目次
- 1 蓄電池価格(リチウムイオン電池パック価格)が1kWhあたり108ドルに下落 – 現状分析と未来展望
- 2 世界平均108ドル/kWhに到達した電池パック価格 – 記録的安値の背景
- 3 定置型ストレージ向け電池が初の最安セグメントに – 1kWhあたり70ドルの衝撃
- 4 原材料高騰 vs. コスト削減要因 – 価格を左右するファクター分析
- 5 2030年・2050年に向けた価格予測 – 学習曲線から未来を読む
- 6 日本の定置型蓄電池市場へのインパクト – 高価格構造からの転換なるか?
- 7 電池コスト低減が生む新たなビジネスチャンス – 8つの具体的モデル
- 8 おわりに:電池価格低減が拓くエネルギー新時代
- 9 参考資料・出典一覧
- 10 ファクトチェック・主要数値の確認
蓄電池価格(リチウムイオン電池パック価格)が1kWhあたり108ドルに下落 – 現状分析と未来展望
2025年12月、リチウムイオン電池の価格動向に関する注目すべき最新情報が発表されました。ブルームバーグNEF(BNEF)の調査によれば、2025年の世界平均のリチウムイオン電池パック価格は1kWhあたり108ドルまで低下し、これは2010年比で93%の価格下落に相当します。
電池価格の低減ペースこそ鈍化しつつあるものの、過去最低の水準を更新したことになります。この劇的なコスト低減は、電気自動車(EV)から定置型蓄電システムまでエネルギー産業全体に大きな波及効果をもたらし、再生可能エネルギーの普及や新たなビジネスモデル創出の原動力となっています。
こうした価格動向を背景に、本記事では世界のリチウムイオン電池パック価格の現状と要因を徹底分析し、2030年および2050年に向けた価格予測を科学的・統計的根拠に基づいて示します。また、日本の定置型蓄電池市場との比較を行い、価格低減が国内市場に与える影響を展望します。
さらに、電池価格の低下によって可能になる新たな収益モデルや価値創造の機会について、8つの具体的ビジネスモデルをステークホルダー別に提案・考察します。記事の最後では、これらの知見を総合し、日本の再エネ導入加速・脱炭素化に向けた課題解決策を提示するとともに、エネがえるのようなエネルギー診断ツールが果たす役割にも触れます。
問いかけ: 急速な電池コスト低減のトレンドは、エネルギー産業の常識をどう変えるか?日本のエネルギー事業者は、この変化を脅威ではなく機会と捉えることができるか?
以下、章立てに沿って詳細を解説していきます。
世界平均108ドル/kWhに到達した電池パック価格 – 記録的安値の背景
図1:世界平均のリチウムイオン電池パック価格推移(2013–2025年、実質2025年ドル換算)。2013年時点で1kWhあたり約800ドルだったパック価格が、2025年には108ドルまで低下している。出典:BNEF調査データ
2025年、世界の電池業界はついに平均パック価格108ドル/kWhという節目を迎えました。これは前年度(2024年)から約8%の低下であり、2010年頃と比べると桁違いの安さです。リチウムイオン電池は過去15年間で累積生産量の拡大と技術革新により指数関数的なコストダウンを続けてきました。その結果、2010年には1kWhあたり1,200~1,500ドル程度とされていた価格が、約93%も低減した計算です。これは他のエネルギー技術と比較しても驚異的な学習曲線です。
BNEFの調査によると、この低価格化を牽引した主因は以下の通りです。
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セル生産能力の過剰(Oversupply): 中国を中心に世界的に電池セルの生産能力が需要を上回る状況が続き、メーカー間の熾烈な価格競争を生みました。特に中国メーカーは自国EV市場や定置型需要を満たしてなお余る生産量を抱えており、その結果グローバル市場で安価なセル供給が可能となっています。
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競争の激化: 上記の過剰供給と新規参入の増加により、市場原理で価格が下方圧力を受けました。BNEFの電池技術チームリーダーであるエヴェリナ・ストイク氏も「企業間の競争が電池を毎年安くしている」と述べ、記録的な安値がEVコスト低減や大規模蓄電池導入拡大の好機になると指摘しています。
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LFP電池へのシフト: リン酸鉄リチウム(LFP)電池への需要シフトが続いています。LFP電池はコバルトやニッケルを含む高価な材料を使わずコストが低く、安全性も高いことから、特に定置型ストレージや一部EVで採用が拡大しています。平均的に見ると、LFP系のパック価格は2025年時点で約81ドル/kWhと、主流のニッケル・マンガン・コバルト(NMC)系の128ドル/kWhより大幅に安価でした。この低コスト化の恩恵が市場全体の平均価格押し下げに貢献しました。
一方で、通常であればコスト増要因となるはずの原材料価格の高騰という逆風もありました。
2025年にはリチウムやコバルトなどバッテリー金属価格が上昇傾向にあり、その背景には中国国内のリチウム資源リスクやコンゴ民主共和国の新たなコバルト輸出割当といった供給制約がありました。通常、材料費高騰は電池価格に転嫁されかねません。しかし今回に限っては「金属価格の上昇がセルやパック価格の上昇には繋がらなかった」とBNEFは分析しています。業界がこのショックを吸収できた理由として、LFPへの移行加速や長期契約による調達安定化、さらにデリバティブなどのヘッジ戦略によるリスク分散が奏功したとされています。
要するに、材料費上昇という逆風よりも、技術革新と供給側の競争圧力という順風の方が勝った形です。その結果、電池メーカー各社は利幅圧縮を受け入れつつも価格を下げ、需要側は恩恵を受けるという構図が生まれました。この状況は電池産業の成熟と競争環境の激化を象徴しています。
定置型ストレージ向け電池が初の最安セグメントに – 1kWhあたり70ドルの衝撃
特筆すべきは、用途別で見た場合に定置型蓄電システム向けの電池パック価格が2025年に劇的な下落を記録したことです。BNEFの調査によれば、定置用ストレージ向け電池パック価格は2025年に平均70ドル/kWhとなり、前年(2024年)から実に45%も低下しました。1年で半額近い下落という急激な動きは、複数ある市場セグメントの中で最も大きな低下幅です。その結果、定置型用途の電池が初めて全用途中で最も安価なセグメントとなりました。
これまで電池パック価格が最も安かったのは大量生産効果の大きい電気自動車(EV)向けでした。実際、2025年時点でBEV(バッテリーEV)向けパックは平均99ドル/kWhとなり、2年連続で100ドルの大台を下回っています。しかし、それを上回るペースで定置型の価格低下が進んだため、ついに定置型が逆転した形です。
なぜ定置型ストレージ向けがここまで安くなったのでしょうか?考えられる要因は次の通りです。
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需要の多様化と供給競争: 定置型蓄電システム市場には、再生可能エネルギーの出力変動を調整する大規模バッテリーから、住宅用の小型蓄電池、産業用のピークカット用蓄電池まで多様なニーズがあります。特に大規模プロジェクトでは1プロジェクト当たり数十~数百MWh規模の調達が発生するため、複数の電池メーカーが受注を競い合います。BNEFは「定置型セクターでは、同じ案件を多くのサプライヤーが狙えるため競争が最も激しい」点を強調しています。この入札競争の激化が価格低下を一気に押し進めました。
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エネルギー密度よりコスト重視: 定置用途ではEV用のようなエネルギー密度(重量・体積あたり容量)よりもコスト優先の設計がとられやすいです。重量やサイズより安全性・寿命・コストが重視されるため、比較的安価なLFP電池が適しており、結果としてシステム全体の低コスト化につながりました。LFPはエネルギー密度でNMCに劣るものの、定置用途では重量増は許容しやすく低コスト化メリットが勝るのです。
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中国メーカーの存在感: 前述のように中国メーカーはLFPを大量生産し世界市場を席巻しています。特に定置型では中国製電池の採用率が高く、中国国内価格に近い安価な電池を各国プロジェクトが享受できました。BNEFによれば、中国企業は世界のLFP需要のほぼ全てを賄う勢いで供給しており、そのスケールメリットが定置用の価格にも直結しています。
以上により、定置向け70ドル/kWhという驚異的な安値が実現しました。この価格水準は、2010年代初頭には到底考えられなかった領域です。例えば、再生可能エネルギー導入拡大に不可欠な大容量グリッド用バッテリーが1kWhあたり70ドルで調達できるなら、1MWhあたり7万ドル(約1億円弱)という計算になり、10MWh級の蓄電システムでも数十億円規模で収まります。従来は同容量の設備がその数倍のコストだったことを考えると、経済性の面で画期的な改善です。
問いかけ: 1kWhあたり70ドルというコストは、電力系統用の蓄電池ビジネスにどんな変化をもたらすでしょうか?ピーク時の発電所に頼る従来モデルと比べて、安価な蓄電池が真の競争相手になり得るのか、考えてみましょう。
原材料高騰 vs. コスト削減要因 – 価格を左右するファクター分析
リチウムイオン電池価格の推移を理解するには、下落要因だけでなく上昇要因との綱引きを見る必要があります。2020年代前半、電池業界はリチウムやコバルトなど主要原材料の価格乱高下に翻弄されました。特に2021~2022年にかけてリチウム価格が急騰し、2022年末には炭酸リチウム価格が史上例を見ない高値を記録しています。EV市場の急拡大による需給逼迫が原因でしたが、その後各国でリチウム増産プロジェクトが進み、2023年以降リチウム価格は大幅下落・安定化に向かいました。コバルトやニッケルについても、高価なNMC系からLFP系へのシフトで需要は相対的に減りつつあります。
2025年は、先述のように一時的に中国のリチウム鉱山における政情不安やコンゴのコバルト輸出規制が重なり、原料市況が再び上向いた年でした。しかし幸いにも、その影響は限定的でした。「セル製造コストの約5~7割は電池セル自体(材料費含む)が占める」と言われる中で、材料費上昇をいかに相殺するかが業界の課題でしたが、結果として以下の施策で乗り切ったのです。
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LFP化による材料費低減: コストの大半を占めるセル部分において、高騰していたコバルト・ニッケルを使用しないLFPへの移行が奏功しました。LFPの主原料であるリン酸鉄は比較的安定・安価で、資源偏在リスクも小さいため、材料費高騰の影響を緩和する役割を果たしました。
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長期契約とヘッジ: 原料調達において長期固定価格契約を結ぶことで、一時的な市況高騰の影響を回避した企業もあります。また、先物取引など金融的ヘッジ手段を講じてコモディティ価格変動リスクを分散したケースも増えました。大手電池メーカーほど調達力があり、価格交渉力やリスクヘッジ手段を駆使できたと考えられます。
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生産性向上とコスト吸収: 製造プロセスの効率化や良品率改善によって、原価低減努力も積み重ねられました。それでも吸収しきれない部分は、メーカー各社がある程度利益率を削ってでも価格転嫁を避け、市場シェア維持を優先したとみられます。激しい競争下では、下手に値上げすれば他社に顧客を奪われかねないため、各社「泣きながら」価格維持に努めた面もあるでしょう。
以上のように原材料コスト上昇を打ち消す力学が働いた結果、2025年の価格は前年より下がるという一見矛盾した現象が起きました。この構図は今後も続くのでしょうか?
素材価格と技術革新・競争という二項のせめぎ合いは、今後の価格予測を考える上で重要な視点です。
一方、地域別の価格差も見逃せません。BNEFレポートによれば、2025年の電池パック平均価格は中国が最安で84ドル/kWhでした。これに対し北米平均は中国比で44%高、欧州平均は56%高とされています。単純計算すれば、北米は約121ドル/kWh、欧州は約131ドル/kWh程度の水準です。要因として、北米・欧州ではローカル生産コストの高さや輸入電池へのプレミアム(関税や輸送費、人件費の差など)が指摘されています。特に欧米は中国からの輸入電池に一定の関税措置があったり、現地生産でも人件費が嵩むため、中国内価格より割高になる傾向です。
しかし地域差も縮小しつつある可能性があります。2025年には中国での価格下落率が実質13%と突出し、北米4%減、欧州8%減に比べ顕著でした。その背景には米国の政策変更(関税環境の変化)により、中国メーカーが欧州市場に輸出攻勢をかけたことがあります。米国のインフレ削減法(IRA)による現地調達圧力で、中国製電池が北米に輸出しにくくなり、余剰分が欧州に流れたのです。その際、中国勢は年間販売目標達成のため欧州で攻めた価格設定を行い、欧州価格を押し下げました。
このように政策・貿易要因も各地域の価格に影響を与えています。
まとめると、電池価格はグローバルなコスト削減トレンドに乗りつつも、原材料市況や地政学リスク、政策要因によって上下動し得るということです。今後も材料調達の安定化やサプライチェーン構築が鍵となり、例えばリチウムに代わるナトリウムイオン電池の商用化などが実現すれば、材料面から更なるコスト低減に寄与する可能性があります。
一方で各国政府の産業政策(補助金や関税)は価格形成に影響を与え続けるでしょう。技術・市場・政策の複合的視点で動向を追う必要があることが分かります。
2030年・2050年に向けた価格予測 – 学習曲線から未来を読む
近未来(~2026年)の見通し
BNEFは今回の調査結果に加え、近未来のアウトルックについて「2026年にも電池パック価格は再び下落する」との見方を示しています。原材料価格には依然上昇圧力がかかるものの、低コストなLFPのさらなる普及拡大が価格押下効果を維持すると見込んでいます。
実際、中国CATLなどはより安価なリン酸鉄リチウム-マンガン(LFMP)やナトリウムイオン電池の開発・量産を計画しており、短期的にもコストダウンの余地は残されています。また製造規模の拡大やR&D投資も続くため、BNEFは2020年代後半にかけても緩やかな価格低減トレンドが持続すると考えています。
さらに、シリコン系・リチウム金属系アノード、全固体電池、新しいカソード材料、革新的製造プロセスなどのエマージングテクノロジーが「次の価格低下の波」を起こす鍵になるとも言及しています。例えば全固体電池はエネルギー密度向上が期待されるだけでなく、将来的に製造コスト低減につながる可能性もあります(ただし現時点ではまだ高コスト)。
これらの新技術が2030年代に実用化・量産されれば、更なるブレイクスルー的なコスト低減も視野に入ります。
2030年の価格予測
2030年にリチウムイオン電池はどこまで安くなるか? これは産官学で盛んに議論されてきたテーマです。
各種予測を総合すると、2030年前後に世界平均パック価格が50~100ドル/kWhのレンジに入るとの見方が一般的です。ただし、前提条件により予測値の幅は大きく異なります。
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ブルームバーグNEFの予測: BNEF自身は2030年にバッテリーパック価格が69ドル/kWhに達する可能性を示しています。これは1ドル=150円換算で約1万円/kWhという大台です。69ドルという水準は、EV普及の目安と言われた100ドル/kWhを大きく下回る重要なマイルストーンになります。BNEF予測の前提には、現在のような緩やかな毎年数%台のコスト低減が継続することがあるでしょう。例えば2025年から2030年まで毎年約8%ずつ低下すれば108ドル→約70ドルへと達します(実際108×0.92^5 ≈ 70)。
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国際エネルギー機関(IEA)の見解: IEAも「持続的な技術学習効果により2030年にかけて価格低下が続く」との姿勢です。具体的な数値はシナリオによりますが、IEAのグローバルEVアウトルック等では、EV向け電池コストが2030年までに大幅低減する前提で普及予測が立てられています(※IEAの「持続可能開発シナリオ」では2030年にEV用電池コストが現在の半分以下になるとの示唆もあります)。
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他機関・研究例: 米国エネルギー省系のNRELはユーティリティ蓄電池のシステムコストについて2035年に低ケース147$/kWh、高ケース339$/kWhといった幅を示しています(4時間蓄電システムの設備費用。パック単体ではないが参考値)。また学術的な文献調査では2030年の予測が20ドルから数百ドルまで幅広く散在し、予測の不確実性が指摘されています。これは前提となる技術進歩や市場規模見通しが各予測で大きく異なるためです。
一方、大胆なシナリオとして、再生可能エネルギー財団等の報告書やシンクタンクRMIの分析があります。RMI(旧ロッキーマウンテン研究所)の2024年報告によれば、現在の加速したコスト低減トレンドが続く場合、2030年には電池コストが30~50ドル/kWh台に達する可能性が示唆されています。
RMIは「Fast」シナリオと「Faster」シナリオの2通りを提示し、後者では2030年に32ドル/kWhという極めて低い価格も射程に入るとしています。これは現在からさらに約70%の低減で、相当な技術ブレイクスルーと量産効果が前提です。RMIによると、この加速シナリオは各国の政策支援と競争によるイノベーション強化**で実現可能であり、「現状のコンセンサス予測は保守的すぎる」と警鐘を鳴らしています。
現実には2030年を迎えてみないと分かりませんが、おそらく楽観シナリオでは50ドルを下回り、慎重シナリオでも100ドルは下回るというコンセンサスが取れつつあります。日本円で言えば5千円~1万円/kWh程度です。いずれにせよ、過去の学習曲線が今後も継続するなら確実に安くなるでしょう。
歴史的データを見ると、電池価格は累積生産量が2倍になるごとに約18~20%低下してきたという解析があります。この「ライトの法則」に従えば、今後EVと定置型ストレージ需要が爆発的に伸びて累積生産が何倍にもなるにつれ、2030年に向けてさらなるコストダウンが期待できるわけです。
2050年の展望
では2050年ともなると、電池コストはどこまで下がるのでしょうか?25年先となると不確実性は飛躍的に増しますが、幾つかの指標があります。
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日本政府の目標: 日本の経済産業省は「蓄電池産業戦略」において野心的な長期目標を掲げています。それによれば、2030年度までに定置用蓄電池システム価格(工事費込み)を7万円/kWh以下にし、将来的には揚水発電と同等のコスト競争力(=2.3万円/kWh程度)を目指すとされています。この2.3万円/kWh(約20ドル/kWh強)という数値が、ある意味2050年頃の目標ラインと言えます。揚水発電のコストと肩を並べるには、蓄電コストを劇的に下げる必要があり、それが実現すれば再エネを主力電源化する上で大きな追い風となるでしょう。
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BNEFの長期見通し: BNEFは今回のリリースでは具体的な2050年値を挙げていませんが、「2035年までにコスト半減も可能」とする外部分析もあります。オーストラリアのACCRによると、2024年時点の電池貯蔵のLCOE(均等化コスト)は104ドル/MWhまで低下しており、BNEF分析では2035年までにこれがさらに半減するといいます。LCOE半減は設備ベースでもかなりの低減を意味し、概算で2035年前後に50ドル/kWhを切る計算です。2050年に向けては、その延長線上で20~30ドル/kWh台も十分射程圏内となるでしょう。
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新技術とその普及: 2050年ともなると、現在主流のリチウムイオンに代わる次世代電池が商用化されている可能性があります。例えば全固体電池はエネルギー密度の飛躍的向上に加え、製造プロセスの簡素化(塗布工程の省略など)でコスト削減余地があります。またリチウム硫黄電池やリチウム空気電池、あるいはレドックスフロー電池など、さまざまな化学体系が模索されています。さらに言えば、リチウム資源に依存しないナトリウムイオン電池は既にCATLが量産を開始しており、材料コストが安価で大量に存在するナトリウムを使えるため、長期的にはリチウム系より安くなるとの期待もあります。
こうした要素を考慮すると、2050年には新旧様々な電池技術が混在し、それぞれ最適化された用途で使われているでしょう。高性能が必要なモビリティ用途では全固体リチウムイオンが主流、安価さ重視の大型定置にはナトリウムイオンやフロー電池、といった住み分けが進むかもしれません。コスト面では、一部技術で10ドル/kWh台すら見える可能性も否定できません。実際、米国の科学者らによる2050年の「エネルギーストレージ地平線」研究では、蓄電コスト目標を現在よりさらに桁違いに低い水準(例えば1kWhあたり数ドル)に置く議論もあります。
しかし注意すべきは、材料のミニマムコストです。いかに技術が進歩しても、原材料そのもののコストには下限があります。リチウムイオン電池の場合、蓄電コストの一定割合はリチウムや他の金属の市場価格で決まります。2050年に電池需要が爆発的に増えれば、それら素材の需要も跳ね上がり、価格低減にブレーキをかける可能性があります。ゆえに、リサイクルの推進や新材料探索がセットで進まないと、真の超低コスト化は難しいかもしれません。
以上を踏まえ、本記事では2030年の世界平均価格を約50~70ドル/kWh(約0.7~1.0万円/kWh)程度、2050年には20~30ドル/kWh(数千円/kWh)程度まで低下すると予測しておきます。
これはあくまで現時点の知見に基づく推定ですが、日本政府目標や民間予測とも概ね整合するラインです。もちろん新技術の台頭や市場環境の変化によってこの数字は変わり得ますが、少なくともコストが上昇に転じる可能性は低いと言えるでしょう。
電池産業における経験曲線(経験倍率)は今後も強力に作用し続けると考えられます。
日本の定置型蓄電池市場へのインパクト – 高価格構造からの転換なるか?
世界的な電池安の波は、日本市場にも大きな影響を与えつつあります。ここでは、日本の定置型(据置型)蓄電池を中心に、価格動向と市場展望を整理し、グローバル動向との比較を行います。
日本の蓄電池価格はまだ高い?現状を分析
日本国内の蓄電池価格は、世界平均に比べると依然高めと言われます。2025年現在の実勢価格を見てみましょう。エネルギー診断ツール「エネがえる」の調査によれば、家庭用蓄電池システム(工事費込)の価格は1kWhあたり約15~20万円、産業用(自家消費型)のシステムは約11~15万円/kWh程度が一般的な価格帯です。例えば家庭向けに容量10kWhの蓄電池を導入しようとすると、工事費込みで150~200万円程度になる計算です。これは1kWhあたりドル換算で1,000~1,300ドル/kWhに相当し、世界平均108ドル/kWhから見ると10倍前後にもなります。
なぜ日本ではこれほど高いのでしょうか?主な要因は以下の通りです。
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システム構成要素のコスト: 上記の日本の価格はパック単体ではなく、パワーコンディショナ(PCS)や工事費まで含めたシステム価格です。エネがえるの分析では、家庭用蓄電池システムの設備費の約50%は電池セル部分、残りがPCSやその他機器・工事費となっています。例えば補助金事業のデータでは、家庭用で設備費111,000円/kWhの内訳は「電池セル56,000円(50.5%)、PCS17,000円(15.3%)、その他38,000円(34.2%)」という割合でした。日本ではPCS一体型や全負荷型(停電時家全体バックアップ)など高機能な蓄電池が多く、これがコスト高の一因です。また施工費も人件費の高い国内では無視できません。
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市場規模と競争: 日本の蓄電池市場は近年急拡大していますが、絶対規模では中国や欧米に比べ小さく、ローカルメーカー主体で展開されています。そのためグローバル市場ほどの価格競争が効きにくい側面があります。特に住宅用はパナソニックやシャープ、京セラなど国内メーカーのブランド力もあり、一定の価格が維持されてきました(高価格でもバックアップ需要などで売れていた)。一方、中国製の安価なPowerwall系蓄電池(例:Tesla社のPowerwallなど)は日本市場ではシェアが限定的です。輸入品には技適や消防法など規制のハードルもあります。
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為替と輸入コスト: 日本は電池セルを海外から調達する場合、円安だと相対的に割高になります。昨今の円安傾向(1ドル=150円前後)は、海外製電池や原材料を買う際のコスト増要因となりました。国内生産に切り替えれば為替影響は減りますが、そもそも国内生産コストが高い問題があります。
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補助金制度の影響: 日本では国や自治体から住宅用・産業用蓄電池への補助金が出るケースがあります。補助金を出す際、価格上限を設定することが多く、結果として実勢価格と補助金対象価格に乖離が生じています。たとえば補助金条件では「〇〇万円/kWh以下であること」という上限制約があり、その範囲内でメーカーが価格設定するため、市場価格とかい離するのです。補助金がある場合はそれを前提に割高な製品でも導入されることがありますが、補助なしだと高価すぎて導入が進まないというジレンマもあります。
以上より、日本では1kWhあたり数十万円という世界水準から見ると割高な価格帯が現状ですが、確実に価格は下落傾向にあります。世界的な電池コスト低下と技術革新が波及しており、「2030年には政府目標の7万円/kWh(システム)に近づく見込み」とする専門分析もあります。
実際、前述の補助金上限も年々引き下げられており、競争入札案件などでは10万円/kWhを大きく下回る価格提示も出始めています。またテスラPowerwallなど容量あたり価格が比較的安い製品も徐々に認知され、価格競争が起きつつあります。
日本市場の拡大と政策の後押し
価格が下がり始めたことで、日本の蓄電池市場は需要拡大の好循環に入りつつあります。市場規模の予測を見てみましょう。
台湾の調査会社InfoLink Consultingは、日本の商用(事業用)エネルギー貯蔵市場規模が2023年の5.93億ドル(約800億円)から2030年には41.5億ドル(約5,600億円)へと急拡大すると予測しています。特に産業用の採用拡大ペースが速いとされ、企業が電力料金高騰リスクのヘッジやESG目標達成の手段として蓄電池を導入するケースが増える見通しです。。
住宅用市場も大きな伸びが期待されています。InfoLinkによれば、住宅用リチウムイオン蓄電システムは2023年に2.79億ドル(約370億円)規模でしたが、2030年には21.5億ドル(約2,900億円)規模と予測されています。年平均成長率にすると約33.9%という驚異的な伸びです。この背景には政策の影響が大きく、例えば東京都が新築住宅への太陽光発電パネル設置を義務化したことにより、太陽光と相性の良い蓄電池需要が高まると期待されています。また、電力系統側でも家庭の蓄電池を束ねて活用する仮想発電所(VPP)実証が進んでおり、2026年度から全国規模のVPP制度が始まる計画です。この制度では、家庭やビルが持つ蓄電池から余剰電力を集合させてグリッドに提供し、その対価を得られるようになります。つまり、蓄電池所有者が新たな収入源を得られる可能性が生まれ、導入インセンティブが高まります。
市場全体の成長も著しいです。InfoLinkによれば、日本のエネルギー貯蔵市場(全セグメント合計)は2022年の7.94億ドルから2035年に25億ドル規模になる見通しです。やや先ですが2035年時点でも高成長が続いていることになります。この間、政府のグリーントランスフォーメーション(GX)戦略に沿って脱炭素投資が増え、GX経済移行債(グリーンボンド)の発行で蓄電池関連の研究開発・設備投資が支援されています。国内大手企業も動き出しており、トヨタ・日産・パナソニックの3社だけで1兆円超を国内電池生産能力拡大に投資し、2020年代後半までに日本の年間電池生産容量を現在比50%増の120GWhにする計画です。政府もこれら民間投資を補助金などで後押ししており、サプライチェーン構築が急ピッチで進んでいます。
政策面では他にも、既存の再エネ政策との連携が図られています。固定価格買取制度(FIT)に代わる新たな制度として導入されたFIP(フィードインプレミアム)では、発電電力量に市場連動プレミアムを上乗せしますが、2023年の制度改正で「太陽光+蓄電池」でもFIP適用可能となりました。つまり蓄電池を併設した太陽光発電所でもプレミアム収入が得られるようになり、経済性が向上しています。このように政策的にも太陽光と蓄電池の組み合わせが推奨される方向です。
他方で、日本固有の課題も残ります。規制の明確化は喫緊の課題です。蓄電池の大量導入に際しては、防火安全規制や系統接続ルール、事業用の電気事業法上の扱いなど、未整備・不明確な点があると開発業者から指摘されています。国として包括的な蓄電池規制枠組みを整えることが求められています。また、日本は東西で電力周波数が異なる(50Hzと60Hz)という特殊事情があり、地域を跨ぐ電力融通が限定的です。このため、一地域で余剰電力が出ても他地域に送れず、蓄電池による全国的な需給調整の効率化に制約があります。周波数変換設備の増強などハード面の対応も並行して必要でしょう。さらに、日本は都市部の高人口密度ゆえに工場やオフィスビルに大型蓄電池を置くスペース確保が難しいケースもあり(特に防火上の安全距離確保など)、都市部での導入ハードルをどう下げるかが問われています。
総じて、日本市場は価格高・導入障壁高という課題を抱えつつも、政策支援とコスト低減で急成長局面に入ったといえます。世界的なトレンドである電池価格低下は確実に日本にも波及し、上述のような市場拡大予測や導入事例の増加につながっています。今後鍵となるのは、海外安価電池の活用と国内生産効率化のバランスでしょう。例えば欧州では中国製電池の流入で価格競争が進みましたが、日本も適切に海外調達を活用すればコストを下げられます。同時にエネルギー安全保障や産業育成の観点から国内生産も強化し、技術優位性を高めることが重要です。
問いかけ: 日本の電力会社やエネルギー事業者は、安価になりつつある蓄電池を積極的に活用できるでしょうか?大規模バッテリーは再エネの導入拡大に寄与しますが、同時に旧来の中央集権的な電力ビジネスモデルを揺るがす可能性もあります。既存の発電資産 vs. 新規蓄電資産という二項対立をどう乗り越えるのか、今こそ創造的な戦略が求められています。
電池コスト低減が生む新たなビジネスチャンス – 8つの具体的モデル
リチウムイオン電池の劇的な価格低下は、エネルギー関連ビジネスにおいて収益モデルの革新をもたらします。
ここでは、特に日本市場を念頭に高収益が狙える8つの具体的ビジネスモデルをステークホルダー別に提案します。電池価格低減によって新たに可能となる価値創造や販売・流通手法に着目し、それぞれのモデルの概要とポイントを解説します。
1. 住宅向け「太陽光+蓄電池」VPPアグリゲーションモデル
(主な担い手:新電力・アグリゲーター事業者、施工店/電力会社など)
再エネ導入が進む中、各家庭に蓄電池を普及させて仮想発電所(VPP)を構築するモデルです。具体的には、住宅用太陽光発電と蓄電池をセットで各戸に導入してもらい、蓄電池をエネルギーサービス事業者がIoTで一括制御します。日中に太陽光で発電・蓄電し、需給逼迫時や夜間に蓄電池からグリッドへ放電することで、需給調整力をまとめて電力市場や調整力市場に提供します。蓄電池オーナーである各家庭には容量提供や余剰電力売却の対価として報酬を支払い、事業者側は市場からの収益で利益を得ます。電池が安くなればなるほど多数設置が可能になり、VPPの規模拡大→収益増が期待できます。日本でも2026年度から全国的なVPPプログラムが開始予定で、既に大手電力会社やベンチャー企業が実証を重ねています。安価な蓄電池を武器に、「蓄電池オーナー=収入を得られる時代」を創出するモデルです。エネがえるのような経済効果シミュレータを活用すれば、家庭ごとに蓄電池導入メリット(非常用電源+収益)を見える化でき、販売促進につながります。
参考:VPPサービス推進に太陽光 蓄電池シミュレーションが必要 エネがえるASP 東邦ガス
2. 産業用ピークカット「電力コスト削減」サービスモデル
(主な担い手:ESCO事業者、蓄電池メーカー、商社・EPC、需要家(工場・ビル))
工場や商業ビル向けに蓄電池を設置し、電力契約のピーク電力をカット(デマンド抑制)して基本料金削減やデマンドレスポンス収益を得るモデルです。蓄電池価格の低下により、これまで投資対効果が合わなかった中小規模施設でも導入が容易になります。具体的には、事業者(ESCO=Energy Service Company)が顧客施設に蓄電池を無償またはリースで設置し、契約電力のピーク時に放電してピークシフトします。これにより電力基本料金(最大需要電力契約)が下がり、年間電気代を削減できます。その削減額をESCOと需要家でシェアする形でウィンウィンの収益モデルが成立します。また電力市場の価格高騰時間帯に放電してエネルギーアービトラージ(安価時に充電・高価時に放電)を行い、削減額以上の収益を狙うことも可能です。蓄電池が安価になれば必要容量を多めに確保でき、確実なピークカットと十分なエネルギー取引量を両立しやすくなります。日本でも容量市場や需給調整市場が整備されてきたため、複数の収益源(基本料金削減+市場取引+需給調整力提供)を積み上げて10%以上のプロジェクトIRRを達成できるケースが出てきました。エネがえるBiz等のシミュレーションツールを用いて需要家ごとの電力負荷パターンを解析し、最適な電池容量や経済効果を提示することで、このモデルの提案精度と採算性を高められます。
参考:産業用蓄電池提案:他社シュミレーションから乗り換え、3時間の作業がわずか10分に短縮!ダイヘンの産業用蓄電池 エネがえるBiz導入事例
3. 電力会社の分散型蓄電ネットワークモデル
(主な担い手:大手電力会社、新電力、送配電事業者)
電力会社自らが配電網各所に分散型の定置蓄電池群を配備し、送配電の効率化や再エネ余剰吸収、調整力供給に役立てるモデルです。具体的には、変電所や需要地近傍に中~大規模バッテリー(例えば1~20MW級)を多数設置し、EMS(エネルギー管理システム)で集中制御します。これにより系統のデジタル化・柔軟化が進み、再生可能エネルギーの出力変動を地域内で調整しやすくなります。日本の電力会社はこれまでベースロード電源中心のモデルでしたが、再エネ主力化の中で余剰電力のカット(カーテイルメント)が問題になっています。蓄電池ネットワークはこの課題解決の切り札となり得ます。実際、ACCRの研究では「日本の大手電力にとって蓄電池投資は商業的メリットがあり、複数の収入源(容量市場、エネルギー取引、調整力)によって10%以上のIRRを見込める」と指摘しています。さらに新規LNG火力を稼働させるより、新規蓄電池を導入する方がコスト優位になる転換点も近いとされています。電池価格低減はこうした判断を後押しし、電力会社のビジネスモデル自体を中央集権型→分散型へとシフトさせる可能性があります。鍵となるのは、電力会社が蓄電池を単なるコストでなく収益資産として位置付けられるかです。なお、分散配置された蓄電池を制御するには高度な系統調整能力が必要ですが、日本の電力会社は地域インフラを熟知しており競争優位があるとの分析もあります。エネがえるなどのツールは主に需要家側支援ですが、電力会社が需要家の蓄電資源を集約する際にも活用可能で、需要家データをもとにした蓄電リソース予測など高度なマネジメントに貢献できるでしょう。
4. 蓄電池「サブスクリプション/リース」モデル
(主な担い手:蓄電池メーカー、リース会社、住宅メーカー、商社)
蓄電池を顧客に売り切りではなく月額課金やリースで提供するビジネスモデルです。電池価格が十分低下したことで、提供側が初期費用を負担しても回収が見込めるケースが増えてきました。例えば住宅用10kWhの蓄電池(システム価格200万円)をメーカーが設置し、ユーザーは月々定額料金を支払います。電気料金削減分で月額を相殺できれば、ユーザーは初期投資ゼロで蓄電池を使え、メーカー側は長期契約から安定収益を得られます。このモデルは太陽光発電のサブスク(第三者所有モデル)では既に広がりつつありますが、蓄電池も同様の流れです。特に余剰電力買取価格の低下で太陽光だけではメリットが出にくい場合、蓄電池を付加して自家消費率を高める提案が有効です。その際、高額な蓄電池を顧客負担でなくサービスとして組み込むことで導入障壁を下げられます。蓄電池価格が下がるほど事業者側の初期負担リスクも下がるため、より攻めた料金設定(月額料低減や契約期間短縮)が可能になります。またB2B領域でも、工場向けに「ピークカット蓄電池をリース提供し効果保証」といったサービスが考えられます。こうしたモデルでは正確な効果予測とモニタリングが重要で、エネがえるのシミュレーションで算出した予想節約額に基づき月額を設定するといった使い方ができます。販売店にとっては「売って終わり」でなく継続課金ビジネスになるため、安定収益源となる点も魅力です。
参考:産業用太陽光PPAシミュレーションが月50パターン以上可能に エネがえるBiz導入事例 IBeeT
5. 太陽光+蓄電池の法人向けPPAモデル
(主な担い手:PPA事業者(電力会社・商社・ファンド)、需要家(工場・ビル)、EPC)
企業や工場の屋根・遊休地に太陽光発電と蓄電池をセットで設置し、発電した電気を需要家に長期売電(または無償提供+設備利用料)するPPA(Power Purchase Agreement)モデルです。従来のオンサイトPPAは太陽光のみが多かったですが、蓄電池価格低下により蓄電池を含めた包括的エネルギーサービスが可能になりつつあります。蓄電池を組み合わせることで、発電した電力を需要パターンに合わせて供給でき、再エネ利用率の最大化や非常用電源確保といった付加価値を提供できます。需要家にとっては停電対策や電力使用量平準化でメリットが増し、PPA事業者にとっても夜間やピーク時間帯に電力供給できることで電力販売収入が増える利点があります。さらに蓄電池を併設することで余剰電力の外部売電や電力市場取引も可能となり、収益多角化につながります。これまで蓄電池付きPPAはコスト高で成立が難しいと言われましたが、安価な蓄電池を組み込めれば契約電力1kWあたりのPPA料金に大きく上乗せせず展開できるようになります。日本の企業はRE100などで再エネ調達ニーズが高まっており、太陽光+蓄電池PPAは魅力的なソリューションです。このスキームでは、エネがえる等で顧客の負荷プロファイルと太陽光発電予測から最適な蓄電池容量をシミュレートし、PPA料金を設計するのに活用できます。需要家に提示する際も、「蓄電池込みで電気料金〇%削減・CO2〇%削減」といった定量的メリットの見える化が重要です。
参考:産業用太陽光PPAシミュレーションが月50パターン以上可能に エネがえるBiz導入事例 IBeeT
6. EVと蓄電池の融合ビジネスモデル(V2H・セカンドライフ活用)
(主な担い手:自動車メーカー、充電事業者、商社、リサイクル事業者)
電気自動車(EV)の普及が進む中、EVと定置型蓄電池を組み合わせた新たなモデルも登場しています。一つはV2H(Vehicle to Home)やV2B(Vehicle to Building)によるEVバッテリー活用です。EVを蓄電池代わりに家庭やビルと連携させ、平常時は系統から充電しておき停電時には建物に給電する仕組みです。蓄電池を別途買わなくてもEVがバックアップ電源となるので、ユーザーにとって経済的です。電池価格低下そのものとは直接関係ないように思えますが、EVの大容量電池が安くなることでより多くのエネルギーを家に供給できるEVが増え、このモデルの実現性が高まります。実際、日本でも日産リーフや三菱のEVでV2Hシステムが商用化され始めました。今後EVメーカーが家庭用蓄電パッケージを販売するケース(例えば「EV+V2H充電器+太陽光」でエネルギー自給)も増えるでしょう。
参考:電気料金シミュレーション:エネがえるAPIが実現したパナソニックの「おうちEV充電サービス」
参考:「蓄電池がほしい」は、本当に蓄電池が欲しいのか?じっくりヒアリングした上でEVという選択肢を提案。エネがえるEV・V2Hのわかりやすいグラフで納得感アップ!|エネがえるEV・V2H導入事例
もう一つはEV使用済み電池のセカンドライフ利用です。EVの中古バッテリーを回収・再パッケージして定置型蓄電システムに転用するビジネスで、電池価格低下時代でも超低コスト蓄電ソリューションとして注目されています。新車EVから外した電池は容量劣化していても7~8割程度の容量が残存します。それをそのまま廃棄するのはもったいないため、住宅や商業施設向けの蓄電池ユニットに再利用する取り組みが各社で始まっています。例えばトヨタは使用済みハイブリッド車バッテリーを再利用した定置型蓄電池を開発しています。EV電池の大量廃棄が見込まれる2030年代に向け、このセカンドライフ市場は拡大必至です。新品電池が70ドル/kWhでも、中古なら半額以下で提供できれば低コスト志向の顧客層(例えば農業用ハウスや離島マイクログリッド等)に訴求できます。ただしセルの信頼性管理や保証の問題があるため、メーカーや専門事業者による品質評価・再組立が重要です。安価な蓄電池をさらに有効活用する点で、リサイクルと再利用のビジネスは循環経済にも貢献します。エネがえるは家庭用、産業用ともに蓄電池の条件入力にて実効容量を手入力で調整することもできるため、この分野でも、例えばセカンドライフ電池を使った場合のROI(投資収益率)試算などに応用できます。新品と中古のシナリオ比較をシミュレーションし、顧客に提案することも可能でしょう。
7. スマート住宅・ビルディング向けエネルギー自治モデル
(主な担い手:住宅メーカー、デベロッパー、ゼネコン、自治体)
住宅やビル自体に蓄電池を標準搭載し、エネルギー自給自足度を高めたスマート建築を提供するモデルです。価格低減により、建物建設コストに蓄電池を組み込んでも負担が小さくなりました。例えば住宅メーカーが新築戸建てに最初から5~10kWhの蓄電池を内蔵したプランを販売するケースです。太陽光パネルと蓄電池、HEMS(ホームエネルギー管理システム)を組み合わせ、「停電時も安心・電気代も削減」の付加価値住宅として差別化できます。実際、米国テスラ社は新築住宅向けに太陽光+Powerwall一体設計の住宅を提案していますし、日本でも積水ハウスやトヨタホームが蓄電池付き住宅を商品化しています。デベロッパーにとっては、蓄電池の一括大量調達でコストダウンできるため、各戸が個別に買うより安く提供できます。集合住宅でもマンション全体で蓄電池を共有し、非常用電源や共用部電力に充当する試みが始まっています。
参考:太陽光蓄電池の反響が増加 工務店支援・アライアンスで売上アップ 太陽光・蓄電池シミュレーション導入事例 – RT
また街区単位のマイクログリッド構築も考えられます。開発区域に大容量の共有蓄電池を置き、各住宅の太陽光と連携してエネルギーマネジメントするモデルです。これにより地域内で再エネ利用率を極限まで高め、系統への依存を減らすことができます。脱炭素先進都市ではこうした取り組みが進んでおり、日本でも富士通やパナソニックが実証スマートタウンで大容量蓄電池を導入しています。エネルギーの地産地消を掲げる自治体も増えており、安価な蓄電池はコミュニティ主体の再エネ運用を後押しします。
このモデルで収益を得る方法はいくつかあります。住宅メーカーは蓄電池搭載分を建物価格に上乗せして利益を取れますし、管理サービス料(月額)を徴収することもできます。さらに地域の余剰電力を電力市場に売って収益化するスキームもあり得ます(街ぐるみVPP)。エネがえるは住宅やビルのエネルギー収支シミュレーションにも活用できるため、例えば「当該物件は蓄電池と太陽光で年間〇%自給できます」といった訴求に客観的根拠を与えられます。将来的には不動産価値評価にエネルギー自立度が組み込まれる可能性もあり、蓄電池搭載が不動産価値向上策にもなり得ます。
8. 非常用電源・バックアップ電力サービスモデル
(主な担い手:UPSメーカー、データセンター事業者、通信会社、防災設備業者)
最後に、安価な蓄電池を非常用電源やバックアップ電力源として活用し、新たなサービスを提供するモデルです。これまで大規模施設の非常用電源といえばディーゼル発電機が主流でした。しかし環境負荷やメンテナンス手間の問題があり、近年バッテリー式無停電電源装置(UPS)が普及しています。電池価格が下がれば、より大容量のUPSや長時間バックアップ用蓄電池が低コストで導入できるため、病院・データセンター・通信基地局などクリティカル施設への採用が加速します。例えばデータセンター向けには数MWh規模のリチウムイオン電池を設置し、瞬時電圧低下(瞬低)対策や停電時ブリッジ電源として用いるケースが増えています。これらは基本的に保険的設備ですが、コスト低減で導入ハードルが下がることは間違いありません。
さらにこのモデルの発展形として、「バックアップ電力のサービス化」が考えられます。具体的には、防災ニーズのある事業者や自治体に対し、蓄電池設備を設置して非常用電源を保証するサービスを提供するものです。顧客は自前で設備投資せず、サービス契約料を払うことで一定時間の非常用電力供給を確保できます。提供者側は複数顧客向けに蓄電池をプールし、万一の際にモバイル蓄電池車両で駆け付けるなどのオプションも考えられます。蓄電池の低価格化により、こうした防災・レジリエンスビジネスも採算が合いやすくなります。特に日本は災害大国ゆえニーズが高く、市町村の防災拠点向けに大容量バッテリーをレンタルする仕組みなども有望でしょう。
このモデルでは平時に蓄電池が遊んでしまうともったいないため、平常時は系統調整やピークカットに使い、非常時に備えるといったデュアルユースも可能です。つまりバックアップ電源を持ちながら収益も上げるという一石二鳥が狙えます。エネがえるを使えば、平常時の活用によるコスト削減効果と非常時の価値を両面から評価し、顧客に提案できるでしょう。
以上、8つのモデルを紹介しましたが、共通するのは「蓄電池が安くなったからこそ成立する/拡大できる」点です。電池コスト低減は単にコスト削減効果に留まらず、今までできなかったサービスを可能にし、新しい価値を生み出します。
日本企業にとっては、再エネ大量導入や電力システム改革という課題に対し、蓄電池を核としたビジネスモデルで応える好機と言えます。これらのモデルの実装にあたっては、ステークホルダー間の連携も重要です。例えば電力会社と需要家、アグリゲーターがwin-win-winとなる契約スキームの設計や、メーカーと施工店が一体となってサービス提供する体制づくりなどが求められます。
最後に、こうした新ビジネスの現場でも「エネがえる」のようなエネルギー経済性シミュレーションツールが活躍します。太陽光・蓄電池関連事業者はもちろん環境省(補助金消化率アップの事例)や自治体、コンサルティング会社など様々なステークホルダーが自社顧客向けに蓄電池導入メリットを定量的に示す場面で、エネがえるは年間15万回以上の診断実績があるプラットフォームとして信頼されています。
メーカーや商社が販売店支援に使ったり、工務店・EPC・電力会社・不動産会社などが需要家提案に活用することで、迅速かつ的確な提案と投資回収の見通し提示が可能になります。
蓄電池ビジネスは初期投資とランニングコスト、省エネ効果や収入など複数のファクターを計算する必要がありますが、シミュレーションによって「本当に得か?」を見極めることができます。価格が下がって魅力が増した今だからこそ、ツールを駆使して最適解を導き出すことが重要です。
参考:国際航業の「エネがえる」が環境省の脱炭素推進を支援 ~補助金申請が劇的に増加した定量分析の力~ | 国際航業株式会社
おわりに:電池価格低減が拓くエネルギー新時代
リチウムイオン電池の価格は、この15年で驚異的な下降曲線を描いてきました。そして2025年、世界平均108ドル/kWhという歴史的低水準に突入しました。これは終着点ではなく、新たな飛躍への通過点に過ぎません。2030年には50~70ドル台、2050年には20ドル台も夢ではないという予測も現実味を帯びています。電池コストの低減は、再生可能エネルギーを大量導入し脱炭素社会へ移行する上で欠かせないピースであり、その動きは確実に前進しています。
日本に目を向ければ、従来高止まりしていた蓄電池の価格も下降傾向が明らかです。政府・企業の本気の投資と政策支援を背景に、蓄電池市場の成長率は30~40%/年という勢いで拡大しています。蓄電池はもはや特殊な設備ではなく、太陽光発電と並びエネルギーインフラの主役になりつつあります。価格低下が続けば、「太陽光+蓄電池」は住宅・ビルの標準装備となり、工場やビルには当たり前のようにバッテリーが併設される未来が訪れるでしょう。電力系統側でも、大規模バッテリーなしには再エネ大量導入をさばけなくなるため、蓄電池が発電所と同等に重要な存在となります。
ビジネスチャンスの面でも、蓄電池の低価格化は既存の垣根を越えた新たな収益モデルを生みます。
本記事で提案した8つのモデルはその一例ですが、エネルギーの地産地消やサービス化といったキーワードが浮かび上がります。分散型エネルギーリソースを束ねて価値化する動きは加速し、日本のエネルギー産業は中央集中から分散協調へ大きくシフトするでしょう。その過程で、電力会社や設備メーカー、IT企業、金融機関、自治体、市民など多様な主体が参画するエコシステムが形成されるはずです。
問いかけ: 私たちはこの変化をどう受け止め、活かすべきでしょうか?蓄電池が安価に手に入る世界では、エネルギーは消費者にも生産者にもなり得るものとなります。各家庭が、小さな発電所兼変電所の役割を果たす未来。企業が、自社敷地でエネルギー自給しつつ余剰を融通し合う未来。そこでは、これまで分断されていた「発電する側」と「使う側」の境界が溶け、新たな協調関係が生まれるでしょう。
リチウムイオン電池の価格低減という一見テクノロジー寄りのニュースは、実はこうした社会システム変革の序章なのかもしれません。大事なことは、日本がこの波に乗り遅れず、むしろ先頭に立って技術とビジネスモデルの革新を進めることです。幸い、日本企業は高い技術力と現場力を持ち、多くの潜在蓄電資源(EV、太陽光、需要家側設備)も存在します。必要なのはそれらを繋ぎ合わせ、新たな価値を創造する発想です。
最後に、本記事の内容は最新のデータと信頼性の高い情報源に基づいています(詳細は以下の参考資料一覧およびファクトチェック参照)。エネルギー業界に身を置く読者の皆様にとって、本稿が今後の戦略立案や思考の刺激となり、持続可能なエネルギー社会へのヒントとなれば幸いです。蓄電池新時代の到来を目前にした今、既成概念にとらわれない挑戦と協働によって、日本発のイノベーティブなエネルギービジネスが次々と生まれることを期待しています。
参考資料・出典一覧
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BloombergNEF Press Release (2025/12/09) 「Lithium-ion Battery Pack Prices Fall to $108/kWh, Despite Rising Metal Prices」
URL: about.bnef.com/insights/clean-transport/lithium-ion-battery-pack-prices-fall-to-108-per-kilowatt-hour-despite-rising-metal-prices-bloombergnef/
(BNEFによる2025年電池価格調査結果の発表。2025年平均108ドル/kWh、2010年比93%安や定置型70ドル/kWh達成などを報告) -
pv magazine (2025/12/09) 「Global lithium-ion battery pack prices fall to $108/kWh, says BNEF」
URL: www.pv-magazine.com/2025/12/09/global-lithium-ion-battery-pack-prices-fall-to-108-kwh-says-bnef/
(上記BNEF発表を伝える記事。価格低下要因として生産過剰・競争激化・LFPシフトを挙げ、2024年比8%減、2010年比-93%を解説) -
Energy Storage News (ESS) (2025/12/09) 「BNEF: Lithium-ion battery pack prices fall to $108/kWh, stationary storage becomes lowest price segment」
URL: www.ess-news.com/2025/12/09/bnef-lithium-ion-battery-pack-prices-fall-to-108-kwh-stationary-storage-becomes-lowest-price-segment/
(pv magazine傘下のESSニュースによる詳細記事。定置型ストレージ用が初めて最安セグメントになったことや、地域別価格差、中国の競争環境などについて詳述) -
InfoLink Consulting / ESS News (2025/06/30) 「Japan poised for a battery boom」
URL: www.ess-news.com/2025/06/30/japan-poised-for-a-battery-boom/
(台湾InfoLink社の分析に基づく日本の蓄電池市場展望。2030年までの商用・住宅用市場規模予測、東京の太陽光義務化やVPP計画、120GWh国内生産計画、規制課題などを網羅) -
国際航業エネがえる (2025/10/12) 「蓄電池価格完全ガイド2025年 将来予測と導入判断の全知識」
URL: www.enegaeru.com/completeguidetobatterypricesin2025
(蓄電池システム価格の国内外動向を詳細分析したガイド。家庭用15~20万円/kWh・産業用11~15万円/kWhという2025年時点の国内相場や、価格構成要素、主要機関による2030年予測(BNEF: $69/kWh、経産省目標: システム価格7万円/kWh以下、将来2.3万円/kWh)などを紹介) -
RMI (2024/01/25) 「The Rise of Batteries in Six Charts」
URL: rmi.org/the-rise-of-batteries-in-six-charts-and-not-too-many-numbers/
(RMIによる電池成長分析。過去30年で電池コスト99%減少・エネルギー密度5倍向上、累積生産倍増ごとにコスト19%低減という学習曲線を示す。2030年にコスト$32–54/kWh・年間販売量5.5–8TWhに達するとの大胆予測を提示) -
Australasian Centre for Corporate Responsibility (2025/10/23) 「Grid-scale batteries untapped opportunity for Japan’s electric utilities」
URL: www.accr.org.au/news/new-research-grid-scale-batteries-untapped-opportunity-for-japan%E2%80%99s-major-electric-utilities/
(ACCRによる日本の電力会社向け蓄電池投資の商機分析。現在でも容量市場・エネルギー取引・調整力で10%以上のIRRが可能、電池コストは2018年$300/MWhから2024年$104/MWhへ低下し2035年までに半減見通し、新規電池が既存LNGより安くなる趨勢を指摘) -
NREL (2025/02) 「Cost Projections for Utility-Scale Battery Storage: 2025 Update」
URL: docs.nrel.gov/docs/fy25osti/93281.pdf
(米国エネルギー研究所NRELのユーティリティ向け蓄電システム費用予測。多数の文献値を比較し、2035年・2050年の蓄電システム費用を高・中・低シナリオで提示。低シナリオでは2050年に$108/kWh(4時間システム全体)まで低下する可能性を示唆) -
BloombergNEF (2023) 「NEO / EV Outlook 等長期予測シリーズ」(※有料レポート)
URL: about.bnef.com/
(BNEFの長期見通しレポート群。詳細は引用できないが、電池コストが今後も低減し続けEV価格の大幅低下や電力貯蔵市場の急拡大につながるとの前提で各シナリオを策定) -
経済産業省 (2022) 「蓄電池産業戦略」および「定置用蓄電システムの普及拡大に向けた検討会(配布資料)」
URL: www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/enchaku_juchaku/pdf/004_02_00.pdf (資料例)
(日本政府の蓄電池政策文書。2030年までに定置型システム価格7万円/kWh以下、将来的に2.3万円/kWhという目標を明記。また補助事業データとして蓄電池システム価格内訳(電池セル50%、PCS15%等)を提示)
ファクトチェック・主要数値の確認
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2025年世界平均電池パック価格: 108ドル/kWh(前年比-8%)。2010年比93%減。
※BNEF 2025年調査結果による。 -
2025年定置型ストレージ向けパック価格: 70ドル/kWh(前年比-45%)。初めて全用途中で最安セグメントに。
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2025年BEV(EV)向けパック価格: 99ドル/kWh(2年連続で100ドル以下)。
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地域別平均価格(2025年): 中国: 84ドル/kWh(最安)、北米: 中国比+44%高(≈121ドル/kWh)、欧州: 中国比+56%高(≈131ドル/kWh)。
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価格下落要因(2025年): セル生産過剰・競争激化・LFP普及が寄与。金属価格上昇(中国リチウム供給懸念、DRコンゴ規制)にも拘らず、長期契約やヘッジで吸収。
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BNEF予測2030年パック価格: 69ドル/kWh(約1万円/kWh)。100ドルの壁を大きく下回る。
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RMIシナリオ2030年コスト: 32~54ドル/kWh(高速シナリオ)。歴史的学習率19%/累積倍増を踏まえ、従来予測より速い低減を示唆。
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日本政府目標: 2030年度までにシステム価格≤7万円/kWh、将来2.3万円/kWh(揚水並み)。
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日本の現行蓄電池価格(2025年): 家庭用 15~20万円/kWh、産業用 11~15万円/kWh(工事費込、市場価格)。補助金事業では上限11.1万円/kWhが設定。
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日本の蓄電池市場規模: 商用ESS: 2023年5.93億ドル→2030年41.5億ドル。住宅用: 2023年2.79億ドル→2030年21.5億ドル(年率+33.9%)。市場全体: 2022年7.94億ドル→2035年25億ドル。
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政策トピック(日本): 太陽光パネル新築義務化(東京都など)、全国型VPP開始(2026年度~)、GX経済移行債発行(蓄電池R&D・設備支援)、大手企業の国内電池投資(総額1兆円超で120GWh/年目標)、FiP蓄電併設解禁。
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蓄電池ビジネス採算性: グリッド用蓄電池IRR>10%(容量市場・エネルギー取引・調整力収入、政府補助あり)。電池LCOE: 2018年$300/MWh→2024年$104/MWh、2035年までに半減見通し(= ~$50/MWh)。新規蓄電池vs既存LNG: 新規電池運用コストが既存LNG発電コストを下回る転換点が近い。
以上、本文中の主なファクトは信頼できる出典に基づいており、その妥当性を確認済みです。本記事の情報は2025年末時点の最新知見にアップデートされており、将来予測部分も現状の科学的エビデンスに沿って立てられています。今後も電池技術や市場動向に関する最新データをウォッチし、適宜情報をアップデートしていくことが重要です。



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