8,760時間の熱・電力収支、COP、NPV、CO2、地域内循環の考え方。プロトタイプの計算範囲、仮定係数、未対応項目と精度確認方法を公開。 初期デモには実際のPLATEAU建物形状と仮定の熱源・需要を使用し、表示値は実測値や導入実績ではありません。計算の前提・対応範囲・必要な入力データを確認しながら、施設や地域の検討に役立てることを目指します。
結論の手前にある、
前提をひらく。
シミュレーションの結果は、入力データと計算範囲に依存します。このページでは、開発中v7が計算すること、簡略化していること、まだ扱わないことを説明します。
開発中プロトタイプv7の解説・想定ユースケース|内容確認日:2026年10月10日
v7の実装範囲を先に確認する。
| 領域 | 現在の実装 | 含まないもの・制約 |
|---|---|---|
| 空間・可視化 | PLATEAU建物形状、Cesiumを使う3D表示、簡易描画、GLB表示 | BIM/IFCからの自動設備・熱負荷解析 |
| 時間別計算 | 1時間刻み・8,760時間、6シナリオ、Worker再計算 | 詳細な流体解析、数理最適化による設備・運転の大域最適解 |
| 熱供給 | 温度条件を確認した施設間融通、簡易損失・蓄熱 | 低温排熱HP回収、配管の圧力損失・詳細水理解析 |
| 電気・冷熱 | 太陽光、電池、HP、蓄冷の簡易運用 | 施設間の電力ネットワーク解析、温熱サンキーへの冷熱統合 |
| データ | CSV、JSON、GeoJSONの対応形式、係数編集、保存・出力 | あらゆるPDF/Excel/BIMの自動解析、全国の実測データ自動取得 |
| レポート | CSV、JSON、印刷用提案表示 | PPTX自動生成、組織別クラウド保存、商用SLA |
受け取る熱と、投入する電力を分ける。
基本は、同じ時間区間と同じ評価境界で収支を見ることです。kWは出力、kWhは区間内のエネルギーです。熱量にはkWhthを使い、電力と区別します。
蓄熱残量の変化 = 充熱 − 放熱 − 保管・変換に伴う損失
ヒートポンプCOP = 供給した熱量 ÷ ヒートポンプの消費電力量
実装では容量・出力・温度条件等を考慮します。上の式は境界の理解のための概念式で、機器の詳細設計式ではありません。COPと、ポンプ・補機・季節運転まで含むシステム全体の性能は区別してください。
COPを、固定値だけで扱わない。
現版には固定COPと温度差を用いる近似モードがあります。温度差が変わると性能も変わるという考えを取り入れていますが、メーカーの実機性能曲線、部分負荷、除霜、補機等を完全に再現するモデルではありません。
| 例示される初期条件 | 値 | 扱い |
|---|---|---|
| 供給側温度 | 55℃ | デモの入力例。標準値・推奨値ではない |
| 熱源側温度 | 15℃ | 対象の時刻別実測等に置き換える |
| 熱交換の接近温度差 | 各5 K | 機器条件に応じて確認する仮定 |
| カルノー効率係数/COP上限 | 0.45/6 | 簡易モデルの入力。実機保証値ではない |
経済性は、含めた費用で変わる。
表示する経済指標には、維持費を考慮した年間削減額、単純回収年数、正味現在価値(NPV)等があります。判断時には、現状ケースと代替ケースを同じ期間・同じサービス量で比較します。
運用時CO2削減量 = 現状ケースの運用時排出量 − 代替ケースの運用時排出量
配管費は距離と単価等を用いる簡易概算です。実際の掘削・道路占用・河川横断・権利調整・機械室改修等を網羅する見積ではありません。税、資金調達、更新、補助金の適用条件等も案件ごとに確認が必要です。CO2は運用段階が中心で、設備製造・建設・廃棄を含むライフサイクル評価ではありません。
単純回収年数が計算できない場合もあります。価格・需要・COP・投資額を変え、最良値だけでなく条件変化への耐性を確認してください。
地域内循環とレジリエンスは、範囲を明確に。
| 表示・検討項目 | 意味 | 追加で必要な評価 |
|---|---|---|
| 地域内支出の参考値 | 設定した支出先・域内比率等に基づく参考比較 | 地域産業連関表、域外漏出、付加価値、波及構造 |
| 簡易的な継続時間 | 仮定したエネルギー量と負荷に基づく概算 | 起動電力、系統切替、重要負荷、燃料・熱源継続、災害時運用 |
| BPOの作業効果 | データ整理や比較・説明の効率化を目指す構想 | 導入前後の処理時間、差戻し、品質、運用費の実測 |
精度を上げるには、独立した観測と比べる。
実測と予測を揃えた検証用CSVで、平均バイアスや誤差の大きさを確認できます。現版のMBEは予測−実測の総和を実測総和で割る定義、CVRMSEはサンプル数Nを用いる定義です。自由度補正を含む他資料の定義と無条件で比較しないでください。
この比較は、自動校正や認証ではありません。学習・調整に使った期間とは別の期間でも検証し、需要の用途、気象、稼働変更、計測誤差を点検します。基準値を満たす一つの指標だけで、投資判断に十分な精度とは結論づけません。
検討を進める問い
熱エネルギーのCO2削減効果はどう計算しますか?
同じ熱サービスを供給する基準ケースと対策ケースで、燃料と購入電力等の使用量に適用する排出係数を掛け、差を比較します。対象年、算定境界、燃料単位、係数の出典を記録します。設備製造・廃棄まで含む評価とは区別します。 次の検討に必要な情報を読む →
熱シミュレーションの精度は何で確認しますか?
計算結果と、同じ期間・同じ計測境界の実測値を照合します。年間合計だけでなく季節と時間帯ごとの差を確認し、欠測、温度、運転条件を見直します。現プロトタイプについて、外部検証済みの一律の誤差率は示していません。 次の検討に必要な情報を読む →
自分の条件で、次の一歩へ。
出典と確認範囲
- LBNL|Modelica Buildings Library: HeatPumps
温度条件とヒートポンプ性能のモデル化に関する技術資料。本デモでModelicaを実行しているわけではありません。 - 米国DOE FEMP|M&V Guidelines 5.0(2024)
省エネルギー効果の計測・検証に関する指針。本デモが認証を受けたことを意味しません。 - 環境省|地域経済循環分析
地域産業連関表等を用いる地域経済の分析。本デモの地域内支出参考値とは算定範囲が異なります。
掲載内容は公開資料、都市プロトタイプv7、本特集の補助ツールの実装を照合して整理しています。外部機関による本システムの推奨・監修・精度認証を示すものではありません。
