V2Hを設置するメリットや注意点は?選び方や設置手順・費用の相場も解説

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国際航業株式会社公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。国内700社以上・導入シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)を開発提供。

V2Hを設置するメリットや注意点は?選び方や設置手順・費用の相場も解説

V2Hは、EVやPHEVの蓄電池を有効活用するための装置です。V2Hを導入すると、家庭の電気料金を節約できる、停電時の備えになる、などさまざまなメリットを得られます。

ここでは、V2Hを備えるメリットや導入前に知っておきたいこと、V2Hの選び方などを解説します。ぜひ、参考にしてください。

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EVやPHEVの電気を効果的に使えるV2Hとは?

V2H(Vehicle to Home)とは、家庭からEVやPHEVの充電と、EVやPHEVから家庭への給電を可能にする装置です。

V2Hはパワーコンディショナーを搭載しており、直流と交流を双方向に変換可能です。家庭で使う電気はほぼ交流ですが、EVやPHEVに蓄電される電気は直流です。V2Hがあると、家庭とEVやPHEV間で、電気のやり取りが可能になります。

家庭用蓄電池とV2Hの違いは?

一部蓄電池機能を搭載したV2Hも提供されていますが、基本的にV2H自体は蓄電池として使えません。上述したように、蓄電池はEVやPHEVに搭載されたものを利用します。

V2Hを備えるメリット

V2Hを備えるメリットを、高速充電や電気料金の節約などに触れつつ解説します。

EVやPHEVを高速充電できる

高速充電の機能を備えたV2Hは、家庭用の普通充電器よりもEVやPHEVをスピーディーに充電できます。高速充電のV2Hは、普通充電器よりも2倍の高出力で充電できるためです。

高出力の普通充電器もありますが、SA(サービスエリア)や店舗に行かないと使えません。V2Hがあれば、家庭でも高速充電が可能です。

電気料金を節約できる

電気料金が安い深夜にEVやPHEVに充電して、電気料金が高い日中に使うと電気料金を節約できます。

特に太陽光発電システムを設置している家庭は、高い節約効果を得られます。日中に太陽光発電システムで得た電気も、EVやPHEVに貯められるためです。

停電時の備えになる

EVやPHEVが蓄電池代わりになるため、V2Hがあると災害などで停電になった際も電気を使えます。太陽光発電システムを備えていれば、随時蓄電池を充電できるため長期間しのげると予想されます。

詳しくはのちほど解説しますが、「非系統連系」のV2Hは、停電時に太陽光発電システムの電気でEVやPHEVを充電できません。ご注意ください。

EVやPHEVの大容量の電気を使える

家庭用蓄電池と比べると、EVやPHEVには多くの電気を貯めておけます。一般的な家庭用蓄電池の容量は、数kWhから十数kWh程度です。家庭用蓄電池は、消防法により容量が規制されています。大容量の蓄電池を設置するためには、複雑な手続きが必要です。

一方、EVやPHEVには消防法の規制が適用されません。近年は、100kWhを超える蓄電池を搭載したEVやPHEVも販売されています。

※参考:対象火気設備等の位置、構造及び管理並びに対象火気器具の取扱いに関する条例の制定に関する基準を定める省令の改正について

環境にやさしい

脱炭素化に貢献できる点も、V2Hを導入するメリットです。間接的ではありますが、V2Hがあれば、太陽光発電システムで作ったクリーンな電気で、EVやPHEVを走らせられます。

V2Hの選び方

太陽光発電システムを効率よく使ったり、災害時の停電に対応したりするためには、用途に合うV2H選びがポイントです。

電力の連携可否

V2Hは、系統連系と非系統連系に分けられます。系統連系は、複数の電源から同時に家庭に電力を供給できます。非系統連系は、複数の電源から同時に家庭に電力を供給できません。

停電時の非系統連系のV2Hでは、EVやPHEVから家庭に給電していると、電力会社や太陽光発電システムからの電気を家庭に給電できません。

停電時の電気の使い方

停電時に、特定負荷型と全負荷型では電気の使われ方が変わります。特定負荷型は、停電時に指定した家電製品にのみ電気を供給するため、消費電力量を抑えられます。

全負荷型は、停電時に、家中の家電製品に電気が供給される仕組みです。通常の家庭生活ができる反面、消費電力量が増えてしまいます。利用しない家電製品のプラグを抜くなど、全負荷型を選ぶ場合は節電対策が必要です。

停電時の出力

停電時にV2Hから給電される電力の出力値は、「停電時出力」を見て確認しましょう。停電時の出力はV2Hごとに異なります。

停電時の出力が大きければ、エアコンなど消費電力が高いものも使えます。ただし、出力が高いほど電気の消費ペースが早まるため、節電対策を施しましょう。

充電速度

充電速度で選ぶ場合は、V2Hの出力を確認しましょう。上述したように、家庭用の普通充電器よりもV2Hは出力が高く、高速充電が可能です。ただし、V2Hの出力は3kWhから6kWhまで幅があるため、機種により充電速度が変わります。

なお、消費電力はリアルタイムでV2Hがモニタリングしているため、充電中にブレーカーが落ちる心配はありません。

グリーンモードの有無

グリーンモードとは、太陽光発電システムで得た電気を自家消費したい人におすすめのモードです。グリーンモードでは、蓄電池への充電・自家消費が優先され、余った電気があれば自動的に売電されます。

反対に、経済モードのV2Hを選ぶと、太陽光発電システムで得た電気は、優先的に売電に回されます。

操作性

リモート操作できるV2Hを選ぶと、停電時にスムーズに操作パネルの切り替えが可能です。停電時には手動でV2Hの操作を切り替えますが、多くの操作パネルは屋外に設置されています。スマートフォンなどで操作を切り替えられると、夜間や災害時でも外に出ずに済みます。

V2Hを備える前に知っておきたいこと

V2Hを存分に活用するために、導入前に知っておきたいことを解説します。

EVやPHEVの電気は車が家にあるときしか使えない

日中に車を持ち出す家族がいれば、夜間にEVやPHEVに貯めた電気を昼間に使えなくなってしまいます。節電目的でV2Hを導入するときは、家族の生活スタイルを確認しましょう。

非系統連系は瞬間的に停電する場合がある

非系統連系は、EVやPHEVからの給電中に、電力会社からの電気を使用できません。家庭での消費電力が足りなくなると瞬間的に停電するため、不具合が起きる可能性があります。

バッテリーレスのデスクトップパソコンなどは、瞬間的な停電でデータが消失する恐れがあります。自宅でテレワーク中の人は、こまめにバックアップを取るなど対策をしておきましょう。

EVやPHEVのバッテリーの寿命が短くなる場合がある

蓄電池の寿命は、充放電の回数が多いほど短くなります。つまり、EVやPHEVと家庭で電気のやり取りをするほど、バッテリーの寿命が短くなります。

他にも、急速充電の繰り返しもバッテリーの寿命によくありません。適度に家庭の普通充電器も使ってバッテリーを長持ちさせましょう。

V2H機器に対応する車種が限られる

V2Hに対応する車種は限られます。V2H対応の車種について知っておきたいことを、以下で解説します。

V2Hに対応できる車種

一部対応する車種もありますが、輸入車の多くはV2Hに非対応です。海外ではEVやPHEVから家庭に給電する考え自体がまれで、自動車メーカーはV2Hへの対応を重視していません。

V2Hの機種に応じて対応するEVやPHEVは変わるため、個別に確認しましょう。

V2Hの設置に必要なもの

V2Hの設置には、対応する車種が必要です。太陽光発電システムの導入も検討しましょう。

V2H本体と対応車種

V2Hメーカーの公式サイトには、対応車種が掲載されています。例えば、EVパワー・ステーションの公式サイトによると、日産自動車株式会社の対応車種として、リーフ・リーフe+・アリアなどが記載されていました。

また、三菱自動車工業株式会社の場合は、eKクロスEV・エクリプスクロス(PHEVモデル)・アウトランダーPHEVなどが対応します。

※参考:対応車種 | EVパワー・ステーション | 系統連系型V2Hシステム| ニチコン株式会社

 

【あるとお得】太陽光発電システム

太陽光発電システムなしでも、V2Hを設置できます。しかし基本的には、V2Hと同時に太陽光発電システムを設置した方がお得です。太陽光発電システムがあると、停電時にもEVやPHEVを充電できる、電気代を節約できるといったメリットがあります。

V2Hを設置する手順

V2Hを設置する手順を以下に示しました。

・施工業者への相談とV2H機器の決定

・現場調査と事費用の見積もり

・正式契約と電力申請など各種申請

・設置工事

各種申請は、多くの施工業者が代行してくれます。設置工事は以下の手順で進みます。

・各機器を設置位置に搬入して固定

・配管・配線の接続と電気工事

・初期設定とテスト運転

V2Hを設置する費用の目安

V2Hを設置する費用の目安を解説します。V2Hを家庭に導入する場合は、本体費用と設置費用が必要です。V2H本体が40万~180万程度で、設置費用が30万~40万円程度です。また、V2Hを設置する際に、70万~220万円程度かかります。

 

V2Hの設置時に申請できる補助金

V2Hの設置時に申請できる補助金があります。2023年3月時点の補助金情報を解説します。

国が募集する補助金

2023年3月現在、すでに「2022年度CEV補助金(V2H充放電設備)」は終了しました。そして、2022年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」は3/23に申請受付を開始しています。

また、2022年度補正予算「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」は、申請受付開始時期が3月下旬頃と想定されています。

※参考:R4年度 V2H充放電設備の補助金_CEV補助金交付_補助金情報_次世代自動車振興センター

※参考:令和4年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」、「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」 (METI/経済産業省)

地方自治体の補助金

自治体が、独自の補助金を交付している場合があります。例えば東京都は、V2Hの本体費用と設置費用を対象に補助金を交付中です。助成率は1/2で、上限は50万円までです。2023年度の申請受付開始時期は、5月中旬以降を予定しております。

※参考:クール・ネット東京 :東京都地球温暖化防止活動推進センター | 「電気自動車等の普及促進事業(V2H)<br>災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」

 

まとめ

V2Hを設置すると、EVやPHEVの電気を有効活用できます。導入目的に合わせて、系統連携などを確認しましょう。

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■著者プロフィール(太陽光・蓄電池シミュレーションエキスパート)

会社名:国際航業株式会社
部署名:公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG
執筆者名:樋口 悟

執筆者の略歴:国際航業株式会社エネルギー部デジタルエネルギーグループ。エネルギー診断クラウドサービス「エネがえる」担当。1996年東京学芸大学教育学部人間科学課程スポーツコーチ学科卒業。1997年上場大手コールセンター会社に入社、2000年大手上場小売企業グループのインターネット関連会社で最年少役員に就任。2011年に独立起業。大企業向けにSNSマーケティングやアンバサダーマーケティングを提供するAsian Linked Marketingを設立。30以上の大手上場企業のプロジェクトを担当。5年で挫折。2016年国際航業株式会社新規事業開発部に入社しエネルギー領域の事業開発、エネがえる事業開発を担当。

太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションの国内唯一のエキスパートとして、大手電力・ガス会社、有名太陽光・蓄電池メーカー、全国販売施工店・工務店など約700社以上と、最近ではエネルギー政策立案サイド(国・官公庁・地方自治体)で太陽光・蓄電池推進政策をしている方々へもエネがえるを活用した太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションやアドバイスを提供している。

執筆記事:https://energy-shift.com/news/author/71cbba7e-dbbc-4728-9349-9cdbed975c6e

執筆者のSNS:
・Twitter:@satoruhiguchi
・LinkedInプロフィール:https://www.linkedin.com/in/satoruhiguchi/
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国際航業株式会社公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

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国際航業 公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。国内700社以上・導入シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)を開発提供。

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