目次
- 1 次世代スマートメーターと停電対策の解説
- 2 次世代スマートメーターの基本概念と開発背景
- 3 スマートメーターの進化の系譜
- 4 次世代スマートメーター開発の指針
- 5 次世代スマートメーターの技術的特徴と機能
- 6 データ処理能力の飛躍的向上
- 7 計測粒度と項目の拡充
- 8 通信機能の拡充
- 9 Aルート(スマートメーター~電力会社システム間)
- 10 Bルート(スマートメーター~宅内機器間)
- 11 停電対策機能
- 12 1. Last Gasp機能(停電検知・通知機能)
- 13 2. 遠隔アンペア制御機能
- 14 次世代スマートメーターのデータ活用と便益
- 15 電力DXを加速する次世代スマートメーター
- 16 主要機能と期待される便益
- 17 データ活用の高度化
- 18 次世代スマートメーターのセキュリティと課題
- 19 サイバーセキュリティリスク
- 20 プライバシー問題
- 21 電磁波による健康への懸念
- 22 導入コストと費用対効果
- 23 停電対策としての次世代スマートメーター活用シナリオ
- 24 リアルタイム停電検知・復旧のプロセス
- 25 災害時の電力制限シナリオ
- 26 停電原因の詳細特定と復旧時間短縮
- 27 次世代スマートメーターの導入計画と未来展望
- 28 導入スケジュール
- 29 国際的な動向との比較
- 30 将来展望:エネルギーマネジメントの新時代
- 31 次世代スマートメーター導入に向けた実務的考察
- 32 導入時の注意点
- 33 需要家側でできる準備
- 34 次世代スマートメーターの費用便益分析と経済的考察
- 35 費用便益分析の試算式
- 36 スマートメーターの原価推移
- 37 ライフサイクルコスト分析
- 38 次世代スマートメーターに関するよくある質問(FAQ)
- 39 Q1: 次世代スマートメーターは2025年から一斉に切り替わるのですか?
- 40 Q2: 次世代スマートメーターになると電気料金は変わりますか?
- 41 Q3: Last Gasp機能は停電時にどのように動作するのですか?
- 42 Q4: 遠隔アンペア制御は強制的に電力使用を制限するものですか?
- 43 Q5: 次世代スマートメーターのデータは誰が見ることができますか?
- 44 先進的停電対策と次世代スマートメーターの統合
- 45 自立分散型エネルギーシステムとの連携
- 46 予測型停電対策の実現
- 47 結論:次世代社会インフラとしてのスマートメーター
- 48 参考資料
次世代スマートメーターと停電対策の解説
2025年から本格導入が始まる次世代スマートメーターは、単なる電力量計ではなく、デジタルトランスフォーメーション(DX)とグリーントランスフォーメーション(GX)を加速させるプラットフォームとして電力システムの未来を大きく変えようとしています。
現行の第一世代スマートメーターと比較して5000万倍ものデータ処理能力を持ち、停電対応力を飛躍的に高める機能を備えた次世代スマートメーターは、私たちの生活と産業をどのように変革するのでしょうか。本記事では、次世代スマートメーターの技術詳細から実用例、そして将来展望まで、世界最高水準の洞察をもってご紹介します。
次世代スマートメーターの基本概念と開発背景
スマートメーターの進化の系譜
現行のスマートメーターは2014年から設置が開始され、2024年度には日本全国の設置が完了する予定です。メーターの検定期間が10年であることから、2025年度以降は順次、次世代スマートメーターへの更新が始まります6。この更新は単なる機器の取り替えではなく、2050年カーボンニュートラルという国家目標に向けた電力システム全体の進化の一環として位置づけられています。
現行のスマートメーターは、主に30分単位の電力使用量を自動的に送信する機能を持ち、検針員による訪問検針を不要にしました。しかし、再生可能エネルギーの大量導入や頻発する自然災害への対応、エネルギーマネジメントの高度化などの新たな要請に応えるためには、さらなる機能拡張が必要とされています14。
次世代スマートメーター開発の指針
経済産業省の「次世代スマートメーター制度検討会」では、2020年9月から議論が開始され、2022年3月に取りまとめが行われました。この検討会での議論を通じて、次世代スマートメーターシステムは以下の3つの主要な便益実現を目指すこととなりました15:
レジリエンス強化:停電の早期検知・復旧、災害時の計画停電回避
再エネ大量導入・脱炭素化、系統全体の需給安定化:より詳細な電力データの活用
需要家利益の向上:より高度なエネルギーマネジメント、新サービスの創出
これらの目標を達成するため、次世代スマートメーターには多くの新機能が搭載されることになります。
次世代スマートメーターの技術的特徴と機能
データ処理能力の飛躍的向上
次世代スマートメーターの最も重要な技術的特徴の一つが、データ処理能力の向上です。現行のスマートメーターと比較して5000万倍ものデータを処理することが可能になります2。この膨大なデータ処理能力により、家庭内の機器の詳細なリアルタイム表示や、送電網全体のリアルタイム監視が実現します。
計測粒度と項目の拡充
現行スマートメーターの計測粒度は30分値のみでしたが、次世代スマートメーターでは以下のように大幅に拡充されます56:
30分値(従来通り):有効電力量
15分値:有効電力量(計量器に記録のみ)
5分値:有効電力量、無効電力量、電圧
1分値:有効電力量(60分間記録)
この詳細なデータにより、電力系統の安定化や需要予測の精度向上、さらには家庭内のエネルギー利用最適化など、多様な用途が開けてきます。
当社の「エネがえる」は、このような詳細なエネルギーデータを活用し、太陽光発電や蓄電池の経済効果を精密にシミュレーションすることで、導入判断の正確性を高めようと志向しています。いまはまだ1時間値または30分値での推計が多いですが、今後は、5分値データを活用した分析が実装できると、ピーク需要の正確な把握や自家消費率の向上に貢献できるでしょう。
通信機能の拡充
次世代スマートメーターでは、通信機能も大幅に強化されます35:
Aルート(スマートメーター~電力会社システム間)
データ取得頻度:全データを30分ごとに取得(従来通り)
5分値データ取得:需要家の10%以上の5分値データを数日以内に、3%以上の5分値データを10分以内に取得
ポーリング機能:特定のメーターの状態を随時確認可能
Bルート(スマートメーター~宅内機器間)
主通信方式:Wi-SUN(920MHz帯無線方式)
副通信方式:Wi-Fi 2.4GHz
取得可能データ:30分値、1分値、瞬時値
また、IoTルートを用いた共同検針や特定計量データの結合なども可能になります6。
停電対策機能
次世代スマートメーターにおける停電対策機能は特に重要で、以下の2つの主要機能があります:
1. Last Gasp機能(停電検知・通知機能)
Last Gasp(最後のあえぎ)と呼ばれるこの機能は、スマートメーターが停電を検知した際に、バックアップ電源を使って停電情報を即座に送信するものです1518。この機能により、従来は最大30分程度かかっていた停電検知が、ほぼリアルタイムで可能になります。
Last Gasp機能の実現には、計量器やデータ集約装置(コンセントレーター)に蓄電機能が必要です。数分程度の蓄電容量が必要とされ、キャパシタやコンデンサが使用されます15。
2. 遠隔アンペア制御機能
大規模災害時など電力需給が逼迫した状況では、従来は地域ごとの輪番停電(計画停電)が行われてきました。次世代スマートメーターの遠隔アンペア制御機能を使えば、全面停電ではなく、すべての需要家のアンペア値(電流上限値)を一斉に引き下げることで、限られた電力を公平に分配できます1518。
例えば、南海トラフ地震のような大規模災害時には、この機能によって計画停電の回避や影響軽減が期待できます。経済産業省の試算によれば、この機能による10年間の便益は1,350~1,500億円と見込まれています15。
次世代スマートメーターのデータ活用と便益
電力DXを加速する次世代スマートメーター
次世代スマートメーターは、単なる計測機器ではなく、電力システム全体のデジタルトランスフォーメーションを推進する基盤となります17。膨大なデータ処理能力により、以下のような広範な活用が可能になります:
電圧・電流波形の詳細分析:変圧器の放電や電線接触など、設備の異常を早期に発見
需要予測の高精度化:5分値データによる詳細な需要パターン分析
再生可能エネルギーの最適制御:太陽光発電の出力変動への迅速な対応
需要家側の省エネ促進:詳細な電力使用パターンの可視化によるエネルギー意識の向上
これらのデータ活用により、社会全体としての便益が生み出されます。
主要機能と期待される便益
経済産業省の資料によると、次世代スマートメーターの主要機能と期待される便益は以下のようにまとめられています5615:
機能 | 期待される便益 | 便益試算(10年間) |
---|---|---|
Last Gasp機能(停電検知・通知機能) | 停電の早期把握・解消 | 660億~1,100億円 |
遠隔アンペア制御機能 | 災害時等の計画停電回避 | 1,350億~1,500億円 |
5分値データ取得 | 再エネ普及・脱炭素化、系統需給安定化 | – |
特定計量・共同検針対応 | 需要家利益の向上、新サービス創出 | – |
特に、Last Gasp機能と遠隔アンペア制御機能による便益は合計2,000億円以上と試算されており、導入コストを上回る経済効果が期待されています15。
データ活用の高度化
次世代スマートメーターから得られるデータの活用方法は多岐にわたります11:
エネルギー効率利用の支援:省エネ・節電・デマンドレスポンスのための見える化・アドバイス
冷暖房使用傾向の推定:気温感応需要(冷暖房などの気温変化に連動する需要)の分析
需要予測の高度化:電力系統運用の最適化
エリア別・時間帯別の詳細な需要分析:配電系統設計の最適化
「エネがえるBiz」と連携すれば、こうした詳細なエネルギーデータを活用して産業用施設における太陽光・蓄電池の経済効果を精密に分析し、最適な設備投資判断をサポートできるでしょう。多くの企業がこのようなシミュレーションツールを活用することで、投資対効果の高い再エネ導入を実現しています。
次世代スマートメーターのセキュリティと課題
サイバーセキュリティリスク
次世代スマートメーターは、通信機能の拡充に伴い、セキュリティリスクも高まります。経済産業省の「次世代スマートメーターセキュリティ検討ワーキンググループ」では、以下のような点が議論されています1016:
不正アクセスによる測定値改ざん:電気料金の水増しや過小申告
プライバシー侵害:電力使用パターンからの生活様式の推測
サイバー攻撃による系統混乱:大規模な停電や制御システムの誤動作
通信ネットワークの悪用:スマートメーターの通信機能を利用した不正アクセス
これらのリスクに対応するため、「スマートメーターシステムのセキュリティ対策に関する統一的なガイドライン」が整備され、各事業者における対策が進められています10。
プライバシー問題
スマートメーターのデータは、家庭の電力使用パターンを詳細に記録するため、プライバシーに関する懸念もあります。例えば、電力使用データから世帯の人数や不在時間帯などが推測される可能性があります13。
こうした懸念に対して、データの匿名化や利用目的の明確化、需要家の同意取得プロセスの整備などの対策が重要となります。
電磁波による健康への懸念
スマートメーターから発生する電磁波について健康被害を懸念する声もありますが、WHO(世界保健機関)の評価では、国際的なガイドラインを守れば短期的な健康影響はなく、長期的な影響についても強い因果関係は確認されていません13。電磁波過敏症についても、電磁波が原因とされる明確な根拠は示されていないとされています。
導入コストと費用対効果
次世代スマートメーターの導入には相応のコストがかかります。現行スマートメーターの導入コストは、計器本体と通信装置を合わせて約10.3千円/台(2014年当時)でしたが8、その後の技術進歩により価格は低下傾向にあります9。
次世代スマートメーターでは、Last Gasp機能の搭載に300億~600億円、遠隔アンペア制御機能の搭載に300億~500億円のコストがかかると試算されていますが15、それらによる便益(2,000億円以上)がコストを上回ると評価されています。
停電対策としての次世代スマートメーター活用シナリオ
リアルタイム停電検知・復旧のプロセス
次世代スマートメーターを活用した停電対応の具体的なプロセスは以下の通りです18:
停電発生:計画外の停電が発生
即時通知:Last Gasp機能により停電情報を即座に送信
停電範囲特定:データ集約により停電箇所・影響範囲を迅速に特定
復旧作業指示:作業員への指示を迅速に実施
復旧確認:メーターの応答復活により復旧を確認
このプロセスにより、現状より大幅に迅速な停電対応が可能になります。
災害時の電力制限シナリオ
大規模災害時の電力需給逼迫時には、以下のようなシナリオが考えられます1518:
災害発生:地震など大規模災害により多数の発電所が停止
需給逼迫予測:電力需給のひっ迫が予測される
アンペア制御実施:一般送配電事業者が遠隔でアンペア値を一斉に引き下げ
公平な電力供給:完全停電ではなく、限られた電力を全需要家に公平に分配
状況改善後の復旧:発電能力の回復に応じてアンペア値を段階的に元に戻す
この仕組みにより、東日本大震災時のような輪番停電を回避できる可能性があります。
停電原因の詳細特定と復旧時間短縮
次世代スマートメーターのデータと、配電線の開閉器に設置されるIT開閉器のセンサーデータを組み合わせることで、停電原因をより詳細に特定できるようになります18:
配電線本線の断線:IT開閉器のセンサーで検知
分岐線の断線:IT開閉器では検知できないが、スマートメーターのLast Gasp機能で検知
柱上変圧器故障:スマートメーターの応答パターンから特定
宅内設備の故障:個別メーターのデータから判別
特に分岐線での断線など、従来は発見が難しかった故障箇所をピンポイントで特定できるようになり、復旧作業の効率が大幅に向上します。
次世代スマートメーターの導入計画と未来展望
導入スケジュール
現行スマートメーターの検定有効期間(10年)満了に伴い、2025年度から次世代スマートメーターへの置き換えが始まります6。全国の一般送配電事業者10社は共通仕様を決定し、安定的な調達体制の構築とコスト低減を目指しています14。
国際的な動向との比較
欧米諸国でも次世代スマートメーターの導入が進んでいます。例えば英国では、停電検知後3分待機し復旧がなければ発報するという仕様のLast Gasp機能が実装されています15。日本の次世代スマートメーターは、これらの国際的な動向も参考にしながら、日本の電力システムに最適な形で設計されています。
将来展望:エネルギーマネジメントの新時代
次世代スマートメーターの普及により、以下のようなエネルギーマネジメントの新時代が開かれることが期待されます:
分散型エネルギーリソースの統合:太陽光発電、蓄電池、EVなどを統合的に制御
リアルタイム電力取引の実現:5分値データを活用したより柔軟な市場取引
セクターカップリングの進展:電力、熱、交通など異なるエネルギーセクターの連携
AIによる需要予測・最適制御:膨大なデータを活用した高度な需給予測と制御
特に、太陽光発電や家庭用蓄電池、V2H(Vehicle to Home)と組み合わせることで、電力システムのレジリエンス強化と脱炭素化を同時に実現する可能性があります。
当社では、エネがえるの経済効果シミュレーション保証を通じて、太陽光・蓄電池・EV・V2Hなどの経済効果を高精度に予測し、実際の導入効果を保証するサービスも提供しています。シミュレーションと実績値の乖離リスクを最小化することで、再生可能エネルギー設備への投資判断をより確かなものにします。
次世代スマートメーター導入に向けた実務的考察
導入時の注意点
次世代スマートメーターへの切り替えにあたり、以下のような点に注意が必要です:
現行システムとの互換性確保:既存のエネルギーマネジメントシステムとの連携
工事時の停電回避:需要家の電気を止めずに取替工事を行う安全対策1
狭隘箇所での作業性確保:設置環境に応じた工事方法の最適化1
プライバシーポリシーの整備:詳細化されるデータ取得に伴う同意取得プロセスの確立
需要家側でできる準備
次世代スマートメーターの機能を最大限に活用するために、需要家側でも以下のような準備が考えられます:
HEMSの導入・更新:次世代スマートメーターとの連携を前提とした家庭用エネルギーマネジメントシステムの導入
Wi-Fi環境の整備:副通信方式として利用可能なWi-Fi 2.4GHzの環境整備
自家発電・蓄電設備の検討:停電対策として自家発電・蓄電設備の導入検討
エネルギーデータの活用方針検討:詳細化されるエネルギーデータの活用方法の検討
次世代スマートメーターの費用便益分析と経済的考察
費用便益分析の試算式
次世代スマートメーターの費用便益分析は、以下のような試算式に基づいて行われます:
総便益(B) = 停電早期解消による便益(B1)+ 計画停電回避による便益(B2)+ その他の便益(B3)
停電早期解消による便益(B1)= 停電時間短縮(時間)× 停電解消速度向上率 × 停電発生頻度(回/年)× 停電影響需要家数(世帯) × 停電コスト単価(円/kWh)× 平均需要(kW/世帯)× 10(年)
計画停電回避による便益(B2)= 計画停電実施回数(回) × 計画停電回避率 × 影響需要家数(世帯) × 計画停電時間(時間/回) × 停電コスト単価(円/kWh)× 平均需要(kW/世帯)
総費用(C) = Last Gasp機能搭載費用(C1)+ 遠隔アンペア制御機能搭載費用(C2)+ その他機能搭載費用(C3)+ 運用・保守費用(C4)
費用便益比(B/C)= 総便益(B)÷ 総費用(C)
経済産業省の試算によれば、Last Gasp機能と遠隔アンペア制御機能だけでも、10年間で2,000億円以上の便益が見込まれ、費用(600億~1,100億円)を上回ると評価されています15。
スマートメーターの原価推移
スマートメーターの単価は、導入初期から継続的に低下傾向にあります。九州電力のデータによれば、スマートメーターの価格は2012年度の約35.3千円/台から、2018年度には約16.4千円/台へと大幅に低下しています9。
次世代スマートメーターについても、大量生産によるスケールメリットや技術進歩により、導入が進むにつれてコスト低減が期待されます。
ライフサイクルコスト分析
次世代スマートメーターのライフサイクルコスト(LCC)は以下の要素から構成されます:
LCC = 初期投資費用 + 運用費用 + 保守費用 + 更新費用 – 残存価値
初期投資費用 = メーター本体費用 + 通信装置費用 + 設置工事費用
運用費用 = 通信費用 + システム運用費用 + 電力消費費用
保守費用 = 定期点検費用 + 故障修理費用
九州電力の資料によれば、日本製スマートメーターは20年以上の長寿命で、20年間使用時のランニングコストは海外製より2.2千円/台安価であるとされています9。次世代スマートメーターについても、長寿命設計による総所有コスト(TCO)の低減が期待されます。
次世代スマートメーターに関するよくある質問(FAQ)
Q1: 次世代スマートメーターは2025年から一斉に切り替わるのですか?
A1: 一斉ではなく、現行メーターの検定期間(10年)満了に応じて順次切り替えられます。2025年から交換が始まり、約10年かけて全数が更新される計画です。
Q2: 次世代スマートメーターになると電気料金は変わりますか?
A2: メーター自体の変更で直接料金が変わるわけではありませんが、より詳細な電力データに基づく新たな料金メニューが登場する可能性があります。
Q3: Last Gasp機能は停電時にどのように動作するのですか?
A3: 停電を検知すると、内蔵された蓄電機能(キャパシタなど)を使って停電情報を送信します。これにより、停電発生をリアルタイムで電力会社が把握できるようになります。
Q4: 遠隔アンペア制御は強制的に電力使用を制限するものですか?
A4: 大規模災害など電力需給が逼迫した非常時に、完全停電を回避するために実施されるものです。通常時に強制的に制限されることはありません。
Q5: 次世代スマートメーターのデータは誰が見ることができますか?
A5: 基本的には電力会社が管理しますが、お客様の同意のもとで、エネルギーマネジメントサービス事業者などが活用することも可能です。厳格なセキュリティ対策とプライバシー保護が求められています。
先進的停電対策と次世代スマートメーターの統合
自立分散型エネルギーシステムとの連携
次世代スマートメーターは、自立分散型エネルギーシステムとの連携により、さらに強力な停電対策となります。具体的には以下のような統合が考えられます:
家庭用太陽光発電・蓄電池との連携:停電検知時に自動的に自立運転モードに切り替え
V2H(Vehicle to Home)との連携:EVから住宅への給電を最適制御
マイクログリッドとの統合:地域単位での電力融通を最適化
こうした連携により、大規模停電時でも地域や家庭単位での電力確保が可能になります。
予測型停電対策の実現
次世代スマートメーターの詳細データと気象データ、AIを組み合わせることで、予測型の停電対策も可能になります:
事前充電指示:悪天候予測時に家庭用蓄電池への充電を促進
需要抑制シグナル:需給逼迫予測時に省エネを促すシグナル発信
予防的保守の実施:電圧波形異常から設備故障を予測し、事前対応
こうした予測型対策により、停電リスクをさらに低減できます。
結論:次世代社会インフラとしてのスマートメーター
次世代スマートメーターは、単なる電力計量器ではなく、電力システム全体のDX・GXを推進する社会インフラとしての役割を担うものです。特に停電対策においては、Last Gasp機能や遠隔アンペア制御機能により、従来にない高度なレジリエンス対策が可能になります。
また、5分値・1分値といった高頻度データの取得により、再生可能エネルギーの大量導入や需要側リソースの活用など、脱炭素社会の実現に向けた基盤としても重要な役割を果たします。
次世代スマートメーターの導入は、初期投資を上回る社会的便益をもたらすと評価されており、2025年からの導入開始に向けた準備が着々と進められています。電力会社、メーカー、システム事業者、そして需要家を含めた多様なステークホルダーの連携により、次世代スマートメーターの潜在的な価値を最大限に引き出していくことが求められます。
参考資料
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