
お話を伺った方
エクソル 田中様 加藤様
業種
メーカー
御社の事業内容について教えてください。特に太陽光発電事業における強みや特徴について教えてください。
弊社は「太陽光発電の総合企業」として全国で事業を展開しています。住宅から、産業、セカンダリーまであらゆる分野に対応しており、4つの柱で事業を展開しています。まず、メーカーとしての側面があり、自社ブランド「XSOL」で太陽光パネルやオリジナル架台を提供しています。また、他社商品も取り扱うサプライヤーでもあります。さらに、EPC(設計施工)も手がけており、オペレーション&メンテナンスまで一貫して請け負うことができる体制を整えています。つまり、太陽光発電の開発から設置、そしてアフターメンテナンスまで、すべてのプロセスを一社で完結できるワンストップソリューションが当社の大きな強みです。
独自シミュレーションシステムの概要
御社で開発されたシミュレーションシステムについて説明していただけますか?
弊社では「XSOL NAVI(エクソルナビ)」という住宅用の見積もり・設計システムをベースに、産業用の自家消費シミュレーションモードを追加しました。このシステムでは、お客様の情報や設置条件を入力した後、「自家消費シミュレーション」というページで詳細なシミュレーションを行うことができます。
システム構成としては、モジュール、パワーコンディショナ、蓄電池システムの計算が可能で、当社で頻繁に使用するメーカーの製品データをデフォルト設定としています。もちろん任意の製品データも入力可能な汎用性を持たせています。
発電量の計算は従来から当社が持っていた計算方式を活用していますが、詳細設計の際には他社ソフトウェアから得られるより精密なデータも取り込めるようにしています。また、建物の面積から太陽光パネルの設置可能枚数を算出する機能や、太陽光パネルの配置、方位、角度なども設定できます。
デマンド情報は「エネがえる」のAPIを活用しており、「仮想デマンドモード」では業種と延床面積を入力するだけ約30秒でデマンド計算ができます。電力会社の設定も高圧・低圧の両方に対応しており、エネがえるのAPIを使って電力単価を取得しています。
さらに、収支計算では計算年数やイニシャルコスト、ランニングコスト、補助金なども設定可能です。最終的な出力として、自家消費率や自給率、経済効果などがわかるレポートをエクセルで自動生成します。
エネがえるAPI導入の背景と経緯
このシミュレーションシステムにエネがえるのAPIを導入しようと思われた背景や課題について教えてください。
以前は自家消費シミュレーションをエクセルのマクロで組んで計算していました。しかし、機能を追加するにつれてファイル容量が大きくなり、計算にかかる時間も延びていきました。1回の計算で30分ほど待たなければならず、準備も含めると1件のシミュレーションに2〜3時間かかっていました。案件が複数重なると、それだけで1日が終わってしまうような状況で、かなりの負荷を感じていました。
また、このツールは使いづらかったため、限られた営業担当者しか使えませんでした。さらに、開発者も実質1人だったため、修正や更新に時間がかかり、課題が山積でした。
電力プランも多様化しており、単価の見直しや更新作業が手作業だったため、ヒューマンエラーも発生していました。特に低圧プランの従量制などは自社のエクセルツールでは対応できていませんでした。
なぜエネがえるのAPIを選ばれたのですか?
自家消費シミュレーションを新たに独立したシステムとして開発することも検討しましたが、サーバーの問題やシミュレーションの整合性、社内の数値統一などを考慮すると、既存のツールに追加する方が費用面でも開発期間でも有利だと判断しました。
特に仮想デマンドの作成方法については、エネがえるのロードマップ作成方法と当社の考え方に共通点があり、親和性が高いと感じました。また、当時はエネがえるBizのAPIに対応できる会社が少なく、既存のベンダーさんに相談したところ対応可能だったことも決め手になりました。
開発プロセスと実装について
具体的な開発期間や体制について教えてください。
実際の開発期間は延べ約8ヶ月です。システム開発時はベンダー1名と当社担当1名で約6ヶ月、最終調整と検収時にはベンダー2名と当社担当2名で約2ヶ月かけました。ただ、途中で中断期間もあったため、実質的な作業期間は6ヶ月程度です。
開発時に苦労した点はありますか?
技術面では、既存のエクセル計算ツールの複雑な計算ロジックを新しいシステムに落とし込む作業が難しかったです。自社ソフトへの組み込みや、データベースの構成を検討する際に苦労しました。
エネがえるのサポートとしては、当時公開されていなかった低圧電力プランのAPIなど、必要な情報を柔軟に提供していただけたことが非常に助かりました。打ち合わせを通じて臨機応変に対応していただいたことで、スムーズに開発を進めることができました。
導入効果と成果
API導入後の具体的な効果について教えてください。
まず圧倒的に速度が向上しました。以前は1回の計算に30分かかり、準備も含めると2〜3時間を要していましたが、現在はデマンドデータの生成まで含めても1時間もかかりません。お客様のデマンドデータがなくても仮想デマンドモードで5〜10分程度で結果を出せるようになりました。
そのため、以前は一つのパターンを作成することが限界でしたが、現在では、1案件に対して複数パターンのシミュレーション作成が可能となり、比較検討できるため提案の幅が広がりました。
また、システムの使いやすさが向上したことで、新入社員でも簡単に操作できるようになりました。結果が素早く返ってくるため、間違えてもすぐにやり直せるという安心感もあります。
現在の利用状況はいかがですか?
弊社の産業推進課を中心に利用していますが、部署全体で10〜15名程度の営業担当が使用しています。システムは全営業担当が使えるようになっていますが、実際に活用しているのはまだ一部の担当者です。設計部門でも積極的に使用しており、営業より設計部門の使用頻度が高いかもしれません。
毎月の見積もり依頼は全体で200件を超えることもあり、そのうち50件程度でこのシミュレーションツールを使用しています。本来は全案件で使用したいところですが、まだ初期段階の案件など、詳細な経済効果試算が必要ない段階のものもあります。
お客様からの反応はいかがですか?
お客様からは「レスポンスが早くなった」という評価をいただいています。以前よりも迅速に提案できるようになったことで、お客様も様々なパターンをリクエストされるようになりました。実際に「自分でも使えるようにしてほしい」というリクエストもいただくほど好評です。
今後の展望と要望
今後の展開や改善点について教えてください。
現在は社内向けのツールとして使用していますが、将来的には社外向けの提供も検討しています。まずは社内での使用を通じてクオリティを高め、バグフィックスなどを行っているところです。
エネがえるAPIに対する要望としては、低圧プランの単価情報のAPI反映と、ロードカーブのAPI化です。現在はロードカーブのデータベースを加工して利用していますが、APIとして提供していただけると更に使いやすくなります。
また、社内では使用者の拡大も課題です。現状はまだ限られた部署・担当者のみの利用ですが、全社的に浸透させていくことでより多くの提案品質向上につなげていきたいと考えています。
最後に、API導入の効果をどう評価されていますか?
導入前と比較すると、作業効率は劇的に向上しました。計算時間の短縮だけでなく、使いやすさも格段に上がり、より多くの営業担当者が活用できるようになったことは大きな成果です。特に、お客様への提案の幅が広がったことで、より最適な太陽光発電システムを提案できるようになりました。
今後も機能改善を続け、社内外での活用範囲を広げていくことで、より多くのお客様に最適な太陽光発電システムを提供していきたいと考えています。
■「エネがえるAPI」とは
「エネがえるAPI」は、国際航業が提供するB2B SaaS型の電力・エネルギーシミュレーションサービスをAPI化し、電力・ガス会社、太陽光・蓄電池メーカー、商社、自治体などに提供するエネルギー診断特化型APIサービスです。
主な機能
1.電気料金・太陽光・蓄電池の経済効果診断(住宅用・産業用対応)
2.EV・EV充電器・V2Hの経済効果診断
3.電気料金プラン単価参照(全国100社・3,000プラン以上を月1回自動更新)
4.全国自治体のスマートエネルギー補助金情報参照(約2,000件の補助金情報を提供)
APIの詳細:https://www-v4.enegaeru.com/apidoc/api-general.html

エクソル、エネがえるAPI導入で太陽光シミュレーション時間を3時間から5分へ大幅短縮 〜複数パターン提案で顧客満足度向上〜
会社概要 株式会社エクソル 事業内容 太陽光発電システム(住宅用、産業用)の設計、施工、販売 太陽光発電システムの運転管理、保守管理 太陽光発電関連製品の開発、製造、販売 太陽光発電事業ならびに太陽光発電所の売買 サイト https://www.xsol.co.jp/