省エネ改修をすると太陽光で置き換えられる需要も変わります。「省エネの削減額」と「改修前の使用量で計算した太陽光の削減額」を足さず、改修後の需要でもう一度比較します。
太陽光の相場と、省エネ効果の二重計上を防ぐ
価格・根拠の確認日:2026年10月3日。公表実績・販売店の提示価格・試算用の仮定を分けて掲載しています。販売店価格は購入成立額や全国平均ではなく、取得時点の表示です。
エアコンの省エネが昼間の太陽光自家消費を減らすなら、その時間帯の効果は買電削減ではなく売電増に変わります。設備価格を調べるだけでなく、負荷が減る時間を確認します。
| 確認項目 | 価格・数値の目安 | 対象・条件・出典 |
|---|---|---|
| 住宅太陽光の公表実績 | 平均28.9万円/kW、中央値29.4万円/kW | 2025年設置・10kW未満・新築。既築や蓄電池セット価格へそのまま転用不可。原資料表記の費用区分であり、見積と税区分・範囲を照合。太陽光発電協会|設置費用のFAQ |
| 5kWへの単純換算 | 平均値換算144.5万円、中央値換算147.0万円 | 上記単価×5の参考計算。現在の個別見積ではなく、屋根補強・特殊工事等の一式保証ではありません。 |
| 住宅PVの将来保守費の参考 | 点検約3.8万円/回、PCS交換約38.4万円 | 5kW想定のJPEAヒアリングを掲載した2026年委員会意見本文p.31脚注。点検3〜5年ごと、20年でPCS1回を想定。現在の確定見積ではありません。衆議院公開|調達価格に関する報告書・委員会意見 |
悲観・通常・楽観で、どこまで変わるか
エアコン交換で年200kWh減ると仮定。売電8.3円/kWhは住宅用初期投資支援スキームの5〜10年目の公表単価を税込で使う例です。1〜4年目24円や卒FIT契約とは分けて再計算。悲観・楽観は省エネの金銭効果に対する呼び方です。
以下は条件を置き換えた独自の感度分析です。「通常」は比較の基準ケースで、最頻値・平均的な顧客・将来予測を意味しません。3ケースに発生確率は付けておらず、信頼区間やP90/P50/P10でもありません。
| ケース | 削減量のPV自家消費との重なり | 買電削減単価/kWh | 省エネの年間効果 | 全量買電削減とした過大分 |
|---|---|---|---|---|
| 悲観 | 80% | 25円 | 2,328円 | 2,672円 |
| 通常(基準) | 50% | 31円 | 3,930円 | 2,270円 |
| 楽観 | 20% | 40円 | 6,732円 | 1,268円 |
計算方法:効果=200×{(1−重なり率)×買電単価+重なり率×売電単価}。
判断が変わる境界:通常例では6,200円ではなく3,930円/年です。年間kWhが同じでも昼夜の内訳で2,270円変わります。容量の最適値はこの年間集計だけでは出せず、時刻別の需要と発電の比較が必要です。
自分の案件に近づける確認資料
エアコン交換後の昼夜別需要、屋根条件、発電時刻、売電契約の適用年、PV見積の税区分をそろえる。新築平均値を既築改修の税込総額と直接比較しないでください。
価格・根拠の出典と時点
- 太陽光発電協会|設置費用のFAQ — 2025年設置・新築10kW未満の統計
- 調達価格等算定委員会|令和8年度以降の調達価格等に関する意見 — 2026-02-05・本文p.21、29、31
- 衆議院公開|調達価格に関する報告書・委員会意見 — 上記意見書の本文を収録。取得原本で数値確認
- 経済産業省|2026年度の賦課金・FIT/FIP価格 — 2026-03-19公表
計算の考え方を確認する補足例
ここからの図・数値は、計算方法を説明するための別の仮定例です。上の出典付き価格・3ケース比較とは条件が異なり、現在の市場価格や同一案件の結果を示すものではありません。

同じ電気を二度削減しない
エアコン更新で昼間の電力需要が減ると、それまで建物で使えた太陽光が余る場合があります。逆に、夜間の使用量が主に減るなら、太陽光の自家消費量はあまり変わらない場合もあります。重要なのは、年間kWhだけでなく減る時間帯です。
環境省も、自家消費型太陽光には日中の電力需要が多く、休業日の少ない施設が向くと説明しています。需要と発電の重なりを見ることが出発点です。環境省|自家消費型太陽光発電
蓄電池なしの基本計算
時刻tの自家消費量=min(その時刻の需要量、その時刻の発電量)。これを同じ時間間隔で合計します。kWデータなら時間幅を掛け、kWhへ換算します。
買電量=需要量−自家消費量。余剰量=発電量−自家消費量。蓄電池を入れる場合は、残量、充放電出力、損失、制御条件を加えた時系列計算が必要です。
1時間だけ取り出した仮定例
発電4kWh、改修前需要5kWh、改修後需要3kWh、買電31円/kWh、余剰売電8円/kWhとします。
| 状態 | 買電量 | 余剰売電量 | 電気の正味支出 |
|---|---|---|---|
| 何もしない | 5kWh | 0kWh | 155円 |
| 省エネだけ | 3kWh | 0kWh | 93円 |
| 太陽光だけ | 1kWh | 0kWh | 31円 |
| 両方実施 | 0kWh | 1kWh | −8円 |
省エネ単独62円と太陽光単独124円を足すと186円ですが、両方実施の改善額は155−(−8)=163円です。23円の違いは、1kWhの価値が買電回避31円から売電8円に変わったためです。この例に設備費は含みません。
順番に計算する4案
現状、省エネだけ、太陽光だけ、省エネ+太陽光を同じ期間で比較します。太陽光容量を複数案にし、設備費、保守費、売電可否、逆潮流制限を変えずに検証します。
「小さくすれば正解」とも限りません。増設するEV充電や生産設備が昼間の需要を増やす予定なら、将来需要を含める案も必要です。屋根の許容荷重や設備配置は、経済計算とは別に設計者が確認します。
試算を依頼するときの資料
- 改修前の月別使用量と、可能なら30分値。
- 交換する機器と稼働時刻、改修後の推計根拠。
- 発電側の場所・方位・傾斜・設備仕様。
- 電力契約、売電条件、補助金なしの設備見積もり。
エネがえるでの比較に渡す需要条件には「実測」「改修後の推計」を明記します。空調改修効果の算定そのものと、太陽光導入後の経済効果計算を区別して保存します。
よくある質問
省エネをすると太陽光が不利になりますか。
昼間需要が減れば自家消費は減る場合があります。ただし、省エネそのものの便益もあるため、組み合わせた総費用で評価します。
年間使用量が同じなら結果も同じですか。
使用する時間帯や休業日が違うと自家消費量は変わります。
余剰はすべて売れますか。
契約や系統条件によります。売電不可・出力抑制がある案では、余剰を売電収入にしません。
出典・確認資料
省エネ後の需要で設備を比較する
新旧機器の使用電力量と見積もりをそろえ、太陽光を組み合わせたときの違いを確認します。



