2026年の住宅用太陽光・蓄電池販売施工店の経営戦略と営業戦略

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国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

エネがえるキャラクター
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2026年の住宅用太陽光・蓄電池販売施工店の経営戦略と営業戦略

背景:2026年に向けた市場環境の変化

2025年から2026年にかけて、住宅用太陽光発電・蓄電池業界は大きな転換期を迎えます。

エネルギー価格の高騰金利動向の変化、そして消費者意識の変化が同時に進行しています。

さらに政府の脱炭素政策強化や建築物省エネ法の改正低圧VPP(仮想発電所)市場の本格化といった政策・制度面の動きも、ビジネス環境を大きく変えつつあります。従来の訪問販売に依存したモデルでは立ち行かなくなり、経営戦略と営業戦略の抜本的な見直しが必要な状況です。

  • エネルギーコスト高と自家消費の時代: ロシア・ウクライナ情勢等の影響で燃料費が高騰し、日本の大手電力会社は2023年に家庭向け規制料金を平均14~42%も値上げしました。政府の緩和策で一時的に抑制されましたが、それでも電気料金は過去比で大幅上昇しています。例えば標準的家庭の電気代は、2020年代前半から累計で4割近く負担増となりました。1kWhあたり30~40円という高い電気料金水準となり、「電力は買うより自家消費する方が得」という時代に突入しています。

    太陽光発電の売電価格(FIT買取価格)は年々下がり、2024年度は16円/kWhでしたが、2025年下期からは新制度で初期4年間だけ24円/kWh、その後8.3円/kWhという二段構えに変更されます。これは導入初期に収入を前倒しで得られる反面、5年目以降は売電単価が極端に低くなるため、余剰電力は売るより蓄えて使う方が有利になる構造は一切変わりません。実際、家庭用電気料金が30~40円/kWhの水準では、売電より蓄電池で自家消費した方が経済メリットが大きいことを多くの消費者が認識し始めています。こうした背景から「太陽光+蓄電池」セット提案による電気代削減ソリューションの価値が飛躍的に高まっています。

    ※参考:エネがえるを導入した販売施工店では最小30%~最大90%、中央値でも40-50%の太陽光・蓄電池のセット販売の成約率を達成しています。

  • 金利上昇リスクと投資判断: 長らく超低金利が続いた日本でも、インフレ動向を受け金融政策の転換が予測されています。民間予測では2025年〜2026年にかけて政策金利が約1.0%程度まで引き上げられる可能性が指摘されています。住宅ローン金利やソーラーローン金利も上昇圧力がかかる可能性があり、設備導入の月々支払い負担が増えるリスクがあります。ただし他国に比べれば依然低金利水準であり、太陽光・蓄電池による電気代削減効果がその支払い増を上回るかどうか、綿密なシミュレーションで説得力ある提案を行うことが重要になります。投資回収年数 = 導入費用 ÷ 年間電気代削減額で計算できますが、電気代削減額は月間発電量・自家消費率・電力単価から正確に算出する必要があります。金利動向も織り込んで、より慎重かつ客観的な経済効果提示が求められるでしょう。

  • 家計・消費者意識の変化: 電気代高騰物価上昇により、一般家庭の節約志向は一段と強まっています。高額な初期投資となる太陽光・蓄電池導入に対し、「本当に元が取れるのか?」という懸念を持つ消費者は依然として多く、ある調査では57.0%の家庭が投資回収への不安を感じています。また提示されたシミュレーション結果の信憑性を疑った経験がある人も75.4%に達しています。こうした不安を払拭し納得してもらう営業プロセスがいっそう重要です。一方で特殊詐欺の横行や悪質業者のニュースが後を絶たず、訪問や電話による勧誘に対する消費者の警戒心もかつてなく高まっています。実際、太陽光発電の点検商法を騙る詐欺相談件数は2017年度の57件から2024年度には613件と10倍以上に急増しました。消費者は「知らない業者から突然訪問される」こと自体に身構えるようになっており、飛び込み営業は門前払いされるケースも増えています。信頼を得る営業手法への転換が急務です。

政策動向:脱炭素政策の強化とVPP本格化

日本政府および自治体は家庭部門の脱炭素化に向けた政策を相次いで強化しています。経済産業省・環境省・国交省それぞれが住宅向けの再エネ普及策を推進しており、2025~2026年にかけて市場環境を後押しする施策が目白押しです。

  • 建築物省エネ法改正(2025年4月施行): 2025年の法改正により、全ての新築住宅で省エネ基準適合が義務化されます。これまでは努力義務だった断熱性能等が法的要件となり、さらに住宅の省エネ性能の表示義務も課されます。加えてZEH(水準)達成の要求強化も打ち出され、実質的に新築戸建には太陽光発電、蓄電池の搭載が半ば必須となる流れです。実際、東京都では先行して2025年4月以降、大手ハウスメーカーによる新築戸建てに太陽光パネル設置を義務付ける制度がスタートします。自治体補助も活用すれば4kW太陽光設置で年間約7.7万円の光熱費削減が見込まれ、約8年で投資回収可能と試算されています。このように政策によって新築時から太陽光を載せるのが当たり前の時代になりつつあり、住宅メーカーや工務店との提携による新築市場の取り込みが重要戦略となります。

  • 再エネ補助金と税制優遇: 国は太陽光パネルや蓄電池の導入支援策を拡充しています。例えば経産省の「住宅・建築物の脱炭素化促進事業」では住宅向け蓄電池に対する補助金や、再エネ設備導入に伴う補助制度が継続中です。また2026年度よりカーボンプライシング(排出量取引)の成長志向型策も始まる方針で、将来的にはCO₂排出コストが電力料金に転嫁されていく可能性があります。そうなれば自己消費型ソーラーの経済メリットは一層拡大します。さらに固定資産税の優遇措置(ZEH取得住宅の減税など)も各自治体で展開され、太陽光・蓄電池を入れること自体が住宅の付加価値になる流れです。2026年時点でも各種補助・優遇策を最大限活用し、顧客に初期負担を抑えた提案を行うことが営業上有利となるでしょう。

  • 低圧VPP市場の本格化: VPP(Virtual Power Plant)とは多数の分散電源や蓄電池を統合制御し、あたかも一つの発電所のように機能させる仕組みです。日本でも2016~2020年に実証事業が行われ、2024年以降各電力会社が本格導入に動いています。特に2026年度からは家庭用蓄電池やEV(V2H)を集合制御した低圧VPPが需給調整市場(調整力市場)に参加可能となり、重要な調整力リソースとして期待が高まっています。これはつまり、家庭の蓄電池やEVが電力系統安定化サービスに参画し、報酬を得られるようになるということです。実際、東京ガスや東電など大手エネルギー事業者が相次いで住宅用蓄電池のリモート制御プラットフォーム(例:Shizen Connect)を採用し始めており、蓄電池を持つ顧客の獲得競争が激化しそうです。自動車メーカーもEVの大容量バッテリーをV2H経由でVPPに組み込む動きを見せており、エネルギー業界の垣根を超えた新規参入が進むでしょう。販売施工店にとっては、単に機器を売るだけでなく蓄電池オーナーを束ねて新たな収益源(需要家調整市場やDRサービス)を創出するビジネスモデルも視野に入ります。2026年には各社が「蓄電池+VPP提案」を武器に差別化を図ることが予想され、顧客に対しては「蓄電池を入れて余剰電力を売る・需給調整で稼ぐ」という新たな経済メリットも提示できるようになります。

  • その他政策(脱炭素ポイント等): 環境省は家庭のカーボンニュートラルを後押しする観点から、省エネ家電や創エネ設備導入でポイント還元する事業を検討しています。また国交省もレジリエンス強化のための補助(災害時に強い住宅への助成)を拡大中で、蓄電池や太陽光は防災設備としても評価され補助対象になっています。総じて2026年時点、「太陽光+蓄電池」導入は政策面で追い風となっており、市場規模は拡大が見込まれます。ただし競合他社も増加・多様化するため、公的施策の情報を常にアップデートし、自社戦略に取り込むことが欠かせません。

従来モデルの限界:訪問販売中心からの脱却

上記のような市場環境の変化に対し、従来型の訪問販売(飛び込み営業)に頼った販売手法は限界を迎えつつあります。年商10~100億円規模の中堅販売施工店でも、これまでの成功パターンが通用しなくなっているケースが増えています。その主な要因を整理します。

  • 人材難と若手営業離れ: 少子高齢化と働き方改革の影響で、慢性的な人手不足が深刻です。特に若年層が「営業だけはやりたくない」傾向を強めており、厳しいノルマや歩合給文化への忌避感があります。「営業職が不人気である理由は若年層の価値観との乖離だ」と指摘されるように、かつて花形だった営業職の魅力が大きく低下しています。結果として新人の採用が困難になり、既存社員の高齢化モチベーション低下も課題となっています。令和世代の価値観では「成果のためにプライベートを犠牲にする」働き方は敬遠され、インセンティブだけでは人が動きづらいのが現状です。このままでは営業組織の維持自体が困難となり、持続的成長が望めません。
    (もちろん、この流れがメジャーとなりますが、逆張りで学生や20代中心の訪販メインで成功している会社も一部ありますし、現場で活躍されている訪販のトップセールスの皆様は類稀なスキルと情熱と営業習慣を持たれていてリスペクトに値します。とはいえ、業界の大きなトレンドとしては時代の流れにより訪販手法は縮小傾向となるでしょう。)

  • 訪販の非効率とコンプライアンス重視: 訪問販売は1件1件のアプローチに時間と労力がかかり、一人当たりの生産性が上がりにくい手法です。加えて昨今はコンプライアンス遵守が強く求められ、強引なトークや不適切なクロージングは厳禁です。国民生活センターへの苦情も多かった業界だけに、クリーンな営業手法への転換が求められています。また電話勧誘規制や訪販規制の法整備も進み、下手をすれば行政処分につながるリスクもあります。効率が悪い上にリスクも高い訪販モデルに固執することは、経営上の大きな不安要因となっています。

  • 信頼構築のハードル: 前述の通り、訪販は初対面の営業が突然家庭を訪れる形になるため、顧客との信頼関係ゼロのスタートです。しかも太陽光・蓄電池は決して安い買い物ではなく、初回訪問で数百万円の契約を即決いただくのは容易ではありません。高額商材ゆえに顧客も慎重になり、下調べや他社比較検討を行うのが当たり前です。訪販だけに頼っていると、ニーズの顕在化していない層に闇雲に当たる非効率さも相まって、成約率は年々低下傾向にあります。「昔は訪販でバンバン売れたのに最近は話も聞いてもらえない」という嘆きは、多くの販売店経営者の実感ではないでしょうか。

  • 若年顧客層へのリーチ困難: 現在太陽光・蓄電池を検討する顧客層30~50代が中心ですが、将来的には20代後半~30代デジタルネイティブ世代が主要顧客になってきます。この層は紙のチラシや飛び込み営業より、インターネットやSNSで情報収集する傾向が強く、訪販は世代的に響かない可能性があります。特に新築住宅を建てる若いファミリー層は、ハウスメーカー経由やWeb検索経由で太陽光情報にアクセスするため、訪販だけでは接点を持てず機会損失となりかねません。

以上のように、訪販モデルの収益性・持続性には大きな課題が生じています。2026年に向けて経営者は、抜本的に営業モデルを再構築しなければなりません。その答えの一つが「アライアンス型モデルへの移行」です。

アライアンス戦略へのシフト:協業と販路多角化

アライアンス戦略とは、自社単独ではなく他業種・他チャネルとの提携により顧客接点を広げ、効率よく販売機会を創出する戦略です。訪販が難しくなる中、以下のような協業モデルに活路を見出す販売施工店が増えています。

エネがえる運営チームではアライアンス戦略のご相談やパートナー紹介、新規顧客獲得スキームの相談なども受け付けております。当社よりもアライアンス戦略の支援が得意なパートナー企業にもお繋ぎします。お気軽にご相談ください。

  • 住宅業界との提携: ハウスメーカー、ビルダー、工務店、不動産会社など住宅業界とのアライアンスは極めて有効です。新築やリフォームのタイミングで太陽光・蓄電池をセット提案できれば、ゼロから顧客を開拓するより格段に成約率が高まります。実際、既に多くの住宅会社がZEH対応で太陽光を標準採用し始めており、その施工やアフターサービスを請け負う協力店となることで安定した案件供給が期待できます。また不動産仲介会社との提携で、中古住宅購入時に太陽光を追加提案するといったスキームも考えられます。こうした住宅周辺産業との相互紹介体制を築くことは、訪販に代わる大きな集客源となるでしょう。ポイントは自社にない顧客基盤を持つ企業とWIN-WINの関係を作ることです(例:住宅会社は付加価値提案ができ、販売店は顧客を紹介してもらえる)。

  • 異業種パートナーとの協業: 電力・ガス会社、家電量販店、車のディーラー、セキュリティ会社など、太陽光・蓄電池と親和性のある異業種とも積極的に組むべきです。例えば大手ガス会社が蓄電池セット販売を始めたり、EV販売店が自宅充電設備として太陽光を薦めるケースも出てきています。お互いの商材を組み合わせて提案することで、新たなマーケットを開拓できます。とりわけVPP時代においては、エネルギー事業者(新電力や地域電力)との連携が重要です。販売施工店が顧客に蓄電池を普及させ、エネルギー事業者がそれらを制御して需給調整に使う、といったプラットフォーム連携も現実味を帯びています。既にエネがえるの顧客企業でもある東邦ガスなどは蓄電池の遠隔制御で提携企業を募っており、販売会社にとっても新たな収益分配モデルが生まれる可能性があります。他にも自治体と組んで地域住民向けの太陽光共同購入事業に参画する例(参加者を募り一括受注)も各地で始まっています。異業種連携により、自社だけでは届かない顧客層・商流にアクセスできるのが強みです。

  • 相互送客・紹介ネットワーク: 業界内でも地域が被らない同業他社や、オール電化やエコキュート販売店など商材が補完関係にある業者と紹介し合うネットワーク構築も有効です。お互いの強み分野の案件を融通し合うことで、顧客満足度を高めつつ成約率を伸ばせます。例えば太陽光専門店と蓄電池専門店が提携しクロスセルを行ったり、訪販が得意な会社とWeb集客が得意な会社が案件を融通するケースなどがあります。こうした緩やかなアライアンスも含め、単独で抱え込まず業界エコシステムの中で役割分担していく発想が重要です。

  • 共同キャンペーン・ブランドコラボ: パートナー企業と共同で説明会やキャンペーンを開催するのも効果的です。地元銀行とタイアップして住宅ローン客向けに太陽光セミナーを開いたり、自治体イベントで共同ブースを出すなど、一社では集められない集客力を引き出せます。またブランド力のある企業とのコラボレーションは信頼補完にもなります。例えば大手電機メーカーや有名な環境団体との協賛イベント等は、自社への信頼・好感度アップにつながります。「業界の常識に囚われず、外部資源を最大限活用する」姿勢が、これからの販売施工店経営者には求められます。

以上のように、訪販の効率低下を逆手に取ったアライアンス戦略は、2026年の重要テーマです。他社との提携によって営業コストを下げつつ質の高い見込み客を得ることが可能になり、従来型モデルとの差別化が図れます。経営者は自社の強み・弱みを見極め、足りない部分をパートナーで補完し合う発想でビジネスエコシステムを再構築していく必要があります。

デジタル時代のマーケティング戦略:自社メディアと新チャネル活用

訪販から脱却する一方で、自社で能動的に集客する仕組み作りも不可欠です。そこで鍵を握るのがデジタルマーケティングや新しいメディアチャネルの活用です。Webサイト・SNS・動画・リアルイベントなど、多角的なマーケティング戦略で見込み客の母集団を拡大し、効率よく案件化していきましょう。

1. Web集客とSEOコンテンツマーケティング

専用の集客用Webサイトを構築し、SEO対策やWeb広告で見込み客を獲得する手法です。訪問販売からの転換期にある企業ほど、自社ホームページやオウンドメディアの充実に力を入れ始めています。Webからの問い合わせ客は事前に情報収集しているため成約率が高い傾向があります。例えば太陽光・蓄電池の基礎知識やエネがえるを使って経済効果シミュレーションを各地域毎に執筆したメリットを分かりやすく解説したブログ記事、導入事例の紹介、シミュレーション体験ページなどコンテンツを充実させることで、検索エンジン経由でターゲット層の流入を狙えます。実際、ニッチなキーワードで上位表示を独占し月間数万PVを獲得、100件以上の問い合わせ創出に成功した企業もあります(例:「太陽光発電 メリット」「蓄電池 後悔」等で上位表示)。

現にエネがえるのブログ記事では、地域毎の経済効果シミュレーション結果をまとめたブログ記事などを中心に年間約50万前後のセッション数(アクティブユーザーで30-40万人)の訪問者を集めており、毎年120-200%増のペースで訪問者が増えています。一般家庭から企業までシミュレーション依頼・シミュレーション相談も多数あります。

エネがえる運営事務局には、Webマーケティングのエキスパートも複数名在籍しています。Webマーケティングやブログ記事執筆のご相談もエネがえる運営事務局までお気軽にご相談ください。

ポイントは専門知識を活かしつつユーザー目線で有益な情報を発信することです。Google検索で競合他社よりも詳しく信頼できる情報を提供できれば、見込み客との信頼関係づくりをオンライン上で先行して行えます。またお問い合わせフォームや資料請求フォームを設置し、**リード情報(見込み客情報)を蓄積すれば、メールマガジンで定期フォローしたり、セールス電話につなげることもできます。Webマーケティングの効果は即効性は低いものの、中長期的には大きな資産となります。検索上位の記事や公開動画は「人に依存せずに自動的に継続集客する資産」となり、新たな見込み客を継続的に獲得する役割を果たします。

2026年時点でまだWeb集客に本腰を入れていない同業他社が多いなら、逆に今がチャンスです。コンテンツマーケティング先行者優位を築き、「○○(地域名) 太陽光」などの検索で自社サイトが上位に来る状態を目指しましょう。

  • SEO強化のポイント: ターゲットが検索しそうなキーワードを洗い出し、記事タイトルや見出しに織り交ぜます(例:「2026年 太陽光補助金 最新情報」「蓄電池 効果 シミュレーション」など具体的なフレーズ)。タイトルは重要キーワードを先頭に配置し、説明文(ディスクリプション)にも主要キーワードを自然に含めます。また検索ユーザーの疑問に答えるQ&A形式の記事や、自治体補助金まとめなど実用的情報も人気を集めます。コンテンツを充実させつつ、ページ表示速度やモバイル対応など技術的SEOも整えることで、Googleからの評価を高められます。

  • リスティング広告・SNS広告: SEOだけでなく、有料の検索連動広告(Google広告)やSNS広告も適切に使えば即効性のある集客が可能です。例えば「太陽光 発電 シミュレーション 無料」等の検索キーワードに対しリスティング広告を出せば、興味のあるユーザーを逃さず取り込めます。またFacebookやInstagramなどで住宅ローン世代を絞り込んだ広告配信、あるいは地域限定のバナー広告を展開するのも有効でしょう。広告費用対効果(ROI)を分析しつつ、Web集客と併用することで安定したリード獲得チャネルを構築できます。

2. SNSと動画(YouTube・TikTokなど)の活用

SNSマーケティングは、ブランディングと顧客教育の両面で威力を発揮します。中でも注目すべきはYouTubeです。YouTubeは今やGoogleに次ぐ世界第2位の検索エンジンであり、関連キーワードで動画が上位表示されればオーガニック流入を獲得できます。また太陽光・蓄電池のように技術的に複雑で高額な商材の場合、テキストより動画のほうが分かりやすく伝えられる利点があります。

YouTube戦略が重要な理由:

  1. 商品・技術の分かりやすい説明: 太陽光や蓄電池は仕組みが難解ですが、動画で図解したり実物を映すことで直感的に理解してもらえます(例:発電の仕組み、設置後のイメージ、経済効果シミュレーションの結果などを画面で示す)。文字では伝わりにくい内容も視覚情報で補完できます。

  2. 高額商材ゆえの信頼構築: 数百万円規模の設備投資になるため、顧客は豊富な情報を求めます。専門知識を持つスタッフが出演して解説する動画は、会社の専門性と信頼性を示す絶好の場です。「この会社は詳しくて信頼できそうだ」と感じてもらえれば、問い合わせや契約にぐっと近づきます。

  3. 動画資産の継続効果: 一度公開したYouTube動画は半永久的に視聴され続けます。特に基本的な解説動画や成功事例インタビューは長期的に再生される資産となり、新たな見込み客を定期的に呼び込む営業マンのような役割を果たします。

  4. 検索流入(SEO効果): 前述の通りYouTube動画はGoogle検索にも露出します。適切にタイトル・説明文を最適化した動画は、「太陽光発電 メリット」「蓄電池 必要性」等の検索結果で上位に表示される可能性があります。つまり動画自体がSEOコンテンツとして機能し、オーガニックに見込み客を集めてくれるのです。

以上の理由から、2025年時点でも多くの販売店がYouTubeに注目し始めています。では具体的にどんな動画コンテンツが有効でしょうか:

  • 教育型コンテンツ: 太陽光・蓄電池の基本仕組み、投資回収計算の方法、よくある誤解の解消(例:「雪国でも太陽光発電はできる?」)など、視聴者の学びにつながる動画は定番かつ人気です。専門用語を噛み砕き、「5分でわかる○○」といった形式にすると再生されやすくなります。

  • 製品比較・選び方: 複数メーカーのパネルや蓄電池を公平に比較し、性能と価格のバランスや選定ポイントを紹介する動画も信頼度が高まります。ユーザーが知りたい「どのメーカーが良いの?」という疑問に答える内容です。

  • 導入事例・お客様の声: 実際に導入した家庭のビフォーアフターや、電気代が月々どう下がったか等の具体例は非常に説得力があります。可能なら顧客インタビュー形式で生の声を伝えると効果大です。

  • 最新情報発信: 補助金制度の変更解説、新製品紹介、業界ニュース解説などの動画は「このチャンネルをフォローしておけば最新情報がわかる」とファン獲得につながります。

動画制作にあたっては、タイトルとサムネイルが命です。タイトルには重要キーワードを入れつつ、数字や質問形で興味を引きます(例:「2025年最新!太陽光発電の補助金を最大60万円もらう方法」)。サムネイルは高解像度の画像に短いキャッチコピーを大きく載せ、表情の分かる人物や具体的な数値を入れるとクリック率が上がります。せっかく良い内容でもクリックされなければ届かないので、ここはデザインのプロの力を借りても良いでしょう。

またTikTokやInstagramのリールなど短尺動画も、主に認知度向上や若年層へのアプローチに有効です。例えば「30秒でわかる太陽光の豆知識」シリーズや、施工現場のタイムラプス動画、社内の日常をユーモラスに紹介する動画などはバズる可能性があります。TikTokはエンタメ性が重視されますが、ブランド親しみ形成にはプラスです。若手社員に任せて発信内容に遊び心を持たせるのも良いでしょう。ただしTikTokフォロワー=即契約者とはならないため、中長期的に見込み客との接点を増やす施策と位置付けます。

3. リアルイベント&オフライン販促の再構築

デジタル全盛とはいえ、リアルな対面接点の価値も健在です。ただし従来の飛び込みではなく、効率の良いリアル集客にシフトすることが大切です。

  • 住宅・エネルギー関連イベントへの出展: 地域の住宅展示場イベント、リフォームフェア、エコプロダクツ展など、ターゲット層が集まりそうな展示会への出展は質の高いリード獲得につながります。展示会来場者はテーマに興味を持って訪れているため、脱炭素・再エネ系の展示会でブースを構えれば高確度な見込み客と出会えます。実際、成功企業は展示会で効率よくリードを獲得し、その場でアンケートや仮見積もりを取ってフォローにつなげています。自社主催でなく既存イベントに乗る形なので集客コストも抑えられます。年間のイベント出展計画を立て、主要な見本市は押さえておくと良いでしょう。

  • ショッピングモールやホームセンターでの催事: 地域のショッピングセンターや家電店の一角を借りて相談会・実演会を開く手法もあります。週末に蓄電池実物やパネル模型を展示し、「電気代無料診断します!」といった呼び込みで足を止めてもらいます。訪販と違い、顧客から近づいてきてもらう形なので心理的ハードルが低く、こちらも質の高い見込みにつながります。特にシニア層には折込チラシや地域情報誌で告知しておくと効果的です。最近はコロナ禍も落ち着きリアル催事が復活傾向にあるため、地域密着の催事マーケティングは再注目されています。

  • チラシ・DMの工夫: オフライン集客として昔ながらの新聞折込チラシやポスティング、DM(ダイレクトメール)もターゲット次第では有効です。ただし闇雲に撒くのではなく、反応率をデータ分析してPDCAを回す現代的手法が必要です。例えば反応の良いエリア(持ち家率が高い新興住宅地など)に絞り、チラシのメッセージも「○○市の皆様へ、補助金を使っておトクに蓄電池!」といったパーソナライズを行います。さらにQRコードでWeb誘導しデジタル計測するなど、オンラインとオフラインの融合を図ることで効果を最大化できます。また過去問い合わせのあった見込み客に季節ごとにDMを送りフォローアップするなど、一度接点を持った相手へのナーチャリング施策も重要です。

  • テレビCM・交通広告: 広告予算に余裕があれば、地域のテレビCMやラジオ、電車内広告などマスメディアも検討余地があります。昨今はテレビCMも運用型CMといって、エリアや時間帯を細かく指定して放映し効果測定する手法が登場しています。例えば特定県内の夕方ニュース枠だけ放映し、その直後のWeb検索流入を分析するといった具合です。TVCMはブランド信頼醸成には強力ですので、地域一番店としての地位確立には有効でしょう。ただ費用対効果の見極めが難しい面もあるため、小規模企業よりは年商規模が大きい企業向きの戦略です。

以上のように、オフラインもデジタルも統合したハイブリッドなマーケティング戦略が2026年以降は求められます。大切なのは、どのチャネルでも一貫したメッセージと顧客データの統合管理を行うことです。オンラインで接点を持った顧客がイベント来場したらCRMで履歴を紐付ける、チラシQRからアクセスした人にはWeb上でリターゲティング広告を出す等、カスタマージャーニー全体を設計しましょう。デジタル時代だからこそ、人海戦術でなくデータと創意工夫に基づく営業効率化がカギとなります。

独自価値の提供:高精度シミュレーションと経済効果保証

多数の競合がひしめく市場で選ばれるためには、「この会社から買いたい」と思わせる独自の価値提供が必要です。その中核となるのが、経済効果の見える化と保証による安心感の提供です。

経済効果シミュレーションの高度化

太陽光・蓄電池は長期にわたる投資商品です。導入によって何年で元が取れ、累計いくらお得になるのか――これを定量的かつ分かりやすく示すシミュレーションは営業提案の肝と言えます。従来も簡易なシミュレーションは行われてきましたが、近年は電力料金プランの複雑化や蓄電池製品の多様化など計算すべき要素が格段に増え、エクセル手計算では追いつかなくなっています。そこで、多くの販売店が活用しているのが「エネがえる」に代表される高度な経済効果シミュレーションツールです。

高精度シミュレーションのメリット:

  • 顧客ごとの電力使用データや地域の日射量データ、電力会社のプラン情報、電気代上昇率まで織り込み、実態に即した削減額・実質お得額・持ち出し有無や支払いシミュレーションを提示できる。

  • 太陽光発電量だけでなく蓄電池の充放電による時間帯別の推計結果まで数値化し、高精度かつ総合的なメリットを見せられる。

  • シミュレーション結果レポートをその場でプリントアウトしたり、PDFで提供することで、顧客が家族と検討する際の資料になる(家族合意の助けになる)。

  • 営業担当者による計算ミスや恣意的な数字操作を防ぎ、客観的データに基づく提案となるため信頼度が増す。

特に昨今は「業者が都合よくシミュレーションしているのでは?」という顧客不信もあり、官公庁自治体や大手メーカーや電力会社も多数導入する業界標準のエネがるのような第三者検証されたロジックで算出された数値を見せることが重要です。実際、営業現場の声として「シミュレーション結果や計算方法に不安を感じていた」という営業マンが83.0%に上り、精度の高いシミュレーションツール導入で「顧客への説明に自信が持てる」と回答しています。シミュレーション精度向上は営業担当者の提案力強化にも直結します。

経済効果シミュレーション保証による安心感

さらに先進的な取り組みとして、シミュレーション結果を保証するサービスが登場しています。これは、シミュレーションで提示した発電量や電気代削減額などの一定指標について、万一実績が下回った場合に差額を保証(補填)するものです。国際航業株式会社と日本リビング保証株式会社が提携して2024年に国内初のサービスを開始し、販売店向けに提供されています。

なぜ保証まで付けるのか――背景には顧客の不安解消があります。調査では67.3%の家庭が「シミュレーション結果が保証されるならその会社に頼みたい」と回答し、懸念する家族の同意も得やすくなるとの結果が出ています。保証があれば「言うだけで責任取らない業者ではない」と分かり、契約への後押し材料になるのです。一方、営業側のメリットも大きく、営業担当者の85.9%が「保証があれば成約率が高まる」と感じています。保証が付くことで提案に説得力が増し、強引な売り込みをしなくてもお客様が前向きになってくれる効果があります。

具体的な保証内容はオプション設定ですが、例えば「シミュレーション発電量の80%を下回った場合に差額を補填」といったものです。保証契約には当然コストが伴いますが、営業担当者の81.1%は「会社負担でも保証を付けたい」と前向きです。それだけ営業現場で切実に求められている安心材料と言えます。

販売施工店がこの保証サービスを導入すれば、圧倒的な差別化要因になります。他社には真似できない安心感を武器にできるため、価格競争に陥らずに済む利点もあります。実際、「経済効果シミュレーション保証」を営業戦略に取り入れることで、営業力が属人的な技能に頼らず組織全体で底上げできるとの分析もあります。保証があることで新人でも自信を持って提案でき、ベテランだけに頼らない営業プロセスの標準化につながるのです。

今後、太陽光・蓄電池業界全体でこのようなパフォーマンス保証の動きが広がる可能性があります。メーカー保証(機器性能保証)に加えて経済効果保証まで付けば、顧客にとってこれ以上ない安心材料です。経営者としては、いち早くこうしたサービスを取り入れ、「シミュレーション結果を保証できるこの地域で唯一の販売店」というブランドイメージを築くことができれば、地域市場で独走状態を作り出せるでしょう。

付加サービスと顧客ロイヤルティ

独自価値提供としては他にも、アフターサービスや付帯サービスの充実も重要です。例えば蓄電池の10年保証延長サービス、定期点検無料、24時間見守り監視システム、電力会社との代理交渉(余剰電力買取交渉やVPP参加手続き)などをセットにすることで、単なる「モノ売り」ではない総合エネルギーサービス企業として差別化できます。顧客との長期契約(サービス収入)が生まれれば、自社の収益も平準化し安定します。経済効果シミュレーションで契約を取った後も、蓄電池のソフトウェアアップデートや電気料金プラン診断などで継続フォローし、顧客との長期関係(LTVの最大化)を図る視点が大事です。

要するに、2026年の顧客は製品スペックや価格だけでなく、トータルで信頼できるか・メリットをコミットしてくれるかを重視します。高精度なシミュレーションとその結果の保証という取り組みは、その期待に応える切り札と言えます。世界最高水準の知見・技術を駆使し、ぜひ他社には真似できない独自の価値提案を磨いてください。

組織と営業プロセスの改革:人材戦略とデジタル活用

戦略を描くだけでなく、実行できる組織づくりも不可欠です。若手人材の戦力化営業プロセスの標準化によって、時代に適合した強い営業組織を作り上げましょう。

  • 若手人材の育成・定着: 前述のように若手の営業離れが課題ですが、逆に言えば若手が働きやすい環境を整えた会社が人材競争に勝つ時代です。ホワイト企業化を推進し、無理なノルマや長時間労働から脱却することが人材確保の前提となります。基本給+インセンティブの給与体系見直しや、有給取得奨励、リモート提案ツールの導入などで待遇・働き方の柔軟性を高めましょう。またメンター制度で新人をサポートしたり、社内表彰制度でやりがいを提供するのも有効です。さらにデジタルネイティブ世代はITツールに抵抗がないので、シミュレーションツールやCRMをフル活用することで入社後短期間で即戦力化できます。事実、ある企業ではエネがえるを新人に使わせたところ新人でも成約率30%、若手トップは60%を達成したという事例もあります。「若手でも成果を出せる仕組み」がある会社は自然と人も集まり、定着率も向上する好循環を生みます。

  • 営業プロセスの標準化とデジタル化: ベテラン個人のカリスマに依存しない組織にするには、提案ツールと営業フローの標準化が鍵です。前述のシミュレーションツールや電子カタログ、提案書テンプレートを整備し、誰が提案しても一定水準以上の提案クオリティを担保できるようにします。あわせてCRMシステムを導入して顧客情報・商談状況を一元管理し、属人的な抜け漏れを防ぎます。これにより「○○さんじゃないと契約が取れない」という状態から脱却し、組織として安定した営業力を発揮できます。またオンライン商談や電子契約などDXも進め、契約までのリードタイム短縮やコスト削減も図りましょう。ある全国1位の販売店では、シミュレーション計算方法を統一しオーバートークを防ぐことで月1000件の商談を捌き成約率60%を達成しています。データに基づく客観的提案と効率管理で勝負する時代です。

  • 顧客起点の組織文化: 経営者自身が**「顧客起点で中長期的視点に立った経営」**へ意識改革することも重要です。目先の利益より顧客満足度を優先する姿勢が、結局はリピートや紹介増につながります。営業KPIも売上額だけでなく、お客様満足度(NPS)や提案速度・レスポンスの速さなども評価軸に入れ、数字に見えない価値を重視しましょう。クレーム情報の全社共有や即対応の仕組みを作る、施工品質向上のためのPDCAを回すなど、営業・施工・カスタマーサクセスが一体となって顧客価値を追求する文化を根付かせます。それが結果的に他社との圧倒的な差別化につながります。

  • 学習する組織: 技術革新や政策変化が激しい業界ですから、常にインプットと学び直しが必要です。社内勉強会や資格取得奨励、メーカー研修への参加などを制度化し、社員が最新知識をアップデートできる環境を提供しましょう。特にZEHやVPPなど新領域に関しては、eラーニングや社外セミナー受講を推進し、組織として知見を蓄えることが大切です。学んだことを社内Wikiで共有する文化があるとベストです。「世界最高水準の知見を駆使する」ことを掲げ、全員が専門家集団として誇りを持てる組織を目指してください。

2026年に向けたアクションプランまとめ

最後に、上記の内容を踏まえ経営者が取るべき具体的アクションを整理します。

  1. 市場環境のモニタリング: 電力料金や金利、補助金制度、政策動向(省エネ法改正や自治体動向)を定期的にチェックし、自社戦略に反映させる。2025~2026年にかけてはFIT初期投資支援スキームやVPP市場など重要トピックが多いため、社内に情報収集担当を置く。

  2. 訪販比率のKPI設定: 全売上に占める訪問販売経由の割合をモニタし、計画的に非訪販チャネルの比率を増やす。例えば2024年50%→2026年20%といった目標を定め、アライアンス経由やWeb経由の受注を倍増させる。

  3. アライアンス先リストアップと交渉: 潜在的な提携先企業をリスト化し、トップ同士の人的ネットワークを活用してアプローチする。住宅関連、エネルギー関連などジャンルごとに戦略的パートナーを数社ずつ確保する。紹介インセンティブ制度(紹介1件成約ごとに○万円等)も整備し提携を具体化する。

  4. マーケティング投資: Webサイト刷新、SEOコンテンツ制作、人員採用(デジタルマーケ担当)、シミュレーションツール契約、CRM導入など、必要な投資を惜しまない。中長期的視点で見ればマーケ投資は必ず回収できると捉え、2025年の利益は積極的にマーケ強化に充当する。

  5. 経済効果シミュレーション体制の構築: 全営業担当にシミュレーションツールを使わせ、提案書に必ず経済効果数値を入れるよう徹底する。営業研修では投資回収計算や電力プラン知識を叩き込み、全員がファイナンシャルプランナーのように説明できるレベルを目指す。また可能ならシミュレーション結果保証サービスを導入し、営業トークや提案資料に「結果を保証します!」と明記して差別化する。

  6. 組織改革プログラム: 人事制度と評価制度を見直し、若手登用や働きやすさ改革を断行する。2025年中にノルマ制や長時間残業文化を是正し、新しい営業スタイルへの転換を社員に宣言する。加えて、DX推進計画を立て営業~施工~アフターサービスまでプロセスを見える化・効率化する。具体的には、営業はオンライン商談併用とし、現調・設計はドローンや写真でリモート化、契約は電子署名、工事進捗は施主と共有、アフターはIoT監視など、デジタルで省力化できるところは全て実施する。

  7. 収益モデルの多角化: 機器販売益だけに頼らず、サービス収入や紹介手数料収入など収益源を増やす。例えばVPP参加によるキックバック収入、蓄電池の遠隔監視サービス月額料、OB客からの紹介制度(紹介1件につき商品券進呈→営業費用と捉える)等を設計し、一件売って終わりにしないビジネスへ転換する。

  8. ビジョンの再定義と発信: 社員やステークホルダーに向け、2030年に向けた自社ビジョンを再定義・宣言する。「○○県でカーボンニュートラル住宅1万棟実現に貢献する」等の高い目標を掲げ、単なる販売店を超えて地域のエネルギーインフラ企業になるんだという気概を示す。これをホームページやプレスリリースで発信し、社会的な支持と共感を得る。社員の士気向上にもつながる。

以上のアクションを着実に実行すれば、2025年の建築物省エネ法改正や2026年の低圧VPP本格化といった大きな環境変化もビジネスチャンスに変えられるでしょう。新たな市場ニーズに応える製品・サービスを開発し、効率的な営業・施工体制を構築し、顧客との長期関係を築くことで、様々な側面で競争優位を確立できます。

まとめ:未来への展望と貴社が勝ち残るために

2026年の住宅用太陽光・蓄電池販売施工ビジネスは、大きな変革とチャンスの年です。エネルギー価格高騰や政策後押しで市場は拡大し続けますが、その戦い方は従来と大きく異なります。顧客本位で信頼を勝ち取る戦略を掲げる企業だけが、選ばれ続けることでしょう。

本稿で述べたポイントを振り返ります。

  • 市場環境: 電気代高騰で自家消費メリットが増大し、FIT制度も初期収入重視に変化。政策は新築住宅への太陽光義務化や省エネ基準義務化を進め、蓄電池のVPP参入で新収益機会が生まれる。追い風の中にも競争激化の兆候あり。

  • 訪販モデルの転換: 特殊詐欺増加で訪問勧誘への警戒が強まり、若手の営業離れで人材難。非効率・ハイリスクな飛び込み営業から脱却し、アライアンスやイベント・Webで効率的に質の高いリード獲得へシフトを。

  • アライアンス戦略: ハウスメーカーや異業種と提携し、WIN-WINの相互送客モデルを確立。顧客接点を広げ訪販の穴を埋める。共同キャンペーンや自治体事業への参画などオープンイノベーションを推進。

  • デジタルマーケティング: 自社メディア強化と動画/SNS活用で見込み客の信頼獲得。SEOで検索上位を狙い、YouTubeで分かりやすさと専門性をアピール。展示会出展やセミナー開催などリアルも組み合わせ、オンラインとオフラインの統合戦略を展開。

  • 独自価値提供: 高精度シミュレーションで経済メリットを見える化し、必要なら結果を保証して不安を解消。顧客が安心して任せられる存在となり、他社との差別化を図る。アフターサービスやサービス収入モデルも構築し、長期顧客化を促進。

  • 組織改革: 若手が育ちやすい環境を整え、属人化しない標準化された営業プロセスを確立。デジタルツールを駆使して誰でも一定の成果を出せる仕組みを作り、人材確保と生産性向上を両立する。

これらを実践することは容易ではありません。しかし「世界最高水準の知見×クリエイティビティ」で戦略を描き、それを愚直に実行することで、必ずや道は開けます。業界の常識にとらわれず、顧客の潜在的なモヤモヤに寄り添い解決策を提示できる企業こそが、2026年以降のマーケットリーダーとなるでしょう。

幸い、再生可能エネルギーを取り巻く社会的追い風は強く、事業機会は拡大の一途です。貴社が地域でダントツ1位の座を獲得し、持続可能な成長を遂げることを祈念して、本稿の結びといたします。変革を恐れず、しかしおごらず、顧客と社会に真摯に向き合う経営で、ぜひ2026年を飛躍の年になさってください。


ファクトチェック・出典まとめ

本記事では信頼性確保のため各種データや事実に基づき記述を行いました。その主な出典を以下にまとめます。

  • FIT制度変更: 2025年10月以降の住宅用FITは初4年間24円/kWh、5年目以降8.3円/kWhの二段階方式。従来の10年間固定買取と比べ大きく構造転換。

  • 電気料金上昇: 2023年、大手電力の家庭向け規制料金が14~42%値上げ承認。政府支援含めてもなお負担増となり、家庭電気料金単価は30~40円/kWhの水準に。

  • 省エネ法改正: 2025年4月より全新築住宅に省エネ基準適合義務化・性能表示義務化。東京都では同時期に大手住宅の新築へ太陽光パネル設置義務化制度開始。

  • VPP本格化: 2026年度から低圧(家庭向け)蓄電池のVPPが需給調整市場に参加可能となり、電力各社が住宅蓄電池リソース確保に動いている。

  • 詐欺相談増加: 太陽光点検詐欺の相談件数は2017年度57件→2024年度613件と10倍超に急増。消費者の警戒心高まりを示すデータ。

  • 営業職人気低下: 営業職不人気の背景は**「若年層の価値観との乖離」**にあり、かつての花形から大きく魅力低下。若手人材の営業離れが顕著。

  • 展示会&Web集客効果: 業界成功企業は展示会出展専用Webサイトからの反響で高質なリードを効率獲得している。

  • YouTube活用理由: 太陽光・蓄電池販促において動画は商品複雑性への対応高額商材ゆえの信頼構築資産的な長期集客検索上位露出という4点で重要。

  • シミュレーション不安と保証効果: 家庭の75.4%がシミュレーション結果の信憑性に不安経験あり。しかし67.3%が結果保証があるなら発注したいと回答。営業側も85.9%が保証で成約率向上を見込む。

  • 組織的提案力向上: 客観データに基づく提案+シミュレーション結果保証の導入により、属人性を排し組織全体の営業力底上げと他社にない差別化が可能。

こうしたファクトを踏まえ執筆しており、記載内容の根拠は上記出典に示す通りです。読者の皆様にはぜひ参考情報も確認いただき、最新動向への理解を深めていただければ幸いです。

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著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

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