静岡県の太陽光・蓄電池販売施工店向け拡販戦略と経済効果シミュレーション活用ノウハウ(2025年)

著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

太陽光・蓄電池提案ツール「エネがえる」
太陽光・蓄電池提案ツール「エネがえる」

静岡県の太陽光・蓄電池販売施工店向け拡販戦略と経済効果シミュレーション活用ノウハウ(2025年)

静岡県の販売施工店様必見  本記事では、静岡県にフォーカスして太陽光発電・蓄電池およびEV充電器・V2H等の導入促進策を、最新データと高解像度の知見から徹底解析します。

人口動態や地域特性から始まり、自治体の脱炭素政策・補助金、日射量や電力事情、さらには地域独自の文化や購買傾向まで網羅。住宅(新築・既築)と事業者それぞれの導入ニーズを高解像度で推定し、地域密着型の経営・営業戦略を立案します。

また、エネがえる」シリーズ(ASPEV・V2HBizBPO経済効果シミュレーション保証)の活用による営業力強化ノウハウも紹介。調査結果のエビデンスを交えつつ、経営層にも響く論理性と、本能に訴える訴求力を両立した提案術を解説します。

20,000文字超の徹底ガイドで、静岡県における再エネビジネス拡大のポイントがまるごと分かります。それでは順に見ていきましょう。

参考:VPPサービス推進に太陽光 蓄電池シミュレーションが必要 エネがえるASP 東邦ガス 

参考:無料お試し中に蓄電池成約 住宅用太陽光・蓄電池経済効果シミュレーター導入事例 エネシス静岡 

参考:ELJソーラーコーポレーション(販売数全国1位の)、営業社員全員にエネがえる導入 月間1000件の商談で成約率60%

参考:「エネがえる」が環境省の脱炭素推進を支援 ~補助金申請が劇的に増加した定量分析の力~ 

1. 静岡県の人口動態と地域特性:再エネ市場の土壌

人口規模と世帯静岡県の人口は約349万8,000人(2025年6月時点)と、42年ぶりに350万人を下回りました。少子高齢化で人口減少が進んでおり、県全体で13か月連続の減少傾向です。世帯数は約143万世帯(2020年国勢調査)で、このうち持ち家率は67%程度全国平均並みかやや上回る水準。特に中山間地域では持ち家率が高く(例:伊豆市93.5%、富士宮市85.1%等)、都市部の静岡市や浜松市でも持ち家率は70%前後と多くの家庭が自宅屋根を保有しています。このように自家消費型太陽光の潜在ユーザー母数は大きいと言えます。

地域経済と産業構造 – 静岡県は東西に広がる地形で、東部(富士・沼津周辺)は製紙・プラント、中部(静岡市周辺)はサービス業・行政機能、西部(浜松市周辺)は製造業が盛んです。特に浜松市はヤマハやスズキ等を生んだ工業都市で、企業の自家消費型太陽光ニーズも高い傾向があります。実際、浜松市太陽光発電導入量で全国の市町村中トップとなった実績があり、固定価格買取制度初期から産業用・住宅用とも積極的に普及が進みました。大企業だけでなく、中小製造業や農業ハウス(茶畑や果樹園)などでも再エネ活用の機運があります。

住宅市場動向 – 年間新設住宅着工戸数は近年減少傾向にありますが、国の省エネ基準強化を背景に新築注文住宅では太陽光パネル搭載率が上昇しています。ZEH(ネットゼロエネルギーハウス)仕様への関心も高まっており、ハウスメーカー各社は太陽光+蓄電池セット提案を標準化しつつあります。

既築住宅についても、2019年以降の卒FIT問題(FIT満了家庭が売電から自家消費転換を迫られる)が契機となり、蓄電池後付けニーズが拡大しました。静岡県内にはFIT満了を迎えた住宅も累計数万件規模と推定され、「太陽光はあるが蓄電池未設置」という層が相当数存在します。この層は電気代高騰もあって蓄電池導入意向が高く、販売施工店にとって有望なマーケットです。

文化・県民質 – 静岡県民は穏やかで保守的と言われますが、新しいもの好きな一面もあります。浜松市に代表される「やらまいか精神」(まずやってみようの精神)は、中小企業のイノベーションを支えてきました。またお茶処・農業県でもあることから、環境意識や自然志向も比較的高めです。

ソーシャルスタイル理論の観点で捉えると、静岡の顧客層には慎重派の「アナリティカル」タイプ(データ重視型)と、堅実な「アミアブル」タイプ(信頼重視型)が多い傾向が見受けられます。一方で浜松エリアの経営者には「ドライビング」タイプ(成果志向型)も少なくありません。後述の営業戦略では、こうした県民気質に合わせた提案アプローチについても考察します。

2. 静岡県の再エネ普及政策と補助金最新情報【2025年7月時点】

県全域の施策 – 静岡県は「ふじのくにエネルギー総合戦略」(2022~2030年)を策定し、2050年カーボンニュートラル実現に向け再エネ普及策を推進中です。特徴的なのは補助金ではなく共同購入事業による支援で、令和5年度(2023年度)から「太陽光発電設備等共同購入支援事業」を開始しました。これは県が選定した事業者(協定締結先)が県民から広く太陽光パネル・蓄電池の購入希望者を募り、一括発注によるスケールメリットで機器を割安に提供する仕組みです。

参加登録期間は2025年3月12日~8月28日で、太陽光パネルのみ・パネル+蓄電池・蓄電池のみの3プランから選択可能(太陽光は10kW未満対象)となっています。昨年度実績では市場価格約158万円の設備が共同購入なら約131万円(約17.5%オフ)で設置できた例もあり、参加者の満足度は92%との報告もあります。県公式サイトでも「全国トップクラスの日照量を誇る本県では、この機会にぜひ設置をご検討ください」と太陽光+蓄電池導入を強く促しています。

静岡県はこの共同購入事業に加え、「ふじのくに0円ソーラー事業」と称する第三者設置モデル(PPAモデル)普及にも注力しています。県が認定した事業プランをサイト上で公開し、住宅用・事業用それぞれ複数の「初期費用0円」太陽光プランを県民・企業が比較検討できるようにしています。更新日2024年11月時点で住宅用5件、事業用4件の登録プランが掲載されており、契約期間満了後に無償譲渡されるプランなど多彩です。このように静岡県は補助金直接支給ではなく、市場メカニズムや民間活力を活かした普及策に特徴があります。

市町村の補助金 – 静岡県内の各市町村も独自の補助制度を設けており、2025年度は20以上の市町で公募ありです。代表的な例を挙げると:

  • 浜松市太陽光発電:2万円(上限)※蓄電池同時設置が条件蓄電池:8万円(上限)※太陽光既設または同時設置が条件。申請期間はいずれも2025年5月15日~2026年3月16日。太陽光は市民クラブ入会や3kW以上など条件付き。

  • 富士市太陽光発電:1kWあたり7.3万円(上限72.9万円)※30%自家消費&非FITが条件。全国的にも高額な補助で、FITを使わない自家消費型の普及を狙ったものです。期間は2025年11月末まで。蓄電池補助は富士市は無しですが、この太陽光補助だけで平均4kWシステムなら約29万円支給となり、大きな後押しになります。

  • 沼津市太陽光発電:定額10万円(既存住宅&蓄電池同時設置必須)蓄電池:定額10万円(太陽光同時設置必須)。期間2025年4月1日~2026年3月19日。先着順で予算枯渇次第終了。

  • 熱海市太陽光発電:定額8万円蓄電池:定額8万円(いずれも未使用品が条件、随時受付)。

  • 三島市太陽光発電:1kWあたり1万円(上限4万円)※蓄電池同時必須。蓄電池単体補助は無し。

  • 富士宮市太陽光発電:1kWあたり2万円(上限なし記載なし、2026年1月末まで)、蓄電池:上限10万円(リースの場合上限5万)。比較的使いやすい補助です。

  • 磐田市太陽光発電:定額2万円蓄電池:定額2万円(いずれも「そらいろラボ」入会必須)。

  • 焼津市太陽光発電:定額5万円蓄電池:定額4万円(既存住宅対象)。

  • 掛川市太陽光発電:経費の1/2補助(上限2万円)蓄電池:経費の1/2補助(上限3万円)

  • 藤枝市 – 蓄電池:1kWあたり2万円(上限8万円)のみ(太陽光への補助は無し)。市独自の「エコファミリー宣言」要件あり。

  • その他 – 御殿場市(太陽光5万円、蓄電池5万円)、袋井市(太陽光1kWあたり2.5万円、蓄電池10万円)、下田市(太陽光1kWあたり3万円)、裾野市(県の共同購入事業のみ対象)等、多くの自治体で支援策があります。

最新情報のポイント:静岡県は2025年現在、県独自補助金は行っていないものの、共同購入事業により広域支援を実施。一方、市町村単位では定額10万円前後kW当たり補助など様々なメニューがあり、自治体補助と国補助の併用も可能です。

例えば国の住宅省エネ支援策(こどもエコすまい支援事業※2023年度まで)やZEH補助との組み合わせで100万円以上の支援を得たケースも報告されています。静岡県内で販売店が提案する際は、お客様の所在地自治体の最新制度を把握し、漏れなく経済メリットを提示することが重要です。

3. 静岡県の豊富な日射量・気象条件と電力事情

全国有数の日照条件 – 静岡県は日本でも有数の晴天地域であり、太平洋側の温暖な気候により日照時間が長いことが知られています。気象庁データによれば、県内御前崎市の年間日照時間は平均2,230.6時間(観測史上)に達し、日本全国の観測地点でもトップクラスです。

浜松市も年間2,207.9時間を記録(2015年時点)し全国第3位になるなど、県内全域で発電に有利な条件が揃っています。実際、静岡県の30年平均日照時間は約2138時間にもなり(1984~2013年平均)、「日本でも指折りの日当たり良好地域」といえます。県公式サイトでも「全国トップクラスの日照量を誇る本県では…太陽光発電設備の設置を推奨」と明言しており、この恵まれた日射条件が太陽光の高い導入効果を支えています。

気象リスクと対策 – 一方、静岡県は台風銀座とも呼ばれるエリアで、夏秋には台風の上陸・接近が多く強風リスクがあります。また東海地震・南海トラフ巨大地震の想定震源域に位置し、地震リスクも指摘されています。そのため住宅の屋根荷重や架台の耐風・耐震強度は十分考慮する必要があります。

販売施工店としては、提案時に「災害時の備え」として蓄電池やV2H(Vehicle to Home)を組み合わせるメリットを強調すると効果的です。実際、県は太陽光+蓄電池により「電気代の節約や災害への備えにつながる」と公式にアピールしています。停電時に太陽光と蓄電池で自立電源を確保し、非常用電源として家族の安全安心を守れる点は、多くの県民に響くポイントです。

電力会社と料金動向 – 静岡県の電力供給エリアは主に中部電力ミライズで、一部富士川以東は東京電力エナジーパートナーが担当します。近年、日本全体で電気料金が高騰し、特に2022年以降の燃料費調整額上昇や2023年6月の規制料金値上げの影響で、一般家庭の平均電気代は月1万3~4千円台に達しています。

静岡県のモデル世帯(4人家族)の平均月額は約13,820円と試算されており、全国平均と同程度ですが、これは数年前と比べ大幅増です。中部電力管内でも2023年に15%前後の値上げが認可されており、電力自由化後も多くの家庭が従量電灯契約のままなので、家計負担増が深刻化しています。

こうした状況下、太陽光+蓄電池で光熱費を削減したいニーズが顕在化しています。昼間の太陽光自家消費で電力購入を減らし、夜間は蓄電池やEVから給電するライフスタイルへの関心が高まっています。特にオール電化住宅では電気代アップが直撃しているため、「太陽光で年間○万円節約」「蓄電池併用で○年で初期投資回収」といった具体的な経済効果シミュレーションが契約の決め手になります。また、静岡県はガソリン代も全国平均よりやや高め(物流コスト等のため)で、EV普及もじわじわ進んでいます

2023年時点で県内EV・PHVの新車販売比率は数%程度ですが、2030年に向け国全体で新車の電動化目標が掲げられており、今後EV充電設備ニーズも増すでしょう。県も県有施設に急速充電器を整備したり、水素ステーション補助を出すなどグリーンモビリティ普及策を進めています。EVユーザーにとっては「自宅で太陽光を使って充電し、余剰電力は蓄電池や車に貯めて活用」というシナリオが理想であり、販売店はPV+蓄電池+EV充電器(+V2H)のトータル提案で付加価値を提供できます。

まとめ:静岡県の自然条件と電力事情は、「太陽光をやらない理由が見当たらない」と言えるほど追い風です。日照時間が長く発電有利、電気料金は上昇中、災害備蓄電源にもなる──この三点セットをお客様に事実ベースで示せば、多くの方が導入メリットを実感するはずです。次章では、その導入意欲が特に高いと想定される層(新築/既築/事業者)ごとにニーズを分析します。

4. ターゲット別の導入ニーズ分析(住宅新築・住宅既築・事業者)

4.1 新築住宅層:ゼロエネ志向と補助金追い風で導入意向◎

新築戸建を計画・建築中の層は、太陽光・蓄電池導入意向が特に高いと考えられます。その理由は:

  • 省エネ基準適合の流れ:2025年度から新築住宅への省エネ基準適合が義務化され、2030年には平均でZEH基準達成が目標とされています。ハウスメーカー各社はZEH住宅販売比率を高めており、「太陽光パネル標準搭載」が当たり前になりつつあります。静岡県でも地方銀行などが新築ZEH向け住宅ローン優遇を行うなど、後押しがあります。

  • 経済的メリット:新築時に太陽光を入れると、建物ローンに組み込めて初期費用負担感が薄れます。さらに国の「こどもエコすまい支援事業」(2022-23年度)では新築ZEH取得で100万円補助が出るなど、新築者は手厚い支援を享受しました。今後も類似の補助・減税策は継続見込みです。

  • 将来の電化ライフに備え:20~30代の施主はEVやホーム蓄電池への関心も高く、「いつか電気自動車に乗りたい」「停電でも強い家にしたい」というニーズがあります。将来的にEVを買う前提で分電盤やコンセントをV2H対応にするケースも増えています。この層は「どうせ建てるなら最新のエコ住宅にしたい」という意欲旺盛な方が多いです。

以上から、新築客には太陽光+蓄電池+EVインフラ一括提案が刺さります。実際、ある調査では「住宅用太陽光発電のある住宅の割合」は新築世帯で年々上昇し、全国平均で戸建の11.6%に達しています(集合住宅は0.2%で戸建中心)。地域別には静岡を含む東海地方が11.2%と最も高く、新築住宅での導入率もこれに近い水準か上回ると推測されます。静岡県の工務店やビルダーはこの潮流を捉え、「経済メリット+環境価値」を訴求した提案で新築顧客を確実に取り込むことが重要です。

4.2 既築住宅層:電気代高騰と卒FITで再注目、蓄電池ニーズ高まる

既築(築5年以上経過)住宅に住む層の太陽光・蓄電池ニーズも見逃せません。特に以下のような属性の方々に導入意向が強いでしょう:

  • 2010年前後に太陽光を設置した世帯:2009年の余剰電力FIT開始以降、静岡県内でも多くの住宅が太陽光を設置しました。これら世帯は順次FIT満了(売電単価が大幅低減)を迎えており、「売るより自家消費したい」「蓄電池を付けて夜使いたい」と考えています。経済産業省の調査でも「卒FIT世帯の約3割が蓄電池導入検討」とされ、潜在需要は大です。実際、産業用ですが国際航業の独自レポートでは「シミュレーションを提示されなかった経営層半数以上が『信頼できる試算があれば費用次第で導入したかった』と回答」しており、定量データがあれば前向きになる層が多いことが示唆されています。住宅分野でも同様でしょう。

  • 電気代が高騰している世帯オール電化住宅やファミリー世帯では電気代2~3万円/月というケースも珍しくなく、「太陽光で少しでも減らしたい」という切実な思いがあります。蓄電池無しで太陽光のみでも年間5〜7万円程度の電気代削減は期待でき、さらに蓄電池併用で削減額2倍超も可能です。太陽光・蓄電池セット提案時には、「現在○円の電気代が導入後は年間○円お得、初期投資は補助金後○円、シミュレーション上○年で元が取れます」と具体的に示しましょう。経済効果シミュレーション結果に長期保証(後述)が付けば、慎重な顧客も安心して決断できます。

  • 防災意識の高い世帯:地震や台風への備えに関心が高い層は、蓄電池やV2Hによる非常用電源確保を重視します。特に在宅介護や在宅医療機器使用者がいる家庭では「停電しても○時間は電気が使える家にしたい」というニーズがあります。静岡県は南海トラフ地震の被害想定に備え、家庭の耐震や備蓄を呼びかけていますが、同様に「エネルギーの備え」も訴求すべきです。「停電時も太陽光+蓄電池で冷蔵庫やスマホ充電、照明が使えます」と伝えれば、家族の安心を買う投資と捉えてもらえます。

以上より、既築層には経済メリット+防災メリットの二本柱でアプローチするのが効果的です。年代的には30~50代が中心となり、資金計画ではリフォームローンやリースも活用できます。販売店は各家庭の状況ヒアリングを丁寧に行い、「このご家庭なら年間○kWh発電・○kWh蓄電で〇〇円お得」「非常時は○日間サポート可能」といったパーソナライズドな提案を心がけましょう。

4.3 事業者(産業用)層:CSRとコスト削減の両面で需要増

工場・倉庫・店舗・オフィスビル等の事業者にとっても、静岡県の高日射量は大きな魅力です。産業用太陽光(10kW以上)はFIT終了で縮小しましたが、近年は自家消費型太陽光が拡大しています。静岡県内でも、製造業や農業法人を中心に「電気代削減+脱炭素アピール」を目的に導入が相次いでいます。

事業者の導入意向を高めるポイント:

  • 電力コスト削減圧力:中小企業にとって電気代高騰は死活問題です。例えば食品加工や温室園芸では電力料金が利益を圧迫し、省エネ投資でコスト削減したいニーズがあります。太陽光でピーク電力をカットし基本料金を下げたり、デマンドレスポンス(DR)と組み合わせて報酬を得るなど、電力コスト最適化策として注目されています。

  • CSR・脱炭素経営:取引先やエンド顧客から「RE100」や「CO2排出削減」の要請が強まっており、太陽光導入はその回答となります。静岡県は製造業が多いため、サプライチェーン全体で再エネ化する動きがあり、「自社工場に太陽光を○%導入」という目標を掲げる企業も出ています。浜松市などでも企業向け説明会が開かれ、カーボンニュートラル推進の一環として再エネ設備導入が奨励されています。

  • 補助金・税制:国のものづくり補助金(低炭素投資促進枠)や中小企業投資促進税制など、事業者向けインセンティブも多々あります。静岡県でも2023年度「事業用太陽光発電設備等共同購入支援事業」を始めており、企業向け共同購入プランが用意されています。こうした制度を活用すれば初期負担を抑えられ、「ROIが○年」と具体的に示すことができます。

しかし事業者の課題は、社内で経営者を説得できる材料が不足しがちな点です。国際航業の調査では、産業用の提案を受けた経営層の44%以上が「経済効果を十分に想像できなかった」と回答しています。裏を返せば、信頼性あるシミュレーションを示せれば導入に前向きな層が多数いるということです。「負担額次第では導入したかった」という声が過半数超あったデータもあります。したがって、販売施工店は精度の高い経済効果試算と、必要に応じて保証サービスをセットで提供し、経営層の不安を払拭する提案が求められます。

事業者向け提案では、以下のポイントを盛り込みましょう:

  • 発電規模最適化 – 工場や店舗の負荷曲線を分析し、「最適パネル容量○kWで年間発電○万kWh、うち自家消費○%、電力費○円削減」を算出(必要ならエネがえるBizでシミュレーション)。

  • 投資回収 – 補助金適用後の初期投資額と、電気代削減+余剰売電による収入を比較し、〇年で投資回収できると提示。社内稟議が通りやすいようIRR(内部収益率)や減価償却メリットにも言及

  • 環境価値 – 年間CO2削減量をトン単位で示し、「◯トンは杉の木◯本が一年に吸収する量に相当」と分かりやすく伝える。脱炭素経営レポートやSDGs達成への貢献として社外PRにも活かせる点を強調。

以上により、事業者に「導入しないリスク」を認識してもらうことが狙いです。電気代削減による競争力強化や、環境対応の遅れによる信用低下リスクを示し、「今こそ行動すべき」と背中を押しましょう。

5. 静岡県での地域密着型販売・拡販戦略

以上の市場環境・ニーズ分析を踏まえ、静岡県における太陽光・蓄電池販売施工店の具体的な営業戦略を考察します。ポイントは「地域密着」「データ活用」「ワンストップ提案」の3つです。

5.1 「静岡ならでは」を活かす地域戦略

地元密着の信頼感 – 静岡県民は地元志向が強く、「静岡に根付いた企業か」を重視する傾向があります。販売店は地域密着アピールとして、創業◯年・施工実績◯件(静岡県内◯件)などの数字を示したり、地元イベント・展示会への参加実績を伝えると良いでしょう。また施工時も「◯◯市の気候を踏まえた設計」「塩害地域対応(駿河湾沿岸部では塩害塗装)」など、土地勘に基づく提案を心掛けます。

例えば「浜松の遠州の空っ風対策で固定方法を強化しています」「富士山麓の降雪も見据えた架台設計です」と説明すれば、顧客は「この業者は静岡のことをよく分かっている」と安心します。

行政・補助制度との連携 – 前述のように静岡県や各市町の補助・共同購入制度があります。販売施工店はこれら制度の公式パートナー登録施工店になることで受注拡大が見込めます。例えば県の共同購入事業では、選定された施工事業者のみが案件を受注できます。積極的に入札や登録に参加し、公的なお墨付きを得ましょう。

また自治体主催のエコ関連フェア(環境フェア、住宅フェア等)に出展し、ブースで経済効果シミュレーション体験会を開くのも有効です。行政とタイアップした啓発イベントは集客力があり、そこで得たリードは成約率も高まります。

地域メディア活用静岡新聞、地元ケーブルテレビ、FMラジオなど地域メディアを活用して情報発信するのも戦略です。特にシニア層には新聞折込チラシやローカル情報誌がまだまだ効果があります。「電気代節約セミナー開催!〇月〇日@静岡市」などと打てば、高齢者や主婦層の集客が期待できます。セミナーでは経済効果シミュレーション結果をライブで見せたり、実際の導入者(OB顧客)を招いて体験談を話してもらうとリアリティが出ます。地元で信頼を勝ち得れば「太陽光やるなら○○電設さんに相談しなよ」と口コミも広がりやすくなります。

5.2 セグメント別営業戦略:住宅新築・住宅既築・事業者

前章で分析した各ターゲット層に応じ、営業アプローチを具体化します。

住宅新築向け:「ビルダー提携&早期相談」戦略です。新築顧客はハウスメーカーや工務店経由で太陽光を検討することが多いため、販売施工店は住宅会社との提携が肝となります。静岡県内の有力工務店・ビルダーに営業をかけ、自社を太陽光・蓄電池の専門パートナーとして組み込んでもらいましょう。提携先の住宅会社の営業マンや設計士に勉強会を開き、「エネがえるASP」を使った迅速シミュレーション提案術を教えるのも有効です。

国際航業の調査でも「EV/V2H販売提案に関わる担当者の92.5%が課題を実感」「社内スキルに課題感じ80.6%が外部委託に興味」とあり、住宅会社も再エネ提案に不安を抱えています。そこを御用聞き精神でサポートし、「太陽光・蓄電池のことは全部任せてください」という姿勢を示せば、提携先から安定的な紹介が得られるでしょう。

またエンド顧客への直販でも、住宅プラン決定の初期段階で相談を受ける体制が重要です。住宅完成後より、設計中・着工前に相談を受けた方が屋根設計や電気配線に融通が利くため、ベストタイミングです。そのために住宅展示場やモデルハウスにチラシを置いてもらったり、静岡県内の住宅イベントに合同出展したりして、「新築前にまずエネルギープラン相談」を促す動線作りをしましょう。

住宅既築向け:「電気代診断&リフォーム連携」戦略です。既築層は自宅の光熱費や老朽設備に課題を感じている場合が多いです。まずは無料の光熱費診断キャンペーンを打ち、「電気代シュミレーションレポート」を提供します。ここでエネがえるASPを活用し、過去の電力使用量から太陽光導入後の購入電力量削減や蓄電池によるピークシフト効果を算出し、見える化した診断書として渡します。

「今なら自治体補助○万円も使えます」と具体策も添えましょう。また、既築の場合は屋根の傷みや耐久性も気になります。屋根材の塗装・葺き替え需要と太陽光をセット提案するのも有効です。

同じ足場で工事できるためトータルコストを抑えられるメリットがあります。地元のリフォーム会社や屋根工事店と業務提携し、「屋根+太陽光+蓄電池のまとめてリフォームプラン」を企画するのも良いでしょう。静岡県は温暖とはいえ沿岸部は塩害で金属屋根が痛みやすく、内陸部は夏の日射で瓦が劣化しやすいので、屋根リフォーム需要は確実にあります。

「この機会に発電所にしませんか?」と背中を押せるとベストです。さらに、オール電化導入・エコキュート交換・EV充電コンセント増設などエネルギー周りのリフォームと合わせると提案単価が上がります。BtoC営業では訪問やチラシ反響も活用し、家計の悩み相談という切り口で接点を増やしましょう。

事業者向け:「経営層アプローチ&BPO活用」戦略です。企業案件は決裁者である社長や役員を動かすことが不可欠です。そのため、単なる設備提案ではなく経営目線の提案資料を準備します。ポイントは、「投資額と回収」「減価償却による節税」「SDGs・CSR効果」の3点を網羅した経営判断用プレゼンを作ること。

エネがえるBizEV・V2Hシミュレーションを駆使し、例えば「◯◯工場に100kW太陽光+200kWh蓄電池導入すると、20年間で電気料金△△円削減、投資IRR◯%、CO2排出◯%削減できます」という具合に数値で説得します。

同時に、経営層の不安である「本当にシミュレーション通り効果が出るのか?」に答えるため、経済効果シミュレーション保証を提案に組み込みます。国際航業と日本リビング保証が提供するこのサービスは、シミュレーション通りの発電量・効果が出なかった場合に一定の補償を行う国内初の試みで、まさに経営層の背中を押す切り札です。調査では約7割の住宅検討者がシミュレーション結果の保証を求めているとの結果もあり、保証提案による成約率アップは期待大です。「数字に責任を持ちます」という姿勢は信頼に繋がります。

さらに、販売施工店自身が人的リソース不足やノウハウ不足を感じる場合、エネがえるBPO/BPaaS(Business Process as a Service)を活用するのも選択肢です。前述の独自レポートVol.29では、EV/V2H提案業務で80.6%の担当者が外部委託に興味とあり、設計・シミュレーション・補助金申請等を丸ごとアウトソーシングするニーズが高まっています。実際、国際航業のエネがえるBPOサービスでは、設計や経済効果試算、補助金情報反映まで一括代行し、提案スピードを飛躍的に高めることが可能です。

静岡県内にも利用企業が増えており、「提案書作成が従来の1/3の時間で済んだ」「補助金情報を自動反映できミスが減った」との声があります(※エネがえる利用事例より)。効率化できた分、営業は顧客対応に集中でき、成約率アップに繋がります。

以上のように、各セグメントに合わせた戦略で抜け漏れなく市場を攻めることが重要です。

5.3 エネがえる(ASP・EV/V2H・Biz・BPO・保証)フル活用による営業力強化

最後に、「エネがえる」シリーズを活用した営業戦略の具体策をまとめます。エネがえるは国際航業が提供するB2Bクラウドサービスで、太陽光・蓄電池・EV/V2Hの経済効果シミュレーションを高速・高精度に行えるツール群です。静岡県内でも導入企業が増えており、販売・提案のデジタル化が進んでいます。各プロダクトの活用ポイントを整理すると:

  • エネがえるASP:クラウド型シミュレーションプラットフォーム。住宅向けから産業用まで幅広く対応し、補助金も網羅。営業現場でタブレットやPCから日射量データや電力プランを入力するだけで、その場で収支シミュレーションを提示できます。例えば静岡県の特定住所を入力すれば、その地点の年間日射量や気象データを参照して精緻な発電予測を算出可能です。お客様の前で30秒ほどで結果を出せるため、驚きとともに信頼感を与えられます。「電力会社は中部電力、従量電灯B 40Aで月平均◯kWhですね。では太陽光5kWと5kWh蓄電池入れると…ほら、この通り、電気代は年間△万円に減ります」と画面を見せれば、一目瞭然です。エネがえるASPなら各市町の補助金条件もデータベース化されているため、例えば「浜松市なら蓄電池同時で2万円補助出ます」といった情報提供がワンクリックでできます。手計算やエクセルではこうはいきません。

  • エネがえるEV・V2HEV充電器やV2Hシステム導入時の経済効果をシミュレーションする専用モジュール。EV普及が加速するとともに、「太陽光で車を走らせたい」ニーズに応える強力なツールです。例えば、日中に太陽光で発電した余剰電力を電気自動車に充電し、夜間にV2Hで家庭に給電する場合の光熱費削減効果を計算できます。静岡県のように車社会の地域では、「EV+太陽光」でガソリン代も電気代も節約できるシナジーを示せるのは大きな訴求点です。エネがえるEV・V2Hでは車種別の電耗率データや走行距離の入力によって、ガソリン車対比の燃料代セーブ額やCO2削減量も瞬時に提示できます。これにより、お客様は「なるほど、EVに替えると月◯円安くなり、太陽光がそれを賄うから実質燃料代タダになるんだ!」と理解できます。V2Hの初期コストも、停電時の非常電源メリットと合わせて納得してもらいやすくなります。将来を見据えた提案として「EV時代に備える家」を打ち出しましょう。

  • エネがえるBiz産業用・法人向けの高度なシミュレーションツール。複数電力契約や高圧・特別高圧区分もカバーし、需要家の負荷曲線分析から最適PV容量を割り出せます。例えば静岡のある工場で昼は500kW消費・夜は100kWという負荷プロファイルなら、「ピークカットに最適なPVは200kW」といった具合に数理的根拠を示せます。また、需要家がネックとする初期投資について、リースやPPAモデルで導入した場合のキャッシュフローシミュレーションも可能です。金融機関やリース会社向けの提案資料にもそのまま使えるため、法人営業では重宝します。静岡県内には遊休地や工場屋根が豊富にあり、中小企業の再エネポテンシャルは大きいです。エネがえるBizを駆使して「遊休スペース=収益源」の発想を提供し、新たなビジネス創出につなげましょう。実際、浜松市の中小企業でも自社工場屋根にPVを載せ余剰電力を近隣企業にPPA販売する動きが出ています。こうした地域内エネルギー融通も将来的に視野に入れられるようになります。

  • エネがえるBPO/BPaaS:提案業務の丸ごとアウトソーシングサービスです。自社でエネがえるを使うリソースがない場合や、件数増に人手が追いつかない場合に、専門チームに設計・試算・資料化まで任せられます。例えば「藤枝市で10件分の住宅太陽光見積シミュレーションを作って」と依頼すれば、補助金や電力料金データ反映済みの提案書が短納期で納品されます。特に新電力や設備商社など自社に設計部隊を持たない企業がこのBPOを活用しています。静岡県内でも、ガス事業者や住宅設備会社がエネがえるBPOを導入し、顧客への提案スピードを上げています。販売施工店としても、繁忙期に一部業務をアウトソースすることで提案漏れ・機会損失を防ぐことができます。80%の担当者が興味ありと答えたように、社内リソース×外部リソースのハイブリッド営業は今後主流になるかもしれません。

  • エネがえる経済効果シミュレーション保証:前述の通り、シミュレーション結果に対する業界初の保証サービスです。日本リビング保証との提携により、シミュレーション通りの発電量・経済効果が得られなかった場合に所定の補償金を支払う仕組み。これを提示されると、お客様は「試算が外れて損したらどうしよう」という不安が消え、導入決断がしやすくなります。「結果にコミット」する姿勢は経営層にも刺さり、「じゃあやってみよう」という心理的ハードルを下げます。販売施工店にとっても、保証サービスを武器に他社との差別化が図れます。例えば競合他社がざっくりした見積書だけ出しているのに対し、こちらは精密なシミュレーション+保証書をセットで提出すれば、提案力の違いは一目瞭然です。「経済効果シミュレーション保証なら、実際の結果に基づいた確かな数字でお客様に安心感を提供できます」という国際航業の謳い文句通り、まさに営業担当者必見のサービスと言えるでしょう。

以上、エネがえるのフルスタックを活用すれば、「早い・正確・安心」の三拍子揃った提案が実現します。静岡県のように補助金や日射条件など各種データが豊富な地域では、データドリブン営業が成果を出しやすい土壌があります。実際、国際航業の調査では2024年に産業用自家消費型太陽光の営業目標を達成した担当者の48.2%が「経済効果シミュレーション活用が勝因」と回答したとの報告もあります。このように、シミュレーションを制する者が営業を制すると言っても過言ではありません。

参考:VPPサービス推進に太陽光 蓄電池シミュレーションが必要 エネがえるASP 東邦ガス 

参考:無料お試し中に蓄電池成約 住宅用太陽光・蓄電池経済効果シミュレーター導入事例 エネシス静岡 

参考:ELJソーラーコーポレーション(販売数全国1位の)、営業社員全員にエネがえる導入 月間1000件の商談で成約率60%

参考:「エネがえる」が環境省の脱炭素推進を支援 ~補助金申請が劇的に増加した定量分析の力~ 

6. 地域特化型ヒアリング手法と刺さるセールストーク開発

営業戦略を実行に移すには、「お客様の本音ニーズを引き出すヒアリング」と「響くセールストーク」が欠かせません。ここでは静岡県の家庭向け・事業者向けそれぞれに有効なヒアリング術とトーク例を紹介します。

家庭向け(新築)ヒアリング&トーク

  • ヒアリングのコツ:新築施主には「将来像」を語ってもらうのがポイントです。「どんな暮らしがしたいですか?」と尋ね、例えば「庭でBBQしたい」「冬暖かく夏涼しい家がいい」など理想を話してもらいます。その中でエネルギーに関するキーワードが出たらチャンスです。「光熱費を気にせずエアコンつけたい」「災害に強い家にしたい」等が出れば、太陽光・蓄電池がその夢を叶えるツールであると自然に結びつけられます。また、「10年後20年後のことも考えていますか?」と将来視点の質問を投げ、お子さんの成長や老後まで見据えたライフプランを聞きます。教育費や老後資金の話が出たら、太陽光は将来の固定費圧縮策になると説得できます。

  • 刺さるトーク例:「『エネルギー自給自足』の暮らし、憧れませんか?」と問いかける。静岡は農業県でもあり、自給自足や地産地消の言葉に親しみがあります。「屋根で電気を作って自分の家で使うなんて、まるでマイ発電所ですよね。電力会社への支払いも減って、その分をお子様の将来や趣味に回せます。10年後の光熱費を今から先払いで買ってしまうイメージです」と伝えると、新築予算に組み込むことへの心理抵抗が下がります。また「静岡は日当たり抜群なので投資効率全国トップクラスですよ。東京よりもたくさん発電しますから本当におすすめです」地域優位性を出すと誇らしい気分になってもらえます。さらに「災害時もこの家だけは電気が点いているという安心感、プライスレスですよね」と家族の安全を訴求するのも効果的です。最後に、「先日◯◯市で建てられたお客様も『付けて大正解』とおっしゃってます」と実例を交えると信用度が増します。

家庭向け(既築)ヒアリング&トーク

  • ヒアリングのコツ既築宅では「今困っていること」を具体的に聞き出します「電気代上がってませんか?月どのくらいです?」とか「停電経験されましたか?その時不便だったことは?」など、過去の体験を尋ねます。例えば「昨冬電気代2万円超えて驚いた」「数年前台風で半日停電して懲りた」などエピソードが出れば、その不安や不満を解決する手段として提案を結びつけます。また、家計管理されている奥様には「太陽光を載せたご近所の奥様、どんな感想言ってました?」と聞いてみるのも一手です。他人の成功談・失敗談は関心が高く、率直な本音が出やすいです。「隣の◯◯さんは蓄電池なくて夜は売電できず勿体ないって」と聞ければ、「やっぱり蓄電池併用が賢明ですよ」と導けます。

  • 刺さるトーク例:「毎月の電気代、もう減らせないと諦めていませんか? 実は太陽光を載せたお宅では、静岡ガス代くらいの金額で電気もガスもまかなえちゃったというケースもあるんです」と切り出す。静岡県民はプロパンガス利用も多くガス代が高いので、「電気代+ガス代」の家計トータルで考える視点を提供します。「太陽光+蓄電池+エコキュートなら、ガス代ほぼゼロ・電気代も半減。実際、浜松市のAさん宅(築15年)はそれで年間18万円も光熱費が浮いたそうです」と具体数値を出せば興味津々になります。「その浮いたお金で旅行されたり、車を買い替えたり、ゆとりが生まれたと喜んでおられます」と生活向上イメージを描きます。また、「太陽光は古い家にはもう遅いなんてことありません。築30年屋根でも皆さん付けてますよ。むしろ今がチャンスで、補助金出てますし何より電気代が高い今始めるのが一番効果大です」と背中を押します。最後に「停電時に井戸ポンプが止まって困った話とか聞きますけど、蓄電池あれば井戸水も出ます。災害に強い家になりますよ」と防災面を強調すれば、「うちも付けようかしら」と前向きになっていただけます。

事業者向けヒアリング&トーク

  • ヒアリングのコツ経営者相手には「数字」と「課題」をヒアリングします。「直近の年間電力コストはおおよそおいくらですか?」と費用面を聞きつつ、「工場の屋根、かなり広いですね。遊休地になっている感じでしょうか?」と設備面にも触れます。先方が「電気代は年〇千万円で…」「屋根は遊んでるね」など語れば、「それは○○円の節約余地がありますね」「屋根がお金を生むかもしれません」と興味を引けます。また「CO2削減やSDGsは何か取り組まれてますか?」とCSR関連のヒアリングも重要です。多くの企業はSDGsの掲示はしていても実施策に悩んでおり、「実は手付かずで…」と本音が出ることも。その場合「太陽光で年間◯トンCO2削減でき、SDGs目標○にも合致しますよ」と解決策を示せます。さらに「生産設備は今後EV部品増で電力使用量変わりそうですか?」など事業計画に踏み込む質問も有効です。経営者は将来見通しを話したがるものですから、そこで出たキーワード(増産=電力増、環境規制=再エネ需要 等)に太陽光をマッチングさせます。

  • 刺さるトーク例:「社長、毎年〇〇万円を電力会社に“寄付”し続けますか?」とインパクトある問いを投げます。ドキッとしますが、すぐに「太陽光を導入すれば、その一部を御社の設備投資に変えられます」と続けます。「例えば屋根に200kW載せれば、20年で約△△万円削減=その分で新しい工作機械が買えます。電気代は回収できる投資に変えられるんです」と語れば、経営者の金銭感覚に訴求できます。また「最近お取引先から『RE100とか対応してます?』なんて聞かれませんか?」と探りを入れ、「実は言われてて…」と出れば「太陽光◯%導入で取引先への良いアピールになります。浜松の○○社さんもそれで商談有利に運んだと聞いてます」と同業他社の動向を交えて背中を押します。さらに「シミュレーションといっても机上の空論では?と不安ですよね。弊社は発電量保証付きでコミットします。万一発電が想定より劣れば保証金をお支払いしますので、投資リスクはかなり低減できます」と畳みかけます。これには多くの経営者が驚き、「そんなサービスがあるのか。それなら…」と前向きになります。最後に「静岡県は日照時間全国トップクラスでして、投資効率が特に良いんです。御社の所在地も晴天率高いですから、これは地域の利を活かさない手はありません」と締めれば、「うちも導入日本一を目指すか!」と冗談まじりに笑いながらも、導入を具体的に検討するモードになってくださいます。

以上が各ターゲット別のヒアリング&トーク例です。重要なのはお客様自身に課題を語らせ、その解決策として太陽光・蓄電池を位置付けることです。その際、静岡の地域性(晴れが多い・補助がある・地震対策になる 等)を織り交ぜると説得力が増します。また、ソーシャルスタイル理論で分析した顧客タイプ別にアプローチを微調整することも有効です。データ重視のアナリティカルなお客様には徹底的に数字と根拠資料を提示し、ドライビングな意思決定者にはROIや導入実績のNo.1など成果にフォーカスした話し方をする。一方、アミアブルな慎重派には保証サービスやアフターサポートの手厚さを強調し、Expressiveなタイプには未来志向のビジョン(地域のエネルギー自給コミュニティづくり等)を語ると響くでしょう。販売員自身がスタイルを柔軟に切り替え、地域のお客様に寄り添った提案をすることで、他県には真似できない深い信頼関係が築けるはずです。

7. まとめ:静岡発の再エネ拡大に向けて

静岡県における太陽光発電・蓄電池ビジネスの最新動向と拡販戦略を詳述してきました。最後に要点を整理します。

  • 静岡県は全国有数の日照条件地域ぐるみの普及施策により、太陽光発電の導入適地である。人口減少下でも持ち家率は高く、市民・企業の再エネ意識も年々向上している。

  • 2025年現在の施策動向:県は共同購入事業や0円ソーラーで支援し、市町村レベルでも多数の補助金が展開。特に富士市など高額補助を出す自治体もあり、補助金とシミュレーションの相乗効果で経済メリットを最大化できる。

  • セグメント別ニーズ:新築住宅層はZEH化・将来EV見据え導入意欲◎。既築住宅層は電気代高騰と卒FITで再注目、防災需要もあり。事業者層は電力コスト圧力とCSR要請から自家消費型PVに関心増。

  • 販売施工店の戦略:地域密着を活かし、行政・住宅会社・リフォーム業者と連携しながらワンストップ提案を展開。エネがえるASP/Bizで高精度シミュレーション提案保証サービスで信頼性付与し、BPO活用で業務効率化。データに基づく提案は経営層・顧客の理解を深め、成約率向上に直結する。

  • セールストーク:静岡ならではの「日照時間日本一」「災害に強い家」「光熱費ゼロ生活」「屋根がお金を生む」等のキーワードで刺さる提案を。ソーシャルスタイルに応じ、論理と情緒のバランスを取りつつ、本能に響く訴求を行う。

  • 今後の展望:静岡県は2050年CNに向け地域エネルギーの転換期にあり、販売施工店が果たす役割はますます大きい。国や県の動向を常にアップデートし、補助金・制度とシミュレーションを組み合わせたエビデンスベースの営業で、県内の太陽光・蓄電池普及をリードしていくことが期待される。

静岡の豊かな太陽の恵みを最大限に活かし、「エネルギーの地産地消」を進めることは、単にビジネスチャンスというだけでなく、日本全体の再エネ普及と脱炭素化に繋がる意義深い取り組みです。販売施工店の皆様には、本記事の知見やノウハウをぜひ現場で役立てていただき、静岡県発の成功モデルを築いていただければ幸いです。


ファクトチェック・サマリー(主要事項と出典):

  • 静岡県人口は2025年6月時点で約349.8万人(42年ぶり350万割れ)。持ち家率約67%で全国平均並み。

  • 静岡県は全国有数の日照時間(御前崎年2,230時間、浜松年2,207時間)。「全国トップクラスの日照量」と県も公式発信。浜松市は太陽光導入量で全国自治体1位を獲得。

  • 県の太陽光支援は補助金制度ではなく共同購入事業(2025年3月~8月)。共同購入で17.5%費用削減例。市町村では浜松市(太陽光2万円、蓄電池8万円)等、多数補助金あり。富士市は太陽光7.3万円/kW補助(上限72.9万円)を実施(自家消費30%・非FIT条件)。

  • 環境省調査で住宅用太陽光の家庭普及率は全国6.3%、東海地方11.2%で最高。戸建住宅では11.6%に達する。

  • 国際航業調査:産業用PV提案で経営層の「経済効果想像できず」4割超、一方「信頼できる試算あれば導入したかった」が半数超。シミュレーション提示と未提示で導入意向に大差。

  • EV/V2H販売提案で担当者の92.5%が課題実感、80.6%が業務外部委託に興味。提案業務BPOニーズ高く、エネがえるBPO活用で効率化が図れる。

  • エネがえる経済効果シミュレーション保証が2024年提供開始(国内初)。太陽光発電・蓄電池のシミュレーション結果に基づき、実績が予測を下回れば補償。独自調査で約7割が保証サービスを求める傾向。

  • 浜松市の調査で、営業目標達成者の48.2%が「経済効果シミュレーション活用」が勝因と回答(※国際航業Instagramより)。データに基づく提案が営業成績向上に直結。

以上、客観データとエビデンスを交えて検証済みの内容をお届けしました。静岡県の再エネ拡大の一助となれば幸いです。

無料30日お試し登録
今すぐエネがえるASPの全機能を
体験してみませんか?

無料トライアル後に勝手に課金されることはありません。安心してお試しください。

著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

コメント

たった15秒でシミュレーション完了!誰でもすぐに太陽光・蓄電池の提案が可能!
たった15秒でシミュレーション完了!
誰でもすぐに太陽光・蓄電池の提案が可能!