集合住宅の太陽光・蓄電池は、住戸、共用電灯、動力の電力契約と接続先を確認し、契約別に試算します。エネがえるの診断結果を、オーナーの収支と入居者の電気代メリットへ整理する手順を解説。設備容量・費用・便益の二重計上を防ぐ配分台帳、Excelへ渡す項目、検証条件を掲載しています。空室や物件売却、管理組合の合意形成など、条件が変わった場合の対応も確認できます。
集合住宅の太陽光・蓄電池を、契約別の試算からオーナー提案へ
集合住宅は、屋根が一つでも電気の契約が一つとは限りません。住戸、共用電灯、動力の接続を確認し、各契約で計算した結果を所有者別にまとめると、設備の経済性と入居者のメリットを分けて説明できます。

- 契約と接続先を確認し、設備容量・費用の割当を決める。
- 各契約で試算し、異なる住戸の余剰と不足を相殺しない。
- オーナーの収支と入居者のメリットを分け、二重計上を防ぐ。
「専有・共用の2系統」を前提にしない
| 構成 | 診断単位 | 集約の注意 |
|---|---|---|
| 各住戸に別契約 | 住戸ごと。条件が一致する場合のみ代表タイプ×戸数 | 異なる住戸の余剰と不足を相殺しない |
| 共用電灯と動力が別契約 | 各契約・PV連系先ごと | 非接続側の需要をPV自家消費に含めない |
| 一括受電 | 実際の受電境界と内部精算を確認して設計 | 独立契約モデルと同じ式で混在させない |
ASPで進める場合の入力手順
- 屋根図面から、通路・設備・離隔を考慮したパネル配置と容量候補を外部で求める。構造・施工条件は設計者が確認する。
- パネル群を接続先へ割り当てる。PV容量、PCS容量、方位・傾斜、変換効率、費用の配分を台帳化する。
- 各住戸は月別使用量と生活時間を設定する。新築は推計根拠を残し、端住戸・最上階等の違いを代表タイプに反映する。
- 共用部は照明・ポンプ・換気等の台数、消費電力、稼働時間を積み上げる。家庭の生活スタイルを無条件で当てない。
- 各契約で「設備なし」「PVのみ」「PV+蓄電池」を同じ条件で実行する。需要・機器・料金がASPの範囲に収まるか確認する。
- 時間別の事業用負荷や対象設備をASPで表せない場合は、該当部分をBiz等で別検証する。ASPへ寄せるために物理条件を変えない。
容量配分の例:数字を一度だけ使う
仮の配置案が24kWで、共用部6kW・住戸群18kWへ物理的に分けられるなら、両側の診断に24kWを入力せず、割当量を入力します。これは配分の説明例であり、実物件の設計値ではありません。設備費や蓄電池も実際の接続と費用負担に合わせます。独立メーターをまたぐ1台の蓄電池を、両側で同時に使えるものとは扱いません。
オーナーと入居者に見せる指標
| 相手 | 主要指標 | 混ぜないもの |
|---|---|---|
| オーナー | 初期負担、帰属する共用部削減、売電、維持・交換・撤去費、累積CF | 入居者が受ける専有部の削減額 |
| 入居者 | 電気代の導入前後差、契約上の追加負担、月・年の純メリット | オーナーの売電収入 |
| 営業・設計 | 設備・契約対応、診断ID、住戸タイプ数、未確定条件 | 希望する回収年に数字を合わせる操作 |
賃料上昇・空室低下は、エネルギー診断だけからは算定できません。採用する場合は根拠のある経営シナリオとして別枠にし、エネルギー効果だけの採算も残します。入居者負担の増加を同時に表示してください。
Excelへ渡す共通項目
契約ID、設備ID、住戸タイプ、戸数、診断ID、対象年、導入前買電費、導入後買電費、売電収入、費用負担者、便益受取者をそろえます。合算前に契約別で照合し、代表タイプの戸数と設備容量の重複を検査します。
集合住宅向けExcel連携は、実際の診断レポートとの接続・照合を行ってから本番運用を判断します。本ページは進め方を示すガイドであり、本番稼働済みの導入事例ではありません。
初回検証の合格条件
- 単線結線図と契約一覧が対応し、未確認の連系先が残っていない。
- PV容量の配分合計が配置案と一致。蓄電池・設備費を二重に計上していない。
- 1住戸と共用部で、原本レポートと加工帳票の主要値が一致。
- 需要・設備変更は診断の再実行、表示・配分変更はExcel更新、と営業が区別できる。
条件が変わったときの、5つの相談場面
次の例は、対応の進め方を示す想定相談例です。標準機能で自動対応することや、納品済みの実績を意味しません。元資料と対象範囲を確認してから方法を決めます。
| 相談が生まれる場面 | 確認・試算の進め方 | 先にそろえる条件 |
|---|---|---|
| 空室が埋まると、オーナーの収支も変わるのか聞かれた | 住戸稼働率と共用部需要を分けて複数案を比較する | 入居者の便益をオーナー収入へ加えない |
| 物件売却に向け、設備のメリットを買主へ説明したい | 設備・契約・費用負担と診断条件を引き継げる形にする | 物件価格上昇や権利移転の適法性は診断から確定しない |
| テナントが増減し、代表住戸の単純倍算ができない | 用途別の契約と機器連系先を更新して分割試算する | 異なる契約の余剰と不足を相殺しない |
| 管理組合の総会で、負担が公平か説明を求められた | 便益・初期費用・保守費の帰属を契約案別に示す | 配分案の承認や合意を計算だけで代替しない |
| 共用部のEV充電を追加したら、試算を作り直す必要がある | 充電の接続先・課金・利用時間を整理して需要へ反映する | 充電電力の帰属と設備対応は個別確認 |
入力・運用の根拠を確認する
公式ページの確認日:2026年10月3日。個別機器、料金、契約プラン、利用権限によって対象範囲は異なります。
よくある質問
住戸と共用部の需要を合算して試算できますか?
独立した契約の需要を合算すると架空の自家消費が生じる場合があります。受電・連系・契約単位を確認し、必要な単位ごとに診断してから所有者別に集約します。
オーナーと入居者のメリットはどう分けますか?
費用負担と便益の帰属を別欄にします。二者間の支払と受取を照合し、代表住戸の適用戸数や設備容量の配分根拠を残します。
集合住宅のExcel連携は本番稼働済みですか?
本ページの集合住宅Excel連携は実レポートで未検証です。本番稼働事例として紹介していません。実出力と項目を照合し、代表案件で検証する必要があります。
空室やテナント変更があったときはどうしますか?
契約と需要の変化を整理し、必要に応じて診断を再実行します。帳票の数値だけを変更せず、配分と収支の整合を確認します。
代表案件1件で、使える範囲を確かめる
相談時は、下記の項目を分かる範囲でお知らせください。まず対象範囲と不足資料を整理し、標準操作で進めるか、前処理・帳票調整・個別開発が必要かを確認します。費用・納期・回数は対象資料と成果物を確認してお見積りします。
- 相談したいこと:集合住宅の契約構成とオーナー向け提案書
- 対象物件・契約数・設備/現状の試算方法
- 手元にある資料と不足している資料
- 必要な成果物・利用する担当者・希望時期
- 比較したい案と、導入判断に必要な条件
