※2024年2月24日更新
住宅用太陽光発電を設置して、そろそろ10年が経過する方は「10年目以降(卒FIT後)はどうしたらよいのか」の判断基準になるような具体的な経済効果シミュレーションを確認したくありませんか?
✅本記事の内容
・卒FIT後の経済効果シミュレーション
・卒FIT後に太陽光発電のみのまま売電を継続させる場合(各電力エリア毎のまとめ)
・卒FIT後に蓄電池を新たに設置して自家消費を優先させる場合(各電力エリア毎のまとめ)
・卒FIT後に、太陽光発電のみと蓄電池を追加設置する場合ではどちらがお得なのか
✅本記事の信頼性
- 現役の某太陽電池メーカーの営業マンが監修(営業キャリア10年以上)
- 営業実績は、毎月200棟の家庭用太陽光発電を2年以上販売継続中
- 多くの最新情報を組み込んだ最先端の経済効果シミュレーションソフト(エネがえる)を使用
太陽光発電を設置して10年目以降の太陽光発電の運用方法として、売電単価が下がったまま太陽光発電のみで継続させるのか、蓄電池を買って太陽光発電の電気を有効活用した方が良いのかわかりにくいですよね。
この記事を見てもらえれば、卒FITユーザーの方が10年目以降に太陽光発電のみで運用した方が良いのか、蓄電池を新たに設置した方が良いのか、それぞれ具体的な経済効果がどれくらいなのかが理解できるようになります。
目次
卒FIT後の経済効果シミュレーション
まず、卒FIT後の経済効果シミュレーションを考える上では、大きく2つのプランが考えられます。
- これまでと同じように太陽光発電のみを使い続ける
- 蓄電池を新たに設置して、太陽光発電+蓄電池で使う
多くの方が、太陽光発電を設置して10年が経過するタイミングで上記のどちらにしたら良いのか迷われます。
理由は、国による固定価格買取制度が終わるタイミングだからです。
固定買取制度とは?
太陽光発電を含む再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で10年間買い取ることを国が約束する制度
一定価格は、「太陽光発電を設置して売電を開始する」と国に届け出をして受理された年度ごとに異なります。
具体的には、各年度ごとに下記のような単価が設定されております。(※ダブル発電以外の価格)
2012年度 | 2013年度 | 2014年度 | 2015年度 | 2016年度 | 2017年度 | 2018年度 |
42円/kWh | 38円/kWh | 37円/kWh | 33円/kWh | 31円/kWh | 28円/kWh | 26円/kWh |
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
26円/kWh | 21円/kWh | 19円/kWh | 17円/kWh | 16円/kWh | 16円/kWh |
例えば、2014年度に太陽光発電を設置して国に売電開始の届け出が受理されていれば、37円/kWhで2024年度まで売電が続けられるということです。
つまり、2014年度に太陽光発電を設置した方は、2025年度からは37円/kWhでは売電ができなくなるため、太陽光発電の新しい運用方法として何がよいのか迷うということになります。
各電力会社の卒FIT後の太陽光発電の買取単価は、以下の通りです。
電力会社 | 買取単価(円/kWh) |
北海道電力 | 8円 |
東北電力 | 9円 |
東京電力 | 8.5円 |
中部電力 | 8円 |
北陸電力 | 8円 |
関西電力 | 8円 |
中国電力 | 7.15円 |
四国電力 | 7円 |
九州電力 | 7円 |
沖縄電力 | 7.5円 |
金額を見てもらったらわかる通りですが、元々37円/kWhで売電できていたところから卒FIT後は7円~9円/kWhまで売電単価が下がるため経済的なメリットがかなり落ちてしまうということです。
一方で、電気代が年々上昇を続けており蓄電池に対する考え方も少しずつ変わってきております。
昔は災害対策のみで太陽光発電と蓄電池を購入される方がほとんどでしたが、電気代高騰の影響により節電(経済性)の観点で太陽光発電と蓄電池を購入される方が増えました。
そこで、卒FITを迎える方が太陽光発電を安い単価で売電し続けた方が良いのか、蓄電池を設置して高い電気を買わない生活にシフトした方が良いのかの疑問が出てきたわけです。
具体的に、卒FIT後に「太陽光発電のみのまま売電継続をした場合」と「蓄電池を新たに設置して節電優先をした場合」の経済効果シミュレーションを見ていきましょう。
卒FIT後に太陽光発電のみのまま売電を継続させる場合(各電力会社エリア毎)
まず、卒FIT後に太陽光発電のみのまま売電を継続させる場合の経済効果シミュレーションを見ていきます。
下記の表は、卒FIT後の15年間で太陽光発電のみでどれくらいの経済効果(節電+売電)があるのかを各エリア(電力会社)ごとに表したものです。
既に4kWの太陽光発電が設置されてあり、各電力会社ごとの卒FIT後の買取単価で卒FIT後に太陽光発電のみを15年間使い続けることを想定しております。
電力会社 | 卒FIT後の15年間の経済効果(太陽光のみ) |
北海道電力 | 1,314,061円 |
東北電力 | 1,413,581円 |
東京電力 | 1,491,436円 |
中部電力 | 1,237,773円 |
北陸電力 | 1,114,026円 |
関西電力 | 1,159,499円 |
中国電力 | 1,280,599円 |
四国電力 | 1,336,543円 |
九州電力 | 996,642円 |
沖縄電力 | 1,465,681円 |
卒FIT後に太陽光発電のみを使い続けた場合でも、だいたい100万円~150万円の経済効果があるということです。
細かいシミュレーション条件は、下記のように設定しております。
✅シミュレーション作成条件
- 4kWの太陽光発電を設置
- 各エリアの主要都市に在住
- 共世帯で、夜間も電気を使う
- 1ヶ月の電気使用量は600kWh
- 電気料金プランは従量電灯
- 太陽光発電の設置は2014年度(つまり売電単価は37円/kWh)
- 卒FIT後(設置から10年後)の売電単価は7~9円/kWh(※各電力会社ごとの単価)
- 電気料金の上昇率は2%
上記の表の電力会社をクリックいただければ、もう少し細かなシミュレーション結果を確認することができます。
具体的には、「FIT期間中とFIT終了後の太陽光発電の発電量、売電量」や「FIT期間中とFIT終了後の1日及び1ヵ月当たりの電気の流れ」、「FIT期間中とFIT終了後の経済効果比較」の確認ができます。
卒FIT後に蓄電池を新たに設置して自家消費を優先させる場合(各電力会社エリア毎)
次に、卒FIT後に蓄電池を新たに設置して自家消費を優先させる場合の経済効果シミュレーションを見ていきます。
下記の表は、卒FIT後の15年間で太陽光発電+蓄電池でどれくらいの経済効果(節電+売電)があるのかを各エリア(電力会社)ごとに表したものです。
既に4kWの太陽光発電が設置されてあり、卒FIT後に各エリア(電力会社)にあった蓄電池を購入して、太陽光発電+蓄電池を15年間使い続けることを想定しております。
電力会社 | 卒FIT後の15年間の経済効果(太陽光+蓄電池) |
北海道電力 | 3,367,212円 |
東北電力 | 3,318,374円 |
東京電力 | 3,004,538円 |
中部電力 | 2,178,736円 |
北陸電力 | 3,074,323円 |
関西電力 | 2,129,395円 |
中国電力 | 3,544,153円 |
四国電力 | 3,084,468円 |
九州電力 | 1,938,850円 |
沖縄電力 | 3,925,327円 |
卒FIT後に太陽光発電のみを使い続けた場合でも、だいたい200万円~400万円の経済効果があるということです。
細かいシミュレーション条件は、下記のように設定しております。
✅シミュレーション作成条件
- 4kWの太陽光発電を設置
- 各エリアの主要都市に在住
- 共世帯で、夜間も電気を使う
- 1ヶ月の電気使用量は600kWh
- 電気料金プランは、太陽光+蓄電池にオススメな電気料金プランに変更
- 太陽光発電の設置は2014年度(つまり売電単価は37円/kWh)
- 卒FIT後(設置から10年後)の売電単価は7~9円/kWh(※各電力会社ごとの単価)
- 電気料金の上昇率は2%
- 蓄電池は寒冷地はパワーデポH、塩害地はオムロン、それ以外はニチコン蓄電池を選定
上記の表の電力会社をクリックいただければ、もう少し細かなシミュレーション結果を確認することができます。
具体的には、「FIT期間中とFIT終了後の太陽光発電の発電量、充電量、売電量」や「FIT期間中とFIT終了後の1日及び1ヵ月当たりの電気の流れ」、「FIT期間中とFIT終了後の経済効果比較」の確認ができます。
卒FIT後に、太陽光発電のみと蓄電池を追加設置する場合ではどちらがお得なのか
次に、卒FIT後に「太陽光発電のみ」と「蓄電池を新たに設置」ではどちらがお得なのか見ていきます。
結論から言うと、蓄電池を新たに設置する方が長期的にはお得です。
比較検討するにあたって改めて、太陽光発電のみと蓄電池を新たに設置する場合の卒FIT後15年間の経済効果を見ておきましょう。(下記は沖縄電力エリア)
卒FIT後の15年間で見ると蓄電池を新たに設置する方が、太陽光発電のみと比べて2,459,646円(3,925,327円-1,465,681円)の経済効果が高いことがわかります。
つまり、新たに設置する6.5kWh蓄電池が245万円未満で購入できるかがポイントです。
今回シミュレーションした6.5kWh蓄電池は、オムロン製マルチ蓄電プラットフォーム(全負荷対応の重塩害タイプ)になりますが180万円が相場価格になります。
180万円程度で蓄電池が購入できて、245万円の経済効果があるので蓄電池を購入する方がお得ということです。
また、パワーコンディショナの寿命は忘れてはいけない項目になります。
パワーコンディショナの期待寿命は15年程度と言われており、太陽光発電を25年間発電を継続させるためには少なくとも1回は新しいパワーコンディショナの交換が必要です。
パワーコンディショナの交換費用は、工事費込みで20万円~30万円になります。
オムロン製マルチ蓄電プラットフォームは、パワーコンディショナ交換も兼ねているのでパワーコンディショナの交換費用は不要です。
適正な価格で、蓄電池を購入することができれば、パワーコンディショナの交換の観点も含めて蓄電池を新たに設置する方がお得になります。
まとめ-卒FIT後の経済効果シミュレーション
今回は、卒FIT後の経済効果シミュレーションについてお伝えしました。
既に太陽光発電を設置されていた方は、卒FIT後には蓄電池を新たに設置した方がパワコン交換の観点も含めると長期的にお得であることが理解いただけたかと思います。
根拠としては、太陽光発電のみで売電を続けるよりも経済効果(節電+売電)があり、新たに購入する蓄電池が安く買えることから卒FIT後は蓄電池を購入した方がお得です。
電力会社 | 卒FIT後 15年間の経済効果 (太陽光のみ) | 卒FIT後 15年間の経済効果 (太陽光+蓄電池) | 蓄電池の相場価格 |
北海道電力 | 1,314,061円 | 3,367,212円 | 12.8kWh蓄電池 2,000,000円
|
東北電力 | 1,413,581円 | 3,318,374円 | 12.8kWh蓄電池 2,000,000円 |
東京電力 | 1,491,436円 | 3,004,538円 | 4.9kWh蓄電池 1,500,000円 |
中部電力 | 1,237,773円 | 2,178,736円 | 4.9kWh蓄電池 1,500,000円 |
北陸電力 | 1,114,026円 | 3,074,323円 | 12.8kWh蓄電池 2,000,000円 |
関西電力 | 1,159,499円 | 2,129,395円 | 4.9kWh蓄電池 1,500,000円 |
中国電力 | 1,280,599円 | 3,544,153円 | 7.4kWh蓄電池 1,750,000円 |
四国電力 | 1,336,543円 | 3,084,468円 | 7.4kWh蓄電池 1,750,000円 |
九州電力 | 996,642円 | 1,938,850円 | 4.9kWh蓄電池 1,500,000円 |
沖縄電力 | 1,465,681円 | 3,925,327円 | 6.5kWh蓄電池 1,800,000円 |
また、エリアによって蓄電池設置の効果が出にくいところもありますので、蓄電池を購入する際は積極的に国や自治体の補助金を活用することをオススメします。
国の補助金と各都道府県の補助金の併用も可能なため、4~5万円/kWhの補助を受けることが可能です。
つまり、5kWhの蓄電池であれば20万円~25万円の補助金がもらえるということになります。
下記記事を参考にしてみてください。
※いずれも2023年度の補助金概要になっておりますので、順次わかり次第で2024年度の内容に更新致します。
今後、電気代が下がってくることは予想しにくく、更に電気代は上がると言われております。
また、2024年年始に発生してしまった地震のように日本は先進国の中でも災害が多い国です。
太陽光発電と蓄電池を設置すれば、電気代に困ることなく、また災害時でも安心した生活を送ることができるようになります。
太陽光のメリットと発電効率についての総合的な解説は、こちらのページで確認できます。
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