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電気自動車とソーラーパネルを導入するメリットとは?費用や補助金も
電気自動車は、一般的なエンジン車と比べて高価なイメージがあるという人も多いでしょう。しかし、電気自動車はソーラーパネル(太陽光発電)と併用することで、多くのメリットが得られます。
この記事では、電気自動車とソーラーパネルを併用することのメリットやデメリットについて詳しく解説します。また、電気自動車とソーラーパネルを導入する費用や使える補助金などについても解説するため、ぜひ参考にしてください。
電気自動車とソーラーパネル(太陽光発電)をつなぐ「V2H」の仕組み
太陽光発電により発電した電気を電気自動車に充電するには、「V2H」が必要です。V2Hとは「Vehicle to Home」を略したもので、日本語に訳すと「車から家へ」という意味です。
通常の充電スタンドを利用する場合、家から電気をつなげて車に充電することしかできません。しかし、V2Hの場合には家から車という流れでの充電だけでなく、車から家というように車から電気を家に送ることができます。そのため、車を家庭用蓄電池として活用することができ、地震や大雨などの災害で停電が発生した場合にも電気を使うことが可能です。
太陽光発電はソーラーパネルにより電気を作り出す仕組みのため、この記事では太陽光発電をソーラーパネルと称して記事を進めます。
電気自動車とソーラーパネルを一緒に使用するメリット
電気自動車とソーラーパネルを一緒に使用することで得られるメリットは大きく分けて3つです。ここでは、各メリットについて解説します。
電気代の削減
電気自動車を使い始めた場合、車に電気を送って充電する必要があるため電気代は上がります。一般的な電気自動車の燃費は6km/kWhとなっており、1年間に1万km走行したと仮定しましょう。電力単価は25.6円/kWhと仮定して計算した場合、年間の電気代は約4万3,000円かかります。
しかし、ガソリンエンジン車の場合には、さらに費用がかかります。ガソリンエンジン車の燃費が15km/L、ガソリン代が150円/Lと仮定して計算した場合、年間のガソリン代は約10万円です。このように、電気自動車の場合、電気代自体は高くなりますが、ガソリンエンジン車と比較すると経済的です。
ソーラーパネルを導入してソーラーパネルで発電した電気を使えば、年間1万km走っても0円でさらに経済的です。また、余った電気を売電して副収入を得ることもできます。
災害時に電気自動車を充電できて自家消費もできる
ソーラーパネルを導入することで、災害などで停電が発生した場合でもソーラーパネルで発電した電気を使うことができるため、万が一の備えとしても役立ちます。たとえば、日中発電した電気は家で消費して、余った電気は車に蓄電するといったことも可能です。そのため、夜間でも問題なく電気が使用でき、長期間停電になっても安心でしょう。
また、家庭用蓄電池としてだけでなく、電気自動車としての利用ももちろん可能です。停電になってもソーラーパネルで充電できるため、移動にも困りません。
定置型蓄電池よりコストパフォーマンスが良く大容量
災害時の備えとして定置型蓄電池を設置するケースもあるでしょう。しかし、定置型蓄電池の場合、コストが高くなりがちです。2019年度の調査によると、工事費を含めた定置型蓄電池の価格相場は容量1kWhあたり18.7万円※1となっています。
一方、電気自動車を家庭用蓄電池として活用する場合は定置型蓄電池よりもコスパが良くなります。車体価格が約423万円の日産「リーフe+ X」の場合を例に取って見てみましょう。この場合、容量1kWhあたり約7万円です。また、家庭用蓄電池としてだけでなく電気自動車としての価値も加わります。また、電気自動車のバッテリー容量は定置型蓄電池の3~4倍と多くの電気を貯めておけます。
※1参照:三菱総合研究所定置用蓄電システムの目標価格および導入見通しの検討
電気自動車とソーラーパネルを一緒に使用するデメリット
電気自動車とソーラーパネルを併用する場合にはデメリットもあります。ここでは、3つのデメリットを解説します。
多くの電気が必要
電気自動車を使う場合、エンジン車よりも多くの電力が必要となります。使い方にもよりますが、普段使いする場合には1か月で800km程度は走行するケースが多いでしょう。ソーラーパネルを活用して電気を発電して供給するとしても、車へ充電する分の電気を使うことになります。
太陽光発電で発電した電力は余れば売電することも可能です。しかし、電気自動車に電気を使うことで電気が余りにくくなり、売電できなくなる可能性がある点はデメリットです。
V2H機器の設置が必要
前述したように、電気自動車に太陽光発電で発電した電力を使用するためには、V2H機器の導入が必要です。V2Hを導入することで、ソーラーパネルで作られた電力や電気自動車から給電した電力だけでなく、電力会社から送られる電力を一緒に使用することができます。そのため、効率的に電気自動車を活用したい場合には、必要不可欠な機器となります。
V2H機器を設置するために工事が必要になる点はデメリットです。しかし、電気自動車とソーラーパネルの組み合わせが一般化していくと考えられているため、電気自動車の導入を考えている場合は、ソーラーパネルと併用するとよいでしょう。
イニシャルコストが必要
電気自動車とソーラーパネルを併用する場合、イニシャルコストが高額になりがちです。前述したように電気自動車とソーラーパネルを一緒に使う場合はV2H機器の設置が必要となり、多額のイニシャルコストがかかります。そのため、現在のコスパと将来のコスパについて慎重に検討することが重要です。
電気自動車とソーラーパネルを導入する費用
電気自動車とソーラーパネルを導入する際には、どの程度の費用がかかるのでしょうか。ここでは、導入費用について詳しく解説します。
電気自動車の購入費用
電気自動車の購入費用は、メーカーやグレードによって大きく異なります。ここでは、代表的な国産電気自動車の価格を表にして紹介します。
メーカー | 車種 | 価格 | バッテリー容量 |
日産 | リーフ S | 3,326,400円 | 40kWh |
リーフ X | 3,825,800円 | ||
リーフ X Vセレクション | 4,063,400円 | ||
リーフ G | 4,193,200円 | ||
リーフ NISMO | 4,298,800円 | ||
リーフ AUTECH | 4,100,800円 | ||
リーフ e+ X | 4,417,600円 | 62kWh | |
リーフ e+ G | 4,998,400円 | ||
リーフ e+ AUTECH | 4,692,600円 | ||
アリア B6 limited | 6,600,000円 | 66kWh | |
ホンダ | Honda e | 4,510,000円 | 35.5kWh |
Honda e Advance | 4,950,000円 | ||
マツダ | MX-30 EV | 4,510,000円 | 35.5kWh |
MX-30 EV Basic Set | 4,587,000円 | ||
MX-30 EV Highest Set | 4,950,000円 | ||
レクサス | UX300e version C | 5,800,000円 | 54.4kWh |
UX300e version L | 6,350,000円 |
ソーラーパネルのイニシャルコスト
ソーラーパネルの設置には、ソーラーパネル本体の価格やその他の機器を含む部材費用、足場代などを含めた設置費用がかかります。本体や必要な機器、設備などを含めたものが太陽光発電システムです。ソーラーパネルの容量によって費用が異なりますが、太陽光発電システムを設置する際には4.5kWの場合、約123万円の費用がかかります。
V2Hのイニシャルコスト
V2Hを設置する際に必要になる費用としては、V2Hに必要な部材費用と工事費用です。一般的にはV2H機器の費用は55~90万円程度となっており、設置工事の費用は30~40万円程度が相場とされています。すべてを含めたイニシャルコストは、90~100万円程度が目安となります。
電気自動車・ソーラーパネル・V2Hの補助金制度
電気自動車・ソーラーパネル・V2Hを導入する際には、補助金制度が利用できるケースもあります。ここでは、電気自動車やソーラーパネルなどの導入で使える補助金制度を紹介します。ただし、補助金は自治体により異なるため、居住地の自治体に確認してみましょう。
電気自動車の補助金
電気自動車に対する補助金は、国と自治体により出されています。条件によっては双方を併用できるケースもあるため、確認してみましょう。
国の補助金は「CEV補助金」というもので、2022年度は最大85万円の補助金が支給されていました。また、国の補助金にプラスして地方自治体からの補助金を受け取ることができるケースもあります。たとえば、2022年度に東京都では条件によっては45~75万円の補助金を支給していました。
ソーラーパネルの補助金
ソーラーパネルに対する補助金は、主に自治体によって出されています。たとえば、東京都では「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」という補助金制度を設けています。この制度では、ソーラーパネルを新しく設置する場合には条件を満たすことで、1kWあたり10~15万円の補助金を受け取ることが可能です。
自治体による補助金は、各自治体によって条件や金額が異なっているため、詳細は自分が住んでいる自治体に確認してみるとよいでしょう。
V2Hの補助金
V2Hに対する補助金は、国と自治体により出されています。電気自動車と同様に、条件によっては併用できるためお得に導入することも可能です。国の補助金である「CEV補助金」では、機器の購入費と設置工事費を合わせて最大115万円の補助金が受け取れます。
自治体による補助金は、自治体によって適用される条件や金額が異なるため、自分が住んでいる自治体に確認してみましょう。東京都を例に取ると、通常上限は50万円ですが電気自動車と太陽光発電が揃っているという条件を満たせば増額申請が可能で、最大100万円の補助金を受け取ることが可能です。
まとめ
電気自動車とソーラーパネルを併用することで、電気代の削減や災害時の備えになるなど多くのメリットがあります。電気自動車やソーラーパネルの導入にはイニシャルコストがかかりますが、国や自治体から補助金が受け取れるケースもあるため、条件などを確認して申請するとよいでしょう。
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2023年地域別 住宅用太陽光導入による経済メリットまとめ
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2023年 東京電力エリア(東京都) 住宅用太陽光発電の経済効果シミュレーション
2023年 関西電力エリア(大阪府) 住宅用太陽光発電の経済効果シミュレーション
2023年 東北電力エリア(宮城県)住宅用太陽光発電の経済効果シミュレーション
2023年 北陸電力エリア(石川県)住宅用太陽光発電の経済効果シミュレーション
2023年 中部電力エリア(愛知県)住宅用太陽光発電の経済効果シミュレーション
2023年 中国電力エリア(広島県)住宅用太陽光発電の経済効果シミュレーション?
2023年 九州電力エリア(福岡県) 住宅用太陽光発電の経済効果シミュレーション?
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著者プロフィール(太陽光・蓄電池シミュレーションエキスパート)
会社名:国際航業株式会社
部署名:公共コンサルタント事業部カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG
執筆者名:樋口 悟
執筆者の略歴:国際航業株式会社エネルギー部デジタルエネルギーグループ。エネルギー診断クラウドサービス「エネがえる」担当。1996年東京学芸大学教育学部人間科学課程スポーツコーチ学科卒業。1997年上場大手コールセンター会社に入社、2000年大手上場小売企業グループのインターネット関連会社で最年少役員に就任。2011年に独立起業。大企業向けにSNSマーケティングやアンバサダーマーケティングを提供するAsian Linked Marketingを設立。30以上の大手上場企業のプロジェクトを担当。5年で挫折。2016年国際航業株式会社新規事業開発部に入社しエネルギー領域の事業開発、エネがえる事業開発を担当。
太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションの国内唯一のエキスパートとして、大手電力・ガス会社、有名太陽光・蓄電池メーカー、全国販売施工店・工務店など約700社以上と、最近ではエネルギー政策立案サイド(国・官公庁・地方自治体)で太陽光・蓄電池推進政策をしている方々へもエネがえるを活用した太陽光・蓄電池経済効果シミュレーションやアドバイスを提供している。
執筆記事:https://energy-shift.com/news/author/71cbba7e-dbbc-4728-9349-9cdbed975c6e
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