ガソリン代とEVの判断ガイド|2026年9月27日更新
全案件に共通する「正しい上昇率」はありません。まず現在の実支払単価を固定し、横ばいを含む複数の仮定で、結論が変わる条件を確かめます。高い上昇率を入れてEVを有利に見せる必要はありません。
説明しやすい前提の置き方
初回の比較はガソリンも電気も年変化率0%で計算すると、走行距離・燃費・充電条件の差が見えます。0%は将来予測でも、公的な推奨値でもありません。比較の出発点です。そのうえでガソリン下落、電気上昇、走行距離減少など、不利な条件を試します。
| 仮定の年変化率 | 5年後 | 10年後 | 24年後(2026→2050) |
|---|---|---|---|
| -2% | 153.7円/L | 138.9円/L | 104.7円/L |
| +0% | 170.0円/L | 170.0円/L | 170.0円/L |
| +2% | 187.7円/L | 207.2円/L | 273.4円/L |
| +4% | 206.8円/L | 251.6円/L | 435.8円/L |
ガソリンだけ値上げすると、比較は偏る
EVの費用にも電気単価、会費、設備費、残価が効きます。ガソリンを年4%上昇、電気を横ばいに固定した結果だけを示すと、EVの有利さを強く見せることがあります。ガソリン下落・電気上昇の組合せも同じ紙面で確認しましょう。
| 比較ケース | ガソリン年変化率 | 電気年変化率 | 確かめること |
|---|---|---|---|
| 横ばい | 0% | 0% | 現状条件だけで差が出るか |
| EVに不利な例 | −2% | +2% | 燃料差が縮んでも初期差額を埋めるか |
| EVに有利な例 | +2% | 0% | 有利な仮定だけで採否を決めていないか |
年率と、何年目かをそろえる
年末の将来単価P(n)=P0×(1+g)^n。初年度にP0を使うN年間の燃料費は、年間給油量×P0×Σ(1+g)^t(t=0〜N−1)です。5年後の単価と、5年間の支出合計は別の数字です。
過去の年平均成長率CAGR=(終了価格÷開始価格)^(1/年数)−1も計算できますが、開始年の安値や終了年の高値に影響されます。税制・支援が変わった期間のCAGRを、そのまま30年間続く予測として使わないでください。
2026年の試算では、廃止前の税率を足し直さない
国税庁の案内では、揮発油税等の特例税率は2025年12月31日に廃止されています。廃止を将来の予定として扱う説明は更新が必要です。
読者が入力するのは、実際に払う税込ガソリン単価です。既に店頭価格へ反映された税制変更や支援を、そこからさらに差し引かないでください。税率変更と店頭価格の変化は、原油・為替・在庫・流通などの影響が重なるため、同じ額・同じ日に動くとは限りません。
提案書にそのまま使える前提文
燃料単価は給油実績、電気単価は充電時の実効単価を使用。価格変化率は予測ではなく比較用の仮定とし、横ばい・EVに不利・EVに有利な条件を併記。補助金、残価、充電設備費は別途確認した条件を使用しています。
長期条件の違いは2050年までの単価シナリオの読み方、導入費との関係はEV・充電器の費用回収の考え方で確認できます。
上昇率を決める前に、比較基準を1枚に残す
過去の上昇率を求めるには、同じ地域・同じ油種・同じ頻度の系列が必要です。全国の週次価格と、ある店舗の会員価格をつないで年率を出しても、何の変化を測ったか分からなくなります。
| 記録する項目 | 記入例の形式 | 確認する理由 |
|---|---|---|
| 価格系列 | 全国レギュラー・税込・年平均 | 観測対象をそろえる |
| 開始と終了 | 開始年/終了年/期間年数 | 年数をデータ個数と混同しない |
| 制度変更 | 変更日と扱い | 一時的な段差を長期成長へ延長しない |
| 試算の初年度 | 基準単価を使う年度 | 1年目から二重に上昇させない |
| 電気の条件 | 時間帯・調整額・固定費 | 燃料だけに上昇を掛けない |
同じ平均上昇率でも、途中の資金負担は違う
例として100円から121円へ2年で変わる場合、年平均成長率は10%です。しかし100→110→121という経路だけでなく、100→140→121という経路もあります。始点と終点だけでは途中の支払額やピーク時の予算を説明できません。
保有期間の支出を比べるときは年別単価を使います。毎年の走行距離が変わる場合も同様です。初年度2万km、翌年から5,000kmになる車に、毎年2万kmとして削減額を積み上げると、価格上昇率より大きな誤差になることがあります。
価格・距離を分けた100条件で、結論の境界を探す
ダウンロードの「04-price-sensitivity-100.csv」は、ガソリンと電気の年変化率をそれぞれ−4%、−2%、0%、2%、4%、年間走行距離を5,000〜20,000kmの4条件に変えた10年間の試算です。これらは任意のストレス条件で、発生確率や予測区間ではありません。
まず0%同士の行を見て、次にガソリン−4%・電気+4%を確認します。最後に距離を下げます。燃料差がなお正でも、購入差額を回収するとは限りません。保有期間の費用差へ引き継いでください。
このテーマの追加FAQ
CAGRがマイナスなら将来も下落する?
過去の始点と終点から求めた年率は、将来の下落を保証しません。制度や為替が変われば価格形成も変わります。実績の説明と将来の仮定を別欄に残します。
年2%と毎年2円の上昇は同じ?
違います。年2%は価格に比例する複利、年2円は定額加算です。170円から10回変化するなら、前者は約207円、後者は190円です。
物価調整後の金額で比べたい場合は?
価格の上昇を含む名目額と、基準年の購買力にそろえた実質額を混在させません。割引率も同じ基準に合わせます。簡易計算では基準を明記し、複雑な投資判断は年別表で確認します。
平均燃費も毎年変える?
走行条件や車両変更で変わるなら、年別条件として扱います。将来価格だけを細かくしても、燃費・電費の実績が粗いと比較の精度は上がりません。
提案書には一つの結果だけ載せる?
基準・EVに不利・EVに有利の条件と、その入力値を併記すると判断しやすくなります。条件を変えても採否が同じか、どの条件で逆転するかを示します。
計算用データ・入力テンプレートを無料でダウンロード。実績データと仮定を区別して、相談や社内比較へ持ち込めます。
車両比較の前提をそろえて提案したい方へ
価格シナリオに加え、購入費・固定費・残価を比較する提案は、エネがえるEV TCOの対応範囲をご確認ください。
資料整理や試算作業を依頼する場合は、BPOの支援範囲へ。これらは事業者向けのサービス案内です。
出典と、このページの数字の扱い
- 資源エネルギー庁「石油製品価格調査・調査の結果」:価格確認用の一次資料。このページとは別の公式掲載PDFで9月14日169.9円/Lを確認。より新しい値の有無の網羅確認は未完了。全国平均と個別店舗、週次値と年平均値を区別します。
- 国税庁「揮発油税等の特例税率の廃止について」:2025年12月31日の特例税率廃止を確認。2026年9月27日参照。
- 計算例・境界単価・感度表:本記事に明記した仮定と式から独自計算。市場予測・メーカー保証値・製品の正式診断結果ではありません。






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