エネがえる先生の超絶わかりやすい!脱炭素教室 〜数字で見る日本のエネルギーと未来の授業〜

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国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部 デジタルエネルギーグループ。再エネ設備導入効果シミュレーター「エネがえる」(ASP、Biz、EV・V2H、API、BPO)の事業開発を担当。太陽光、蓄電池、オール電化、EV・V2H、電力料金、補助金、再エネ設備の経済効果シミュレーションを専門領域とし、サービス企画、顧客提案、マーケティング、パートナー連携を横断して推進しています。エネがえるは国内700社以上で導入され、年間15万件以上の診断に利用されています。取材、登壇、協業、サービスに関するお問い合わせは、エネがえる公式お問い合わせページからお願いします。

脱炭素,教室,学校
脱炭素,教室,学校

重要:この記事は、小学校高学年向けに使える授業モデル(台本例)です。登場する「エネがえる先生」と児童の会話は説明用の架空表現であり、特定の学校で実施した授業の記録ではありません。

データ基準日:2026年8月31日。数値は環境省・経済産業省・資源エネルギー庁の公表資料を確認しています。「実績」「政府目標」「将来見通し」を混同しないよう、区別して記載します。

この脱炭素教室で学ぶこと

  • 温室効果ガスとカーボンニュートラルの意味
  • 日本の温室効果ガス排出量がどこまで減ったか
  • 日本の電気が何から作られているか
  • エネルギー自給率が何を表すか
  • 太陽光、風力、蓄電池、水素、電動車の役割と限界
  • 数字を「実績」「目標」「例」に分けて読む方法

授業で使う最新データ早見表

テーマ 確認できる数値 読み方・注意点
日本の温室効果ガス 2024年度の排出・吸収量は約9億9,400万トンCO₂換算。2013年度比28.7%減 森林などの吸収量を差し引いた値。排出量だけの数字とは区別する。[S1]
日本の削減目標 2013年度比で2030年度46%減、2035年度60%減、2040年度73%減、2050年ネット・ゼロ 2035年・2040年目標は2025年2月に提出された新しいNDC。目標は実績ではない。[S2]
電源構成 2024年度は再生可能エネルギー23.1%、原子力9.4%、火力(バイオマス除く)67.5% 発電電力量の構成。一次エネルギー全体の構成とは別の数字。[S3]
エネルギー自給率 2024年度は16.4% 国内で確保できる一次エネルギーの割合。電気だけの割合ではない。[S4]
2040年度の再エネ見通し 電源構成の4〜5割程度 第7次エネルギー基本計画の将来見通し。達成済みの実績ではない。[S5]
水素等の導入目標 2030年最大300万トン/年、2040年1,200万トン/年、2050年2,000万トン/年程度 水素はエネルギーを運び、ためる媒体。作るためのエネルギーと製造方法も重要。[S6]
家庭用蓄電システム 2030年の目標価格は7万円/kWh 政策上の目標価格であり、現在の販売価格や将来価格の保証ではない。[S7]
洋上風力 2030年10GW、2040年30〜45GWの案件形成目標 「案件形成」は、すべてが運転開始済みという意味ではない。[S8]
乗用車の電動化 2035年までに新車販売で電動車100%を目指す 電動車にはBEVだけでなく、HEV、PHEV、FCVも含まれる。[S9]

第1時限目:地球の「熱の毛布」とカーボンニュートラル

導入の台本例

エネがえる先生:「温室効果ガスは、地球から宇宙へ逃げる熱の一部を受け止めます。毛布のような役割があるから、温室効果そのものをゼロにすればよいわけではありません。人間の活動で温室効果ガスが増え、地球に残る熱が増えることが問題です。」

児童A(架空):「では、カーボンニュートラルはCO₂をまったく出さないことですか?」

エネがえる先生:「違います。できるだけ排出を減らしたうえで、残る排出量と森林などによる吸収・除去量を差し引き、全体として実質ゼロにする考え方です。」

100枚カードで進捗を可視化する

2013年度の排出・吸収量を100枚のカードで表すと、2024年度の実績は約71枚に相当します。目標は2030年度54枚、2035年度40枚、2040年度27枚、2050年は差し引き0枚です。端数を丸めた教材上の表現であることを伝えてください。

  1. 100枚から2024年度実績に相当する約29枚を外す
  2. 2030・2035・2040の目標線を机に置く
  3. 実績と目標の差を見て、どの分野で何を変えられるか考える

2024年度の実績は2013年度比28.7%減ですが、2030年度目標は46%減です。「減っているから終わり」でも「何も進んでいない」でもなく、進捗と残りの両方を読むのがポイントです。

ワーク:学校のCO₂を減らす案を、測れる形にする

「家庭」「学校」「移動」「買い物」「電気の作り方」の班に分かれ、行動案と測定方法をセットで考えます。

  • 照明:消灯前後の点灯時間と消費電力を測る
  • 空調:設定温度だけでなく、室温、運転時間、換気、断熱も記録する
  • 給食:食べ残しの重さを同じ曜日・人数で比較する
  • 移動:距離、人数、移動手段を記録する
  • 太陽光:設備容量だけでなく、実際の発電量と使用時間を確認する

第2時限目:日本の電気は何から作られている?

100枚の電源カード

2024年度の発電電力量を100枚で表すと、目安は再生可能エネルギー23枚、原子力9枚、火力68枚です。公表値は23.1%、9.4%、67.5%で、合計は100%になります。[S3]

注意:バイオマスは再生可能エネルギー側に含まれ、火力67.5%は「バイオマスを除く」値です。また、電源構成は電気の作り方、エネルギー自給率は石油・ガスなどを含む一次エネルギー全体の指標です。二つを同じ円グラフにしないでください。

体験:人力発電は「倍率」ではなくWと時間で比べる

人力発電機を使う場合は、機器の取扱説明書に従い、教員の監督下で実施します。LEDとテレビを比べるときに「何倍こぐ」と決めつけず、機器の定格消費電力(W)を確認します。

  • 電力量(Wh)=消費電力(W)×使用時間(h)
  • 例:10WのLEDを1時間使うと10Wh
  • 例:100Wの機器を1時間使うと100Wh

発電機や変換装置には損失があるため、人が出した力のすべてが電気として使えるわけではありません。測定値と計算値の差を考えることも学習になります。

実験:ソーラーカーで条件を一つずつ変える

小型ソーラーパネルとモーターカーを使い、パネル角度、影、車体質量のうち一度に一つだけ条件を変えます。晴天・曇天や時刻も記録し、「太陽光はいつでも同じ出力ではない」ことを観察します。

第3時限目:未来のエネルギーを正しく比べる

水素は「水だけで動く魔法」ではない

燃料電池は、水素と空気中の酸素を反応させて電気を作り、水を生じます。しかし、水素を作る段階では電気や熱などのエネルギーが必要です。水を電気分解する教材では、「車が水だけをエネルギー源にして走る」のではなく、先に加えた電気エネルギーを水素へ移していると説明します。

蓄電池は電気を作らず、時間をずらす

蓄電池は、昼の太陽光などで作った電気をため、夜や停電時に使うための装置です。1kWhは、理想化すれば1,000Wの機器を1時間使う電力量です。実際には充放電損失、使用できる容量、出力上限があるため、「容量÷機器の消費電力」だけでは正確な使用時間になりません。

2030年の家庭用蓄電システム目標価格7万円/kWhは政策目標です。授業時点の店頭価格として説明せず、製品、工事、保証、補助金を含む条件は別に確認します。[S7]

洋上風力は「計画」と「運転開始」を分ける

政府は洋上風力について、2030年10GW、2040年30〜45GWの案件形成を目標にしています。GWは発電設備の出力規模で、実際に作った電力量(GWh)とは別です。また、案件形成には調査、地域調整、入札、建設中の案件も含み得ます。[S8]

「2035年に新車100%」はEVだけではない

政府目標は、2035年までに乗用車の新車販売を電動車100%にすることです。ここでいう電動車には、電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)、燃料電池車(FCV)が含まれます。「2035年に新車がすべてBEVになる」と言い換えないでください。[S9]

ゲーム:2050年の街を、制約つきで設計する

「住宅」「学校・店舗」「工場」「交通」「発電・送電」の班に分かれ、次のカードを配ります。

  • 使える面積
  • 必要な電力量と時間帯
  • 設備費の上限
  • 災害時に残したい機能
  • 地域の自然条件
  • 住民や利用者の合意

太陽光や風力を増やすだけでなく、需要を減らす、使う時間をずらす、蓄電する、送電網を使う、予備力を確保するという組み合わせを考えます。ゼロカーボンシティの表明状況は変わるため、自治体数を固定して暗記せず、環境省の地方公共団体脱炭素取組状況マップで授業日に確認してください。[S10]

45分×3コマの進行例

時間 内容 成果物
1コマ目 温室効果、最新排出実績、100枚カード、学校CO₂ワーク 行動案+測定指標
2コマ目 電源構成、電力と電力量、人力発電、ソーラーカー 条件と結果の記録表
3コマ目 水素、蓄電池、洋上風力、電動車、未来都市ゲーム 前提・制約つき街づくり案

先生向け:数字を誤って教えないためのチェックリスト

  • 出典URL、対象年度、確認日をスライドに入れる
  • 年度と暦年を混ぜない
  • CO₂と温室効果ガス全体、排出量と排出・吸収量を区別する
  • 電源構成と一次エネルギー構成を区別する
  • 実績、目標、見通し、教材上の例を色分けする
  • 設備容量(kW・GW)と電力量(kWh・GWh)を区別する
  • 「電動車100%」を「BEV100%」と言い換えない
  • 水素を一次エネルギー源のように説明しない
  • 蓄電池の目標価格を現在価格や保証価格として扱わない
  • 自治体数など変動する数値は授業日に公式ページで更新する

授業後の発展学習

  1. 学校の電力調査:設備のW数と使用時間からWhを推定し、実際の請求・計測値と比べる
  2. 地域の電源・省エネ調査:学校、公共施設、地域の再エネ設備や断熱改修を地図にする
  3. 同じ数字の別表現:割合、100枚カード、円グラフで理解しやすさを比較する
  4. 目標と実績の比較:2030・2035・2040目標と毎年の実績を更新する
  5. 条件を変える実験:太陽光の角度や影を一つずつ変え、再現できる記録を作る

まとめ

エネルギー教育で大切なのは、大きな数字を暗記することではありません。その数字が「何の割合か」「いつの実績か」「目標か実績か」「条件が変わるとどうなるか」を問い直す力です。

日本の2024年度の温室効果ガス排出・吸収量は2013年度比28.7%減まで進みました。一方、2030年度46%減、2035年度60%減、2040年度73%減という次の目標があります。前進と残る課題を同時に見て、家庭・学校・地域で測れる行動へ変えることが、この授業のゴールです。

公式出典・確認先

  1. [S1] 環境省「2024年度の我が国の温室効果ガス排出量及び吸収量について」
    https://www.env.go.jp/press/press_04043.html
  2. [S2] 環境省「日本のNDC(国が決定する貢献)」
    https://www.env.go.jp/earth/earth/ondanka/ndc.html
  3. [S3] 経済産業省「令和6年度(2024年度)エネルギー需給実績(確報)」
    https://www.meti.go.jp/press/2026/04/20260414001/20260414001.html
  4. [S4] 資源エネルギー庁「2. 安定供給」
    https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/energy2025/02.html
  5. [S5] 資源エネルギー庁「エネルギー基本計画について」
    https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/
  6. [S6] 資源エネルギー庁「エネルギー白書2024・水素等」
    https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2024/html/3-8-0.html
  7. [S7] 経済産業省「定置用蓄電システムの現状と課題」
    https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/conference/battery_strategy2/shiryo06.pdf
  8. [S8] 資源エネルギー庁「2025年、日本の洋上風力発電」
    https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/yojohuryokuhatuden2025.html
  9. [S9] 経済産業省「自動車・蓄電池産業」
    https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/ggs/05_jidosha.html
  10. [S10] 環境省「地方公共団体実行計画策定・実施支援サイト」
    https://www.env.go.jp/policy/local_keikaku/

最終確認日:2026年8月31日。政策・統計は更新されます。授業で再利用する際は、上記の公式ページで対象年度と最新版を確認してください。

記事の内容を、自社案件の数字で確認

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国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部 デジタルエネルギーグループ。再エネ設備導入効果シミュレーター「エネがえる」(ASP、Biz、EV・V2H、API、BPO)の事業開発を担当。太陽光、蓄電池、オール電化、EV・V2H、電力料金、補助金、再エネ設備の経済効果シミュレーションを専門領域とし、サービス企画、顧客提案、マーケティング、パートナー連携を横断して推進しています。エネがえるは国内700社以上で導入され、年間15万件以上の診断に利用されています。取材、登壇、協業、サービスに関するお問い合わせは、エネがえる公式お問い合わせページからお願いします。

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