目次
- 1 なぜ電気自動車(EV)と再エネと電気料金プランの提案は複雑になるのか?なぜエネがえるが唯一の解決策なのか?
- 2 序章:複雑なエネルギー時代の幕開け
- 3 第1章 日本のエネルギー・トリレンマ:政策、電力、モビリティが織りなす難解なパズル
- 4 第2章 EV革命のサイレント・キラー:利用者が抱える「言えぬ不満」の正体
- 5 第3章 不可欠な実現者:いかにして「エネがえる」は難解な方程式を解くのか
- 6 第4章 次なるフロンティア:「エネがえる」が描く産業・業務部門の脱炭素化
- 7 第5章 システム的解決策:「VPPの未来」を支える基盤としてのエネがえる
- 8 第6章 ステークホルダーへの実践的ブループリント:エネがえる活用ガイド
- 9 結論:複雑性から明確性へ、停滞から行動へ
- 10 FAQ(よくある質問)
- 11 ファクトチェック・サマリー
なぜ電気自動車(EV)と再エネと電気料金プランの提案は複雑になるのか?なぜエネがえるが唯一の解決策なのか?
序章:複雑なエネルギー時代の幕開け
日本は今、グリーン・トランスフォーメーション(GX)政策を通じて未来を設計する、極めて重要な岐路に立たされています。そのビジョンは明確です。再生可能エネルギー(再エネ)とクリーンなモビリティを動力源とする脱炭素社会の実現。しかし、この未来への道は、かつてないほどの複雑さに満ちています。
電気自動車(EV)、V2H(Vehicle to Home)、太陽光発電、そして最適化された電力料金プランを組み合わせることで得られる相乗効果は計り知れません。しかし、まさにこのシナジーが、消費者にとっては意思決定を麻痺させ、事業者にとっては乗り越えがたい販売上の障壁となる、複雑な変数の網の目を作り出しています。これを「シナジー・パラドックス」と呼びます。
潜在的な利益が大きければ大きいほど、その実現は困難になるのです。
本レポートは、この深刻な複雑性こそが日本のエネルギー転換における最大のボトルネックであるという論考を、多角的なエビデンスに基づき展開します。
そして、このパラドックスを解決するために、国際航業が提供する高度なデータ駆動型シミュレーションプラットフォーム「エネがえるASP」「エネがえるEV・V2H」「エネがえるAPI」「エネがえるBPO」「エネがえるシミュレーション保証」が、いかに不可欠な触媒であるかを明らかにします。
本稿が提示するのは、「エネがえる」は単なる便利なツールではなく、国の政策的野心と市場の現実を一致させ、EVと再エネの全国的な普及を同時に加速させるための、事実上の「要(かなめ)」であるという結論です。
第1章 日本のエネルギー・トリレンマ:政策、電力、モビリティが織りなす難解なパズル
1.1 国家の至上命令:GXと第7次エネルギー基本計画の解剖
日本政府は、「GX実現に向けた基本方針」
これは単に太陽光パネルを増やすだけの話ではありません。北海道と本州を結ぶ直流海底送電網の整備といった系統強靭化、自家消費モデルの推進、そして水素や次世代革新炉といった新技術の活用を含む、社会システム全体の変革を意味します
しかし、ここに根源的な課題が潜んでいます。これらの「再エネ比率XX%」や「XX兆円投資」といったマクロレベルの目標を、何百万もの家庭や企業が実行可能な「どの製品を、どのプランで契約するか」というミクロレベルの具体的な行動へと、いかにして翻訳するかという問題です。
1.2 EV普及のパラドックス:失速するエンジン?
世界のEVシフトが加速する一方で、日本の市場は足踏み状態を見せています。一定の成長期間を経て、2024年から2025年初頭にかけてのデータは、BEV(バッテリー式電気自動車)の市場シェアが縮小し、販売台数が前年を下回るなど、普及ペースの鈍化を示唆しています
政府による強力な後押しと、市場の躊躇(ちゅうちょ)というこのパラドックスは、単に車種が少ないといった問題よりも根深い課題の存在を物語っています。これは、EVの総所有コスト(TCO: Total Cost of Ownership)が効果的に伝わっておらず、その背景にある複雑性が購入者の意思決定プロセスに深刻な摩擦を生んでいることの証左と言えるでしょう。
1.3 選択肢のカオス:電力自由化という諸刃の剣
2016年の電力小売全面自由化は、競争を促進し、消費者の選択肢を増やすことを目的としていました。その結果、現在では100社を超える事業者が3,000種類以上の電力料金プランを提供するに至りました
しかし、これは行動経済学で言う「選択のオーバーロード(過負荷)」という典型的な状況を生み出しました。選択肢が多すぎると、かえって人々は意思決定を放棄してしまうのです。EVの購入を検討している消費者にとって、この膨大な選択肢の海から、自身のライフスタイルに最適なプランを見つけ出すことは、専門的なツールなしには事実上不可能です
政府のトップダウンな政策が、市場のボトムアップな複雑性を爆発的に増大させ、両者の間に巨大な「複雑性のギャップ」を生み出しているのです。政策の欠如でも、選択肢の欠如でもなく、「明確さの欠如」こそが、今の市場停滞の根本原因なのです。
第2章 EV革命のサイレント・キラー:利用者が抱える「言えぬ不満」の正体
業界関係者が常識として見過ごしがちながら、多くの消費者が「何か違う」と感じている不満、いわば「もやもやしている事象」が存在します。これこそが、EV普及を阻む真の障壁です。
2.1 アンペアの罠:EV移行で見過ごされる最大のコスト
これは業界にとって「不都合な真実」です。家庭に一般的な3kWや6kWのEV充電器を設置すると、家庭の最大電力需要は急増します。例えば、6kWの充電器は単体で30A(アンペア)の電力を必要とします
一般的な40A契約の家庭では、EV充電中にエアコンや電子レンジを同時に使用すれば、ほぼ確実にブレーカーが作動します
この「アンペアの罠」は、購入後に発覚する典型的な隠れコストであり、顧客の所有体験を著しく損ないます。販売の現場で事前に十分に説明されることは稀で、深刻な顧客不満の火種となっています
2.2 V2Hの蜃気楼:理想と現実の乖離
V2H技術は、EVを家庭用蓄電池として活用し、電気代を節約し、停電時にも備えられる革命的な技術として宣伝されています
しかし、その現実はより複雑です。EVの直流電力を家庭用の交流電力に変換し、またその逆を行う過程で、無視できないエネルギー損失が発生します。実際のユーザー報告によれば、この変換ロスは38〜40%にも達することがあります
正確なシミュレーションなしには、V2Hで期待された節約効果が、実際には純損失に転じる可能性すらあるのです。これもまた、消費者にとって「話が違う」と感じる大きな要因です。
2.3 手計算の限界:行動的・技術的な行き止まり
この問題を、技術の受容プロセスを説明する技術受容モデル(TAM: Technology Acceptance Model)の観点から分析できます。消費者が新しい技術(EV/V2Hエコシステムなど)を受け入れるためには、それが「有用である(Perceived Usefulness)」と認識され、かつ「使いやすい(Perceived Ease of Use)」と感じられる必要があります
現在の市場は、この両方の点で失敗しています。「有用性」は複雑さによって覆い隠され、「使いやすさ」は存在しません。何千もの電力プランを調べ、契約アンペアの変更を考慮し、V2Hの変換ロスまで計算する認知的な負担は計り知れません。ある分析では、補助金情報の手動調査だけで1700件の事例に23日間を要したとされており
この状況こそ、販売事業者が抱える「もやもや」の正体です。彼らは製品の組み合わせが顧客に利益をもたらすことを知っていますが、それを迅速かつ信頼性をもって証明する術を持たないのです。
費用項目 |
シンプルな「ガソリン代節約」の認識 (誤ったメンタルモデル) |
複雑な現実 (エネがえるが示すモデル) |
車両購入費(CEV補助金込み) |
補助金で安くなる |
補助金で安くなる |
燃料/エネルギー費 |
ガソリン代が電気代に変わり、大幅に安くなる |
走行分の電気代は安くなるが、充電方法と電力プランに大きく依存 |
月額電気基本料金 |
変わらない、または少し増える程度 |
契約アンペア/kVA上昇により、毎月数千円増加する可能性 |
契約変更に伴う電気工事費 |
考慮外 |
数万円〜十数万円の初期費用が発生する可能性 |
V2Hシステム導入費(補助金込み) |
導入すればさらに節約できる |
補助金はあるが、高額な初期投資 |
V2H変換ロスの影響 |
考慮外 |
充放電で最大40%のロスが発生し、経済効果を大幅に減殺 |
10年間の総所有コスト(TCO) |
ガソリン車より圧倒的に有利 |
最適なプランと運用をしないと、想定ほどの差は出ない、あるいは逆転も |
第3章 不可欠な実現者:いかにして「エネがえる」は難解な方程式を解くのか
3.1 コアミッション:「むずかしいエネルギー診断をかんたんにカエル」
「エネがえる」のビジョンは、まさにこの複雑性のボトルネックを解消することにあります
3.2 シンプルさを生むエンジン:プラットフォームの詳細な分解
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データベース: その心臓部には、100社以上、3,000プランを超える電力料金プランの巨大なデータベースが存在し、毎月自動で更新されます。これだけでも、個々の事業者が自前で維持するには膨大なコストがかかる、圧倒的な情報基盤です
。また、国・都道府県・市区町村のスマエネ補助金データベースも2,000件以上が毎月自動でアップデートされています。11 -
シミュレーションロジック: 「エネがえる」の特許取得済みアルゴリズム
は、単なる料金比較に留まりません。家庭のエネルギーエコシステム全体を精密にモデル化します。32 -
太陽光発電量(設置されている場合)
-
家庭の電力消費パターン
-
定置型蓄電池(主要製品99%カバー)、EVの車種(57車種以上)ごとのバッテリー容量や電費
11 -
V2Hまたは通常充電器の充放電スケジュール
11 -
そして決定的に重要なのが、契約アンペア/kVAの変更を織り込み、基本料金の上昇分までシミュレーションに反映させる点です。 これが他にはない、最大の差別化要因です。
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-
アウトプット: プラットフォームは、現状と導入後の経済効果を比較した、グラフ付きの分かりやすい提案書(Excel形式)をわずか5分で自動作成します
。これにより、数時間、あるいは数日かかっていたリサーチ業務が、瞬時にして信頼性の高い営業プレゼンテーションへと変わるのです。11
3.3 導入効果のエビデンス:「時間」から「分」へ、「多分」から「確信」へ
導入企業による事例は、その驚異的な効果を物語っています。太陽光発電の総合企業エクソルは、シミュレーション時間を2〜3時間から5〜10分へと劇的に短縮しました
この効率化は、そのまま高い成約率に直結します。アフターホームは成約率50%を達成
これらは単なる微改善ではありません。ビジネスのあり方を根底から変える、ゲームチェンジングな成果です。
複雑な商談において、最大の障壁は顧客が抱く「間違った選択をしてしまうのではないか」という恐怖です。
「エネがえる」は、この複雑な計算を中立的でデータに基づいた第三者プラットフォームに委ねることで、この恐怖を克服する「信頼の触媒」として機能します。
営業担当者の主観的なセールストークは、客観的なデータのレビューへと変わり、プラットフォームそのものが「真実の源」となるのです。これにより顧客の知覚リスクが低減し、販売サイクルが短縮され、前述の高い成約率が実現します。「エネがえる」が売っているのは製品だけでなく、意思決定への「自信」なのです。
第4章 次なるフロンティア:「エネがえる」が描く産業・業務部門の脱炭素化
4.1 SaaSからAPI、そしてBPaaSへ:戦略的な進化
「エネがえる」は、単なるスタンドアロンのツール(SaaS)に留まりません。そのサービス群の進化は、より大きな野心を示しています。
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API(Application Programming Interface): 「エネがえるAPI」は、他の企業がその強力なシミュレーションエンジンを自社のウェブサイトやアプリケーションに組み込むことを可能にします
。パナソニックが「おうちEV充電サービス」にエネがえるAPIを採用したことは、このプラットフォーム戦略の成功を象徴する事例です35 。これにより、「エネがえる」はエネルギーエコシステム全体の根幹をなす「計算レイヤー」となりつつあります。37 -
BPO/BPaaS(Business Process Outsourcing/as a Service): 「エネがえるBPO/BPaaS」は、シミュレーションや設計、さらには補助金申請業務までをアウトソーシングサービスとして提供します
。これにより、専門知識を持たない中小企業の参入障壁を下げ、大手企業が需要のピーク時に業務を平準化することを可能にします。38
4.2 「物流の2024年問題」をフリートTCO分析で解決する
物流業界は、ドライバー不足と時間外労働規制の強化という「2024年問題」に直面しています
「エネがえる」が予定している産業用フリート対応構想は、この巨大な市場ニーズに直接応えるものです。そのシミュレーション能力を商用車フリートへと拡張し、充電戦略、電力コスト、運用パターンをモデル化することで、企業がEVトラックへの大規模な設備投資を正当化するために不可欠なデータを提供するでしょう。
4.3 変動する市場を飼いならす:市場連動型プランへの重要な一歩
再エネが電力網の主要な部分を占めるようになると、卸電力市場の価格はより変動しやすくなります
消費者にとって、これらのプランは、電力消費を価格の安い時間帯(例えばEVの充電)にシフトできなければ、大きなリスクを伴います。「エネがえる」が開発を進めている市場連動型プランのシミュレーション機能(現在ベータ版)
「エネがえる」は、製品からインフラへと進化する、典型的なB2Bプラットフォーム戦略を実行しています。まず特定ニッチ(住宅用太陽光・EV販売)で最高のSaaSツールを構築し価値を証明(フェーズ1)、次にその中核機能をAPIとして提供しパートナー(パナソニック等)と共に生態系を拡大(フェーズ2)、そしてその信頼性を基盤に隣接する高価値市場(産業用フリート、市場連動型プラン)へ展開する(フェーズ3)。この三段階の進化こそ、一介のベンダーが業界標準へと飛躍するための王道です。
第5章 システム的解決策:「VPPの未来」を支える基盤としてのエネがえる
5.1 個人の節約から、系統規模の資産へ
システム思考で捉えれば、「エネがえる」の真の長期的価値は、個々の経済計算をはるかに超えることが分かります。このツールを使って情報に基づいた意思決定を行い、EVやV2H、蓄電池を導入した各家庭は、それぞれが分散型エネルギーリソース(DER: Distributed Energy Resources)という潜在的な資産になるのです。
そして、この何千、何万ものDERを束ねて制御することで、電力系統を支える巨大な調整力、すなわち仮想発電所(VPP: Virtual Power Plant)が形成されます。
5.2 数百億円規模のVPP/DR市場機会
日本のVPPおよびデマンドレスポンス(DR)市場は、急成長が見込まれており、2030年度には730億円規模に達すると予測されています
このビジネスモデルの主役は、個々のDERを束ねて市場に調整力を提供する「アグリゲーター」です
5.3 エネがえるの役割:スマートグリッドへの「オンボーディング・エンジン」
VPPが直面する根本的な課題は、いかにして顧客を獲得し、参加を促すかです。なぜ家庭の所有者は、見知らぬアグリゲーターに自宅のEV充電を制御させることを許可するのでしょうか?
答えは経済性にあります。参加することが金銭的に魅力的でなければなりません。ここで、「エネがえる」がVPPバリューチェーンの最初の、そして最も重要な環として機能します。
そのプロセスは以下の通りです:
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販売事業者が「エネがえるASP」や「エネがえるEV・V2H」を使い、顧客に太陽光や蓄電池・EV/V2Hシステム導入による基本的な経済メリットを提示する。
-
提案書には、さらにアグリゲーターが提供するVPP/DRプログラムに参加することで得られる追加の収益や割引が、具体的な金額として示される。
-
「エネがえる」の信頼性の高いデータに基づいたシミュレーションが、顧客がプログラムに参加登録するために必要な「証拠」と「自信」を提供する。
この最初の信頼できる経済的検証がなければ、VPP/DRプログラムは、電力系統に意味のある貢献をするために必要な規模を達成するのに苦労するでしょう。「エネがえる」は、「グリッドサービス」という抽象的な概念を、家庭の財務計画上の具体的な数字に翻訳する、唯一無二のツールなのです。
製品名 |
ターゲットユーザー |
主要機能 |
主な差別化要因 |
料金体系 |
エネがえるASP |
住宅用太陽光・蓄電池販売店 |
太陽光・蓄電池の経済効果シミュレーション |
業界標準の提案ツール、豊富な導入実績 |
月額SaaS料金 |
エネがえるBiz |
産業用太陽光・蓄電池EPC事業者 |
産業用自家消費の経済効果シミュレーション |
高圧・特別高圧案件、詳細なデマンド分析に対応 |
月額SaaS料金 |
エネがえるEV・V2H |
自動車ディーラー、V2H販売施工店 |
EV・V2H導入の経済効果シミュレーション |
契約アンペア/kVA上昇を考慮した唯一のツール |
月額SaaS料金 |
エネがえるAPI |
電力会社、自動車メーカー、アプリ開発者 |
各種シミュレーション機能の外部提供 |
柔軟なシステム連携、パナソニック等大手での採用実績 |
APIコール量に応じた従量課金 |
エネがえるBPO/BPaaS |
業務リソースが不足する事業者全般 |
シミュレーション・設計・申請業務の代行 |
専門業務をアウトソース、繁忙期の業務平準化 |
プロジェクト単位の料金 |
第6章 ステークホルダーへの実践的ブループリント:エネがえる活用ガイド
6.1 電力会社向け
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課題: 激化する競争市場での差別化、顧客維持、そしてEV向け新プランや市場連動型プランの販売促進。
-
エネがえる戦略: 「エネがえる」と提携し、共同ブランドのシミュレーションポータルを立ち上げる。自社サイトにエネがえるAPIを組み込み、「あなたに最適なプラン診断」機能を提供する。営業チームに「エネがえるEV・V2H」を導入させ、顧客がEVを購入し、新プランに切り替えることでいかに節約できるかを能動的に提示する。これにより、電力会社は単なる供給者から、信頼されるエネルギーアドバイザーへと変貌を遂げます。
6.2 自動車メーカー・ディーラー向け
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課題: EV販売の大きな足かせとなっているTCOの不確実性の克服
。営業担当者は電気料金に関する詳細な質問に答えられないことが多い。8 -
エネがえる戦略: 「エネがえるEV・V2H」をディーラーの標準的な販売プロセスに組み込む。商談の焦点を「車両価格」から「10年間の総所有コスト」へとシフトさせる。商談中にタブレットでツールを使い、見込み客一人ひとりにパーソナライズされた節約レポートを即座に作成する。これにより、顧客の大きな反論材料が、強力なクロージングツールへと変わります
。53
6.3 太陽光・蓄電池・V2H販売施工店向け
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課題: 単体製品ではなく、太陽光+蓄電池+V2Hという高単価なシステム全体を販売すること。その相乗効果的なROIを証明するのは難しい。
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エネがえる戦略: 「エネがえるASPとエネがえるEV・V2H」のセットを標準提案ツールとして採用する。常に「1) 現状維持」「2) 太陽光のみ」「3) フルシステム(太陽光+蓄電池+EV/V2H)」の3つのシナリオを提示する。電気代上昇率を加味した長期経済効果 を明確にグラフで比較することで、より高額な初期投資を正当化し、蓄電池やV2Hといった高利益率製品のセット販売率を劇的に向上させることができます。
ステークホルダー |
主要なビジネス課題 |
推奨されるエネがえる製品/サービス |
主要な実行ステップ |
期待されるKPI改善 |
電力会社 |
顧客獲得・維持、新プランの販売促進 |
エネがえるAPI、エネがえるEV・V2H |
1. 自社サイトに「最適プラン診断」機能を実装 2. 営業チームにEV導入時のメリット試算を義務付け |
顧客離反率の5%低減、新プラン契約率の15%向上 |
自動車メーカー・ディーラー |
EVのTCOに対する顧客の不安払拭 |
エネがえるEV・V2H |
1. TCOに焦点を当てたマーケティングキャンペーンを展開 2. 全営業担当者への操作研修を実施 |
EV成約率の10%向上、商談時間の20%短縮 |
販売施工店 |
高付加価値製品(蓄電池・V2H)のセット販売 |
エネがえるASP + EV・V2H |
1. 全ての提案で3シナリオ比較を標準化 2. 蓄電池・V2Hのセット販売率を主要KPIに設定 |
蓄電池・V2Hのセット販売率の30%向上 |
物流・フリート事業者 |
商用EV導入のTCO評価、2024年問題への対応 |
エネがえるBiz(フリート対応版) |
1. 既存車両とEVのTCOをフリート全体で比較分析 2. 最適な充電計画と電力契約をシミュレーション |
燃料・エネルギーコストの15%削減、投資回収期間の明確化 |
結論:複雑性から明確性へ、停滞から行動へ
日本のエネルギー転換は、野心、技術、あるいは選択肢の欠如によって停滞しているのではありません。それらが組み合わさった結果生じる、圧倒的な複雑性の重圧によって停滞しているのです。シナジー・パラドックスが市場の慣性を生み出しているのです。
「エネがえる」は、この市場にとって不可欠な「明確化エンジン」です。3,000の電力プランから、隠れた契約アンペアの罠、そしてV2Hの現実まで、絡み合った変数の網を体系的に解きほぐすことで、混乱を自信に置き換えます。それは市場を合理化し、すべてのステークホルダーのインセンティブを一致させ、トップダウンの政策とボトムアップの行動の間にある決定的な翻訳レイヤーを提供するのです。
したがって、「エネがえる」プラットフォームの広範な導入と統合は、単なる商業的な機会ではありません。それは、日本がGXのビジョンを計画通りに達成するための、戦略的な必須要件なのです。
FAQ(よくある質問)
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Q1: 「エネがえる」とは何ですか?誰向けのサービスですか?
A1: 「エネがえる」は、国際航業株式会社が提供する、再生可能エネルギー関連設備(太陽光、蓄電池、EV、V2Hなど)導入時の経済効果をシミュレーションするクラウドサービス(B2B SaaS)です 39。主に、電力会社、自動車ディーラー、太陽光・蓄電池の販売施工店、EPC事業者など、エネルギー関連製品を販売する事業者を対象としています。個人消費者向けには直接提供されていません。
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Q2: EV導入時の契約アンペア(A/kVA)上昇をどのようにシミュレーションしますか?
A2: 「エネがえるEV・V2H」は、EV充電器やV2Hの設置に伴う電力需要の増加を計算し、現在の契約アンペアでは容量が不足する場合に、適切な契約アンペア/kVAへの変更を前提とした最適な電気料金プランを自動で提案します。その際に発生する月額基本料金の上昇分も経済効果シミュレーションに反映させることで、より現実に即した総所有コスト(TCO)を算出できるのが最大の特徴です 19。
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Q3: 100社3,000プランのデータベースは最新の状態に保たれていますか?
A3: はい。データベースは専門のチームによって毎月1回更新されており、燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金を含む最新の単価情報が反映されています。これにより、常に正確な料金プランに基づいたシミュレーションが可能です 12。2025年冬から2026年ごろには市場連動型料金プランに対応したシミュレーションも可能になる予定で開発が進められています。
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Q4: 「エネがえる」はV2Hの変換ロスも考慮してシミュレーションできますか?
A4: はい。「エネがえるEV・V2H」は、EVから家庭へ、またその逆の電力変換時に発生するエネルギーロスを考慮したシミュレーションが可能です。充電の変換効率と放電の変換効率をそれぞれ製品に合わせて調整・変更も可能。これにより、V2H導入の経済効果をより現実的に評価することができます 25。
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Q5: 「エネがえる」の今後の展開(産業用フリート、市場連動型プラン)について教えてください。
A5: 「エネがえる」は現在、二つの大きな領域への機能拡張を構想・開発中です。一つは、物流業界などが抱える「2024年問題」に対応するため、商用EVトラックなどの複数台EVと充電器を高圧・特別高圧など事業者向けに提案できる機能です。もう一つは、将来の電力市場の主流になると予想される市場連動型料金プランに対応するシミュレーション機能(現在ベータ版を開発中)です 36。
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Q6: 「エネがえるAPI」とは何ですか?どのような企業が導入していますか?
A6: 「エネがえるAPI」は、「エネがえる」の強力なシミュレーション機能を自社のサービスに組み込むためのプログラムインターフェースです 36。例えば、パナソニック株式会社は、自社の「おうちEV充電サービス」アプリにエネがえるAPIを導入し、ユーザーに最適な電力プランを提案する機能を実現しています
。その他、ソフトバンク、シャープ、ネクストエナジー・アンド・リソース、エクソル、他、大手新電力、住宅メーカー、通信会社など多数の大手事業者で導入実績があります。37 -
Q7: 「エネがえる」の料金体系はどのようになっていますか?
A7: 料金はサービスの種類(ASP, Biz, EV・V2Hなど)やユーザー数によって異なります。例えば、SaaS製品では初期費用と月額料金(例:Lightプランで月額150,000円〜)が設定されています。詳細は公式サイトの料金ページで確認できます 13。
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Q8: 「エネがえる」とVPP(仮想発電所)/デマンドレスポンスの未来はどのようにつながりますか?
A8: 「エネがえる」は、VPP/DRプログラムに参加した場合の設備導入の経済的メリットを事前に「見える化」する役割を担います。これにより、アグリゲーターは顧客獲得が容易になります。「エネがえる」がVPP普及の入り口となる「オンボーディング・エンジン」として機能することで、日本のスマートグリッド構築に貢献することが期待されます 44。参考事例:東邦ガスのVPPサービス推進に太陽光 蓄電池シミュレーションが必要 エネがえるASP
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Q09: 自動車ディーラーと太陽光販売店では、「エネがえる」の活用メリットはどう違いますか?
A09: 自動車ディーラーは「エネがえるEV・V2H」を使い、EVの総所有コスト(TCO)の低さを訴求することで、車両販売の成約率を高めることができます。一方、太陽光販売店は、「エネがえるASP」や「EV・V2H」を組み合わせて使い、太陽光、蓄電池、V2Hをセットで導入した場合の相乗効果を提示することで、顧客単価と利益率の向上を目指すことができます。大手太陽光・蓄電池メーカーや商社、国内TOP販売施工店はもちろん、すでに大手自動車メーカーでも導入されエネがえる活用が始まっています。
ファクトチェック・サマリー
本レポートの主張は、以下の公表された事実に基づいています。
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プラットフォーム能力: 「エネがえる」は100社以上の電力会社、3,000以上の電力プランを月次更新でデータベース化し、シミュレーションに利用している。
11 -
製品データ: 57車種以上のEVモデルと80機種以上の定置用蓄電池のデータが登録されている。
11 -
効率化の実績: 導入企業はシミュレーション時間を数時間から数分へ、あるいは2週間から1日へと大幅に短縮した実績を報告している。
33 -
販売への貢献: 「エneがえる」導入後、成約率が50〜60%に達したという事例が報告されている。
34 -
EV導入と契約電力: 6kWのEV充電器は30Aの電力を要し、一般的な40A契約の家庭では契約変更が必要となる場合が多い。
16 -
V2Hの性能: 実際のV2Hシステムでは、充放電の過程で最大38〜40%のエネルギーロスが発生する可能性がある。
26 -
国の政策: 日本のGX政策は、今後10年で150兆円規模の投資を促し、再エネとEVの普及を大幅に加速させることを目指している。
2 -
市場動向: 日本のBEV市場は、成長期間を経て2025年初頭にかけて販売シェアが一時的に減少する傾向を見せた。
8 -
APIの採用: 「エネがえるAPI」はパナソニックのような大手企業に採用され、消費者向けエネルギーサービスの中核技術として利用されている。
37 -
将来の市場対応: 「エネがえる」は産業用EVフリートや市場連動型電力プランといった将来の市場ニーズに対応する機能を開発中である。
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