目次
- 1 成功事例と調査結果から学ぶ 住宅用太陽光・蓄電池の成約率アップ8つの法則
- 2 はじめに – 太陽光・蓄電池普及と成約率アップの重要性
- 3 法則1:シミュレーションの信頼性を徹底し「保証」する
- 4 法則2:初回提案を迅速かつ具体的な数値で示す
- 5 法則3:誰もが使えるツールで提案を標準化・効率化する
- 6 法則4:データ活用で複数シナリオを提示し視覚的に訴求する
- 7 法則5:顧客の潜在ニーズに寄り添い、不安を解消する提案
- 8 法則6:EV・補助金など新たな価値提案とインセンティブを活用する
- 9 法則7:専門性は外部リソースも活用し、営業負担を最適化する
- 10 法則8:実績データと保証サービスで圧倒的な安心感を提供する
- 11 おわりに – 最小の努力で最大の成果へ、日本の再エネ普及加速に向けて
成功事例と調査結果から学ぶ 住宅用太陽光・蓄電池の成約率アップ8つの法則
はじめに – 太陽光・蓄電池普及と成約率アップの重要性
日本が2030年に温室効果ガス46%削減(2013年比)という高い目標を掲げる中、屋根上太陽光発電と蓄電池の爆発的普及が不可欠です。
しかし、実際には多くの見えないボトルネックが存在し、家庭向け太陽光・蓄電池の導入ペースは目標に追いついていません。特に住宅用市場では、お客様の「興味関心」を「導入の決断」に結びつける営業プロセス、すなわち商談を成約に至らせる力が鍵となります。
そこで本記事では、住宅用太陽光発電・蓄電池の成約率を飛躍的に高める「8つの法則」を、豊富な調査データと実際の成功事例から抽出しました。販売数TOPクラスの販売施工店で全営業がフル活用し、月1000件の商談で成約率60%を達成したケースをはじめ、成約率50〜60%以上を実現する企業が続出しています。業界の最先端プレイヤーや最新の独自調査結果から得られた知見をもとに、最小の努力で最大の成果を上げる戦略を解説します。
営業現場で暗黙知となっている「なんとなく感じていたモヤモヤ」を言語化し、日本の再エネ普及を加速する本質的な課題と解決策に踏み込みます。住宅用太陽光販売会社の経営者・営業部長、メーカーや商社で販売店支援を担う企画担当の方々にとって、明日から実践できるヒントが詰まった内容です。それでは、さっそく各法則を見ていきましょう。
法則1:シミュレーションの信頼性を徹底し「保証」する
顧客の不安を取り除き信頼を勝ち取るには、経済効果シミュレーションの精度と信憑性を徹底的に高め、必要に応じて「結果を保証する」仕組みを導入することが最も重要です。調査によれば、住宅用太陽光・蓄電池の営業担当者の83.9%が「お客様からシミュレーション結果の信頼性を疑われた経験がある」と回答しています。提案時に試算した「○○万円お得になります」という数字に対し、「本当にそんな効果が出るの?」「机上の空論では?」と疑われてしまえば、商談の勢いは大きく削がれ、成約までに時間がかかったり最悪失注してしまいます。
この信頼性の壁を打破する決め手が「シミュレーション結果の保証」です。国際航業の調査では、経済効果シミュレーション結果が保証されるとしたら販売店から購入したいと考える消費者が67.3%にのぼり、65.4%は家族の同意を得やすくなると感じています。
営業側も同様で、住宅営業担当者の85.9%が「結果を保証できれば成約率が高まる」と期待しています。実際、シミュレーション通りの効果が出ない場合に差額を補填するような制度があれば、81.1%もの営業担当者が「自信をもって提案できる」と答えているのです。保証によって「本当に効果が出るのか」という最大の不安を解消することで、お客様は前向きな意思決定がしやすくなり、営業も強い確信を持って提案できるようになります。
保証を実現するには高度なシミュレーション精度が前提となりますが、近年はAIやビッグデータ活用で精度向上が進み、その結果に保証を付けるサービスも登場しています。例えば国際航業は日本リビング保証と提携し、太陽光・蓄電池の経済効果シミュレーション結果を保証する業界初のサービスを開始しました(予測と実績差を保証する「シミュレーション保証」分野)。こうした第三者保証の仕組みを用いれば、自社単独で保証するリスクを抑えつつ顧客に安心を提供できます。
要は、「数字の裏付け」に最後まで責任を持つ姿勢が信頼醸成には不可欠です。シミュレーションの計算ロジックの透明性も重要でしょう。実際、販売実績全国トップの販売施工店では、全営業社員にシミュレーションツール「エネがえる」を持たせ計算方法を統一することで、オーバートーク(過剰な説明)の防止とコンプライアンス徹底を図り、顧客からの信頼を獲得しています。結果として問い合わせ対応も容易になり、営業トークに一貫性が生まれ、安心感が提供できたといいます。このように精度の高い第三者ツール+結果保証という二段構えで示せれば、他社にない大きな安心材料となり成約率アップに直結します。
法則2:初回提案を迅速かつ具体的な数値で示す
商談の初期段階で、スピーディーに具体的な経済効果の数値を提示することも高成約率への鍵です。太陽光や蓄電池の導入検討者の約7割が「できるだけ早い段階で具体的な試算数値が欲しい」と考えています。初期提案が漠然としていたり提示が遅れると、せっかく高まった導入意欲が冷めてしまう恐れがあります。逆に、訪問や問い合わせのその場で5分程度でメリットを算出し提示できれば、顧客の心を掴み次のステップに繋げやすくなります。
また迅速さと精度のバランスも重要です。国際航業の別の調査では、初回提案の精度とスピードの両立が導入意欲を高めるカギと分析されています。例えば「概算で○○万円おトクかも」ではなく、「年間電気代を○万円削減でき、電気代上昇率3%で想定すると15年の経済メリット=電気代削減額と売電収入は累積で250万円。補助金を使えばほぼ15年で元が取れますね」といった具体的な金額・期間を即提示することで、顧客は自分事としてイメージしやすくなります。実際、シミュレーションを提示された需要家の42%が「十分に経済効果を想像できなかった」と回答していますが、これは提示内容の具体性や分かりやすさが不足していた可能性があります。
スピード提案を実現するにはツールの活用が不可欠です。従来、太陽光発電の発電量試算や電気代シミュレーションにはお手製エクセルでのざっくりした計算やメーカーに依存した数週間待たされる割に発電量しか出てこない無料シミュレーション、または操作の難しい営業では使いこなせないシミュレーターばかりだったため、時間がかかり、お客様に見積書やシミュレーション結果をお出しするまで数日〜数週間要するケースもありました。しかし、最近では「15秒で結果が出るシミュレーター」を営業に取り入れたいとの声が7割以上とあるように、ツールの進化で飛躍的な高速化が実現しています。実際、ある販売会社では以前はExcelでシミュレーション作成に30分以上かかっていたものを、エネがえる導入後はわずか3分で作成可能となり、月間提案件数を大幅に増やせたと言います。
参考:無料のExcel提案からの脱却 – 株式会社ファナスがエネがえるASPで実現した太陽光提案の信頼性向上と成約率60%
他社事例でも提案スピード向上が成約率アップに直結しています。電巧社では他社シミュレーターを使いこなせず蓄電池提案ができない状況から、エネがえるBiz導入後はシミュレーション作成が2週間から半日に短縮され、商談スピードが飛躍的に向上。ファミリー工房でも提案資料準備が大幅に効率化し、成約率が30%から40%にアップしています(提案リードタイム短縮が要因)。このように、お客様を待たせずスピード感ある対応をすることが「この会社は頼れる」「他より早く動いてくれる」という印象を与え、メーカー無料シミュレーション二依存して提案に1ヶ月もかけていたり、お手製のエクセル提案で診断結果に自信を持てておらず保証もできない競合との差別化にもなります。特に初回接触からのゴールデンタイムである数日以内に具体提案できるかどうかは、その後の歩留まりに大きな差を生みます。
要するに、「素早く、しかし緻密に」が現代の営業スタイルです。顧客の興味がピークのうちに、的確な数字を示して背中を押すーーこれが成約率向上の第2の法則です。
※産業用自家消費型太陽光・産業用蓄電池シミュレーションの決定版「エネがえるBiz」
※エネがえる契約企業だけが使えるシミュレーション保証おプションについて
法則3:誰もが使えるツールで提案を標準化・効率化する
営業担当全員が簡単に使いこなせるシミュレーションツールを導入し、提案プロセスを標準化することも成約率アップの重要なポイントです。属人的なやり方やスキルに頼るのではなく、ツールで営業品質を底上げ・均一化する戦略です。
現場の実態として、太陽光・蓄電池の営業担当者の約7割が経済効果試算に「苦手意識がある」とされています。技術的な計算や複雑なシミュレーションは営業パーソンにとってハードルが高く、提案内容にバラつきが出たり蓄電池の提案を避けてしまうケースも少なくありません。しかし、営業担当者自身が正確な試算を素早く出せる環境を整えれば、こうしたバラつきを解消し成約機会を増やせます。
実際に成果を上げている企業は、こぞって「誰でも簡単に使える営業支援ツール」を採用しています。全国トップクラスの販売施工店は営業社員全員にエネがえるを導入し、営業トークや計算方法を統一しました。それまでは各自が手計算でシミュレーションし、ベテランと新人で提案品質に差があったり、計算ミス・過大見積りのリスクも孕んでいました。導入後は提案資料(シミュレーションレポート)の出力を必須とし、「営業トークの統一による安心感」と「誰が提案しても一定の説得力」を実現しています。その結果が月間1000件の商談・成約率60%**という圧倒的な成果に繋がっています。
また、ある中堅販売店では以前営業がExcelベースの自作シートを使っていましたが、「計算式がブラックボックスで信頼性に欠ける」「視覚的な訴求が難しい」という課題がありました。エネがえるASPを導入したところ、提案資料の信頼性が向上し、その場で即座にレポート作成→グラフでわかりやすく説明という流れが可能に。営業体制の強化と合わせて提案件数が月2件→10件に増加し、60%の高成約率を維持できたといいます。新人営業でもツールのおかげで蓄電池提案まで含めたトータル提案ができ、入社間もない担当者が成約率3割、若手で6割超という例もあります。導入企業平均の成約率も最低30〜40%、最大60〜70%と非常に高水準で、一部には90%以上の驚異的な成約率を達成する企業も存在しています。
ツール活用の効果はそれだけではありません。技術職人材の不足を補える点も見逃せないメリットです。業界では有資格の施工技術者が慢性的に不足し採用難ですが、調査では85.3%の人事担当者が「営業がシミュレーションツールを活用して戦力化すれば、技術職の負担軽減につながる」と期待しています。つまり、営業段階でシミュレーションがしっかりできれば、むやみに技術者を現地調査に派遣しなくても有望案件をふるいにかけられ、限られた人材を効率配置できます。もし自社でクラウド型のツールを使うほど診断件数がなかったり、デジタルツールの使いこなしに自信がない場合は、丸投げ代行サービスのエネがえるBPOで設計図や見積書、試算レポートの1件1万円・最短翌日スピード納品の代行依頼ができるため、営業〜設計〜見積の一連作業を営業担当がかなり完結できるようになり、人手不足のボトルネックを緩和します。
このように、平易で強力なツール導入や代行サービス活用による「営業標準化」は、組織全体の成約率底上げに直結します。「属人技ではなくチームと仕組みの力で勝つ」ための基盤整備とも言えるでしょう。そして、これらの戦略は、若手人材との相性が抜群に良いため、人材採用や人材育成を含めた持続的な競争優位性構築に自然につながっていくケースが多いです。
そのため、誰でも簡単に使える経済効果シミュレーターの仕組みとしての導入は、中途半端な10-30億円前後の事業規模ではなく、年商100億円水準の突破を狙う真に成長事業を狙うトップクラスの販売店やそのレベルを狙う事業者に特におすすめです。
※こんな方にはおすすめしない:
年商30億円以下の場合で、短期的な収益や短期的な成約率のみを追いたい場合は、従来の慣れた営業手法(自社独自のセールストークや自社独自のエクセルお手製シミュレーション、お金をかからないが時間がかかるメーカー無料シミュレーション)のままの方がおすすめです。無理に高い月額費用がかかるエネがえるのような経済効果シミュレーターを導入する必要はありません。
法則4:データ活用で複数シナリオを提示し視覚的に訴求する
成約率を上げるためには、データドリブンな提案力を高め、顧客にとって一番響くシナリオを提示することも重要です。単に1パターンの試算結果を見せるだけでなく、複数のシナリオ比較や視覚的なグラフを駆使して「なるほど、これなら導入する価値がある」と納得してもらう手法です。
多くの営業担当者が感じている課題の一つに「細かなシミュレーション比較ができない」ことがあります。例えば「太陽光のみ vs 太陽光+蓄電池」や、「蓄電池5kWh vs 10kWh」など、お客様の条件や関心に合わせて最適解を探るシミュレーションを本来は提示したいのに、手作業では工数的に難しい…という声です。これを解決するにはやはりツールの活用が欠かせません。シミュレーションを自動化・高速化することで、複数パターンを素早く算出し比較できるようになります。
例えば太陽光メーカーのエクソルはエネがえるAPIを導入し、シミュレーション時間を3時間から5分に短縮しました。これによって複数パターンの提案が可能となり、顧客満足度が向上したといいます。複数案を検討できることで「もし◯◯したら?」という顧客の疑問にも即答でき、提案の説得力が飛躍的に高まります。産業用案件でも、IBeeT社がオンサイトPPA提案で月50パターン以上シミュレーションし、1日で最適案を導き出す運用を実現しています(従来は数パターンに留まり提案を絞り込めなかった)。このようなデータに基づく最適提案は、顧客の潜在ニーズを掘り起こし「そこまで考えてくれるのか」と信頼を深める効果もあります。
さらに、視覚的なプレゼンテーションも成約率アップの武器です。経済効果のグラフ化や図解によって、数字に不慣れな顧客にも直感的にメリットを伝えられます。ある販売店では、「電気代削減効果を視覚的に示すことが困難だった」という課題に対し、エネがえる導入後はグラフで年間コスト推移や蓄電池による削減量を見せられるようになり、「非常にわかりやすい」と好評を得ています。実際、ある導入企業ではシミュレーション結果と導入後1年の実績がほぼ一致し、その事実をグラフで見せたところ「こんなに正確なら安心できる」と評判になり他社との差別化に成功しました。
人は視覚情報の方が記憶に残りやすいものです。また、複数案を比較グラフで示せば「こちらのプランなら初期費用は高いが10年後に逆転して得になる」といったストーリーも伝えやすくなります。定量データを駆使して論理的に、かつビジュアルに訴求することで、「感覚的に良さそう」から「数字で見ても納得」に顧客の理解度・納得度を引き上げることができます。
要するに、データ+ビジュアルによる提案力強化は、高クロージング率の営業に共通する特徴です。これは営業の属人的な勘や根性論ではなく、科学的アプローチで顧客を説得する時代になっている証と言えるでしょう。
法則5:顧客の潜在ニーズに寄り添い、不安を解消する提案
高い成約率を誇る営業は、単に商品メリットを押し付けるのではなく、顧客の本当のニーズや不安に寄り添った提案をしています。言い換えれば、「顧客は何を一番望んでいるのか」「何を心配しているのか」を深掘りし、その解決策を提示するスタンスです。
住宅用太陽光・蓄電池を検討する人の関心事は様々です。経済メリットだけでなく、停電への備えや環境貢献など価値観も関与します。例えば、小さなお子さんがいる家庭では89.4%が災害時の停電対策の重要性を感じており、非常用電源として家庭用蓄電池に81.8%が関心を示しています。このような層には、「もしもの時に○時間分の電力を確保できます」といった安心材料を前面に出すと響きます。同様に、ペットや観賞魚・爬虫類を飼っているご家庭も停電不安が強く、具体的なバックアップ提案は有効でしょう。
また、よく言われる「蓄電池は元が取れないから損」という常識に対しても、上手に向き合う必要があります。確かに単体の投資回収で見れば長期になるケースが多いですが、国際航業の調査では蓄電池購入者の85.6%が満足しているとの結果が出ています。理由として、「太陽光とセットで電気代が下がった」が最多(44.2%)で、たとえ経済的にトントンでも停電時の安心や環境貢献といった付加価値を感じている人が多いのです。
営業側はこの点を踏まえ、単純な損得勘定だけでなく、お客様が大事にしている価値にフォーカスした提案をすることが大切です。「電気代は確実に減りますし、非常電源として家族を守れます」「再生可能エネルギーで環境にも貢献できます」といったメッセージは、顧客の心に響きやすくなります。
さらに、ヒアリングによる潜在ニーズの発掘も欠かせません。「蓄電池がほしい」と問い合わせてきたお客様でも、詳しく話を聞くと「本当は停電時に車中泊した経験がありEVにも興味がある」など真のニーズが見えることがあります。ある販売店では、お客様の話をじっくり聞いた上でEV+V2H(電動車の家への給電)という選択肢を提案し、蓄電池以上に納得して頂いたケースもあります。このようにお客様本人も気づいていない課題を引き出し、最適解を提示することが成約への近道となります。
参考:EV・V2H導入効果シミュレーションなら「エネがえるEV・V2H」 | EV・V2H
営業における傾聴の重要性は言うまでもありませんが、太陽光・蓄電池のように高額で将来性のある商品では特に顧客の心理面への配慮が効いてきます。国際航業の調査では、販売・提案活動において最も労力がかかるフェーズ第1位が「ヒアリングや現地調査」でした。裏を返せば、多くの営業担当者が丁寧なヒアリングに時間を割いている(割かざるを得ない)現状があります。しかし、この「聞く力」こそが顧客の潜在ニーズ・不安を知る源泉であり、成約率向上の土台なのです。単純な費用対効果だけでなく、「○○様がおっしゃっていた〇〇への不安は、このプランで解消できます」という提案ができれば、顧客の心は大きく動きます。
以上から、顧客本位の提案を心がけましょう。数字や商品スペックだけではカバーしきれない部分で信頼を勝ち取り、「この人から買いたい」と思ってもらえる確率が格段に上がります。
法則6:EV・補助金など新たな価値提案とインセンティブを活用する
住宅用太陽光・蓄電池の営業において近年見逃せないトレンドが、電気自動車(EV)やV2H、そして各種補助金の活用です。成約率アップには、こうした新たな価値提案や経済インセンティブを上手に組み合わせることが有効です。
まず、EV・V2Hの提案です。自宅の太陽光や蓄電池と電気自動車を連携させることで、さらに電気代削減や非常用電源のメリットが拡大します。ガソリン代高騰や電気代高騰への対応策として、EV+再エネ自家消費への関心は非常に高まっており、EV購入検討者の95.5%が太陽光等での電気代削減に意欲とするデータもあります。実際、パナソニックは自社の「おうちEV充電サービス」にエネがえるAPIを導入し、電気料金プランシミュレーション機能により最適な充電方法を提案するなど、EVユーザーへの付加価値サービスを展開しています。営業現場でも、「蓄電池より実はEVの方がライフスタイルに合う」顧客には、EV+V2Hで同等以上の非常時電源確保と移動メリットを提案する柔軟さが求められます。エネがえるEV・V2Hシミュレーターでは、EVを導入した場合の電気代削減効果やガソリン代節約効果も5分で試算できますから、興味を示す顧客には積極的に見せてみるのも良いでしょう。
ただし、EVやV2Hの提案には新しい知識が必要であり、社内にノウハウがないケースも多いです。事実、EV/V2H提案に携わる担当者の92.5%が何らかの課題を感じており、とりわけ80.6%が「社内のスキル不足」を課題視しています。そこで、次の法則にも関連しますが、社外の専門サービスを活用してEV提案力を補うことも検討すべきです(詳細は法則7で後述)。
次に、補助金のフル活用です。政府・自治体による太陽光・蓄電池関連の補助金は年々拡充しており、2024年も予算規模が拡大しています。調査によると、販売施工店の87.0%が「補助金の活用に意欲的」と回答しており、補助金情報を押さえることは営業戦略上マストと言えます。補助金は初期費用ハードルを下げる強力な後押しになるため、「補助金を使えば○○万円お得になります」と伝えられるか否かで成約率に差がつきます。実際、お客様からも「助成金の増額」を望む声が多い(都民調査で第1位)との結果もあり、補助金活用提案は顧客ニーズに合致します。
ポイントは、タイムリーかつ網羅的な補助金情報を営業が持っていることです。日本全国で約2000件に及ぶ国・自治体の補助金制度がありますが、自力で常に把握するのは困難です。そこで、補助金データベースや補助金APIサービスの活用が有効です。国際航業は「自治体スマエネ補助金データAPIサービス」を提供開始し、最新の補助金情報をシステム連携できるようにしました。またエネがえる契約企業向けにはウェブ上で2000件の補助金を検索できるサービスも無償提供されています。これらを活用すれば、商談中にその場で該当する補助金を提示し、「ここまで安くなります」と訴求できます。補助金申請代行などのサービスと組み合わせれば、顧客の手間も減らせ一石二鳥です。
最後に、電力料金プランの最適化提案も付加価値になります。太陽光や蓄電池導入後は電力契約を見直すと更にお得になるケースが多々あります。例えば新電力TGオクトパスエナジーは、太陽光・蓄電池と最適な電気料金プランをセットで提案するためエネがえるを導入しました。販売店側も、お客様に「電力会社も乗り換えればもっとメリット出ますよ」と提案できれば、トータルでのお得感を演出できます。実際、ファナス社ではエネがえるで新電力切替シミュレーションもできる点を評価し、提案時に電力会社一覧を見せながら料金削減提案を行い、7割の顧客が電力会社変更を実施しているそうです。
以上のように、太陽光+蓄電池の枠を超えた包括提案をすることで、顧客にとっての導入価値は飛躍的に高まります。「太陽光発電システム一式」の販売から「エネルギー利用最適化ソリューション」の提供へ――営業の視野を広げ、新しい提案領域を取り込むことで成約率もアップし、ひいては客単価向上や差別化にも繋がっていくでしょう。
法則7:専門性は外部リソースも活用し、営業負担を最適化する
提案業務の「見えない負担」を軽減するために、思い切って外部リソースを活用することも、実は成約率向上に寄与します。すべてを自社の営業が抱え込むのではなく、再エネ分野に特化したBPO(Business Process Outsourcing)サービスなどを賢く使い、営業は本来注力すべき顧客対応に集中する戦略です。
住宅用・産業用を問わず、太陽光・蓄電池の販売提案には多くの専門作業が絡みます。現地調査や屋根設計、詳細シミュレーション、補助金申請書類の準備など、営業担当者にとって負担となる業務が数多く存在します。国際航業の調査では、太陽光・蓄電池提案に携わる事業者の88.2%が現在の提案業務に課題を感じていると答えています。特に時間と労力を要する業務として、「ヒアリング・現地調査」(41.8%)、次いで「電力需要データの入手」(37.3%)、「システム設計(容量算出・屋根割付)」(29.1%)が挙げられました。これらは営業の本来の役割である顧客折衝やクロージングとは少し異なる専門タスクです。
こうした負荷を軽減する解決策がBPOの活用です。最近では、経済効果試算から図面作成・補助金申請代行・研修までを一括代行するサービスも登場しています。国際航業とエコリンクスが提携開始した「エネがえるBPO/BPaaS」では、太陽光・蓄電池の経済効果シミュレーションやシステム設計を1件単発から丸ごと代行し、最短1営業日で納品するといいます。費用も試算1件1万円〜と現実的で、社内に専門人材がいなくてもプロ品質の提案書を用意できるメリットがあります。実際、ある販売店ではBPOサービスを活用し始めてから提案スピードが飛躍的に上がり、営業担当者は顧客との関係構築やクロージングに専念できるようになったといいます。
また、前述のEV・V2H提案のように、自社にノウハウがない領域だけ外部委託したいというニーズもあるでしょう。EV関連提案業務に関する調査では、社内スキルに課題を感じる担当者のうち80.6%が外部委託に興味ありと回答し、その際重視する点は「専門知識・ノウハウの高さ」(56.0%)がトップでした。つまり、最新領域は無理に内製化せず、専門家に任せた方が効率的と多くの担当者が考え始めています。例えば「V2Hシステムの最適設計だけ外注する」「需要家の負荷データ分析だけ委託する」といった部分的な活用も可能です。73.0%の金融機関担当者が「外部の評価サービスは有益」と回答している調査もあるように、第三者の知見を取り入れることはお客様や融資担当者から見ても安心材料になり得ます。
営業効率化のためのデジタルツール(DX)も同時に進めたいところです。紙の資料作成や手計算・手書き提案から脱却し、自動化できる部分は自動化する。BPOと組み合わせれば、まさに人とテクノロジーのハイブリッドな営業スタイルが実現します。営業担当者自身は「人にしかできない顧客との信頼構築」に注力し、専門作業やデータ処理はツールと外部プロに任せる。結果的に少人数でも多くの案件を高成約率でさばける組織へと進化できるのです。
「全部自分たちでやらないと利益が出ないのでは?」という心配もあるかもしれません。しかし提案数・成約数が劇的に伸びればスケールメリットが働き、アウトソース費用を十分吸収できるでしょう。何より営業が疲弊して提案漏れやミスが発生するリスクを減らせること、顧客対応の質が上がることの価値は計り知れません。成約率向上には、攻めだけでなく守り(リソース配分)の戦略も必要なのです。
法則8:実績データと保証サービスで圧倒的な安心感を提供する
最後に、実際の実績データや保証サービスを活用して圧倒的な安心感を提供することを挙げます。
一つの方法は、過去の実績データを示すことです。太陽光発電なら発電モニターや検針データ、蓄電池なら放充電量データなど、既存顧客の匿名データや自社実証データがあるなら積極的に活用しましょう。例えば「昨年◯◯市で導入頂いたお客様はシミュレーション予測発電量1,050kWhに対し、実発電量1,070kWhとほぼ想定通りでした」という具体例は強い説得材料になります。国際航業の事例でも、ある販売店が太陽光導入1年後の実績がシミュレーション値とほぼ一致したことをエンドユーザーに示したところ、信頼度が飛躍的に向上し紹介受注に繋がったという話があります。机上の計算だけでなく「これは現実に起きた結果です」と伝えることで、数字の信憑性が一気に高まるのです。
また、第三者の実績や権威を借りることも有効です。例えば提案に使っているシミュレーションツールが大手メーカーや多数の販売店で採用されているなら、その事実自体が信用補強になります。実際ファナス社では、エネがえる導入実績をお客様に見せながら「多くの有名メーカーや電力会社も使っているツールです」と説明し、ツール自体の信頼性を担保として活用しています。権威付けといえば、公的な認証制度や保証制度も積極的に活用したいところです。例えばJET認証パネルを扱っているならその信頼性、住宅用太陽光の長期保証制度や施工ID制度に加入しているならその安心感も伝えましょう。最終的に「この会社/この商品なら大丈夫」と思ってもらえれば成約は目前です。
さらに、「結果が出なければ返金します」「発電量10年保証」といった踏み込んだ保証も検討に値します。もちろん自社だけで行うのはリスクがありますが、前述のようなシミュレーション結果保証サービスをオプション提供することで差別化する企業も出てきました。例えば太陽光の年間発電量を保証し、万一シミュレーション値を下回ったら補償金や追加パネル設置などを行う仕組みです。調査でも保証してほしい項目として「太陽光パネルの発電量」(48.1%)が上位に挙がっており、そうした点をカバーする保証は顧客の関心を強く惹きます。
まとめると、「百聞は一見に如かず、百見は一経験に如かず」と言えるでしょう。何度説明を尽くすより、本物のデータや確約を示すのが一番の近道です。ここまで手厚くリスクヘッジと安心材料を提供すれば、価格競争ではなく信頼競争で優位に立てます。営業としても胸を張って「必ずご満足いただけます」と言える状態を作り出し、顧客とWin-Winの関係を築いていきましょう。
おわりに – 最小の努力で最大の成果へ、日本の再エネ普及加速に向けて
以上、住宅用太陽光・蓄電池の成約率アップ8つの法則を、調査データと成功事例に基づき解説しました。いずれも世界最高水準の知見と創意工夫から導かれた実践的な方策です。振り返れば、根底にあるテーマは「信頼」と「効率」に集約されます。顧客の信頼を勝ち取り不安を解消すること、そのために自社の営業プロセスを効率化・高度化して最適な提案を素早く届けること。この両輪が噛み合ったとき、驚くほど高い成約率が実現します。
日本の脱炭素目標を達成するには、太陽光発電・蓄電池のさらなる普及が不可欠です。その担い手である販売事業者の皆様が、本記事のエッセンスを活かして「最小の努力で最大の成果」を上げられれば、結果として市場全体の成長スピードも上がるでしょう。
八つの法則はどれも一朝一夕には完遂できないかもしれませんが、できるところから着手すれば確実に効果が現れます。例えばまず社内でシミュレーション精度の見直し(法則1)とツール導入(法則3)に着手し、次に補助金情報の整備(法則6)と保証サービスの活用を進める、といった形で段階的に取り組めるはずです。
最後に、エンドユーザーであるお客様の笑顔を思い浮かべてください。納得のいく提案で安心して契約いただき、設置後「頼んでよかった」と言ってもらえる——その積み重ねが会社の信用となり、再生可能エネルギー社会への大きな推進力となります。ぜひ本記事の法則をヒントに、自社の営業手法をブラッシュアップしていただければ幸いです。皆様のビジネスの成功と、日本のクリーンエネルギーの未来を心より応援しています。
ファクトチェック・主要出典まとめ
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83.9%の営業担当者が「お客様からシミュレーション結果の信憑性を疑われた」経験あり
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75.4%の検討者が提示された経済効果シミュレーションの結果に**「信憑性を疑ったことがある」**(導入未決定の需要家対象)
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シミュレーション結果が保証されるなら67.3%の需要家がその販売店から購入したいと回答。営業側も85.9%が成約率向上を期待
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営業提案業務に課題あり:88.2%(販売担当者110名中)。特に**「ヒアリング・現地調査」が41.8%で最も負荷大**
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提案業務の設計面課題:66.7%が「容量最適化方法がわからない」と回答(施工店調査)。7割以上の営業が試算に苦手意識
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ELJソーラー:営業全員にツール導入し**月1000件商談・成約率60%**を達成。ファナス社:提案件数月2→10件、成約率60%維持
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導入企業の平均成約率:最低30-40%、最大60-70%(一部90%以上)
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補助金活用意欲あり:87.0%(販売施工店調査)。都民84.7%が東京都の太陽光施策を評価、今後「助成金増額」を最も期待
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EV提案課題:92.5%が課題実感(提案担当者調査)、80.6%が外部委託に興味(専門知識を重視)
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蓄電池購入者の85.6%が満足と回答(元取れないと言われつつも)。停電備えとして親世代の81.8%が家庭用蓄電池に関心
(※出典:国際航業「エネがえる」関連プレスリリースおよび公式ブログ記事、導入企業事例インタビュー【1】【2】【5】【9】【10】【14】【17】他)
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