
この記事の結論
売る、直接使う、蓄電池へ貯めるを同じ15年、同じ料金・効率・交換条件で比べます。
データの扱い:地域別単価と試算表は過去条件の例示を含みます。現在の契約・買取条件と設備見積へ置き換えるまで、個別家庭の結論として使わないでください。
結論:卒FITで太陽光発電が終わるわけではありません。終了するのは国が定めた固定価格での買取です。その後は、余剰電力を小売電気事業者等との自由契約で売るか、自宅で使うかが基本です。蓄電池は「太陽光+蓄電池の総便益」ではなく、蓄電池がなかった場合から増える便益と費用の差で判断します。
目次
卒FIT後の経済効果シミュレーション
実際の運用は、売るか貯めるかの二者択一ではありません。昼間は直接自家消費し、残りを売る、給湯へ移す、蓄電池へ貯める、EVへ充電する、といった組み合わせです。最初に「何もしない場合」を基準案として作ります。
- 売電継続:直接自家消費後の余剰を現行契約で売る
- 運転変更:給湯・家電・EV等を昼へ移し、直接自家消費を増やす
- 蓄電池追加:残る余剰を夕方・夜へ移し、増分NPVを評価
蓄電池は増分NPVで判定する
SOC[t]
= SOC[t−1]
+ 充電量[t] × η充電
− 放電量[t] ÷ η放電
蓄電池の年次増分便益
= Σ(放電量[t] × 買電回避単価[t]
− 太陽光充電量[t] × 卒FIT売電単価[t])
− 保守費 − 交換費
増分NPV
= −追加投資額
+ Σ(年次増分便益[y] ÷ (1+割引率)^y)
余剰太陽光は無料ではありません。売電可能なら、蓄電池へ充電した電力量には失った売電収入という機会費用があります。買電単価と売電単価の差が大きくても、夕方以降の需要が小さい、容量が過大、効率が低い、設備費・交換費が高いと増分NPVは負になります。
地域一律表ではなく、現在の契約を入れる
卒FIT買取単価は、事業者、プラン、付帯条件、確認日で異なります。「全国7~9円/kWh」等の固定表を個別判断へ使いません。例えば東京電力エナジーパートナーの標準プランの公表単価があっても、全国共通値ではありません。契約中または比較対象の小売電気事業者の最新条件を確認します。
各電力エリアの個別シミュレーション
地域差を確認したい方は、次の10エリアから該当する個別記事へ進んでください。各記事の数値は作成時点の料金・機器・需要条件による試算例で、現在の買取単価や見積価格を保証するものではありません。地域記事で考え方をつかんだ後、契約中の料金、30分需要、既設太陽光、最新見積へ置き換えて再計算します。
| 電力エリア | 個別シミュレーション | 個別判断で置き換える条件 |
|---|---|---|
| 北海道 | 北海道電力エリア | 積雪・発電・暖房需要・現行契約 |
| 東北 | 東北電力エリア | 積雪・発電・暖房需要・現行契約 |
| 東京 | 東京電力エリア | 昼夜需要・料金プラン・現行見積 |
| 中部 | 中部電力エリア | 発電・昼夜需要・現行契約 |
| 北陸 | 北陸電力エリア | 積雪・発電・暖房需要・現行契約 |
| 関西 | 関西電力エリア | 昼夜需要・料金プラン・現行見積 |
| 中国 | 中国電力エリア | 発電・昼夜需要・現行契約 |
| 四国 | 四国電力エリア | 発電・昼夜需要・現行契約 |
| 九州 | 九州電力エリア | 出力制御・発電・昼夜需要・現行契約 |
| 沖縄 | 沖縄電力エリア | 発電・冷房需要・現行契約 |
読み方:地域記事間の金額差をランキングとして使わず、自分の案件で変えるべき条件を見つける索引として使ってください。最終比較は、同じ需要・同じ分析期間で「蓄電池なし」と「蓄電池追加」を並べ、増分NPVで判定します。
15年比較の入力
| 入力群 | 最低限の項目 | 結論への影響 |
|---|---|---|
| 需要 | 30分需要、在宅、給湯、EV、将来変化 | 放電を使い切れるか |
| PV | 30分発電、劣化、影・積雪、既設PCS | 充電可能量 |
| 料金 | 買電料金式、燃調、賦課金、卒FIT売電 | 1kWh移行の価値 |
| 蓄電池 | 実効容量、出力、効率、SOC、保証、生涯量 | 移行量と劣化 |
| 費用 | 本体、工事、補助、O&M、交換、撤去 | 増分NPV |
| 金融 | 分析期間、割引率、資金、残存価値 | 現在価値 |
どちらがお得か:結論が変わる4条件
- 昼間余剰:直接自家消費・給湯・EV後にも充電できる余剰がある
- 夕夜需要:貯めた電気を高い買電の代わりに使える
- 価値差:買電回避単価が、売電機会費用と損失を十分上回る
- 設備費:補助を含む追加費用が慎重ケースの便益内に収まる
一つでも弱ければ、まず運転変更、容量縮小、見積再取得、売電プラン比較を検討します。「蓄電池を付ける/付けない」の前に、容量と使い方を変える余地があります。

感度分析
| 慎重ケース | 基準ケース | 上振れケース |
|---|---|---|
| 余剰減、需要減、設備費増、効率低下、交換あり | 実測需要、現行見積、仕様値、現行料金 | 余剰・夕夜需要増、補助採択、設備費減 |
電気代上昇率を一つだけ置いて結論を作らず、買電料金、売電単価、需要、設備費、劣化、交換費を別軸で変えます。慎重ケースで増分NPVが負なら、導入条件または容量を再設計します。
エネがえるで比較する
エネがえるASPでは、現在の電気使用量・料金、既設太陽光、蓄電池案から住宅の経済効果を一次比較できます。料金、既設機器、運転、交換を独自条件で精査したい場合は、経済効果試算BPOで「蓄電池なし」と「追加」の差分を明示します。
販売施工店は、蓄電池あり案の総削減額だけを見せず、基準案、増分便益、機会費用、慎重ケース、保証条件を同じ提案書へ載せてください。条件付きで導入を見送る結論も、信頼できる提案の一部です。
FAQ
卒FIT後も売電できますか?
できます。国の固定価格買取は終了しますが、小売電気事業者等との自由契約による余剰売電が可能です。最新条件を確認します。
買電単価が売電単価より高ければ蓄電池は得ですか?
それだけでは決まりません。余剰量、夕夜需要、効率、設備費、交換費、分析期間を入れた増分NPVで判断します。
地域別平均で判断できますか?
初期の目安にはなりますが、個別結論には使いません。契約、30分需要、既設PV、見積へ置き換えます。
価格・制度の基準日:2026年8月26日。電気料金、燃料費調整、政府支援、卒FIT買取、補助金、製品保証は変更されます。試算実行日に一次情報を再確認してください。
最終結論:卒FITの価値は「売電単価が下がったから蓄電池」では決まりません。余剰1kWhを売る、直接使う、貯める三つの次善価値を同じ時間軸へ置き、追加投資の増分NPVが正になる条件だけを採用します。



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