太陽光シミュレーションソフトは、発電量を求めたいのか、設備を設計したいのか、顧客へ経済効果を説明したいのかで選びます。「高精度」「簡単」という言葉だけでは、自社の業務に合うか判断できません。最初に確認したいのは、必要な入力、計算の対象、そして持ち帰れる資料です。
この記事は、太陽光・蓄電池を提案する販売施工店、EPC、住宅会社、電力・ガス会社の担当者向けです。国際航業が提供するエネがえるの案内を含みます。比較の基準は他のソフトやExcel内製を検討するときにも使えます。
まず、試算で答えたい問いを一つ決める
| 答えたい問い | 最初に確認する機能 | 結果を見るときの注意 |
|---|---|---|
| 屋根に載せた場合、どれくらい発電するか | 日射、方位・傾斜、設備容量、損失条件 | 年間発電量だけでは自家消費や電気代削減は決まらない |
| 影や配置が設計にどう影響するか | 建物・障害物・配置・影のモデル化 | 経済効果のソフトが詳細設計機能も持つとは限らない |
| 太陽光・蓄電池を入れると収支がどう変わるか | 需要、料金、売電、充放電、設備費・更新費 | 電気代削減額と投資回収を分けて確認する |
| 顧客や社内決裁者へどう説明するか | 条件の表示、複数案比較、レポート出力 | 結果だけでなく「なぜこの差が生まれるか」が伝わるか |
同じソフトで全部を扱う必要はありません。詳細設計で求めた発電条件を経済効果試算に渡す方法もあります。その際は、設備容量、損失、計算期間、受渡しデータの単位をそろえます。
図で確認:導入評価は「入力→差額→説明」の3段階

「発電量が同じ」でも、経済効果は同じにならない
発電した電気を自宅や施設で使えば買電を減らせます。使わずに売れば売電収入になります。同じ年間発電量でも、昼間にどれだけ需要があるかによって結果は変わります。
例として、年間5,000kWh発電し、自家消費で回避できる変動費を30円/kWh、売電単価を10円/kWhと仮定します。これは計算の仕組みを示す架空の単純モデルで、現在の料金相場や特定住宅の試算結果ではありません。基本料金、税、劣化、蓄電損失などは含めません。
| A:自家消費30% | B:自家消費50% | |
|---|---|---|
| 自家消費量 | 1,500kWh | 2,500kWh |
| 買電回避額 | 45,000円 | 75,000円 |
| 売電量 | 3,500kWh | 2,500kWh |
| 売電収入 | 35,000円 | 25,000円 |
| 合計便益 | 80,000円/年 | 100,000円/年 |
差は年間20,000円です。ただし、50%に上げるために設備費や運用負担が増えるなら、その負担も差し引く必要があります。自家消費率を高くすることと、費用対効果を良くすることは同じではありません。実務では時間帯別の発電と需要を合わせ、料金の計算方法に沿って比較します。
ソフト比較で揃える8項目
- 対象:住宅、工場、店舗、公共施設、EVなど、対象案件が対応範囲に入るか。
- 需要:実測データを使えるか。推計する場合は、その方法と限界を説明できるか。
- 発電:地点、方位、傾斜、容量、損失条件を確認できるか。
- 料金:料金プランの適用時点、基本料金、燃料費調整、賦課金などをどう扱うか。
- 蓄電池:公称容量だけでなく、使える容量、出力、効率、運転条件をどう反映するか。
- 費用:工事費、保守、更新、補助金、撤去など、比較に必要な範囲を揃えられるか。
- 出力:入力条件、年別結果、複数案の差を、顧客に渡せる形で残せるか。
- 運用:前提の更新、検算、担当交代、問い合わせ対応を継続できるか。
この8項目は、製品の優劣を一律に採点するためではありません。自社で必須の項目を決め、候補ごとに「対応・条件付き・未確認」を記入します。未確認は不対応と区別しましょう。
メーカーの製品情報と電気料金を、提案の根拠に。
同じ容量の蓄電池でも、実際に使える電力量や電気代の削減額は変わります。エネがえるASPは、メーカー由来の製品情報と電気料金データを組み合わせ、機器・契約・暮らし方に合う提案を支えます。
| 比較する項目 | エネがえるASPの対応 | 他シミュレーション・Excelで確かめること |
|---|---|---|
| 製品情報の出所 | 原則としてメーカー提供情報を登録。カタログ非公開値も計算に活用 | 推測値かメーカー値か。対象型番と参考値の範囲を確認 |
| 蓄電池で使える電力量 | ハイブリッド型・単機能型を区別し、実効容量・充放電出力・経路別の変換効率・待機電力を反映 | 定格容量だけで計算していないか。片道効率と往復効率を区別 |
| 電気料金の細かさ | 100社以上・約3,000プランの料金情報。基本・従量料金、季節別・時間帯別、燃料費調整・再エネ賦課金を扱う | 自社で扱う契約・時間帯・独自燃調に対応するか |
| 単価の更新と基準日 | 料金DBは月1回更新。ASPの通常診断は前月末の単価を基準に計算 | 更新担当・頻度・診断へ適用する単価の年月を確認 |
| 市場連動型の扱い | 対象プランに対応。過去のJEPX単価を基に月別・時間帯別で概算 | 30分の実請求再現、将来価格予測、料金上限の扱いを確認 |
| 使いやすさと採用実績 | オムロンがASPを採用。段階的な入力と見やすいレポートを評価し、販売店支援に活用 | 新任者が入力・再試算・説明までできるか、同じ案件で試す |
比較する価値があるのは、計算できる項目と、そのデータを維持する仕組みです。料金や機器の調査・転記を減らし、「なぜこの金額になるか」をお客様へ説明しやすくします。
一部製品には参考値を使用します。市場連動型は将来価格や30分単位の実請求を予測・再現するものではなく、各社の料金上限も加味しません。採用実績は個別案件の精度保証ではありません。他サービスの非公開仕様は未確認として扱い、非対応とは判定しません。2026年10月3日確認。
根拠:製品別の変換効率・待機電力 / 料金単価と更新頻度 / 市場連動型の計算前提 / オムロン導入事例
精度は、一つのパーセントで比べない
「誤差が何%か」を尋ねるときは、何と何を、どの期間で比べた値なのかを確かめます。年間発電量の誤差、月別発電量の誤差、自家消費量の誤差、電気料金の差は別の指標です。気象条件、使い方、設備の停止、料金改定でも実績は変わります。
出典・検証条件のない「一般に±5〜10%」のような数字を、すべてのソフトや案件に当てはめることはできません。保証がある場合も、対象、期間、免責、支払条件を確認します。計算の妥当性と保証契約の内容を混同しないことが大切です。
トライアルでは、操作の速さと説明の再現性を確認する
用意するのは、条件を把握できている過去案件一つで十分です。同じ需要、発電条件、料金、設備費を使い、現状・太陽光のみ・太陽光+蓄電池のように比較します。ツール間で条件を完全にそろえられない場合は、差分を明記します。
| 確認する作業 | 記録すること |
|---|---|
| 入力 | 手入力箇所、取り込みエラー、不明な単位、入力の所要時間 |
| 検算 | 発電・需要・売電・充放電の整合、料金差の理由、条件の抜け |
| 説明 | 別の担当者がレポートを見て、前提と差額を説明できるか |
| 運用 | 再試算、料金更新、修正履歴、社内共有の手間 |
月額料金だけでなく、毎月の入力・確認・修正・説明にかかる工数も比較します。Excelは柔軟な集計や独自資料に向きますが、制度や計算ロジックを自社で維持する負担もあります。専用サービスも入力条件の確認と検算を不要にはしません。
エネがえるを検討する場合の入口
住宅用の提案はASP、工場や店舗などの自家消費はBiz、EV・V2Hを含む案件は対象サービスを確認します。自社システムへの組込みや試算代行を検討する場合は、API・BPOを含む用途別のサービス案内から確認できます。細かな条件の対応可否は、実際の案件条件で確認してください。
提案書の見やすさを先に確かめたい場合は、登録不要のBiz診断レポートサンプルで出力例を確認できます。入力の流れを確かめたい場合は、目的に合うデモ・プロダクトツアーへ進んでください。
よくある質問
無料のシミュレーションだけで提案できますか?
概算の入口に使える場合はあります。ただし、顧客の料金、需要、設備条件、費用が反映され、計算条件を説明できるかを確認してください。無料か有料かだけでは用途への適合は決まりません。
一番精度が高いソフトはどれですか?
対象と検証条件をそろえた比較なしに、一番を決めることはできません。必要な指標に対する検証結果と、自社案件での入力・出力を確認します。
Excelと専用ソフトは併用できますか?
できます。計算やデータ更新と、集計・社内説明の役割を分けます。受け渡す単位、計算期間、版をそろえ、加工前の出力も残してください。
参照した公式資料
- エネがえる:用途別のサービス案内(提供範囲の確認)
- 診断結果レポートのサンプル(出力の確認)
- デモ・プロダクトツアー(操作の確認)
参照確認:2026年9月26日。本文の数値例は説明用の仮定計算です。実測調査や導入効果の実績値ではありません。
比較と提案準備を、無料Excelへ引き継ぐ
説明を読んだら、自分の案件の入力条件を一枚にまとめます。不明な値を推測で埋めず、確認先を残してください。見積・料金・需要の条件をそろえることで、比較結果を別の担当者へ説明しやすくなります。


比較・提案準備キットをダウンロード(Excel・登録不要)。「提案準備」へ目的と条件を記入し、「見積比較」「売電と蓄電」で比較範囲を確認してください。
数値は説明用の仮定です。詳細な時系列試算やエネがえるへの直接取込ファイルではありません。
太陽光発電シミュレーションの選び方|無料の概算と提案用試算の違いも併せて確認できます。
試算ソフトを選ぶときの比較を始める
ソフトの比較では、入力できる条件だけでなく、太陽光のみ・蓄電池追加などの差を顧客へ説明できるかを確認します。同じ案件の前提をそろえて試すと、必要な機能を判断しやすくなります。
目的を決めたら、実在する候補と確認状況を比べる
発電設計・自家消費・電気料金・提案運用の役割を決めたら、23の手段の比較表で候補を確かめてください。設計ソフトにも経済性機能があり、無料診断にも対象機器・入力条件の制約があります。未確認の機能を非対応とみなさず、同じ案件で必要な出力を確認します。
2026年9月29日追加。エネがえる運営者による公開資料の比較。全製品の共通実機試験は未実施です。






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