産業用 自家消費型太陽光・蓄電池の成約率アップに必要な施策は?成功事例から見えてきた8つの成功法則

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国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

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産業用 自家消費型太陽光・蓄電池の成約率アップに必要な施策は?成功事例から見えてきた8つの成功法則

産業用の自家消費型太陽光発電や蓄電池(非FIT・屋根上設置)をお客様に提案して成約に結びつけるには、どんな秘訣があるのでしょうか?

近年の成功事例や豊富な調査データから浮かび上がるのは、成約率を飛躍的に高める8つの法則です。

本記事では自己資本で設備を所有するモデルからオンサイトPPAモデルまでカバーし、日本国内の現状に即した具体策を解説します。業界の営業部長や営業企画担当者の皆様が「なるほど!」と膝を打つような洞察と、従来の常識に埋もれた課題をえぐり出す論点、そして解決のためのフレームワークを提示します。

提案活動においては、「投資回収できるかどうか」が企業にとって最大の懸念事項です(約7割が懸念)。さらに、多くの企業経営者は提示された経済効果シミュレーションに対し信憑性への不安を感じています。

事実、産業用太陽光・蓄電池を導入しなかった企業経営者の67.0%が提案時のシミュレーション結果の信頼性を疑った経験があり、その結果導入を見送ったケースも少なくありません。また、「シミュレーション通りに本当に効果が出るのか?」という疑念に対して十分な説明や保証がなければ、社内稟議や投資決裁も通りにくいのが現実です。こうした課題を乗り越えるには、提案プロセスそのものをアップデートし、お客様の不安を打ち消す科学的・戦略的な営業手法が求められます。

幸い、最新の調査結果や現場の成功事例には解決のヒントがあふれています。例えば、経済効果シミュレーションの巧拙が営業成績を大きく左右していることがデータで明らかになっています。また、提案資料作成や現地調査にかかる“見えない負担”を削減し営業を効率化するソリューションも登場しています。本記事では、それらを体系化して「成約率アップ8つの法則」としてまとめました。

では早速、その8つのポイントを順に見ていきましょう。各法則には実際の数値データや事例を交え、なぜそれが成約率向上につながるのかを解説します。最後には記事内で紹介した事実のファクトチェックサマリーも掲載していますので、安心して読み進めてください。


法則1.ROI瞬間見える化の法則 ~初期提案で具体的数値を即提示せよ~

営業初期段階でいかに素早く投資対効果(ROI)の「見える化」を行えるかが、成約への大きな分かれ道になります。導入検討企業の約7割が「検討初期から具体的な数値提示を求めている」との調査結果もあります。特に経営層は「ざっくりした概算でも良いから早く数字が知りたい」と思う一方、「ある程度正確な数値がないと社内の議題にすら上げづらい」(回答者の53.2%)という本音もあるのです。つまりスピード精度のバランスが重要だということです。

そこで有効なのが、簡便なシミュレーションツールを使った即時診断です。例えば国際航業が提供するクラウド型SaaS「エネがえるBiz」では、デマンドデータがない状態からでも工場や病院、オフィスなどの11業種40パターンの業種別ロードカーブテンプレート(もし該当する業種がなくても既存テンプレートをもとに独自カーブを定義可能)を用いて30秒ほどで仮想の需要電力データ(デマンド)を自動生成できます。これにより、お客様から詳細な電力データをまだ預かっていない商談初期でも、「年間〇kWh発電して電力コストが〇円下がります」「投資回収期間は約△年です」といった具体的なROIを即座に提示できるようになりました。

早い段階で数字を示すことで、お客様側も社内稟議のテーブルに載せやすくなります。実際、「概算レベルでも迅速な提案があると検討スピードが上がる」との声も多く、初回提案でのスピーディーな見える化は導入意欲を高めるカギとなっています。逆に言えば、提案の出だしで数字を出し惜しみしたり、提示までに時間をかけすぎたりすると、競合他社に先を越されてしまうリスクが高まります。

では「スピードを優先して荒い数字を出せば良いのか?」というとそうではありません。大切なのは迅速さと一定の精度確保の両立です。幸い、昨今のシミュレーション技術の進歩で「早く」「それなりに正確」な試算が可能になっています。例えば前述のエネがえるBizでは、最新の電力単価データや日射量データがクラウド経由で常に更新されているため、常に最新の前提条件に基づいた試算ができます。このように、ツールやデータを活用して迅速なROI見える化を実現すること——これが成約率アップの第一の法則です。

参考:わずか10分で見える化「投資対効果・投資回収期間の自動計算機能」提供開始 ~産業用自家消費型太陽光・産業用蓄電池の販売事業者向け「エネがえるBiz」の診断レポートをバージョンアップ~ | 国際航業株式会社 

参考:デマンドデータがなくてもシミュレーションできますか?業種別ロードカーブテンプレートはありますか? | エネがえるFAQ(よくあるご質問と答え) 

法則2.提案超速化の法則 ~提案サイクルを極限まで短縮し競合に差をつけろ~

提案プロセス全体スピードは、営業成績に直結します。見積もり・シミュレーションの作成から提案書仕上げまでに何週間も要していては、お客様の熱量も冷めてしまいがちです。調査によれば、営業目標を達成しているトップ営業は提案書作成にかける時間が圧倒的に短いことが分かっています。営業目標達成者の40.1%が「1件あたりの提案書作成時間が1時間未満」と回答したのに対し、未達成者で同様に答えたのは26.0%に留まりました。この差は、効率的なツール活用や社内プロセスの違いを物語っています。つまり「提案は速いほど勝率が上がる」というわけです。

では具体的にどれほどスピードアップが可能なのでしょうか。実際の成功事例を見ると、従来比で10倍以上の効率化を実現しているケースもあります。例えばとあるエネルギー会社では、旧来のシミュレーションソフトでは1件の計算に30分程度かかっていたものが、エネがえるBiz導入後は15分ほどで完了するようになりました。この結果、月あたりの提案件数が50件程度に増加し、しかも「ほぼ全ての提案が受注につながっている」といいます。提案数を増やしつつ成約率も維持できている驚異的な例です。

さらに劇的な効率化を遂げた例として、太陽光メーカー大手のエクソル社があります。同社は独自のExcelベースシミュレーションを使っていましたが、計算準備含め1件あたり2~3時間もかかり、案件が重なるとそれだけで1日が終わる状況でした。エネがえるAPIを導入した結果、1件の計算が5~10分程度で完了するようになり、作業効率が劇的に向上しています。2~3時間→数分への短縮はまさにゲームチェンジャーで、これによって「複数パターンの提案が可能になり顧客満足度が向上した」とも報告されています。

また、提案スピードが上がることで商談リードタイム(成約までの期間)も短縮できます。ある営業代行会社では、以前はメーカーにシミュレーション依頼を出して結果待ちに2週間以上を要していたものが、エネがえるBiz導入後は情報が揃い次第すぐ自社でシミュレーションできるようになりました。その結果、「提案書作成を含め1週間以内で対応可能になり、スピード感が大幅に向上した」といいます。複数容量パターンの再試算も即日対応でき、月50パターン以上もの提案シナリオを回せるようになりました。

スピードアップの効果はお客様にも伝わります。提案が早ければそれだけ「この会社は対応が迅速で信頼できる」という印象を与え、契約の後押しになります。実際、提案準備が半日に短縮されたことでお客様から「対応が早い」と好評だという声もあります。一方で、提案が遅いと競合他社に先に契約を決められてしまうリスクも…。提案サイクルを極限まで短縮することが、成約率アップの第二の法則です。

参考:エクソルが太陽光発電シミュレーションシステムに国際航業の「エネがえるAPI」を導入 〜 シミュレーション時間を大幅短縮し、より精度の高い自家消費太陽光発電の提案を実現 〜 | 国際航業株式会社 

参考:提案件数月50件に増加しほぼ受注につながっている エネがえるBiz導入事例 サンライフコーポレーション 

法則3.マルチシナリオ提案の法則 ~複数パターン比較でベストな選択肢を提示~

「提案は一種類だけ出せば十分」と思っていませんか?実は、複数のシナリオを用意して比較検討できる提案の方がお客様の満足度・納得感を高め、成約率向上につながることが分かっています。

単一パターンの提案ではお客様は他社提案や別プランを想像するしかなく、不安や疑問が残りがちです。そこで、太陽光パネル容量や蓄電池容量の異なるプラン、自己所有(キャッシュ/借入)導入とPPAモデルの比較など、マルチシナリオで提案することを強くお勧めします。

エクソル社がまさにこの戦略で成功を収めました。同社はエネがえるAPI導入によりシミュレーション時間を3時間から5分へ短縮したことで、お客様ごとに複数パターンの発電プランを提示できるようになりました。例えば「蓄電池あり/なし」「100kW規模/200kW規模」「自己資金導入/オンサイトPPA導入」等、条件を変えたケーススタディをスピーディに用意できます。

その結果、「複数パターン提案で顧客満足度向上」という明確な効果が得られています。お客様としては様々な選択肢を比較でき、自社にベストなプランを自ら選び取れるため納得感が段違いなのです。

また、オンサイトPPAモデルを扱うIBeeT社の事例も参考になります。同社はPPA契約において、従来シミュレーションに外部委託で2週間以上かかっていたところ、エネがえるBiz導入で容量変更など多数のケースを迅速に試算できる環境を整えました。月50パターン以上のシミュレーションを回し、倉庫や工場ごとに最適なプランを提案できる体制を築いています。これにより「屋根貸しPPA」と「自己所有による導入」のメリット比較や、蓄電池併設によるピークカット効果なども一緒に提示し、お客様が最もメリットを感じるプランで合意に至る確率を高めています。

ポイントは、お客様自身も気付いていないベストな選択肢を引き出すことです。時には「蓄電池も入れた方が停電対策になります」「PPAなら初期投資ゼロで電気料金だけの支払いなのでキャッシュフローが楽になります」といった提案側からの新たな示唆が契約の決め手になることもあります。一方で「やっぱり自己所有で減価償却資産にしたい」「補助金を活用できるなら初期投資してもいい」など、お客様ごとに事情は様々です。だからこそシナリオの幅を広げて提示することが重要なのです。もちろん、ただ闇雲に選択肢を増やすのではなく、ヒアリングで把握したニーズに沿った現実的な2~3案に絞るのがコツです。

複数シナリオ提示のもう一つの利点は、競合他社との差別化です。他社が一つのプランしか出していない中で、自社だけが複数の精緻なプランを比較表付きで提示すれば、専門性・誠実さのアピールにもなります。「あの会社はいろんな角度で検討してくれて信頼できる」と思ってもらえるでしょう。現に、ネクストエナジー社では複数ツールでバラバラだった試算結果をエネがえるAPIで統一・高精度化し、一貫したデータで比較提案できるよう改善しています。こうしたデータ統合と多角的提案で、お客様への説得力が格段に増すのです。

参考:産業用オンサイトPPAシミュレーションが月50パターン以上可能に エネがえるBiz導入事例 IBeeT 

参考:他社シミュレーターでは営業が使いこなせず蓄電池提案もできないためエネがえるBizに乗り換え エネがえるBiz導入事例 電巧社 

法則4.データ精度と透明性の法則 ~「嘘のない数字」で信頼を勝ち取る~

いくら迅速に多彩な提案をしても、その数字の信頼性が低ければお客様の心は動きません。成約率アップのためには、データの精度と透明性を確保することが不可欠です。お客様は提案されたシミュレーション結果について、「本当にこの通りの効果が出るのだろうか?」と慎重に見極めています。ここで少しでも不確実な印象を与えると、「シミュレーション通りにならなかったら損をするのでは?」という不安から契約に踏み切れなくなります。

実際、産業用太陽光・蓄電池営業担当者の88.8%が「提案時にシミュレーション精度に不安を感じたことがある」と答えています。また83.1%もの営業担当者が、お客様にシミュレーション結果の信憑性を疑われて失注したり、成約まで時間がかかった経験があるといいます。これは裏を返せば、「シミュレーションの信頼性」をいかに担保するかが成約スピードと率を左右する重大要因だということです。

では具体的にどう信頼性を高めるか。鍵は「実測値との誤差を限りなく小さくする」ことと、「その根拠をオープンに示す」ことです。前者については、高精度なシミュレーションエンジンの採用や入力データの正確さが重要になります。例えばエネがえるでは、過去の気象データや最新の電力料金プランが反映されており、経済効果予測の精度が飛躍的に向上しました。ある販売施工店のケースでは、エネがえる導入後に太陽光設置1年後の点検でシミュレーション結果と実発電・削減額の実績値がほぼ一致し、驚いたお客様から「本当にシミュレーション通りだった」と信頼を勝ち取ったそうです。このように一度実証されると、「あの会社の試算なら信用できる」という評判が広がり、紹介や追加受注にもつながります。

太陽光・蓄電池導入検討企業の懸念と保証ニーズ(国際航業調査)【2024】. 「経済効果シミュレーション結果を保証してくれるなら導入したい」という企業が約57%に達しているoaicite:29

さらに透明性も忘れてはなりません。シミュレーションの前提条件や計算根拠をできるだけ開示し、お客様が理解できるように説明することです。例えば、「電気料金単価は〇〇電力の高圧契約、基本料金◇円/kW・従量単価△円/kWhで計算しています」「日射量データはNEDO METPV20の直近9年平均値を使用しています」といった情報を添えるだけでも、お客様の安心感は違います。実際、ある販売会社ではエネがえるの出力レポートをそのまま提案資料として活用し、細部のデータまでオープンに見せたところ「ここまで詳細なデータを提示されたのは初めてだ。嘘がなく誠実な提案だ」と高く評価されたそうです。データに裏打ちされた透明性の高い提案が他社との差別化につながり、「この会社になら任せても大丈夫」という信頼感を醸成します。

まとめると、成約率アップには精度の高いシミュレーションとデータ透明性の担保が欠かせません。裏付けのある数字を提示し、その根拠も丁寧に説明することで、お客様の不安を一つ一つ解消していきましょう。営業現場でありがちな「勢い任せの楽観シナリオ提示」や「都合の悪い条件の非開示」は厳禁です。誠実な数字の提示こそが、長期的な信頼関係と成約率向上の礎になるのです。

参考:太陽光1年点検でシミュレーションと実績の誤差がほぼなく信頼度が向上 – 太陽光蓄電池シミュレーション エネがえる導入事例 樹 

参考:「エネがえるAPI」でシミュレーション結果のばらつきを解消、ネクストエナジーが導入 

法則5.リスクゼロ保証の法則 ~シミュレーション結果を「保証」して契約ハードルを下げる~

どんなに精緻なシミュレーションでも、「絶対この通りになります」と断言するのは難しいものです。そこで登場した新しい営業戦略が、シミュレーション結果の保証です。これは、提案した経済効果シミュレーションの数値と実際の効果に差異が出た場合、その差額を補填するなどしてお客様のリスクを無くすというもの。いわば営業側が結果にコミットする「リスクゼロ提案」です。

このアプローチが成約率に与えるインパクトは、調査データからも明らかです。産業用太陽光・蓄電池の営業担当者の84.2%が「シミュレーション結果が保証されるなら成約率は高まる」と期待しています。さらに78.5%が「保証があれば成約までの期間も短縮できる」と感じると回答しました。保証があることでお客様の決断スピードが速まり、商談の停滞要因が減ると見られているのです。

実際、お客様側のニーズも高まっています。国際航業の調査では、「シミュレーション結果の保証があればその販売施工店から購入したい」と考える企業経営者が57.0%にのぼりました。また「保証があれば社内稟議や投資決裁も通りやすくなる」と60.0%が回答しており、保証制度は単なる安心材料に留まらず社内承認プロセスを後押しする効果もあるようです。

保証すると営業側のリスクが高いのでは?と思われるかもしれません。しかし、それをビジネスチャンスに変えている例があります。国際航業は日本リビング保証株式会社と提携し、業界初の「経済効果シミュレーション保証」サービスを開始しました。この保証では、例えば太陽光パネルの発電量や電気代削減額などシミュレーションで示した値について、一定期間の実績を追い、万一不足があれば補填するというスキームです。営業担当者に話を聞くと、「保証があると胸を張って提案できるし、お客様からの信頼も格段に上がる」とのこと。実際、営業担当者の84.1%が「保証付きならお客様に自信を持って提案できる」と感じています

保証をつけることで、「本当に効果が出るだろうか…」というお客様の最後の躊躇を取り除けます。「もし効果が出なければウチが責任を持ちます」という姿勢は、営業側の本気度や誠実さのアピールにもなります。ある販売会社では保証制度導入後、営業担当者がお客様に「うちは結果を保証しますのでご安心ください」と説明できるようになり、シミュレーションに懐疑的だった顧客が一転して契約に前向きになるケースが増えたそうです。

もちろん、保証にはコストや条件設定も伴いますので、すべての案件で実施できるとは限りません。しかし、「主要な効果指標について保証オプションを用意する」「過去の実績データに基づき保証ラインを設定する」など工夫次第で運用可能です。リスクを営業側が引き受け、お客様の不安をゼロにするこの発想は、これからの再エネ営業における強力な武器になるでしょう。シミュレーション保証という攻めの姿勢で信頼を勝ち取り、成約への最後の一押しに繋げる——これが第五の法則です。

参考:国際航業、日本リビング保証と業務提携/太陽光発電・蓄電システム「経済効果シミュレーション保証」の提供開始~予測分析を活用し、性能効果をコミットする「シミュレーション保証」分野を強化~ | 国際航業株式会社 

法則6.営業DX・全員戦力化の法則 ~ツールで属人性を排し「誰でも売れる」組織を作る~

成約率を上げるには、営業担当者一人ひとりの提案力底上げも欠かせません。「ベテランの○○さんに任せないと契約が取れない」ようでは組織として非効率です。キーとなるのは、デジタルツールを活用して営業活動を標準化・効率化する(営業DX)ことにより、チーム全員が高品質な提案をできるようにすることです。

太陽光・蓄電池販売会社の現場では、属人的な営業スキル格差が課題となっていました。ある調査では販売施工店の90.7%が技術職(施工人材)の確保難を感じる一方で、営業側の戦力化については「シミュレーションツール導入で営業が戦力化すれば技術職の負荷軽減につながる」と85.3%が期待しているという結果もあります。裏を返せば、ツールで営業の提案力を補強することが全社の効率向上につながると認識され始めているのです。

実際、シミュレーションツール導入により「新人でも即戦力」というケースが出てきました。電巧社では、以前使っていた他社シミュレーターが難解で営業担当は使いこなせず、技術部門に試算を依頼すると2週間も待たされていました。エネがえるBiz導入後は営業自身が半日で提案資料をまとめられるようになり、「太陽光業界未経験の新人でもすぐに提案できる」といいます。蓄電池を含む提案も営業が自力でシミュレーションできるようになり、技術者に頼らず商談を進められるようになりました。結果として7名の営業全員が日常的にツールを使いこなし、「提案までの時間が短縮されお客様にもスピード感を評価してもらえる」状態を実現しています。

また、サンライフコーポレーションでは、他社類似シミュレーションソフトの煩雑さから一部スタッフしか扱えない状況を改善するためエネがえるBizを導入しました。その結果、誰でも簡単に操作できるツールにより提案数が飛躍的に増加し、ほぼ全案件を受注に繋げるという理想的な結果を残しています。「エクセル出力される提案書フォーマットをそのまま使えるので資料作りの手間が減った」ことも効率化に寄与しました。

つまり、「人に依存しない売れる仕組み」を作ることがポイントです。属人的なノウハウはツールに落とし込み、誰もが同じクオリティで提案できるようにする。例えば提案書のテンプレートやシミュレーション手順を統一し、営業標準を確立することで、経験の浅い社員でもベテランと同等の説得力ある提案が可能になります。実際、ある販売会社ではエネがえるASPを導入し提案プロセスを標準化した結果、新人営業でも成約率30%、若手トップ営業は60%を達成し、「提案資料の信頼性が上がり他社との差別化に成功した」と言います。

さらに、デジタルツールの活用は営業マネジメントの面でも有用です。クラウドベースのシミュレーションなら提案履歴や顧客データが蓄積されるため、上司が案件進捗を把握したりフォローしたりしやすくなります。複数の営業担当が同じ案件に関わる場合でも情報共有がスムーズです。こうした組織的な営業力強化が、最終的に成約率アップに直結します。

以上のように、営業DXによりチーム全員を高いレベルで戦力化することが第六の法則です。「勘と経験と根性」に頼る時代から、データとツールを味方につけたスマート営業へ。誰が担当しても質の高い提案ができる組織は、安定して高い成約率を叩き出すでしょう。

法則7.アウトソーシング活用の法則 ~負担業務は外部に委ね、営業は本来業務に集中~

営業組織には提案以外にも様々な業務負荷がかかります。ヒアリング調査、現地下見、設計図作成、補助金申請、契約手続き…。これら周辺業務に忙殺されて肝心の営業活動に集中できないようでは本末転倒です。第七の法則は、思い切って外部リソースを活用する(BPO:Business Process Outsourcing)ことで、営業生産性を高め成約率向上につなげるという考え方です。

国際航業の調査によれば、太陽光・蓄電池システムの販売・提案業務において88.2%もの事業者が「課題あり」と感じているといいます。特に「ヒアリングや現地調査」が工数のかかる業務第1位(41.8%)で、「電力需要データの入手」(37.3%)がそれに続きました。また設計段階では「最適な太陽光・蓄電池容量の算出方法がわからない」(66.7%)「設計後の提案資料作成が負担」(33.3%)といった声が上位を占めています。要するに、営業現場では様々なプロセスで“見えない負担”が積み重なっているのです。

こうした状況を踏まえ、最近では提案業務まるごとの外部委託サービスも登場しています。国際航業とエコリンクスが協業で始めた「エネがえるBPO/BPaaS」は、経済効果試算・設計・補助金申請・研修まで1件単位から代行してくれるサービスです。1件あたり1万円~と単発従量課金で発注でき、最短即日納品という柔軟さが売りとなっています。例えば「この案件、屋根強度の計算や詳細設計が必要だけど社内に余裕がない」という場合に丸ごと依頼すれば、営業担当者は顧客対応とクロージングに集中できます。

アンケートでも、社内のスキル不足を感じる担当者の80.6%が「負担業務の外部委託に興味がある」と答えています。また金融機関でも、太陽光・蓄電池への融資審査において「専門的評価は外部委託した方が有益」と考える担当者が73.0%にのぼる調査結果もあり、社内にない知見やリソースはアウトソースする流れが広がりつつあります。

要は、社内ですべて抱え込まない」ことが大事です。営業担当者にとって最も価値を生む時間は、お客様と向き合いニーズを聞き提案しクロージングするプロセスです。それ以外の事務作業や専門的分析は外注できるものはしてしまい、生まれた余力で新規開拓や提案ブラッシュアップに注力したほうがトータルの成果は高まります。実際、ある企業では補助金情報の収集や申請書類作成をアウトソーシングサービスに任せたところ、「申請漏れが無くなり助成金をフル活用できた上に、営業の手間が激減してその分営業件数を増やせた」と報告されています。

もちろんアウトソーシングといっても、お客様との信頼関係構築まで任せるわけにはいきません。任せる部分と自社で担う部分の棲み分けが重要です。提案資料の素案作成やシミュレーション計算は外部に任せ、最終的な提案ストーリー構築やプレゼンは自社営業が担う、といった役割分担が有効でしょう。そうすることで、「ヒアリングや提案に十分時間を割けず、顧客の懸念を深掘りできない」という事態も避けられます。

以上、アウトソーシングを適切に活用し営業のコア業務に集中することが第七の法則です。社内リソースを最適配分する発想で、より多くのお客様に質の高い提案を素早く届ける体制を築きましょう。それが巡り巡って、組織全体の成約率アップとビジネス拡大につながるのです。

参考:国際航業、エコリンクスと提携し、再エネ導入・提案業務を支援する 「エネがえるBPO/BPaaS」を提供開始 経済効果の試算・設計・補助金申請・教育研修を1件単発から丸ごと代行まで柔軟に提供 ~経済効果試算は1件10,000円から 最短1営業日でスピード納品~ | 国際航業株式会社 

参考:エネルギーBPO/BPaaS(エネがえるBPO)とは?料金の目安。太陽光・蓄電池・再エネ関連の業務代行サービス | エネがえるFAQ(よくあるご質問と答え) 

法則8.経済メリット極大化の法則 ~補助金・税制・PPA…使えるものは全て使って背中を押す~

最後に、「お客様にとっての経済メリットを極大化する」ことを意識しましょう。どんなに優れた提案でも、最終的にお客様が首を縦に振る決め手は「得をするかどうか」、つまり経済的メリットです。そこで、使える支援策やスキームは余さず活用して提案に組み込むことが重要です。

代表的なのが国や自治体の補助金です。昨今、脱炭素促進の流れで太陽光発電や蓄電池に対する補助金が手厚くなっています。販売施工店の87.0%が「補助金活用に意欲的」と回答するほど業界側も注目しています。2024年には実際に約77%の販売店が補助金を活用した営業を行い、そのうち89.1%が営業成果にプラスの影響があったとするデータもあります(※詳細は原典参照)。補助金があることで初期投資回収期間がグッと短くなるケースも多く、導入ハードルが大幅に下がるためです。「補助金ありプラン」と「補助金なしプラン」の両方を提示すれば、その差は一目瞭然でしょう。

また、税制優遇も見逃せません。固定資産減税や即時償却、カーボンニュートラル関連の税控除など、企業の設備投資を後押しする仕組みがあります。例えば「グリーン投資減税」を活用すれば一定要件下で太陽光設備の即時償却が可能で、初年度の税負担を軽減できます。提案の際には、「○○の税優遇を使うと実質回収◯年短縮できます」といった試算も盛り込み、トータルでお得になる計画を示しましょう。

さらに、オンサイトPPAモデルやリースなどのファイナンススキームも提案に織り交ぜるべきです。お客様が初期投資ゼロで導入できるPPAは、「設備を持たずに電力を安く調達する」方法として中小企業でも関心が高まっています。例えば「自社購入なら◯年でROI達成、PPAなら即時に電気代△%削減開始」という比較を出せば、お客様は自社の資金状況に応じた選択が可能です。「社内で資本予算が取れなくてもPPAなら実現できますよ」といった提案は、プロジェクト実現への道を広げます。実際、設備を保有せずサービス提供するIBeeT社(伊藤忠商事グループ)は、リースやサブスクリプションなど顧客ニーズに応じた多様な形態で太陽光・蓄電池を提供し、案件獲得を伸ばしています。

重要なのは、営業側がこうした制度やスキームに精通していることです。補助金情報は頻繁に更新されますし、募集期間も限られます。そこで国際航業は全国約2,000件の補助金データを網羅した「自治体スマエネ補助金検索サービス/API」を提供開始し、常に最新情報を営業現場で引き出せるよう支援しています。営業担当者自身もアンテナを高く張り、「使えるものリスト」を常にアップデートしておきましょう。そうすれば「今回の案件は県の補助金があります」「この業種なら電気事業者のCO2削減支援メニューが使えます」といった一歩踏み込んだ提案が可能になります。

経済メリットを最大化する提案は、お客様に「ここまで考えてくれるのか!」という驚きと安心感を与えます。単に太陽光を売るのではなく、お客様のメリットを最大化するソリューションを売る発想です。結果として、「ぜひ御社にお願いしたい」と言わせる強力な武器になるのです。

参考:「自治体スマエネ補助金検索サービス」を提供開始 約2,000件の国や地方自治体の創・蓄・省エネ関連補助金を網羅 ~クラウド 型太陽光・蓄電池提案ツール「エネがえる」契約企業向けに無償提供~ | 国際航業株式会社 

参考:「自治体スマエネ補助金データAPIサービス」を提供開始 ~約2,000件に及ぶ補助金情報活用のDXを推進し、開発工数削減とシステム連携を強化~ | 国際航業株式会社 

 

 


以上、成約率アップの8つの法則を見てきました。これらはそれぞれ独立した施策でありながら、互いに有機的に関連し合っています。例えば、迅速な提案(法則1・2)は複数シナリオ提示(法則3)や補助金活用(法則8)を可能にし、信頼性確保(法則4)と保証(法則5)が相乗効果でお客様の不安を払拭します。さらに、営業DX(法則6)とアウトソーシング(法則7)がその土台を支えるといった具合です。ぜひ自社の営業プロセスを総点検し、取り入れられるものから順に実践してみてください。日本の再エネ普及・脱炭素化を加速させる原動力は、現場の皆様一人ひとりの知恵と創意工夫に他なりません。

最後に、本記事で紹介したデータや事例の出典を以下にまとめます。世界最高水準の知見に基づくこれらのファクトを参考に、ぜひ貴社の営業戦略をアップデートしていただければ幸いです。


ファクトチェック&出典サマリー

  • 経済効果シミュレーション活用と営業成果の相関:産業用太陽光・蓄電池販売において目標達成した営業担当者の48.2%がシミュレーションツールを活用しており、未達成者より21.3ポイント多い。提案書作成時間「1時間未満」の割合も達成者40.1%に対し未達成者26.0%。

  • 提案スピードの効果(事例):旧ソフトで1件30分かかった試算がエネがえるBiz導入で15分に短縮。提案件数が月50件程度に増加し、「ほぼ全ての提案が受注に繋がっている」。別事例ではExcelベース2~3時間の計算がAPI活用で5~10分に短縮。

  • 複数シナリオ提案の効果:エクソル社はシミュレーション高速化により複数パターン提案が可能となり、顧客満足度が向上。IBeeT社では提案書作成含め1週間以内対応と月50パターンの試算実施体制を構築。

  • シミュレーション精度と信頼性:販売施工店・樹社のケースでは、太陽光1年点検でシミュレーションと実績発電・削減額の誤差がほぼなく、信頼度が向上。詳細データを開示した提案に対し「嘘がなく誠実な提案だ」と評価された。

  • シミュレーション結果保証のニーズ:営業担当者の84.2%が「結果が保証されれば成約率は高まる」と回答。経営者側も、導入見送り企業の約57%が「保証があればその施工店から購入したい」と回答。保証ありで社内決裁が通りやすいとの声も60.0%。

  • 営業DXによる新人戦力化:電巧社では旧ツールで試算に2週間かかったが、エネがえるBiz導入で半日程度に短縮。太陽光業界未経験者でもすぐ提案でき、営業全員がツールを活用。サンライフ社も操作簡易なツールで提案効率化し、成約率ほぼ100%を実現。

  • 提案業務の負担とBPO:88.2%の事業者が販売・提案業務に課題を感じ、特に「ヒアリング/現調」「データ入手」に工数を要す。専門性高く負担な業務(シミュレーションや補助金申請など)はBPO需要が高まりつつある。社内スキル課題を感じる担当者の80.6%が外部委託に興味。

  • 補助金活用の重要性:2024年、太陽光・蓄電池販売施工店の87.0%が補助金活用に意欲。補助金活用営業を行った企業の89.1%が成果向上を実感。補助金情報を網羅したAPIサービスも提供され、営業現場の情報武装を支援。

以上、定量データと実例に基づき検証しました(各出典は本文中の【 】内番号に対応)。これらエビデンスは2023~2025年にかけての最新の調査・事例に基づくものであり、信頼性確保のため複数ソースでクロスチェック済みです。参考にしていただき、貴社の太陽光・蓄電池ビジネスの発展にお役立てください。

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著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

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たった15秒でシミュレーション完了!誰でもすぐに太陽光・蓄電池の提案が可能!
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