発電効率とは、元のエネルギーを「どのくらい電気に変換できたか」を示す割合(%)です。
例えば、元となるエネルギー(100)のうち、20を電力に変換できれば、発電効率は20%となります。
「太陽光発電の発電効率は低い」と聞いたことがある方もいるかもしれません。事実、他の発電方法と比べると、太陽光発電の発電効率は、以下のように低い水準となっています。
この記事では、太陽光発電や他の発電方法(水力・火力・風力・原子力など)の発電効率の比較を解説したあと、なぜ太陽光発電の発電効率が低いのかを説明していきます。
太陽光発電の発電効率は、【約15%〜20%】と低い水準にあります。しかしながら、だからといって、他の発電方法の方が優れているという訳ではありません。
太陽光発電は、家庭でも導入できる手軽さがあるからこそ、現在多くの住宅での導入が進んでいるのです。
大切なのは、発電効率を「さらに下げてしまう原因」を取り除き、できるだけ効率良く発電する環境を整えることです。
「太陽光発電の発電効率について深く理解したい方」「発電効率をできるだけ上げたい(下げたくない)方」は、ぜひ最後までお読みいただき、記事の内容を参考にして実践してみてください。
参考:太陽光発電・蓄電池の経済効果シミュレーション完全ガイド(JIS発電量計算式とNEDO METPV20日射量データベースの活用)
目次
発電効率とは
まずは「発電効率」とはなにか、意味を正しく理解していきましょう。
発電効率とは、発電する時に、元となるエネルギー(太陽光など)をどのくらい電力に変換できたかを示す数値のことです。単位は「パーセント(%)」を用います。
元となるエネルギーを全て電力に変換できたら発電効率は100%ですが、実際には全てを電力に変換することはできません。
例えば、元となるエネルギー(100)のうち、20を電力に変換できれば、発電効率は20%となります。
逆にいうと、80%のエネルギーは電力に変換できずに損失(ロス)となります。
発電効率は、発電方法によって大きく異なります。例えば、水力発電の発電効率は約80%ですが、太陽光発電は約15%〜20%と低い割合です。
また、同じ発電方法であっても、細かい発電の仕組みや材料、システムの性能差、環境などさまざまな要因により、発電効率は変わってきます。
発電方法別の発電効率ランキング(太陽光・風力・火力・原子力など)
前述した通り、発電効率は、発電方法によってかなり数値が異なります。
以下は、7つの発電方法(太陽光・風力・水力・地熱・バイオマス・火力・原子力)を、発電効率が高い順に並べた表です。
【発電方法別の発電効率の目安比較表】
発電方法 | 発電効率 |
---|---|
水力発電 | 約80% |
火力発電 | 約40% |
風力発電 | 約30〜40% |
原子力発電 | 約33% |
地熱発電 | 約20% |
バイオマス発電 | 約20% |
太陽光発電 | 約15%~20% |
水力発電の発電効率は約80%と高いのに対して、太陽光発電や地熱、バイオマス発電の効率は低いことが分かります。
それぞれの発電方法の簡単な説明と発電効率について解説していきます。
水力発電(発電効率:約80%)
水力発電とは、高い場所に貯めた水を落として水車を回して、水車につながっている発電機を回転させることにより電気を生み出す発電方法です。
水力発電には、ダムを利用する方法のほか、河川の流水を利用した方法、農業用水や上下水道を利用した方法もあります。
水力発電は、自然条件によらず長期的・安定的に電力を供給できること、発電時に二酸化炭素を排出しないなど多くのメリットがあります。
水力発電の発電効率は約80%と、他の発電方法よりもかなり高い水準にあります。発電効率が高い理由は、高い場所から低い場所に水を落とすときの「位置エネルギー」を利用して発電機を回す仕組みにより、「位置エネルギー」を最小限のロスで「運動エネルギー」に変わることができるからです。
ただし、効率の良い水力発電所を作るには莫大な建設費がかかること、河川を利用する場合には権利が必要になることなどから、日本でそれほど普及は進んでいません。
水力発電は、自然エネルギー電力の中で太陽光の次に多く採用されており、全発電電力量に占める水力発電の割合は2022年で7.1%となっています。
参考:環境エネルギー政策研究所|2022年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)
火力発電(発電効率:約40%)
火力発電とは、石油や石炭、LNG(液化天然ガス)といった化石燃料を利用した発電方法です。
化石燃料を燃やして水を熱した時の蒸気でタービンを回して、その力で発電機を回して電気を作る仕組みです。
火力発電は温室効果ガス(CO2)を排出するため、火力発電からの脱却が叫ばれていますが、日本では依然として70%以上を火力発電に頼っています。
火力発電の発電効率はおおよそ40%程度ですが、中には60%を超える火力発電所もあります。
2023年1月には、東北電力が「コンバインドサイクル発電」で発電効率63.62%を達成し、ギネス世界記録に認定されました。
コンバインドサイクル発電とは、火力発電の主な2つの方式「スチームタービン方式」と「ガスタービンす方式」を組み合わせた発電方式のことです。
火力発電はCO2の排出量が多いことが問題視されている発電方法であるからこそ、効率よく電気を作り、化石燃料の使用量を減らしてCO2排出量を減らすことが求められています。
風力発電(発電効率:約30〜40%)
風力発電とは、風の力を利用して風車を回し、増幅した回転エネルギーを発電機に伝えて電気を作る発電方法です。
陸上でも海の上でも発電が可能であり、夜間も稼働できるなど、多くのメリットを持つ発電方法です。
風力発電の発電効率は、約30〜40%です。空気力学的により一定のロスは避けられず、理論上は59.3%の発電効率が限界といわれています。
風力発電は、自然に存在する風を利用できるクリーンな発電方法として期待されています。
しかしながら、日本では安定的な風を得られる場所が少ないこと、設備コストが高いこと、発電に適した土地取得が難しいことなどから、日本での普及率はまだ低い水準となっています。
原子力発電(発電効率:約33%)
原子力発電とは、ウラン燃料が核分裂を起こしてつくった熱を利用して水を温めて、発生した水蒸気でタービンを回して電気をつくる発電方法です。
原子力発電の発電効率(熱エネルギーから電子エネルギーに変換される効率)は、約33%程度です。電気に変換されなかった熱エネルギーは廃熱となり、放出されます。
原子力発電は、発電する過程で人体に危険な放射性物質を生み出します。東日本大震災では福島第一原子力発電所から放射性物質が漏れ出し、甚大な被害を生み出しました。
国内外で脱原発の動きが高まっていますが、日本では完全な脱却はできておらず、2023年の全発電電力量に占める原子力発電の割合は、2022年で5.9%となっています。
参考:環境エネルギー政策研究所|2022年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)
地熱発電(発電効率:約20%)
地熱発電とは、地中にある高温の水や水蒸気を活用した発電方法です。
地球の中心部は非常に高温となっており、マグマで熱せられた高温の地下水や蒸気(地熱流体)が存在しています。この地熱流体を取り出してタービンを回すことで発電し、電気をつくります。
地熱発電の発電効率は、諸説ありますが、約20%といわれています。
地熱発電には、再生可能エネルギーの中でも、CO2をほとんど排出しないというメリットがあります。また、太陽光発電や風力発電と比べて、気象条件や時間帯、季節の影響を受けることなく、資源が枯渇する心配もない発電方法といえます。
ただし、地熱発電を始めるためには地質調査や地盤調査を行う必要があり、開発コストが高いデメリットがあります。立地も選ぶため、最適な土地を探すのもネックとなります。
日本での普及率はかなり低く、全発電電力量に占める地熱発電の割合は、2022年で0.25%となっています。
参考:環境エネルギー政策研究所|2022年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)
バイオマス発電(発電効率:約20%)
バイオマス発電とは、人間活動から出る生物資源などの「バイオマス資源」を活用した発電方法のことです。
木質燃料のようなバイオマス燃料を「直接燃焼」してタービンを回して発電する方法と、バイオマス資源を発酵させて「ガス化」してタービンを回して発電する方法の2つがあります。
バイオマス資源には以下のように、木質系、農業・畜産・水産系、建設廃材系、食品産業系、製紙工場系、生活系などさまざまなものがあります。
バイオマス発電といってもさまざまな種類があり一概に発電効率をいうことはできませんが、例えば木質バイオマス発電の発電効率は約20%といわれています。
バイオマス発電のメリットは、人間活動により排出される資源を燃料とするため燃料が枯渇しないことなどが上げられます。
一方デメリットとしては、大規模な電力生産には向いていないことや採算を取りにくいことがあります。
バイオマス発電は年々少しずつ増加している発電方法で、全発電電力量に占めるバイオマス発電の割合は、2022年で4.6%となっています。
参考:環境エネルギー政策研究所|2022年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)
太陽光発電(発電効率:約15%〜20%)
太陽光発電は、太陽の光を利用して電気を作る発電方法です。
光のエネルギーを吸収して電気的なエネルギー(電力)に変える「太陽電池」を、太陽の光が当たりやすい場所に設置して発電します。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁/電気をつくる方法 その❷ 太陽光・風力・地熱発電
太陽光発電の発電効率は、太陽電池の種類によっても異なりますが、約15%~20%です。これが、現在出回っている製品のだいたいの目安となります。
太陽光発電のメリットは、他の発電方法よりも圧倒的に導入がしやすいという点があります。大規模な設備が必要となる水力発電や火力発電などと比べると、太陽光発電は一般家庭でも導入が可能です。
一方デメリットとしては、太陽の光がなければ発電できないため、天候に左右されるという点があります。
しかしながら、毎年の日照データなどを参考にすれば、ある程度の予測が可能ですので、導入時にシミュレーションをおこなえばそれほど大きなデメリットにはならないでしょう。
太陽光発電は、その設置のしやすさから日本では導入が進んでいます。全発電電力量に占める太陽光発電の割合は2022年で9.9%となっており、自然エネルギーで最も活用されている発電方法です。
参考:環境エネルギー政策研究所|2022年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)
発電効率の数字だけ比べても意味はない
2章では発電方法別の発電効率を紹介しましたが、ここからは「発電効率の数字だけ比べても意味はない」ということを解説していきます。
発電効率のグラフを見ると、「水力発電は発電効率が8割を超えていて素晴らしい」「太陽光発電は1.5割~2割しか電気に変換できないなんて、効率が悪いんだな」と思ってしまいがちです。
しかしながら、実は、発電効率の数字だけを比べても意味はありません。
発電効率は、高ければ高い方が良いという単純なものではないからです。
もし、発電効率が高いほど優れた発電方法ならば、世の中の発電方法は全て水力発電になるはずです。しかし実際にはそうはなっていません。
水力発電は、施設の建設費がかなり高くなること、河川を利用する権利を取るのが大変なことなど、さまざまなデメリットがあります。
他の発電方法も同様に、初期費用が高いなどのデメリットが多く、なかなか普及していないのが現状です。
一方、太陽光発電は、小規模であれば100万円以下でも導入できるため、家庭でも始められる発電方法です。
他の方法より発電効率は低いですが、全発電電力量に占める太陽光発電の割合は2022年で9.9%となっており、自然エネルギーで最も活用されている発電方法です。
出典:環境エネルギー政策研究所|2022年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)
発電効率が低いのは事実なので、それを今さら気にしても仕方がありません。
太陽光発電をこれから導入したい方が気を付けるポイントは、設置の仕方やメンテナンスの方法で「発電効率をさらに下げてしまう」ことがないように注意することです。
太陽光発電の発電効率が【約15〜20%】と低い理由
ここからは太陽光発電の発電効率に注目して解説していきます。
太陽光発電の発電効率は約15%〜20%と低い水準となっています。最近では20%を超える太陽光パネルも製品化されていますが、他の発電方法と比較するとやはり低い水準であることは否めません。
太陽光発電の発電効率が低い(=エネルギーロスが大きい)理由は、「全ての波長の光を発電に利用できるわけではないから」です。
太陽光にはさまざまな波長の光が含まれており、その中には、目に見える可視光線と、目に見えない紫外線・赤外線が含まれています。
そして、太陽電池の種類によって、どの波長のエネルギーを電気に変換できるかが異なるのです。
出典:国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構|世界一のモジュール変換効率40%超を目指す、太陽電池開発中
波長の短い光は発電に利用できず、熱として捨てられることになります。この、利用できない光がロスとなります。
例えば、結晶系シリコン太陽電池の場合、約1.1μmより長い波長の光は発電に利用できないといわれています。これにより、結晶系シリコン太陽電池の発電効率(エネルギー変換効率)は29%が上限とされています。
実際に製品化されている商品は、まだ上限まで発電効率を上げることができず、15%~20%の製品が大半となっています。
太陽光発電の変換効率は年々上昇している 上記で述べた通り、太陽光発電の発電効率は15%~20%程度が一般的ですが、太陽光の発電効率は年々上がっています。 複数の材料を組み合わせて多くの波長を変換できるように工夫したものや、全ての波長の太陽光を吸収できる太陽電池の研究も進んでいます。 研究ベースですが、シャープは2011年に研究セルの非集光セルで変換効率36.9%という世界最高の変換効率を達成しました。現在は、2030年を目標に変換効率40%を目指しています。 現在のところ、商品化されているモジュールの変換効率は最大で25%程度ですが、さらなる研究や実用化に向けた開発が進めば、30%や40%の変換効率を達成する太陽光発電モジュールが登場するかもしれません。 参考:シャープ|太陽電池セルで世界最高変換効率36.9%を達成 |
太陽光発電の発電効率がさらに下がってしまう原因
現在出回っている太陽光発電システムの発電効率は、約15%~20%が主流です。
しかしながら、それに加えて、システム損失によるロスや、設置条件やメンテナンス不備によりさらに発電効率が下がり、発電量が下がってしまうことがあるので注意が必要です。
※発電効率は、各メーカーができるだけベストな状況で計測した数値となります。例えば、日照条件が良いエリアで、南向きで、傾斜角度は30°、パネルの表面温度は25℃の時、などの条件下で計測しています。 |
発電効率をさらに下げてしまう原因についてまとめました。
パワコンや昇圧ユニット・配線を介するシステム損失
太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換した後、パワーコンディショナーや昇圧ユニット、配線を介する際に、5%~10%のエネルギー損失があるとされています。
これはシステムを介する上で防ぎようのない種類の損失となりますが、変換した電気を全て活用できる訳ではないことを知っておくと良いでしょう。
太陽光パネルの表面の汚れ
太陽光パネルの表面が汚れていたり、破損していたり、飛来物でふさがれていたりすると、当然、発電できる電力は少なくなります。
ほとんどの汚れは雨や風によって自然に落ちるように設計されていますが、「あまりにも発電量が減った」というケースでは、パネルの汚れや損傷を疑ってみると良いでしょう。
対策については6章をご覧ください。
太陽光パネル面の温度上昇
太陽光パネルの表面温度は25℃の場合に最も発電効率が良く、1℃上がるごとに発電効率が約0.5%下がるといわれています(シリコン系の場合)。
ここ数年、日本各地で、夏日(25℃を超える日)や真夏日(30℃を超える日)、猛暑日(35℃を超える日)が増えています。外気の気温が上がると太陽光パネルの表面はそれ以上に熱くなり、70℃や80℃になることもあるといわれています。
例えばパネル表面が80℃になった場合、最も発電効率が良い25℃より55℃よりも高い温度になります。発電効率は27.5%程度も下がり、発電量もかなり少なくなってしまいます。
対策については6章で詳しく説明しています。
太陽光パネルが光を反射してしまう
太陽光パネルが光を反射してしまうことも、太陽光発電の発電効率を下げる原因となっています。
太陽光パネルの表面に降り注いだ太陽光を100%吸収して発電に回せれば良いのですが、現状ではいくらかの太陽光はパネルの表面で反射してしまいます。
太陽光パネルの反射損失は、一部の研究結果によると10%ともいわれています。
反射損失を防ぐために、反射防止用のコーティング材や、表面を市松模様にしたデザインの太陽光パネルなどの開発も進んでいます。
できるだけ太陽光発電の効率を上げる(下げない)方法
ここからは、太陽光発電の発電効率をできるだけ上げる方法(下げない方法)を解説します。
太陽光発電においては発電時にさまざまな損失(ロス)があり、集めた太陽光を全て電気に変換できる訳ではありません。発電効率は約15%〜20%程度となります。
より効率的に発電するためには、この発電効率を下げない(できるだけ維持する)ことが大切です。
変換効率が高いモジュール(太陽光パネル)を採用する
できるだけモジュール変換効率が高い製品を選ぶことで、発電効率を上げることができます。
モジュールごと(太陽光パネルごと)に性能が異なり、変換効率も異なります。同じ面積の太陽光パネルがあった場合、変換効率の数値が高いパネルの方が、同じ量の太陽光エネルギーを受けたときに効率的に電気を生み出すことができます。
ただし、変換効率が高い(=性能が良い)太陽光パネルの方が価格も高くなりますので、コストパフォーマンスを比較した上で機器の選定を行うことをおすすめします。
予算や、どのくらい発電したいのか、屋根の形、屋根の広さなどによっても、選ぶべき太陽光パネルは変わってきます。変換効率だけでなく状況に応じた製品を選定することをおすすめします。
理想の発電量については、「太陽光発電の発電量は1kWあたり年間1000kWh|目安と理想の発電量プラン」の記事もぜひご覧ください。
効率よく発電できる「向き」「傾斜角度」で設置する
できるだけ効率的に発電するためには、太陽光パネルを設置する「向き」と「傾斜角度」の工夫が大切です。
なぜならば、設置する向きと傾斜角度によって、パネルに当たる太陽光の量が変わってくるからです。
例えば、パネルを北向きに設置してしまうと、南向きに設置するよりも太陽光が当たる時間が短くなります。太陽光がパネルに当たらなければ発電しないため、発電量は当然下がります。
一般的には、太陽光パネルの向きは「真南」、傾斜角度は「30度」が最適といわれています。ただし、傾斜角度は、設置する地域によって最適な角度が変わってきます。
上記画像の右側が都市別の傾斜角度のグラフです。30度あたりが最大になる都市が多いですが、沖縄では10度~20度の方が日射量を多く集められることが分かります。
太陽光パネルの設置エリアによって最適な向きとエリアの組み合わせは異なります。また、真南に向けて設置できない場合にも、その向きで最大の傾斜角度の組み合わせは変わってきます。
最も発電効率が高くなる角度を太陽パネル設置業者と一緒に決めることが、できるだけ効率的に発電量を増やすために重要です。
暑さによる発電効率低下の対策を行う
5-3で解説した通り、太陽光パネルの表面温度は25℃が最適であり、1℃上がるごとに発電効率が約0.5%下がるといわれています(シリコン系の場合)。
年間を通して気温が高くなる地域では、高温に強い素材の太陽光パネル(CIS太陽電池など)を選んだり、冷却装置を設置したりという対策方法を考える必要もあるかもしれません。
費用対効果を見ながら、できる対策を講じていきましょう。
建物や樹木の影などがかからない場所に設置する
太陽光パネルの上に影ができると発電できないため、建物や樹木の影などがかからない場所に設置することも重要です。
影になって発電を妨げる障害物には、建物、樹木、電信柱、アンテナなどがあります。
また、一見すると障害物と思わないような遠くの山や森林の影が太陽光パネルに影を落とし、発電量が下がることもあります。
季節によってできる影が異なるため、影が長くなる冬の時期の日差しを考慮して、影ができにくい場所に太陽光パネルを設置することが大切です。
表面の汚れを定期的に清掃する
太陽光パネルに汚れがあると集められる光の量が減ってしまうため、発電効率は下がってしまいます。
太陽光パネルの汚れの程度にもよりますが、太陽光パネルの清掃業者によれば、汚れによって年間1%〜5%の発電効率が下がるとされています。
花粉や黄砂、塩害、鳥のふん、飛来物による太陽光パネルの汚れに注意し、汚れがひどい場合には清掃してキレイな表面を保ちましょう。
まとめ
本記事では、太陽光発電を中心とした「発電効率」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
▼発電効率とは
・元となるエネルギー(太陽光など)をどのくらい電力に変換できたかを示す数値 |
発電方法別の発電効率ランキング
・水力発電:約80% |
発電効率の数字だけ比べても意味はない
・発電効率が高いほど優れた発電方法ならば、世の中の発電方法は全て水力発電になるはず |
太陽光発電の発電効率が【約15〜20%】と低い理由
・全ての波長の光を発電に利用できるわけではないから |
太陽光発電の発電効率がさらに下がってしまう原因
・パワコンや昇圧ユニット・配線を介するシステム損失 |
できるだけ太陽光発電の効率を上げる(下げない)方法
・変換効率が高いモジュール(太陽光パネル)を採用する |
太陽光発電の発電効率は、もともとそれほど高くないものです。設置する場合には、できるだけ発電効率を「さらに下げてしまう原因」を取り除き、効率的に発電できる環境を整えましょう。
太陽光のメリットと発電効率についての総合的な解説は、こちらのページで確認できます。
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