EV(電気自動車)+再エネ拡販の現場課題と解決策 業界共通のボトルネックをエネがえるBPOで解消

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国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

エネがえるEV/V2H
エネがえるEV/V2H

EV(電気自動車)+再エネ拡販の現場課題と解決策 業界共通のボトルネックをエネがえるBPOで解消

はじめに: EV普及拡大への期待と現状

世界的なカーボンニュートラルの潮流を受け、日本でも電気自動車(EV)の普及拡大が急務となっています。政府は2035年までに乗用車新車販売で電動車(HV・PHV・EV・FCV)100%を目標に掲げ、充電インフラも2030年までに大幅拡充する計画です。

しかし2025年現在、日本の新車販売に占めるEV・プラグインハイブリッド車(PHEV)の比率はわずか2.57%に留まっています。このギャップを埋めるには、自動車メーカー・ディーラーから住宅メーカー、電力・ガス会社、販売施工店に至るまで業界横断でEV普及策を強化することが不可欠です。

各業界の経営層・営業責任者やマーケティング担当者はEV拡販戦略を模索していますが、その現場ではどのような課題が立ちはだかっているのでしょうか。

本記事では、EV販売・提案業務における 現場のボトルネック を世界最高水準の解像度で解析し、問題点を洗い出すとともに、その解決策として注目される BPO/BPaaS(業務アウトソーシング)によるアプローチを提案します。難解な専門用語もできるだけ平易に解説し、実在データと出典を明示することで、信頼性の高い考察を展開します。

参考:「エネがえる」が環境省の脱炭素推進を支援 ~補助金申請が劇的に増加した定量分析の力~ 

参考:国際航業、エコリンクスと提携し、再エネ導入・提案業務を支援する 「エネがえるBPO/BPaaS」を提供開始 経済効果の試算・設計・補助金申請・教育研修を1件単発から丸ごと代行まで柔軟に提供 ~経済効果試算は1件10,000円から 最短1営業日でスピード納品~ | 国際航業株式会社 

参考:「エネがえるEV‧V2H」の有償提供を開始~無料で30日間、全機能をお試しできるトライアル実施~(住宅用太陽光発電+定置型蓄電池+EV+V2Hの導入効果を誰でもカンタン5分で診断/クラウド型SaaS) | 国際航業株式会社 

参考:「自治体スマエネ補助金検索サービス」を提供開始 約2,000件の国や地方自治体の創・蓄・省エネ関連補助金を網羅 ~クラウド 型太陽光・蓄電池提案ツール「エネがえる」契約企業向けに無償提供~ | 国際航業株式会社 

参考:再エネ導入の加速を支援する「エネがえるAPI」をアップデート 住宅から産業用まで太陽光・蓄電池・EV・V2Hや補助金を網羅 ~大手新電力、EV充電器メーカー、産業用太陽光・蓄電池メーカー、商社が続々導入~ | 国際航業株式会社 

業界横断で求められるEV拡販の取り組み

EVの普及には複数業界の連携が欠かせません。自動車メーカー・ディーラーは魅力的なEV製品を投入しつつ、販売店で顧客にEVの価値を正しく伝える役割を担います。従来のガソリン車販売とは異なり、EV販売にはバッテリーや充電インフラ、電力契約など新たな知識が必要であり、販売スタッフには専門スキルの習得が求められます。

一方、住宅メーカーは家とEVを一体のライフスタイルとして提案する動きが重要です。住宅購入時にEV用屋内配線や充電設備、さらにはV2H(Vehicle to Home、EVを家庭用電源として活用する仕組み)の提案ができれば、顧客にとって大きな付加価値となります。電力・ガス会社も電気自動車の普及に伴う電力需要増加や充電インフラ整備にビジネスチャンスを見出しています。例えば電力会社はEVユーザー向けの新料金プランや充電サービス、ガス会社もエネルギーマネジメント事業への展開を模索しています。さらに、太陽光発電や蓄電池の販売施工店にとってもEVは新たな商機です。太陽光+蓄電池+EV充放電(V2H)を組み合わせたエネルギー自給自足の提案など、総合的なエネルギーソリューションとしてEVを位置付ける動きが進んでいます。

参考:パナソニックが「おうちEV充電サービス」に「エネがえるAPI」を導入 〜 エネがえるAPIの電気料金プランシミュレーション機能と単価参照機能 がパナソニックの 「おうちEV充電サービス」の実現に貢献〜 | 国際航業株式会社 

このようにEV拡販には多様な業界が関わりますが、重要なのは業界間の連携によるワンストップサービス体制です。

例えば自動車ディーラーが単に車を売るだけでなく、家庭用充電設備や太陽光発電・蓄電池システム、V2H連携まで含めた包括提案を行うには、太陽光メーカーや蓄電池メーカー、施工業者、電力・ガス会社との協働が不可欠です。各社が自社単独で抱え込むのではなく、異業種パートナーと連携して初めて顧客に最適なEV導入プランを提示できる時代となっています。

しかし、こうした総合提案を実現するための現場オペレーションには多大な負荷がかかります。次章では、EV販売・提案業務の現場で実際に生じている具体的な課題を掘り下げ、業界の慣習や盲点となっている問題を明らかにします。

EV販売・提案業務における主要課題

国際航業株式会社が2025年に実施した調査によれば、EVや関連サービス(V2H等)の販売・提案に関わる担当者の92.5%が業務上の課題を感じていると回答しました。つまり、ほぼ全ての現場担当者が何らかの問題意識を持っている状況です。では具体的にどのような課題があるのでしょうか。販売・提案プロセスを段階別に見ると、大きく以下の領域でボトルネックが報告されています。

参考:[独自レポートVol.29]EV/V2H関連の販売・提案業務に、92.5%が「課題」を実感 社内のスキルに課題を実感する80.6%が、負担業務の外部委託に興味 ~BPOサービス活用で業務効率化とスキルギャップを解消できるか~ | エネがえる総合ブログ – リサーチ | 商品・サービス | 国際航業株式会社 

参考:「エネがえる」が環境省の脱炭素推進を支援 ~補助金申請が劇的に増加した定量分析の力~ 

1. データ収集・分析の手間

EV提案の入り口として、顧客のエネルギー利用実態を把握する工程があります。例えば「お客様の電気料金プランや契約情報のヒアリング・収集」は地道な聞き取り作業を要し、37.4%の担当者が「特に工数がかかる」業務に挙げました。

家庭向けの場合、現在の電力会社や契約容量、料金プランを確認し、さらに電気使用量のデータ(検針票やスマートメーターの30分ごとの消費電力量データ等)を入手する必要があります。この「30分値」電力データの入手・整形も32.8%の回答者が負担感を示しており、データ形式の変換や不足値の補完など煩雑な処理に時間を取られています。また、得られた消費電力データをグラフ化して需要分析する作業も14.2%が工数大と回答しています。

こうしたデータ収集・分析フェーズでは、多くの担当者が1件あたり1~2時間程度を費やしているのが実情です。ヒアリングシートの記入や複数月分の電力使用量データ整理など、顧客1件ごとに細かな作業が発生し、それが営業担当者の負担となっています。「電気の素人」であるお客様から正確な契約情報を聞き出す難しさや、家庭ごとの電力使用パターンのばらつきもあり、データ揃えに手間取っている現場の様子が浮かび上がります。

2. 設計・シミュレーションの難易度

次に、集めたデータを基に最適なシステム提案を設計し、経済性を試算する工程があります。ここがEV拡販のキモであり、提案書の核となる部分ですが、調査では41.1%もの担当者が「経済メリット・投資回収試算の作成」を最も工数がかかる業務に挙げました。

具体的には、EVを導入することでガソリン代がどれだけ節約できるか、太陽光発電や蓄電池と組み合わせた場合に電気代がどの程度削減できるか、初期投資に対して何年で元が取れるか(ROI=投資回収期間)は何年か、といった経済効果シミュレーションを行う作業です。これは専門的な知識と計算ツールを要するため、多くの担当者にとって大きな負担となっています。

提案シミュレーションの難しさは、不確実性の高い要素を扱う点にもあります。例えば「EVの充放電パターンの予測」や「将来の電気料金単価の変動予測」はシミュレーション作成時の困難点としてそれぞれ38.1%の回答者が挙げ、最も頻出する課題となりました。ユーザーが実際どの時間帯にどれだけEVを走らせ充電するかは千差万別であり、それによって購入後の電費メリットも変わります。

また今後の電気代や燃料価格、制度(補助金・税制)の変化も読みにくく、前提条件次第で試算結果が大きく変わる難しさがあります。太陽光発電や蓄電池との併用効果の計算(20.9%)や、季節変動・使用環境の変化を織り込むこと(17.2%)も課題に挙がっており、総じて精緻なシミュレーションを行うには高度な専門知識と労力が必要なことが分かります。

さらに、設計・シミュレーション業務では「製品の最適組み合わせ選定(EV本体・V2H機器・太陽光パネル・蓄電池容量)」に悩むケースも多く、19.4%が工数大と回答しています。

膨大な組み合わせの中から、顧客の予算や目的に合ったシステム構成を決めるには経験とセンスが要求され、カタログスペックだけでは語れない判断が必要です。また試算結果の検算や他シナリオとの比較(「複数パターンでの比較検討」22.4%)も欠かせず、算出した数字の整合性チェックに17.9%が負担を感じています。

このように、EV提案に伴う設計・試算フェーズは高度に専門的かつ時間を要するため、多くの現場担当者の悩みの種となっているのです。

3. 提案書・ドキュメント作成の負担

シミュレーションによって得られた有望な数値も、お客様に伝わる形の資料に落とし込まなければ意味がありません。

提案書・見積書の作成や社内稟議用資料の準備など、ドキュメント作成・調整の工程も重要です。この段階ののボトルネックは、「顧客からの差し戻し対応・再提出」だという結果が出ています。アンケートでは39.6%の担当者が「書類の差し戻し対応」に最も手間がかかると答えました。

精魂込めて作った提案書でも、顧客から追加の要望や修正依頼が入れば、その都度資料を更新し再提案しなければなりません。ときには設備仕様や試算条件の変更に伴い、シミュレーションをやり直して再計算することもあり、営業担当者にとって頭の痛い作業です。

また初回提案書・見積書の作成そのものも27.6%の人が負担だと感じています。EVや充電器、太陽光・蓄電池まで含めた複合提案になるとページ数も多くなり、分かりやすい資料作りには工夫が必要です。グラフや図版を盛り込みつつメリットを訴求するにはプレゼンスキルも要求され、営業スキルと技術知識の両面が試されます。さらに契約関連書類の準備・処理(15.7%が課題感)も煩雑です。補助金申請用の書類やリース・ローン書類、社内決裁資料など、提案が具体化するにつれて発生する事務処理も馬鹿にできません。

ドキュメント作成フェーズでは、多くの担当者が平均30分~1時間以上の時間を割いており、差し戻し対応が発生すればさらに工数が増大します。

別の調査では、再エネ商材(太陽光・蓄電池)の販売施工会社の約8割が「提案書作成の負担で顧客対応が遅れる」と感じているとの結果もあります。これは提案業務に忙殺されるあまり、新規顧客開拓やフォローアップといった本来注力すべき活動がおろそかになることを意味します。

提案書作成という経営層やマネジメント層には見えづらい現場の作業コストが、結果的に営業機会の損失や顧客満足度低下を招きかねない深刻な課題なのです。

4. 補助金対応・アフターサポートの課題

EV拡販において見逃せないのが、販売後のフォロー業務や周辺手続きです。調査では「納車後の顧客対応・メンテナンス案内」を最も工数がかかると感じる担当者が46.3%にも上りました。EVは購入して終わりではなく、充電方法のレクチャーや定期メンテナンスの案内、時にはソフトウェアアップデートへの対応など、長期的なお付き合いが必要です。

特に初めてEVを買う顧客にとって、購入後の不安を取り除く丁寧なサポートが欠かせません。販売店は24時間対応のヘルプデスクや充電プランのアドバイスなど、手厚いアフターサービス体制を求められるケースもあります。しかし人手や時間に限りがある中で、納車後1台1台の顧客フォローに十分なリソースを割くのは難しく、結果として担当者に過重な負担がのしかかっているのが現状です。

また、EVや関連システム導入には国や自治体からの補助金が適用できるケースが多く、その申請サポートも重要な業務です。「補助金の適用可否チェック・申請サポート」を最も負担に感じると答えた人が34.3%にのぼりました。補助金情報のアップデート、要件の確認、申請書類の準備・提出まで、専門知識と注意力が求められる作業です。補助金は期限や先着枠もあるためスピード勝負の側面もあり、営業担当者が通常業務の合間に対応するには荷が重いこともしばしばです。

これら「補助金・アフター対応」の業務も、1件あたり平均30分~1時間以上かかるのが一般的で、場合によってはそれ以上の時間を取られることもあります。特に納車直後は問い合わせも多く集中しがちで、販売現場にとっては見えにくいコストとなっています。EVビジネスの拡大に伴い顧客数が増えれば増えるほど、このアフター対応負荷は指数的に大きくなるため、将来に向けた対策が求められる領域です。

5. 社内の知識・スキル不足による提案力ギャップ

以上のような各工程の課題の根底には、人材のスキルギャップという問題が横たわっています。アンケートでは、EV関連の最適提案を行うための社員の知識やスキルに課題があると感じている人が実に82.8%にも達しました。「非常にそう思う」30.6%、「ややそう思う」52.2%であり、ほとんどの企業で人材の力量不足が経営課題になっていることが伺えます。

特に具体的に不足している知識として挙がったのが、「V2Hの仕組みや利点に関する知識」で、回答者の63.1%が社内で不足していると指摘しました。V2HとはEVを家の蓄電池代わりに活用する技術ですが、そのメリット(非常用電源やピークシフト等)や動作原理を十分理解していない営業担当者が多いことを示唆しています。

次いで「電気自動車そのものの技術的理解」(39.6%)「電力料金体系や電力システムの理解」(36.9%)も不足分野に挙げられました。つまり、EVのバッテリー・モーター等の技術や、電気代の仕組み・時間帯別料金プラン等について知識が追いついていないケースが多いのです。

また経済効果試算や投資回収計算のスキル**不足(34.2%)も指摘されており、前述したROIシミュレーションの難しさが人材側の課題としても表れています。

このようなスキルギャップが存在する背景には、急速なEV・再エネ技術の進展に現場教育が追いついていない事情があります。

EVは従来の内燃車と勝手が違うため、営業もサービスも新しい知識をゼロから身につけねばなりません。しかし各社内で計画的な研修や人材育成を行うにも限界があり、現場では「手探りで提案している」のが実情です。

その結果、本当は提案できるはずの太陽光やV2Hの付加価値を十分説明できずに機会損失したり、誤った試算で後からクレームになったりするリスクも抱えています。知識不足は提案品質のばらつきや営業効率低下に直結する重大な問題であり、多くの企業がこの解決に頭を悩ませています。

以上見てきたように、EV拡販の現場にはデータ収集から提案書作成、フォロー業務、人材育成まで多岐にわたる課題が山積しています。

では、これらのボトルネックをどう解消すればよいのでしょうか。次章では解決策の一つとして浮上している業務の外部委託(アウトソーシング)の可能性について考察します。

課題解決へのアプローチ: 業務アウトソーシング(BPO)の可能性

上記の調査では、EV販売・提案業務で課題を感じている担当者の80.6%が「負担に感じている業務を外部に委託することに興味がある」と回答しました。つまり大半の現場人員が、社内リソースだけで抱え込まず外部の力を借りることに前向きなのです。

特に社内スキル不足を痛感している人に限ればその傾向は顕著で、専門知識・ノウハウの高さを外注先に求める声が最も多く、56.0%が重視点に挙げています。次いでサービス料金の安さ(44.0%)、対応スピードの速さ(39.0%)、セキュリティ・機密保持の安全性(34.0%)と続きました。要するに、「知見が豊富で」「費用対効果が高く」「迅速かつ安全」に業務を任せられるなら、ぜひ委託したいと考えているわけです。

こうしたニーズに対し、有力な解決策として注目されるのがBPO(Business Process Outsourcing)、さらにはBPaaS(Business Process as a Service)と呼ばれるサービスモデルです。

参考:国際航業、エコリンクスと提携し、再エネ導入・提案業務を支援する 「エネがえるBPO/BPaaS」を提供開始 経済効果の試算・設計・補助金申請・教育研修を1件単発から丸ごと代行まで柔軟に提供 ~経済効果試算は1件10,000円から 最短1営業日でスピード納品~ | 国際航業株式会社 

参考:「エネがえる」が環境省の脱炭素推進を支援 ~補助金申請が劇的に増加した定量分析の力~ 

BPOとは企業の業務プロセスの一部を専門の外部業者に委託することで、コア業務に経営資源を集中させ生産性を高める手法です。

経営学では「コア・コンピタンスにならない分野は、それを得意とする他社にアウトソーシングせよ」とも言われます。まさにEV提案における煩雑なデータ処理や試算・書類作成業務は、多くの企業にとって本来の強み(コア)ではなく手段に過ぎません。そこを専門家に委ねることで、自社は顧客対応や戦略立案といった本質業務に集中できるようになります。

BPaaSはBPOをさらにクラウドサービス化・オンデマンド化した概念で、必要な時に必要なだけ専門業務を外注できる柔軟なモデルです。従来のアウトソーシングが長期契約や人月ベースでの委託が多かったのに対し、BPaaSは「サービスとしての業務代行」を謳い、クラウド上で発注・受領が完結するなどスピードとスケーラビリティに優れます。まさに先述のニーズである「安価で迅速、必要なときに柔軟に」業務を任せるのに適した形態と言えます。

実際、同じ調査の中で「1回あたりどのくらいの価格なら外部委託を利用したいか」いう問いに対し、多くの人がデータ収集整備や効果シミュレーションなら1~3万円未満程度を許容すると答えています。

また社内研修の外注に対しても同様の価格感を持つ人が多い結果でした。つまりスポット的な業務代行**であれば数万円の予算で依頼したいというのが一つの相場観のようです。BPaaSならこの範囲で高度な専門サービスを提供することも十分可能でしょう。

さらに、金融機関の分野でも業務BPOの有用性が確認されています。例えば太陽光・蓄電池システムの融資審査・評価業務についての調査では、86.0%の担当者が現状の業務に課題を感じ、73.0%が外部委託は「有益だ」と回答しています。具体的な課題には「市場予測の不確実性が高い」(59.3%)、「データ収集に時間がかかる」(54.7%)、「専門知識・経験が不足」(45.3%)などが挙がり、これらはまさに先述のEV提案業務と類似した構図です。金融機関ですら専門知見不足を感じる高度な分野であること、そして専門家に任せることの有益性が認識され始めていることは、EV拡販の現場にも示唆的です。

参考:[独自レポートVol.30]【金融機関における太陽光・蓄電池システムの融資審査・評価の実態とは?】 担当者の86.0%が「課題あり」 73.0%が外部委託は「有益」と回答 | エネがえる総合ブログ – リサーチ | 商品・サービス | 国際航業株式会社 

以上のように、非中核業務は積極的に外部活用するという発想は徐々に広がりを見せています。

特にEV・再エネといった新領域では、自前主義に拘っていては人材育成やノウハウ蓄積が目標達成に追いつかない可能性があります。

他社の専門スキルを柔軟に取り入れることで、自社の弱みを補完しつつ強みに注力することが、結果として市場での競争優位につながるでしょう。次章では、そうしたニーズに応える具体的なサービスソリューションである「エネがえるBPO/BPaaS」に焦点を当て、その特徴と導入メリットを見ていきます。

再エネ業務特化型ソリューション「エネがえるBPO/BPaaS」とは

上記の課題を受けて国際航業株式会社は、EV・太陽光・蓄電池など再生可能エネルギー関連の提案業務を丸ごと外部委託できる新サービス「エネがえるBPO/BPaaS」を2025年に開始しました。これは同社が提供してきた業界標準のクラウド型経済効果シミュレーター「エネがえる」シリーズの技術基盤に、提携パートナー企業であるエコリンクス社の現場ノウハウを融合させたハイブリッド型の業務代行サービスです。

エネがえるシリーズは、環境省などの官公庁や全国地方自治体、パナソニック、シャープ、オムロン、住友電工、村田製作所、エリーパワー、ネクストエナジー・アンド・リソース、エクソルなどの大手太陽光・蓄電池メーカーや商社、東京ガス、東邦ガス、ソフトバンク等の大手電力・ガス会社、トヨタ自動車など大手自動車メーカー、大和ハウス工業などの大手住宅メーカーなど業界を代表する大手事業者から全国販売施工店・工務店が700社以上・年間15万回の診断実績を誇る業界標準の経済効果シミュレーションツール(SaaS・API)です。

いわば最先端のデジタルツールと人間の専門知識・マンパワーを組み合わせ、EV/再エネ導入に関わる煩雑な業務を“一括代行”するソリューションとなっています。

エネがえるBPO/BPaaSが提供する主なサービスメニューは以下の通りです:(メニューと料金目安はこちら

  • 1. 設計支援・レイアウト作図代行: 太陽光発電システムを設置する際の基本設計やレイアウト図面作成を専門チームが代行します。例えば住宅の屋根に太陽光パネルを載せるレイアウト図、必要なパネル枚数やパワーコンディショナ容量の算定など、シミュレーション前提となる設計作業をサポート。蓄電池やEV充電器を組み込んだ最適構成の検討も含め、経験豊富な技術者が高品質なプランを策定します。これにより販売施工店や住宅メーカーは、自社に設計技術者がいなくともプロレベルの設計図を入手できます。

  • 2. 経済効果シミュレーション代行・診断レポート作成: 同社開発の経済効果シミュレーター「エネがえるASP」や「エネがえるEV・V2H」を駆使して、太陽光・蓄電池・EV・V2H導入による電気代削減効果や投資採算を迅速に試算し、その結果をわかりやすいレポートにまとめて提供します。家庭向けの太陽光+EV提案から、企業向け自家消費型太陽光プロジェクトのROI分析まで、1件から大量案件まで幅広く対応可能です。単発利用は1件あたり1万円~(ボリュームディスカウント有)という従量課金で、ウェブ上から依頼すれば最短即日~1営業日で納品されるスピード対応が特徴です。この業界最高水準の即応性によって、営業現場はお客様を待たせず迅速に提案できるようになります。実際、先述のように1件あたり数時間かかっていた試算業務をアウトソースすることで、大幅な時短が期待できます。

  • 3. 補助金申請・行政手続き代行: 再エネ設備の導入時に必要となる各種申請業務も専門チームが請け負います。具体的には国や自治体の補助金申請書類の作成・提出代行、経済産業省への設備認定や系統連系申請の代行などです。煩雑でミスの許されない申請プロセスをプロに任せることで、申請漏れや遅延を防ぎつつ担当者の精神的負担も軽減されます。補助金ごとに異なる要件チェックや最新情報の把握もサービス側で行うため、社内で逐一情報収集する手間も省けます。

  • 4. 教育研修サービス: 社内のスキル不足を補うための研修プログラムも提供しています。太陽光・蓄電池の基礎知識から応用、さらにはエネがえるシミュレーションツールの使い方に特化した研修まで、オンライン・対面いずれにも対応可能です。EV・V2Hの基礎や最新動向について学ぶ講座を外部委託すれば、社内講師を抱えずとも人材育成が図れます。「研修もアウトソーシング」という発想で、社内の知識底上げ最新ノウハウ習得を効率良く実現します。

これらメニュー以外にも、個別企業のニーズに応じたカスタマイズサービスや、施工パートナーネットワークを活かした現地工事のコーディネート支援など、エネがえるBPOは柔軟にサービスを拡張しています。

参考:「エネがえる」が環境省の脱炭素推進を支援 ~補助金申請が劇的に増加した定量分析の力~ 

たとえば「自社の提案書フォーマットに合わせたレポートデザインにしてほしい」「この地域で施工までお願いしたい」といった要望にも応えられる体制です。単発のスポット利用から年間契約による包括委託までスケールに応じて対応できる点も特徴で、繁忙期だけ外注して平時は内製化するといった使い分けも可能です。

固定費を抱えず必要な分だけ変動費化できるため、中小企業から大手まで導入メリットがあります。

実際の導入効果として期待できるのは、「提案スピードと成約率の向上」です。高度なシミュレーションを駆使した説得力ある提案資料が短時間で手に入れば、営業は迅速にお客様へ提案し、競合他社に先んじてクロージングできます。

またプロがチェックした高品質な試算・設計に裏打ちされた提案書は信頼性が高く、顧客の納得感も増すため成約率アップに寄与します。さらに「業務平準化と新規商談創出」も見逃せません。忙しい時期だけ外部に頼ることで自社スタッフの残業や応援要員の増員を避けられ、人材不足を補完しつつ安定した業務処理が可能になります。

空いた時間を新規顧客発掘やフォローに充てれば、売上拡大の好循環が生まれます。実際、ある調査では再エネ販売会社の約9割が技術人材不足に悩えているとの結果も出ており、BPOはこうした慢性的リソース不足の打開策ともなり得ます。

もちろん外部委託に対する不安要素(情報漏洩リスクや自社ノウハウ蓄積が進まない等)も指摘されますが、エネがえるBPOでは契約上の機密保持は厳守しつつ、むしろ標準化された高品質プロセスを社内に取り込み、将来的な内製化も視野に入れた支援を謳っています。

単に丸投げするのではなく、プロのやり方を学び自社に転用すること段階的な自走力強化にもつなげられるのです。言わばアウトソーシングと人材育成のハイブリッドであり、これからのBPaaS時代を見据えた新しいパートナーシップモデルといえるでしょう。

おわりに: EV拡販加速に向けた新戦略

EVシフトの大波を前に、自動車・住宅・エネルギー業界の各企業は従来にない発想と体制で挑むことが求められています。

現場の声から浮かび上がったデータ整備の手間、試算の難しさ、書類対応の過重負担、人材スキル不足といった課題は、放置すれば営業現場を疲弊させEV普及のブレーキにもなりかねません。しかし裏を返せば、これらのボトルネックを解消できれば提案効率と品質が飛躍的に向上し、EV拡販のエンジンを高回転で回せるようになるということです。

解決策の一つとして取り上げた業務BPO/BPaaSの活用は、まさにその鍵を握っています。

専門家の知見と最新ツールを柔軟に借りることで、自社では難しかった高度な提案も短期間で実現可能になります。BPO導入によって営業担当者は本来の顧客対応や関係構築に集中でき、働き方改革にもつながります。

加えて、提案スピードアップによる機会損失の削減、提案精度向上による顧客満足度アップ成約率アップなど、ビジネス上のメリットは計り知れません。事実、既にEV・再エネ先進企業の中には外部リソースを上手に取り入れて急成長している例も現れています。旧来型の「自前主義」に縛られず、オープンな姿勢でパートナーと協創することがEV時代を勝ち抜くポイントになるでしょう。

最後に、EV普及拡大は単に一社の利益追求に留まらず、社会全体のサステナビリティ向上に直結する重要な使命です。

販売現場の努力が実を結び、一人でも多くの顧客が電気自動車の鍵を手にすることは、脱炭素社会への大きな一歩となります。その実現のために、本記事で述べたような課題を直視し、最新のソリューションを積極的に採り入れることが欠かせません。「人にしかできないことは人が、機械や他社に任せられることは任せる」という発想で、賢くリソースを配分しながら組織を変革していきましょう。そうすることで、各業界が一体となってEV拡販を力強く推進し、日本全体でカーボンニュートラルへの道を切り拓いていけるはずです。


ファクトチェックと出典一覧

  • EV提案業務の課題認識: EVやV2Hの販売・提案において現場担当者の92.5%が何らかの課題を感じています。

  • 負担の大きい業務: 提案業務で特に工数がかかるのは「経済メリット・投資回収試算の作成」(41.1%)で最多。次いで「顧客の電気料金プラン等のヒアリング」(37.4%)や「30分値データの入手・整形」(32.8%)も負担が大きいと報告されています。

  • 各工程に平均1時間程度: データ分析・試算・書類作成など多くの工程で、1件あたり「30分~2時間未満」の作業時間が発生しており、負荷となっています。

  • シミュレーションの課題要因: 提案シミュレーションで難しい点として「EVの充放電パターン予測」と「将来の電気料金変動予測」をそれぞれ38.1%が挙げ、最も多くなっています。

  • 社員スキル不足: EV提案に必要な社内知識・スキルに課題があると感じる担当者は82.8%に上り、特に「V2Hの仕組み・利点の知識」が不足していると63.1%が指摘しています。

  • 外部委託意向: 課題を感じている担当者の80.6%が業務の外部委託に興味を示し、重視点は「専門知識・ノウハウの高さ」(56.0%)、「料金の安さ」(44.0%)、「対応速度」(39.0%)などとなっています。

  • 金融機関での類似傾向: 太陽光・蓄電池の融資審査でも担当者の86.0%が課題を感じ、73.0%が外部委託は有益と回答しています。課題には「市場予測の不確実性」(59.3%)や「データ収集に時間」(54.7%)等が挙がりました。

  • 政府目標と現状: 日本政府は2035年までに新車販売を100%電動車化する目標を掲げていますが、2025年時点でEV/PHEVの新車販売比率は約2.57%にとどまります。普及加速には販売現場の効率化・提案力強化が急務です。

  • 再エネ業界の人材不足: 太陽光・蓄電池販売施工企業では約9割が技術人材不足に悩み、約8割が提案書作成の負担で顧客対応が遅れていると回答しています。業務BPOへの期待が高まる背景となっています。

  • エネがえるBPO/BPaaSの特徴: 「エネがえるBPO」は設計代行・経済効果試算・補助金申請・研修支援を専門チームが一括対応するサービスで、1件1万円~・Web発注・最短即日納品という柔軟かつ高速な提供形態を実現しています。各業界(再エネ事業者、自治体、金融機関等)の多様なニーズに応える業界特化型BPOです。

参考:「エネがえる」が環境省の脱炭素推進を支援 ~補助金申請が劇的に増加した定量分析の力~ 

参考:国際航業、エコリンクスと提携し、再エネ導入・提案業務を支援する 「エネがえるBPO/BPaaS」を提供開始 経済効果の試算・設計・補助金申請・教育研修を1件単発から丸ごと代行まで柔軟に提供 ~経済効果試算は1件10,000円から 最短1営業日でスピード納品~ | 国際航業株式会社 

参考:「エネがえるEV‧V2H」の有償提供を開始~無料で30日間、全機能をお試しできるトライアル実施~(住宅用太陽光発電+定置型蓄電池+EV+V2Hの導入効果を誰でもカンタン5分で診断/クラウド型SaaS) | 国際航業株式会社 

参考:「自治体スマエネ補助金検索サービス」を提供開始 約2,000件の国や地方自治体の創・蓄・省エネ関連補助金を網羅 ~クラウド 型太陽光・蓄電池提案ツール「エネがえる」契約企業向けに無償提供~ | 国際航業株式会社 

参考:再エネ導入の加速を支援する「エネがえるAPI」をアップデート 住宅から産業用まで太陽光・蓄電池・EV・V2Hや補助金を網羅 ~大手新電力、EV充電器メーカー、産業用太陽光・蓄電池メーカー、商社が続々導入~ | 国際航業株式会社 

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著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

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たった15秒でシミュレーション完了!誰でもすぐに太陽光・蓄電池の提案が可能!
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