産業用太陽光のマルチスレッド営業とは?関係者別の合意形成とエネがえるBiz活用法

著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部 デジタルエネルギーグループ。再エネ設備導入効果シミュレーター「エネがえる」(ASP、Biz、EV・V2H、API、BPO)の事業開発を担当。太陽光、蓄電池、オール電化、EV・V2H、電力料金、補助金、再エネ設備の経済効果シミュレーションを専門領域とし、サービス企画、顧客提案、マーケティング、パートナー連携を横断して推進しています。エネがえるは国内700社以上で導入され、年間15万件以上の診断に利用されています。取材、登壇、協業、サービスに関するお問い合わせは、エネがえる公式お問い合わせページからお願いします。

むずかしいエネルギー診断をカンタンにエネがえる
むずかしいエネルギー診断をカンタンにエネがえる

30秒でわかる結論

産業用太陽光・蓄電池の商談では、設備、財務、経営、調達、法務、現場など複数の関係者が異なる条件で判断します。マルチスレッド営業とは、単に接触人数を増やすことではなく、顧客の許可を得ながら、未解決の判断項目を担当する人へ適切な情報を届け、社内合意を支援する進め方です。

  • 人ではなく判断を起点にする:技術、経済性、契約、運用の未確定項目を洗い出す
  • 一つの前提から複数の見せ方を作る:部門ごとに別計算をせず、共通データを役割別に編集する
  • 顧客側の次の行動で進捗を測る:資料送付や面談回数ではなく、確認・合意・紹介・データ提供を記録する

マルチスレッド営業とは

一人の窓口だけに依存せず、購買や導入に関わる複数の役割と合意形成を進める営業方法です。ただし、担当者を飛び越えて無断で接触することではありません。最初の窓口や推進者と相談し、「次の判断には誰の確認が必要か」「その人へ何を渡せば判断できるか」を共同で設計します。

GongやOutreachが自社データを分析した記事では、複数の関係者・部門が関与する商談と高い勝率の間に関連が報告されています。ただし、これらは主に各社プラットフォーム上の観察データです。案件規模、営業担当者の能力、商談成熟度などの影響を完全に分離した実験ではなく、産業用太陽光案件へ同じ数値を直接適用することはできません。

実務上の価値は「人数を増やせば勝てる」という公式ではなく、単一窓口では見えにくい技術・財務・契約・運用上の停止要因を早く発見できる点にあります。

産業用太陽光で関与しやすい役割と判断項目

役割 主な判断 必要な情報
起案・環境推進 脱炭素目標、電気代削減、実施時期 導入目的、CO₂削減見込み、全体比較
設備・技術 設置可能性、受電設備、施工、保守 屋根・敷地、負荷、設備構成、工事条件
財務・経理 投資回収、キャッシュフロー、予算 初期費用、年間効果、維持費、感度、資金条件
経営・決裁 経営効果、優先順位、下振れリスク 結論、代替案、主要リスク、意思決定期限
調達・法務 契約、責任分界、取引先、保証 仕様、見積、契約方式、免責、保証範囲
拠点・運用 工事影響、停止時間、日常管理 工程、停電・立入条件、監視、保守体制

同じ人物が複数の役割を兼ねる場合もあります。役職名だけで決めつけず、誰が決定し、誰が予算を持ち、誰が技術・契約を確認し、誰が導入後に運用するかを顧客へ確認します。

最初に作るべきは人物リストではなく「意思決定マップ」

項目 記録内容
未解決の判断 例:設置容量、投資上限、契約方式、工期、回収基準
判断する役割 決定者、予算責任者、技術確認者、法務・調達、利用部門
現在の状態 合意、条件付き合意、反対、未確認、担当不明
必要な証拠 需要データ、図面、見積、感度分析、契約案、事例
次の相互アクション 誰が、何を、いつまでに確認・提供・決定するか

「未確認」を「問題なし」と扱わないことが重要です。接点がない人物を推測で反対者や決裁者にせず、仮説として記録し、窓口へ確認します。

エネがえるBizを合意形成に使う方法

エネがえるBizは、産業用自家消費型太陽光・蓄電池の発電、自家消費、電気料金削減、投資回収、長期収支などを、共通の前提から試算するためのツールです。初期検討では業種別の需要パターンを利用でき、実測データを入手した後は30分値・60分値を用いて条件を更新できます。

重要なのは、部門ごとに別々の数字を作らないことです。入力前提と計算結果を一つに固定し、同じ結果から役割別の説明を作ります。

相手 主に見せる内容 同時に示す注意点
経営・財務 投資額、年間効果、回収、長期キャッシュフロー、感度 価格・需要・劣化・保守等の仮定
設備・運用 需要と発電の時間帯、自家消費、設備容量、ピーク 図面、受電、施工、停止条件は別途確認
環境推進 発電量、自家消費量、CO₂削減見込み 排出係数・算定範囲・確認日
調達・法務 所有・PPA等の比較、費用・責任分界 契約条件は試算だけでは確定しない

エネがえるBizの現在の機能と試算範囲を確認する

実行手順:一つの案件を6段階で進める

  1. 顧客の目的を一文にする:電気代、脱炭素、BCP、設備更新など、今回の優先目的を確認する。
  2. 意思決定条件を聞く:投資上限、目標回収年数、工期、契約方式、必要な稟議資料を確認する。
  3. 関係者を仮置きする:各条件を誰が確認・決定するか、窓口と一緒に整理する。
  4. 共通前提を固定する:需要、料金、設備、費用、期間、補助、維持費を前提条件表にする。
  5. 役割別に説明する:同じ計算結果から、経営・財務・技術・運用・契約向けの要点を分ける。
  6. 相互アクションを合意する:次回までのデータ提供、社内確認、見積更新、意思決定日を双方で決める。

窓口担当者へ自然に依頼する言い方

「今回の試算で、設備条件と投資条件の2点がまだ未確定です。次回は設備ご担当者と財務ご担当者にも15分ずつ確認いただけると、後から数字を作り直す手戻りを減らせます。窓口を飛び越えて進める意図はないので、適切な参加者と順番をご相談させてください。」

この伝え方では、営業側の都合ではなく、顧客の再説明・再計算を減らす利益を示しています。参加人数を目標にせず、未解決の判断に必要な役割だけを依頼します。

やってはいけない運用

  • 接触人数をKPIにし、判断に関係のない人へ一斉に連絡する
  • 窓口担当者の了承なく上位者へ直接働きかける
  • 役職だけで決裁権・影響力・賛否を推定する
  • 部門ごとに異なる前提や有利な数字を使い分ける
  • 試算値を確定効果や保証値として説明する
  • 資料を送っただけで商談が進んだと判定する
  • 顧客の社内事情や予算を、根拠なくCRMへ事実として記録する

商談進捗を測る指標

指標 進捗として認める状態
意思決定条件 顧客が投資・技術・契約条件を確認または修正した
関係者カバレッジ 必要な役割と確認ルートを顧客が認めた
前提データ 需要、料金、図面、見積等が提供・承認された
反対・懸念 未確認事項が具体的な条件や質問に変わった
相互アクション 双方の担当、成果物、期限、次の判断が合意された

面談回数、メール数、資料閲覧だけでは、顧客の意思決定が進んだとは限りません。顧客側の確認、合意、修正、紹介、データ提供を進捗の証拠にします。

よくある質問

Q. 何人と接点を持てばよいですか?

一律の人数目標は設けません。案件の技術、投資、契約、運用を判断するのに必要な役割を特定します。小規模案件では少人数が複数役割を兼ねることもあります。

Q. 複数部門へ接触すれば成約率は必ず上がりますか?

必ず上がるとは限りません。公開されている営業プラットフォーム各社の分析は関連性を示しますが、因果を保証するものではありません。目的は接触数ではなく、顧客の未解決条件を早く解くことです。

Q. エネがえるBizだけで社内稟議は完結しますか?

試算とExcel出力は判断材料になりますが、設備設計、見積、施工、契約、法務、税務、資金調達等は別途確認が必要です。顧客の稟議様式に合わせて前提・結論・リスクを編集します。

Q. デマンドデータがなくても始められますか?

初期検討は業種別の需要パターン等から開始できます。投資判断を進める段階では、実測の30分値・60分値、請求情報、設備条件へ更新し、差分を説明します。

次のアクション

一つの案件について、「未解決の判断」「判断する役割」「必要なデータ」「次の相互アクション」を一枚に整理し、同じ前提でエネがえるBizの試算を作成してください。これにより、誰に何を確認すべきかと、数字をどこまで信頼できるかを同時に明確化できます。

産業用自家消費提案の3大ボトルネックと解決策を見る

自社案件の試算条件と投資回収を確認する

公式情報・参考資料

最終確認日:2026年9月1日。外部の営業統計は各社データに基づく観察結果であり、エネがえる利用や個別案件の成約率向上を保証するものではありません。製品仕様・価格は最新の公式ページ、見積書、申込書、契約書を優先してください。

記事の内容を、自社案件の数字で確認

住宅用、産業用自家消費、EV・V2Hの経済効果を、用途に合うデモで確認できます。

住宅用ASP産業用BizEV・V2H

著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業株式会社 カーボンニュートラル推進部 デジタルエネルギーグループ。再エネ設備導入効果シミュレーター「エネがえる」(ASP、Biz、EV・V2H、API、BPO)の事業開発を担当。太陽光、蓄電池、オール電化、EV・V2H、電力料金、補助金、再エネ設備の経済効果シミュレーションを専門領域とし、サービス企画、顧客提案、マーケティング、パートナー連携を横断して推進しています。エネがえるは国内700社以上で導入され、年間15万件以上の診断に利用されています。取材、登壇、協業、サービスに関するお問い合わせは、エネがえる公式お問い合わせページからお願いします。

コメント

たった15秒でシミュレーション完了!誰でもすぐに太陽光・蓄電池の提案が可能!
たった15秒でシミュレーション完了!
誰でもすぐに太陽光・蓄電池の提案が可能!