リアルオプション理論で産業用自家消費型太陽光・蓄電池の成約率を最大化する提案ノウハウ

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国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

太陽光・蓄電池提案ツールエネがえる
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リアルオプション理論で産業用自家消費型太陽光・蓄電池の成約率を最大化する提案ノウハウ

はじめに

「売り込み」の終焉と「価値共創」の夜明け – いま、企業向け太陽光発電や蓄電池の営業現場が大きく変わろうとしています。

2022年以降の燃料価格高騰や円安の影響で電気料金が急騰し、多くの製造業企業が電気代増加という課題に直面しました。同時に、カーボンニュートラル実現に向けた第7次エネルギー基本計画GX2040ビジョンなど政府方針が次々と打ち出され、企業には脱炭素への対応が求められています。

取引先もサプライチェーン全体のCO2削減を評価する動きを強め、再エネ導入はビジネス上の競争力に直結しつつあります。こうした「パーフェクトストーム(複合的環境変化)」の中、産業用の自家消費型太陽光発電(非FIT)と産業用蓄電池への注目がかつてなく高まっています。

しかし、一方で現場の営業担当者からは「検討する企業は多いのに、成約に至らない」という声も聞こえます。

実際、ある調査では回答企業の42.4%が太陽光・蓄電池導入に興味を示しながらも、「運用・維持管理コストの見通しが立たない」「長期性能に不安がある」などを理由に導入をためらうケースが多いことが分かりました。特にROI(投資収益)への疑念将来の不確実性への不安が障壁になっています。

また、日本の再エネ業界では長く「FIT売電型ほど儲からず、自家消費型は経済メリットが乏しい」という根強いドグマが存在し、これも普及を妨げる要因でした。しかし官公庁や自治体、民間事業者などから続々と各種施設での自家消費型太陽光+蓄電池の経済性を詳細にシミュレーションし公表したところ、状況は一変しています。例えば大型スーパー(180kW)のケースでは年間約400万円の電力コスト削減7年で投資回収など明確な数字が示され、住宅向けでも「FIT無し+補助金」の方がトータルで有利との分析結果が出ました。

この客観データ公開後、自治体や販売事業者の認識が劇的に変化し、補助金申請が急増。ある自治体では数か月で過去3年分を上回る導入実績を達成するなど、根拠ある数値が業界の常識を覆したのです。

本記事では、こうした最新動向を踏まえ、リアルオプション理論など世界最高水準の知見を営業に応用することで、産業用太陽光・蓄電池提案の成約率を劇的に高める具体策を解説します。

単なる設備の説明ではなく、お客様企業にとっての「事業投資提案」として価値を訴求するノウハウです。

後半では実際の商談シナリオ(30の質問)に沿って、信頼構築からクロージングまでの流れを具体的に示し、さらにユースケース別に効果的な提案ポイントも紹介します。

最後にファクトチェックとして出典情報もまとめています。最新2025年版の知見を凝縮した本記事が、太陽光・蓄電池ビジネスに携わる皆様の営業戦略の一助となれば幸いです。

2025年、産業用太陽光・蓄電池を取り巻く環境

まず、2025年現在の市場環境と課題を整理します。

  • 電気料金高騰と経営リスク化: 前述の通り、ウクライナ危機以降の燃料価格上昇に伴い日本の電力料金は大幅値上げが続きました。資源エネルギー庁によれば、大手電力7社は2023年6月にも規制料金を一斉値上げしており、企業のコスト負担は増大しています。ある調査では製造業経営者の61.3%が「2023年に電気料金が増加した」と回答し、約72%が翌年以降のさらなる値上げに対策の必要性を感じています。電気料金は今や単なる経費ではなく、予測不能な経営リスクとして認識され始めました。実際、「毎月変動する電気代は経営計画を揺るがすリスク要因」と捉える企業も増えています。この電力コストの不安定さこそ、太陽光+蓄電池による自家発電・蓄電が提案できる価値(リスクヘッジ)の出発点です。

  • 非FIT時代の新たな経済性: 一般的に日本のFIT(固定価格買取制度)は大型案件では縮小し、企業向け太陽光は自家消費型や第三者所有モデル(PPA/TPO)が主流になりつつあります。売電単価に頼らず電気代削減効果そのものが収益源となるため、「本当に元が取れるのか?」という疑問が生じがちです。しかし先述の環境省データのように、正しくシミュレーションすれば7~10年程度で初期投資回収できるケースは十分にあります。特に企業電力は契約電力やデマンド料金も大きいため、ピークカット効果まで含めれば想定以上のメリットが出ることも珍しくありません。むしろ電気代高騰により従来は10年以上だった投資回収期間が短縮する傾向すらあります。こうした「隠れた経済性」を可視化できていないことが、営業現場での成約率が伸び悩む一因でした。

  • 導入意向は高いが障壁も存在: 脱炭素やコスト削減に前向きな企業ほど、太陽光・蓄電池の導入検討を進めています。ある調査では**企業の42.4%が「産業用太陽光発電・定置型蓄電池の導入に興味がある」と答え、66.7%が「電気料金の節約」効果に期待するとしています。一方で実際に導入に踏み切れない理由として、「維持管理コストの試算が難しい」(45.6%が回答)「長期間の安定性能への懸念」(36.8%)「設置場所の制約」(35.1%)などが挙がりました。要するに、多くの企業は「本当に効果が出るのか」「トラブルなく運用できるか」という不安を抱えているのです。この不安を解消しない限り、どんなに提案資料を作り込んでも意思決定者の心は動きません。

  • 意思決定の複雑化: B2Bの大型投資案件では、社長や役員だけでなく、財務担当、現場の工場長、環境推進担当など複数のステークホルダー(DMU: Decision Making Unit)が関与します。それぞれが重視するポイントが異なり、例えばCFOは投資回収率やキャッシュフロー改善に関心が高い一方、工場長は生産ラインの安定稼働やBCP(事業継続計画)効果を重視し、CSR担当はCO2削減や地域貢献を評価するでしょう。提案側はこの価値のマトリクスを整理し、総合的なメリットを提示する必要があります。単純な「◯年で○円お得」というROI試算だけでは不十分で、電力コスト削減+脱炭素+レジリエンス+ブランド向上といった複合的価値を伝えることが求められます。実際、昨今では取引先選定に相手企業の脱炭素姿勢を評価基準に加える動きも加速しており、競合他社が「使用電力100%再エネ」を宣言したら自社ビジネスへ影響する可能性もあると指摘されています。再エネ投資は単なる節約策ではなく、競争戦略上も重要になっているのです。

以上のように、2025年の市場環境は「電力リスクの顕在化」「非FIT型経済性の再評価」「導入意欲と不安の同居」「価値基準の多様化」に特徴づけられます。

では、この状況下でどのように提案すれば企業の背中を押し、成約率を最大化できるのでしょうか?

となるのがリアルオプション思考価値共創型の営業手法です。

リアルオプション理論で不確実性を味方に変える

リアルオプション理論とは、本来は金融工学の手法で、投資プロジェクトの意思決定における「将来の柔軟性の価値」を定量評価する考え方です。簡単に言えば、事業への投資を金融オプション(選択権)になぞらえて分析する方法です。

不確実な状況下でも、将来の状況に応じて投資を拡大・縮小・中止できる柔軟性があれば、そのプロジェクトには通常のNPV計算には現れない潜在的な価値が存在します。リアルオプション理論はその価値を数式で表し、投資判断に組み込もうとするものです。

産業用太陽光発電・蓄電池の導入にも、このリアルオプションの考え方を応用できます。

例えば「今100kW導入して様子を見て、将来状況が良ければ追加で100kW増設する」計画は、将来の増設というオプションを内包しています。また「蓄電池は初期導入せず、電力価格動向を見て後付けする」戦略もオプションと言えます。さらには、「導入しない」という選択肢自体も、ある意味では将来さらに安価で高性能な技術が出るのを待つオプション(待機オプション)と捉えることができます。

重要なのは、こうした経営上の選択肢に価値を認め、数値化して提案に織り込むことです。

リアルオプション評価では、金融のブラック・ショールズ方程式を応用して事業のオプション価値を算出できます。

例えば「将来、蓄電池を後付けする権利」コールオプション(買う権利)に相当し、以下のような修正ブラック・ショールズ式で評価可能です:


C=S0N(d1)KerTN(d2)C = S_0 \cdot N(d_1) – K e^{-rT} \cdot N(d_2)

ここで、$S_0$は現在時点の事業価値(太陽光のみ導入時のNPVなど)、$K$は蓄電池増設に必要な追加投資額、$r$は無リスク金利、$T$はオプションの有効期間(増設判断までの期間)、$N(x)$は標準正規分布の累積確率です。

このモデルにより、「蓄電池を後から追加できる柔軟性」自体の金銭的価値を計算できます。また、事業環境のボラティリティ(電力価格の変動性など)$\sigma$が大きいほどオプション価値が高まるため、将来の電気代変動リスクが大きいほど今太陽光を導入する意義が増すという定量的な説明も可能です。

実際、再エネ事業では技術革新や市場変動が激しいため、リアルオプション的な視点が欠かせません

例えば太陽光発電所における「将来の蓄電池増設」や「将来の水素製造設備併設」のオプション価値を評価することが重要だと指摘されています。また、災害リスクの多い日本では、太陽光+蓄電池システムが持つレジリエンス(非常時の電源確保)というオプション価値も見逃せません。停電が起きた場合に事業を止めずに済むメリットは、平時には顕在化しないものの、実は企業にとって保険のような「隠れた価値」です。ある分析では、災害対策を織り込んだ太陽光発電設備はそうでない場合に比べて内部収益率(IRR)が2.2%向上したという試算もあります。これはレジリエンス強化策を取ることで保険料削減や損失回避が定量化され、プロジェクト全体の収益性が高まることを意味します。

営業提案の場でリアルオプション理論を直接詳説する必要はありませんが、その考え方を提案ストーリーに組み込むことが大切です。具体的には次のような切り口が考えられます:

  • 電力価格ヘッジとしての価値強調: 「電気代が今後上昇しても、太陽光のおかげで上昇分を回避できる権利を手に入れるようなものです」と説明すれば、太陽光発電設備は将来の高騰リスクに対するオプション(ヘッジ手段)だと認識してもらえます。事実、今後5年で電気料金が年3%ずつ上がればキャッシュフローにどれほど悪影響が出るか試算できますが、太陽光導入でそれを回避できれば将来の損失を防ぐ経営リスク対策と位置付けられます

  • 拡張性・将来対応力の訴求: 「まずは〇kWから開始し、効果を見ながら将来増設できる柔軟プランです」と提案すれば、顧客は小さく始めて大きく育てる選択肢を得られます。これは「今決断しても将来の状況に合わせて調整可能」という安心感につながります。特に技術進歩を懸念する顧客には「次世代技術が普及する頃には現行設備で十分利益を上げています。先行者利益を確保しつつ、新技術には後から乗り換え可能です」と説明できます。このように、将来の技術陳腐化リスクを先行利益というポジティブなフレームに転換するのです。

  • 最悪の場合のシナリオ提示: リアルオプションではダウンサイド(最悪ケース)の限定も重要な視点です。太陽光の導入で「仮に電気代が全く上がらなくても、投資は〇年で回収し、その後設備は無料の自家電源として使えます」と示せば、最悪でも損はしないという安心を与えられます。一方で「電気代が大幅高騰すれば、その差額分だけ利益が増える」という青天井のアップサイドがあることも強調しましょう。つまり「ローリスク・ハイリターンの投資」であると位置付けるのです。

  • 出口戦略・廃棄コストの織り込み: 将来的な設備廃棄やリプレース費用もオプション思考で捉えます。お客様が懸念しそうな「25年後、このパネルをどう処分するのか」という質問には、自社でリサイクル計画まで組み込んだ提案を用意していると伝えます。「国もEPR(拡大生産者責任)制度で将来の廃棄費用を製品価格に含める方向です。弊社提案では25年後の適正処理コストまで見越したTCOを提示します」と説明すれば、廃棄不安をむしろ信頼獲得の機会に変えられます。将来コストまで計画済みという姿勢が、「長期的パートナー」としての信頼感を高めるわけです。

このようにリアルオプション的発想を取り入れることで、不確実な未来を「だから今やるべき」理由に転換できます。

不安要素に蓋をせず、むしろ積極的に言及し「未来の不安を今日の強みに変える」対話をすることが、2025年のトップセールスに求められる条件なのです。

価値共創型への営業手法シフト

次に、提案の伝え方そのものを見直します。従来のようなスペックや価格の「売り込み営業」では、大型投資の意思決定者は動きません。必要なのはコンサルティング型、つまり顧客と価値を共創するアプローチです。

SPIN×チャレンジャー:ハイブリッド対話モデル

営業の世界では古典的手法のSPIN話法Situation/Problem/Implication/Need-Payoffの質問術)と、近年注目のチャレンジャーセールス顧客に新たな気づきを教え、議論をリードする手法)があります。

それぞれ長所がありますが、2025年の複雑なB2B営業には両者のハイブリッドが有効です。SPINで顧客の現状課題を深堀りしつつ、チャレンジャーでこちらの洞察をぶつけて議論をリードする。これにより「単なる御用聞き」から脱し、信頼されるパートナーとして位置付けられます。

具体的には、まずSPINの状況質問から始めて顧客の置かれた環境や現在の取り組みを尋ねます。例えば「エネルギー基本計画の転換が貴社のエネルギー戦略に与える影響はいかがですか?」といった質問です。これは太陽光パネル云々の話ではなくマクロな文脈で顧客ビジネスについて聞くことで、こちらを「戦略的思考を持つ専門家」として印象付ける狙いがあります。次に「電力コスト管理やBCPはどの部署がKPIを追っていますか?」など組織体制を確認し、意思決定プロセスや重視KPIを探ります。この段階で顧客の課題認識を傾聴し、相手に十分話をさせることで信頼関係の土台を築きます。

続いてSPINの問題質問示唆質問で、潜在的な問題を顧客自身に認識させます。例えば「昨今の電気料金高騰はコントロール不能な経営リスクと捉え始める企業も多いですが、貴社ではどの程度コントロールできていますか?」と投げかけ、電力コストを経営リスクとして再定義します。これは損失回避の心理に訴える巧みな問いで、「電気代高騰=自社利益を脅かすリスク」という認識を引き出します。さらに「その吸収し難いコスト増は現在どう対処していますか?利益圧迫か価格転嫁か…」と質問し、放置した場合の二次的な痛みを具体化させます。こうして顧客自身に問題の深刻さを語らせることで、「解決せねば」というコミットメントを高めます。

問題が顕在化したら、チャレンジャーセールスの真骨頂である洞察の提供に移ります。例えば「取引先選定で脱炭素への取り組みが評価基準になる動きが加速しています。もし競合が『電力100%再エネ』と宣言したら貴社ビジネスに影響は?」と問いかけ、顧客がまだ気づいていない競争上のリスクを示唆します。また「非常用発電機は燃料や整備の問題で実際に機能しない例があります。太陽光+蓄電池なら燃料不要でBCP強化できますが、この観点で評価していますか?」と、既存対策(ディーゼル発電機)の弱点を突き代替案を提示します。さらに「災害時に会社が事業継続して給与を支払える安心感は従業員のロイヤルティに影響するとお考えですか?」と問い、蓄電池導入による従業員エンゲージメント向上といった視点も投げかけます。これらの質問は単にYes/Noではなく、相手に考えさせ深い対話を誘発する効果があります。チャレンジャーのアプローチで顧客の盲点を突き、緊急性を創出するわけです。

30の質問:魔法のセールストークシナリオ

以上の手法を体系化したものが、俗に「30の質問」と呼ばれる商談テンプレートです。これはフェーズ1~4の段階に沿って計30個の質問を用意し、「こんにちは」から「イエス(契約)」まで顧客を導くシナリオです。ここではそのエッセンスを簡潔に紹介します。

  1. フェーズ1:信頼構築と課題の診断(質問1~7) – 冒頭は状況質問でスタートします。例:「最近のエネルギー政策の大きな転換が貴社経営に与える影響は?」といった問いかけで会話のレベルを一気に経営視点へ引き上げます。次に「エネルギーコスト管理は財務部と工場どちらが主導ですか?主要KPIは?」など現状確認をしつつ、電気代のどの項目が一番痛いか(基本料なのか燃料調整費なのか等)を質問します。その後、「電気代高騰を予測不能なリスクと捉える企業が増えていますが、貴社はどれくらい制御できていますか?」→「制御困難なコスト増を今はどう吸収していますか?利益圧迫か価格転嫁か?」→「もし初期投資を抑えてすぐに電気料金リスクをヘッジできる方法があれば知りたいですか?」と畳みかけます。この流れで顧客の課題を顕在化させ、「解決策を聞きたい」という許可を得るところまでがフェーズ1のゴールです。

  2. フェーズ2:隠れた危険の可視化と緊急性の創出(質問8~15) – 続いて、顧客が十分認識していないリスクに光を当て、「このままではマズい」と思わせる段階です。例えば質問10「取引先が脱炭素を評価基準にしています。競合が100%再エネ電力を宣言したら影響は?」競争上の危機感を刺激します。質問11「非常用発電機は肝心な時に動かないケースがあります。燃料不要の太陽光+蓄電池でBCP強化する発想はありますか?」では現行対策への疑問提起と新提案の布石を打ちます。質問12「災害時に事業継続できる安心感は従業員の士気に影響しますか?」従業員や社会への波及効果に触れ、ただの設備投資ではない広がりを示します。質問13「エネルギーコスト上昇を放置すると5年後・10年後の財務戦略にどんな制約が生まれますか?」では将来の経営シナリオを考えさせ、先送りのリスクを意識させます。質問14「電気代が毎年3%上がると5年間でキャッシュフローにどれほどのインパクトがありますか、試算をご覧になりますか?」では具体的な数字の話に踏み込み、痛みの定量化を図ります。最後の質問15「このシミュレーション結果を見て、対応は『いつかやるべき』と感じますか、それとも『今すぐ』と感じますか?」で畳みかけ、今動くべき理由を腹落ちさせます。ここまでで顧客の中に「早急に解決策を検討しないとまずい」という認識が生まれていれば成功です。

  3. フェーズ3:解決策の共創と価値の定量化(質問16~24) – いよいよソリューション提示の段階です。ただし押し売りは厳禁で、まずは質問16「もし電気代を大幅削減しつつBCP対策もできたら、どんなメリットがありますか?」のように解決後の姿を想像させる質問をします。これにより顧客自身の口から「コストが安定すれば長期計画が立てやすい」「脱炭素アピールでブランド向上」等、メリットを語ってもらいます。次に質問17・18で「エネルギーコストが安定すると大胆な投資が可能になりますか?」、「再エネ導入を対外的にPRすると採用やブランドにプラス効果ありますか?」などメリットを広げる問いを投げ、価値を多面的に捉えます質問19では「CFOには投資回収、工場長には安定稼働…各部署の成功の定義は何でしょう?」と尋ね、社内ステークホルダーごとの関心事を整理します。これは「一緒に社内攻略の作戦を練りましょう」という姿勢を示し、営業担当者を社内調整のパートナーとして巻き込む効果があります。

    そして質問20「では様々なメリットを具体的な金額とCO2削減量に落とし込みましょう。当社のシミュレーションなら数分で貴社専用レポートが完成します」と切り出し、いよいよ具体的な数値提案に入ります。ここで用いるのがエネがえるBizのような経済効果シミュレーションです。実際に顧客の電力使用データや設備条件を入力し、自家消費による電気代削減額、初期投資、回収年数、20年累計利益、CO2削減量などを瞬時に算出します。レポートが出力されたら、質問21「初年度○百万円の効果、10年で○○○万円のTCO削減になります。この数字はご期待を上回っていますか、下回っていますか?」と尋ねます。ここで「期待より少し少ないかな…」など率直な反応を引き出し、次の議論の方向付けをします。質問22では「弊社の設計チームなら最短1日で最適レイアウト提案できます。コスト重視プランと発電最大プランのどちらからご覧になりますか?」と2つの選択肢を提示します。これはダブルバインド効果を狙ったもので、「導入するか否か」ではなく「どちらのプランで導入するか」の検討に自然と移行させます。さらに「当社専門チームが明日までに詳細設計図と精密シミュレーション結果をお届けできます」と伝えれば、導入への心理的ハードル(手間や時間)も下がります。

    続く質問23「初期費用ゼロのリースやPPAプランもございます。財務戦略的にどの方法が適していますか?」では支払いスキームの選択肢を提示します。これにより最大の障壁である「初期投資の負担」を軽減しつつ、顧客自身に選ばせることで当事者意識を高めます。例えば「補助金利用+〇年リースなら毎月の実質負担は○万円、太陽光効果でキャッシュフローは初月からプラスです」と具体例を示せば、費用面の不安はかなり和らぐでしょう。最後の質問24「ここまででこのプロジェクトが貴社に大きな価値を持つとご納得いただけましたか?まだ懸念があれば教えてください」最終確認を取ります。この時点で「大丈夫です」となればフェーズ3クリアですし、「実は●●が心配で…」と出れば躊躇点を洗い出すチャンスです。いずれにせよ、小さな「イエス(価値はある)」を引き出すことで、後の正式契約のハードルを下げています。

  4. フェーズ4:意思決定のリスク除去と主導権の掌握(質問25~30) – 最終段階では、顧客が口に出さない最後の不安を先回りで解消し、堂々とクロージングに持ち込みます。質問25「25年後パネル廃棄の懸念は当然です。政府はEPR制度を検討中で、弊社提案にはリサイクル計画を含めていますが、この長期視点でのコスト管理は重要ですか?」と自ら切り出し、最大の未来不安である廃棄問題に踏み込みます。競合他社が触れたがらない話題をあえて取り上げることで、誠実さと高い問題解決能力を印象付けます。質問26「次世代のペロブスカイトなど技術革新も話題ですが、本格普及には時間がかかります。今回の投資は8~10年で回収できます。つまり新技術が成熟する頃には十分利益を生んでいます。この先行者利益を確保しつつ将来の技術革新に備える考え方はいかがでしょう?」と問い、技術陳腐化の不安を「今だからこそ得られる利益」に置き換えます。「完璧な技術を待つ間に電気代は上がり続けます。まず現行技術で利益を確定させ、その上で次の技術を待つのが賢明です」と念押しすれば、顧客も納得するでしょう。

    質問27「多くの経営者が最終的に懸念されるのは『そのシミュレーション、本当に合ってる?』という点です。もし当社が算出した経済効果を第三者保証できるとしたら、最大のリスクは取り除かれますか?」と畳みかけます。これは提案に対する不信・リスクを完全に打ち破るチェックメイトの問いです。実際、国際航業と大手保証会社が提携して「シミュレーション保証」を提供しており、提案書記載の経済効果(発電量)が万一下回った場合は差額を金銭補填することも可能です。営業側がリスクを引き受けるこのリスクリバーサル戦略によって、顧客の不安は劇的に低減します。提案が「単なる営業トーク」ではなく「保証付きの金融商品」へと性質を変えるわけです。質問28「発電設備は地域の景観の一部にもなります。我々は周辺環境と調和する設計を重視し、災害時には地域避難所へ電力供給も可能です。こうした地域貢献は貴社の企業理念と合致しますか?」では、プロジェクトを地域社会への貢献という高次元の物語に昇華させます。設備導入が単なる自社利益追求ではなくCSRの一環ともなれば、社内外の反対意見も出にくくなります。人は自分を超えた大義に意義を感じるため、このアプローチで投資の正当性(大義名分)が一段と強化されます。

    質問29「社長、この保証付き提案で財務的・戦略的・社会的に投資すべき理由はすべて揃ったと確信しております。最終決断にあたり何か懸念はございますか?」で、最終意思決定者に「ノーと言う理由はもはやない」という結論を提示します。ここまでの議論を総括し、「コスト削減・リスクヘッジ・企業価値向上、さらに効果は保証済み」と明言して、あとはGOサインを頂くだけの状態に持っていきます。最後の質問30「この保証付き提案にご納得いただけましたら、来週火曜に契約の詳細確認を行い、その後すぐ補助金申請に着手したいと思います。ご都合いかがでしょうか?」でクロージングです。ここでは「ご検討ください」ではなく「では次に進めましょう」と具体的アクションを提案しています。これはチャレンジャーセールスでいうコントロール(主導権掌握)の体現で、プロとして次のステップを明示しリードすることで、契約締結への道筋を確定させます。この一連の流れで、商談相手は自然と「よし、やろう」という意思決定に導かれるのです。

以上が「30の質問」に沿った理想的な商談シナリオの概要です。ポイントは、顧客に語らせ、顧客と共に価値を定義し、不安材料は先回りして潰し、最後は力強く背中を押すことです。一方的な売り込みは一切なく、むしろ顧客自身が「やる意味がある」「リスクは管理できた」と納得した上で契約に進みます。このスタイルに切り替えた営業チームでは、成約率が飛躍的に向上し90%を超える例も報告されています。もちろん通常は30~50%程度が中央値ですが、それでも従来に比べれば格段の成果です。まさに「技術提案」ではなく「事業投資提案」へシフトしたことが勝因と言えるでしょう。

※参考:わずか10分で見える化「投資対効果・投資回収期間の自動計算機能」提供開始 ~産業用自家消費型太陽光・産業用蓄電池の販売事業者向け「エネがえるBiz」の診断レポートをバージョンアップ~ | 国際航業株式会社 

※参考:国際航業、日本リビング保証と業務提携/太陽光発電・蓄電システム「経済効果シミュレーション保証」の提供開始~予測分析を活用し、性能効果をコミットする「シミュレーション保証」分野を強化~ | 国際航業株式会社 

※参考:国際航業、エコリンクスと提携し、再エネ導入・提案業務を支援する 「エネがえるBPO/BPaaS」を提供開始 経済効果の試算・設計・補助金申請・教育研修を1件単発から丸ごと代行まで柔軟に提供 ~経済効果試算は1件10,000円から 最短1営業日でスピード納品~ | 国際航業株式会社 

ユースケース別:提案シナリオと訴求ポイント

太陽光・蓄電池導入の価値は、業種や事業形態によって強調すべきポイントが異なります。ここでは代表的なユースケースごとに、上記ノウハウをどう応用するかの例を挙げます。

  • ① 24時間稼働の製造工場(例:自動車部品工場、大型プラント)
    特性: 昼夜を問わず稼働し電力使用量が大きい。ピーク電力契約による基本料金も高額。停電時の損害が甚大。
    提案のツボ: ピークカット効果BCP(事業継続)強化がキーワードです。昼間の太陽光発電で日中負荷の一部を肩代わりし、蓄電池でピーク時の需要を抑制すれば、基本料金の削減と電力単価上昇リスクのヘッジに直結します。また非常時には蓄電池が無停電電源となり、ライン停止による損失を防げます。「1時間の停電で○○万円の損失」という具体例を示しつつ、「太陽光+蓄電池は自家発電の非常用電源でもある」という保険的価値を強調しましょう。実際、非常用発電機は燃料やメンテでいざというとき動かない例がありますが、PV+蓄電池なら燃料不要で長時間バックアップ可能です。このレジリエンス効果も含めた投資対効果を示せば、経営層にも響きやすくなります。

  • ② 地方の中小工場・倉庫(例:食品加工場、物流センター)
    特性: 敷地や屋根面積に余裕があり太陽光適地。地方電力会社管内で電気代が比較的高め。補助金対象になりやすい。
    提案のツボ: 初期コスト障壁の除去補助金の活用が決め手です。中小企業では投資予算が限られるため、「設備を自社所有せず電気を買うだけ」のPPAモデルやリースを提案し、初期投資ゼロで始められるプランを提示します。「月々の電気料金支払いを、設備導入後も今までと同程度に抑えられ、しかも将来は自家発電分が丸ごと利益になる」と説明すれば、リスクなく始められる印象を与えられます。また地域新エネ導入補助金など該当しそうな公的支援策があれば積極的に紹介し、「今なら補助金○○%出ます。締切は〇月ですのでお急ぎを!」と緊急性もアピールしましょう。補助金情報は営業側が網羅しておき、「申請業務も弊社で代行します」と伝えることで、顧客の手間負担を減らせます。さらに地方の案件では「災害時に地域の避難所へ電力供給できる」「地域貢献になる」といったCSR効果を訴求すると地元企業の経営者には刺さります。

  • ③ 都市部の商業施設・チェーン店舗(例:スーパー、ショッピングセンター、大型ビル)
    特性: 電力使用は主に日中で太陽光との親和性高い。消費者から環境配慮を問われる業種でもある。店舗数が多ければスケールメリットも。
    提案のツボ: 脱炭素アピールによるブランド価値向上エネルギーコストの安定化にフォーカスします。小売業では「電気代高騰→店舗運営コスト増→商品価格転嫁」の悪循環があります。太陽光自家消費で電力コストを安定させれば、価格転嫁せず競争力維持にもつながると指摘しましょう。また昨今はエンドユーザーも企業の環境対応を注視しています。「店舗で使う電気を再エネ化すれば、お客様へのPRになり集客や売上にも良い影響があります」と伝え、マーケティング効果を数値ではなくとも言及します。実際、「脱炭素経営を掲げる企業は採用面でも人気が上がる」といったデータもありますが(質問12の従業員ロイヤルティの話など)、ここでは「競合他社との差別化」「SDGsに積極的な企業イメージ向上」といった定性的メリットを強調すると良いでしょう。加えて商業施設では屋上や駐車場上部など活用できるスペース提案や、複数店舗への横展開(ポテンシャル○店舗×平均○kWで全体では○MW規模)を示し、スケールメリットによるコスト低減(一括施工による単価引き下げ等)も提案できます。チェーン本部向けには「全店導入で年間○○トンのCO2削減=〇〇万本の植樹効果」というインパクトの大きな数字を提示し、企業のCSRストーリー作りをお手伝いする姿勢を示しましょう。

  • ④ データセンター・研究施設
    特性: 24時間365日稼働で信頼性最優先。電力使用量膨大。停電リスクは致命的。環境負荷低減の社会的圧力も強い。
    提案のツボ: 電力の信頼性確保(無停電化)とRE100対応がポイントです。データセンター等では電力バックアップにUPSや自家発電機を備えていますが、太陽光+大容量蓄電池を組み合わせれば、平時は電気代節減に寄与しつつ非常時には冗長系電源としても機能します。「既存の非常用発電機と組み合わせて使えば、更に長時間のバックアップが可能です」と補完関係を説明しましょう。またIT業界では国際的なRE100(事業運営で再エネ100%)目標へのコミットが求められる企業も多く、「オンサイトで再エネ電力を生み出すことはグローバル基準での信用にもつながります」と訴求します。加えて、余剰電力を活用した電気代ゼロオフィス自家消費PPAによる顧客サービス(例えばデータセンター利用企業にクリーン電力メニューを提供するなど)といった将来展開も提案できるかもしれません。高度な分野だけにROIの話だけでなく技術的安心感も重要です。「最新鋭の出力制御システムで電力品質を維持します」「蓄電池の遠隔監視と予防保全サービスがあります」など、運用面のプロサポート体制をアピールし、技術的不安を払拭しましょう。相手が技術に明るい場合は、蓄電池の制御ロジックや予測AIなど踏み込んだ説明にも応じ、専門性への信用を得ることも大切です。

以上のように、ユースケースごとに経営課題や優先事項を踏まえメリハリを付けた提案をすることで、相手の心に刺さるポイントが変わってきます。「太陽光+蓄電池を入れると良いですよ」ではなく、「お客様の業種・事業では特に○○のメリットが大きい」とカスタマイズすることで、提案が自分ごと化されやすくなります。このようなTailor(適応)の工夫が、複数案件を成約へ導くカギとなるでしょう。

※参考:わずか10分で見える化「投資対効果・投資回収期間の自動計算機能」提供開始 ~産業用自家消費型太陽光・産業用蓄電池の販売事業者向け「エネがえるBiz」の診断レポートをバージョンアップ~ | 国際航業株式会社 

※参考:国際航業、日本リビング保証と業務提携/太陽光発電・蓄電システム「経済効果シミュレーション保証」の提供開始~予測分析を活用し、性能効果をコミットする「シミュレーション保証」分野を強化~ | 国際航業株式会社 

※参考:国際航業、エコリンクスと提携し、再エネ導入・提案業務を支援する 「エネがえるBPO/BPaaS」を提供開始 経済効果の試算・設計・補助金申請・教育研修を1件単発から丸ごと代行まで柔軟に提供 ~経済効果試算は1件10,000円から 最短1営業日でスピード納品~ | 国際航業株式会社 

成約率アップのための実践Tips集

最後に、産業用太陽光・蓄電池営業のエキスパートたちが実践している成約率向上のTipsを箇条書きでまとめます。

  • 技術ではなくビジネスの話をする: 太陽光パネルの性能や蓄電池の容量といったスペック説明は極力減らし、経営者が知りたい投資指標(初期投資額・回収年数・ROI・累積利益)に集中しましょう。提案資料も専門用語を排し、一見して「儲かる」と分かるシンプルさが重要です。これは設備提案ではなく事業投資提案であることを常に意識してください。

  • 最新データとファクトに基づく提案: 提案シミュレーションには必ず最新の電気料金データ(燃料調整費など)や日射量データ(NEDOのMETPVなど)の客観データを用いましょう。「営業の感覚」ではなく「客観的根拠」がある提案書は説得力が段違いです。事実、環境省等の官公庁や地方自治体、大手メーカー含め700社以上が採用する業界標準ツールを使ったシミュレーション「エネがえるBizは、その信頼性から成約率90%超の驚異的成功例も生んでいます。

  • 不安要素には先手で対策を提示: 廃棄費用、性能劣化、メンテナンス費用など顧客の不安になりそうな点は、相手から聞かれる前にこちらから言及し解決策を示すのが鉄則です。例:「パネル寿命後の処理費用まで含めたライフサイクルコストでご提示します」「性能保証保険に加入し20年後80%発電量を下回った場合は保証します」等。痛みを隠さず説明し、手当て済みであることを示すことで信頼度が高まります。

  • 「できない理由」より「どうすればできるか」を示す: 顧客が何か懸念を示したとき、「それは難しいですね…」で終わらず必ず代替案や支援策を提案します。例えば「資金がない」と言われれば「リース/PPAや補助金活用で初期負担なく可能です」と回答する、「設備管理の人員がいない」と言われれば「運用保守は弊社BPOにお任せいただけます」と提示するなど。あらゆる障害を取り除く準備をしておきましょう。

  • リスクを引き受け顧客を安心させる: 前述のシミュレーション保証のように、提案効果をコミットする姿勢は強力な武器です。他にも性能保証、長期メンテナンス契約、保証延長オプションなど、「万が一のときは弊社が責任を取ります」という仕組みを用意できれば、価格競争ではなく安心感で勝負できます。顧客のリスクを可能な限り背負う覚悟を示しましょう。(※実際には金銭的に保証・保険等でリスクヘッジできる仕組みを事前構築しておく)

  • 複数プラン提示で主導権を握る: 提案時には必ず「Aプラン(低コスト重視)」と「Bプラン(高性能重視)」、または松竹梅の3つのシナリオ別プランなど複数の良い選択肢を用意し、「どちらが貴社に適しますか?」と問いかけます。これは心理学上、相手の頭を「導入前提の比較検討」に切り替えさせる効果があります。どちらを選んでも当方に利がありますので、自然とYesにもっていきやすくなります。

  • 次のアクションを明確に提示する: クロージングでは「ご検討ください」ではなく、「では○日に契約に向け最終調整のお時間をください」と次の具体行動を提案します。曖昧な終わり方をせず、常にこちらから次のステップを設定して主導権を握りましょう。これは案件停滞を防ぎ、成約への道筋を着実に進めるコツです。

以上のポイントを押さえて営業活動を行えば、提案の質と商談の組み立てが格段に向上し、成約率アップに直結するはずです。特にB2B大型案件では「提案力=受注力」と言えるほど、提案の妙が結果を左右します。ぜひ現場で一つずつ実践してみてください。

※参考:「エネがえる」が環境省の脱炭素推進を支援 ~補助金申請が劇的に増加した定量分析の力~ 

※参考:提案件数月50件に増加しほぼ受注につながっている エネがえるBiz導入事例 サンライフコーポレーション 

※参考:産業用オンサイトPPAシミュレーションが月50パターン以上可能に エネがえるBiz導入事例 IBeeT 

※参考:エクソル、産業用自家消費API導入で太陽光シミュレーション時間を3時間から5分へ大幅短縮 〜複数パターン提案で顧客満足度向上〜 

※参考:他社シュミレーションから乗り換え、3時間の作業がわずか10分に短縮!ダイヘン エネがえるBiz導入事例 

※参考:「エネがえるAPI」でシミュレーション結果のばらつきを解消、ネクストエナジーが導入 

※参考:わずか10分で見える化「投資対効果・投資回収期間の自動計算機能」提供開始 ~産業用自家消費型太陽光・産業用蓄電池の販売事業者向け「エネがえるBiz」の診断レポートをバージョンアップ~ | 国際航業株式会社 

※参考:国際航業、日本リビング保証と業務提携/太陽光発電・蓄電システム「経済効果シミュレーション保証」の提供開始~予測分析を活用し、性能効果をコミットする「シミュレーション保証」分野を強化~ | 国際航業株式会社 

※参考:国際航業、エコリンクスと提携し、再エネ導入・提案業務を支援する 「エネがえるBPO/BPaaS」を提供開始 経済効果の試算・設計・補助金申請・教育研修を1件単発から丸ごと代行まで柔軟に提供 ~経済効果試算は1件10,000円から 最短1営業日でスピード納品~ | 国際航業株式会社 

おわりに:提案力強化が再エネ普及の鍵

産業用の自家消費型太陽光発電・蓄電池は、企業のコスト削減と脱炭素の両立を実現するソリューションであり、日本全体の再エネ普及・脱炭素にも寄与する重要なピースです。

しかし導入を最終的に決めるのは人、すなわち企業の経営者層です。高度な技術も伝え方次第で採用されないことがあります。だからこそ、本記事で述べたような世界最高水準の営業手法によって、お客様企業の意思決定を後押しすることが不可欠です。

リアルオプション理論を下支えにしたリスクと価値の見える化SPINとチャレンジャーを融合した対話術、そして緻密に設計された「30の質問」のシナリオは、単なる机上の空論ではなく現場で成果を上げている実践知です。

事実、環境省のプロジェクトでデータに基づく説得を行ったところ業界の常識が覆り導入が加速したケースや、シミュレーション保証付き提案で顧客が安心して即決した例など、多くの成功事例が生まれています。営業担当者自身が「価値の伝道師」となり、顧客とともに課題を解決するというマインドセットへの転換が求められます。

最後に、これから脱炭素経営に踏み出そうとする企業にとって、頼れるパートナーとなるのは高度な提案力を持った皆さん自身です。

ただ安価なだけの提案なら他社もできます。そうではなく、「提案を通じて顧客企業の未来を変える」くらいの意気込みで、クリエイティブかつ論理的な営業に挑んでください。その先に、日本の再エネ導入が加速し、脱炭素社会への道筋が力強く拓かれていくことでしょう。営業現場からイノベーションを起こし、共にグリーントランスフォーメーションを実現していきましょう!


よくある質問(FAQ)

Q1. FIT(売電)なしでも太陽光発電は本当に採算が取れるのでしょうか?
A. はい、適切に自家消費すれば採算は十分に取れます。例えば環境省の試算では、大型スーパー(180kW規模)の場合、年間約400万円の電気代削減が見込まれ7年程度で初期投資を回収できる結果が出ています。中規模工場(100kW)でも8年程度、小規模工場(40kW)なら7年程度の回収と試算されました。また国や自治体の補助金を活用すれば更に短縮可能です。売電収入頼みだった従来と異なり、電力購入費の削減=確実なコストダウン効果が得られるため、電気代が高騰している今むしろ採算性は向上しています。

Q2. リアルオプション理論は営業トークにどう役立つのですか?
A. リアルオプション理論を直接お客様に説明する必要はありませんが、そのエッセンスは「将来の不確実性を見方につける」提案に活かせます。例えば「電気代が上がっても太陽光があればその分助かる=将来の電気代上昇リスクに対する保険」といった言い回しは、リアルオプションの考え方です。また「今の設備で先行者利益を得つつ、新技術が出たら乗り換えればいい」というのもオプション発想です。要は将来どう転んでも有利になる柔軟性を強調でき、導入に踏み切る心理的ハードルを下げられますリアルオプション理論を背景に提案のロジックを組み立てれば、数字と論理で裏付けられた説得力が生まれるのです。

Q3. 蓄電池もセットで導入する必要がありますか?費用対効果が心配です。
A. 蓄電池の導入はケースバイケースですが、ピーク電力削減や非常時電源確保など目的が明確ならセット導入を強くお勧めします。蓄電池があることで太陽光の余剰電力を無駄なく活用でき、購入電力の削減幅が拡大します。またデマンドピークをカットできれば基本料金削減効果が大きく、特に契約電力の大きい工場ほどメリットが高いです。非常用電源としても、停電時に事業継続できる価値(損失回避額)を考えれば費用対効果は見合うケースが多いです。例えば損害発生リスクまで含めた投資回収計算をすれば、蓄電池込みでも十分ペイするとの試算結果も出ています。ただし初期費用の負担が大きいのも事実なので、リースやサービス(蓄電池のエネルギーマネジメントサービスなど)を活用しつつ、効果を最大化できる容量をシミュレーションで割り出すことが重要です。

Q4. 提案シミュレーションの精度が心配です。本当にその通りの効果が出るのでしょうか?
A. シミュレーションはあくまで予測ですが、最新のデータと適切な前提条件に基づけば高い精度が期待できます。実績として、日本国内の多数の導入事例でシミュレーション結果と実際の効果はほぼ一致しています。それでも不安な場合、第三者によるシミュレーション保証を付けることも可能です。例えば発電量が予測より下振れして経済効果が出なかった場合、差額を保証金で補填するといったサービスです。私たち提案側もそれだけ精度に自信を持っておりますし、万一の際も責任をもってフォローいたします。数字の根拠についてはぜひご安心いただければと思います。

Q5. 自家消費型太陽光発電の導入で企業として他にどんなメリットがありますか?
A. 電気代削減以外にも多くのメリットがあります。例えばCO2排出量削減による環境目標達成や、RE100など国際イニシアチブへの対応、ESG評価の向上があります。取引先や投資家からの評価アップ、自社製品のブランド力強化にもつながります。また災害時の電源確保による事業継続性向上は従業員や地域社会への責任を果たすことにもなります。さらに電力コストが安定することで中長期の経営計画が立てやすくなるメリットも見逃せません(コスト不確実性が減るため設備投資判断がしやすくなる等)。総じて、自家消費型太陽光・蓄電池の導入は企業経営の経済的・戦略的・社会的な価値を高める投資だと言えます。

※参考:「エネがえる」が環境省の脱炭素推進を支援 ~補助金申請が劇的に増加した定量分析の力~ 

※参考:提案件数月50件に増加しほぼ受注につながっている エネがえるBiz導入事例 サンライフコーポレーション 

※参考:産業用オンサイトPPAシミュレーションが月50パターン以上可能に エネがえるBiz導入事例 IBeeT 

※参考:エクソル、産業用自家消費API導入で太陽光シミュレーション時間を3時間から5分へ大幅短縮 〜複数パターン提案で顧客満足度向上〜 

※参考:他社シュミレーションから乗り換え、3時間の作業がわずか10分に短縮!ダイヘン エネがえるBiz導入事例 

※参考:「エネがえるAPI」でシミュレーション結果のばらつきを解消、ネクストエナジーが導入 

※参考:わずか10分で見える化「投資対効果・投資回収期間の自動計算機能」提供開始 ~産業用自家消費型太陽光・産業用蓄電池の販売事業者向け「エネがえるBiz」の診断レポートをバージョンアップ~ | 国際航業株式会社 

※参考:国際航業、日本リビング保証と業務提携/太陽光発電・蓄電システム「経済効果シミュレーション保証」の提供開始~予測分析を活用し、性能効果をコミットする「シミュレーション保証」分野を強化~ | 国際航業株式会社 

※参考:国際航業、エコリンクスと提携し、再エネ導入・提案業務を支援する 「エネがえるBPO/BPaaS」を提供開始 経済効果の試算・設計・補助金申請・教育研修を1件単発から丸ごと代行まで柔軟に提供 ~経済効果試算は1件10,000円から 最短1営業日でスピード納品~ | 国際航業株式会社 

ファクトチェック・参考情報まとめ

  • 電気料金高騰の実態: 2023年、製造業経営者の61.3%が「電気料金が前年より増加した」と回答。燃料高騰に伴い2023年6月には大手電力7社が規制料金を値上げするなど企業の電力コスト負担が増大。約71.6%が2024年の電気料金値上げに対策の必要性を感じている。

  • 太陽光導入への関心と課題: 企業の42.4%が産業用太陽光・蓄電池導入に興味ありと回答し、66.7%が電気料金節約に期待している。一方で導入の障壁は「運用・維持管理コスト試算の不透明さ」が45.6%で最多、「長期性能への懸念」36.8%、「設置場所確保」35.1%といった課題がある。

  • データに基づく提案の効果: 太陽光提案を技術仕様ではなく事業投資として捉え、経営指標でメリットを示すことで顧客の心を動かすことができる。その証拠に、成功事例では成約率90%超を達成したケースも報告されている(エネがえる導入企業中央値は成約率30~50%程度)。データに裏付けられた提案は業界の常識を覆し、補助金申請が急増するなど政策面でも効果を発揮した。

  • リアルオプション理論の適用: 技術革新が激しい再エネ分野では、将来の事業拡張や技術転換のオプション価値を評価することが重要。太陽光プロジェクトにおける蓄電池後付けや水素併設のオプション価値は、ブラック・ショールズモデルの修正版で評価可能とされる。実際、災害対策を織り込むことでIRRが8.7%から10.9%へ**+2.2%改善**したケースも報告された。

  • 提案シナリオのベストプラクティス: SPIN話法とチャレンジャーセールスを融合した30の質問シナリオが有効。信頼構築から課題喚起、価値共創、リスク解消まで段階的に顧客をエンゲージする。特に「電気代高騰は経営リスク」「非常電源としての蓄電池」「競合他社の再エネ動向による脅威」等を示唆する質問で緊急性を創出、最後はシミュレーション結果に第三者保証を付けることで提案への不安を払拭する。

  • リスクへの先手対応: 提案には将来の廃棄・リサイクル計画まで含め、政府が検討中のEPR(拡大生産者責任)にも言及して長期コストをカバーする姿勢を示す。また次世代技術(ペロブスカイト等)による陳腐化懸念に対しては、「回収期間内に先行者利益を得ており問題ない」と説得。こうしたプロアクティブな課題提起と解決策提示により、競合との差別化と信頼獲得につなげる。

  • 提案内容の保証: 国際航業らによる経済効果シミュレーション保証では、予測発電量が下振れした場合に差額を買電単価等で補填可能。このようなリスクリバーサル戦略は顧客の意思決定を大きく後押しし、提案が「約束」ではなく**「保証された成果」**として認識される。

  • CSR・社会的価値の訴求: 大規模設備では地域の景観調和や災害時の地域電源化など、地域共生の視点を提案に盛り込む。投資を自社利益に留まらず社会貢献につなげることで社内稟議も通りやすくなり、企業の存在意義向上にも資する。実際、災害時に発電所を地域避難所に開放するなどの成功事例もある。

以上、エビデンスに基づく知見をまとめました。提案の際にはこれら事実や数値を適宜引用し、クライアントにとって納得感のある説明を心がけてください。エネルギー業界は日々状況が変化していますので、常に最新情報をアップデートしながら、根拠ある提案で日本の再エネ普及と脱炭素経営を後押ししていきましょう。

著者情報

国際航業株式会社カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG

樋口 悟(著者情報はこちら

国際航業 カーボンニュートラル推進部デジタルエネルギーG。環境省、トヨタ自働車、東京ガス、パナソニック、オムロン、シャープ、伊藤忠商事、東急不動産、ソフトバンク、村田製作所など大手企業や全国中小工務店、販売施工店など国内700社以上・シェアNo.1のエネルギー診断B2B SaaS・APIサービス「エネがえる」(太陽光・蓄電池・オール電化・EV・V2Hの経済効果シミュレータ)のBizDev管掌。再エネ設備導入効果シミュレーション及び再エネ関連事業の事業戦略・マーケティング・セールス・生成AIに関するエキスパート。AI蓄電池充放電最適制御システムなどデジタル×エネルギー領域の事業開発が主要領域。東京都(日経新聞社)の太陽光普及関連イベント登壇などセミナー・イベント登壇も多数。太陽光・蓄電池・EV/V2H経済効果シミュレーションのエキスパート。Xアカウント:@satoruhiguchi。お仕事・新規事業・提携・取材・登壇のご相談はお気軽に(070-3669-8761 / satoru_higuchi@kk-grp.jp)

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たった15秒でシミュレーション完了!誰でもすぐに太陽光・蓄電池の提案が可能!
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