV、PHVを導入したとしても、V2Hが設置されていなければ節電や災害対策としての利用は不可能です。
一方、V2Hを設置すればEVやPHVを蓄電池として利用できるようになります。地震や大雨などの災害が起きたときに、家庭用の電気を賄うことも可能です。
V2Hを設置するメリット
V2Hの設置には大きなメリットが見込めます。ここでは、V2Hを設置するメリットについて解説します。
蓄電池として活用できる
冒頭部分でも触れたとおり、V2Hを設置すると電気自動車に搭載されているバッテリーを蓄電池代わりに利用できます。
蓄電池は家庭用のものも販売されていますが、家庭用蓄電池は最大容量が16kWhで、設置費用の面も考慮すると実際に多く選ばれているのは5kWh~7kWhです。一方、電気自動車のバッテリー容量は40~60kWhと、圧倒的に大きく、たくさんの電力を貯められます。
なお1日で使用する電力の量は、4人家族で13kWh~18kWh(季節や使用状況による)といわれており、蓄電池の容量が大きければ災害時などの備えとして安心できるでしょう。
電気代の節約に繋がる
V2Hの設置は電気代の節約に繋がります。それは、蓄電池によって夜間の安い電力を利用できるようになるためです。
電力会社によっては、日中の電気代が高く深夜の電気代が安いプランを提供しています。電気自動車には深夜の安い電気を蓄電すると節約になりますが、さらにV2Hがあれば、電気自動車に安く蓄電した電力を日中に使えるのがメリットです。この方法なら、料金の高い日中に電力会社から購入する電気の量を減らせます。
V2Hを設置するデメリット
V2Hの設置にはいくつかデメリットもあります。それぞれのデメリットについて解説します。
バッテリー(蓄電池)の寿命を消費してしまう
充放電を繰り返すことはバッテリーの劣化に繋がる行為です。したがって電気自動車の蓄電池を、V2Hを用いて家庭用蓄電池としても使うことは、バッテリー寿命を縮め、最大容量を減らしてしまうことを意味します。
バッテリーが劣化すると、電気自動車が使える期間が想定よりも短くなったり、航続距離が短くなったりするなど、デメリットが発生しかねません。バッテリーが劣化してきたらこまめに充電する、電気自動車自体を通常よりも短い期間で買い替えるといった対策が必要になるでしょう。
屋外に設置スペースが必要
V2Hは、電気自動車の給電口の近くに設置する製品です。したがって、屋外の給電口近くにV2Hの設置スペースが必要になります。駐車場の周辺に充分なスペースがない場合、設置が難しくなるのがデメリットです。
なおV2Hの設置スペースに関しては他にも、自宅の分電盤から50m以上離れてしまう場所には設置できない、製品のケーブルの長さ以上に電気自動車から離して設置できない、といったいくつかの制約があります。場合によっては、設置スペース確保のために別途費用がかかるケースもあるでしょう。
V2H機器選びのポイント
V2Hの機器はどのようにして選ぶと良いのでしょうか。ここでは、V2H機器選びのポイントを解説します。
負荷の型で選ぶ
V2Hシステムには、特定負荷型と全負荷型の2種類があります。自分が使用したい目的にあわせて、負荷の型でV2Hを選ぶと良いでしょう。
特定負荷型は使用できる家電製品が限られているタイプです。あらかじめ蓄電池の用途を決めて回路を組みますが、IHクッキングヒーター、エコキュート、エアコンなど、200vを要する電化製品には対応できません。
全負荷型は、家庭用の家電製品の全てに使えるタイプです。ただしその分、電力の消費は激しくなります。
定格出力の大きさで選ぶ
V2H機器にはさまざまな定格出力のものがあるため、定格出力の大きさで選ぶこともできます。
定格出力とは、蓄電池が安定して放出できる電力量のことです。電気自動車から家へ給電する場合、V2H機器の定格出力が大きいほど、複数の家電製品を同時に使用できることを意味します。
また充電のスピードも定格出力が大きいほど早いため、なるべく定格出力が大きい物を選ぶのがおすすめです。
系統連系か非系統連系で選ぶ
V2Hには、系統連系と非系統連系の2種類があります。
系統連系とは、電力会社からの電力と太陽光発電の電力、電気自動車の3種類を同時に使用できる方式です。これに対して非系統連系とは、上に挙げた3種類のうち、どれか一種類しか一度に使用できない仕組みとなっています。
非系統連系のV2Hを設置した場合、電気自動車の蓄電池を電源にしている間は、太陽光発電の電力や電力会社の電力は家で利用できません。また停電時、非系統連系のV2Hでは太陽光発電の電力を電気自動車へ充電できないのも特徴です。
したがって現在では使い勝手の良い系統連系タイプのV2Hが人気で、系統連系に対応している系統連系V2H機器も多く発売されています。
V2Hのおすすめメーカーと主力商品
それではここで、V2Hのおすすめメーカーを紹介します。あわせて各社の主力商品にも触れるので、V2H選びの参考にしてください。
ニチコン
ニチコンは、家庭用蓄電池の分野において定評があり、2019年に最も多くの家庭用蓄電池を販売したメーカーです。またV2Hシステムを世界で初めて開発・販売したメーカーでもあるため、V2Hの分野でも実績と信頼があります。
V2H機器のシェアでは、ニチコンが9割を占めており、現状のNo1シェアメーカーです。ただし今春以降は、パナソニック、オムロンが類似製品を出しているため競争の激化が予想されます。
スタンダードモデル(VCG-663CN3)
ニチコンのV2H機器でおすすめできるのは、スタンダードモデルのVCG-663CN3です。主なスペックについて紹介します。
モデル名 | VCG-663CN3 |
停電時の動作 | 特定負荷 |
停電時の最大出力 | 3,000W |
停電時の電気自動車の充電 | 充電できない |
ケーブルの長さ | 3.7m |
保証年数 | 2年 |
特定負荷型のV2H機器に該当するため、停電時に使用できる用途はあらかじめ決められたもののみとなります。その分、ニチコンの製品のなかでも価格を抑えやすいのがメリットです。メーカーの実績を重視しつつ、堅実な価格で設置したい場合におすすめできます。
パナソニック
電気機器メーカーとしてすでに多大な実績を持つパナソニックは、2023年にV2Hシステムに参入を開始しています。
V2Hメーカーとしては新進気鋭ながら、その商品価値は既存の製品に全く劣るところがありません。電気自動車と家庭用蓄電池の双方に対して同時充放電可能な業界初のシステムを開発し、注目を浴びています。
オムロン
オムロンは体温計などのヘルスケア機器製造で知られた会社ですが、制御機器や電子部品のメーカーとしても定評があり、2023年5月からV2Hシステムに参入することが決まっています。
オムロンの展開するV2H機器は国内最小最軽量クラスを実現した「KPEP-Aシリーズ」で、設置場所や施工性における自由度の高さと、既存設備との高い親和性が特徴です。
デンソー
デンソーは自動車部品メーカーで、V2Hの分野ではニチコンに次ぐ販売実績を持っています。またデンソーで販売されているV2H機器は、ニチコンのプレミアムモデルをOEM製造しているものになるため、実質的な性能はニチコンと全く変わらないといえるでしょう。
ダイヤゼブラ電機がV2Hを商品化したときは東京電力との共同開発でしたが、デンソーの場合はトヨタなどと協力することで商品化に至っています。
DNEVC-D6075
デンソーのV2Hの主力商品は、DNEVC-D6075です。主なスペックについて紹介します。
モデル名 | DNEVC-D6075 |
停電時の動作 | 全負荷200V対応 |
停電時の最大出力 | 通常時6,000W 停電時6,000W |
停電時の電気自動車の充電 | 充電可能 |
ケーブルの長さ | 7.5m |
保証年数 | 5年 |
停電時、どのような電化製品にも対応可能な全負荷型のV2Hです。オール電化住宅など、災害時にある程度長期の停電があっても200Vに対応したい場合にぜひ取り入れると良いでしょう。停電時に電気自動車に充電できるのも心強いシステムです。
まとめ
V2Hは、電気自動車(EV)の電力を有効活用して電気代を節約するために欠かせない機器です。とりわけEVの導入を検討している、あるいはすでに導入している場合、V2Hによるさらなる経費節減の可能性がどの程度かを試算・診断してみると、V2H導入のメリットが明確に見えてきます。
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太陽光+電気自動車+V2Hの経済効果徹底解説
太陽光+電気自動車(EV)+V2H+定置型蓄電池の経済効果を電力エリア別に徹底解説したおすすめ記事です。
太陽光+電気自動車(EV・V2H)+定置型蓄電池の経済効果を徹底解説(東京電力エリア編)
太陽光+電気自動車(EV・V2H)+定置型蓄電池の経済効果を徹底解説(関西電力エリア編)
2023年地域別 住宅用太陽光導入による経済メリットまとめ
電力エリア別に住宅用太陽光導入の経済メリットをシミュレーションしてまとめました。
2023年 東京電力エリア(東京都) 住宅用太陽光発電の経済効果シミュレーション
2023年 関西電力エリア(大阪府) 住宅用太陽光発電の経済効果シミュレーション
2023年 東北電力エリア(宮城県)住宅用太陽光発電の経済効果シミュレーション
2023年 北陸電力エリア(石川県)住宅用太陽光発電の経済効果シミュレーション
2023年 中部電力エリア(愛知県)住宅用太陽光発電の経済効果シミュレーション
2023年 中国電力エリア(広島県)住宅用太陽光発電の経済効果シミュレーション?
2023年 九州電力エリア(福岡県) 住宅用太陽光発電の経済効果シミュレーション?
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著者プロフィール(太陽光・蓄電池シミュレーションエキスパート)
会社名:国際航業株式会社
部署名:公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG
執筆者名:樋口 悟
執筆者の略歴:国際航業株式会社エネルギー部デジタルエネルギーグループ。エネルギー診断クラウドサービス「エネがえる」担当。1996年東京学芸大学教育学部人間科学課程スポーツコーチ学科卒業。1997年上場大手コールセンター会社に入社、2000年大手上場小売企業グループのインターネット関連会社で最年少役員に就任。2011年に独立起業。大企業向けにSNSマーケティングやアンバサダーマーケティングを提供するAsian Linked Marketingを設立。30以上の大手上場企業のプロジェクトを担当。5年で挫折。2016年国際航業株式会社新規事業開発部に入社しエネルギー領域の事業開発、エネがえる事業開発を担当。
太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションの国内唯一のエキスパートとして、大手電力・ガス会社、有名太陽光・蓄電池メーカー、全国販売施工店・工務店など約700社以上と、最近ではエネルギー政策立案サイド(国・官公庁・地方自治体)で太陽光・蓄電池推進政策をしている方々へもエネがえるを活用した太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションやアドバイスを提供している。
執筆記事:https://energy-shift.com/news/author/71cbba7e-dbbc-4728-9349-9cdbed975c6e
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