住宅事業者のためのGX ZEH実務ガイド
営業と設計、申請を兼務する工務店・小規模ビルダー向けです。
この記事でできること:初回相談の質問、7工程、12項目の確認表を次の案件で使う。
最初にそろえるのは、4枚の書類
少人数の工務店で、営業・設計・申請を一人が兼ねることは珍しくありません。ただし案件数が少ないことは、確認項目を省略してよい理由にはなりません。専任部門をつくる前に「聞く用紙」「条件を並べる用紙」「説明する用紙」「引渡す用紙」をそろえると、外部の販売施工店や試算担当とも情報を引き継ぎやすくなります。
| 4枚 | 書く内容 | 省略すると起きる問題 |
|---|---|---|
| 生活・予算ヒアリング | 在宅時間、給湯、EV、停電時に必要な機器 | 実際に使えない時間の電力を効果へ計上 |
| 前提条件・3案比較 | 型番、価格、料金、補助状態、更新日 | 見積と計算の条件が一致しない |
| 説明・選択記録 | 採用案、不採用理由、未確認条件 | 担当交代時に選定理由が消える |
| 引渡し・運転設定 | HEMS、最低残量、停電回路、連絡先 | 設計上できることと現場設定がずれる |
7工程:誰が何を終えたら次へ進むか
| 工程 | やること | 終了条件 |
|---|---|---|
| 1 制度確認 | GX ZEHの区分、補助の年度と要件を確認 | 認定と補助を別欄で記録 |
| 2 聞き取り | 新居の生活、予算、車、停電の希望を確認 | 不明点を仮定と明記 |
| 3 試算 | 同じ生活条件で3案を比較 | 変えた条件を説明できる |
| 4 確認 | 見積・仕様・補助の状態を照合 | 主要な不一致が解消 |
| 5 提案 | 追加投資と追加効果、見送り条件を説明 | 施主が選んだ理由を記録 |
| 6 引渡し | 機器、通信、運転・停電操作を確認 | 設定と説明を記録して渡す |
| 7 見直し | 入居後の利用・発電と仮定の違いを確認 | 再試算や点検の必要性を判断 |
補助制度ごとの発注・着工の禁止期間は、この営業工程より優先します。例えばV2H補助では、設備の発注・工事開始を交付決定日以降とする条件があります。案件票の上に「発注できる日」を書き、工程の抜けを防ぎます。V2H補助の公式手順
初回相談で聞く8つの質問
- 「新居では平日の昼に、どなたが在宅されますか?」
- 「エアコン・給湯・調理は何を使う予定ですか?」
- 「EVを持っていますか。購入予定と平日の帰宅時刻は?」
- 「月額負担と初期費用、どちらを優先したいですか?」
- 「停電時に最低限使いたい機器は何ですか?」
- 「土地・建物・外構を含む総予算のうち、設備に使える幅は?」
- 「現在の電気契約と使用量は確認できますか?」
- 「補助金が使えなかった場合でも、比較したい案はどれですか?」
請求額が高いから大きい蓄電池、という決め方は避けます。旧居の断熱や給湯、料金プランが新居と違うためです。使用量が取れない段階では仮定した生活パターンで比較し、分かった情報を更新します。仮定を残すことが、過大な精密さを装わない説明になります。
RT事例から取り入れるのは、数字より提案の型
RTの公開インタビューでは、工務店・ビルダーを介した新築提案で、発電量資料と経済効果診断レポートを組み合わせ、施主の予算に応じて3案を提示しています。キッチンやガレージも含む限られた予算の中で、施主が容量を選べることが要点です。RTの公開事例を読む
これは「最大容量を薦めれば売れる」という事例ではありません。住宅会社が取り入れやすいのは、①同じ前提で比較する、②レポートを渡すだけでなく説明する、③採用しない選択も尊重する、という工程です。工務店営業の理解に差があれば、事例では説明や勉強会を行っています。
自分で回すASPと、試算を頼むBPOを使い分ける
案件が継続し、担当者が入力と説明を習得できるなら住宅用ASPが候補です。単発案件や、入力資料の整理から支援が必要な案件はBPOを比較します。「月何件なら必ず得」と固定せず、件数、作業時間、修正回数、教育・管理負担、契約条件を含めて見積もります。
外注しても、施主の希望、見積の確定範囲、施工可能性、認定・補助金の最終確認まで外部へ丸投げはできません。依頼時に入力不足と成果物を合意し、戻ってきた結果の前提と除外条件を確認します。EVを含む案件は、出発・帰宅と必要残量まで渡してください。
引渡しで説明を完了させる12項目
チェックを入れた記録は、このページを閉じると消えます。案件の記録にはダウンロードしたテンプレートを使い、必要な範囲で顧客と共有してください。入居後の請求額が試算と違っても、直ちに設備不良や計算誤りとは決まりません。天候、在宅、料金、設定、EV利用を分け、設備点検が必要か、条件の更新で説明できるかを確認します。
少人数の工務店の疑問
設備に詳しい担当がいなくても進められますか?
ヒアリングと見積の確認を工務店が担い、施工・接続・試算の専門担当と分担する設計が可能です。誰が最終判断するかは残してください。
太陽光だけの案も出してよいですか?
経済性の比較基準としては有用です。ただし対象GX ZEH3区分の定置用蓄電池要件を満たさないことを明示します。
補助金は申請代行先が確約できますか?
申請支援と採択・交付の保証は異なります。予算、時期、要件、書類不備の可能性を分けて説明します。
根拠・確認範囲
確認日:2026年9月23日。制度は公表された一次資料、事例は公開インタビューを参照しています。工程、例、チェック項目は本記事の実務提案です。個別案件の適合・採択・効果を保証するものではありません。






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